井手長官を訪問、群馬の夏旅をアピール

ぐんまちゃんも同行
ぐんまちゃんも同行

 群馬女将の会(塚越裕子会長・塚越屋七兵衛)は7月6日、7月1日から実施している「ググっとぐんま観光キャンペーン」のプロモーションなどを目的に、観光庁の井手憲文長官らを表敬訪問した。

 女将6人のほか、県のマスコット・ぐんまちゃんも同行し、群馬の夏旅への誘客をアピールした。

 塚越会長は井手長官に「昨年はデスティネーションキャンペーンが中止にならずに開催でき、とても好評でした」と報告。「今年のアフターDCも盛り上げようと女将たちも一体となってがんばっているので、ぜひ応援をお願いします」と呼び掛けた。

 また、市川薫副会長(ホテル一井)は「東北観光博などもあり、今年はエージェントも東北の応援にまわっているほか、格安航空なども出てきたので、群馬にとっては少し厳しいところです」と現状を訴えた。

 これに対し、井手長官は「東北だけではなく、群馬を含め北関東への誘客を促進している。ほかの省庁などへも会議や団体旅行は東北、北関東へと呼び掛けているので、一緒にがんばりましょう」と応じた。

 一行は、同日の午前中、神奈川県横浜市の国土交通省関東運輸局にも訪問し、神谷俊広局長から歓迎を受けた。

前年比17%増の予約、8月出発は過去最高ペース

<人気渡航先>

 エイチ・アイ・エス(HIS、平林朗社長)はこのほど、2012年夏休み(7月14日―9月30日)の予約状況からみる海外旅行動向を発表した。予約状況は、好調だった昨年をさらに上回る前年同日比17%のプラスで推移している。

 曜日配列上、9月に連休を取りづらいことから家族旅行を中心に7、8月の出発が人気。とくに8月出発は昨年に続き、過去最高の出国者数の更新を見込む。グアム、ハワイといった人気渡航先は前年同日比2ケタ増で推移。ファミリー予約数は前年同日比5割以上の伸びをみせ、「かぞくで海外旅行」商品の人気が高い。

 人気渡航先ランキングでは10都市中7都市がアジアで、上位のソウル・バンコク・台北ともに2ケタ以以上の伸びを示す。また、円高が追い風となり、ヨーロッパを中心に展開する添乗員同行の旅「impresso(インプレッソ)」は、シニア層からの予約も高まり前年同日比4割以上のプラス。アメリカ本土への予約も前年同日比2割以上の伸びを示している。

 7月27日から始まるロンドンオリンピックの観戦ツアーも好調に推移。ロンドンはホテルが混み合い、渡航先をパリにし、ロンドンまで日帰り観戦に行く個人旅行者の動きも見られる。

国内外ともに過去最高、新名所開業の東京が人気

2012年夏休みの旅行動向数値

 JTB(田川博己社長)がこのほど発表した、「夏休み(2012年7月15日―8月31日)に1泊以上の旅行に出かける人」の旅行動向によると、総旅行人数は前年比2・4%増の7703万人。国内旅行は同2・3%増の7431万人、海外旅行は同4・6%増の272万人と、国内・海外ともに過去最高の予測となった。旅行動向はJTBグループ販売状況、航空会社予約状況、業界動向、1200人のアンケート調査などから推計した。

 国内の旅行日数の平均は前年より0・017日プラスの2・35日。昨年は1泊2日と6泊以上が多く、二極化傾向がみられたが、今年は1泊2日が減少し、2泊3日と4泊以上が増加している。節電をきっかけに注目された長期滞在旅行は昨年の関東地域に続き、今年は関西地域などにも広がり、新しい旅行スタイルとして認知されつつある。また、夏の旅行回数は2回が18・8%(前年は15・1%)、3回が3・5%(同1・6%)、4回以上が1・9%(同0・7%)と2回以上が大きく増加した。

 国内旅行をみると、東京スカイツリーやお台場のダイバーシティ東京、渋谷ヒカリエなど新名所が次々と開業した東京への関心が高く、名古屋や大阪から東京・横浜方面への人気が高い。東北は夏祭りや世界文化遺産に登録された平泉を中心に復調しつつあり、東北4大祭りの「青森ねぶた祭り」「秋田竿燈まつり」「仙台七夕まつり」「山形花笠まつり」や「大曲の花火」などに多くの人出を予想。避暑需要で信州方面への人気が今年も続き、関西・中京方面からの申込も増えている。

 また、LCC利用で移動費用が抑えられることで、旅先で少し贅沢をしたり旅行回数を増やしたりするなど新たな旅行需要につながることも期待される。出発ピークは東日本発が8月11、12日、西日本発が12、13日。

 海外旅行をみると、新規路線の増加や機材の大型化で首都圏・関西を中心に座席供給量が大幅に増加し、円高の恩恵と合わせて渡航者が増加。方面では、ハワイ、グアム・サイパンが人気だ。近場の韓国、台湾を中心にアジア方面も引き続き人気が高く、東南アジアではマリーナベイサンズが注目されたシンガポールの人気が高く、タイも堅調に伸びている。欧州も好調でロンドン五輪のツアー人気のほか、フランスやイタリア方面が人気になっている。JTB企画商品の予約状況からみると、欧州やハワイは8月11日、アジアは8月12日の出発が多い。

オートキャンプ白書2012

<11年のキャンプ人口前年並み、震災でキャンプ用品の需要増>

長谷川純三会長
長谷川純三会長

 日本オートキャンプ協会(長谷川純三会長)は7月11日、「オートキャンプ白書2012」を発表した。今年のテーマは「大震災とオートキャンプ」。2011年のキャンプ人口は前年並みの720万人となった。

 長谷川会長は「オートキャンプ白書は今年で27年目を迎えた。昨年の震災では災害時のキャンプ場のあり方や地域との関わりなどを見直す機会にもなったのではないか」と語った。

 2011年は震災と原発事故による風評被害やその後の自粛ムードなどで、オートキャンプにおいてもその影響が懸念されていたが、キャンパー、キャンプ場のキャンプ関連用品などから集めたアンケートによると、前年と同等の数値となった。1年間に1回以上キャンプをした人の数を示すキャンプ人口は前年と同じ720万人。1年間の平均キャンプ活動回数は3・5回と前年と同数値で、平均キャンプ泊数は前年よりマイナス0・4泊の5・2泊と減少傾向だが、大きな落ち込みとはならなかった。

 キャンプ場の稼働率は前年比マイナス0・7ポイントの10・2%。関東、東海、近畿の大都市圏で低下したが、要因としては自動車業界などの節電対策で平日休みに移行したため、親子の休日がずれてしまい家族で過ごす時間が減ったことが考えられる。

 キャンプ用品は震災後に被災地でシュラフ、燃焼器具などが必需品となり、都市圏では防災意識の高まりで防災用品の備蓄が進み、市場全体が拡大。キャンプ用品の市場規模は前年比8・4%増の465億円で、2000年代に入り最高額となった。とくに、ランタンなどの照明器具、シュラフ、ガスカートリッジの需要が急増し、備蓄用の水タンクや停電時の冷蔵庫代わりのクーラーボックス、保冷剤なども大きく需要が高まった。あるキャンプ用品メーカーのオンラインストアではランタンの売上が前年の25倍を記録した。

 また、キャンピングカーも災害時の活用メリットが注目され、とくに震災後の4―7月にかけて大きく需要が伸長。その後販売台数は落ち着きを見せ、年計ではほぼ前年並みの販売台数となった。

 オートキャンプ白書では毎年テーマを設けている。今年のテーマは「震災とオートキャンプ」とし、震災後の変化を調査した。防災意識の変化では「防災用具をいつでも持ち出せるようにしている」との回答が最も多く34・7%、「キャンプ道具や燃料を常備している」が34・3%となった。地域別では東北、関東の意識が高い。

 キャンプ場の選択に原発事故が与える影響では、「対象地域以外であれば気にならない」が46・5%と最も多く、なかでも関東は51・3%と半数を超え、次いで近畿、東海、東北と続く。「気になる」は19・0%にとどまり、地域別では東北が25・7%と最も多く、九州、中国・四国と続く。「積極的に出かけて応援したい」は13・5%で、地域別で関東の19・3%、東北の18・4%と続き、中国・四国が6・8%と一番低かった。原発事故の影響を身近に感じる地域ほど支援意欲が高い結果となった。

 また、今回の震災ではキャンプ場を周辺地域の被災支援の場として活用。震災直後は緊急の避難所となり、その後の復旧活動の基地として活用され、避難所から移動した被災者の一時的な住居として場内のコテージが提供されたほか、仮設住宅団地となっているキャンプ場もある。

 キャンプは電気や水道などインフラ設備のない場所で自力で生活をするレジャー。震災直後、テントなどのキャンプ用品で生活をした支援ボランティアなどのように、キャンプ用品や車はインフラの途絶えた災害地で生活するために重要な役割を果たすことがキャンプ未経験者へも浸透したのではないかと分析している。

女将のための 女将による 女将の会議

磯田悠子運営委員長(ホテル松島大観荘)
磯田悠子運営委員長
(ホテル松島大観荘)

≪東日本の観光復興大会、震災の経験を参加者で共有≫

 「全国旅館おかみの集い」運営委員会と旅行新聞新社は7月3日、宮城県仙台市のホテルメトロポリタン仙台で「全国旅館おかみの集い―第23回全国女将サミット2012仙台―」を開いた。「『集い』―旅こそ支援、ありがとう 『学び』―経験を伝えることが恩返し 『結び』―仲間の輪、23年の絆」をテーマに掲げ、東北、東日本の観光復興大会として、初めて東北で開催。全国から例年を上回る約120人の女将が参加したほか、夕方からの懇親パーティーには約230人が出席した。

<全国旅館おかみの集い、初の東北開催で120人の女将参加>

 会の冒頭、主催者を代表してあいさつに立った磯田悠子運営委員長(宮城県・ホテル松島大観荘)は「昨年の3月11日の東日本大震災後、全国や世界から多くの支援をいただいた」と支援への感謝を述べた。また、「震災後、観光は全国的に冷え込んだ。風評被害などで、全国的にお客様が動かなくなってしまい、大変私たちは焦った。被災地から元気を発信しなければならないということだったが、被害の大きかった施設の方もいるなか、とても心が痛んだ。このようななかで『旅をして』といっていいのか悩んだが、4月に東京の憲政記念館で元気宣言を発信した」と震災後の心境を語った。さらに、「1千年に一度の災害を伝えなければいけないという動きが出てきたことはとても感謝している。ぜひ被災地に足を運んでいただき、被災者の声を聞いてほしい。聞くだけでもボランティになるそうで、私たちも癒えない傷はあるが、話すことで心が晴れることもあるので遠慮しないで来てほしい。女将たちにも、来ていただいた方に惨状を話してほしいとお願いしている。ただ、来ていただいたお客様にピースサインだけはしないでほしいとお願いしている」と現状も述べたうえで、「自然災害はいつどこで起こるかわからない。我われの経験を全国の皆さんと共有していきたい」と語った。

 特別運営委員の石井貞德旅行新聞新社社長は「この会も23回を迎えることができた。事務局を務める当社としても大変喜ばしい。今後も女将による女将のための会議として、なんとしても続けていきたい」と会への想いを語った。また、「昨年は全国でさまざまな災害が我われの業界を襲った。それでも我われはこの業界で仕事を続けて行かなければならない。そのなかで一番の原動力になるのは、女将の皆さんだ。女将の皆さんは仕事を愛し、お客様を愛し、従業員を愛して一生懸命に努めている。ぜひ災害にめげずに前へ進んでほしい」と激励した。

 続いて、磯田委員長から昨年の第22回運営委員長で、今回アドバイザー委員を務めた有村政代女将(熊本県・清流山水花 あゆの里)に記念品が贈られた。有村女将は「昨年は大変な時で、どうなるかと思ったが皆さんのお陰で初の九州大会を開くことができた。皆さんと団結し、心を一つにしたことが結果につながった。さまざまなことがあるが、この経験を生かしていきたい。今日も九州から多くの女将が参加している。こうしたつながりで、一致団結して会を続けていくことが大切だ」とあいさつした。

 開会後は、宮城県を中心に活躍する歌手・俳優のさとう宗幸さんを講師に迎え、基調講演を実施した。さとうさんは地元を題材にした自身の歌などを交えながら、震災後のようすなどを語った。その後は、女将たちが4つに分かれて分科会を実施。従来、テーマをそれぞれ設けて実施してきたが、今回は震災後の取り組みなど女将たちが話しをしやすいように、テーマを設けずに語り合った。特別に、第1分科会は報道関係者も傍聴ができるように配慮し、女将たちの経験や心境を広く伝えた。また、各分科会会場には、地元紙・河北新報が所有する被災地の報道写真も置かれ、震災時の惨劇を伝えた。

 夕刻からは来賓や協賛スポンサーを交えての懇親パーティーが華やかに開かれ、約230人が出席した。

 7月3日に宮城県仙台市のホテルメトロポリタン仙台で開かれた「全国旅館おかみの集い―第23回全国女将サミット2012仙台―」は、夕刻から懇親パーティーを開き、約230人が集う盛大な会となった。「奥州・仙台おもてなし集団 伊達武将隊」の登場で華々しく幕を開け、仙台への歓迎の意を表し、会場全員で伊達の勝ち鬨をあげた。

 来賓の国土交通省東北運輸局・清谷伸吾局長は「東日本大震災発生時は、東北の旅館の女将さんたちは自らの命を顧みず、多くのお客様の命を助けた。その後はライフラインも整わないなか、避難者を受け入れ一緒に苦労をされた。これは、安心・安全を含めた究極のおもてなしの心を日ごろから考えられておられた結果。恐らく、ここにいる全国の女将さんが一生懸命考えておられ、同じ事態になったら同じように対応されると思う。しかし、東北の女将は実際にそれを体験された。いい所や改善すべき点など、この具体的な体験をここにいるすべての女将さんが共有してほしい」と呼びかけ、「旅館そのものが観光資源。安心・安全を含め、日本全体で旅館の魅力を一層高めてほしい」と強調した。

 宮城県の村井嘉浩知事は、県の観光PRキャラクター・むすび丸とともに登壇。村井知事は「来年、宮城県単独でデスティネーションキャンペーンを実施するが、福島県や岩手県、山形県など県境の他県の市や町にも入っていただき、他県への来訪も呼び掛けたい。観光は、共存、共栄の考え方が大切だ」とし、「力を合わせ、笑顔が絶えない日本の観光地をつくっていきましょう」とあいさつした。

 続いて、来賓による鏡開きが行われ、日本酒造組合中央会の岡本佳郎副会長が「震災で、我われの蔵元も大きな被害を受けたが、皆さんのご声援でなんと出荷量が16年振りにプラスに転じた。これからも応援をいただきたい。日本酒で乾杯」と杯を上げた。

 開宴後は、読売新聞東京本社販売局総務の村松光雄氏が後援企業としてあいさつしたほか、衆議院議員・東日本大震災特別復興委員長の古賀一成氏、全国旅行業協会の二階俊博会長(衆議院議員)が登壇。二階会長は「仙台といえば、誰もが憧れる素晴らしい地域。災害から一生懸命立ち直ろうとがんばっていることをうれしく思う。我われもともに努力をし、世界の国々に日本は復活したといえるようにがんばろう」と力を込めた。

 今回は、従来のスタイルから変えてコース料理のパーティーだったが、会場内には東北の名物として秋田のきりたんぽと岩手のひっつみ汁、青森のけの汁、仙台の牛タン焼も並んだ。

 最後は、仙台に伝わる「すずめ踊り」も披露され、参加者を明るく送り出した。

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≪南三陸・松島エキスカーション、被災地を視察≫

菅原さんが案内(中央)
菅原さんが案内(中央)

「“防災のモデルのまちに”」

 全国女将サミットの翌日は、任意参加の被災地視察「南三陸・松島エキスカーション」が行われ、約30人の女将が参加した。津波の被害が大きかった宮城県・南三陸町を、ガイドサークル汐風の菅原清香さんの案内で主にバスの車窓から見学した。参加者たちは菅原さんの話を全身で受け止め、目の前に広がる被災地を時折涙を浮かべながら静かに見つめていた。

 汐風はもともと観光ボランティアガイドのサークルだったが、東日本大震災後は全国から訪れた人々にこの悲劇を正確に伝えるため、震災の語り部として活動している。

 現地では菅原さんらの活動に反対する声もあるが、菅原さんは「誰にもこんな目に遭わせたくない。人ごとではなく、自分たちの所でも起り得ると災害に関心を持ってほしい。反対の人もいつかは分かってくれる」との信念で、活動を行っている。

津波の脅威を実感

津波の脅威を実感
津波の脅威を実感

 菅原さん自身、家族が未だ行方不明で複雑な胸中を抱えるなか、それは生半可な気持ちではない。そこにあるのは「同じ苦しみを味わってほしくない」との強い想いだ。

 最後に菅原さんが「皆さんも何かの時には命だけは助かる方法を考えて下さい。私たちも活動を通し、全国のモデルとなる防災のまちになるように、復興に向けて頑張っていきます」と話すと、参加者から心のこもった拍手が送られた。

福島の今を伝えたい、女将7人がJTB本社訪問

JTBの田川博己社長を囲む女性委員会のメンバー7人
JTBの田川博己社長を囲む女性委員会のメンバー7人

 JTB協定旅館ホテル連盟(JTB旅ホ連)福島支部女性委員会(委員長=若松佐代子雨情の宿新つた女将)は7月10日、JTB本社を訪問し、田川博己社長らにこれまでの支援に対する感謝や会員各社の現況を伝えた。

 女性委員会のメンバー7人が参加。JTBからは田川社長のほか、久保田穣常務が同席した。

 同委員会は昨年9月に緊急キャラバンを行い、田川社長に風評被害の現状を訴えた。これを受けJTBでは、福島の今をまず社員に伝えるため、女将たちの手書きメッセージを店舗に掲示した。若松女将は取り組みに対して感謝を伝えるとともに、「震災から1年4カ月経つが、各地で違う悩みを抱えている。引き続きのご支援を」と訴えた。

 田川社長は全国各地の伝統芸能を披露する「杜(もり)の賑い福島」を10月13日、飯坂温泉で開くことを報告。「今年はこの事業を始めて30年、さらに(JTBも)創立100周年を迎えた。節目の年に福島で開くことで、(今を伝える)きっかけになれば」と語った。女将たちが「当日、ぜひ福島に」と笑顔で呼びかけると、田川社長も福島訪問を約束した。

 同日は日本旅行業協会(JATA)も訪問した。

初のインバウンド商談会、送客15社が参加

タイラー委員長
タイラー委員長

 長野県旅館ホテル組合会青年部(宮坂好俊部長)は6月25日、長野県松本市内で同部のインバウンド委員会(タイラー・リンチ委員長)を中心に、「インバウンドで売り上げアップ!」商談会を開いた。初めての試みだが、楽天トラベル・インバウンドやExpedia.com、Booking.comなどインバウンド送客業者15社が参加。親会を含め、会員も多数集まった。

 

 宮坂部長は「昨年は知事のトップセールスへの同行やインバウンド研修会を行った。今期はそれに続く形で、インバウンド委員会を立ち上げた。セールスだけではなく、実際にお客様を呼び込める実りのある会にしていきたい。長野県の外国人宿泊者数は今年37万人を見込んでいるが、我われの取り組みで倍以上の80万人を目指していきたい」と意気込みを語った。

 商談会の前にはインバウンド委員会のタイラー委員長が講演会「欧米人が求めるおもてなし」を行ったほか、メディアネット委員会がスマートフォンに関する研究発表などを行った。

商談会のようす
商談会のようす

 このなかで、タイラー委員長は欧米人が日本に抱くイメージに大きく影響するのは「SAYURI」や「ラストサムライ」などのハリウッド映画だとし、「欧米にない内面的な奥深さに憧れる。米国で発売される日本のガイドブックの表紙の多くは芸者」と紹介。ニューヨークでは茶道がストレス発散の方法として人気を集めていることや、松本市内の観光では松本城や日本浮世絵博物館が喜ばれることも語った。

 一方、おもてなしの部分では「日本のインバウンド向けの宿では、欧米人に対して『何もサービスをしないのがおもてなし』といわれることもあるが、それは少し違う。荷物を自分で運ぶのは『自分より小さいおじさんに荷物を運ばせるのはかわいそう』ぐらいの気持ち」と笑いを混ぜながら話し、「友達に提供するようなフレンドリーサービスが喜ばれる。日本に来て、日本の普通の生活に触れ合いたいと思っている」と強調した。

 また、外国人客が何に興味を持って、どういうルートで来るのか知るために有効な手段として、「ヤフージャパンではなく、現地のヤフーを開いてそこから検索してみれば、どういったものを参考にしているのか分かる」とアドバイスした。

 商談会は各社のテーブルに会員が集まり、会員が移動するかたちで3回に分けて実施。その後は個別相談の時間も設け、熱心に商談を行った。

佐藤義正氏ら9人表彰、第31回温泉関係功労者

9人が表彰を受ける。中央は横光克彦環境副大臣
9人が表彰を受ける。中央は横光克彦環境副大臣

 環境省は7月10日、第31回温泉関係功労者表彰を行い、日本温泉協会常務理事で国際観光旅館連盟会長の佐藤義正氏ら9人が表彰された。

 横光克彦環境副大臣は「日本は世界屈指の温泉国。延べ温泉宿泊客は1億2千万人を超え、国民全員が年に1回は温泉地を訪れ宿泊している計算になる。温泉は日本文化の重要な要素であり、自然資源であり、観光資源でもある。温泉の魅力を充分に生かしながら、後世に残していくことが大切。また、震災以降は再生可能エネルギーとしての期待もあり、温泉が果たす役割がますます重要になっている」と語った。

 受賞した佐藤氏は日本温泉協会で97年から温泉資源の保護と適正利用に関する広報普及活動の推進に努めたことや、95年から13年間岩手県自然環境保全審議会と環境審議会の温泉部会委員、部会長を歴任し、温泉資源の保護と温泉行政の推進に貢献したことが高く評価された。佐藤氏は本紙の取材に対し「表彰は予想していなかったので驚いたが、震災後に避難者を受入れ、一生懸命対応したことなども評価されたのかなと思う。岩手県では温泉部会長を長年務め、皆で自然環境保護に取り組んできた」と振り返った。

 同表彰は温泉の保護や温泉の採取等にともない発生する可燃性天然ガスによる災害の防止、温泉の適正利用に関し、とくに顕著な功績のあった人を讃えるために、1982年から環境大臣表彰を行っている。

 表彰者は次の各氏。

 岡村眞(高知大学理学部応用理学科災害科学講座教授、高知県環境審議会温泉部会委員)▽加藤尚之(東邦大学医学部准教授)▽葛谷昌之(岐阜薬科大学名誉教授、中部学院大学短期大学部副学長人間福祉学部教授、岐阜県自然環境保全審議会会長兼温泉部会長)▽齊藤勝彌(熊本県温泉協会顧問、熊本県温泉協会山鹿植木支部顧問)▽佐藤義正(日本温泉協会常務理事、ホテル大観社長、つなぎ温泉観光協会会長、国際観光旅館連盟会長、日本観光振興協会副会長、岩手県観光協会理事長)▽野田徹郎(産業技術総合研究所地圏資源環境研究部門顧問、茨城県自然環境保全審議会委員、日本温泉科学会評議員、理事、将来委員会委員長)▽波田重熙(神戸女子大学学長、兵庫県環境審議会委員)▽神奈川県温泉地学研究所(所長 吉田明夫)▽長野市開発公社(理事長 鷲澤正一)

ピンクリボンのお宿ネットワーク発足、7月10日設立総会開く

設立発起人で会長に就任した畠ひで子・吉川屋女将
設立発起人で会長に就任した畠ひで子・吉川屋女将

 「ピンクリボンのお宿ネットワーク」(設立発起人代表=畠ひで子・匠のこころ吉川屋女将)が7月10日、東京都内で設立総会を開き、正式に発足した。乳がんにより、毎年約5万人の女性が胸の切除や温存手術を受け、8割以上の方が回復されている一方で、そのことを気にして温泉旅行を諦めている人にも旅をしてもらおうと、全国各地の宿のネットワークづくりが始まった。全国500の主要病院と連携し、厚生労働省や国土交通省・観光庁といった行政、関連企業、団体などへも輪が広がりつつある。

 設立総会までに参画した宿(正会員)は、42施設。湯谷温泉おかみ会などの団体会員や、企業など賛助会員を加えると、50会員を超える。当面は全国100施設のネットワークを目指す。

三日月大造氏
三日月大造氏

 総会では、同ネットワークの設立発起人代表の匠のこころ吉川屋女将の畠ひで子氏が会長に就任し、副会長には旅行新聞新社代表取締役の石井貞徳氏、池山メディカルジャパン代表取締役の池山紀之氏のほか、夕映えの宿汐美荘代表取締役の浅野謙一氏、ふもと旅館女将の松﨑久美子氏、斎藤ホテル支配人の中尾徹也氏、愛隣館代表取締役専務の清水隆太郎氏が就任。監事は観光ビジネスコンサツタンツ代表取締役の西川丈次氏、ホテル秀水園代表取締役の湯通堂温氏が就任。事務局は「Tourism For All」をテーマにすべての人が等しく旅を楽しめる環境づくりに取り組む旅行新聞新社内に置き、有島誠取締役関西支社長が事務局長に就任した。

 主な事業として、会員相互の交流や意見交換、全国の病院など広く知ってもらうための冊子発行、Webでの発信、啓蒙事業としてセミナーや勉強会なども行う予定。

 

西村智奈美氏
西村智奈美氏

 総会には、衆議院議員で元国土交通副大臣の三日月大造氏、衆議院議員・厚生労働副大臣の西村智奈美氏、厚生労働省健康局がん対策・健康増進課主査の吉本雅世氏、国際観光旅館連盟専務理事の小関政男氏、市立四日市病院形成外科部長の武石明精氏が来賓として出席し、会の発展を願い、それぞれの立場から祝辞を述べた。総会終了後には、乳がん患者の立場から、CSRプロジェクト理事の桜井なおみさんが講演。懇親会も開いた。

 問い合わせ=事務局(旅行新聞新社) 電話:03(3834)2718。

 
 
 
 
 

武石明精氏

吉本雅世氏

小関政男氏

 

 

 

 

 

 

 

 

≪正会員、団体会員、賛助会員≫

 12年7月8日現在の正会員、団体会員、賛助会員は次の通り。

 【正会員】

結びの宿 愛隣館(岩手県新鉛温泉)▽ホテル森の風鶯宿(岩手県鶯宿温泉)▽鷹泉閣岩松旅館(宮城県作並温泉)▽名湯秘湯うなぎ湯の宿 琢琇(宮城県鳴子温泉)▽日本の宿古窯(山形県かみのやま温泉)▽ホテル八乙女(山形県由良温泉)▽仙渓園 月岡ホテル(山形県かみのやま温泉)▽匠のこころ吉川屋(福島県穴原温泉)▽五浦観光ホテル(茨城県五浦温泉)▽あさや(栃木県鬼怒川温泉)▽源泉湯の宿松乃井(群馬県水上温泉)▽湯の宿 山ばと(群馬県四万温泉)▽ホテル松本楼(群馬県伊香保温泉)▽鴨川ヒルズリゾートホテル(千葉県小湊温泉)▽水が織りなす越後の宿 ホテル双葉(新潟県越後湯沢温泉)▽夕映えの宿汐美荘(新潟県瀬波温泉)▽加賀屋(石川県和倉温泉)▽若草の宿丸栄(山梨県富士河口湖温泉郷)▽富士野屋夕亭(山梨県石和温泉)▽ユルイの宿 恵山(長野県昼神温泉)▽ホテル亀屋本店(長野県戸倉上山田温泉)▽RAKO華乃井ホテル(長野県上諏訪温泉)▽斎藤ホテル(長野県鹿教湯温泉)▽湯本旅館(長野県渋温泉)▽明神館(長野県扉温泉)▽水明館(岐阜県下呂温泉)▽ホテルくさかべアルメリア(岐阜県下呂温泉)▽吉泉館(岐阜県下呂温泉)▽熱川プリンスホテル(静岡県熱川温泉)▽サン浦島悠季の里(三重県本浦温泉)▽風待ちの湯 福寿荘(三重県磯部わたかの温泉)▽淡路インターナショナルホテル ザ・サンプラザ(兵庫県洲本温泉)▽三朝館(鳥取県三朝温泉)▽皆生つるや(鳥取県皆生温泉)▽八景(岡山県湯原温泉)▽湯元ことひら温泉琴参閣(香川県こんぴら温泉郷)▽大正浪漫の宿 京都屋(佐賀県武雄温泉)▽東園(長崎県雲仙温泉)▽阿蘇の司ビラパークホテル(熊本県阿蘇温泉)▽ふもと旅館(熊本県黒川温泉)▽ホテル秀水園(鹿児島県指宿温泉)

 【団体会員】

湯谷温泉おかみ会(愛知県湯谷温泉)

 【正会員(企業)】

旅行新聞新社(東京都)▽サンプラネット(東京都)▽一般社団法人国際・風水協会(東京都)▽QOL総合研究所(東京都)▽池山メディカルジャパン(愛知県)▽観光ビジネスコンサルタンツ(大阪府)

 【賛助会員】

ミサワホーム(東京都)▽五十川裕高〈東京海上日動あんしん生命保険〉(愛知県)

旅行新聞新社・石井貞徳社長が
乾杯のあいさつ

池山紀之氏

桜井なおみさん

No.316 天空の森 - 地域経済の循環を創り出せ

天空の森
地域経済の循環を創り出せ

 高品質のおもてなしサービスを提供することで、お客様の強い支持を得て集客している旅館がある。なぜ支持されるのか。その理由を探っていく「いい旅館にしよう!」プロジェクトのシリーズ第5弾は、鹿児島県霧島市の「天空の森」「忘れの里雅叙苑」「湯治の宿田島本館」のご主人・田島健夫氏が登場。産業技術総合研究所の工学博士・内藤耕氏と、「理想的な宿づくり」へのプロセスや、地域文化産業である旅館のあり方など、観光産業の本質に迫る対談となった(11面に続く)。

【増田 剛】

 

≪「いい旅館にしよう!」プロジェクト≫ シリーズ(5) 
天空の森

【対談者】

田島 健夫(たじま・たてお)氏
天空の森 主人
×
内藤 耕(ないとう・こう)氏
産業技総合研究所サービス工学研究センター副研究センター長(工学博士)

 

■田島:終戦の年、昭和20年生まれの私の世代は高度経済成長期になると、入学試験も就職試験も定員割れで、受験勉強もなにもしなかったですね。私は次男でしたから、本来宿を継ぐ立場にはありませんでした。中学1年生のときに父親が亡くなり、私自身は寿司屋の小僧になるつもりでしたが、母に大学まで行かせてもらいました…。

 

※ 詳細は本紙1469号または日経テレコン21でお読みいただけます。