週休6日の郵便局

 熊本県の「赤崎水曜日郵便局」は、1週間のうち水曜日だけ営業している。といっても実在の郵便窓口ではなく、手紙を題材にした芸術活動の名称だ。

 閉校になった小学校に郵便受けを設置。そこに全国からさまざまな「水曜日の出来事」を手紙にして送ってもらい、局員(スタッフ)が無作為に交換して送り返している。手紙の送り主に、知らない誰かの物語がつづられた手紙が届く仕組みだ。「灯台のようにいざないの光を放ちながら静かに人と人をつなぎ続ける空虚な中心」。そんな概念を掲げた活動は、昨年グッドデザイン賞も受賞した。

 ホームページは週に1度だけ閲覧できるように情報を発信。住民も参加し、廃校は新たな活動の場に。各地の参考になる点がいくつかあるように思う。

【鈴木 克範】

太田大臣に要望書、第3滑走路の早期実現を、成田周辺地域

16万人の署名と要望書を提出
16万人の署名と要望書を提出

 成田空港の周辺地域14団体で構成する「成田第3滑走路実現する会」(会長=池内富男・成田商工会議所会頭)は4月27日、国土交通省の太田昭宏大臣に「成田国際空港第3滑走路実現に係わる署名簿・要望書」を提出した。自民党成田国際空港推進議員連盟の二階俊博会長らが立ち会うなか、地域住民など16万6116人の署名を持参し、第3滑走路の早期実現を訴えた。

 提出後に報道陣の前に立った池内会長は、「今回の署名は以前、反対派や中間派だった人を一軒一軒まわり集めた。重い一票一票で、成田を新しいものに変えていきたいという熱意の表れ」と語り、要望書内でも「地元住民および千葉県民および意のある方々の『真摯な思い』」と強調した。

 第3滑走路を要望した理由については「国土交通省は、首都圏空港の国際線は上限3%の需要で2022年にパンクすると予測しているが、外国人観光客の急増などでもっと早くなるのではないかと考えている」とコメント。2020年までに周辺アジア諸国の仁川や香港、ジャカルタ、上海などの空港が発着枠拡大を計画していることにも触れ、「対抗するためには羽田と成田の両空港が拡大しなければならない」と語った。太田大臣の反応については「成田空港の機能充実は重要だというニュアンスの言葉をいただいた」と紹介した。

地域ガイド案を討議、導入については賛成多数、通訳案内士制度

検討会のようす
検討会のようす

 観光庁は4月22日、通訳案内士制度のあり方に関する検討会(第8回)を開き、新たに導入を検討している地域ガイドについて、旅行業界団体や旅行会社の有識者らが討議した。導入については賛成意見が多数。

 地域主体でガイドの養成・確保を目指す地域ガイドの導入案について、和歌山県商工観光労働部観光局観光交流課長の櫻井紀彦氏は、「現行の特例ガイドの研修だけでは語学力や知識が不十分で、旅行業界や団体と連携して解決する必要がある」と述べ、国と地域でガイドを2分化しても、一体となって考えなければいけない面もあると主張した。和歌山県は全国で初めて特例のガイドを育成し、世界遺産の熊野古道を中心にガイド体制を整備している。

 通訳案内士を活用した旅行サービスを展開するトラベリエンス社長の橋本直明氏は、「コスト負担に耐えられずに特例ガイド制度を辞めた自治体もある。地域ガイドではどのように解決するか」と課題を挙げた。観光庁側は「コストは地域である程度飲み込んでいただきたい。費用も時間もかかるものと考えている」と回答した。

 全日本通訳案内士連盟の黒崎豊子氏は、「地域ガイドと通訳案内士をひとまとめにすると、外国人に混乱を招く恐れがある」と名称や立場を統合することの危険性を訴えた。観光庁側は「地域ガイドは資格区域内では通訳案内士と同じだが、違いが分かるようにしなければいけない」と方向性を示した。

 日本旅行業協会(JATA)国内・訪日旅行推進部部長の興津泰則氏は、「新制度化に目が向きがちだが、通訳案内士の存在は大変重要。現状で全国を通して案内できるのは案内士資格保持者しかいない。しかし、資格保持者は時代のニーズに対応し、スキルアップをはかれているだろうか。案内士のスキルアップや活用についても考えるべき」と強調し、そのうえで地域ガイドとの相乗効果が生まれる制度構築や、活用をするよう求めた。

鶴雅グループ60周年、持ち株会社移行も発表

60年を振り返る大西雅之社長
60年を振り返る大西雅之社長

 鶴雅グループ(大西雅之社長)は5月12日、創業60周年を祝う式典を北海道・阿寒湖温泉のあかん湖鶴雅ウイングスで開き、旅行会社や観光関係者ら約240人が出席した。持ち株会社体制への移行や、阿寒独自のアイヌアート・プロジェクトへの支援も発表した。

 節目を機に「生まれ変わる」を強く意識したという大西社長は「世界に通用するホテルを目指すとともに、従業員満足度の向上にも力を入れ、地域ブランド力を高めたい」とあいさつ。来賓の高橋はるみ北海道知事は、「観光立国北海道のけん引役としての努力」に感謝を伝えた。

 さらなる100年に向け、後継体制も発表した。来年3月に持ち株会社「鶴雅ホールディングス(HD)」を設立。傘下に阿寒を中心に7施設を運営する「鶴雅リゾート」と、サロマ湖や札幌のレストランを運営する「鶴雅観光開発」を置く。2020年までは現経営陣を中心に、新規2施設の開業などを目指し、総売上を今の100億円から130億円に伸ばす計画だ。21年以降に大西社長の長女・大西希、長男・大西将仁両取締役が、それぞれの事業会社の社長に就くことも明かした。

 60周年を機に2つの社会貢献に取り組む。1つはアイヌ文化振興基金(仮称)創設に向け、2千万円を寄贈。アイヌコタンの活性化やアイヌアートによる独自商品の開発・販売を支援する。2つ目は3千万円を投じ、外湯「まりも湯」を全面改装する。

冬にも訪日需要の山、高い水準での平準化へ、久保長官

 観光庁の久保成人長官は4月22日の会見で、2015年1―3月の第1四半期の訪日外客数が前年同期比43・7%増の413万1400人になったことを受け、「冬にも需要のピークができた」と総括し、「高い水準での需要の平準化が目標」と今後を語った。

 インバウンドは数年前までは夏が中心だったが、この2、3年で春の桜シーズンと、秋の紅葉シーズンにも需要のピークが生まれ、今年は中華圏の春節などにより冬にもピークができた。久保長官は「季節変動による需要のピークと谷があるよりは、高い水準での通年化ができれば、施設もフル稼働できる」と述べた。

 また、1―3月の第1四半期の訪日外客数を振り返り、とくに成熟市場の伸びに言及。豪州は26・7%増、米国は12・6%増、カナダは29・4%増、英国は18・8%増、フランスは18・6%増、ドイツは21・4%増となった。久保長官は「成熟市場である北米・欧州市場が2割近く増加している意味は大きい。東アジアの絶対数に加え、世界各国からバランスよく伸びている」と分析した。

 4月12日に4年ぶりに開催された日中韓観光大臣会合の成果について触れ、人的交流3千万人に向けては、日本から中国、韓国へのアウトバウンドが最大の課題とした。「ワンパターンではないルート構成と売り出し方が必要。相手国と情報交換しながら日本人にとって魅力的な新たな商品造成を行っていくべき」と話した。

 さらに、3国を1つの域内と捉え、連携して域外の観光客を誘致する「ビジット・イースト・アジア・キャンペーン」に関しては「協力して、できることからやっていく」とし、総論だけでなく、実務者による協議を行っていく意向を明かした。

世界文化遺産への登録を勧告、明治日本の産業革命遺産

 ユネスコの諮問機関「イコモス」(国際記念物遺跡会議)は5月4日、長崎県の軍艦島など「明治日本の産業革命遺産」23資産の世界遺産への登録を勧告した。6月28日からドイツ・ボンで開かれる第39回世界遺産委員会で登録が正式に決定される。

 登録されると、日本では19番目の世界遺産となり、世界文化遺産としては15番目。また、産業遺産としては、石見銀山遺跡とその文化的景観、富岡製糸場と絹遺産群に続き3番目となる。

 一方、韓国や中国は、「強制徴用された労働力を使った場所が含まれている」などとして、世界文化遺産への登録に反対している。

「旅館経営」ネットで講座、講師に内藤耕氏、修了証も(観光庁)

 観光庁はサービス業の人手不足が深刻化するなかで、「労働集約産業の典型である旅館が今後、生産性の高い現場運営ができなければ“成長産業化”が難しい状況にある」と真剣に受け止め、オンライン講座「旅館経営教室」をスタートさせた。旅館の経営者や、従業員など誰でもパソコンやスマートフォンがあれば好きな時間に無料で受講できる。

 講師は、サービス産業革新推進機構代表理事の内藤耕氏。サービス工学研究の第一人者で、本紙でも「いい旅館にしよう!」対談シリーズや、「旅館経営教室」シリーズに登場し、収益力強化や生産性革新など、さまざまな提案を行っている。

 講義内容は2部で構成されている。5月26日に配信する前編(第1週)では、現場の作業方法として、より高い品質のサービスを如何にムダなく提供できる生産性が高い「サービス生産管理」の方法について説明する。

 後編(第2週)は6月9日に配信を予定しており、現場の実態に合った働き方を管理し、その結果を評価して現場作業を見える化できる「現場スタッフの労務管理とパフォーマンス評価」の方法について説明する。

 いずれも1本あたり約10分の動画講義で、計100分間程度。各週で数問の確認クイズが出題され、規定の修了条件(60%以上)をクリアすると、観光庁長官名の修了証が発行される。

 講義は日本初のMOOCプラットフォーム「gacco(ガッコ)」を活用。MOOCとは、ウェブ上で誰でも参加可能な大規模無料オンライン講座。受講者同士によるディスカッション可能な掲示板も提供し、修了者に修了証を発行するサービス。2012年から米国を中心に、主要大学や有名教授によるオープンオンライン講座として公開され、世界中から2千万人以上が受講している。「ガッコ」は、NTTナレッジ・スクエア社が提供するもの。

 なお、観光庁は同オンライン講座と合わせて、北海道、東北、関東、近畿の4エリアで各国土交通省地方運輸局と共同で旅館経営教室セミナーも開催している。

旅行消費額が64%増、中国の1人支出30万円に(15年1―3月訪日消費動向)

 観光庁がこのほど発表した2015年1―3月期の訪日外国人消費動向調査の結果によると、旅行消費額は前年同期比64・4%増の7066億円と、14年10―12月期を超え、1四半期として過去最高を記録した。

 旅行消費額を国籍・地域別にみると、トップの中国が同133・7%増の2775億円(構成比39・3%)と、総額の約4割を占めた。同国は訪日外客数と1人当たり旅行支出が前年に比べ大幅に増加したことから、旅行消費額が2倍以上に拡大した。次いで台湾が同46・3%増の1063億円(構成比15・0%)、韓国が同45・8%増の725億円(構成比10・3%)、香港が同94・3%増の541億円(構成比7・7%)、米国が同30・7%増の368億円(構成比5・2%)と続き、上位5カ国で全体の77・4%を占めた。

 そのほか、タイが同63・7%増の325億円、オーストラリアが同55・0%増の268億円、英国が117億円、フランスが81億円、マレーシアが81億円、カナダが76億円、シンガポールが73億円、ベトナムが67億円、フィリピンが56億円、インドネシアが50億円、ドイツが43億円、インドが31億円、イタリアが25億円、ロシアが24億円、スペインが22億円、その他が258億円となった。

 訪日外国人1人当たりの旅行支出は同14・4%増の17万1028円。中国の1人当たり旅行支出と訪日外客数の大幅な増加が牽引した。国籍・地域別旅行消費額上位の1人当たり旅行支出をみると、中国が同20・9%増の30万円、オーストラリアが同22・3%増の24万7643円、タイが同19・8%増の17万9276円、香港が同19・2%増の17万2137円、米国が同16・2%増の16万9499円、台湾が同13・0%増の13万7566円、韓国が同4・5%増の7万6512円など。

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【当選者発表】第40回プロが選ぶ100選宿泊券プレゼント

『第40回プロが選ぶ日本のホテル・旅館100選プレゼント当選者』が決定いたしました。

今回もたくさんのご応募ありがとうございました。
2015年3月31日の締め切り後、厳正なる抽選の結果、ご当選者が決まりました。
ご当選者の皆様には当選旅館・ホテルから近日中に宿泊券をお送りいたします。
どうぞ楽しいご旅行をお楽しみください。

ご当選者のお名前は
コチラから!(弊社の『プレゼントコーナー』ページへリンクしています)

 
☆「プロが選ぶ日本のホテル・旅館100選」とは☆
 「プロ(=旅行会社)」の投票により、100選施設に値する優れたホテル・旅館を「もてなし」「料理」「施設」「企画」という4つの区分で5段階で評価。100選はその合計点によるランキングです。

広域周遊計画を検討、東京五輪との連携も(観光庁)

久保観光庁長官
久保観光庁長官

 観光庁は3月27日、「第2回世界に誇れる広域観光周遊ルート検討委員会」(座長=小林栄三、日本貿易会会長)を開いた。組織体制の確保や東京オリンピック・パラリンピックの連携などが求められた。

 久保成人長官は冒頭のあいさつで「観光庁の宿泊動向調査からは東京や東海道ルートに宿泊傾向があるのは変わらず、各地域で宿泊する段階に至っていない。世界に誇れる地域や地方に旅行という形で訪れるようにしたい」と意気込んだ。

 日本旅行業協会(JATA)会長の田川博己氏は「欧州文化観光ルート機関のような組織体制を作っておくことが必要。広域連携の入り口を確保していないと失敗する。まずは広域連携という意識を持つことが大事だ」と述べた。 

 文化庁伝統文化課長の神代浩氏は「オリンピック関連の文化プログラムは全国展開を予定している」と述べ、観光庁と連携する方針を明らかにした。2019年に日本で開催されるラグビーワールドカップで体験プログラムを実際に検証し、20年の東京オリンピック・パラリンピックの文化プログラムに活用する。

「広域観光ルート」、5月21日まで募集(観光庁)

 観光庁はこのほど、訪日外国人旅行者をターゲットに、周遊観光を促進する広域観光周遊ルート形成計画の公募を開始した。

 広域観光周遊ルート形成促進事業には15年度予算で3億円強を計上。テーマ性・ストーリー性の高い魅力ある観光地域をネットワーク化し、広域観光周遊ルートを形成することで訪日外国人旅行者の周遊促進による地域活性化をはかる。

 公募の締め切りは5月21日で、6月ごろに国土交通大臣の認定を予定。詳細=観光庁HP(http://www.mlit.go.jp/kankocho/shisaku/kankochi/kouikikankou.html)。