「トラベルスクエア」良い民泊も消える?

2018年5月22日(火)配信 

良い民泊も消える?(写真はイメージ)

 民泊に関することなので、微妙なのだが、我が友人のことだ。

 大学同門で、年は10歳ほど離れているが、なぜか生きているリズム感が合うので断続的に付き合ってきたY君は、30過ぎに渋谷で写真専門学校を興し、さらに声優学校、コピーライター養成校など次々と専門学校を立ち上げ成功を収めてきた。そんな彼も還暦。学校事業を優秀なスタッフに任せ、ご本人は前から世田谷区に持っていたビルの物件を活用して、やりたかった個人的なビジネスを展開することにした。

 人生からリタイアするのではなく、別の形で人と人をつなげられるビジネスに挑戦しようという心意気はいかにもY君らしい爽やかな生き方だ。

 具体的に彼が取り組んだのは、オーガニック系の素材を使った軽食をメインとする気軽なカフェ、そして地域密着型の本屋さん、そしてビルの上層階4部屋を使っての民泊事業だった。

 Y君、さすが成功した経営者。民泊事業も事前に勉強を重ね、エアビーにもきちんと加盟、するするとオープンにこぎつけた。民泊関連の規定にある家主定住型でこそないが、ほとんど毎日カフェのマスター、本屋の店員、そして民泊のホストとして来ているから、泊まりに来るお客さんとの接触もきちんとしている。学校事業という、それこそ人にまみれる仕事を30年もやってきたから話題にはこと欠かない。彼の人柄を慕ってくる常連客も当然ついてくる。フェイスブックなどで、毎日「大変だ、大変だ」と呟きながらもシーツの洗濯をして干している姿など、楽しそうだった。事実、開業1年満たぬ間に東京のベスト民泊に選ばれるほどだったのだ。

 それが突然、民泊事業からの撤退を発表した。 真相は民泊業法の改正。6月には施行される規制では、営業が年間180日に制限されてしまう。「いくらなんでも営業日数が半分になってはやっていけない。宿泊代を倍にするわけにもいかないし」とY君、無念の弁だ。事業家らしく、閉業の決断は早く、4部屋は若干の改装のうえ、賃貸物件としてまき直しだ。

 民泊にたくさんの問題点があることは認めなければならないが、Y君のような好ましい事例まで規制の網にひっかけるというのには、若干、理不尽な感じも受けた。

 営業日数規制ではない形のやり方はなかったものか。それに週末中心に営業を認めるというのだと、ますますレジャーの週末集中に拍車をかけることになるではないか。

 大儲けができるから、というのではなく楽しいから仕事を始めたというY君のホスピタリティ精神が、「悪貨的」不動産業発想の民泊事業で駆逐されるというのは、まこと困ったことだ。といって、当面、いい知恵は出てこないし。

(跡見学園女子大学観光コミュニティ学部教授 松坂 健)

 

コラムニスト紹介

松坂健氏

跡見学園女子大学観光コミュニティ学部教授 松坂 健 氏
1949年東京・浅草生まれ。1971年、74年にそれぞれ慶應義塾大学の法学部・文学部を卒業。柴田書店入社、月刊食堂副編集長を経て、84年から93年まで月刊ホテル旅館編集長。01年~03年長崎国際大学、03年~15年西武文理大学教授。16年から跡見学園女子大学教授、現職。著書に『ホスピタリティ進化論』など。ミステリ評論も継続中。

JALが2020年夏に観光農園オープンへ、和郷と共同出資会社設立

2018年5月22日(火) 配信

観光農園を設立へ(和郷提供イメージ写真)

日本航空(JAL、赤坂祐二社長)と和郷(木内博一社長、千葉県香取市)は5月21日(月)、共同出資会社「JAL Agriport株式会社」(JALアグリポート、鎌形晶夫代表〈JAL出向者・千葉県香取市出身〉)を設立して農業事業へ参入すると発表した。千葉県成田市で体験型観光農園を運営するほか、プライベートブランド商品の販売などを展開する。観光農園は2020年夏にオープン予定。

地元の野菜イメージ(和郷提供)

 JALアグリポートは千葉県成田市に、いちごやさつまいもなどの収穫体験や食事を楽しめる体験型農園施設を開園する。近郊の住民や、成田空港を利用する国内外の旅客に訪れてもらえる仕組みを構築。2020年に向けて増加が予想される外国人観光客のアクティビティの一つを担いたい考え。また、 JAL アグリポートをはじめ、千葉県各地で栽培した農産品を用いたプライベートブランド商品の開発・販売のほか、千葉県の農産品を販売。将来的には、成田市が2020年の開場を目指し、成田空港に隣接して整備を進める新生成田市場との連携を視野に展開。地域の逸品を世界に発信していく。

 新会社は「インバウンド」や「観光」「農業の6次産業化」など日本の課題に取り組み、地元・空港・航空会社の3者の新たな関係性を生み出すことを目指す。国内外のネットワークを有するJALと、農業に関する知見・ノウハウを有する和郷は両社の強みを生かし、日本の高品質な農産品を世界にアピールしてファンを増やすことで、世界の「ひと」と日本の「もの」を結ぶ。中長期的な目標としては7~10年後に成田空港モデルをプラットフォーム化し、世界展開したいと意気込む。

@nifty温泉 4月の「全国のスパ・温泉アクセスランキング」

2018年5月21日(月) 配信 

横浜天然温泉 SPA EAS

ニフティ(荻原正也社長、東京都新宿区)はこのほど、子会社のニフティライフスタイルが運営するスパ・温泉施設情報専門サービス「@nifty温泉」で、「全国のスパ・温泉アクセスランキング(2018年4月)」を発表した。

 全国1万5千以上のスパ・温泉施設を掲載する「@nifty温泉」は毎月、施設ページへのアクセス数をもとにランキングを発表している。

ランキング概要

ランキング名:「全国のスパ・温泉アクセスランキング(2018年4月)」

集計期間:2018年4月1日(日)~2018年4月30日(月)

対象施設数:15,375施設(「@nifty温泉」掲載の全施設)

集計方法:「@nifty温泉」内の施設ページ閲覧数

横浜天然温泉 SPA EAS(神奈川県)

横浜天然温泉 SPA EAS

 3カ月連続の1位!横浜駅から徒歩5分、買い物やお出かけにも便利な立地で、琥珀色の天然温泉が楽しめる貴重な施設。カフェには新鮮なフレッシュジュースやスムージーなど女性に嬉しいメニューが取りそろえられているほか、男女で利用できる「ロウリュ」や岩盤浴もあり、カップルでの利用にも最適だ。

杉戸天然温泉 雅楽の湯(埼玉県)

杉戸天然温泉 雅楽の湯

 「@nifty温泉」で根強い人気を誇る、埼玉県の天然温泉。広い空と風情ある庭園を楽しめる大露天風呂や、湧きたての生源泉をそのまま流し込んだ贅沢な内湯が自慢。食事目当てに来館する人も多いと評判のビュッフェレストランでは、地元の朝採れ野菜をふんだんに使ったメニューが味わえる。

熊谷天然温泉 花湯スパリゾート(埼玉県)

熊谷天然温泉 花湯スパリゾート

 埼玉県熊谷市にある源泉掛け流しの天然温泉施設。広々とした露天風呂では自家源泉が楽しめる。「日常的に使える癒しリゾート空間」をコンセプトに、8種類の岩盤浴洞や熱波ロウリュウイベント、しょうが紅茶などの“温活ティー”といったさまざまな癒やしを体験できる。

天然温泉 テルマー湯(東京都)

天然温泉 テルマー湯

 新宿・歌舞伎町の大繁華街にありながら、綺麗で落ち着いた雰囲気の中で天然温泉を楽しめる。都内最大級の高濃度炭酸泉など男女それぞれ6種類の湯のほか、新陳代謝を活発にする岩盤浴、女性専用や大人向けなど、好みに合わせて寛げるラウンジスペースも完備する。

美楽温泉 SPA-HERBS(埼玉県)

美楽温泉 SPA-HERBS

 ランキングに復活!リゾート気分を味わえる開放的な露天風呂や、クリーミーで濃厚な「シルクの湯」、温泉の蒸気を貯めた「洞窟風呂」など個性的な風呂が楽しめる。ライブキッチン形式のレストランでは、地産地消にこだわった本格的な料理が味わえる。

 なお、ランキングページでは10位までのランキングを発表している。

○全国のスパ・温泉アクセスランキング発表ページ

 「@nifty温泉」では、「@nifty温泉」のFacebookページに「いいね!」するなどのアクションで、アマゾンギフト券や月間ランキング1位の人気施設「横浜天然温泉 SPA EAS」の招待券が当たる「おふろスタンプキャンペーン」を5月中旬から実施予定。キャンペーン開始時には「@nifty温泉」トップページで案内する。

「@nifty温泉」について

 「@nifty 温泉」は全国15,375 店舗(2018年4月現在)の温泉・温浴施設を検索できるスパ・温泉施設情報専門サービス。地域や温泉地のほか、「貸切風呂がある施設」「源泉かけ流しの施設」「カップルで楽しめる施設」など、シーンに合わせたこだわり検索もできる。さらに、温浴施設をお得に楽しめる、オリジナルクーポンも多数提供。昨年8月には、より幅広く温浴施設を楽しんでもらうため、全国の岩盤浴施設をまとめて検索できる「岩盤浴特集」も公開した。

淡路島に星空を満喫できるグランピング施設がオープン

2018年5月21日(月) 配信

ニジゲンノモリ(山本絹子社長、兵庫県淡路市)はこのほど、兵庫県立淡路島公園アニメパーク「ニジゲンノモリ」内に淡路島の自然を生かしたアクティビティと淡路島産の食材にこだわった料理を提供するグランピング施設「GRAND CHARIOT-北斗七 星 135°-」をオープンした。

 「GRAND CHARIOT-北斗七星 135°-」は公園の中の最も高台に位置。桜や紅葉など季節ごとに色とりどりの草木に彩られる公園から、明石海峡と「明石海峡大橋」を一望できる。夜は、対岸に広がる光輝く神戸の街並と淡路島の満天の星空を味わうこともできる。天井高5㍍を超えるグランピング室内の天窓からは、光輝く星空が天然のプラネタリウムのように広がるほか、「ヒノキ風呂」も全棟に設置した。食事は、兵庫県ひょうご「食」担当参与である山下春幸シェフ監修のもと、「淡路 牛山海トマトすき焼き」など、こだわりの島の食材を使った淡路島でしか味わえない創作料理を提供する。現在、オープン記念として、7 月 19 日(木)まで 通常料金から 30%OFFで宿泊できる。

GRAND CHARIOT-北斗七星 135°-」 概要

場所:兵庫県立淡路島公園アニメパーク「ニジゲンノモリ」内

※宿泊者は、駐車場からカートで送迎。

客室:全 23棟

チェックイン:午後3:00~・チェックアウト 午後11:00

通常料金:

「風のコクーン」 2 人まで1室・1棟あたり 6万2千円~

「空のコクーン」 2 人まで1室・1 棟あたり 7万4千 円~

「森のコクーン」 4人まで1 室・1棟あたり 7万8千円~

「星のコクーン」 4人まで 1 室・1 棟あたり8万2千円~

※ サービス料金、消費税が別途必要。宿泊、朝・夕食、ニジゲンノモリ「ナイトウォーク火の鳥」利用特典を含む。休日前・ハイシーズンなど季節により料金は変動。夕食はグループ施設での優待プランも用意。

全コースビジネスかプレエコ利用のアジア商品販売、ジャルパック

2018年5月21日(月) 配信

新設定の「いごこちのいいアジアのリゾート」

ジャルパック(藤田克己社長)はこのほど、全コースJALビジネスクラス、 JALプレミアムエコノミークラス利用の「いごこちのいいアジアのリゾート」を売り出した。多くの支持がある「いごこちのいいハワイ」の第2弾として、コンセプトを受け継ぎ、アジアのリゾートで展開するワンランク上の商品。

ツアー概要

設定期間:2018年7月1日(日)~2019年3月31日(日)
出発地:成田、羽田

ポイント

■「いごこち」コンセプトをアジアのリゾートで楽しむ
 6つのアジアのリゾートで厳選のホテルをラインナップ。滞在するホテルではディナー(1回)を用意した。また、空港、ホテル間の移動は顧客ごとの専用車を利用しフットワークの軽さを重視する。好評の「いごこちのいいハワイ」の良さをそのままに舞台をアジアのリゾートに替える。

■全コースJALビジネスクラス/JALプレミアムエコノミークラス利用
 日本発着の国際線はJALビジネスクラス・JALプレミアムエコノミークラス利用に特化。ワンランク上の空の旅や空港ラウンジでのひとときなど、出発から帰国まで“いごこちのいい”旅を楽しめる。 7月から導入されるマニラ線JALプレミアムエコノミークラスでもコースを用意する。

■年末年始&3月末の出発まで申し込み可能
 予約タイミングが早いアジアのリゾートを早期に申し込めるように設定期間を延伸。年末年始を含めた3月まで出発日を用意する。昨今の傾向として、とくに2・3月の旧正月&春休み&花見シーズンはアジア各国から多くの人が来日し、航空機が混み合うため、早めの予約がおすすめという。

北海道函館・湯の川温泉「ホテル万惣」新館オープン 食事処と料理を充実

2018年5月21日(月) 配信 

蔵祭(オープンキッチン)

オリックス不動産は2018年5月22日(火)、運営する北海道函館・湯の川温泉「ホテル万惣」の新館をオープンする。16年にリニューアルした「雅館」で営業していたビュッフェレストランを新館に移設。「料理に大変力を入れた」(同社広報部)と、北海道の“食”を呼び水に旅行者の関心を引き込む。

 同ホテルは15年10月からオリックス不動産が経営を引き継ぎ、運営を始めた。新館に移すレストランの名称は、函館ダイニング「蔵祭(くらまつり)」。これまで人気だったレストラン「百鮮万菜」の経験を生かしつつ、「開放感ある会場と料理の充実をはかった」(同社)とする。

蔵祭(櫓)イメージ

 コンセプトは函館×蔵×祭りとし、北海道(函館)の食材や郷土料理が並ぶビュッフェコーナーなどを設置した。既存の会場から席数を増やして184席とし、小宴会が可能な個室やベンチシートを導入する。

 料理人自らが、お客の目の前で調理するライブキッチンも強化。ベテランの職人が握る寿司や、鉄板焼き、あぶり焼きなどを出来立てで提供する。朝食では、函館の朝市の気分を味わえるよう、イクラ・マグロ・イカなどがのせ放題の海鮮丼を楽しめる。夕食では蟹コーナーも登場する。

 なお、新館2階には6人まで泊まることができる大きめの部屋を新設した。昨今人気な女子会や家族3世代旅行など、多様化するニーズに応えていく。

Airbnbと提携、鍵の受け渡しをスタート (ファミリーマート×エアビーアンドビー)

2018年5月21日(月) 配信

ファミリーマートの澤田社長と、田邉代表(右)、エアビーアンドビー

ファミリーマートとエアビーアンドビーは5月21日(月)、民泊分野での業務提携を東京都内で発表した。ファミリーマートは、宿泊者への鍵受渡しや本人確認サービスを全国の各加盟店舗で実施するほか、利用する外国人旅行者(インバウンド)向け商品開発にも注力する構え。いよいよ本格稼働する民泊ビジネスについて、ファミリーマートの澤田貴司社長は「ファミリーマートは、地域に根付く加盟店が多い。そこで培ってきたコミュニティを、民泊展開にも生かせる」と強調した。

 民泊物件に宿泊するユーザーの取り込みは、加盟店での販売や、昨年参入を発表したコインランドリー事業とも相性が良い。近隣施設で生じた洗濯物の受託するサービス展開も視野に入れる。

 同じく会見に出席したファミリーマートの和田昭則専務執行役員は「エアビーアンドビーは、アクティブな旅行者から支持を集めているプラットフォーム。商品開発を通じ地域と旅行者をつなぐハブとしての役割を果たしたい」と語った。オーラルケアといった日用品など、旅先で必要な商品を充実させ、相乗効果を狙う。

 ファミリーマートは東京都内を中心に実証実験をスタートさせ、4店舗で鍵の受け渡しを始めている。サポートはオンライン対応となることから、多言語含め店舗スタッフへの極端な負担増はみられないとのこと。今後、全国1万7千店舗を対象に普及を急ぐが、いずれの店舗かといった詳しい計画については精査中とした。

 観光庁によると、5月11日(金)時点での民泊事業者の届け出は724件。依然動きが鈍いことに関して田邉泰之代表は「法の施行後、許可がない物件は間違いなく掲載しない。一方、我われは物件を提供するホストのコミュニティを大切にしている。物件提供に必要となる手続きのアナウンスなど、周知を進めてきた。施行後も引き続き徹底していく」と物件確保について、前向きな姿勢を示した。

四季彩一力が、創業100周年 「本当に喜ばれるサービスを模索する」【PR】

2018年5月21日(月) 配信

四季彩一力が100周年を迎える(クリックで拡大、年表はページ下部からでもご覧いただけます)

四季彩一力が5月20日(日)、創業から100周年を迎えた。大正から昭和、平成とさまざまな世相を知る福島県・磐梯熱海温泉を代表する老舗旅館。皇族のほか、国賓や政治家、文化人らをもてなし、各界の名士にとって寛ぎの場所としても名高い。大きな節目に当たって、小口憲太朗代表取締役社長に話を聞いた。歳月を振り返るとともに、宿や地域の観光産業に対する思いについても語ってくれた。

本当に喜ばれるサービスを模索する

時代に振り回されない

小口 憲太朗 氏
四季彩一力 代表取締役社長
1965年生まれ。東京大学工学部卒業
93年に一力旅館に入社、2009年より現職
福島県旅館ホテル生活衛生同業組合 常務理事

 「お客様やお取引先、日々送客に注力してくださる旅行会社、皆様に支えられて100周年を迎えることができました。深く感謝しています。これからも、地域に根付く老舗宿としての役割をしっかり果たしていきたいと考えています。倍旧のお引き立てを賜われるよう努力を重ねて参ります」(小口憲太朗社長)。

 関係者一人ひとりの顔や、これまでの歴史について思いを馳せているのだろうか。100周年に当って尋ねたところ、小口社長はゆっくりと感謝の言葉を口にした。昭和天皇皇后両陛下の御行幸啓時の宿泊先として2回(1970、84年)、2015年には安倍首相による英国ケンブリッジ公爵ウィリアム王子の歓迎晩餐会場としても利用され、福島県のみならず、日本を代表する旅館の地位も、歳月のなかで確立してきた。

 一方、インバウンドや民泊など旅のスタイルが変わりつつある現代は、幾多の時代・困難を乗り越えてきた老舗旅館にとっても楽観視が難しいという。観光業界全体が大きな過渡期に立たされるなか、小口社長は次のように強調する。

 「大切なものを見極めたうえで、経営判断を行っていきたいという信念を持っています。利益だけを追求するビジネスは、他にいくらでもあります。旅行会社や地域と三方良しの関係を維持していくためにも、お客様と接し、もてなし、その声に耳を傾ける宿だからこそできる商いを続けていきたいと考えているのです」。

 旅行会社や地域の協力なくして、宿はサービスを提供することはできない。旅行会社と地域事業者・住民は欠かすことのできない大切なパートナーなのだ。旅行会社が客の送り手であるならば、宿は地域で受入体制を牽引する存在。関わる企業や事業者らが潤う最適な環境づくりも、老舗旅館には求められている。

 「短期間で大きな利益を出したからといって、宿を支えてくれるパートナーの皆様を幸せにできるとは限りません。宿とは、〝厳しいときをしっかり耐えられる〟ものでなくてはいけないという考えを持っているのです」(小口社長)。

 時代に振り回されず、関係者一人ひとりを幸せにする環境づくりこそ、老舗旅館の果たすべき役割であり、真価だという小口社長。次の100年に向け、地域や旅行会社との絆を深めつつ、四季彩一力独自の手法で、顧客獲得と人材育成に注力していく必要があるとみる。地域との関係をめぐって、次のように語った。

地域に寄与する旅館として

 「インバウンドが3千万人に迫る勢いを見せるなか、交流人口の増加によって地域経済を発展させる施策に注目が集まっています。これは旅館が、何百年も前から行ってきたことです。来訪者の声に耳を傾け、地元で採れた作物で喜ばれる料理をつくる。調理・加工することで、地元農作物の消費を促してきたのです」。

 四季彩一力は近年、台湾を中心にインバウンドの取り込みにも注力してきた。グローバル化を見据えた取り組みを進めているものの、仕入れに関してはあくまで地元ファーストを貫いてきた。

 「来訪者による消費を地元に波及させる仕組みがなければ、地域経済が干からびてしまいます。当旅館では長年にわたって、朝食が高く評価されてきました。クオリティが高く、美味しい農作物を生産する地元の方々の協力があってのことです。我われ一軒を、多くの方が一体となって支えてくださっているからこそ、100周年を迎えることができました。今後も信頼を裏切らないよう商いを続けていきます」(小口社長)。

 事業者だけでなく、近隣住民との交流にも注力してきた。先代社長で、現会長の小口潔子女将は、取引先が集う会員組織〈水月会〉と協力して「一力えんにち」や盆踊りを長年主催してきた。屋台や夜店を並べ、冷蔵庫・テレビ・洗濯機・自転車などの賞品も用意。郡山市全域から参加者を集める一大イベントになっていたという。

 「地域に対する思いを継承し、出会いや交流によって生まれる縁を大切にしています。今から30年前、70周年を記念した催しに薪能を行いました。実は、5月28日の100周年記念式典には30年前に小鼓方を務めた方のご子息で宗家を継いだ方に演じていただきます」(小口社長)。

 歳月のなかで培ったつながりこそ、四季彩一力にとっての宝。長年続く地域との関係にも当てはまることだ。

旅行会社との連携一層の強化を

 「東日本大震災後、社内会議を当館で開いていただくなど、旅行会社各社の皆様には日頃以上の支援をいただきました。復興をサポートしていただくなかで、受入サイドの我われは、ホスピタリティやプランの品質をもっと高める必要があることを痛感しました。一方的に甘えてばかりではいけないからです。風評被害は根強く、ハンデを抱えていることも事実です。福島県を、今まで以上に選ばれるデスティネーションとするためにはどうすれば良いのか? 難しい課題ですが、宿泊施設である我われが、旅行会社の皆様と協力してことに当たるべきだと考えています」(小口社長)。

 JTB協定旅館ホテル連盟東北支部連合会の会長で、東北観光推進機構の理事も務める小口社長。宿と旅行会社双方が密にコミュニケーションを取ることで、来訪者の需要把握・創出も加速するとみる。

 「着地型商品への期待や、地域の観光を牽引するDMO(デスティネーション・マネージメント・オーガニゼーション)の興隆など、地域と旅行会社双方が、数だけではなく観光商品のクオリティも重視する姿勢を持つようになりました。来訪者であるお客様のためにできることは何かを一緒に考え、協業することで課題に臨みたいですね」。

顧客獲得と人材育成双方を重んじる

 単価の高い高級旅館ということもあり、ミドル層の団体旅行を中心に取り込みに傾注してきた四季彩一力。団体と個人旅行客の比率は拮抗しているものの、ブライダル事業を軸に、個人市場の開拓も進めている。

 「若女将(小口正子取締役)が主幹となって、ブライダル事業を立ち上げました。宿のシンボル日本庭園〈水月園〉を生かした挙式やセレモニーは四季折々の花や緑・紅葉と相まって『ここにしかない』印象的な色鮮やかさで、和婚ブームに先駆けて大変好評をいただいております。昼・夕それぞれ1組だけの貸切フルオーダーメイド式で、ご希望に沿ったご提案をしております。ご婚礼の後にゆっくりとお泊りいただくなど、相乗効果も表れています。御婚礼をきっかけに結婚記念日やご家族の御祝い事にも引き続き末永くご利用いただいております」(小口社長)。

 3世代に渡って利用する得意客など、四季彩一力に魅了されたリピーターはこれまでも、尽きることがなかった。個人旅行全盛のなか、四季彩一力ではブライダル事業を通じ、新たなファン層の獲得・育成にも励んでいる。

 「リピーターのお客様は、旅行会社やお取引先の皆様と同じく当館にとって、とても大切な存在です。これからも愛されるコンテンツづくりと質の高いホスピタリティを提供していく考えです」(小口社長)。

 高品質のコンテンツづくりと並行して、人材育成にも重きを置いてきた。経営理念、いわゆるクレドを定めず、持ち味や能力の異なるスタッフ一人ひとりの個性を生かしたホスピタリティも、根強いリピーターを生むキッカケとなっている。

 「働きやすさは、お客様にとって居心地の良さにつながるものです。経営や生産性の面で無駄が多いという方もいるかもしれません。しかし、スタッフの感性を重んじることは、お客様の持つ個々のニーズを把握し、本当に喜ばれるサービスを模索するために不可欠な要素だと捉えています。定められた目標のために働くのではなく、お客様が喜ぶために何をすれば良いのかと自ら目標を決め、日々の業務に勤しむことができるからです。70人のスタッフがおりますが、高い定着率を保ってきました」(小口社長)。

 100年に渡って愛されてきた四季彩一力。人間味溢れるサービスの提供を通じ、地域や旅行会社とともに新たな歴史を歩んでいく。

四季彩一力、100周年記念年表クリックで拡大

□広告特集

企画・制作=旅行新聞新社 企画営業部 (2018年5月11・21日付合併号1712号5面に掲載)

新たな夏の風物詩 “東京花火大祭~EDOMODE~”開催へ

2018年5月21日(月) 配信 

8月11日に開催

東京花火大祭制作委員会(石嶋洋平委員長)は2018年8月11日(土)にお台場海浜公園で「東京花火大祭~EDOMODE~」を開く。内閣総理大臣賞受賞クラスの日本を代表する花火師が集結する。東京の花火大会でこのような花火師が集うのは初の試みだという。

 同イベントは、東京を象徴する音楽や食、芸能、テクノロジーなどのさまざまなコンテンツと花火を組み合わせる。「歴史上初の歌舞伎と花火のコレボレーションもある。東京の新たな夏の一大イベントとして、世界に向けて発信していく」(同委員会)。90分ほどの間に、約1万2千発を打ち上げる。チケットは5月末に抽選販売を開始する見通し。

 出展花火師は、紅屋青木煙火店、マルゴー(担当花火師:斉木智)、イケブン、丸玉屋小勝煙火店。

公式HP

仲介業者の登録完了(ホームアウェイ)

2018年5月21日(月) 配信

ホームアウェイが、仲介業者への登録を完了させたことを発表した

バケーションレンタル(民泊)大手のホームアウェイはこのほど、6月15日(金)の住宅宿泊事業法(民泊法)施行後、住宅宿泊仲介業者として登録されることを発表した。法の施行以降、民泊法下の物件仲介も可能となる。

 同社のホームページも、物件を登録するホスト(住宅宿泊事業者)に対し、物件の許可種類(旅館業法か特区民泊、イベント民泊、民泊法)を明らかにするよう求める仕組みに改めた。以下にて登録方法の詳細を説明。

 6月15日の民泊法施行後からは入力が必須となることから、同社では、物件を掲載する(予定)のホストに対する周知に注力している最中。民泊法の届け出をサポートする仕組みも、ベンチャー企業と共同で立ち上げるなどしており、法施行後以降も、物件数の確保を狙い、物件数の減少を最小限に留めたい考えだ。