夏休みに訪ねたい高評価の宿発表

2018年7月9日(月)配信

オーベルジュ 北の暖暖

TrustYou (トラスト・ユー) はこのほど、 「夏休みに訪ねたいクチコミ高評価の宿」を発表。 駅から遠いなどの理由で「ロケーション」の評価が抑えられているが、 「サービス」や「食事」など多くのカテゴリーで評価が高い宿泊施設に注目ている。

 同社は、総合スコアが86点以上で、 ロケーションスコアが74点以下の宿泊施設を調査対象として選定。100室以上の客室がある宿泊施設では、京都ブライトンホテル(京都府京都市)と、SHIROYAMA HOTEL kagoshima(鹿児島県鹿児島市)。100室未満の宿では、オーベルジュ 北の暖暖(北海道網走市)などがリストに挙がった。

 口コミ内容の調査結果では、「駅から距離がある」や「アクセスが悪い」などがロケーションスコアが低い理由として挙げられているとした。一方で、車移動であれば駅からの距離は関係なく、アクセスが悪い場所でも静かに過ごしたい人にはそれが求められるなど、宿の強みにすることも可能と分析。宿泊客へのきめ細かなサービスや食事などが高評価を得ている宿も多い。このことから、旅行者は一概にロケーションの低さだけで候補から除外するのではなく、口コミ内容を読むことで、交通手段や滞在の目的などより自分に合わせた宿選びが容易になるのではないかと結論づける。また、「施設側も口コミ内容を見直すことで自身の宿の強みを把握でき、予約数が向上する」としている。

夏休みに訪ねたい高評価の宿 

100室以上

100室未満

 

集計・分析方法

対象期間:過去2年間のクチコミ(2016年6月~2018年5月)

対象:

世界250以上の旅行サイトから収集したクチコミデータを分析。 TrustYouで提供する全言語19言語を対象とした。

方法:

総合スコアが86点以上でロケーションスコアが74点以下の宿泊施設を施設規模100室未満と100室以上にわけ、 総合スコアとロケーションスコアのギャップが大きい順に観光地別に並べ上位の宿泊施設を抽出。 TrustYou独自の集計方法を使用し、 直近のデータに比重を置いた。

日本海をのぞみながら“ほろ酔い”でめぐる列車の旅、丹後くろまつ号秋冬商品

2018年7月9日(月) 配信 

秋冬商品の受付を開始

 京都丹後鉄道(丹鉄)を運行するWILLER TRAINS(寒竹聖一代表)はこのほど、日本海の絶景や丹鉄沿線の旅をより楽しんでもらうため、2018年10月5日(金)に運行開始する観光列車「丹後くろまつ号」の秋冬商品を発売した。

 今回は顧客の声やニーズを反映し、メニューに変更を加える。地酒を楽しめるコースとして過去2年にわたり実施していた「地酒コース」が、「ほろ酔いコース」として復活。丹鉄初の試みとして、「ランチコース」では地ワイン、「ほろ酔いコース」では地酒の飲み放題を行う。このほか、より手軽に楽しめるように現在の「ブランチコース」を「スイーツコース」へ変更した。

 「のどかな田園風景や、日本海沿岸の海の絶景を楽しみながら、地元の旬な食材を使ったお食事やお酒を満喫していただけます」(同社)とコメント。

 一方、WILLERグループで取り組んでいる日本海縦断観光ルート・プロジェクトの一環で、丹鉄からスペシャル企画商品として「日本海SAKE – 1グランプリ」を実施する。「日本海SAKE-1グランプリ」は、日本海沿線の日本酒とおつまみを集め、列車に乗りながら飲み比べをし、投票によりグランプリを決定する企画だ。7月下旬から予約を始める見通し。

 スイーツコースは5200円、ランチコースは1万800円、ほろ酔いコースは4200円で、「日本海SAKE – 1グランプリ」の料金は未定。

「クラシックホテルを巡る」を発売(朝日旅行)

2018年7月9日(月) 配信

東京ステーションホテル( 写真提供:デジキャビ)

JTBグループの朝日旅行(石森隆社長、東京都港区)は7月9日(月)、新シリーズ「クラシックホテルを巡る」を売り出した。皇室や各国の王室に愛され続けるホスピタリティと、日本の歴史の舞台となってきたホテルの館内を見学し、ホテルライフを体感する。

 同シリーズは、今や重要な文化財としての役割も担う「日本クラシックホテルの会」の協力を経て企画された。

 ヨーロッパのホテル洋式を取り入れ、それぞれの土地の風土を生かし、日本独自のホテル文化を築いてきた個性豊かなホテルが多い。

 「単に泊まる場所ではないホテル」としてクラシックホテルを巡り、その歴史と文化を深く感じるツアーとなっている。

 第1回ツアーでは、富士屋ホテル創業者のひ孫で、ホテル文化に精通した旅行作家・山口由美氏が講演を行う。

 

商品概要

1.商品の特徴
(1)シリーズに参加の方だけに、ホテルスタッフによる「特別館内案内」付き。
(2)最大26人の少人数の設定。
(3)毎回食事にもこだわり、プチ贅沢を味わえる内容となっている。          

2.コースのラインアップ
第1回 クラシックホテル 美と伝統の精神 ~泊・食・遊・歴史と共に~
【大阪発着1泊2日ツアー】
「東京ステーションホテルとホテルニューグランド」
出発日 :9月26日(水)
旅行代金:1人9万9千円(2人1室)、10万9千円(1人1室)
コース :
1日目 新大阪(午前7時~7時30分集合)=東京…東京ステーションホテル(山口由美氏講演会、終了後、アトリウムにてランチとホテルスタッフによるホテル案内)→ホテルニューグランド泊(ホテル見学)
2日目 ホテル→神奈川県庁(通称キングの塔は1928年竣工の建築)…横浜市開港記念会館(通称ジャックの塔はステンドグラスの美しい塔)→馬車道駅(横浜銀行の名残、金庫の扉やYCCヨコハマ創造都市センターのバルコニーを外観から)→横浜地方気象台(アールデコの文化財は現在も活躍中)→東京・学士会館(戦前戦後の歴史を経たモダンで重厚な建築)、館内見学と洋ランチ→東京駅=新大阪(午後6時~午後7時)
 

【東京発着日帰りツアー】
「東京ステーションホテルのランチと山口由美氏講演会」
出発日 :9月26日(水)
旅行代金:1人9800円
コース :東京ステーションホテル(午前10時40分集合)山口由美氏講演会、終了後アトリウムにてランチとホテルスタッフ によるホテル見学→ホテルニューグランド見学(午後4時40分解散)

~クラシックホテルの会加盟ホテル~
東京ステーションホテル、日光金谷ホテル、万平ホテル、奈良ホテル、富士屋ホテル
ホテルニューグランド、川奈ホテル、蒲郡クラシックホテル、雲仙観光ホテル 

「古窯曼陀羅」日本の宿古窯2代目女将 佐藤洋詩恵さんの一代記

2018年7月9日(月)配信 

「古窯曼陀羅」(深夜叢書社、本体1800円+税)

山形県・かみのやま温泉「日本の宿 古窯」2代目女将の佐藤洋詩恵さんはこのほど、「古窯曼陀羅」(深夜叢書社、本体1800円+税)を著した。

   山形の温泉旅館に嫁いて8年が経っても一向に馴染めない環境のなか、ある朝、佐藤さんは突然声が出なくなり、日々言い知れぬ恐怖と絶望感の中にいた。声が戻った瞬間、大いなるものに生かされていることに気づき、「私に与えられた宿の女将の業を、私らしく全うしてゆこうと思った」。1985年6月1日、佐藤さんは「古窯かわら版」第1号を発行。以来33年間、「誇りに思う郷土・山形の風土、風味、風景の3つの風をお伝えしたい」との想いから旅館女将として、その時々に感じた気持ちを毎月継続して伝えている。佐藤さんの想いがようやく1冊の本にまとめられた。

   波乱万丈な人生にあって、いつも前向きに、一生懸命な生き方を背中で教えてくれた実母。旅館女将の良きお手本、師として心から尊敬する義母(初代女将・佐藤幸子氏)。そして自らの生い立ちや、結婚、2児の母として生きていく心の声を書き記した佐藤さんの〝一代記″となっている。

 作家の瀬戸内寂聴氏は、佐藤さんが14歳から憧れ続ける存在。その瀬戸内氏から「あなた、本を出しなさい」と勧められた。帯文では「思うことがすべて即、文章になる天然の才により書きつづられた日々の想いは他人が覗いても幸せになる」と佐藤さんの才能を称賛している。

 山形の四季折々の美しさや心情を切り取った佐藤さんの俳句、短歌、詩も掲載。「良縁感謝」では、さまざまな恩師との出逢いも感謝とともに記している。

東京キャンピングカーショー2018、オシャレ感や使いやすさがトレンド

2018年7月9日(月)配信

東京キャンピングカーショー2018が7月21日(土)、22日(日)の2日間、東京ビッグサイトで行われる。10周年を迎える今年は、過去最大となる61社・220台以上の車両が出展予定。話題のグランピングカーのほか、女性ユーザーの取り込みを狙う「SNS映えする女子キャンピングカー」など、多種多様な車両を用意した。

 展示予定のSNS映えする「女子キャンピングカー」や、近年のバンコン人気など、オシャレ感や使いやすさがキャンピングカーのトレンドとなっている。

 勢いを牽引してきたグランピング人気は今年も、衰えそうにない。テレビ番組での紹介が相次ぎ、昨年以降からは大手オンライン予約サイトでも特集ページの立ち上げが目立つ。仲間やグループ、家族など大勢で楽しめるほか、多くの施設が都心近郊に位置することも支持を集めている。事前準備が不要で、セッティングや後片付けが簡単なことから、女性ファンの獲得にもつながった。

 今回のイベントでは、リーズナブルな価格帯でキャンピングカー初心者の心をくすぐる車両も多く展示する予定。ラグジュアリーなグランピングカーとともに、キャンプへの熱い思いをかきたてる。

羽田空港、アートプロジェクト「旅する日本語」を展開する

2018年7月9日(月)配信

日本空港ビルディング(羽田空港)が、旅にまつわるエッセイを全国から募集する「旅する日本語」投稿キャンペーンを行っている。

 同社は、「旅」と「日本語」をテーマにしたアートプロジェクト「旅する日本語」を展開。羽田空港の南北出発チェックインロビーでは「11の日本語」をテーマに、放送作家・脚本家の小山薫堂氏による旅の物語とイラストレーターの小池アミイゴ氏が色鮮やかな絵画を展示中。「旅する日本語」投稿キャンペーンでは、「幸先(さいさき)」や「昧爽(まいそう)」など11の日本語がテーマのエッセイを募集している。

「旅する日本語」投稿キャンペーン概要

応募方法:

 Twitter / instagram / note / ShortNote から投稿。ハッシュタグ #旅する日本語 と該当する日本語のハッシュタグをつけて、旅にまつわるエッセイ(漢字とタイトル)を投稿する。

募集期間:9月30日まで

景品内容:

最優秀賞(1人):10万円相当の旅行券

優秀賞(2人):5万円相当の旅行券

企業賞(11人):1万円相当の旅行券

審査員:

協賛者様、小山薫堂氏、小池アミイゴ氏、羽田空港(日本空港ビルデング株式会社)

※受賞作品は、「旅する日本語 授章式」( 2018年 12月実施予定)で発表し、羽田空港内で展示を行う予定。景品 やイベント内容は、予告なく変更になる可能性がある。

旅する日本語「オリジナルポストカード」を羽田空港で無料配布

旅する日本語の特別什器の設置に合わせて、昨年度約6万枚を配布した旅する日本語「オリジナルポストカード」を、今年度も無料配布する。

配布期間:2019年3月31日

配布場所:国内線第1旅客ターミナル2階出発ロビー

休暇村奥武蔵がグランドオープン 「ソト」で遊ぶホテルに

2018年7月9日(月) 配信

アウトドアリビング付き客室

 休暇村奥武蔵(合田忠功支配人、埼玉県飯能市吾野)は7月10日(火)、「にしかわ館」を新設する。里山の自然を感じられる「ソト」に利用客を誘う仕掛けを施した。

「ソト」で過ごす

「星空パーティー」を毎日開催

 コンセプトルーム 和モダン「森」は、地元西川材の森から選りすぐりの杉を使い、家具メーカーの天童木工がつくり出した。窓からは西川材の森を眺められる。

 1階の客室「遊」は、部屋とほぼ同じ広さのアウトドアリビングを備える。ハンモックや木陰のベンチなど、部屋ごとに設えを変えた。ガラス越しには庭園と、川沿いの森を望む。

 最上階客室の「宙」は星を眺めるための部屋として工夫を凝らした。寝転んで星が見えるよう、屋根を開放したバルコニーに。屋上の「月と星のテラス」では、天体望遠鏡を使った星空パーティーを毎日開く。

 

「ソト」を感じる

露天風呂のヒノキも「西川材」を使用

 1人用の露天風呂には樹齢200年のヒノキを使用した。和食ビュッフェ「彩」は、清流・高羅川のアユや契約畑のジャガイモなど、地の食材を堪能できる。

 

「ソト」で遊ぶ

徒歩2分の高羅川で川遊びが楽しめる

 かつて西川材の出荷で木の運搬に使ったといわれる高羅川で投網体験、現役猟師の語り部など、里山ならではの体験が可能。西川材で作るカラコロ木琴作りや、猟師が捕った鹿角のキーホルダー作りなどの手作り工芸も用意した。

 川沿いのコテージでは、バーベキューが楽しめる。1棟はペット宿泊も可。

 

 全国に37カ所ある休暇村は「自然にときめくリゾート」をコンセプトに、その土地ならではの魅力に触れる場を提供している。

上海ディズニーリゾート初の「ディズニー・インスピレーション・ラン」をHISが販売、日本の旅行会社で唯一

2018年7月9日(月) 配信 

ディズニー・インスピレーション・ランを販売へ

 

エイチ・アイ・エス(HIS)は2018年7月9日(月)から、上海ディズニーリゾートで初めの「ディズニー・インスピレーション・ラン」に参加できるツアーを販売する。

 「今月初旬、上海ディズニーリゾート公式サイト(英語および中国語)でランのエントリー受付が開始された際には、たった22分で完売したといわれる大人気のイベントを体験できる貴重なツアーとなっています」(同社)。

 HISは上海ディズニーランドとの直接契約をしている。今回は、日本の旅行会社で唯一、出場枠を確保。合計150人分の参加権を獲得し、ツアーを売り出す。

 ディズニー・インスピレーション・ランは、世界各地のディズニーリゾートで行われている。上海ディズニーリゾートは18年が初となり、 9月15日(土)・16日(日)の2日間にわたってパークの開園前に行われ、2日間で合計1万人の参加を見通している。

 子供も気軽に参加できる3・5㌔から、大人向けの10㌔まで、3つのコースを設定している。ルート上にはキャラクターグリーティングスポットが配置され、ディズニーキャラクターが応援してくれたり、一緒に写真を撮ったりすることができる。

 コースごとにデザインの異なる特製のTシャツを、完走者にはメダルのプレゼントがあるという。仮装をしての参加も可能。同社は「思い思いのランを楽しんでもらえる」とコメントした。

 出発日は18年9月13日(木)~9月15(土)。料金は8万9千円~(大人1人/2人1室利用)。各発着地のツアー詳細は、7日(土)に発表している。9日(月)午前11時から、全国のHIS営業所またはコールセンターで受け付けを開始する。

営業所一覧

「味のある街」「冷やしたぬき」――更科(岐阜県岐阜市)

2018年7月8日(日)配信 

冷やしたぬき(並盛)670円(税込)▽更科▽岐阜県岐阜市京町3-4▽電話:058(265)9594。

 旅に出て、地元の方におすすめの店を聞くと、その土地の特産品やご当地グルメとは違うものをすすめられることも多い。

 岐阜県岐阜市にある、そば処「更科」もその1つだ。岐阜市はそば粉の産地であったり、そば店が集積しているというわけではない。しかし地元の方によく行く店を聞くと、名前が挙がることが多い。

 1928年創業の老舗。店は市の中心市街地からは少し離れているが、近くに市役所や警察署などの官公庁、幾つもの企業がある。昼休みに訪れるビジネスパーソンは多く、店の前には列ができる。ただし席の回転は速い。列の長さから想像するほど待つことなく、席に着くことができる。席は座敷と長テーブル。やかんと湯のみが席に置いてあり、お茶を自分たちで汲むのもどこか懐かしい。

 人気メニューは「冷やしたぬき」そば。夏も冬も一番人気で、店を見回すと7割ほどの客が頼んでいるかと思うほどだ。大盛の「ダブル」、特大の「トリプル」を頼む人も多い。注文するとあっという間、早ければ1分足らずで出てくる。

 麺の上に乗っているのは天かす、油揚げ、ネギ、そしてわさび。濃い色のつゆがかかっている。たぬきそばというと、関東では天かすの乗ったものだが、関西では油揚げが乗ったものを指す。天かす、油揚げの両方が乗っているこのそばは、客の意見を取り入れて誕生したこの店オリジナルのものだ。

 一口食べると、そばは絶妙な固さで、つゆとからんで食べ応えがある。油揚げは甘辛く煮てある。そこにさくさくとした天かすの食感、ぴりりとしたわさびの辛さが加わる。食べ進んでもそばは伸びず、最後までおいしくいただける。夏によく合うさわやかな1杯だが、冬にも食べたくなる気持ちも分かる。

 評判を聞き、岐阜市民会館で公演を行う歌手なども訪れることがあるという。ゆっくり食べるなら昼食の時間帯を外すのがおすすめだ。近くの「みんなの森 ぎふメディアコスモス」を訪れるのもいい。建築家の伊東豊雄さんが設計した、おしゃれな図書館などの複合施設だ。

(トラベルキャスター)

 

コラムニスト紹介

トラベルキャスター 津田令子氏

社団法人日本観光協会旅番組室長を経てフリーの旅行ジャーナリストに。全国約3000カ所を旅する経験から、旅の楽しさを伝えるトラベルキャスターとしてテレビ・ラジオなどに出演する。観光大使や市町村などのアドバイザー、カルチャースクールの講師も務める。NPO法人ふるさとオンリーワンのまち理事長。著書多数。

「登録有形文化財 浪漫の宿めぐり(87)」(島根県出雲市)日の出館≪2つの出雲大社参道に面した江戸末期創業の宿≫

2018年7月7日(土)配信 

緑の濃い前庭の奥にある玄関は入母屋。 破の屋根で建設当初の形を残す

 出雲大社の門前、神門通りに面して小ぢんまりとした入り口を構えている。この場所で江戸末期以来、150年以上の旅館営業を続けてきた。

 もっとも当初の入り口は北側の馬場通り側にあった。出雲大社の玄関が現在よりも東向きにあり、馬場通りが当時の正面参詣道だったからだ。その後の参拝客の増加により、幅広でまっすぐな参詣道である神門通りが造られるのが1914(大正3)年。それに合わせて旅館の入り口も神門通り側に移された。旅館の平面図を見て建物が「く」の字型に曲がり、造りがやや複雑なのは、こうした参詣道の変化と宿泊客の増加による増改築のためである。

 建物は玄関棟を中心として、南側に調理場や事務室のある台所・管理棟、北側に明治棟や坪庭と中庭があり、中庭の後方に大広間や客室のある新館が続く。このうち登録有形文化財になっているのは、1916(大正5)年建築の玄関棟と1902(明治35)年頃に建てられた明治棟である。総客室10室のうち、5室が玄関棟と明治棟にある。

 玄関棟は松やシイなどが茂る前庭の奥にある。玄関の天井板を抑えているのは、細木で半円と放射線を描いた輝く朝日のデザイン。旅館名にちなんだものだ。「大工の遊びでしょう」。8代目になる主人の小川進介さんが言う。建築は地元の大工だろうとのことだが、大正時代は粋な大工も多かったのだ。2階へ上る階段には、坪庭を望む8角形の下地窓がある。

 明治棟は今年初めに1階を改装した。8畳の「ばら」の間と6畳の「竹」の間を合わせ、1室の「ばら」の間にしたのだ。だが水回り中心の改装であり、居室の造りは数寄屋のままなので、古い雰囲気は保たれた。旧「ばら」の間は、幅が一間の床の間と一間の床脇を備える。磨かれた床柱、ゆるく弧を描く落し掛け、細かな組子の書院障子がみごとである。旧「竹」の間の床の間は簡素な印象だが、畳床で幅は一間。面皮柱風の落し掛けがしゃれている。

 明治棟の2階は「萩」と「梅」のふた間が続く1室と、「桜」と「松」のふた間がつながる1室がある。その間に3畳と4畳の控えの間があるのだが、部屋の境はすべてふすまという昔ながらの造り。ふすまを取り払えば4つの床の間を備えた35畳の大広間になる。各室の天井の回り縁と棹縁がすべて黒漆塗りなのが印象的だ。どちらの部屋からも、広縁から大きなガラス戸を通して中庭を見下せる。

 創業以来、宿泊はほとんどが出雲大社の参拝客だったが、今は観光の家族連れや若い女性が多くなり、外国人も増えた。「旅館らしい旅館に泊まった」、「イメージしていた日本と同じ」などの声がある。夕食のおしのぎで出す「うず煮」は、出雲大社宮司の千家(せんげ)家に伝わる料理。門前の歴史ある宿らしいおもてなしが喜ばれている。

 

コラムニスト紹介

旅のルポライター 土井 正和氏

旅のルポライター。全国各地を取材し、フリーで旅の雑誌や新聞、旅行図書などに執筆活動をする。温泉、町並み、食べもの、山歩きといった旅全般を紹介するが、とくに現代日本を作る力となった「近代化遺産」や、それらを保全した「登録有形文化財」に関心が強い。著書に「温泉名山1日トレッキング」ほか。