こけしのはなし

 昨年、初めて「こけし」を買った。底部に「三起子」と銘があり、後で調べてみたら土湯系の工人「野地三起子」さんだと判った。赤と青の彩色がとてもきれいだ。

 作っているようすを見ようとWEBを検索し、クールな映像を見つけた。仙台・宮城の手仕事を紹介する「手とてとテ」の「こけしの岡仁」。鳴子の印象がグッと上がった。福島も負けてない。赤べこや三春駒など、郷土玩具たちの夜会「スナックこけし」は、県が作ったと思えないふざけぶりが秀逸だ。

 仙台で民芸品を販売している「しまぬき」で、品薄状態が続く「こけし缶」。年始、3度目の正直で手に入れた。缶を開けると中のこけしと目が合うらしいが、まだ未開封。

 少しのぞいただけだが、こけしワールドは相当奥深いようだ。

【鈴木 克範】

47%増の1974万人に、統計史上最大の伸び率(15年訪日外客数)

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 日本政府観光局(JNTO、松山良一理事長)がこのほど発表した2015年12月の訪日外客推計値によると、12月の訪日外客総数は前年同月比43・4%増の177万3100人となった。また15年の訪日外客数は同47・1%増の1973万7400人となり、JNTOが統計を取り始めた1964年以降最大の伸び率となり、大阪万博が開催された1970年以来45年ぶりに訪日外客数が出国日本人数を上回った。

 12月の市場別では、韓国・シンガポール・マレーシア・インドネシア・豪州・カナダが単月として過去最高を記録。これらの市場に加え、ロシアを除く13市場が12月として過去最高を記録した。年間の市場別では、主要20市場のうち、ロシアを除く19市場が年間での過去最高を記録し、なかでも中国は同7・3%増の499万3800人に達し、初めて市場最大となった。

 15年の重点市場の動向をみると、韓国の訪日旅行者数は400万2100人で過去最高を記録し、初めて年計で400万人を超えた。5月に韓国国内でMERSの感染が確認されたことを受け、6月の訪日客数の伸率は抑えられたが、訪日旅行PRの効果もあり、その後は勢いを取り戻した。出国者数は11月までの累計で1752万8715人と増加傾向にあり、訪日旅行者数の伸びも同45・3%(15年累計)と非常に高いことから韓国市場における人気ぶりが窺える。

 中国は499万3800人で過去最高を記録し、年計が500万人に迫る勢いだった。比較的安定していた日中関係や、消費税免税制度の拡充、円安や中国経済の成長にともなう海外旅行者数の増加が訪日需要を喚起した。15年は航空路線の新規就航や既存路線の拡充が相次ぎ、クルーズ船の寄港回数が大幅に増加したことなどによる日中間の輸送力の拡充も需要を支える結果となった。

 台湾は367万7100人で過去最高を記録し、初めて年計で300万人を超えた。LCCを中心とした航空路線の拡充や季節需要に合せたチャーター便の運航、九州・沖縄へのクルーズ船寄港回数の増加などが需要を押し上げた。とくにクルーズツアーは、例年オフシーズンの秋以降も催行されるなど人気を博している。

 香港は、152万4300人で過去最高となり、初めて年計で100万人を超えた。航空路線の拡充や円安傾向の持続により、訪日旅行の割安感が浸透したことから、15年の訪日旅行者数は同64・6%と伸長した。

 そのほか、東南アジア諸国は、タイが79万6700人、シンガポールが30万8800人、ベトナムが18万5400人、インドが10万3200人など。タイはソンクラーン休暇のあった4月には観桜需要が膨らみ、東南アジア市場で初めて単月10万人超えを達成した。

 なお、出国日本人数の15年累計は4・1%減の1621万2100人となった。

 1月19日に観光庁が開いた会見で田村明比古長官は、「2千万人を超えることは期待されるが、中国の第4四半期の訪日客数の伸びが鈍化していることから、15年よりも伸びは穏やかになると考える。また、地域で消費していただけるようにPRを進める一つのターゲットとして、欧・米・豪にも力を入れていきたい」と訪日観光の新たな展開を語った。

大丸心斎橋にKTIC、関西エリアで4店舗目(JTB西日本)

関西ツーリストインフォメーションセンター大丸心斎橋
関西ツーリストインフォメーションセンター大丸心斎橋

 JTB西日本(光山清秀社長)は昨年12月26日、大阪・心斎橋の大丸心斎橋店南館2階に、訪日外国人専用の観光案内所「関西ツーリストインフォメーションセンター(KTIC)大丸心斎橋」を開設した。心斎橋、関西国際空港、京都に続く4店舗目。インバウンド客に人気の心斎橋では2店舗目となる。

 KTIC大丸心斎橋(約160平方メートル)では、多言語(日本語、英語、中国語)で案内できるスタッフを配置し、全国各地の観光・交通情報の提供をはじめ、訪日外国人向けオプショナルツアーの紹介、外国人専用旅行商品「サンライズツアー」「エクスペリエンスカンサイ」の販売、外貨両替、手荷物配送サービスなどを行う。

 KTIC大丸心斎橋での新サービスとして、(1)企業・自治体向けサービス(2)手ぶら観光――を展開。店舗内にプロモーションスペース(約16平方メートル)を設け、自治体や企業にインバウンド客との直接的なマッチングの機会を提供。2月の春節期間には大阪観光局と連携し、把握が難しいといわれる「旅ナカ」のニーズに関する調査を行う。

 また、午後5時までに預かった手荷物を、大阪市内主要宿泊施設に当日同9時までに届ける有料サービスも実施。日中、心斎橋で買い物した商品を預け、手ぶらでディナーやナイトツアーに出かけられるようになる。

 営業時間は午前10時30分から午後9時。年末年始を除く年中無休。年間20万人の利用を見込む。

「赤パンツ車両」復活、島原鉄道が運行

赤パンツ車両
赤パンツ車両

 長崎県島原市の島原鉄道は、1986年から2007年3月まで使われていた鉄道車両の旧オリジナルデザイン(通称=赤パンツ)を復刻した車両を、1月18日から約3年間の期間限定で1両のみ運行開始した。

 車両は2019年度に車両更新で引退が予定されているキハ2520A号車を、当時の国鉄色のクリーム色を基調に、前面は中央から両サイド上方に向かって赤くV字型に塗装。側面には太線2本のラインが台形に走る。

 赤パンツの通称も、車両前面の赤い部分がパンツに見えることからつけられたという。

和倉温泉で勉強会開く、北陸会員宿から30人参加(ピンクリボンお宿ネット)

ワークショップのようす
ワークショップのようす

 ピンクリボンのお宿ネットワークは昨年12月10日、乳がんに関する「ピンクリボンのお宿勉強会」を石川県・和倉温泉の加賀屋姉妹館「あえの風」で、「加賀屋グループ」や石川県内の同ネットワーク宿会員のスタッフを対象に行った。約30人が参加した。

 講師に「ピンクリボンのお宿」冊子のコラム執筆者である桜井なおみ氏(NPO法人HOPEプロジェクト理事長・キャンサーソリューションズ代表)を迎え、「お客様へのおもてなし ~ピンクリボン編~ がんになっても旅を楽しみたい 家族向けサービス編」をテーマに講義を受け、実際の患者目線での接客も学んだ。

 主催者の加賀屋総務人事企画課長の杉森淳二氏は、「乳がん患者、経験者の心に寄り添ったおもてなしができるよう、勉強会を通じて実践、経験をしてもらいたい」と期待を込めた。

 桜井氏は乳がん体験者の立場から、手術後の放射線や抗がん剤治療による身体や心への影響を具体的に説明。「手指、足のしびれ」や「関節が動かない」、「荷物が持てない」などの変化と状況を紹介し、患者の立場を考慮したホスピタリティの大切さを訴えた。

 参加者が軍手をはめて患者の手の感覚を体験するワークショップも行った。ペンやノートを使い、身の回り品を取り出し触るなど実際の場面を想定して作業した。

 皿や飯椀、汁椀、鍋など旅館の基本膳も用意して、患者役の参加者が汁椀の蓋をあけ、割り箸を使うなど一連の動作を体験。別のスタッフが動作をサポートするもてなし方法も実践した。

 桜井氏は「お取り分けしましょうか。何か必要なことがあれば言って下さい。という一言が嬉しい」とアドバイスした。

 なお、加賀屋グループでは昨年1月に各部署のリーダークラス28人を集めた「女性アカデミー」を発足させ、さまざまな勉強会を開催。4月には雪月花棟3フロアー18室を全面禁煙室にリニューアルした。

女子旅で成田ブームを、学生が森田知事を表敬訪問

森田知事(中央左)と石井会長(中央右)と学生メンバー
森田知事(中央左)と石井会長(中央右)と学生メンバー

 LCC就航地の女子学生を成田へ――。成田空港活用協議会(石井俊昭会長)は昨年、学生アイデアコンテストを開き、最優秀企画「女子旅で!学生に成田ブームを巻き起こせ!」の事業化を進めている。1月13日、コンテストに参加した学生らが自ら企画・制作した女子旅のサポートブックを携え、千葉県の森田健作知事を訪問した。

 企画のテーマは、国内線LCC就航地の女子学生をターゲットとしたLCCの利用促進と千葉県内の観光促進。女子学生ならではの女子旅サポートブック制作やSNS情報発信、プロモーションを行う。

 森田知事は学生の訪問を歓迎し、「LCCと女子旅をコラボして売るというのは私も考えたことが無かった。また、私や(協議会の)会長ではなく、皆さんがやることに意義がある。皆さんが思ったことを発信し、それが千葉県の魅力、PRになってほしい」と学生らを鼓舞した。

 一方、学生らは「普段から楽しいこと、新しいことがしたいと思いながらも、なかなか行動に移すことができない『つぼみ女子』が成田空港のLCCを使い、千葉で今までできなかったような新しい体験を気軽にしてみたいと思ってもらえるようなサポートブックを作りました。SNSを使い、より多くの学生に知ってもらえるような取り組みもあわせて進めます」と熱い思いを伝えた。

 学生によるプロモーション展開は今後も続き、これからは成田からLCCが就航する広島と札幌を訪問し、成田をPRしていく予定。

新規229カ所を認定、外国人案内所742カ所に(JNTO)

 日本政府観光局(JNTO、松山良一理事長)は、2012年から行っている外国人観光案内所の認定制度に関し、審査の結果、昨年12月25日付けで229カ所の新規認定と27カ所のカテゴリー変更を認定すると発表した。これにより、全国の認定外国人観光案内所は742カ所となった。なお、今回は認定後3年ごとに実施する更新認定も行った。

 JNTOは「観光立国実現に向けたアクション・プログラム2015」に基づき、すべての都道府県において広域観光案内を実現させるため、カテゴリー2(広域の観光案内を提供、英語スタッフが常駐など)以上の認定外国人観光案内所が設置されていなかった6県について働きかけを行った。その結果、新たに3県(茨城県・福井県・滋賀県)でカテゴリー2の案内所が認定された。

 また、高速道路のサービスエリアやパーキングエリアに設置される案内所は、これまで一部地域の50カ所にとどまっていたが、110カ所が新たに認定され、全国に拡大した。JNTOは、今後も訪日環境整備に取り組む。

新旅館名は「天悠」、17年春、箱根小涌園に開業(藤田観光)

外観イメージ
外観イメージ

 藤田観光(瀬川章社長)は2017年春、箱根小涌園ユネッサンイン跡地に開業予定の新旅館の名称を「箱根小涌園 天悠(てんゆう)」に決定した。同社は神奈川県足柄下郡箱根町で1948年にリゾート事業を開始し、「箱根ホテル小涌園」「箱根小涌園ユネッサン」を軸に、60年以上にわたり事業を行ってきた。建設中の新旅館は同エリアの新たな基幹施設を目指し、〝自然と和のおもてなし〟をコンセプトに、全室温泉露天風呂付きの客室をはじめ、さまざまなおもてなしで国内外の客を迎え入れる。

 客室は一般客室118室、ハンディキャップルーム2室、最上階客室24室、特別室6室の計150室を用意。また、季節の食材を中心とした和洋折衷料理を提供するレストランや、渓谷に面して滝を見上げながら四季を感じる露天風呂と箱根外輪山の眺望を楽しめる棚湯露天風呂の2カ所の大浴場、エステ、渓谷庭園など、寛ぎの空間を演出する。

 構造は鉄筋コンクリート地上9階、地下1階で、敷地面積は1万2709坪、延床面積は4776坪。

 問い合わせ=藤田観光リゾート事業グループ 電話:0460(82)3033。