KNT中部とKNT関西、志摩スペイン村と協働の特別プラン売り出す

2020年9月23日(水) 配信

専用ポップコーンバケツなど特典付き

 近畿日本ツーリスト中部と近畿日本ツーリスト関西はこのほど、レジャー施設「志摩スペイン村」(三重県志摩市)と協力した特別限定プランを売り出した。キャラクターイラストが入った専用ポップコーンバケツがもらえるほか、園内でのポップコーン食べ放題とソフトドリンク飲み放題が付く。

 ポップコーンは塩味とキャラメル味の2種類を用意。ソフトドリンクのカップは、飲み終わるごとに新しいカップに交換し、感染症対策にも配慮する。

 同プランは、志摩スペイン村のパスポートも付いている。プランが掲載されているパンフレットは、国内旅行企画商品「メイト」の「GOGO!三重伊勢志摩」と「志摩スペイン村 パルケエスパーニャへの旅」(共に中部発・関西発)。また、「都ホテルズスタイル」(全国各地発)のホテル志摩スペイン村宿泊の場合も対象となる。設定期間は、いずれも2021年3月31日(水)まで。

 コロナ禍によって、近場の観光地で楽しむスタイルの増加もみられ、中部・関西地区では伊勢志摩方面が好調に推移している。これらの旅行需要に対応するため、近鉄グループの近畿日本ツーリストと志摩スペイン村が連携し、今回の企画が誕生した。

エアトリBTM、「コロナ保険」販売 半額CPは9月末日まで

2020年9月23日(水)配信

「MoshiCoro-もしコロ-」サイトのトップページ(9月23日現在)

 エアトリ子会社のエアトリBTM(原基記社長、東京都港区)はこのほど、新型コロナウイルス感染症対策のガイドライン情報が得られ、保険による補償も同時に受けられるサービス「MoshiCoro~もしコロ~」を売り出した。同サービスを取り扱う、INSURE TECH INDUSTRIES社(水野誠一社長、東京都千代田区)の総代理店となり販売する。提供開始に伴い、9月30日(水)までの申し込みで特別価格が適用されるキャンペーンを実施している。

 新型コロナの感染者数が増加している一方で、多くの人が経済活動を止めることが難しい状況。コロナ関連の情報が錯綜して漠然とした不安を抱えている人も多く、現状を打破するための有効な防止策が見えない状況にある。この状況を踏まえ、新型コロナウイルス感染症対策の「新しい日常の指針」として、「もしコロ」の提供を開始した。

 「もしコロ」は、日常のそれぞれのシーンで役立つ各業界や業界独自の新型コロナウイルス感染症対策ガイドラインの情報提供と、新型コロナウイルス感染症団体総合生活補償保険の2種類のサービスを含む。1カ月から購入可能。万が一、新型コロナに感染し、所定の日数を入院か自宅療養となった場合、約10万円の保険金が支払われる。なお、オンライン旅行会社「エアトリ」で旅行商品を購入していない人も加入できる。

 価格は定価1,500円(税別)。9月30日(水)までの販売開始キャンペーンで、5割引きの750円(同)で販売している。

客船「飛鳥II」 感染症対策プランを発表  ~新しいクルーズスタイルに向けて~

2020年9月23日(水)配信

 郵船クルーズ(坂本深社長、横浜市西区)はこのほど、同社が運航する日本船籍最大のクルーズ客船「飛鳥II」(5万444トン)における、「新型コロナウイルス感染症対策プラン」を発表した。

 日本外航客船協会の「外航クルーズ船事業者の新型コロナウイルス感染予防対策ガイドライン(国土交通省監修)」や日本海事協会の認証を基に策定した。新しいクルーズのスタイルは、従来の楽しみ方とは少々異なるが、これまで以上の安心とともに、飛鳥IIらしい船旅の構築を進めていくという。実施にあたり、感染症有識者の助言や第三者機関のアセスメントを受けて、船内衛生を高水準で維持・管理していく。

おもな感染症対策

乗客数・客室タイプ
 クルーズ再開時は、申込定員数を通常の乗客定員の半数程度とするほか、一部の客室タイプの販売を休止する。

乗船条件・乗船前検査の実施
 乗客には乗船前にPCR検査を受けてもらう。検査費用はクルーズ代金に含まれている。検査結果は「高リスク」「低リスク」「再検査」で表示され、「高リスク」もしくは「再検査」となった場合は乗船できない。
 そのほか、乗船前14日以内の健康状況を答える質問票の提出、乗船受付時の検温、マスク着用の徹底など、乗船中の感染拡大防止への協力が乗船の条件となる。

船内サービス
 朝食・昼食は、ビュッフェサービスから、和食・洋食から選ぶセットメニューに変更する。混雑を避けるためダイニングルームでのディナーや劇場でのショー鑑賞時は、定員を絞り指定席制とする。グランドスパ(展望風呂・露天風呂、サウナは中止)などの各施設は、利用人数を制限するなど一部サービス内容を変更し運営する。混雑状況を確認できるシステムの導入も検討している。

衛生管理・船内換気
 接触頻度の高い公共施設のドアノブや手すりなどの消毒を定期的に実施するほか、多くの飲食施設には手洗い設備を、船内各所にはアルコール手指消毒液を設置する。客室に設置している印刷物の一部を撤去し、代わりに乗客のスマートフォンなどでQRコードを読み取り、内容を確認できるようにする。船内各所にサーマルカメラを設置し体表温度の計測を行う。
 船内の換気は外気の取り込みと同時に同量の空気を船外に排出し、循環はしていない。公共エリアや窓のない客室含め、計算上約10分で新しい空気に入れ替わる。また、すべての空調設備には、抗菌・抗ウイルスフィルターを設置している。

乗組員
 乗組員は乗船時にPCR等の遺伝子検査にて陰性であることを確認したうえで、乗船する。乗船中は1日2度の検温、適切な手洗い、定期的なPCR等の遺伝子検査を実施し感染防止策を講じる。乗組員区画でもソーシャルディスタンスを保ち、万一の感染症発症に備え、適切なゾーニングができるよう居室配置のうえ、当面の間、乗組員の居室は個室を利用する。

感染者発生対応
 船内で発熱や咳などの有症者が発生した場合に備え、本船診療室に検査チームを設置する。検査機器及び検査キットを搭載し、じん速な感染有無の判断を行う。万一、有症者に感染が確認された場合は、その時点でクルーズを中止し、速やかに下船港へ向かう。

隠岐観光協会 E―BIKEで島旅 周遊プログラム始まる

2020年9月22日(火) 配信

爽快にサイクリング

 隠岐観光協会(島根県隠岐郡)は9月8日から、スポーツタイプの電動アシスト付き自転車で隠岐諸島の自然観光を満喫するプログラム「E―BIKE周遊サービス『E―BIKE ADVENTURE OKI』」の提供を始めた。

 同協会と、スマートフォンアプリなどを開発・運営するヤマップ(福岡県福岡市)、電動アシスト自転車の製造・販売を手掛けるパナソニックサイクルテック(大阪府柏原市)の3者が初協働し、新たな体験型観光を促進する。

 プログラムは、マウンテンバイクタイプの電動アシスト付き自転車「XM1」に乗り、GPS地図アプリ「YAMAP」を活用しながら島を周遊するセルフツアー。

 隠岐諸島のうち、島後(どうご)、西ノ島、中ノ島、知夫里島の4島で全19コースを設定した。

 いずれも隠岐諸島の魅力を存分に楽しめる内容となる。海や山が近く、高低差がある同諸島では、E―BIKEが打ってつけのアクティビティだ。

 コースの一例として、「西ノ島主要スポット巡りコース」(1日プラン、48・1㌔)は、隠岐を代表する景勝地、国賀海岸などを巡るもの。隠岐の雄大な自然が、放牧地で佇む牛馬の牧歌的な雰囲気とともに楽しめる。

 料金は半日プラン5千円、1日プラン7500円など。4島にそれぞれある観光協会で予約を受け付ける。

 なお、同プログラムは新たな旅行商品造成に向けた実証実験を兼ねており、3者は来年3月をめどに今回のプログラム提供で得た結果や知見を分析し、観光振興につなげる考えだ。

SNSエキスパート協会 オンラインでSNS講座 本紙と共催で11月開催

2020年9月21日(月) 配信

SNSエキスパート協会のWebページ

 交流サイト(SNS)マーケティングの資格・検定講座を実施するSNSエキスパート協会(後藤真理恵代表理事、東京都中央区)は、本紙と共催で11月5日、オンライン講座「観光の魅力を最大化 SNS活用講座」を開講する。受講費は1万円(税別)で、現在、参加者を募集している。

 今回のポイントは一般論ではなく、観光プロモーションの成功事例から学べる点だ。SNSマーケティング支援を手掛けるコムニコ(林雅之社長、東京都中央区)が2019年、高知県観光の公式SNSアカウントを運用し、フォロワーの33%を集客、約6・5億円の推定経済効果を引き出した成功事例=関連記事8面=を踏まえ、SNSの活用で観光地の魅力を最大化する方法を解説する。

 講座では、拡散性が高いツイッターキャンペーンやフォトコンテストについて、具体的な手法や成否を分かつポイントを解説。観光動画をユーザーに広めてもらうための仕組みや、SNS媒体の選定も紹介する。さらにコロナ禍で、観光形態やユーザーが求めるコンテンツがどう変わるかなど、時勢を踏まえた提案も行う。

 受講対象は、国内観光促進で今後SNSを戦略的に活用しようと考える自治体や観光関係団体、民間事業者など。講座はZoomを利用し、11月5日、午後1時―同3時15分(途中休憩有り)に実施する。同協会の本門功一郎理事が講師を務める。

「観光人文学への遡航(3)」 Go Toキャンペーンと自由

2020年9月21日(月) 配信
 

 自由とは何だろうか。
 
 当初はコロナ収束後の施策として発案されたGo Toトラベルキャンペーンが収束を待たずに開始された。
 
 コロナ禍においても、自分が旅行に行きたいと思ったら、その気持ちに従って旅行に行くのは、一見自由な行動のように思える。
 
 キャンペーン開始が告知された直後、東京から再び感染が広がり、東京都発着の旅行は割引対象の除外とされた。そこで、すでに予約を入れた東京都民がキャンセルし、その場合の取消手数料を誰が負担するのかで揉めに揉めて、結局公費で負担することとなった。
 
 旅行に行くことにしていた人が、キャンペーンの割引が受けられなくなったことでその旅程をキャンセルし、手数料の支払いを巡ってトラブルになる。これは、自由な行動を取っているようで、実はまったく自由がない。外部環境に翻弄され続けているからだ。
 
 普段接する学生たちを見ていても同じ現象が起こっている。
 
 私のゼミは厳格な規律を求めているので、自由がないと言われている。電車の遅延も、教科書を忘れたとき他人から借りることも許さない。教室の後部座席に座ることも許さない。いつも最前列だ。自由を求める学生たちは島川ゼミを敬遠する。
 
 しかし、私のゼミを敬遠した学生が、皆大空を羽ばたく鳥のようになんの既成概念にもとらわれず真理の探究をしているかといえば、それには程遠い。
 
 マイケル・サンデルは言う。「動物と同じように快楽を求め、苦痛を避けようとしているときの人間は、本当の意味では自由に行動していない。生理的欲求と欲望の奴隷として行動しているだけだ。欲望を満たそうとしているときの行動はすべて、外部から与えられたものを目的としている。この道を行くのは空腹を満たすため、あの道を行くのは渇きを癒すためだ。」
 
 教室で講義の最中居眠りをするのは自由なのではない、単に睡魔に服従しているだけだというわけだ。
 
 このような自由のあり方に関しての見方は、すでに約250年前から主張されている。マイケル・サンデルが紹介したこの考え方は、近代哲学の泰斗であるカントの主張である。カントは自由を厳格にとらえている。彼は自由とは「自律的に行動すること」とみなしている。自律的とは、自分以外の者が下した決定に従って行動するのではなく、自分で定めた法則に従って行動するということである。
 
 そんななか、Go To トラベルCPに東京発着が含まれるようになることが発表された。こうやって国民を翻弄するのは、実は国民の自由を意図的に奪っているのだ。
 
 自由が奪われることに対して、たとえ目先に金をちらつかせられても、毅然とした態度で断る勇気を持つべきである。

 

コラムニスト紹介 

島川 崇 氏

神奈川大学国際日本学部・教授 島川 崇 氏

1970年愛媛県松山市生まれ。国際基督教大学卒。日本航空株式会社、財団法人松下政経塾、ロンドンメトロポリタン大学院MBA(Tourism & Hospitality)修了。韓国観光公社ソウル本社日本部客員研究員、株式会社日本総合研究所、東北福祉大学総合マネジメント学部、東洋大学国際観光学部国際観光学科長・教授を経て、神奈川大学国際日本学部教授。日本国際観光学会会長。教員の傍ら、PHP総合研究所リサーチフェロー、藤沢市観光アドバイザー等を歴任。東京工業大学大学院情報理工学研究科博士後期課程満期退学。

 

〈観光最前線〉横アリ初ライブで感染者0人

2020年9月20日(日) 配信

クラスター発生なくライブを終えた横浜アリーナ

 4種の和楽器とギターやベース、ドラムを組み合わせた演奏が魅力のバンド「和楽器バンド」は、ライブから2週間が経過して観客・スタッフ出演者にクラスター発生がなく、新規感染者が0人だったと発表した。

 ライブは8月15、16日の2日間、観客を5千人以下に制限して開催された。新型コロナウイルス感染拡大後の横浜アリーナでは初となる。

 検温や消毒、換気、スタッフの体調管理だけでなく、観客にも接触確認アプリの導入やマスク着用、声援の自粛、規制退場を呼び掛けるなど、徹底した感染拡大防止策を実施した。

 コロナ禍で人が集まるイベントが次々となくなって半年ほどが経過した。自粛ばかりでなく、ウィズコロナで前向きに活動する人々を応援したい。

【野田 雄】

ピンクリボンのお宿ネット 10月1日に2021年度版冊子を発行

2020年9月20日(月) 配信

2021年度「ピンクリボンのお宿」冊子

 ピンクリボンのお宿ネットワーク(畠ひで子会長)は10月1日、会員施設の情報をまとめた2021年度版「ピンクリボンのお宿」冊子(A5判、80㌻)を発行する。

 本文では加盟宿の一覧リストの中で露天風呂付き客室、バリアフリー客室、貸切り風呂や大浴場の間仕切り、入浴着の着用、食事対応、禁煙客室、宿泊プラン、クーポンなどを一覧表で表示したほか、104の加盟宿を北から順に1ページに3軒掲載。宿の特徴やお風呂情報、日帰りや宿泊プラン、アクセスなどを文章とアイコンで細かく紹介している。

 また、観光協会や旅館組合などの団体会員のページではそれぞれの温泉地や観光のみどころを文章と写真で説明している。さらに企業会員や賛助会員も掲載。

 このほか巻頭部分ではイラストを使用して旅行や温泉を楽しむコラムを、巻末には加盟宿が提供する特典クーポンも付く。

 冊子は10万部発行し、会員施設のほか、全国約800カ所の病院で無料配布する。

「ZOOM JAPON(ズーム・ジャポン)(9月号)」

2020年9月20日(日)配信

http://zoomjapon.info

〈巻頭言〉

クロード編集長

 新型コロナウイルス感染拡大防止に向けた緊急事態宣言が5月から段階的に解除され、7月にはある程度の収束の兆しが見えたのも束の間、新たに第2波への懸念が現実味を帯び始めました。フランス文化を支える美術館や映画館は夏前に再開するも、予約制で入場者数を制限、館内ではマスク着用が義務づけられています。5000人以上を収容するコンサートや舞台は10月末まで禁止。各界のアーティストたちには厳しい状況が続いています。一方、日本ではコロナ禍で小規模映画館が再注目されているそうです。平時から日本各地のさまざまな映画館を訪れていた本誌記者は、この機会にミニシアターを取材しました。文化面にはフランスがロックダウンした時期にパリに滞在していた小説家・原田マハさんのコロナ日誌を掲載、旅ページでは西表島の奥深い自然をレポートしています。

(編集長 クロード・ルブラン)

特集 脅かされるミニシアター

京都の出町座は昔ながらの商店街にある

 昨今、日本で再注目されているミニシアターとは、収容人数200人以下、1970年代から長年アート系や海外の実験的な作品、そしてインディペンデント映画の上映に力を注いできた小規模映画館だ。当時圧倒的に支持されたその映画上映の形態は、その後も数十年間台頭し続け、商業映画を扱う大型映画館と一線を画す存在であった。その後、海外の作品などは下火になりつつも、独立系の邦画は需要が伸びた。にもかかわらず、2000年代に入り一つの施設に複数のスクリーンを有するシネマコンプレックスが主流となって以来、ミニシアターの運営は圧迫。地方ばかりでなく、大都市でもその多くが閉館を余儀なくされ、現在、国内の全スクリーンのうち、独立系のものは12%にしか及ばない。そのような状況に追い討ちをかけたのがコロナ禍だ。集客もままならない存在危機に、多くの映画人が動いた。■Save The Cinemaを呼び掛けたコミュニティシネマセンター。■挑戦し続ける独立系映画配給会社セテラ・インターナショナル。■70年の歴史を守る別府ブルーバード劇場、89歳の支配人。■渋谷で革命を起こすUPLINK。■「人」とのつながりに賭けた京都の出町座。

〈ZOOM・JAPON 編集部発 最新レポート〉2020年後半期の日本キャンペーン

日本政府観光局フランス語サイト:https://www.japan.travel/fr/fr/

 例年、8月は多くのパリ市民がバカンス旅行に出掛け、市内は閑散として地下鉄でも観光客を見る程度です。ところが今年はコロナの影響で旅に出る人が少なかったのでしょう、パリ市内の人口密度が高いように感じました。国全体でも今夏は国内旅行が中心ですが、旅好きのフランス人たちはやはりチャンスがあれば国外旅行に出掛けたいと望んでいます。旅先として日本は相変わらず高い人気を博しており、ヨーロッパの中でもフランスはイギリスに次いで2番目に訪日外客数が多いそうです。

 日本のインバウンドを画策する日本政府観光局(JNTO)は、こちらでも常日頃から現地の人々向けにさまざまな日本旅行プランを紹介しています。この夏新たに「日本の食を切り口とした旅のヒント」を公式サイト(仏語)にリリースしました。日本の豊かな水や四季など固有の風土を皮切りに、おせち料理に代表されるような伝統的行事食や発酵食品、そしてお好み焼きやラーメンなどストリートフードなど、全国をまたぐ多彩な食文化を紹介することで、新しい旅の楽しみ方を提案しています。

 今後また国内外を自由に行き来ができるようになれば、多くのフランス人が日本を訪れることになるでしょう。

フランスの日本専門情報誌「ZOOM JAPON」への問い合わせ=電話:03(3834)2718〈旬刊旅行新聞 編集部〉

〈旬刊旅行新聞9月21日号コラム〉コロナ前夜の観光業界は? 「Go To」で過去を忘れてしまわぬように

2020年9月19日(土) 配信 

「Go To」で過去を忘れてしまわぬように(写真はイメージ)

 今年に入り、新型コロナウイルスの感染拡大によって日本の観光業界は大きく様変わりしてしまったが、コロナ前夜の観光業界がどのような状況にあったか、思い出してみたい。

 
 2019年の年間訪日外国人旅行者数は、3188万人だった。18年が3119万人だったので、前年比2・2%増加した。17年は2869万人で、前年比19・3%増と約20%増加したことに比べれば、伸び率はかなり鈍化していたことになる。

 
 19年の下期を見ると、7月は前年同月比5・6%増と前年を上回ったものの、8月は同2・2%の減少。9月は同5・2%増と再び増加したが、その後10月は同5・5%減、11月は同0・4%減、12月は同4・0%減と前年を下回っていた。

 

 
 市場別では、韓国は18年の754万人から19年は559万人と激減している。これは、日韓関係の悪化により、航空便の減便や運休などの影響が大きい。

 
 中国は18年の838万人が、19年には959万人と大幅に増加している。しかし、インバウンド全体の3割近くを1国が占める状況は、国際情勢の変化に左右されやすい市場であるために、当時から危機感を覚えていた人は多いはずだ。

 
 台湾は18年の476万人から19年は489万人と増えている。だが、日本から台湾を訪れる旅行者は200万人程度と不均衡である状態から、双方向の観光交流のさらなる拡大が課題となっていた。香港は18年の221万人から19年の229万人と微増している。

 
 一方、19年の年間出国日本人数は前年比5・9%増の2008万人と史上初めて2千万人の大台を突破していた。

 
 このように書きながら、すでに遠い昔のような感覚になってしまう。

 

 
 新型コロナウイルスの感染が拡大してからの記憶は新しい。

 
 国内旅行は緊急事態宣言による「不要不急の外出の自粛要請」などにより、多くの宿泊施設や観光施設、旅行会社、バス会社などが長期間休業した。

 
 20年の目玉イベントだった東京オリンピック・パラリンピックは延期された。インバウンドはほぼ皆無の状況が続いており、海外旅行も同じだ。

 
 7月22日からGo Toトラベルキャンペーンが始まった。当初予定から前倒しでのスタートだったが、東京都や大阪府などをはじめ、全国的に感染者数が増加傾向にあった時期のため、多くの手厳しい批判も浴びた。また、間際に東京都が同キャンペーンの割引対象から外れたため、旅行会社や一般の旅行者などにも大きな混乱を招いた。10月から東京都も同CPの割引対象となる予定だ。

 

 
 新型コロナの感染拡大で、訪日外国人旅行者の姿が消え、観光地で「日本人の旅行者ばかり」という風景も随分久しぶりに見た気がした。コロナ前夜には、都市部や人気観光地は“インバウンドバブル”の様相で、オーバーツーリズムの対応に苦慮していた観光地もあったが、今は真逆の状況に陥っている。

 
 コロナの収束状況と経済の両面からの判断で、外国人旅行者の入国も徐々に緩和される流れになるだろう。「喉元過ぎれば熱さを忘れる」のが人間だが、Go Toキャンペーンによってお客が来ることで、すべてを忘れてしまうのが恐い。「Go To」が終了した後を心配する声があることに、こちらが心配になる。

 

(編集長・増田 剛)