Blue Note Tokyoとの初コラボなど27コース 郵船クルーズ、「飛鳥II」の2020年10月~21年1月出発クルーズ商品を発表 

2020年5月11日(月) 配信

客船「飛鳥II」

 郵船クルーズ(坂本深社長、神奈川県横浜市)はこのほど、同社が運航するクルーズ客船「飛鳥II」の2020年10月~21年1月出発のクルーズ27コースを発表した。販売開始は6月12日(金)で、5月中旬にパンフレットが完成する予定だ。

 同社が運航する「飛鳥II」は、21年10月28日、就航30周年を迎える。同社ではこれにあわせ、飛鳥II(クリスタルハーモニー)が生まれた地・長崎や鹿児島を訪れる5泊6日の「アニバーサリーオープニングクルーズ」(10月26日出発)などを実施。同クルーズでは、日本を代表する料理人の落合務氏と坂井宏行氏、陳建一氏、田村隆氏による、30周年を祝う和仏伊中折衷スペシャルディナーが味わえる。

 東京・南青山にあるジャズ・クラブ Blue Note Tokyoと初めてコラボレーションする「JAZZ ON ASUKA II with BLUE NOTE TOKYO」では、3組のゲストが奏でるジャズを心ゆくまで楽しめる。

 また、乗船客にはBlue Note Tokyoから公演チケットのプレゼントがあり、クルーズ終了後は東京・南青山の「Blue Note Tokyo」、丸の内「Cotton Club」、横浜「Motion Blue Yokohama」での公演も観覧できる。

 船内が煌びやかな装飾に彩られ、このシーズンだけの特別なディナーとショーが楽しめるクリスマスクルーズは、クルーズ初心者でも気軽に参加できる「Xmas ワンナイトクルーズ(横浜・名古屋・神戸発)」や、ゲストエンターテイナーを迎え音楽と共にゆったり楽しめる2泊3日のクルーズ、寄港地観光も楽しめる「名古屋発着 高知クリスマスクルーズ」を用意する。

 「横浜ゆったりクリスマスクルーズ」では、雑誌「クロワッサン」とコラボレーションし直木賞作家・角田光代氏の講演会を行う。

在宅しながら台湾通を目指す 台湾を学ぶWeb検定サイト開設

2020年5月11日(月) 配信 

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 台湾観光局はこのほど、“台湾通”Web検定サイトを開設した。緊急事態宣言を受けて自宅で過ごす人たちが、家にいながらクイズ形式で台湾を学ぶことができる。

 同検定は、台湾全土の観光スポットや交通、地理、文化、グルメなどに関する四択式の問題を数百問そろえる。難易度もジャンルも多様で、台湾ファンや、旅行業関係者にもためになる出題が多く含まれている。

 数百問の中からランダムに20問出題され回答する形で、高得点を獲得した上位100人には同局オリジナルのクーラーボックスが贈られる。点数にかかわらず、iPASSカードや日月潭紅茶ティーパックなどが抽選で300人に当たる。

 5月1~31日までの期間中、何度でも繰り返しチャレンジすることができ、上位を目指しレベルアップできるシステムなのが特徴だ。

 同局は「在宅時間を過ごされている皆様に、多彩な台湾の魅力を知っていただきたいと思い準備をした。いつか台湾の観光スポットを訪れた時に、検定で得た知識を役立てて一層楽しんでほしい」と、コロナ収束後の訪台に期待を込める。

JATAの緊急Webセミナー【第2部-3】セルフガイドの提案(ミキ・ツーリスト社長の檀原徹典氏)

2020年5月11日(月) 配信

Webセミナー画面のスクリーンショット

 日本旅行業協会(JATA)は4月28日(火)、緊急Webセミナー第2部を行った。2日目となったこの日は、企画担当者や各地のDMOなどを対象に「新たな旅行トレンドを創る~日本の旅行業界に期待する事~」をテーマとし、3人の講師がそれぞれ登壇した。

イヤホンガイドの活用

 3人目の講師は、VOX JAPAN設立準備室、ミキ・ツーリスト社長の檀原徹典氏が「FIT化する市場への新たなツール、セルフガイドの提案」をテーマに語った。新型コロナウイルス感染症拡大を防ぐ手段のひとつに、人と人との距離を保つことが重要視されていることから、旅ナカの新しいツールに「イヤホンガイドの活用」を提案した。

 檀原氏は「新型コロナウイルス感染症拡大による濃厚接触を避けるため、FIT(海外個人旅行)がより増えるだろう。一定の距離を保つためにもイヤホンガイドを導入すれば対応できる」と語った。

 さらに、新たな観光地を提案し、地方に分散させることで、人の密集を避けることができるだろうとの。

 また、添乗員の高齢化に伴う絶対数の減少なども想定。ヨーロッパのバチカン市国のサン・ピエトロ大聖堂では、オーバーツーリズムの観点からすでにイヤホンガイドの使用が義務化されていることも紹介した。

 イタリアのローマに本社があるVOXでは、イヤホンガイドのレンタルや、FIT向けオーディオコンテンツなどを展開。イヤホンガイドは多言語対応も可能で、各国の観光地に普及している。

JATAの緊急Webセミナー【第2部-2】国内DMOの視点から(雪国観光圏代表理事の井口智裕氏)

2020年5月11日(月) 配信

Webセミナー画面のスクリーンショット

 日本旅行業協会(JATA)は4月28日(火)、緊急Webセミナー第2部を行った。2日目となったこの日は、企画担当者や各地のDMOなどを対象に「新たな旅行トレンドを創る~日本の旅行業界に期待する事~」をテーマとし、3人の講師がそれぞれ登壇した。

国内DMOの視点から

 2人目の講師は「『地域の過ごし方』を軸とした新しいツーリズムへの変革」と題し、雪国観光圏代表理事で、いせん社長の井口智裕氏が説明を行った。今後の国内観光は「地域らしさを感じる旅」が求められるとし、「地域での過ごし方がメインになり、宿泊施設はどう寄り添えるかという視点が大事になる」と述べた。

 雪国観光圏は、新潟県湯沢市を中心に37市町村が一体となり、「雪と共生してきた雪国文化」を軸に国内外に発信して地域活性化を目指している。井口氏は「雪国文化」を体感できる場として、古民家ホテル「ryugon」(新潟県南魚沼市)をリニューアル。「古いものと新しいものを組み合わせながら、雪国文化を後世に残していくことを意識して作っている」と話す。

 同ホテルは「過ごし方」をキーワードにし、「ラグジュアリー」と「地域性」を融合しているのが特徴だという。また、ラグジュアリーを「非日常の旅」、地域性を「異日常の旅」と捉えている。

 「非日常の旅」は、観光名勝の見学や、ぜいたくな旅など“演出された観光”を指し、「異日常の旅」は、地域の暮らしの体験や地元の人との触れ合いなど“生活が見える観光”と説明。今後は、「『非日常の旅』と『異日常の旅』が共存することが大事になるのでは」との考えを語った。

 地域のコンテンツは、全体のコンテンツを1つのストーリーとして伝えるための仕組みが必要だとし、ツアーガイドの存在を重要視した。

 今後の地方・国内マーケットは、「宿泊施設と地域と旅行会社が1つのチームとしてやっていく必要がある」と強調。そのうえで、地域がどうあるべきか、お客のターゲット像、理想のために何をすべきかといったビジョンを共有し、同じ目的意識を持つ事業者が連携することを考えることがチャンスにつながるとアドバイスした。

JATAの緊急Webセミナー【第2部-1】海外DMOの視点から(ANTOR-JAPAN会長のフレデリック・マゼンク氏)

2020年5月11日(月) 配信

Webセミナーのスクリーンショット。上部がフレデリック・マゼンク氏。

 日本旅行業協会(JATA)は4月28日(火)、緊急Webセミナー第2部を行った。2日目となったこの日は、企画担当者や各地のDMOなどを対象に「新たな旅行トレンドを創る~日本の旅行業界に期待する事~」をテーマとし、3人の講師がそれぞれ登壇した。

海外DMOの視点から

 1人目の講師は、駐日外国政府観光局協議会(ANTOR-JAPAN)会長でフランス観光開発機構在日代表のフレデリック・マゼンク氏が「外国政府観光局から見た日本マーケットについて」語った。

 マゼンク氏は、新型コロナウイルス収束後の海外旅行者について、「旅行経験が多いFIT(海外個人旅行)のほうが、団体旅行より回復が早い」と予測。また、市場再開後すぐは航空運賃の高騰などから、「富裕層をターゲットにすることが確実に成功につながるだろう。以前の状態に戻るのは2022年になる」と述べた。

 外国政府観光局から日本への要望として、FIT向け商品のラインナップ拡充や、マーケティング強化を挙げた。市場回復には、「衛生面の不安を払拭することが最大の課題」とし、観光業界全体で対策を行うことが求められるとした。具体的には、旅行出発時の健康チェックや、旅行者のマスク着用、ソーシャル・ディスタンス(社会的距離)の確保などのルール作りが全国で必要になるとの考えを示した。

 また、新型コロナウイルス感染症が世界中に大きな影響を与えたことで、人の好みや心的傾向に変化が生じる可能性を示唆。旅行会社や観光局などが一体となって大規模な意識調査を行い、結果を共有することを提案した。

 プロモーションキャンペーンについては「今まで以上に重要になる」とし、「コロナ禍で乗り物などが敬遠されてしまった。キャンペーンで海外旅行に対する夢や刺激を与えなければならない」とアドバイスした。

 一方で、フランスでは市場の再開時に、国際線の運航本数がコロナ禍前より減少し、「座席確保と航空運賃の高騰が生じる」と予想する。「以前の状態に戻るのは、再来年(2022年)になる」としたうえで、日本市場向けのターゲットは「富裕層」と明かした。

 マゼンク氏は「フランスの観光局や観光関連施設は、依然として日本マーケットに強い関心を持っている」と述べ、今後も日本市場の回復に向けた活動を続けていくと語った。

JATAの緊急Webセミナー【第1部-2】新型コロナ禍の経営術と雇用調整助成金について(JATA理事の原優二氏)

2020年5月11日(月) 配信

Webセミナー画面のスクリーンショット

 日本旅行業協会(JATA)は4月27日(月)、緊急Webセミナー「新型コロナウィルスと日本の観光業」の第1部を行った。JATAの越智良典理事・事務局長に続いて、2人目の講師は、風の旅行社社長でJATA理事、トラベル懇話会会長の原優二氏が登壇。経営者を対象に「新型コロナ禍を乗り切るための経営術~雇用調整助成金の肝は何か?~」について語った(雇用調整助成金の適用条件などは4月27日時点での情報)。

 原氏は新型コロナウイルス感染拡大が経営に及ぼす影響について、「一番の武器は雇用調整助成金」と強調。そのうえで「休業手当の支給率をどうするかが雇用調整助成金の肝になる」との考えを示した。また、「長期戦になると、休業手当の支払率を100%に保つのは難しい。平均賃金の単価計算には2通りあるのを覚えておいてほしい」と述べた。

 雇用調整助成金には休業、教育訓練、出向の3種類あるとし、今回は主に「休業」について説明を行った。雇用調整助成金を受けるには、企業側は労働組合や従業員の中から労働者代表を選出して休業協定を結ぶことから始まる。

 だが、休業協定書に記載される休業手当の支払率について原氏は、休業実施月ごとに変更が可能となるよう「毎月協定を結ぶようにしておくことが重要」と述べた。また、「経営者が一方的に変更するのではなく、従業員ときちんと話をすることが大切」と話す。

 さらに、休業が長期化すると「休業手当の支払率100%維持は難しくなる」と想定。その場合、支払率は「上限8330円を下回らない範囲で下げること」、「労働基準法上の休業手当は平均賃金の60%以上支給する規定がある」と説明した。だが「給料支払いをしていくうえで、非常に厳しいという状況を迎えた時、平均賃金の単価計算には2通りあるのを覚えておいてほしい」と述べた。

【平均賃金の単価計算方法】

イ)所定労働日で計算する方法

例:月収30万円の場合 30万円÷所定労働日20日=15000

ロ)労基法12条の暦日割り

例:月収30万円の場合 30万円÷暦日数30日=1万円

 平均賃金の60%以上を支払う際に、所定労働日か暦日割りかで賃金単価が大きく変わってくる。歴日割りのほうが安くなるとし、「合法的ではあるが、従業員とどこまで話ができるか、どこまで給料をカットしながら持ち堪えるかを話し合っていく必要がある」と提案した。

 雇用調整助成金の申請については、「最初はとっつきにくいと思うかもしれないが、1回目の申請のあとは毎月繰り返しの作業」と述べ、多くの企業に雇用調整助成金を受けるよう呼び掛けた。

 また、提出書類に必要な売上減少の証明について「ハローワークでは、会社のパソコンデータから該当月の前年と今年の売上明細を作成すれば良いと言っていた」と紹介した。

 今回のコロナ禍について原氏は「企業活動の前提としてあり得ない危機」としたうえで、「経営のリスクマネジメントは、最悪の状態を想定しながら進んで行くことが最も大切」とアドバイスした。

 JATAの緊急Webセミナーは、4月27・28日の2日間にわたって開催されたが、定員を大幅に超える視聴希望者がいたため、5月1日に再配信も行われた。

藤岡市・神流町・上野村で魅力体験 群馬県・多野藤岡地域を巡る

2020年5月10日(日) 配信

 「心にググっとぐんま わくわく 体験 新発見」をテーマに、群馬デスティネーションキャンペーン(群馬DC)が4月1日―6月30日まで展開している。群馬県の多野藤岡地域(藤岡市・神流町・上野村)では、昨秋にDCを視野に入れて、首都圏旅行関係者を対象とした1泊2日の現地視察会を実施した。新しい企画や、ブラッシュアップした魅力ある観光素材など、見どころを紹介する。

 【古沢 克昌】

 道の駅「万葉(まんば)の里」(神流町)

 地元産の野菜や味噌などの特産品を販売しているほか、食堂では神流町産のそばを使った手打ちそばセットや山菜、キノコなど季節に応じたメニューを取りそろえる。昼食では神流町産のそばと天丼を試食した。

 

 古民家の宿「川の音(ね)」(神流町)

古民家の宿「川の音」離れ

 神流町の自然豊かな麻生地区に2018年6月にオープンした。神流川沿いにひっそり佇む古民家で、空き家となった築130年の養蚕農家の旅館へのリノベーション事業で誕生した。客室は全4室。

 19年7月には同じ敷地内に「離れ」(全2室)も新築でオープンした。

 

 神流町恐竜センター(神流町)

 神流町で日本初の恐竜の足跡化石が発見されたことをきっかけに建設された。多数の貴重な恐竜化石の展示のほか、迫力あるライブシアターや化石レプリカ作成などが体験できる。19年5月にリニューアルオープンした。館内にある「恐竜食堂」では、そば・うどん類のほか「アンモナイトウインナー」や「イグアノ丼(牛丼)」「プテラノ丼(鳥照丼)」などを食べることができる。

 

 ノルディックウォーク(上野村)

ノルディックウォーク体験

 ノルディックウォークは2本のポールを用いて歩くスポーツで、普通のウォーキングより運動効果が高いのが特徴だ。森林率が高く、空気がきれいな上野村でノスタルジーな風景に癒されながら、ノルディックウォーキングを体験してみたい。

 

 ヴィラせせらぎ(上野村)【宿泊】

 宿の目の前を流れるのは、清流・神流川。客室タイプは4種類で、ガラス張りのラウンジやレストランから四季折々の自然が楽しめる。上野村温泉郷の1つ「向屋温泉」を源泉に持つ温泉大浴場のほか、神流川のせせらぎと星空に癒される露天風呂とサウナも完備。車で10分の場所には巨大吊り橋「上野スカイブリッジ」や、関東一の規模を誇る鍾乳洞「不二洞」がある人気の観光スポット「天空回廊エリア」で、観光の拠点としても好立地に位置する。

 

 森林セラピー(上野村)

森林セラピー体験

 森林セラピーとは、癒し効果が科学的に検証された「森林浴効果」のこと。森の中を歩くと、不安感や緊張、心労を軽減させ、気分をリラックスさせる効果がある。森林セラピストが誘うセラピーメニューは五感で浴びる森林パワーが体験できる。なお、昨年発生した台風19号の影響で現在は森林セラピーを中止している。再開時期未定。

 下久保ダム(藤岡市) 神流川にある総貯水量1億3千万㌧のダムサイトを見学。堤体の長さは605㍍あり、コンクリートダムとしては日本一の長さになる。

 

 道の駅「上州おにし」(藤岡市)

道の駅「上州おにし」で養蜂体験

 19年4月にリニューアルオープンした道の駅。下久保ダムの見学後、新しくなった「下久保ダムカレー」を試食した。昼食後に養蜂体験を行い、自ら採取した蜂蜜をお土産に持ち帰った。

 

 高山社情報館(藤岡市)

 世界遺産高山社跡のガイダンス施設で、高山社跡に関連する資料やパネルを展示。「繭クラフト体験」でパンダのまゆ人形を制作した。

 

 道の駅「ららん藤岡」(藤岡市)

道の駅「ららん藤岡」でやよいひめ苺ソフトを期間限定販売

 高速道路と一般道路の両方から利用可能なアクセスの良さが抜群の人気の道の駅。産直品と食事のアグリプラザ、人気のスイーツが集まるグルメプラザなど、藤岡の美味しいものがワンストップで手に入る。期間限定の「やよいひめ苺ソフト」は粒食感が絶妙でとても美味しかった。

 問い合わせ=多野藤岡観光開発協議会(群馬県藤岡行政県税事務所内)☎0274(22)5101。

「街のデッサン(229)」 女性で在ることだけで美しい オードリーアワードの考え方

2020年5月9日(土) 配信

真珠が女性をより美しくする

 イタリアのローマには、若かりし頃を含め都合10回ほど訪れているが、その都度楽しみにしているのは「スペイン広場」である。いつ訪れても、階段にも広場にも観光客であふれているのは、この広場の美的景観だけではなく、1953年製作の映画「ローマの休日」のためであろう。今の若い世代でも必ずこの映画は見ていて、ローマ観光の最大の目玉になっている。

 物語は、親善訪問でローマを訪れたさる王国の女王様のしがない新聞記者との淡い恋がテーマだが、ウィリアム・ワイラー監督が結末を実に感動的に描いている。この時のデビュー早々のオードリー・ヘプバーンの美しさが見事だった。子供の私が観た映画では、ヘプバーンの魅力というよりは女性というものの美しさに目覚めた、という覚醒感の方が強い。それほど彼女の美しさが普遍的であった、というべきであろう。

 長じて、「女であること自体が美しい」という概念は捨てなければならない局面に幾度となく出会うことになるが、この宗旨は今でも持ち続けている。何年か前、再放映の「ローマの休日」を観たが、あくまでも無垢なヘプバーンの美しさにまた感嘆した。その時、ふと彼女の女としての美しさを明らかに支持している小物があると気が付いた。首に輝いている「真珠のネックレス」である。

 さらに最近、イギリスの推理作家アガサ・クリスティのポートレートを見ていて、気が付かなかった彼女の美しさに瞠目したが、やはりネックレスが彼女の美しさを雄弁に引き立てている。女性と真珠が一体となって、女という存在を美しく造形している、といったらよいのかもしれない。

 2019年の産業観光まちづくり大賞のなかに、志摩市の真珠養殖とその活用が入っていたが、内容は「志摩を訪れた女性客にアコヤガイの養殖場で真珠の取り出しと、それを使った宝飾品の試作」という体験観光であった。貝の中で大切に育てられた真珠を見つけるのも、真珠の飾りを創るのも、大いなる体験だし喜びに違いない。

 しかし、私の直感は女性が希求する体験とは発見でも創作でもなく、身に付けた何気ない真珠が彼女の美しさを際立たせ、女性としての存在を賞賛と感動の坩堝に引き込むことでないだろうか。その「真珠美人」のコンテストを開くとしたら、美しき真珠を生み出した志摩市しかない、と私には思える。一連の真珠を胸に、世界中の国々から真珠美人の集まる大会を夢見ている。その大会が出す賞の名前は「オードリーアワード」と決めてはいるが。

コラムニスト紹介

望月 照彦 氏

エッセイスト 望月 照彦 氏

若き時代、童話創作とコピーライターで糊口を凌ぎ、ベンチャー企業を複数起業した。その数奇な経験を評価され、先達・中村秀一郎先生に多摩大学教授に推薦される。現在、鎌倉極楽寺に、人類の未来を俯瞰する『構想博物館』を創設し運営する。人間と社会を見据える旅を重ね『旅と構想』など複数著す。

【にっぽん旬旅】~動画で各地の魅力紹介~鹿児島県大隅半島~

2020年5月8日(金)配信

 鹿児島県の東に位置する大隅半島。ここ大隅半島には数多くの古墳があり、古墳マニアの間では古墳の聖地ともいわれています。その中でも、大崎町の横瀬(よこせ)古墳、肝付町(きもつきちょう)の塚崎(つかざき)古墳群、東串良町(ひがしくしらちょう)の唐仁(とうじん)古墳群、3つの古墳について動画の中で紹介しています。

 動画では、古墳マニアの前方後円(まえがたこうえん)さんに出演して頂き、3つの古墳について熱く語って頂きました。この3つの古墳は、距離的にとても近い位置にあり、歴史的にも重要な意味合いがあると考えられています。

 また、3つの古墳にはそれぞれの特徴があります。横瀬古墳はだれでも古墳の上に上ることができ、360度のパノラマビューイングを楽しむことができます。塚崎古墳は、円墳上に塚崎神社の御神木とされる大楠が根を張り、唐仁古墳には古墳上に大塚神社が鎮座しています。古墳を見るだけではなく、別の視点からも楽しむことができます。

 この動画を見て、大隅の古墳に興味をもって頂き、実際に足を運んでいただきたいです。そうすれば、古墳だけではない、大隅の素晴らしさに気づいて頂けると思います。

大隅の古墳 前方後円が行く

「観光ルネサンスの現場から~時代を先駆ける観光地づくり~(183)」悠久の時が流れる「石の島」の物語(備讃諸島(笠岡市・丸亀市・土庄町・小豆島町))

2020年5月8日(金) 配信

100メートル断崖絶壁の石切場(笠岡市北木島)

 高さ100メートルの石の断崖絶壁。良質の石を求め下へ下へと掘り進んでいくうちに、天空にそびえるような絶壁となった。岡山県笠岡市の沖合、北木島にある石切場である=写真上。

 瀬戸内海の笠岡諸島、小豆島、塩飽(しわく)諸島で構成される備讃諸島は、400年にわたって日本の代表的な名建築を支えてきた「石の島」である。小豆島は、古くは近世城郭の技術的頂点、大坂城の石垣を供給した。北木島は、日本銀行本店、横浜正金銀行、大阪市中央公会堂、三越日本橋本店など、数々の名建築を支え続けてきた。

 100トンを超える巨石をどうやって運んだのか。その謎は、この海を制する海運にあった。この地域の塩飽水軍による優れた操船技術と海運力がなければ、巨石を運ぶことは不可能である。丸亀市の沖合、本島はかつて塩飽水軍の本拠地であり、江戸時代には奉行所が置かれ、塩飽廻船の根拠地となった。幕末の有名な咸臨丸(かんりんまる)の乗組員の多数が、この塩飽廻船の船乗りたちであったという。

 備讃諸島の島々は、どこも街路が屈曲し、十字路のない複雑な町割りが特徴である。塩飽の中核となる本島・笠島地区の集落は狭い道路が複雑に交差し、見通しがきかない意外性が面白い。マッチョ通り(町通り)と呼ばれる中心道路に沿った町家形式の家屋の集落が、はじめて訪れる人々を魅了する。

 また、笠岡諸島の真鍋島は中世真鍋水軍の本拠地であり、山城を核とした防衛的な町割り集落が魅力的である。小豆島土庄集落も、「迷路のまち」と呼ばれ、地図がなければ方向感覚を失う。いずれも個性豊かな島の景観と町割りが大きな特色的である。

 どの島も、石切、加工、商い、出荷、海運という一連の産業を担ってきた石材産業が主産業であった。その富が、島の固有文化と娯楽を生んだのである。北木島には、石工や島民娯楽のために、学校講堂のような映画館が昭和期まであり、コミュニティーの核として再生に取り組んでいる。石工たちの労働歌である「石切唄」=写真下=や、ハレの日に石工たちにふるまわれた「石切り寿司」などが、今も島に根付いている。

シンポジウムで披露された「石切唄」

 2市2町の石の物語は、昨年5月「知ってる!? 悠久の時が流れる石の島」のタイトルで日本遺産に認定された。その活用手法をテーマに今年2月、笠岡市でシンポジウムが開かれ参加した。

 幹事の小林嘉文笠岡市長ら2市2町の首長の結束力は強く、各島を結ぶチャータークルーズなど、島文化の魅力をつなぐ、テーマ旅の商品づくりなどに取組んでいる。物語にある感動・共感をどう生かすか、島民など市民の誇りや自覚をどう促すか、一過性のイベントではなく、島の再生につなげる持続的事業をどう生み出すか。課題は少なくないが、新たな取り組みに期待したい。

(東洋大学大学院国際観光学部 客員教授 丁野 朗)