JTB営業益87億円、4年ぶりの黒字 28年度まで投資1200億円超(連結23年4~9月期)

2023年11月21日(火)配信

山北栄二郎社長

 JTB(山北栄二郎社長)が11月17日(金)に発表した2023年4~9月期の連結決算によると、営業利益は87億2300万円(前年同期は46億5800万円の損失)を計上し、4期ぶりに黒字に転換した。売上高は前年同期比32.1%増の5100億6000万円と増収。経常利益は120億2000万円(同22億2900万円の損失)、当期純利益は61億500万円(同28億9400万円の損失)といずれも増益となり、中間決算として2年ぶりに黒字化した。

 旅行事業は、世界規模で人流が回復し、国内ではコロナウイルス感染症の5類引き下げを受け、全部門で増収となった。売上総利益は、国内旅行が同25.0%増の466億円、海外旅行が同489.2%増の183億円、訪日旅行が同677.4%増の60億円、グローバル旅行が同218.4%増の65億円。

 国内旅行は個人旅行、団体旅行ともに回復している一方、海外旅行は円安、原油高のあおりを受け、山北社長は「本格的な需要回復には道半ば」との見解を示した。続けて、海外旅行市場は「年末年始にハワイを中心に動きが活発化している。今年度(24年3月)は50%台、24年に80~85%程度、25年には完全回復になる」考えを述べた。訪日旅行は昨年の入国制限の緩和以降、台湾、アメリカ、中国の需要が着実に戻りつつあり、さらなる回復が見込まれ、グローバル旅行は欧州を中心に回復の兆しがみえてきたと伝えた。

 コロナ禍以降に実施してきた構造改革の効果も継続している。営業経費は前年から125億円の増加ながら、人材の最適配置や店舗改革、従業員のスキルアップによる業務効率化により、固定費は2019年比で273億円を削減した。

 事業・領域別の売上高でみると、ツーリズム事業は同31%増の3496億円、エリアソリューション事業は同31%増の419億円、ビジネスソリューション事業は同13%減の641億円、グローバル領域は217%増の798億円。旅行事業の回復の影響が大きく、エリアソリューション事業は企業向けコロナワクチン接種の需要減が減収の要因だが、MICEなどの事業は伸長した。

 23年度の通期業績予想は、年度当初に計画した通り、売上高は同12.8%増の1兆1034億円、営業利益134億円の達成と、最終利益は黒字を見込んでいる。

観光地の高付加価値化 DX・ITなどに投資

 さらに、23~28年度までの1200億円超の投資計画を発表した。このうち、エリア開発(観光地の高付加価値化)と法人向けビジネス開発(MICE関連・その他)は610億円、DX・ITは450億円、店舗・設備などは160億円を投資すると説明した。

 エリア開発では、観光地で宿泊施設や周辺のインフラ開発、旅行コンテンツの拡充を行い、観光地の魅力を高め、旅行者の滞在時間の増加や周辺地域の回遊を促す。結果として、旅行者の実感価値向上と地域活性化を両輪で推進するとした。

 このほか、法人向けビジネス開発はMICE関連事業、新たな商品サービスの開発も計画。DX・ITはJTBグループでの全ビジネスを下支えする投資として、業量拡大や業務効率化をはかるとともに、ビジネスモデルの変革にも取り組む。

 11月17日(金)に行われた決算会見の冒頭、青森市での新型コロナウイルス患者の移送業務を巡る入札案件で、JTB含む旅行5社に談合疑惑があると報じられたことに対して謝罪した。

 同月15日(水)にはJTB青森支店に公正取引委員会の立ち入り検査が入り、調査を開始した。山北社長は、検査の全面協力と事実関係の把握に全力を尽くす姿勢を示した。このうえで「当社としてはコンプライアンスと公正な取引を最重要と捉え、最優先として取り組んできたが、このような事案が起きたことを受け、心より反省し、改めて社内に徹底をはかっていきたい」と話した。

「京の冬の旅」24年1~3月実施 非公開文化財の特別公開など

2023年11月21日(火)配信

ポスターの一例(イメージ図)

 京都府京都市と同市観光協会は2024年1月から3月にかけて、JRグループ6社と連携したデスティネーションキャンペーン「京の冬の旅」を実施する。

 58回目のキャンペーンとなる今回のテーマは「紫式部と源氏物語」と「辰年のご利益 京の龍めぐり」。紫式部や源氏物語のゆかりの地などで、15件の非公開文化財を特別公開する。

 公開するのは、紫式部の邸宅跡に建つ盧山寺や室町幕府13代将軍の足利義輝の菩提寺である相国寺光源院および慈雲院、茶の湯文化と縁が深い臨済宗大徳寺派大本山の大徳寺法堂・仏殿など。期間は24年1月6日(土)から3月18日(月)まで。料金は1カ所につき800円。公開期間や時間、料金は公開カ所により異なる場合がある。

 京都定期観光バスの「京の冬の旅」特別コースやタクシーで文化財を巡るコースを設定するほか、冬の京都の奥深い魅力を体感してもらおうと、少人数制・事前予約制の特別体験プランを多数用意する。

北陸三県、JR 北陸の魅力発信 来秋DCに向け販促会議

2023年11月21日(火) 配信

北陸3県の関係者らが魅力をアピール

 2024年3月16日の北陸新幹線福井・敦賀開業に伴い、北陸3県とJRグループが連携して来年10―12月に実施する大型観光キャンペーン「北陸デスティネーションキャンペーン(DC)」に向け、全国の旅行会社などに北陸の魅力を発信する全国宣伝販売促進会議が11月8日、福井市の福井県産業会館で開かれた。

 会議には旅行会社やメディア、JRグループ各社、自治体関係者など、全国から約800人が参加。福井県恐竜博物館やあわら温泉など北陸3県の関係者らが、それぞれの魅力を紹介した。

杉本達治知事

 主催者を代表して福井県の杉本達治知事は「DC開催となる秋は、越前がにをはじめとする北陸自慢の“食”が最盛期を迎える。さらに伝統工芸や唯一無二の景色、最高のおもてなしもそろっている。旅行会社の皆様には、地元の我われが、あっと驚くような商品を造成し、全国の観光客に提案していただきたい」と語った。

 西日本旅客鉄道(JR西日本)の長谷川一明社長は「北陸は魅力の宝庫。新幹線の開業効果を最大限に生かすため、魅力ある観光素材をつないだ新幹線を利用した新たな周遊ルートを提案していきたい」と抱負を述べた。

 会場では、北陸3県の自治体や観光団体がブースを設け、見どころや特産品などを紹介。翌9、10日には、北陸3県各地を巡るエクスカーションも行われた。

 北陸DCのキャッチフレーズは「Japanese Beauty Hokuriku 日本の美は、北陸にあり。」。北陸にある「美」は、世界に誇れる、日本を代表する「美」であるとの思いが込められている。期間中は、「美観」「美食」「美技」「美湯」「美心」――の5つの「美」をキーワードに、北陸3県の魅力を全国に向け発信していく。

リーガロイヤルホテル 冬のイチゴが主役 アフタヌーンティー販売

2023年11月21日(火) 配信

“大人可愛い”ティータイムを

 リーガロイヤルホテル(中川智子総支配人、大阪市北区)は12月4日―来年2月14日まで、1階「メインラウンジ」で甘酸っぱいイチゴとチョコレートの絶妙なハーモニーが味わえる冬限定メニュー「いちごアフタヌーンティー第1弾~Sweet Chocolate Piece~」をオンライン予約限定で販売する。

 “大人可愛い”をテーマに、ビター・ミルク・ホワイトの3種類のチョコレートが、甘さと酸味が特徴のイチゴを主役として引き立て、甘さの変化と絶妙な味わいのバランスが堪能できるスペシャルメニュー。カルダモンとシナモンのアクセントが味わいに深みをもたせた大人の雰囲気漂う「いちごとカルダモン風味のショコラのミニパフェ」も登場する。

 ドリンクは、ブレンドティーやダージリン、アールグレイ、ブレンドコーヒーなど、7種類のほか、フルーツフレーバーが味わえる「いちごティー」と「森いちごのルイボスティー(ノンカフェイン)」も期間限定で楽しめる。

 提供時間は、正午から午後6時30分まで。2時間制で料金は1人6325円(税・サ込)。3日前までのオンライン予約限定で、2人または4人のみ受け付ける。12月20日から翌年1月5日までは、販売を休止する。

 来年2月15日からは、第2弾を提供予定。

【特集No.647】鼎談 観光の「質の向上」へ “交流の深さ”を追求していく

2023年11月21日(火) 配信

 観光の本格的な回復を目指す政府は今年3月、第4次「観光立国推進基本計画」を閣議決定した。「観光の質的向上」を希求する日本の観光政策を担う観光庁の髙橋一郎長官と、新たな国際観光都市の再構築が始動した長崎市の鈴木史朗市長、全国の観光政策に精通する跡見学園女子大学観光コミュニティ学部の篠原靖准教授に登場いただき、持続可能な観光地域づくりや、長崎市が取り組む平和観光連携事業などを語り合った。

【増田 剛】

 篠原:新型コロナ感染拡大により低迷を余儀なくされた観光業界ですが、2023年9月の訪日外国人旅行者数は約218万人と、コロナ前の96%まで回復し、1―9月の累計では1700万人を超えています。
 国内旅行についても、延べ宿泊者数が1―6月の累計で約2・4億人泊、日本人国内旅行消費額が約9・9兆円と、足元ではコロナ前の水準まで概ね回復しています。
 今年3月には第4次「観光立国推進基本計画」が閣議決定され、①持続可能な観光②観光消費額の拡大③地方誘客の促進――と3つの戦略が発表されました。日本経済を支える屋台骨として、観光による地方消費を向上させる“地方創生としての観光”への期待を改めて感じます。

 髙橋:いま急速に観光需要が戻って来ていますが、次長在職当時、コロナ禍で街中からも空港からも人影が消え、観光を担い支えておられる地域の皆様が危機的状況に瀕しておられたことを忘れることができません。
 日本の観光の礎を失いかねないことへの強い危機感を抱き、篠原先生にお力添えをいただきながら、何とか「観光の礎を守っていく」一心でGo Toトラベル事業をはじめとする観光需要喚起策を講じました。苦しいなかでありましたが、コロナ禍を乗り越えた後にさらに成長、飛躍していただけるよう地域の宿泊施設の高度化等の支援事業も講じて参りました。
 皆様の御努力により、先月には、単月当たりの訪日旅行者数がコロナ前の数字を超え、年間消費額も政府目標の5兆円達成が視野に入る水準まで回復してきています。
 一方、まだまだ、地方部への誘客を強力に進めて行かねばなりません。「地方部へ誘客してこその観光政策であり、日本の観光のあるべき姿」との思いを強く持っています。地方部には限りないポテンシャルがあり、日本のインバウンドは、まだまだ伸びると確信しております。加えて、双方向交流の観点から、回復が遅れている日本人のアウトバウンドの回復が重要だと考えます。

 ――日本の観光の方向性は。

 髙橋:今申し上げた点とともに、観光の「質の向上」を主軸に、「観光消費の拡大」や「稼げる地域や産業へ」との視点が重要です。さらに、私には「交流の深さ」を追求していきたいとの思いがあります。若い人たちも活躍して、自分たちの地域が受け継いできた文化や伝統、ひいては日本人の生きざまとも言うべきものを外国人旅行者に存分に知ってもらうことを通して、その価値を再認識、再発見し、自らが住まう地域への誇り、シビックプライドを高めることは大変意義あることと思います。
 また、「持続可能な観光」の重要性が世界中で増してきています。
 先日開かれた「日ASEAN観光大臣特別対話」でも持続可能な観光をテーマとしましたが、アジアには地域住民が主体となって観光を運営し、観光を通じて自分たちの生活や文化を支えていく「コミュニティー・ベースド・ツーリズム」が根差しています。
 環境面やエシカル(倫理的)な取り組みも大変重要ですが、経済的・社会的な持続可能性、すなわち、観光から得られる収益が地域にしっかりと還元され、次世代への投資や人材育成も含め「域内循環」していく仕組みが不可欠であり、観光を通して文化や伝統を保全・発展させて行くことが大事だと思っています。

 鈴木:長崎市が目指している取り組みと、観光庁の方向性が同じことを感じています。私は国土交通省在籍時に、03年小泉総理(当時)による「観光立国宣言」の下での我が国インバウンド政策の立ち上げにも携わり、2010年に訪日外国人旅行者数1千万人達成することを目指すなかでビジット・ジャパン・キャンペーン(VJC)などを展開しました。
 その後、10―11年にかけての観光庁企画室長のときには、第2次「観光立国推進基本計画」をどのように作っていくかを議論するなかで、数を追い求めることへの反省もあり、旅行消費額や満足度など「交流の質」に関する目標の設定など見直しに取り組みました。今年策定された第4次では、より鮮明に「交流の質の向上」へ向かっていく強い意志を感じます。
 このようななか、長崎市も「交流の質の向上」を大きなテーマに据えています。現在、観光庁の「地域一体となった観光地・観光産業の再生・高付加価値化事業」の支援をいただきながら、観光施設の改修や、ナイトタイムエコノミーの推進にも取り組んでいます。
 長崎市は世界新三大夜景の1つとして、夜景を強力な観光コンテンツとして捉えるなど、「いかに交流の付加価値を高めていくか」が今後の課題だと思っています。宿泊していただくことや、「より長く滞在していただく」ことも重要です。……

【全文は、本紙1921号または11月27日(月)以降日経テレコン21でお読みいただけます。】

12月中の申し込みで送料無料に 公営国民宿舎ガイド

2023年11月21日(火) 配信

43施設の国民宿舎を紹介

 国民宿舎協会は12月1日(金)~28日(木)まで、公営国民宿舎ガイドの送料無料キャンペーンを実施する。同期間中にホームページやハガキでガイドを申し込むと、通常300円の送料が無料になる。

 公営国民宿舎ガイドは、国立公園や固定公園、都道府県立自然公園、国民保養温泉地など自然環境の優れた休養地に県や市町村が建てた公共の宿、国民宿舎を紹介するもの。景観や温泉、地元食材を使った料理などそれぞれの宿の魅力を掲載している。巻末には2024年3月31日まで有効のクーポンが付録として付き、ドリンクサービスや土産プレゼントなどが特典として用意されている。

 ガイドは900円(本体600円+送料300円)で販売しているが、キャンペーンでは本体の600円で提供する。

JAL国際線就航70周年記念 特別チャーターでホノルルかサンフランシスコへ

2023年11月21日(火) 配信

初便が就航した航路を再現

 日本航空(JAL)とジャルパックは2024年1月27日(土)出発で、JAL国際線就航70周年を記念した特別企画を実施する。初便が就航した航路を再現した特別チャーターフライトに搭乗し、米国・ホノルルかサンフランシスコを訪れるツアー。抽選販売となり、11月27日(月)まで第1次募集を行っている。

 出発地は成田空港で、空港では現役の客室乗務員が歴代の制服を着用して出発前にセレモニーを開く。また、普段は立ち入ることができない成田空港オペレーションセンター見学会を実施。搭乗の際には航空機をバックに記念撮影を行う。機内では、70周年記念チャーター限定機内食特別メニューを提供するほか、搭乗証明書やプレゼントを用意する。

 各ツアー別のイベントは、ホノルルツアーで豪華クルーズパーティーを実施する。70周年の感謝を込めて、JAL運航乗務員や特別ゲストも参加し、ホテル宿泊券などが当たる抽選会も企画する。このほか、オリジナルのオアフ島観光として観光名所を巡る。宿泊はモアナサーフライダーとなる。ツアーは5日間または6日間で旅行代金例は39万円。

 サンフランシスコツアーは、ホノルル―サンフランシスコ間の機内でJAL国際線70年史に関するクイズを実施。現地ではゴールデンゲートブリッジやフィッシャーマンズワーフなど70年前の初便就航当初から人気の有名観光地を巡る。旅の最後はJAL運航乗務員が参加する夕食懇談会を開き、トークショーなどを行う。ツアー日数は4日間で、旅行代金例は52万円。

 いずれも復路は定期便利用で、成田・羽田帰着を選択できる。

 

〈旬刊旅行新聞11月21日号コラム〉――安宿 宿への「期待の低さ」が何とも好ましい

2023年11月21日(火) 配信

 人気観光地よりも無名の観光地、県庁所在地よりも、第2、第3番手の街に泊まるように意識している。そのような少しマイナーな旅先の宿に着いて、案内された客室でビールを飲むのは、旅の楽しみの1つである。だけど、少し飲み過ぎて夕食があまり食べられないことが多々あり、その反省点から最近は少々控えめにしている。

 

 宿との出会いは一期一会。当たりもあれば、ハズレもある。私の場合、宿泊料金を低く見積もっているため「面白い案件」と遭遇することが多い。ユニットバスが異様に薄暗かったり、壁紙が堂々と破れていたり、テレビに100円玉を入れて観る昭和を引きずるスタイルだったり。でも、安宿なので、何の不服もない。

 

 

 子供たちが小さかったころは、夕食のビュッフェのテーブルも賑やかだった。最近は1人でビュッフェを利用する機会が増えた。ビュッフェは好きなものを自由に食べられるからいい。酒をちびちびやりながら、刺身やチーズなど適当に皿に盛る。浴衣姿なので心身ともリラックスして旅の夜を楽しめる。

 

 夕食後は大浴場に行って、温泉に浸かる。そうすると喉が渇くので、宿の売店で売っている埃をかぶったピーナツ菓子などを購入し、自動販売機の缶ビールを2本ほど買い込む。客室でゆっくりと飲みながら、ぼんやりと眠くなるのを待つ。華やかさも、何もない旅で、他人が見ると何が楽しいのだろうと思うかもしれないが、そんな素の旅がいいのだと感じてしまう。

 

 

 旅館やシティホテルと比べて、ビジネスホテルの朝食会場は限られた空間を有効活用しているため、概して広くはない。このため、ビジネスホテルに宿泊して朝食に大きな期待を抱くことは少ない。だが、その「期待の低さ」が何とも言えず好ましい。寝ぐせがついた髪のまま、おにぎり2つを鞄に入れて慌ててホテルをチェックアウトする若いビジネスマンの姿などもしばしば見てきた。

 

 先日、泊まった福岡県久留米市のビジネスホテルは、朝食のパンとコーヒーが無料だった。JR久留米駅前には思ったほど飲食店が多くなく、その日は朝から雨が降っていたので、無料のパンを食べるために、ノコノコと朝食会場に向かった。

 

 すると、意外にも朝食会場は広く、パンもクロワッサンや食パン、丸パンなど種類が多かった。朝食会場にはなぜか、蝶ネクタイをしたベテランの給仕もいた。バターやマーマレード、イチゴジャムなども備えていた。寝起きで、そこまで空腹を感じていなかったものの、パンが想像以上に美味しくて、コーヒーもお代わりをして雨の久留米の街を眺めながら、パンのみのシンプルな朝食に満足した。旅の満足なんてそんなものだ。

 

 

 隣の席には若い夫婦と幼い男の子がいた。幼い男の子はイチゴジャムの小さな容器を見て、父親に「これ、ゼリー?」と聞いた。父親と母親は笑って「それはゼリーじゃないよ。パンにつけるジャムだよ」と教えてあげていた。男の子はコーヒーが飲めないことに気づいたベテランの給仕が近寄って、「ボクにはミルクを持ってきてあげるね」と言って、コップに牛乳を入れて男の子に渡した。若い両親は「ありがとうございます」と給仕にお礼を言い、パンだけを食べていた男の子は夢中でストローに口を付け牛乳を飲み始めた。

(編集長・増田 剛)

江若交通と京都バス、比叡山夜景バスツアー催行 ナイトタイムエコノミーの一環で

2023年11月20日(月) 配信

比叡山から望む夜景

 江若交通株式会社(安積正彦社長、滋賀県大津市)と京都バス(吉本直樹、京都府京都市)は12月9(土)と16(土)、23日(土)、24日(日)に、比叡山・びわ湖DMO(平川良浩理事長、滋賀県大津市)の協力を得て、標高800㍍の比叡山から京都・大阪・滋賀の夜景を満喫する「冬の比叡山プレミアムナイトバスツアー」を催行する。

 官民が一体となり推進している「ナイトタイムエコノミー」の一環として、大津市内や京都市内の宿泊者に夜の楽しみを提案する。

 催行日のうち、12月9日(土)、24日(日)はJR京都駅を出発。16(土)と23日(土)は JR大津駅(滋賀県大津市)からスタートする。すべてのツアーは各駅を出発後、日本天台三総本山の1つ三井寺をボランティアガイドによる案内付きで巡る。その後、比叡山延暦寺の根本中堂で夜間特別拝観を僧侶の案内付きで楽しむ。

 食事は峰道レストラン&展望台(滋賀県大津市)で滋賀・びわ湖の夜景を眺めながら、近江牛すき焼きなどがセットになった「峰道特選御膳」を堪能する。登仙台(同)にも訪れ、京都と大阪、滋賀の夜景を観賞する。

 料金は京都駅発が大人1万円、子供は5000円。JR大津駅発は大人9000円、子供は4500円となる。いずれも税込。

大分県が乾シイタケの魅力発信 タキマキさん招き「うまみだけ」紹介

2023年11月20日(月) 配信

滝沢さん(右から2人目)が乾シイタケの魅力再確認

 大分県は11月16日(木)、東京・銀座の同県アンテナショップで報道関係者を集め、生産量日本一を誇る、同県産の乾シイタケの魅力を伝える「大分県 うまみだけ 味力発信 発表会」を開いた。ファッションモデルで、3児の母でもある「タキマキ」こと滝沢眞規子さんをゲストに招き、ブランド「うまみだけ」の新商品などもアピールした。

 同県はシイタケ栽培発祥の地ともいわれ、全国的にも珍しい原木栽培を行っている。クヌギの木を利用するサスティナブルな栽培方法で、原木は10年ほど成長したのちに切り倒して栽培に活用、シイタケ発生後のほだ木は自然に還り、切り株からは新たな芽吹きがある、という循環が出来上がっている。

 同県の乾シイタケの生産量は全国の約4割。全国乾椎茸品評会で24大会連続優勝しており、質・量ともに日本一だ。一方で、乾シイタケの生産量は30年前と比べ、5分の1にまで減少している。消費量も2002年の家庭消費量の平均が年107グラムだったものが2022年には40グラムと20年で半数以下に減少している。

 こうしたことから、同県は新たな消費者層の開拓が必要と考え、20年に「家族を幸せにする乾しいたけ」を掲げたブランド「うまみだけ」を開発。乾シイタケといっても多くの品種があり、品種が混在すると食感や水戻し時間に差がでてしまうことから、徹底した品質管理を行い品種別に生産管理した。うまみだけは8種類を用意し、うまみや食感、向いている料理などを品種ごとに紹介している。

 また、多様なライフスタイルに対応した加工食品などの商品開発や応援ソングなども作成し、魅力を発信している。新商品として、贈答用に食べ比べができるセットを発売したほか、今後は手軽に食べられるふりかけや粉末スープなども売り出す。県内各地の宿泊施設などでも、うまみだけを使用したキャンペーンを今年度中に展開する予定だ。

 大分県農林水産部林産推進室の上野美奈子課長補佐は「栄養面でも良いことばかり。ビタミンDが豊富でカルシウムの吸収をよくするなど、女性にピッタリ」と売り込んだ。SNSで料理の発信なども話題になっている滝沢さんは、「子供のころから、乾シイタケが戻されている光景が日常だった。私も料理でよく使う。仕事に行く前に水に浸けて冷蔵庫に入れておくと帰ってからすぐ使える」と日常の一コマを紹介した。上野課長補佐も「水から戻すのが最適で、まさに冷蔵庫利用がおすすめです」と応え、乾シイタケ談義に花を咲かせた。

 発表会では会場の坐来大分料理長も登場し、うまみだけを使ったアレンジレシピを滝沢さんが試食する一コマも。うまみだけのキャラクター一家「旨味多家(うまみだけ)」から「旨味多家ぼく君」も駆けつけ、会場を和ませた。