三浦氏招き宿泊約款学ぶ、次期会長に松﨑久美子氏(全旅連JKK)

岡本尚子会長(前列右から4人目)
岡本尚子会長(前列右から4人目)

 全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会の女性経営者の会(JKK、岡本尚子会長)は1月11日、ディズニーアンバサダーホテル(千葉県浦安市)で定例会議を開いた。JKK発足以来最多の44人の会員が参加。勉強会にはミリアルリゾートホテルズ取締役の桜井孝氏と弁護士の三浦雅生氏が講師として招かれた。岡本会長は「今回が私の会長として行う最後の定例会」とし、「旅館版スピードラーニングの配布などやりたいと思っていたことが最終段階に入ってきてどんどん実現している。これもすべて皆様のおかげ」と謝意を述べた。

松﨑久美子次期会長
松﨑久美子次期会長

 講師の桜井氏は(1)ブランドの維持(2)変えるべきものと変えてはいけないもの(3)安全――について自身の経験を例に挙げながら講演。「現実を見据えて、改善努力を地道に行うこと」の必要性を説明した。三浦氏は宿泊約款の改正について講義。「自分のホテルや旅館にあわせて条文を修正し、不測の事態に備えるべき」と訴えた。

 勉強会終了後は定例会議が行われ、各委員会の活動報告や次期会長内定者のふもと旅館(熊本県・黒川温泉)の松﨑久美子女将が紹介された。松﨑さんは「(実際に現場を)見るということが非常に大切。(この会で)いろいろな場所を視察に行く」と抱負を語った。また、新たに労務関係の委員会と「宿の労働環境改善委員会」が新設される予定だ。

旅行意欲は堅調、支出慎重、訪日者数2700万人を予想(17年旅行動向 JTBまとめ)

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 JTBはこのほど2017年の旅行動向見通し調査の結果を発表した。これによると、訪日外国人旅行者数は過去最高を更新し、2700万人になると予想。日本人の旅行市場は、国内は微増、海外は前年並みになるとし、傾向として旅行意欲は堅調だが、支出に関しては、円安や原油値上げによる物価上昇への懸念などから、慎重になると推測した。

 同社が昨年11月上旬に実施した消費者アンケートにおいて、今後1年間の旅行について質問したところ、今後1年間の総旅行支出について「旅行の支出を増やしたい」が同4・0%増の16・9%と増加した。旅行回数では、「国内旅行が増える」が前年より0・8ポイント減少の13・5%となったが、「海外旅行が増える」は、日本人出国者数が増加していることもあり、5・7%と前年より0・4ポイント増加した。このことから、全体として節約志向ではあるが、旅行への意欲はある程度維持されていることがうかがえる。

 今年は、ゴールデンウイークの日並びがよく、昨年制定された「山の日」が金曜日となることから、昨年よりも3連休が1回多くなる。さらに、2月から「プレミアムフライデー」が導入されることにより、金曜の夜から旅行に出かけるなど、昨年よりも旅行しやすい環境になりそうだ。

 市場別の今年の見通しとしては、国内旅行は旅行人数が同0・4%増の2億9800万人、平均消費額が同0・3%増の3万4920円、国内旅行消費額が同0・8%増の10兆4100億円になると推計されている。

 今年は、5月にJR東日本の「トランスイート四季島」が、6月にJR西日本の「トワイライトエクスプレス瑞風(みずかぜ)」が運行を開始することによって、昨年に引き続き鉄道の旅が話題になると考えられる。

 また、4月に名古屋にレゴ社のレゴブロックをテーマにした「レゴランド」がオープン。レゴホテルも併設されることから、県内外からの来訪とともに、中部空港を利用するアジアを中心とした外国人旅行者の来訪も期待される。

 海外旅行は、昨年は円高が進み日本人の海外旅行者数は回復傾向にあったが、ここ最近やや円安に転じていることを踏まえ、海外旅行人数は前年並みの1700万人と予測する。

 平均消費額は、燃油サーチャージが2月から復活することや、今後円安となる可能性が大きいことから同3・8%増の24万7200円と上昇した。海外旅行総消費額は、同3・7%増の4兆2千億円となる見込み。

 訪日旅行は、円安傾向が持続すれば、日本への旅行がしやすい環境となるが、中国やアジアの経済状況の変化により、旅行の動向にも影響が生じる可能性がある。そのため、伸び率は昨年より鈍化し、訪日外国人数は同12・0%増の2700万人になると予測している。

 16年10月までの日本へのクルーズ船寄港回数は1801回。前年同期比で1・38倍となっている。17年も中国を中心に、クルーズ船による訪日は増加する見込みだ。

 同調査は1泊以上の日本人の旅行(ビジネス・帰省を含む)と訪日外国人について、各種経済動向予測、旅行消費者購買行動調査、観光関連動向、および11月2―14日に実施した1200人へのアンケートなどから推計したもので、1981(昭和56)年の調査開始以来37回目となる。

東京都初乗り410円、タクシー運賃値下げ(国交省)

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 国土交通省自動車局旅客課は1月30日から、東京のタクシー初乗り運賃を引き下げる。タクシーを短距離でも利用しやすくすることが目的で、今後は初乗り運賃の上限が410円、下限が380円となる。対象は東京23区と三鷹市、武蔵野市。同課では事業者に対し、短距離利用者に対する接客マナーなどサービスの改善を求めていく。

 今回の値下げでは、約2キロまでの運賃は引き下げられるが、約6・5キロまでの区間では引き下げと引き上げになる部分がある。約6・5キロ以上は引き上げになる。短距離利用者からの運賃収入が減収することを見込んでの措置。中距離利用者の運賃を引き上げることで、全体の運賃収入が変わらないようにしている。

男鹿温泉郷女将会、団体列車内で観光案内行う

観光案内を行った女将会の3人
観光案内を行った女将会の3人

 秋田県・男鹿温泉郷女将会(佐藤浩世会長)が昨年12月に結成され、17日に運行されたJR男鹿線全線開通100周年記念団体列車「男鹿温泉日帰り忘年の旅」の車内で観光案内を行った。「開通100周年が男鹿半島の観光の起爆剤になる」との思いから初の対外活動に選ばれ、車内で秋田駅―男鹿駅間の景色や男鹿半島の魅力を伝えた。

 秋田県内には女将会が少ない。男鹿萬盛閣の齊藤靖子女将は、「(女将会への)周りからの期待は高いが、(実際に活動してみると)喜んでいただけることが多かった」と初の活動を振り返り、今後は1月に行われる温泉郷の冬のイベントに参加するなど、「温泉街の顔として誘客活動を活発にしていく」と語った。

No.449 ぐんまちゃん家、“歩くDMO”と呼ばれる男

ぐんまちゃん家
“歩くDMO”と呼ばれる男

 東京・銀座、歌舞伎座向かいにある「ぐんまちゃん家」は、県内自治体が観光情報を発信する場として、メディア関係者に認知されてきた。2階のイベントスペースは、情報交換会「サロン・ド・G」のほか、「移住定住カフェ」など多彩な顔を持つ。今回、「サロン・ド・G」の発案者でもある宮崎信雄所長に話を聞いた。自治体からマスメディアまで、幅広い人脈を持つ宮崎氏。かつては、NHK連続テレビ小説「ファイト」の招致も果たしている。行動理念やメディア対応、DMOに対する考えなど、氏の慧眼に触れるインタビューとなった。

【謝 谷楓】

 
 
 
 ――ぐんまちゃん家(ぐんま総合情報センター)の活動について。

 “群馬県に経済効果をもたらす”ことが、我われの根源的な使命です。サロン・ド・Gといった情報発信や、アンテナショップの運営、イベントの企画など多岐にわたる活動すべてが、この使命を果たすための手段となっています。

 結果にこだわることが、ぐんまちゃん家での活動の特徴です。

 情報発信だけではなく、誘客による経済効果も念頭に活動をしているのです。

 ――気をつけていることや理念とは。

 問い合わせに対し真摯に向き合い、親切な対応を心がけています。要望を断らず、“なんなりとお申し付けください”という姿勢で旅行会社や報道関係者に接することを、行動理念としてきました。

 例えば、旅行会社から宿泊施設を紹介してほしいと頼まれた際には、丁寧なヒアリングを行います。まずは、旅行会社の求める条件を十分に理解するのです。続いて施設を紹介するときも、予約の段階まで気を配り、一貫したサポートを心がけています。地域の観光協会を紹介して終わりというような、単なる橋渡しはしません。丁寧なサポートをしてはじめて、誘客増加という結果を期待できるからです。

 このように、コーディネートを重んじる行動理念は、職員間でも共有されています。それが可能となるチームワークの良さもまた、ぐんまちゃん家の特徴です。…

 

※ 詳細は本紙1657号または1月17日以降日経テレコン21でお読みいただけます。

4%増の256億円に、「観光ビジョン」の具体化へ(観光庁17年度予算)

 政府が昨年12月22日に発表した2017年度の観光庁関連予算は前年度比4・0%増の255億9900万円。内訳として一般会計が16年度の200億1500万円から同5・0%増の210億3500万円、復興枠では前年度の45億3千万円から同1・0%増の45億6500万円となった。

 17年度は昨年3月に政府が策定した「明日の日本を支える観光ビジョン」の3つの柱である、(1)観光産業の革新と国際競争力の強化(93億8200万円)(2)ストレスフリーで快適な旅行環境の実現(85億5千万円)(3)地方創生の礎となる観光資源の魅力向上(27億6100万円)――の具体化に取り組む。また、そのほかにも新たに次期通常国会への法案提出が望まれる、民泊サービスの普及(7千万円)や、昨年相次いで発生した旅行業へのサイバー攻撃に対するセキュリティー強化(1千万円)にも取り組んでいく。

 17年度予算の中で、87億100万円と、最も多くの予算が計上された「訪日プロモーションの強化」では、昨年10月30日に訪日外客数が2千万人を突破したことを踏まえ、17年度は新たなマーケットとして、欧米豪市場や、富裕層などの開拓を強化し、新規需要の創出をはかる。具体的な施策として、世界的な広告代理店を活用した質の高い訪日ブランドイメージの浸透をはかり、滞在・体験型観光を好む富裕層向けに的確な情報発信を行っていく。

 85億5千万円が計上された「ストレスフリーで快適な旅行環境の実現」では、滞在時の快適性や観光地の魅力向上をはかるため、観光案内所などに対し、デジタルサイネージの設置や、無料公衆無線LAN環境の整備などへの支援を行っていく。また調査事業も行う「ユニバーサルツーリズム促進事業」は今年度も継続していく。

 3本目の柱である「地方創生の礎となる観光資源の魅力向上」では、酒蔵や産業遺産などの特定の観光資源に魅せられて全国各地を訪れる「テーマ別観光」に1億5100万円を計上した。観光庁は16年度エコツーリズムなど7つのテーマ別観光を選定。16年度全国から多数の応募があり、特定のテーマに沿った観光で、地方への誘客がはかられていることを踏まえ、17年度は、新たにアニメーションツーリズムなど選定のテーマを増やし、さらなる地方誘客に向けた施策を講じていく。

 なお、8月24日に発表された16年度第2次補正予算は208億円で、17年度予算と合計で、463億9900万円となった。

哀悼 野口冬人さん ― 歩く後ろ姿に旅行作家の真髄を見た

 野口冬人さんが年末に亡くなった。野口さんには温泉のことや、旅について色々教わった。感謝の言葉しかない。

 最初に野口さんにお会いしたのは、私が旅行新聞に入って間もない1999年のころだ。何かのパーティーで、遅れて来た野口さんが会場の後ろの方でグラスを片手に立っていた。スーツ姿がひしめくなか、渋いジャケットを着た野口さんは、際立っていた。

 私は恐れ多くも野口さんに近づいて行った。まだ温泉のことを何も知らない業界紙の新人記者が、すでに大家となられていた野口さんに最初に尋ねた言葉は、「最近面白いと思った温泉地はどこですか?」だった。何という不躾な質問だろう。

 野口さんは、答えるに値しない、そんな漠然とした質問にも丁寧に答えてくださった。いくつかの温泉地の名前を挙げられたが、新人の私は、ほとんどの温泉地を覚えられず、そのなかで「東鳴子温泉」という名前はなぜか頭に残り、その後、何度も訪れ、その理由を探した。

 野口さんは伊豆の観音温泉にしばしば行かれていた。15年12月、観音温泉に野口冬人「温泉・山・旅」資料室がオープンしした。鈴木和江社長と野口さんの対談企画などで私も同行取材したことがある。あるとき、下田駅からの帰りに、野口さんは「久しぶりに下田に来たので、せっかくだからちょっと街を見てくる」と、東京に戻る私に告げた。相当に高齢になられていたが、背中にリュックサックを背負い、「下田の街を歩く」と言うのだ。おそらくもう何十回も下田の街を歩いて来られただろう。しかし、それでもまっすぐに帰らずに、自らの足で歩いて、何か一つでも発見して帰ろうと歩き出した後ろ姿に、旅行作家の真髄を見た気がした。

 大分県・長湯温泉のB・B・C長湯に「林の中の小さな図書館」が、ひっそりとある。野口さんが長年蒐集した山岳図書が天井高くまで並んでいる。別名「冬人庵書舎」だ。野口さんが山登りをしていたころの登山靴も展示している。私は九州の実家に帰省した折には、湯も、温泉街の雰囲気も好きな長湯温泉にときどき行くのだが、これからは、また別の意味で感慨深い温泉地となる。

 東京・高田馬場の「旅の本」に囲まれた現代旅行研究所で野口さんと旅行作家の竹村節子さんと話し込むと、近くのファミリーレストランに移動して食事をするのが決まりだった。「車イスでも食事しやすいから」と、野口さんと竹村さんはよく利用していたのだが、間もなく店が無くなるというので最後に食事をしたとき、野口さんはとても残念そうな顔をしていた。

 本紙は毎月1日号で、野口さんと竹村さんが交互に執筆する「宿にひとこと」を連載しているがこの数カ月、野口さんは休筆していた。野口さんの原稿は手書きである。専用の原稿用紙に独特の筆跡で書かれる。それを私は毎回パソコンのキーボードを叩きながら楽しんで書き写していた。初めて野口さんの原稿を見て、すぐに書き写せる人はいないだろう。私も腕を組みながら、これは「何て字だろう」と10分くらい眺めることが多々あった。一生懸命に野口さんの語り口調を思い出すうちに、天から文字が降りてくるように解読できたのは不思議だった。しかし、もうそのような努力もいらなくなったと思うと寂しい。

(編集長・増田 剛)

ツアー自粛考えず、「望みは来ていただくこと」(糸魚川市観光協会)

 新潟県糸魚川市で昨年12月22日午前10時20分ごろ、「糸魚川市駅北大火」が発生。消失面積約4万平方㍍、消失棟数144棟の被害を生み出した。これを受け糸魚川市観光協会の山下建夫会長は29日に「糸魚川市の火災についてのお願い」を発表。「フォッサマグナミュージアム」や「谷村美術館・玉翠園」などの観光施設、駅前通りに面した飲食店が平常営業をしていることを説明し、「市全体がツアーの遅延や不催行、自粛を考えていない」ことを表明した。「今、糸魚川市に来ていただくことが私たちの最高の望みであり、切なる願いです」と強く訴えた。

 今回の火災では新潟県最古の「加賀の井酒造」の酒蔵が全焼。蔵見学を中止しているほか、駅周辺のまちめぐり左方向部分ができない状況になっているが、駅前通り両脇は被害を受けていない。そのため、市内観光への不便は生じていない。

ローカル路線バスの旅

 今年1月2日に放送されたテレビ東京「ローカル路線バス乗り継ぎの旅」で、太川陽介と蛭子能収の名コンビが遂にファイナルを迎えた。2007年にスタートした同番組も足かけ10年。第25弾まで続いた人気の旅(!)番組だ。

 路線バスだけを乗り継いで3泊4日でゴールを目指すというシンプルな番組企画なのだが、毎回ガチンコの真剣勝負でハプニングの連続なのが面白い。最終回も常識で考えれば有終の美を飾って番組終了となるはずだが、結局はゴールできずに失敗で終わってしまうというのが、実にこの番組らしかった。拍手喝采。

 今春から新シリーズも始まるそうなので、太川&蛭子コンビに負けない珍道中を期待したい。そうそう、同じテレビ東京で制作が決定した「孤独のグルメ」の最新シーズンも楽しみだ。

【古沢 克昌】

責任問われる時代、16年観光産業振り返る(JATA)

越智理事・事務局長
越智理事・事務局長

 日本旅行業協会(JATA)の越智良典理事・事務局長は12月22日の定例会見で、2016年の総括を発表した。国際連合が17年を「開発のための持続可能な観光の国際年」としたことに触れ、「観光産業は環境に対する影響も含め『責任』が問われる時代になった」と振り返った。そのほか海外旅行復活や訪日旅行の個人化など、市場分析を交え説明した。

 日本人海外旅行者は16年1―11月累計で対前年5%増となった。12年の1849万人を最後に減少傾向にあったが、年間1700万人台まで増える見込み。市場を詳しくみると12年以降訪中・韓は減少傾向で、ほかの市場は09年から微増傾向だった。

 15年から16年で円高傾向となり動きが変わった。燃油サーチャージの下落も影響し、訪中・韓は回復の兆しをみせた。越智氏は「訪中・韓が戻れば1850万人はすぐに到達できる」と述べた。

 ただ16年の旅行会社の売上高は伸びが鈍く、市場の動きと乖離した。要因の1つに旅行先の変化で単価が下がったことを指摘。テロの影響などで、高単価な欧州は減少し、廉価な近隣地域が伸びたことが響いた。

 もう1つの要因に燃油サーチャージの下落を挙げた。燃油サーチャージは売上高の4―5%を占め、下落すれば基本的に減収増益となる仕組みとなっている。越智氏は「過去にも例は多くある。変化にどう対応するかが重要」と強調した。

 訪日旅行の個人化では、中国のビザを発行するために必要な、形態別身元保証書発行比率の推移を説明。14年からの2年間に訪日個人ビザの取得者は、人員ベース構成比で16・3%上昇した。5人に2人が個人ビザで日本を訪れる。越智氏は「日本人が数10年かけて行った海外旅行市場の変化を、中国人はもっと早い期間で行うはず」と分析した。