クラツー、メールマガジン関東版を一新 「人」にまつわる記事を毎週配信

2018年11月26日(月)配信

インスタグラム投稿写真(例)

クラブツーリズムはこのほど、メールマガジン関東版を一新した。読んで楽しい、来るのが待ち遠しくなるメールマガジンを目指し、「人」にまつわる記事を毎週1回配信する。

リニューアル後は、エリア特派員が届ける旬情報や、 ヒットメーカーが語る「ツアーのこだわり」、人気ツアーナビゲーターを密着取材した記事などを掲載する。関東版の配信先は、東京都と埼玉県、神奈川県、千葉県、群馬県、栃木県、茨城県。11月下旬には、エリア特派員が旬情報として京都「幻のカニ」と「蟹の恩返し」に関する記事を読者に届ける。

 またメルマガ内「当社ロゴに込めた想い・理念」の記事にちなみ、キャンペーンも展開する。同社ロゴへの愛着と親しみを持ってもらうことが目的。同社ロゴ入りオリジナルグッズやクラブツーリズム号バス、ロゴを象った5人の写真のいずれかをクラブツーリズム公式インスタグラムアカウントに投稿するか、指定メールアドレスに送付すると、オリジナルレジャーシートなどが当たる。

「クラツーロゴチャレンジキャンペーン」概要

応募期間:~ 12月5日(水)

応募方法:

①~③いずれかの写真をクラブツーリズム公式インスタグラムアカウントに投稿または指定のメールアドレス宛てに送付。

①所有する同社ロゴ入りオリジナルグッズ(エアクッション、ジャンパー、バッグなど)
② クラブツーリズム号バス(同社ロゴがペイントされたバス)
③ 同社ロゴを象った5人の写真(5名必須、インスタグラム投稿に限る)

※同社発行のツアーパンフレットなど各種発行物、ツアーバッジ、ポスターなどの掲示物は不可。インスタグラム投稿の場合、同社アカウント(@club_tourism)をフォローし、ハッシュタグ(#クラツー #クラツーロゴやってみた)をつける。

添付用メールアドレス:ct_campaign@club-t.com

賞品:

オリジナルレジャーシート(抽選で30人)

③の投稿者はには、ツーリスト旅行券5千円分が当たるWチャンス。(抽選で30人)

韓国観光公社、韓国でのMICE開催を日本で売り込む 

2018年11月26日(月)配信

商談会を行う関係者

韓国観光公社(KTO)は11月22日(木)、東京都内で「韓国MICEセミナー」と商談会を開いた。韓国各地域のMICE担当者やホテル関係者らが、日本の旅行会社の関係者らに、開催地としての魅力を売り込んだ。

 KTOの申相龍東京支社長は、「訪韓日本人観光客数が、今年は290万人を超えると予想されている。この勢いを生かし、皆様の協力のもと、さまざまな取り組みを積極的にはかる」と宣言した。

KTOの申相龍東京支社長

 セミナーでは、ソウルや釜山(プサン)など5都市の観光素材と、インセンティブツアーや企業会議を行う際の支援内容を説明した。韓国の最新の話題では、「ソウル路7017」などを紹介した。「ソウル路7017」は、老朽化した高速道路をソウル市内の観光地を結ぶ歩行者専用路に改修した施設。ソウル市が新しいMICEの特別体験プログラムとして活用している。

 KTO東京支社の伊藤清香マーケティングマネージャーは、「韓国はMICE開催において重要視される、満足度の高いコンテンツやプログラムが充実している。さまざまなニーズに対応できる基盤も整っている」とPRした。

大阪市で台湾・台南市の観光イベント開催 12月14~25日

2018年11月26日(月)配信 

ポスタービジュアル

台灣台南市政府觀光旅遊局は2018年12月14日(金)~25日(火)までの期間、大阪府大阪市にある中之島公園バラ園と同市役所内で、「第4回台湾台南観光イベント 神に照らされたところ『台湾の台南』」を開催する。

台南イメージ

開催概要

大阪・光の饗宴2018[台南・光の廟埕]

台南・光の廟埕

開催日:2018年12月14日(金)~25日(火)

時間:午後5:00~10:00

会場:中之島公園バラ園(西側一帯)

 台湾市民によりペイントされた約1千個のランタンのほか、台南の5つの寺院から、複数の国宝級の絵師により製作された門神(門を守る神)が登場。台南からの祝福と、大阪・台南両地域への祈りを込めて。

光の交流プログラム =台南・光の廟埕= | 大阪・光の饗宴2018
https://www.hikari-kyoen.com/programs/renaissance10
大阪・光の饗宴2018

説唱台南・謝銘祐コンサート 参加無料※整理券配布

台湾語シンガーソングライター・謝さん

開催日:2018年12月15日(土)

時間:午後7:00~8:30(午後6:00入場)

会場:大阪市役所1F正面玄関ホール

 台湾ゴールデンメロディーアワードと最優秀台湾語シンガー受賞の経歴を持つ、台南育ちの台湾語シンガーソングライター・謝銘祐(シェ ミンヨウ)の関西初コンサートを開催する。台湾の人々に広く知れ渡ったオリジナル曲のほか、日本や大阪の影響を受けて作られた往年のヒット曲も披露予定。

台南の底力・展示会

開催日:2018年12月14日(金)~25日(火)

時間:午前9:00~午後10:00(平日)、午後5:00~10:00(土日祝)

会場:大阪市役所1F正面玄関ホール

展示内容〔1〕 Made in Tainan

 台南のさまざまな産業をクローズアップ。台南在住の新鋭カメラマン・PJ Wang氏が台南の各業界における老職人らの物事や段取りに対するこだわりぶりを記録。新興産業の担い手やクリエイターの姿も捉え、どのように職人精神を継承しているのか、また彼らが台南に創出している素敵なモノを展示する。

展示内容〔2〕 大台南.大観光

 近年、台南は日本人の台湾旅行の訪問先トップに。台南市街地「中西区」は、歴史建築や美味しい地元料理が多く存在し、多くの旅行ガイドブックに紹介されているが、旧市街地以外にも魅力的なスポットが多く存在する。本展では「大台南(郊外を含めた台南市全域)」を中心に、各地域の観光スポットやグルメ、特産、土産などを紹介。

HIS、旅行業界初のキャッシュレス決済「PayPay」を導入 国内全店舗で

2018年11月26日(月) 配信 

スマホでキャッシュレス決済が可能に

エイチ・アイ・エス(HIS)は12月1日(土)からHIS国内全店舗(249店舗)で、スマホ決済サービス「PayPay(ペイペイ)」の導入を始めると発表した。ペイペイ導入は、旅行業界初だという。一方PayPayは4日から、最大で支払額の全額が還元されるキャンペーンを開始し、HISも同CPに参加する。

 今回導入するペイペイは、店舗ごとのQRコードをアプリで読み取るユーザースキャン方式での提供となる。キャッシュレス決済を導入することで、決済手段の選択肢を増やし、現金引き下ろしなどの手間をなくすことで、利便性の向上をはかる。

利用の流れ

 PayPay(中山一郎CEO)は、ソフトバンクとヤフーとの共同出資会社。QRコードやバーコードを用いた新たなスマホ決算サービス「ペイペイ」を2018年10月から提供している。

PayPay「100億円あげちゃうキャンペーン」

 「100億円あげちゃうキャンペーン」はペイペイで支払いをすると、支払額の20%が還元されるほか、40回に1回の確率で支払額の全額が還元されるもの。(還元額の上限あり)

12月4日より開始! 100億円あげちゃうキャンペーン
https://paypay.ne.jp/promo/announcement/20181122/
12月4日より開始! PayPayで支払ったら20%戻ってくる!さらに抽選で40回に1回の確率で全額戻ってくる!

※QRコードは株式会社デンソーウェーブの登録商標

【石垣市観光交流協会・大松宏昭会長に聞く】量から質への転換を 長期滞在型を目指す

2018年11月26日(月)配信

 沖縄県の石垣市観光交流協会の会長に今年5月、大松宏昭氏(八重山観光フェリー社長)が就任。石垣島など八重山諸島の昨年の入域観光客数は138万人超と過去最高を記録し、今後もさらに伸びると予測される。そこで現状の課題や、今後の展望について聞いた。

【関西支社=土橋 孝秀】

大松宏昭会長

 ――入域観光客数が絶好調だが現状について。

 昨年の八重山入域観光客数は前年比11・1%増の138万6646人を記録した。今年は140万人を超える見込みで、141万人になるという予測値が出ている。インバウンドがとくに好調で、海外航空路線の増便やクルーズ船の寄港回数増加が数字を押し上げている。そういったなか、今後、観光客数という数字だけを追い求めるのではなく、「質の向上」が急務だと感じている。来ていただいたお客様にいかに満足していただけるか。ブームや一過性のものではなく、将来に向け継続できる観光地にするためには、やはり量から質への転換が重要だ。

 ――質の向上に向けて。

 例えば協会では数年前から星空マイスター養成の講座を実施している。島のホテルや観光施設のスタッフに参加してもらい、試験に合格すればマイスターに認定。それぞれの職場で観光客に八重山の星空の魅力を案内してもらおうという目的だ。今春には国内初の「星空保護区」に認定され、八重山の星空のブランド化が進んでいる。

 定番の離島観光ツアーでは付加価値を高めることが重要だ。私の会社で実施し好評を得ているのが添乗員同行のツアー。離島周遊をアテンドするなかでいろいろなコミュニケーションをとり、お客様に安心・安全を提供することで、離島めぐりが「人と交流するツアー」に昇華した。量から質への転換は簡単ではないが、地道な取り組みを継続していくことに尽きる。

 ――インバウンド戦略は。

 協会として現在、ヨーロッパ市場でのプロモーションを強化している。アジアからのクルーズ船は朝入ってきて、夕方には帰るという通過型観光だ。もちろんそれも大事だが、宿泊型・長期滞在型を目指そうとしている。ヨーロッパからの観光客は消費単価が高く、滞在は少なくても1週間以上。折しも島内では高級リゾートホテルの増築や新規オープン計画が進んでいる。外国からの富裕層が入ってくることも今後想定される。国内観光需要が縮小傾向にあるなか、沖縄観光コンベンションビューローなどとも連携した誘客プロモーションに注力していきたい。

 ――地元の観光への理解は。

 大型商業施設にクルーズ船の観光客がどっと押し寄せ、それを避ける島民から「観光客増えすぎじゃない?」という声も聞こえる。しかし、八重山の経済は観光産業がベースにある。観光産業は裾野が広く、石垣牛をはじめ農水産物が売れるのも観光客が島で消費していただけるから。そのあたりも理解を求めていきたい。

 ――今後の展望は。

 西表島を含めた世界自然遺産候補の2020年の再推薦が決まった。決定すれば八重山全体の認知度が上がるだろう。

 新石垣空港は開港から5年が経過し、観光産業の拡大に対して、手狭な部分がでてきている。国際線ターミナルの拡張や滑走路の延伸などが市で協議されている。

 協会としては引き続き、東名阪といった国内主要都市でのプロモーションを実施し、国内誘客をベースにしながら、インバウンド戦略を展開していきたい。

 

「トラベルスクエア」外国人労働者問題契機に

2018年11月25日(日)配信 

外国人労働者問題を契機に考える

とあるスーパーマーケット。品物が早朝、お店に入ってくる。どうしてもその荷開け、仕分け、店内搬入、陳列の作業は朝早いうちに終えなければいけない。

 そのスーパーは一計を案じ、「急募! 早朝アルバイト、但し年齢制限あり。60歳以上のみ」と書いたチラシをまいたところ、求人予定人数の10倍くらい応募があった。実際に仕事についてもらうと、最初は戸惑うものの、さすが社会生活をたっぷり送ってきた人たち、自分たちで合理的な段取りを考え、スムーズに業務が運ぶことになった。

 応募動機の基本は年金だけでは生活費が足りなかったりと経済的なものだが、なかには早朝の運動がてら稼げるなら、という人もいる。

 だから、人手不足問題を単純労働=誰でもできる―だから安い賃金で済む、というのでは、やはり成り手が少ないのは仕方ないだろう。短い時間でも濃く、やや高い時給で働く提案があれば、高齢者だって活動できる。そういう発想が必要だ。

 今の国会で議論されている外人労働者移入枠の拡大は、当面、宿泊業や外食産業のような下拵えや、裏方作業の部分が多いところには干天の慈雨的な効果があると思う。とにかく目の前の人手不足で、例えば部屋がメークできなくて、お客はいるのに売れないなんて悲劇が横行するのは重大な損失だから、さまざまな難しい問題をはらんではいても、法案の狙いについては理解している。

 でも、まずもって、先の高齢者活用などの日本人雇用努力を目一杯やり、また人手をかけないで、かつお客さんにあまり迷惑をかけないオペレーション改革も考え尽くす必要が前提と口酸っぱく訴えておきたい。

 外国人労働者を安く使えるからといって大量に導入する対症療法だけでは、いちばん必要な「利益が出て、生産性の向上が賃金アップに貢献する」経営フォームづくりが遅れるばかりだ。

 中国をはじめとするインバウンド客数増に頼り切っている今のホテル旅館景気は単純に中国経済が快調だからと考えたい。米中経済戦争もあるし、いつ中国の景気が下降するか予断を許さない。一気に訪日客が減る危険は今も存在する。そうなったら、人手不足が一気に人手過剰になることもありえる。

 人件費は状況に合わせて変えるのが経営の手腕ではない。好況だろうが不況だろうが、常にこれこれのコストで従業員満足の働き方と顧客の満足が両立できるようにするというのが、経営の美しいあり方だ。

 外国人労働者の導入は決して否定しないし、彼らが本当の戦力になることも期待するのだが、人件費の安全弁で導入するなら、かえって経営体質を弱めていくだろう。

(跡見学園女子大学観光コミュニティ学部教授 松坂 健)

 

コラムニスト紹介

松坂健氏

跡見学園女子大学観光コミュニティ学部教授 松坂 健 氏
1949年東京・浅草生まれ。1971年、74年にそれぞれ慶應義塾大学の法学部・文学部を卒業。柴田書店入社、月刊食堂副編集長を経て、84年から93年まで月刊ホテル旅館編集長。01年~03年長崎国際大学、03年~15年西武文理大学教授。16年から跡見学園女子大学教授、現職。著書に『ホスピタリティ進化論』など。ミステリ評論も継続中。

 

「ZOOM JAPON(ズーム・ジャポン)(11月号)」

2018年11月24日(土) 配信

http://zoomjapon.info
クロード編集長

〈巻頭言〉

 11月に入り、パリはすっかり冬の空気に包まれています。日暮れの時刻も早くなり、出不精になりがちな時期ですが、市内では市庁舎前に出現した風呂敷包型パビリオンや、国鉄駅構内での駅弁の販売など、相変わらず日本イベントが目白押しです。日本への関心がカルチャーに集中するなか、特集では、来年日本で開催されるラグビーW杯2019を取り上げました。フランスでラグビーといえば、サッカーと人気を二分する国民的スポーツ。W杯期間中、観戦のために来日予定のファンも少なくありません。誌面では、開催国日本の意外なラグビーの歴史を紐解いています。グルメページではもちろん、花園ラグビー場のある東大阪で話題のカレーパンの作り方を紹介。文化面では、棚田再生を手がけた岡山県の上山集落を取材、旅ページでは広島県のとびしま海道を訪れました。

(編集長 クロード・ルブラン)

特集 ラグビーワールドカップ考察

田村一博氏は日本のラグビーの将来をしっかりと見つめている

 いよいよ初めて日本が開催地となるラグビーワールドカップ2019まで1年を切った。翌年に東京オリンピックを控えた日本にとって、このW杯は大きな意味を持つ。世界に自国の魅力をアピールするチャンスであると同時に、国際イベントの開催地としての実力を試される機会でもある。W杯の成功なしに、オリンピック成功は難しい。もちろん、政治的な目論見ばかりでなく、2015年のラグビーW杯で南アフリカに勝利した日本チームの成長にも注目は集まる。■日本にラグビーが伝わって約150年。その歴史と現状を、「ラグビーマガジン」編集長、田村一博氏に聞いた。■国内のW杯開催地の中で最も小さなホストタウン、釜石市を取材。この世界的なスポーツイベントは、東日本大震災の被災地でもある港町に何をもたらすのか。さらなる復興に向けて立ち上がる人々の姿を、地元の関係者の言葉で綴った。■三島由紀夫の「煙草」から80年代のテレビドラマ「スクール☆ウォーズ」、そして近年のヒット漫画「ALL OUT!!」まで、かつてよりラグビーを主題にしたものは少なくない。W杯の開催でさらなる人気作品は生まれるだろうか。

〈ZOOM・JAPON 編集部発 最新レポート〉パリで日本の物産展

10月末、ミシュラン三つ星ルドワイヤンでルイ・ロブションが手掛けた鹿児島食材フェア

 広島フェア C’est bon JAKEN、秋田フェア Cool Akita in Parisなど、これまでパリでは幾度となく日本の地方物産展が開催されてきました。一般向けの場合、その場で商品を買えるかどうかということが、にぎわいの大事な要素になります。ただなんとなく伝統工芸品を展示し、食品の試食サービスをするだけでは盛り上がりに欠けます。とくに「ジャポニスム2018」の影響下で頻繁に日本関連のイベントが開催されるようになると、中小規模の催し物への客足が伸びなくなりました。その一方では、一部業者のマーケティング方法が以前よりも実践的になり、最近は、個人作家の雑貨から伝統食品までこれまでの漠然とした「フランス人消費者」に向けたアピールから、直接バイヤーと交渉できる大型見本市への出展や、有名シェフと組んだプロ向け試食会など、ターゲットが「社会にものを流通させる側」に移ってきています。ここで結果を得られるかどうかは、商品の質もさることながら、担当コーディネーターや通訳者のスキルにも大きく影響されます。伝統ある大切な地方物産を誰に託すか、まずは現地窓口になるスタッフ選びを大切にしたいものです。

フランスの日本専門情報誌「ZOOM JAPON」への問い合わせ=電話:03(3834)2718〈旬刊旅行新聞 編集部〉

「女将のこえ216」河原 千晶さん、不動口館(大阪市犬鳴山温泉)

2018年11月24日(土) 配信

河原千晶さん 不動口館

女将から兼経営者へ

関西国際空港から車で30分。泉佐野市の犬鳴川渓流沿いに不動口館はある。客室や大浴場からは、「大阪府緑の百選」に選ばれた借景が望め、国内外の顧客を楽しませている。

 千晶さんは、7年前に女将兼代表取締役になった。夫で社長の孝俊さんが、若くして病で他界。大学生だった長男の政幸さんは、もともと継ぐ気でいたが、さすがにまだ早い。「中継ぎをする」と千晶さんは決意し、「僕がいなくなっても、時代に取り残されないように改装計画を進めてほしい」との遺志を継ぎ、大規模改装をやり遂げた。

 経営者になったうえに、借金も抱えた不安はいかばかりだったろうか。しかしこの時期、心強い仲間を得られたという。大阪JKK(女性経営者の会)で出会った不死王閣の岡本尚子さん、大和屋本館の石橋利栄さん、南天苑の山﨑友起子さんだ。「気兼ねなく細かいことも相談できて、互いに応援し合える、この巡り合わせがどれだけ心の支えになったか分かりません」。

 千晶さんは少しずつよりよい旅館づくりを進めていった。顧客に対しては、無料で選べる色浴衣の提供、夕食のデザートを水菓子からデザートプレートへ、乳幼児向けグッズの貸し出しなど、スタッフに対しては週休2日制を導入し、半期に一度は1人30分ほど割いてスタッフ面談を行う。そうした効果が表れているのだろう、離職率は少ないという。

 「人の出入りが激しいと旅館の雰囲気が悪くなりますから、そうならないよう人を大切にしています」。

 「何か困っていることはない?」と耳を傾け、希望を受けて導線にクーラーを設置したり、家庭の事情に配慮したシフトに組み替えたり、来年からネイルの学校に行きたいという若い人にはエールを送り、早めに人材確保に動く。

 「主人がいてくれたときは、私は今日のお客さまのことだけを考えていました。でもいまは、スタッフの働きやすさや地域のことも考えます」。

 インバウンドも初の試みだ。「せっかく関空の近くなのに何してんのん」と女将仲間に背中を押され、恐る恐るインバウンド登録をした。「どないなるんやろと思いましたが、スタッフは意外と平気で、身振り手振りでやってくれる。さすが大阪のノリやと感心しましたね(笑)」。

 この取材後、千晶さんは泉佐野の観光会議に出かけた。関空近くの立地を生かし、市全体で観光需要を育もうとしている。今夏、4年間他社で修業した政幸さんが戻り、安心して出掛けられるのだと嬉しそうにほほ笑んだ。

(ジャーナリスト 瀬戸川 礼子)

住所:大阪府泉佐野市大木7▽電話:072-459-7326▽客室数:10室(45人収容)、一人利用不可▽創業:1932年▽料金:1泊2食付14,000円~(税別)▽温泉:単純硫黄冷鉱泉▽3つの宴会場があり、最大で70人収容。夕食は部屋食。市内全体で観光を活性化しようと、(一社)泉佐野シティプロモーション推進協議会にも積極的に参加している。

コラムニスト紹介

ジャーナリスト 瀬戸川 礼子 氏
ジャーナリスト・中小企業診断士。多様な業種の取材を通じ、「幸せのコツ」は同じと確信。働きがい、リーダーシップ、感動経営を軸に取材、講演、コンサルを行なう。著書『女将さんのこころ』、『いい会社のよきリーダーが大切にしている7つのこと」等。

「観光ルネサンスの現場から~時代を先駆ける観光地づくり~(166)」観光地から感動地へ(福島県会津若松市)

2018年11月23日(金)配信

松平家14代松平保久さんも参加された第3分科会

平成の年号が終わろうとする今年は、きしくも明治改元150年の節目の年となった。

 先月来訪ねた地域だけでも兵庫県朝来市の生野鉱山、横須賀市・呉市・佐世保市・舞鶴市など旧海軍鎮守府の4都市。

 そして直近は、会津若松市である。もっとも、会津若松では明治維新とは言わず「戊辰戦争150年」という表現になる。

 その会津若松では、11月5―7日まで、全国商工会議所観光振興大会が開催され参加した。人口12万人ほどの地方都市に、全国から1300人を超える関係者が集合した。大会テーマは「観光地から感動地へ」であった。

 観光に「感動」は不可欠である。その感動を生むには一連の「装置」が必要だ。観光インフラなどのハードはもとより、観光者を楽しませるさまざまな物語やプログラム、そして何よりも観光客をお迎えする心、つまりソフトとハートである。しかしながら、これら「装置」は陳腐化も早い。かつての団体客が激減し、個人客やテーマ客、そして多国籍の外国のお客様の増加に対して、古い装置のままでは絶えずミスマッチの危機に直面する。この傾向は、観光地としての歴史の古い地域ほど顕著である。

 では、「感動地」とは何か。これはなかなか難しいテーマだが、私のイメージはこんなものである。1つは観光地である前に、地域固有の地勢や歴史を踏まえ、持続的な地域創造への取り組みがあること。地域の生業を刷新し、観光地としての景観を維持する環境保全などの息長い取り組みなどである。

 この持続的な取り組みが観光地としてのブランドにつながる。つまり2つ目はブランドの維持・形成である。 
 3つ目は、地域が歴史のなかで紡いできた多様な地域との連携である。観光はある意味ご縁である。そのご縁を大切にした持続性の担保という言い方もできる。

 そして4つ目は、観光客の感動を生む先進的な取り組みや価値再生。つまり不断のリノベーションである。

 会津は福島県を代表する歴史的観光地である。
 その分、既存の観光に安住している部分も否めない。2日目の第3分科会に登壇された会津松平家14代、松平保久さんは、先月号で紹介した北海道・標津町の会津藩番屋での北海道開拓とロシアとの交易、米カリフォルニア州ゴールド・ヒルの「会津コロニー」の話に触れながら、会津が地域と結んできたご縁などをもっともっと大切にしたいと発言された。同時に「会津観光史観」に潜む固定概念化を克服し、伝統と革新を繰り返す京都観光のようなしたたかさ、レジリエンスといった話も展開された。

 会津が新たな感動と、訪れる人々の共感を得るためには、さらなる革新が不可欠である。これは全国の観光地に共通する普遍的テーマでもあり、今回の観光振興大会の目的でもあった。

紅葉まっさかりの会津東山温泉

(東洋大学大学院国際観光学部 客員教授 丁野 朗)

旅行で生産者にファンを 畑のレストランで福島応援(孫の手トラベル)

2018年11月23日(金)配信

一日限りのプライベートレストラン

 今年5月、福島県須賀川市にある「おざわ農園」のイチゴ畑の真ん中に、ダイニングテーブルが突如現れた。席についた人たちの前には、「苺とヨーグルトのスープ」が運ばれる。1日限りのプライベートレストラン「Food Camp!(フードキャンプ)」の始まりだ。テーブルに並ぶ、ナイフやフォーク、食器はすべてホテルのレストランで使われているもの。イチゴを豚肉で包んだメイン料理にナイフを入れた参加者からは、驚きの歓声が上がった。孫の手トラベル(山口松之進社長、郡山市)が企画するフードキャンプでは、毎回このような光景が見られるという。

「おざわ農園完熟苺尽くしツアー」(今年5月)

人結ぶ企画の発芽

 震災後、福島県内では食の風評被害を払しょくする取り組みが多数行われている。食大学というWeb上の仮想大学もその1つ。県内の優れた農産物や生産者の情報を発信するほか、直接購入できる場として郡山市内で開成マルシェを開いてきた。この取り組みにアル・ケッチァーノ(山形県鶴岡市)の奥田政行シェフが加わり、2014年3月には復興レストラン「Fuku che cciano(福ケッチァーノ)」も開業した。

 山口社長も一連の取り組みを応援するなか、「顔が見えるホンモノの生産者は、信頼回復も早く、震災前以上に消費者に支持されている」と実感した。そこに震災前、鶴岡市内を訪ねた経験がつながった。

 日本調理技術専門学校(日調、郡山市)の社会人講座で鶴岡市を訪問。奥田シェフとともに農家を訪ね生産者の話を聞いた。その後アル・ケッチァーノで食べた野菜のおいしさが忘れられない。「モノがコトに変わった瞬間だった」(山口社長)と振り返る。

 「旅行というカタチで生産者にファンをつけられないか」。生産者と消費者とを結びつける、フードキャンプの原点となるアイデアが発芽した。 

2種類の試行錯誤

 北海道で行われていた「畑でレストラン」という企画を、郡山でも開けたら。そう生産者と話していたとき、偶然中古のキッチンカーを見つけた。「買ってから考えよう」(山口社長)と即座に購入。今から3年ほど前のことだ。

 日調の助言も受け、改造した2㌧車は、電気だけでなくガスも使える設備、100㍑の水タンクも備える。キッチンカー改め「フードカート」の誕生だ。これ1台で何もない場所でも調理できるようになった。

 ただ営業許可は煩雑を極めた。フードカートは食品衛生法上、移動販売車に区分され、通常「単品」で調理の許可が下りる。コース料理を出すという取り組みに「前例がない」という壁が立ちはだかった。さらに場所(農場)も変わるため、届け出る保健所も都度違った。メニューの提出から、調理法の確認など、開催の度に煩雑なやり取りが続いた。

 保健所の手続きは、消費者の安全を第一に考えたもの。丁寧にやり取りを続けていくなかで、「(フードキャンプとは)こういうことなんだ」という理解も得られた。

 フードキャンプ事業に昨年、震災前まで郡山市内で飲食業に携わっていた寺井昌美さんが加わった。まず、取り組んだのが新たな場所を探すこと。県内くまなく歩くなか川内村にあるワイナリーを見つけた。

 景色の素晴らしさに、「いつかはここで」と思い巡らせていたところ、村からオファーが舞い込む。「以降2回も開催させていたただきました」(寺井さん)。当日は買い物もしたいという参加者のために、軽トラックに野菜や特産品を積んだ「マルシェ」も用意。即興で何かが生まれることも多いという。自身も2年前まで参加者だったという寺井さん。フードキャンプの醍醐味を一言でいうと「非日常感」と表現する。

 同じ試行錯誤でも、楽しさが苦しみに勝ってきたようだ。

地元誇り地方創生へ

 3年目を迎えた今シーズンはWebサイトの開設やNHKあさイチでの放送もあり、取り組みが広く知られるようになった。8月にはコピーライターの糸井重里さんが社長を務める「ほぼ日」とも協業した。「県外からの参加者が増えるなか、風評被害払しょくの一端を担っていきたい」(寺井さん)と前を向く。酒蔵での開催など、福島ならではの新しい試みも始まった。

 孫の手トラベルではフードキャンプを、目的でなく地方創生に取り組む手段と考えている。福島に来る人が増えれば、住んでいる人たちも誇りに思える。寺井さんは「地産地消を通じて、福島を盛り上げたい」という。ツアーは入り口。「取り組みが新しいビジネスを生むこと」(山口社長)にも期待を寄せる。

【鈴木 克範】