No.338 「女将のこえ」150回記念 第1弾 - 150人に30項目のアンケート実施

「女将のこえ」150回記念 第1弾
150人に30項目のアンケート実施

 本紙で連載中の「女将のこえ」(毎月21日付)が、今年3月に150回を迎えた。女将の方々の協力のもと、2000年6月の初回からさまざまな女将人生を紹介し、共感を得てきた。人の喜びを自らの喜びとする心は不変である一方、13年間で旅館・ホテルを取り巻く環境は様変わりしてきた。そこで、連載150回を機に、筆者の瀬戸川礼子氏と本紙編集部の共同企画として、30項目にわたるアンケートを実施。分析・発表することで、よりよい経営に役立ててもらうことを目的とした。瀬戸川氏の執筆で3回に分けて紹介する。今回は第1弾。

【編集部】

【瀬戸川礼子氏と本紙編集部 共同企画】

≪女将100人の回答を分析≫

 「女将のこえ」150回記念アンケートは、女将の手元に届いた140通を母数とすると、71・4%もの高い回収率となった。多忙ななか、30項目にもわたる質問に快く回答いただいたことを改めて感謝したい。

 アンケートには、日ごろの女将インタビューを通じて得られた「ほかの人はどう考えているのか」、「実際はどうなのか」といった疑問も盛り込んだ。分析・まとめを発表することで協力に報いたいと思う。

瀬戸川 礼子氏:ジャーナリスト・中小企業診断士。初回から本紙「女将のこえ」を担当。女将取材をライフワークとする。また、社員満足・顧客満足を主題に、あらゆる業種・企業の取材・講演・コンサル活動を行なっている。著書に『顧客満足を生み出す仕組み』(同友館)、『グレートスモールカンパニー』(現代書林)ほか。

※ 詳細は本紙1500号または4月25日以降日経テレコン21でお読みいただけます。

のんびりできない温泉地 ― 弱点の昼間で勝負決まる

 「温泉地でのんびりしたい」と思うのは、きっと多くの人々の共通の願いである。しかし、現実は、ほとんどの温泉地ではのんびりなどできないのである。悲しいけれど、むしろ東京や大阪のほうが、のんびり、ゆったりできる。

 私はドライブ旅行が好きで、日本中、あちこち旅をする。とくに好きなのは田舎道である。クルマの窓を開け、季節を感じる風の匂いを吸い込みながら、ゆっくりと走るのが好きである。温泉も大好きなので、道路脇の看板に温泉地の地名が現れると、寄らずにいられない。古くから湧く温泉地の歴史の象徴である共同浴場や、秘湯と呼ばれる宿で個性的な湯を自然の中で楽しむ。そこまでは、文句のつけようのない半日である。

 旅の大きな楽しみの一つに食事がある。ハンドルを握りながら、「何か美味しいものを食べよう」と道の左右を探すのだが、いつだってチェーン店以外はあまり見つからない。幾つかの廃屋になったままのレストランが続き、やがて山の中に向かい、温泉地に到着する。「温泉地には1軒くらいまともなレストランはあるだろう」と淡い期待をしながら探すのだが、大抵、見事にその期待は裏切られてしまう。温泉地で美味しいランチを食べるということは、それほど難しいことなのである。

 ミシュランも、東京や関西をはじめ、主要都市部・観光地で星付きレストランを紹介しているが、日本の田舎道で“きらりと光る”レストランを網羅するのはまだまだ時間がかかる。

 温泉地の弱点は昼間である。観光地としては、最も多くの人でにぎわうはずの時間帯が、“ゴーストタウン化”してしまっている温泉地を数多く見てきた。夕方遅くお客が来て、早朝に去って行く。温泉地は夜だけの顔で今後も存続していけるのだろうか。活気のある温泉地は、昼間だってにぎわっている。

 長野県・戸倉上山田温泉は、4月から毎月26日の昼間に、旅館のお風呂を無料開放する。旅館にとってのメリットは何か。滝の湯の武井功氏は「昼間の時間帯に温泉街に活気が出る。宿が地元の食事処のマップを配ることで、滞在時間が増える。また、地域の人にも自分の宿を知っていただく機会となり、旅人との会話の中で宿を紹介してもらえる」と語る。勝負の分かれ目は、午前10時から午後3時である。

(編集長・増田 剛)

銀座に旗艦店オープン、ウェディング4社と共同で(JTB首都圏)

生田亨JTB首都圏社長
生田亨JTB首都圏社長

 JTB首都圏(生田亨社長)はこのほど、ウェディング専門店「ウエディングプラザ銀座本店」をオープンした。同店は、1都3県の主要エリアの店舗内にあるウエディングプラザ、ウエディングデスク10拠点の旗艦店としての機能を担う。

 同店は、海外現地で運営しているウェディング会社のワタベウェディング、アールイズウエディング、ワールドブライダル、TAKAMI BRIDALと共同で運営。生田社長は「式場を決めるまではJTBが強いが、ドレスや食事などパーツは専門のウェディング会社の方が情報をたくさん持っており、4社と共同でより多くの情報を提供していきたい」と語った。1つの店舗で旅行と挙式の両部門をトータルにサポートできる体制を目指し、7つのブースとウェディング会社それぞれ1ブースずつの計11ブースで対応をする。

 JTB首都圏の取り扱いは、方面別ではハワイが61%、グアムが24%、バリが5%と、リゾートウェディングだけで9割を占める。同店オープンにより、3年後にはウェディングを年間取り扱い3千組から4千組、ハネムーンを2万組から2万5千組への大幅アップを目指す。

観光地支援の公募、締切4月19日まで(観光庁)

 観光庁はこのほど、13年度新規事業となる、地域独自の「ブランド」の確立を通じた日本の顔となる観光地域創出に向けた地域の取り組みを支援する「観光地域ブランド確立支援事業」の公募を始めた。

 補助額は、観光地域ブランド基盤づくり支援に係る経費補助が上限500万円で、観光地域ブランド確立支援に係る経費補助が事業費の4割。補助対象事業者は、観光圏整備法にもとづき作成され、認定を受けた観光圏整備実施計画に記載されている「観光地域づくりプラットフォーム」。締め切りは4月19日で、補助金交付の決定は5月を予定している。

 同事業は、13年度予算で3億4300万円を計上。国内外から選好される国際競争力の高い魅力ある観光地域づくりの促進を狙う。

翻訳版「100選」冊子を発刊、韓国・台湾・香港の旅行会社に配布

ハングルと繁体字の2版で発行
ハングルと繁体字の2版で発行

 旅行新聞新社は、今年1月に発表した第38回「プロが選ぶ日本のホテル・旅館100選」(以下、旅館100選)のランキング一覧や入選施設の情報を翻訳した冊子を発行し、韓国・台湾・香港の旅行会社など約2300社に無償配布しました。

 本社主催の旅館100選は、今年1月の発表で38回を数え、観光業界の新春恒例事業として広く認知いただくようになりました。旅行商品造成はもちろん、さまざまな企業様の販売促進キャンペーンなどにも活用頂いております。今年は、旅館100選の事業価値をさらに高めるため、ロゴマークも刷新し、ご案内させていただきました。

 翻訳版「旅館100選」冊子を発行は昨年に続き2回目となります。繁体字版・ハングル版の2版の翻訳版「旅館100選」冊子を発行し、4月上旬に国際郵便で韓国、台湾、香港の旅行会社(訪日旅行資格を持った正規旅行会社)・旅行関連団体、約2300カ所に無償配布しました。本紙購読の皆様には、見本として「繁体字」版をお届けしましたのでご覧ください。

「リメンバー九州」開始、シニア世代に懐かしの旅

パンフレット
パンフレット

JR西日本と5県が共同

 JR西日本は3月21日、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島県を対象にした「リメンバー九州」キャンペーンを4月1日から1年間、5県と共同で実施すると発表した。かつて新婚旅行や修学旅行で九州を訪れたシニア、団塊世代の旅行需要を拡大するのが狙い。

 プロモーションでは団塊世代に人気の歌手・谷村新司夫妻を起用し、テレビCMやポスターなどで思い出深い九州への旅を訴えかける。

 JR西日本管内と中京圏のJTB、日旅、近ツー3社などがキャンペーン専用の商品を造成して送客を強化。さらに宮崎、熊本、鹿児島エリアではANA、JALと連携して、伊丹―宮崎便を利用した片道航空機、片道JRの商品(宿泊地は宮崎県内および鹿児島県霧島エリア)も9月30日まで設定した。3社連携は初の試み。

 旅行商品の購入者には「引換券」を渡し、駅の観光案内所などで九州の観光情報を満載した「九州5県パスポート」と1945年から現在までの写真を記載した特製カレンダーをプレゼントする。

 パスポートには長崎の吹きガラス、熊本の辛子れんこんづくり体験、宮崎焼酎ミニボトルなど5県のプレゼント特典も付く。宿泊施設では、希望の記念日当時の地元紙1面記事もプレゼントされる。思い出写真の提示で受けられる特典や昔懐かしい料理も味わえる。このほか、観光地スタンプラリーも実施。昔懐かしい駅弁も販売する。着地でのまち歩きや温泉巡り情報なども提供する。

 JR西日本の黒田岳司九州営業部長は「JR西日本としてもターゲットを明確にしたキャンペーンは初めて。シニア、団塊世代にしっかり訴えていきたい」と意気込みを語った。

5県のゆるキャラ登場
5県のゆるキャラ登場

 同日は5県のゆるキャラも勢ぞろい。オリジナルポーズを決めて、キャンペーン盛り上げに一役かった。

ガイドライン周知を、ハンデ旅行者の対応検討(TCSA)

山田隆英会長(左)、三橋滋子事務理事
山田隆英会長(左)、三橋滋子事務理事

地位の安定・向上へ、グリーン・ブック活用訴え

グリーン・ブック
グリーン・ブック

 日本添乗サービス協会(山田隆英会長、48会員、TCSA)は3月22日、2013年度通常総会を開いた。13年度は、新規事業として派遣添乗員の業務ガイドライン(グリーン・ブック)の周知徹底と、ハンデキャップを有する旅行参加者への対応を検討していく。また、高齢化する添乗専門職の活用や、人材確保・人材育成なども引き続き展開していく方針だ。

 山田会長は「1月4日に一般社団法人として衣替えをしたが、事業内容は今までと変わらない。今後も優秀な添乗員の育成、添乗員の社会的地位の向上、TCSAと観光業界の発展に寄与していきたい」と話した。

 添乗員の地位の安定・向上の取り組みについては、「派遣添乗員の業務ガイドライン&添乗業務対応事例集 労働者派遣法改正の概要」(グリーン・ブック)の周知徹底に努め、現場での活用を協会側から訴えていく。同冊子は、2月に会員会社や関係機関に6千部を配布。労働者派遣法の改正に対応し、雇用者責任と使用者責任を明確に提示している。過去、業界内で討議した内容の再点検と原点に立ち返るツールとしての活用を求めた。

 近年、ハンデキャップを有する(障害者や要介助者)旅行参加者が多い問題を挙げ、13年度は日本旅行業協会(JATA)と協力し対応の改善策を検討することを明らかにした。三橋滋子事務理事は「一見、健常者に見えるが、目に見えないハンデキャップを持った参加者もいる。認知症の参加者が乗り継ぎ空港で行方不明になったことや、介助者自身が高齢で障害者の介助が果たせないケースなどさまざま。添乗員が介助にかかりっきりで、ツアー催行が難しくなるケースもあった。現場からは対応に苦しむ声が後をたたない」と報告した。

 同協会は、JATA社会貢献委員会に対し、介助を必要とする旅行参加者の対応について(1)旅行申込時点での情報収集(2)各社のホームページに掲載(3)メディア販売商品での確認の徹底(4)トラブルの実態内容の報告――の4点の改善を依頼。会員各社からもトラブル事例を収集し、旅行会社の個々に対しても改善を要請している。

特別委の議論反映、JATA13年度事業計画骨子

地域振興など盛り込む

 日本旅行業協会(JATA)は4月3日、2013年度の事業計画骨子を発表した。昨年度から設置した政策検討特別委員会の議論を反映し、摘出した課題のなかから、地域振興や若者への旅行喚起、航空諸問題への対応など、早急に取り組むべき短期課題を重点項目に盛り込んだ。

 大きなテーマは「『旅行業価値創造』元年―観光立国実現に向けた飛躍の年―」。同日の会見で長谷川和芳事務局長は、「今までも旅行業の優位性など時代の流れのなかで、どう価値を出すか取り組んできたが、改めて今年を価値創造元年として、飛躍の年にするべきだという大きな宣言」と意気込みを語った。

 計画は6つの基本方針のもと、重点課題を大きく5つ設置。それらを事業展開の方向性として各委員会や支部の個別の事業計画に落とし、部門別の計画のなかで具体的な数値目標を設定する。

 重点課題(1)「旅行会社による新たな価値の創造」は、旅行会社自らがトレンドを作り出すような観光開発力アップや宿泊旅行拡大による着地型旅行の普及と地域振興の推進、訪日旅行の質の向上などをあげる。(2)の「新たな旅行需要創出等への取り組み」は、短期課題のなかでもとくに重要な若者への旅行喚起などで、具体的にはSNSの活用や旅行が若者に与える効果など科学的検証も行うという。

 (3)は「旅行会社の経営基盤の安定化」。従来から課題の航空諸問題や旅行業約款改正の実現、環境変化に対応した旅行業法制度の検討などに対応していく。

 また、単年度の活動ではなく、15年度を目途に継続検討していく長期課題として、(1)新しい旅のスタイル、価値観を提案する旅行業ビジネスモデル確立(2)観光地域の魅力創出など旅による地域振興の推進(3)国民の休暇取得の促進――の3点を加えた。

雲竜和紙ランプ優勝、おみやげコンテスト2013(観光庁)

雲竜和紙ランプ
雲竜和紙ランプ

 観光庁は3月19日、「魅力ある日本のおみやげコンテスト2013」の表彰式を開き、グランプリは広瀬創作工芸(京都府)の「雲竜和紙ランプ」が受賞した。日本の文化・技術を先進的な感覚で取り入れた「COOL JAPAN部門」金賞には青山企画(東京都)の「Kimonoボトルカバー」が選ばれ、台湾賞とドイツ賞のトリプル受賞となった。

 観光庁の井手憲文長官は「今年は、雲竜和紙ランプとKimonoボトルカバーが大会初の同点となった。審査基準に従い、外国人点数の高かった雲竜和紙ランプの優勝になったが、良い作品の応募が多かったことがゆえん。うれしい悲鳴だ」と述べた。外国人が見てストレートに〝日本〟を感じることができる「TRADITIONAL JAPAN部門」の金賞は、マインド(山形県)の「微笑雛こけし」が受賞。素材・品質・技術において日本が有する高い品位・品格が感じられ、販売価格1万500円(税込)以上の「LUXURY部門」には、ヒロタグラスクラフト(東京都)の「江戸切子 ぐいのみ 赤・黒 市松、篭目紋」。安くてお買い得感のある実用的なもので〝和〟の知恵や技・デザイン・センスが感じられ、販売価格が1050円(税込)の「REASONABLE賞」には、陶磁器総合商社カネワカ商店(岐阜県)の「紅金富士タンブラー」が選ばれた。同大会は、今年で9回目を迎え、応募総数は636点だった。

旅館業「いせん」が選出、おもてなし経営企業選(経済産業省)

吉田敦子氏(左)と、力石寛夫委員長
吉田敦子氏(左)と、力石寛夫委員長

 経済産業省は3月26日、「おもてなし経営企業選」の選出企業50社を発表し、旅館業から「いせん」(井口智裕代表)、航空会社からは「スターフライヤー」(米原愼一代表・社長執行役員)が選ばれた。

 同事業は「おもてなし経営」を世間に広く紹介し、他企業の経営改革のきっかけ作りになることが目的だ。サービス事業者に対し、選出企業がビジネスモデルの1つとして普及することで、経営改革の促進や地域経済の活性化を目指している。

 選考委員長の力石寛夫氏は「〝おもてなし〟と言うと、顧客満足度(CS)と捉えている人が多いが、今回の選考では従業員満足度(ES)を優先した。働く人が幸せに仕事をしていない環境で、どのようにしてお客様と幸せの共有ができるのか」と述べ、ESの重要性を訴えた。

 経済産業省の商務情報政策局サービス政策課の吉田敦子課長補佐は「今後は、選出された企業の事例をセミナーやフォーラムで発信していく。同大会の来年度開催は未定だが、継続事業として考えたい」と意欲を示した。

 応募総数は146社で、1次審査の書類選考では80社まで絞りこみ、80社すべての経営者に1時間のヒアリングを行った。最終選考前の現地調査では50数社を訪れ、従業員からもヒアリングを行っている。選考基準は、(1)経営者が従業員の意欲と能力を最大限に引き出す育成をしているか(2)地域・社会との積極的な関わりを大切にしているか(既存顧客との関係強化や潜在顧客の掘り起こし)(3)顧客のニーズに合致した高付加価値化や差別化サービスを継続的に提供しているか――などが挙げられた。

 今回選出された50社の「おもてなし経営」のポイントがまとめられた冊子は、5月以降に各経済産業局および中小企業基盤整備機構の地域本部で配布予定。

 選考委員は次の各氏。

 新井和宏(いい会社をふやしましょう理事)▽大久保寛司(人と経営研究所所長)▽小川孔輔(法政大学大学院イノベーションマネジメント研究科教授)▽瀬戸川礼子(ジャーナリスト、中小企業診断士)▽力石寛夫(日本ホスピタリティ推進協会理事長)▽戸倉蓉子(ドムスデザイン代表)▽内藤耕(産業技術総合研究所サービス工学研究センター副研究センター長)▽守屋高弘(中小企業基盤整備機構経営基盤支援部審議役)