ワクチンのチャリティーCPに協賛 東武トップツアーズ

2021年9月6日(月) 配信

JCVがインスタで「小さな幸せ、ひとつのワクチン」CP実施

 東武トップツアーズ(百木田康二社長)はこのほど、SDGsの取り組みの一環として、NPO法人「世界の子どもにワクチンを 日本委員会」(JCV)が行う「小さな幸せ、ひとつのワクチン」チャリティーキャンペーンに協賛すると発表した。同社は2009年から、JCVのパートナーとして、ワクチンを贈る活動に参画している。
 
 「小さな幸せ、ひとつのワクチン」チャリティーキャンペーンは、JCVが9月5日の「国際チャリティーデー」に合わせて、9月5日~10月9日まで実施するもの。子供の写真の投稿やシェアを通して、人々の優しさの連鎖を生み、支援や寄付、SDGs・CSR活動への共感につなげることが目的。インスタグラムで、 「#sharefor1smile 」をつけて子供にまつわる投稿をすると、写真1枚につきワクチン1人分が寄付される。

 キャンペーン開催期間中は、同社公式アカウントでも旅と子供にまつわる写真をハッシュタグをつけて投稿し、世界の子供たちにワクチンを届ける活動に参加するという。

 同社は「本キャンペーンを通じ、SDGsの『3.すべての人に健康と福祉を』および『17.パートナーシップで目標を達成しよう』の実現を目指し、これからもパートナー企業としてJCVの活動に積極的に協力していく」とコメントしている。

 

3・3%増の425億円を要求 観光復興の本格化と「稼げる観光地」へ(22年度観光庁予算概算要求)

2021年9月6日(月) 配信

概算要求総括表(観光庁資料より編集部が作成)

 観光庁はこのほど、2022年度予算の概算要求で、前年度予算比3・3%増となる425億3500万円を求めた。このうち、一般会計は177億3500万円(同19・7%増)。東北復興枠は計8億円を要求した。国際観光旅客税(出国税)を充当する項目には240億円(同8・0%減)を計上した。ポストコロナを見据えた本格的な観光復興の実現をはかるほか、「稼げる観光地」へ転換するための支援や取り組みを実施していく。

地域独自の観光資源で稼げる観光地をつくる

 22年度予算は前年と同様に、新型コロナ感染症への対応や緊要な経費は上限額なしの「事項要求」として、別途所要の要望を行うことができる。今後の感染状況や観光需要の動向なども踏まえ、国際観光旅客税の歳入見通しも考慮し、年末に向けて予算編成過程で検討する。

 事業イメージとしては、「地域独自の観光資源を活用した地域の稼げる看板商品の創出」を目指す。自然や食、歴史、文化、芸術、地場産業などの、地域ならではの観光資源を活用したコンテンツについて、ブランディングや販路開拓を支援する。

 また、観光地の中核となる宿泊施設の改修などにより観光地を再生し、観光サービスの高付加価値化を地域一体となって面的に実施する取り組みを、重点的・集中的に支援していく考え。

2つの新規事業でコンテンツ・モデル形成

 22年度の新規事業は2つ。ポストコロナを見据えた新たなコンテンツ形成支援事業と、持続可能な観光推進モデル事業にそれぞれ4億5000万円を求めた。

 新たな市場やニーズを開拓し、誘客に取り組もうとする地域に対して、専門家の派遣支援を行う。また、このコンサルティングを受けたコンテンツを活用した取り組みのモニターツアー実施への支援も行う。

 とくに、「第2の故郷づくり」として中長期滞在者や、反復継続した来訪者の増加を目指す地域には、その地域との継続した関係性を築くためのきっかけ作りを支援する。例として、プロボノ(自らの職業を通じて得たスキルや知識を提供するボランティア活動)や、貸農園・農産物のオーナー制度、お祭りへの定期的な参加など。これらの効果・課題を検証し、優良事例の横展開をはかっていく。

 また、持続可能な観光推進モデル事業においては、サステナブルツーリズムとして日本が世界の旅行者から選ばれる観光地になるよう、「日本版持続可能なガイドライン(JSTS―D)」の実践を通じてモデル形成を行う。

 このガイドラインは、観光計画ガイドラインの策定に役立つ自己分析ツールや、地域が一体となって観光地づくりに取り組むためのコミュニケーションツール、ブランド化や国際競争力の向上を目指すためのプロモーションツールとしての役割を持つ。

 これまでモデル地域として支援したのは15地域。普及・啓発を行ったのち、モデル地域の認証制度を設ける予定だ。

観光産業の新たなビジネス手法を支援

 観光産業の新たなビジネス手法の導入については、前年度の予算から7倍におよぶ7億円を充当した。宿泊業を地域の観光産業・旅行消費の核となる業種として捉え、宿泊施設を中心として地域全体に広がる付加価値を生み出す取り組みを支援する。

 宿泊事業者+旅行事業者+サブカルなどといった、特定のターゲットに対するハンドメイドな旅行サービスの提供など、複数の業種が連携し新規サービスを導入する。

 また、単純な泊食分離だけではなく、セントラルダイニング導入も含めた、食の魅力の向上や、参加する飲食店の活性化を目指すなどの取り組みを支援する。

 戦略的な訪日プロモーションには、内数として最大の84億3000万円(同14・3%増)を充当した。

 訪日外国人旅行者が大幅に減少している一方で、新型コロナウイルスワクチン接種の進展により欧米を中心に国間の往来を再開する動きも見られる。今後、段階的な国際観光の再開が見込まれるとして、インバウンドの早期回復をはかる。「2030年訪日外国人旅行者数6000万人、訪日外国人旅行消費額15兆円」の目標達成を引き続き目指していく。

出国税は240億円、予算編成で検討する

 このほどの出国税の規模は、国際民間航空機関(ICAO)による22年度の航空需要の回復推計値をもとに240億円を要求した。

 例年では前年度4~3月の出国者実績で出国税を算出している。前年は算出方法を踏襲しながらも、新型コロナ感染拡大による渡航制限でインバウンドが99・9%減という状況を鑑みて、19年8月~20年7月までの出国者数(約2900万人)で算出した。

 出国税を充当する予算に関しては、既存政策の財源の単なる穴埋めをするのではなく、①受益と負担の関係から負担者の納得が得られる②先進性が高く費用対効果が高い取り組み③地方創生を始めとする日本が直面する重要な政策課題に合致する――の3点を基本的な考え方としている。

 前年度の事業例として、ストレスフリーで快適に旅行ができる環境の整備や、地域固有の文化、自然などを活用した観光資源の整備などによる地域での体験滞在の満足度向上──などを実施した。

 具体的な施策・事業については、硬直的な予算配分とならず、毎年度洗い替えが行えるように、観光戦略実行推進会議において、民間の有識者の意見を踏まえつつ検討を行い、予算を編成する。

免税店とIRに税制改革要求

 今回観光庁独自の税制改革要求は、消費税免税制度に係る免税対象者の明確化について求める。

 現行の免税店制度においては、各免税店において非居住者判定などを行う確認業務や、手続きの煩雑により待ち行列が発生している。このことから、免税対象者を「外為法に規定する非居住者」かつ「短期滞在者など」にし、確認方法も併せて明確化することで、確認の手続きが円滑になり、旅行者のショッピングツーリズムの満足度向上を目指す。

 また、IRに関する税制について21年度与党税制改正大綱を踏まえて具体化することを要望した。

 東日本大震災からの復興(復興枠)としては、福島県における観光関連復興支援事業に5億円を要求した。このほか、ブルーツーリズム推進支援事業として3億円を要求。ALPS処理水の海洋放出による風評対策を行う。事業例として、老朽化した海の家の改修や、ブルーフラッグ認証の取得に必要となる取り組みへの支援を通じ、海の魅力を発信するブルーツーリズムの推進をはかる。

 定員要求では、宿泊業の活性化に向けて宿泊業のあり方を構造的に改革するものとして、観光産業課に宿泊業振興企画官を要求。これに合わせた定員の増量も求める。

竹取物語がテーマ 福島県・二本松の菊人形 10月1日(金)-11月23日(火・祝)に開催

2021年9月6日(月) 配信

 今年66回目を迎える「二本松の菊人形」は、「竹取物語」をテーマに2021年10月1日(金)~11月23日(火・祝)の期間、福島県二本松市内の県立霞ヶ城公園(国指定史跡二本松城跡)で開かれる。

 かぐや姫から始まる日本昔話の世界を、色鮮やかな菊人形で表現する。二本松には藩政時代から菊の愛好者が多く、昭和初期には菊人形が街に飾られていた。その後、1955(昭和30)年から趣向を変え、現在の「菊の祭典」として、華々しく開かれるようになった。会期中は艶やかな菊の花と色づく紅葉が会場全体を埋め尽くす。

 入場料は大人900円(20人以上の団体は800円)、中学生以下は無料。

 マムフェスティバルも開催

 期間中、菊人形会場内では「にほんまつマムフェスティバル2021」も同時開催する。

 マムとは「菊」の別名で、おもに欧米で品種改良された菊が、マムと呼ばれている。近年では、重陽の節句(菊の節句)や母の日、ブライダルなどでも使われ、二本松市内でもさまざまな色やカタチのおしゃれなマムが栽培されている。

 伝統的な菊のイメージと違った、さまざまなマムを使った作品の展示やフラワーアレンジメントなどのワークショップを開催する。

千曲市でワーケーション、長野県在住者向けに実施 9月29日~10月1日(ふろしきや)

2021年9月6日(月)配信

千曲の名所でワーケーションを体験

 ふろしきや(田村英彦代表、長野県千曲市)は9月29日(水)~10月1日(金)までの3日間、地元の人が気軽に千曲市ワーケーションを体験できるイベント「地元deワーケーション」を実施する。募集人数は30人程度。参加料は2泊3日で3万2000円(税込)。1泊2日、日帰りも受け付けている。

 新型コロナウイルス感染拡大に伴い旅行を控える人が多いなか、住んでいる地域の魅力に目を向け直すマイクロツーリズムに注目が集まっている。同社は、長野県在住者に向けた「地元deワーケーション」を開き、独自の配車アプリ「温泉MaaS」を使いながら地元の人でもなかなか知らない千曲市のワークスペ―スや名店を紹介する。

 「温泉MaaS」とは、温泉地を含む観光地において、ワーケーションとモビリティサービスを組み合わせて、さまざまな交通手段をワンストップで利用できるサービス。ワーケーション参加者は移動したいときに、行きたい(仕事に合った)場所に行くことができる。支払いはチケット制で、一部カフェでドリンクと交換することもできる。

 同イベントは、全国からオンラインでワーケーションに参加する「おうちdeワーケーション」と同時開催となる。オンラインを通じて全国の参加者との交流も可能だ。

 申し込みフォームは、ワーケーションLINE公式アカウントから。応募が多い場合は抽選となる。

10月から熱川温泉郷で宝探しイベントスタート

2021年9月6日(月) 配信

太田道灌公が遺した謎を探し出すというストーリー

 熱川温泉観光協会(静岡県・東伊豆町)は10月1日(金)~12月31日(金)、熱川温泉郷を舞台にした宝探しイベントを行う。

 観光協会で配布する、謎を記載する熱川温泉のマップを手に、温泉や地域の歴史を学びながら謎を解くイベント。宝を発見した人は、熱川温泉の利用券などが当たる抽選に参加できる。

 今回のイベントは、静岡県の高付加価値化商品造成事業費補助金を活用して企画された。熱川温泉の誘客・集客のための高付加価値化商品としてまちあるきを促すコンテンツを作成することで、熱川温泉訪問の目的付けや、満足度を向上することが目的。事業計画として、「温泉を使った食をテーマとした商品の企画開発・実証実験」、「謎解き街歩き商品の企画開発・販売促進」を予定する。

多数の撮影に使われる「セルリアンタワースイート」観覧付きプラン発売 セルリアンタワー東急ホテル

2021年9月6日(月) 配信

セルリアンタワースイート(リビング)

 セルリアンタワー東急ホテル(東京都渋谷区)はこのほど、映像作品や雑誌の撮影などに使われる「セルリアンタワースイート」の観覧ができる宿泊プランを売り出した。

 同客室では最近も、ドラマ「彼女はキレイだった」のロケ撮影が行われ、ファンから「室内が見たい」との問い合わせを多く受けている。今回のプランはこうしたファンの声を受けて企画した。宿泊日当日の午後3時から5時の間の20分間、作品の世界観に浸りながら客室見学を楽しめる。

 宿泊は、高層階ならではの開放感のある景色を楽しめる32階以上のエグゼクティブフロア。室内にはDVD/Blu-rayプレーヤーも用意しており、映像データを持参して放映シーンを振り返ることができる。

 料金は2人利用の場合平日・休日が4万円、土曜・休前日が5万円。3人利用時は平日・休日が5万7000円、土曜・休前日が7万2000円(いずれもサービス料、消費税込、朝食付き)。朝食は、エグゼクティブラウンジ(35階)で洋食セットメニューを味わえる。 

【名称募集中】黒部峡谷と立山黒部アルペンルートを結ぶ新観光ルート 2024年の始動に向け

2021年9月6日(月) 配信

 富山県は、2024年(予定)の黒部ルートの一般開放・旅行商品化に向け、日本一深いV字峡・黒部峡谷の欅平から上流の黒部ダムまでの約18キロにわたる「通称:黒部ルート」の名称を募集している。応募は2021年10月31日(日)まで。公式WEBサイト または 郵便はがき・FAXのいずれかで受け付けている。

 採用された名称を応募いただいた人のなかから抽選でペア3組6人に一般開放される新ルートへの無料招待券(副賞:旅行券10万円分)を、また全応募者から抽選で富山県産品を選べる「トヤマカード」や「黒部宇奈月カレーセット」をプレゼントする。

新ルート(通称:黒部ルート)の特徴

2024年、一般開放される新しい観光ルート

 1:黒部川第四発電所の建設などに伴い整備された約18キロの工事用ルート。現在も発電所の保守や工事に使われており、本来、工事関係者以外は立ち入ることができない。

 2:蓄電池機関車やインクラインなどの乗り物で進みながら、地底に作られた多様な電源施設や設備、掘削時岩盤温度が160度に達した高熱隧道など、電源開発の軌跡を体験できる。

 3:荒々しい稜線が織りなす裏剱(うらつるぎ)や仙人谷(せんにんだに)など、長く険しい道を辿った登山者など限られた人しか目にすることのできない黒部奥山の絶景を満喫できる。

 4:2018年に富山県と関西電力が締結した協定により、安全対策工事完了後、2024年度からいよいよ一般開放される。これにより、日本一深いV字峡である「黒部峡谷」と世界的な山岳景観を誇る「立山黒部アルペンルート」を結ぶ新たな観光ルートが形成される。

「井川今日子のおもてなし接客術(50)」 コミュニケーションスキルを磨こう

2021年9月5日(日) 配信

 今年、新入社員研修を担当した旅館でフォロー研修をするため、約3カ月間現場で働いての感想や課題などをヒアリングする事前アンケートを実施しました。すると、回答者全員が、コミュニケーションに苦手意識があることが判りました。

 お客様が接客の良し悪しを判断するのは、そつのない対応よりも気持ちの良い会話ができたかどうかです。

すなわち、コミュニケーションの出来不出来が、接客評価に大きく関わるため、今のうちにこの苦手意識を取り除く必要がありました。

 コミュニケーションには受信側と発信側があり、旅館のスタッフはこの両方のスキルを上達させる必要があります。

 まず【受信側】のポイントは、①お客様がとにかく気持ち良く話ができる環境を整える②お客様に興味・関心を見せる③受信するだけでなく発信もすること。

 次に【発信側】のポイントは、①価値のある情報提供をする②お客様が喜ぶ情報か判断する③質問を良く理解し、正確な回答をすること。

 とくに気を付けたいものが2点あります。1つが【受信側】の③です。「受信するだけでなく発信もすること」では、受信だけで終わってしまうと、会話を拒否しているのと変わらないという点です。

 例えば、お客様に「売店は何時から営業していますか」と聞かれて、スタッフが「〇時からです」とだけ返すと、そこで会話が終わってしまい〝この人は私と会話をしたくないのかな〟とさえ思われてしまうことがあります。

 これを「〇時からです」+「ただ今のお勧め商品は〇〇ですので、是非ご覧下さい」などと受信に発信を付け加えると、話が途切れることなく続きます。

 次に【発信側】③の「質問を良く理解し、正確な回答をすること」は、質問を歪めて回答をしていないか、という点です。

 たとえば、お客様に「おすすめのお店はどこですか」と聞かれて、「当館から一番近いのは……」と、ちぐはぐな対応をしてしまう人が少なくありません。

 お客様の質問を正しく受け止められていれば、このような回答にはならないはずです。

 今回紹介した事例はごく一部ですが、このようにコミュニケーションを上達させるテクニックはたくさんあります。

 しかしながら、結局は知識と情報が無ければ、会話は弾まないというのが大前提です。テクニックだけでは、会話を広げることはできません。知識や情報をたくさん持っていれば、会話の守備範囲が広くなり、自ら会話を展開したくなります。

 今回の研修では、実践練習を通じて知識と情報を習得して、アウトプットする場を設けました。コミュニケーションを上達させるには会話技法だけではなく、この点を肝に銘じることが大切です。

井川 今日子 氏

おもてなしコンサルタント 井川 今日子 氏

大学で観光学を学んだ後、船井総合研究所を経て、10年に観光文化研究所入社。全国の旅館や観光協会を中心に、女性の感性を活かした集客・固定客化支援で活躍中。商品戦略や販売促進、現場接客サービスなど多岐にわたり提案。

 

 

「観光ルネサンスの現場から~時代を先駆ける観光地づくり~(199)」 地域の未来を拓く石工たちの物語(熊本県八代市)

2021年9月4日(土) 配信

八代海干拓の壁画(八代市鏡支所)

 熊本県八代市といえば皆さんは何を連想されようか。歌手の八代亜紀さんは有名だが、多くの方々は熊本を代表する豊かな農業地帯を連想されるのではないか。九州新幹線新八代駅の開業以来、博多都心からも僅か50分という、誠に便利な地域である。

 だが、この豊かな八代平野は、かつて「お国一の貧地」と呼ばれる、湿地と干潟が広がる不毛の地であった。江戸時代から昭和初期の長い間にわたる大干拓事業は、この貧地を広大で豊かな農地に変えた。現在の八代平野の実に3分の2が干拓地である。その干拓事業には膨大な数の人夫が動員され、その中に石材の切り出しと運搬、加工に携わった石工たちがいた。

 石工たちは、近世末の四百町新地や七百町新地(文政年間〈1818―21年〉)と呼ばれる大干拓事業で、「大鞘樋門」に代表される干拓樋門や干拓地を潤す用水路、橋の建設などに活躍した。

 なかでも石工たちの総取締役に任命された石工「三五郎」は、数多くの石の構造物の造営を指揮し、のちに苗字を許されて岩永三五郎と称した。三五郎はとくにアーチ型の眼鏡橋の設計を得意とし、アーチ型水路橋「雄亀滝(おけだけ)橋」など数多くの水路橋を設計した。また、薩摩藩に招かれて、甲突川の五石橋などの設計にも携わった。これらの技術が有名な通潤橋(つうじゅんきょう・国指定重要文化財)のモデルになったと言われている。

 この石工たちの物語が昨年6月、「八代を創造(たがや)した石工たちの軌跡」として日本遺産に認定された。

日々の暮らしに溶け込むめがね橋(笠松橋)

 その背景には、阿蘇山噴火による豊かな凝灰岩地層がある。石工たちは、この地域素材を活用し、八代城の石垣築造、干拓樋門、石積みの棚田、めがね橋など、まさに都市づくりの先達となった。彼らは、単に職人ではない。オランダ伝来の「めがね橋」の架設技術を学び、依頼主の要望に応じた細やかな設計を施し、人材育成、資金運営までをトータルにマネージメントする優れた技術者集団でもあった。そして、石工たちが切り拓いた広大で豊かな農地では、米はもとより、国産の8割を占めるいぐさ、国内最大の柑橘類・晩白柚(ばんぺいゆ)、国内有数のトマトなど豊かな富をもたらした。

 日本遺産のこうした物語は、起承転結で語られるが、なかでも大切なのは地域の未来を語る「結」の部分であろう。これら歴史文化の物語を生かし、地域の未来(ビジョン)を描き、その実現のための事業の策定と、これらを担う組織と人材を育てていく「地域活性化計画」である。

 地域の方々が忘れてはいけないのが、「お国一の貧地」を豊かな地域へと切り拓いてきた先人たちの努力と英知である。その精神を未来の地域づくりや産業創造に生かすことこそが、日本遺産の大きな狙いでもある。

(日本観光振興協会総合研究所顧問 丁野 朗)

令和トラベル、グアムへの航空とホテル手配スタート 接種率80%超えやPCR費用の補助制度踏まえ

2021年9月3日(金) 配信

料金の目安は、3泊4日3つ星ホテルに泊まるなどした場合1人当たり7万6000円
 「あたらしい旅行を、デザインする。」をミッションに海外旅行事業を展開する令和トラベル(篠塚孝哉社長、東京都渋谷区)は8月31日(火)から、グアムへの航空券とホテルの手配を始めた。既に商品を販売しているハワイ旅行に次いで2カ国目とる。
 
 グアムで接種権利がある島民のうち2回以上ワクチンを打った人が全体の80%を超えたことや、指定ワクチンを接種した渡航者に検疫を免除すること、グアム政府観光局が日本出発前におけるPCR検査費用の補助制度を開始したなどを踏まえての決断だ。

 利用する航空会社は日本航空(JAL)や、ユナイテッド航空など。ホテルは5つ星の「ザ ツバキ タワー」や「デュシタニ グアム リゾート」をはじめ、4つ星の「ホテル ニッコー グアム」や「デュシット ビーチ リゾート グアム」、3つ星の「グアム リーフ ホテル」や「PIC グアム」などを用意した。

 料金の目安は、2021年10月18日(月)~10月21日(木)の3泊4日、2人1室で3つ星ホテルに宿泊し、成田発のユナイテッド航空航空券を利用した場合、1人当たり約7万6000円(諸税)。申し込みは同社の公式LINEで受け付けている。