LINKED CITYの全容に迫る② 新たな情報価値の創造へ

2021年9月14日(火) 配信

川村氏、佐藤氏、下花氏

 国際観光施設協会(鈴木裕会長)の旅館観光地分科会(川村晃一郎分科会長)は今年3月、観光型スマートシティ「LINKED CITY」構築に向け研究会を発足した。地域資源とAI、IoTデジタルオープンプラットフォームによる事業インキュベーションで雇用を創出。都市と地域、地域と地域をつなげることで分散型社会の構築を実現させることが狙い。

 「新たな情報価値の創造」をテーマに、必要な時に情報が自動的に受け取れる未来について同協会の川村氏、ジョルダンの佐藤氏、ジョルテの下花氏が熱論を交わした。

 佐藤・地域にはたくさんの宝がありますが、その多くには光が当たっていない、「知られていない」のが現状です。これに光を当てるのが、我われとジョルテ。我われが移動を、ジョルテが予定を具体化させ、情報提供を含めた新しい価値を創るべく、連携してプラットフォームの構築を進めています。

 下花・狙いは、個人の行動の中に情報を差し込み、紐づけすることで、自ら調べなくても必要な情報を得ることができる状況を生み出すこと。

 例えばすべての予定が終わって帰りの電車の時間を乗換アプリのジョルダンで検索したときに、自分の好きなモノが食べられる店の情報が一緒に出てくれば、新しい選択肢が生まれます。今は2社でこのプラットフォームの構築を進めていますが、参画企業が増えれば、それに比例してデータも集まり、より情報の確度も高まります。
 

 佐藤・「知らない」ことを「知らせる」ことができるのが、両者の強み。日常使いのサービスから改めて能動的に検索しなくても、受動的に良質な情報が受け取れる世界を我われで作りたい。
 

 川村・確かに、地方には良いコンテンツがたくさんあるのに、「知られていない」モノが多いですね。それは、地域の方にとって身近すぎて魅力に気が付いていないから、発信できていないのではないでしょうか。しかし、こういう情報は外から来た人にとって面白い話。旅行には宿泊が伴うことが多いので、宿泊施設、とくに旅館のような場所が情報を提供するのも大切だと思っています。
 

 「知らせる」という行為に関しては、「時間の使い方」も含む必要があると感じています。

  物事を効率化するなかで大事になるのは、空いた時間をどう使うか。例えば、あえて不便な地方に出掛け、何もしない1日を過ごすのはすごく贅沢なことです。ですが、こうした贅沢に気が付いていない人、知らない人はたくさんいます。
 

 宿泊施設はこうした人々に「贅沢な時間」を提供しうる可能性がある場所だと思っています。
 

 下花・日常生活は雑音が多く、本当の意味で自分の時間が過ごせないと感じています。こうした状況下で、本当の自分を創る作業を非日常の空間で行うために、地方の静かな旅館に行くと良いのではないでしょうか。

  佐藤・それは、まさに最近の医療ツーリズムの根本的な在り方。
 

 川村・旅の醍醐味は人とのつながりができることですよね。

 下花・そういう意味でも、1人で旅に出るのはおすすめです。1人旅だといろいろな場面で人と話す機会が増え、新しいつながりができます。これを新しい旅のカタチとして出してもいいと思うのですが、それを知らないから「怖い」とか、「なぜ1人で行くのか」と思われるのではないでしょうか。

 川村・そういった懸念を払拭できるのが、両社のサービスです。乗換案内と色々な予定が見られるカレンダーアプリがあれば、さまざまな場所に行くことができるようになりますね。

 下花・届かない地域のいいものをデジタル化して届くようにするのは、入口でしかありません。届くのであれば、さらに可能性が広がります。1つのイベントに人が集まったら、また別のイベントを実施する。こうすることで、地域の人々にさまざまな行動が生まれ、まちが活性化します。

 イベントは何も大きなことでなくていいと思います。例えば、「パンが焼けた」とか、そんな小さなことでも、その情報が欲しい人に必要なタイミングで届く状況にするのが、我われが創りたい価値です。

 佐藤・情報の拡散の仕方が分からないと思います。ですから、我われのツールとSNS(交流サイト)の情報が混然一体となることで、大勢の力を借りて拡散できるということに気が付いてもらう。この最初の一歩の創造をはかるために、我われはこの取り組みに参画しています。

「ONSEN・ガストロノミーツーリズムコラム」 地図の中の国立公園(亀澤玲治)

2021年9月14日(火) 配信

山陰海岸国立公園・鳥取砂丘にて

 かつてはほとんどの地図帳に国立公園の区域表示があったのではないか。記憶は定かでないし、今や確かめようもないが、今はどうなっているのか。大手書店で立ち読みしてみた。6社の地図帳のうち国立公園の名前と区域の両方が入ったものは2つだけだった。

 今やデジタルの時代。グーグルマップに国立公園の区域が表示されるようになった。昨年の終わりころ、国立公園に関する調べものをしているときは表示されていなかったので、今年になってからのことのようだ。改めて検索してみると、今年3月末に、環境省がデータをグーグル社に提供して実現したとの発表が見つかった。

 広く、飛び飛びの区域を持つ国立公園でも公園名の表示は1カ所にしかないことや、その気で見ないと色の違いが分からないことなど課題はあるし、海の区域が表示されないためか、海を主体とする瀬戸内海国立公園の区域だけ表示されていないのは残念であるが、大きな前進には違いない。

 デジタル表示が実現したとなれば、カーナビとの連動も楽しみである。車を走らせながら、国立公園内かどうかが分かれば国立公園に対する関心も高まろうというものである。そのためにも、自然だけではない国立公園の豊かな魅力を、多様なカタチで地図上で伝えられるデジタルならではの技術に期待したい。

【亀澤玲治】

ONSEN・ガストロノミーツーリズム推進機構専務理事

環境省で野生生物課長、自然環境計画課長、九州地方環境事務所長等を経て2016年6月から18年7月まで自然環境局長。国立公園の魅力向上と発信強化を目的とした「国立公園満喫プロジェクト」をスタートさせ、国立公園を抱える地域の活性化に力を注いだ。

北近畿でカニを堪能 かにカニエクスプレス、9月16日(木)から予約受付(日本旅行)

2021年9月14日(火) 配信

日本旅行は9月16日から、往復JRで行く「かにカニ日帰りエクスプレス」を発売する

 日本旅行(小谷野悦光社長)は9月16日(木)から、西日本旅客鉄道(JR西日本)と連携し、北近畿(城崎温泉・但馬・丹後・若狭)や北陸、山陰エリアの施設でカニが楽しめる「かにカニ日帰りエクスプレス」(往復JR特急指定席+カニ料理のセット)を売り出す。

 一部のエリアや施設では、「タグ付きカニ」や「但馬牛」、「ノドグロ」、「フグ」などを味わえるプランを提供。また、個室利用や温泉入浴、お土産など、グルメに加え、さまざまな楽しみを各施設が用意する。施設によっては「平日特典」として1品追加やお土産のサービスも行う。

 このほか、鳥取県では現在、松葉ガニやカニの土産品などの景品が当たる「蟹取県ウェルカニキャンペーン」を開催中。

 また、旅行に便利な臨時列車「かにカニはまかぜ号」を大阪~浜松間で運行する。

 同プランの設定日は、11月7日(日)~2022年3月21日(月)。9月16日(木)の午前10時から、出発地周辺の日本旅行・日本旅行リテイリングの店舗や、オンラインでの予約を開始する。

ラグーナテンボス、ハロウィーンホラーイベント開く 10月30~31日限定で

2021年9月14日(火) 配信

イベントのポスター。

 ラグーナテンボス(小寺康弘社長、愛知県蒲郡市)は10月30日(土)~31日(日)の午後5:00~9:00、運営するテーマパークの「ラグナシア」で怖がらせ隊プロデュースのホラーイベント「ハロウィーン ホラーパーク 2021」を開く。

 同イベントでは、魂を持った人形たちが徘徊する庭での謎解き「祟たたり人形の庭」や、閉園後のアトラクションをテーマにした「深夜点検」、救急車のなかでお化け屋敷を体験できる「デリバリーお化け屋敷 絶叫救急車」など全8つのアトラクションを展開する。このほか、海底から蘇ったゾンビや恐怖の着ぐるみミミちゃんなどが園内を歩く。

 前売券は大人が2450円、子供は1700円。3歳以上の幼児が900円で、ノベルティトレーディングカードも付く。当日券は大人が2950円、子供は2200円、3歳以上の幼児が1400円となる。

 また、ラグナシアに隣接するロボットが働くホテル「変なホテル ラグーナテンボス」は10 月 30 日(土)まで、入園券やオリジナルノベルティなどがついた宿泊プランを販売している。

JR九州特別編成、3つの観光列車で行く 西九州周遊日帰りツアー(阪急交通社)

2021年9月14日(火) 配信

阪急交通社はこのほど、JR九州の特別列車で西九州を巡る日帰りツアーを発売した

 阪急交通社(酒井淳社長)はこのほど、特急「はやとの風」、「かわせみ やませみ」、「いさぶろう・しんぺい」など、JR九州を代表する3つの観光列車が連結した特別列車に乗車し西九州を周遊する日帰りツアーを売り出した。

 JR長崎駅とJR佐世保駅で各車両に乗り換えることで、3つの観光列車(D&S列車)すべてに乗車することができる。1人で2席を利用し、ゆったりとくつろぎながら佐賀平野の田園風景や有明海干潟、大村湾などの自然を楽しめる。

 昼食はJR長崎駅前のホテルニュー長崎で中華コース料理を予定。JR長崎駅とJR佐世保駅ではショッピングの時間を設ける。また、ツアー参加者には記念乗車証と硬券をプレゼントする。

 A区間ではJR肥前浜駅に約10分停車。B区間では写真映えする海外沿いのJR千綿駅に約10分停車し、C区間ではJR武雄温泉駅に約5分停車する。

 「特別編成『3つの観光列車』で巡る西九州ぐるっと周遊日帰り」の出発日は、10月1(金)、2日(土)。代金は博多発が1万8800円、佐賀発が1万4800円。

HIS、ふるさと納税比較サイトオープン コロナ禍でも地域活性化はかる

2021年9月14日(火) 配信

サイトのイメージ

 エイチ・アイ・エス(HIS、澤田秀雄会長兼社長)はこのほど、ふるさと納税のポータルサイトを比較できる「HISふるさと納税比較サイト」をオープンした。コロナ禍で外出自粛が求められるなか、地域の産品などに関心や興味を持つ消費者を増やすことで、地域活性化に貢献する。 

 ふるさと納税の各ポータルサイトは、取り扱う自治体数やポイント付与などの特徴がある。HISふるさと納税比較サイトは9月14日(火)現在、ポータルサイト9社、自治体数1794、返礼品100万品以上を比べることができる。具体的には、各サイトのクチコミや寄付金額などをまとめて表示。返礼品のカテゴリや市区町村別の検索も可能とした。

 掲載サイトは、楽天ふるさと納税とふるなび、ふるさとチョイス、さとふる、au PAYふるさと納税、ふるさとプレミアム、ふるさと本舗、ANAのふるさと納税、ふるさとパレットとなる。

  2008年に開始した「ふるさと納税」制度は20年に、受入額が6700億円を超えた。参加する自治体は地元事業者への支援やPR費用などに充てている。

MaaSは「地域の人の足を担うツール」(美しい伊豆創造センター 植松和男氏・東急交通インフラ事業部 戦略企画グループ戦略担当 古西伸崇氏)

2021年9月13日(月) 配信 

美しい伊豆創造センター 植松和男専務理事(右)、東急交通インフラ事業部 戦略企画グループ戦略担当 古西伸崇主事

 地域住民や旅行者個々の移動ニーズに合わせ、複数の公共交通や移動サービスを組み合わせ、検索・予約・決済などを一括で行う「MaaS」。観光などとの連携により、地域の課題解決につながると期待されている。地域視点でのMaaSの在り方について、美しい伊豆創造センターと東急に話を聞いた。

 植松・伊豆半島では2019年から2年間にわたり、「東急」、「東日本旅客鉄道(JR東日本)」および地域の公共交通機関が協働し、伊豆半島13市町の広域連携組織である当センターが地域の調整役として、観光MaaSの実証実験を3段階に分け進めてきました。

 訪れるお客様のアンケートから、「交通の利便性」という伊豆半島の課題が見えていたので我われは実証実験を通じ、この課題を解消することに挑戦しました。目指したのは、交通運賃や施設の入館料などすべてをスマートフォンで決済できる状況です。

 古西・伊豆半島で展開した観光MaaS「Izuko(イズコ)」の実証実験フェイズ1は、19年4~6月に東伊豆で実施しました。

 同年12月~20年3月に伊豆半島全域に拡大して行ったフェイズ2では前回の結果を踏まえ、交通の企画乗車券や、観光施設のデジタル入園チケットなどを拡充するとともに、利便性を考慮し、使用する環境もアプリケーションからウェブブラウザへと変更しました。

 フェイズ1―2の実証実験を通じて得た学びを生かし、同年11月~21年3月実施のフェイズ3ではスマートフォンの操作に慣れていて、情報発信力が高い若い層をメインターゲットに、展開エリアの拡大や、独自のものも含めた観光コンテンツの拡充に注力しました。

 植松・既存の路線を組み合わせるというのが、MaaSに対する最初のイメージでした。それにより住民と観光客、それぞれの移動が便利になると考えていました。しかし実証を進めるなかで、ネットリテラシーの関係で60代以上の方には、ITを組み合わせた新しいシステムが定着しなかった実例もありました。

 MaaSには地域の人の移動の足を担ってほしいと思うので、観光客、交通事業者、施設事業者、地域の人、三方に良いシステムを組み立てることが理想です。13市町それぞれで人口が違うので、地域によって交通手段に関し抱えている課題は違います。ですから各市町が丁寧に自分のまちに合った生活圏、公共施設、観光施設を結ぶネットワークを考え、そこにMaaSを取り込めるのが理想です。

 一方で、これらを1事業者で取りまとめるのは難しいので、行政による規制緩和や補助金の交付など、官民が連携して進めることも、事業を進めるうえでは大切だと思います。

 古西・地域の魅力をしっかりと受け止め、発信することと、さまざまな知見を得ることがMaaSの意義だと思います。
 MaaSの取り組みにあたっては、交通利便性を高めることはもちろん、地域の魅力をしっかりと発信して来訪目的を創出する取り組みも行い、得られたデータをもとにさらに取り組みの質を高めていくというサイクルを、自治体や地域の事業者の皆様とともに回していくことが重要だと考えています。

山形の老舗旅館「日本の宿古窯」と「出羽三山神社」手がける開運おせち 9月10日(金)販売開始

2021年9月13日(月) 配信

古窯・出羽三山神社 開運プレミアムおせち三段重

 山形県かみのやま温泉の日本の宿古窯は、新年がより良き1年になるようにとの願いを込め、2021年9月10日(金)から「古窯・出羽三山神社 開運プレミアムおせち三段重」の販売を始めた。

 例年、高い満足度からリピーターが増え続けている古窯のおせち。今回はコロナ禍で山形に来たくても来ることができない人に、おせちを通して山形から元気や笑顔を届けることはできないかとの想いからプレミアムおせちを企画した。50年来の親交のある出羽三山神社の協力を得て、プレミアムおせちと共に出羽三山神社丑歳(うしどし)御縁年記念御朱印も届ける。

 伝統が現代に薫るおもてなしの旅館、日本の宿古窯が届けるのは「冷蔵」おせち。冷凍が主流となるなか、冷蔵にこだわり、食材のもつ旨味を最大限に引き出している。おせちの定番料理はもちろん、芋煮や玉こんにゃく田舎煮など山形独自の料理もふんだんに入れ、郷土色も大切にしている。三の重は温かいおせちを食べてもらおうと、すべて真空パック詰めしているので、正月に食べ切れなくても保存が可能。盛り付けの大変な一の重と二の重は盛り付けをした状態で届けられるので、プロの盛り付けのまま楽しめる。

出羽三山神社 丑歳記念御朱印

 本年の丑歳は、出羽三山において、三山がそろった開山成就の歳であり、丑歳にお参りを果たすと12年分のご利益を得られると伝えられている。今回は、おせちと併せて、丑歳の丑の日のみ頒布される「丑歳御縁年記念御朱印」も届けられる。

HIS、「大草原の小さな家」のロケ地オンラインツアー開催 放送記念で先着500人無料

2021年9月13日(月) 配信

ドラマのイメージ。放送当時の農業や生活様式などを説明する

 テレビドラマ「大草原の小さな家」の放送を記念して、エイチ・アイ・エス(HIS、澤田秀雄会長兼社長)と海外ドラマ専門チャンネルAXN、スカパー!は9月25日(土)午後10時から、先着500人に作品の舞台アメリカ・ミネソタ州を巡る無料オンラインツアーを行う。

 「大草原の小さな家」は、アメリカで1974~83年まで放送された。ローラ・インガルス・ワイルダーが幼少期の体験に基づき書き綴った「大きな森の小さな家」が原作となる。インガルス一家が西部開拓時代のアメリカを舞台に、さまざまな困難を乗り越えていく姿を通して、家族愛や隣人愛の尊さを描いている。

 ツアーでは、ミネアポリス在住ガイドがインガルス一家が渡り歩いた場所やロケ地のほか、当時の農業や生活様式などを案内する。このほか、実際に住んだ横穴小屋の跡地やルーテル教会、学校なども巡る。ローラ・インガルス・ワイルダー博物館では、館員が一家ゆかりの展示物を説明する。

JR東日本ら、ワーケ推進を支援 車内サイネージ用映像を制作

2021年9月13日(月)配信

PR映像イメージ

 myProduct(マイプロダクト、小山翔社長)はこのほど、東日本旅客鉄道(JR東日本)の車内ドア上に設置されているサイネージ「トレインチャンネル」で、新しい働き方であるワーケーションを訴求する映像を、びゅうトラベルサービス(VTS)とJR東日本と共に制作した。撮影には、栃木県宇都宮市が協力。同映像は、駅ナカのデジタルサイネージでも活用されるという。

 マイプロダクトは、関係人口の構築を目指す自治体と共に、地域の産業振興に取り組んでいる。これまで、山梨県や静岡県、群馬県、栃木県、宮城県など、幅広い地域で活動してきた。具体的には、同社から地域コーディネーターを派遣し、自治体や観光協会の協力のもと、魅力あふれる事業者を発掘し、体験プランやツアーの企画・運営、関連PR映像やWebサイトの制作を実施している。

 同時に、磨き上げた体験プランを事業者が主体的に運用し、自走化できるよう、予約・決済機能を備えた「CRAFTRIP」システムを開発。同社は自治体への導入を進めている。