奈良で蓮と歴史を楽しむ旅を 奈良市観光協会が4寺巡る企画実施

2023年5月9日(火) 配信

喜光寺の蓮(イメージ)

 奈良市観光協会(乾昌弘会長、奈良県奈良市)は6月15日(木)~8月16日(水)まで、蓮で有名な奈良市の4寺を巡る企画「奈良・西ノ京ロータスロード~蓮と歴史を楽しむ旅~」を西大寺、喜光寺、唐招提寺、薬師寺で実施する。 仏教で「清浄な花」とされている蓮の花。初夏から夏にかけて見ごろを迎える。4つの寺をつなぐ道は「ロータスロード」と呼ばれており、シーズンには毎年多くの参拝者が訪れる。蓮の花は、早朝に花を開き午後には閉じる特徴があり、観賞に適した時間帯は午前中。比較的涼しい朝の時間帯に、寺巡りと合わせて蓮観賞を楽しむのがおすすめという。

 期間中は「四ヶ寺共通拝観券」を販売。本券を各寺の御朱印所で提示すると、ロータスロード特別御朱印が受けられる(別途納経料)。また、10回目を迎える今年は、共通拝観券にオリジナルグッズが付いてくるほか、購入者特典として周辺地域での食事や買い物がお得になるクーポンも配布する。共通拝観券は各寺拝観受付と奈良市内2カ所の観光案内所で紙券を販売するほか、予約サイト「アソビュー!」で電子チケットを販売する。

 また、各種ツアーや体験も実施する。4カ寺を巡るウォーキングツアーのほか、写真家を招いての写真教室、寺での朝がゆ体験などを用意。子供も一緒に参加できる切り絵体験(新企画)も開催予定だ。

 奈良市観光協会は6月15日(木)~8月31日(木)まで、夏の観光キャンペーン「なつの奈良旅キャンペーン2023」を実施しており、同企画もこの一環。今年は「心整う朝」をテーマに、鹿が大集合する朝のイベント「なつの鹿寄せ」などを開催する。また「奈良の夏のおすすめグルメ~大和茶~」と題し、キャンペーン限定大和茶メニューを奈良市内9店舗で提供する。

一休、「一休.comお取り寄せ」 ECサイトを正式リリース

2023年5月9日(火) 配信

「一休.comお取り寄せ」ページイメージ

 高級ホテル・旅館の予約サイト「一休.com」などを運営する一休(榊淳社長、東京都千代田区)は5月8日(月)、全国のプレミアムグルメを自宅で気軽に味わえるECサイト「一休.comお取り寄せ」を正式リリースした。

 レストランの予約サイト「一休.comレストラン」ならではの厳選したお取り寄せグルメサイトとして、2022年5月にテストリリース。それから約1年間の顧客動向分析やレストラン誘致、サイトの機能改善を経てこのたび正式にリリースした。コロナ禍を経て根付いた、“自宅で上質な時間を過ごしたい”というニーズにも応える厳選グルメを取りそろえる。

 現在は約30店舗・100商品を販売している。数カ月先まで予約の取れない懐石料理の人気店「比良山荘(滋賀)」や「日本料理 晴山(東京)」、行列の絶えないベーカリー「バックシュトゥーベ ツオップ(千葉)」など、各ジャンルのトップレストラン・トップシェフの味を厳選。美味しいもの好きなら一度は食べたいプレミアムグルメを取りそろえた。

 特徴は、ジャンルや価格帯に捉われない“本当に美味しいもの”を選り抜いているところ。ほとんどの商品が注文してから1週間ほどで届き、見事に再現された名店の味を複雑な調理も不要で堪能できる。四季折々の食材が織りなす季節限定商品も楽しみの一つだ。

 リニューアル記念企画として、5月14日(日)までプレゼントキャンペーンを実施している。「一休.comお取り寄せ」のメールマガジン配信に新規登録した人の中から、抽選で25人に「比良山荘」の「猪のじゅんさい鍋」セットをプレゼントする。詳細は「一休.comお取り寄せ」サイト内の特設ページから。

春のバラまつりを開催中 あしかがフラワーパーク

2023年5月9日(火) 配信

500種2500株が見ごろ

 あしかがフラワーパーク(栃木県足利市)はこのほど、500種2500株のバラが見ごろを迎えたことから、「Rose Garden~春のバラまつり」を開始した。5月28日(日)までは夜のライトアップを行っており、花と光の幻想的な風景が楽しめる。

 また、同園の象徴である「大藤」は今年、観測史上最も早い開花となった。「ふじのはな物語~大藤まつり2023」は期間を前倒ししているが、5月14日(日)まで開催中のため、同期間はバラと大藤が楽しめる。

 なお、花の開花時期が早まったことや、インバウンドの急速な回復、3年ぶりに行動制限がないゴールデンウイークなどが追い風になり、同園の4月単月の来場者数は、開園史上2番目に多い40万人超を記録したという。

ヨドバシカメラ、旅行会社立ち上げ 登山やスキーツアー実施へ

2023年5月8日(月) 配信

催行するツアーのイメージ

 家電量販店ヨドバシカメラを展開する、ヨドバシホールディングス(藤沢昭和社長、東京都新宿区)はこのほど、グループ会社の石井スポーツの新会社として旅行業を運営できる「石井スポーツアドベンチャーズ」を立ち上げた。キャンプ用品を販売する石井スポーツがこれまで、山登りの実技講習を行う登山学校などを開催。旅行会社を立ち上げ、現地までの交通手段の手配も行うことで、よりアウトドアを満喫できる企画を提案する。
 
 主な事業は登山やスキーなどのツアーや講習会の実施など。ランニングやヨガなど気軽にスポーツを楽しむイベントも開く。初心者から、スキルアップを目指す人まで、幅広い層へのプログラムを用意する。また、さらにアウトドアを楽しんでもらおうと、カメラやキャンプ用品などをヨドバシ・ドット・コムで購入できるリンクを掲載している。
 
 同社は国内への募集型企画旅行などを実施できる第2種旅行業者を登録。全国旅行業協会(ANTA)のほか、東京都旅行業協会に入会している。

ホテルふじにプライベートアウトドアサウナ 5月下旬にグランドオープン

2023年5月8日(月) 配信

MATKAがオープン

 山梨県笛吹市の石和温泉「ホテルふじ」に、貸切利用可能なプライベートアウトドアサウナがオープンする。5月19日(金)までプレオープンしており、グランドオープンは5月下旬を予定している。

 施設名は「private outdoor sauna MATKA(マトカ)」フィンランド語で「旅」。ホテルの宿泊者はもちろん、日帰りでの利用も可能。

プライベートサウナエリアは4つのブースで構成

 プライベートサウナエリアは、4つのブースで構成されており、それぞれのブースでは、国産の木材を活用した「ONE SAUNA」のバレルサウナ、地下水の水風呂が楽しめる。4つのブースでは、それぞれのテーマに応じたサウナが堪能でき、事前に予約が可能。ブース毎に異なるYardWorksデザインの植栽やタイプの違いを楽しんでみるのもおすすめ。4人用のサウナブースが3つ、6人用のサウナブースが1つで、それぞれのブースを貸し切りで利用できる。

 マトカの各ブースのバレルサウナではセルフロウリュが可能。受付で選べるロウリュ用のアロマで、気分に応じたサウナが楽しめる。アロマはヘルシンキの高級デパートでも取り扱われているフィンランドのサウナブランド「rento」(※選べるアロマはオプションで別途料金が必要)。

 プライベートサウナの利用者はホテルふじの大浴場を無料で利用することができ、県内最大級の大岩風呂や緑に囲まれた大庭園風呂でリラックスして過ごすことができる(※午前11時~午後1時を除く)。

 問い合わせ=ホテルふじ ☎055(262)4524。

「観光ルネサンスの現場から~時代を先駆ける観光地づくり~(219)」 万葉のまほろばと国宝勝興寺(富山県高岡市)

2023年5月7日(日) 配信

唐門から国宝・勝興寺本堂を臨む

 地域には固有の歴史が刻まれた、忘れられない場所がある。高岡市の伏木地区もその一つである。

 伏木は富山県内で最も早く開けた地で、かつて越中国国府がおかれた。8世紀の天平年間には、大伴家持が国守として赴任した、まほろばの土地である。

 その伏木に1584(天正12)年、砺波郡安養寺村から勝興寺が移転、寺内町が形成。勝興寺は20数年にも及ぶ長い大規模修繕を終え、昨年10月、晴れて国宝に指定された。現場には2度ほど視察させていただいたご縁もあり、地元の近世高岡の文化遺産を愛する会の皆さんにお招きいただいた。

 勝興寺は、蓮如上人ゆかりの土山御坊に始まる浄土真宗本願寺派の古刹で、現在の本堂は、加賀藩の支援の下に西本願寺阿弥陀堂を模して建てられたと言われている。地方の寺院建築としては破格の規模である。

 今回、国宝となったのは本堂と大広間および式台の2棟だが、経堂や御霊屋、総門、唐門なども重要文化財に指定されている。本堂の建築には、本願寺の宮大工が建築に携わったと言われている。

 近世、加賀前田藩の城下町が置かれると、海に面した伏木地区は小矢部川の水運貨物の量が増え、北前船の寄港地としても栄えるようになった。明治の町村制の施行で、射水郡伏木町として独立したが、1942年には周辺町村とともに高岡市に編入合併された。

 高岡にはもう一つ、97年に国宝指定された瑞龍寺がある。加賀前田家2代当主前田利長公の遺徳をしのび、その50回忌にあたる1663(寛文3)年に完成した曹洞宗の寺院である。瑞龍寺近くの市街地には山町筋や鋳物の金屋町、さらに伏木にも小矢部川沿いの吉久地区という3つの重要伝統的建造物群がある。1つの市に2つの国宝建造物と3つの重伝建地区とは、なんとも贅沢な地域である。これらは2015年、「加賀前田家ゆかりの町民文化が花咲くまち高岡~人、技、心~」として日本遺産第1号にも認定された。

 高岡市は、これら歴史文化資源の保存・活用のために、11年には早々と「歴史文化基本構想」を策定し、8エリア・テーマ別に関連文化財群としてとりまとめた。伏木エリアは「越中国府に関わる文化財群」「勝興寺と寺内町に関わる文化財群」「みなとまち伏木の交流と物流に関わる文化財群」として、それぞれ保全・活用の計画が策定されている。

近隣の雨晴海岸には多くの観光客が訪れている

 高岡市では、これまで瑞龍寺や山町・金屋町など都心部に集中する人の流れを、伏木など北部エリアに広げる狙いもある。伏木の近くには、立山連峰3千㍍級の山々を臨める景勝地・雨晴海岸もある。既にDMO富山県西部観光社などの取り組みも始まっているが、濃厚な文化財群と景勝地エリアをどのように活かしていくか。海外に向けて文化観光に大きく舵を切った日本の観光戦略の中でも、この地域をどのように活かすかは大きな課題であろう。

(日本観光振興協会総合研究所顧問 丁野 朗)

津田令子の「味のある街」「いわきの早蕨」――わらび餅のいわき(岐阜県高山市)

2023年5月6日(土) 配信

わらび餅のいわき「いわきの早蕨」1パック(300㌘)490円(税込)電話注文にて、お取り置きや全国発送も可能▽岐阜県高山市上三之町111-2▽☎0577(34)1113。

 春の「高山祭」(日枝神社の例祭春の山王祭)から帰ったばかりの友人から、美味しいプレゼントをいただいた。

 

 国内外から多くの観光客が訪れる岐阜県高山市。とくに昔ながらの建物が残り老舗の酒蔵をはじめ、みやげ物屋やカフェも数多く軒を連ねる「古い町並み」は〝小京都〟とも呼ばれ、観光名所として高い人気を誇っている。

 

 街の中を流れる宮川沿いでは、毎朝、地元の農家で採れた新鮮な野菜が並ぶ朝市が立ち、賑わいを見せる。今回紹介するわらび餅の「いわき」は、そんな高山市の古い町並みや、宮川からすぐの場所にあり、1998(平成10)年に高山市上三之町で甘味茶屋として創業した。のちに多くのお客様からのニーズに応え、わらび餅の持ち帰り専門店に転向したのだ。国産わらび粉を使って丁寧に作られるわらび餅は、全国にファンを持つ。

 

 「早蕨」は1パック(300㌘)490円(税込)と手ごろな価格だ。早い日は午前中で売り切れてしまう。大きなパックにたっぷりのわらび餅が入っていて、見るからにお得感が溢れている。

 

 「ぷるんぷるん」とやわらかさと弾力に感動しながら、今いただいている。友人は「わらび餅にとって一番大切なのは水。このわらび餅は高山の水でないと作ることができないらしい」と言う。さらに「いわきのは、大量生産ではなく作れるだけの量を丁寧に作っているので、間違いないわよ」とのことだ。全国発送もしている。早蕨を食べる一番のポイントは冷蔵庫に入れないこと。うっかり冷蔵庫に入れると、白く曇って硬くなってしまうという。あくまで常温のまま食べるのが美味しく食べる秘訣なのだ。

 

 早蕨に、スプーンでいくつか切り込みを入れ黒蜜をかける。そのあと、焦がしたきな粉をたっぷりかけて準備万端。いよいよ口に入れてみた。とろりとして、心地よい弾力がものをいっている。口の中で徐々に溶けていくのがわかる。必ず手に入れるには事前に電話でお取り置きしておくか、オープン前に真っ先に立ち寄ることをおすすめする。

(トラベルキャスター)

 

津田 令子 氏

 社団法人日本観光協会旅番組室長を経てフリーの旅行ジャーナリストに。全国約3000カ所を旅する経験から、旅の楽しさを伝えるトラベルキャスターとしてテレビ・ラジオなどに出演する。観光大使や市町村などのアドバイザー、カルチャースクールの講師も務める。NPO法人ふるさとオンリーワンのまち理事長。著書多数。

【精神性の高い旅~巡礼・あなただけの心の旅〈道〉100選】-その25-猿田神社&満願寺 神仏・吉方位旅(千葉県銚子市) 猿田神社で祓いと道開き 四国と百観音巡礼の満願寺にも

2023年5月5日(金) 配信

 ご自身の生年月日に合った九星の良い時期の良い方角へ旅をすれば、開運旅行となります。これは吉方位旅行とも呼ばれ、江戸時代には庶民が方位学の書物を読むことを禁じられていました。それだけ効果が大きいということを語っています。

 

 平安時代では、方角で行く場所を決めたり、やめたりと、方角の吉凶に影響されていました。また、10世紀ごろから、方違えという風習もありました。それは縁起が悪いとされる方角を避けて、別の場所へ1泊し、翌日そこから目的地へと向かうというもの。人々は古くから吉方位というものを自分の人生を幸福に導くため、上手に使っていたのでしょう。

 

 今回の旅先、千葉県銚子市は、東京に住んでいる人から東の方角にあたります。東は良い時期に旅すれば、物事がスピーディーに大発展していく効果が期待できるといわれています。

 

 経営者の中には、ご自身が東の方角が良い時期に、日本から見て東にあたるハワイによく旅をされます。なぜなら、東は商売繁盛の方角でもあるからです。吉方位旅行は距離と滞在時間が長ければ長いほど、開運するとのこと。ハワイなどの海外旅行は距離も長いため、効果もパワーアップします。

 

 

 その千葉県銚子市の神仏を巡る旅のスタートは、猿田神社。JR総武線の猿田駅から徒歩10分程度で到着。

 

 この猿田神社は、湧き水をいただけることでも人気。本殿の近くや、奥宮でもいただけます。その場で、清々しい森の空気とともに、その湧き水をいただくと、生き返るような心地になれるでしょう。ご祭神は、祓いの神様・道開きの神様として名高い猿田彦大神(さるたひこのおおかみ)様、猿田彦大神の妻となった天鈿女命(あめのうずめのみこと)様、菊理媛命(くくのひめのみこと)様。

 

猿田神社・本殿

 

 猿田彦大神様が「道開きの神様」として登場する物語は、古事記や日本書紀にも記されています。この世を治めるためにやってきた天照大御神(あまてらすおおみかみ)様の孫にあたる瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)様を宮崎の高千穂へ導いたのが、猿田彦大神様です。

 

 そして、瓊瓊杵尊様のお供として、天から降りてきた天鈿女命様と夫婦になったといわれています。そのような功績により、猿田彦大神様は「物事の始まりに道標となってくれる神様」であると信仰されるようになったのです。猿田彦大神様の総本宮は、三重県鈴鹿市の「椿大神社」。あの松下幸之助氏も信仰していて、神社内には松下幸之助氏をお祀りする「松下社」もあります。

 

 新しい仕事や企画を成功させたい、今まで物事が停滞して一気に流れを好転させたい、こういうときは猿田神社でご祈願されてみてはいかがでしょうか。

 

 さて、次は銚子電鉄の犬吠駅から、徒歩10分程度で到着する、日本各地の巡礼ファンにとって聖地のような存在の満願寺。また、この近くの犬吠埼の朝日は、日本で一番早い日の出としても有名。犬吠埼から約500㍍のところに愛宕山があり、その山上からの展望は、「地球が丸く見える丘」と称され、この愛宕山の東側に1976(昭和51)年に開創されたのが満願寺。

 

満願寺

 

 この満願寺は、ご本尊の十一面観世音菩薩様は、願いを叶える観音様として全国から参拝に来られます。また、西国・坂東・秩父・四国の百八十八霊場巡拝を満願成就した人々が、感謝のために各霊場のご本尊を勧請し、左右に24間の満願回廊堂に奉安。

 

 中門を入ると、西国・坂東・秩父・四国、諸国霊場の5カ所の仏足跡お砂場があり、身体健全・病気治癒などの祈願を込めて、お砂踏みができます。なかなか、遠くの霊場まで巡礼できない方は、満願寺に足を運んではいかがでしょうか。

 

 

旅人・執筆 石井 亜由美
カラーセラピスト&心の旅研究家。和歌山大学、東洋大学国際観光学部講師を歴任。グリーフセラピー(悲しみのケア)や巡礼、色彩心理学などを研究。

原田農園 ワイナリーとカフェ参入 4月22日グランドオープン

2023年5月4日(木)配信

原田農園のワイナリー外観

 群馬県沼田市で観光農園を手掛ける「原田農園」(原田良美社長)はこのほど、ワイナリーおよびカフェの運営事業に参入した。本社近くの遊休地にワイナリーとカフェを建設。原田農園が果実酒の製造免許を取得し、県産品種のリンゴ「ぐんま名月」を使ったシードルの醸造に取り組む。カフェでは自社で採れた果物を使ったドリンクなどを提供する。

【古沢 克昌】

 新設したワイナリー「利根沼田果実酒醸造所」とカフェ「フルーツカフェ」の両施設の総面積は、2千平方㍍以上で今年2月に完成した。国の事業再構築補助金を活用したほか、群馬銀行や農林中央金庫、日本政策金融公庫から開業支援の融資を受けた。

 原田農園は1952年5月創立。リンゴ農園として創業し、現在はイチゴ、サクランボ、ブルーベリー、桃、ブドウなどの果物から野菜、キノコなど幅広い種類で観光農園を運営する。建設したワイナリーは4月上旬に稼働させ、まずはリンゴを原材料とするシードル醸造を行う。ワイナリーでのジュース類も含めた生産量は年間1万9400㍑が目標。地元産のブドウを使用したワインや、他の果実酒の生産も検討している。

 製造した商品は本社に併設された直売所やカフェで販売する。醸造には自社で収穫した果物を使うほか、近隣の農園で収穫されたものも買い取る計画で、規格外品も一部使用し、廃棄量を減らしてSDGs(持続可能な開発目標)を推進する。

 カフェではイチゴシェークやリンゴジュースなど、自社栽培の果物を使った飲み物を提供し、自家製バウムクーヘンなどの土産品も販売する。現在は本社で実施しているジャム作り体験などもカフェに移行し、今後は自社商品の魅力を発信する拠点にしたいという。

 3月1日にプレオープン、4月22日にグランドオープンした。原田農園子会社の原田ファーム(群馬県・昭和村)が運営を行う。

 原田農園はフルーツ狩りが売上の大半を占めており、コロナ前には年間約50万人が訪れていた。外出自粛となったコロナ禍は大打撃を受け、観光客数は約1割にまで落ち込んだ。 

 同社の原田光敏取締役は「観光客が激減したなかで収穫した作物をどう消費していけばいいのか悩んだ時期もあった。加工品にすることで長期間楽しめる特産品を作り上げたい。カフェではフレッシュな状態で提供できる場を増やしたいと考えて開業した」と話している。

 問い合わせ=原田農園 ☎0278(22)3991。

地域振興の具体策 行田おもてなし観光局設立 市と連携し県内第3の観光都市へ(行田市)

2023年5月3日(水) 配信

吉松良祐氏(左)と富山紀和事務局長

 市内の神社が設置した花手水がSNS(交流サイト)で話題となり、注目が集まる埼玉県行田市。21年には「観光」による地域振興の具体策として、行田おもてなし観光局(地域DMO)が設立され、市とDMOが連携し観光地形成に向けた取り組みを進めている。「行田市を川越市、秩父市に並ぶ県内第3の観光都市に」と意気込む行田市環境経済部商工観光課、観光グループの吉松良祐氏と、行田おもてなし観光局の富山紀和事務局長に展望を聞いた。

観光振興目指しDMO立ち上げ

 行田市は埼玉県名の発祥となった埼玉古墳群や忍城など多彩な観光資源はそろっていたが、観光地としての知名度が高い場所ではなかった。しかし2012年、忍城を舞台とした映画「のぼうの城」が話題となったのを皮切りに、「田んぼアート」が15年に絵柄の面積が世界最大であると認められギネス世界記録に認定、17年には市内でロケも行われたテレビドラマ「陸王」が放送されるなど、観光に関わるトピックスが次々と重なったことにより飛躍的に注目度が高まった。

 地域DMOの設立はこうした追い風が吹くなか、地域全体で「観光」を切り口とした地域振興の機運が高まったことが嚆矢となった。

 行田市環境経済部商工観光課、観光グループの吉松良祐氏は「地域DMOの立ち上げは、観光振興への具体策として最初に手掛けた事業です。観光の専門組織であるDMOが観光データの収集・分析をはじめとしたマーケティングや戦略的なプロモーション、観光関連施設の運営などを行い、観光行政の方針の決定や観光関連のハード整備などは行政が行う。役割分担を明確にすることで、観光振興を効率的、効果的に進めることが狙いでした」と当時を振り返る。

 説明会を開き市民への協力を要請するなど約2年の準備期間を経て21年1月、行田おもてなし観光局を設立、3月には、観光庁の観光地域づくり候補法人(地域DMO)として登録された。

 現在は市が観光行政の方針の決定や観光関連のハード整備、フィルムコミッション事業を実施。観光局は、観光データの収集・分析をはじめとしたマーケティングや戦略的なプロモーション、観光関連施設の運営、各種旅行事業の展開に努めている。

観光地を目指し土産物施設整備

物産館店内

 21年4月、「観光物産館ぶらっと♪ぎょうだ」がリニューアルオープンした。店内では、埼玉銘菓としても有名な十万石ふくさやの十万石まんじゅうや山本の奈良漬などの地元の名産品と、観光局が開発した商品を販売。なかでも大きな反響を呼んでいるのが市内の事業者と開発した「行田の餃子」で、年間約9千袋売れている。この餃子は皮には主にうどん粉として用いられる行田の地粉「あやひかり」が使われており、こしがありモチモチとした食感が楽しめるのが特徴。餃子はプレーンとチーズ、行田の在来の枝豆入り(期間限定)と水餃子の4種類で展開しており、22年12月にはJR行田駅前観光案内所に自動販売機も設置された。

 行田おもてなし観光局の富山紀和事務局長は「行田が観光地になるために重要なことの1つが、『お土産を買う場所が整備されていること』だと思っているので、売り場づくりでは観光客の期待に応えるという意識を大切にしました。同時に、これまで利用していただく機会が少なかった市民の方々に日常的に利用していただける場所にしたいという思いもありました。今では市民の方が餃子を買いにこの場所を訪れ、合わせて色々なものを購入してくださるので、売上も伸びています」と成果を語る。

 そのうえで、「観光物産館の売上が伸びることで、市民の協力と信用も得られ、新しいことにも挑戦ができる環境が整い始めています。また売上という目に見える成果を示せることは、DMO成功のカギだと感じているので、今後も観光地化に向けた新商品の開発にも力を入れていきます」と語る。

地域の回遊を生む約100カ所の花手水

市内の花手水

 20年4月、行田八幡神社が設置した花手水がSNS(交流サイト)で話題になった。この状況に対し市は訪れた人へのおもてなしとして花手水の数を増やそうと、近隣住民への声掛けを開始。その後、市民からも「設置したい」という声が上がり毎月2週間限定のイベント、「行田花手水week」へと発展。今では神社仏閣に加え商店、民家の軒先約100カ所に花手水が置かれるまでになり、中心市街地の回遊が生まれた。

 また、同イベント中、一夜限定で花手水をライトアップするイベント「希望の光」も行われており、開始した21年4月から23年3月までの18回でのべ5万2千人が来場し、約1億2千万円もの経済効果をもたらした。

 加えて、これらのイベントなどにより市内の主要観光施設の入込客数はコロナ前である19年の45万3808人から、22年には72万4931人へと大幅に増加、花手水を置く商店の売上増にもつながっている。「イベント期間を2週間に限定し、ライトアップを1日だけにしたこと、さらには暑さで長く花が持たない7~8月と、寒さが厳しく人があまり外出しない1月はイベントを中止したことなど、さまざまな要素がプラスに働き、参加する市民の皆様が負担に感じずに続けていただけていることもイベントが発展し続けている要因の1つ」(観光局・富山事務局長)。

 花手水を置く商店の関係者も、「取り組みを始めてから、中心市街地を歩く人が増え、なかには何回も足を運んでくださる人もいる。きれいな花を浮かべることで多くの人に足を止めてもらえ、写真も撮っていただけるので、励みになっています」とイベントの効果を語った。

 地域に賑わいを呼び込んだ同イベントは今年2月、地域資源を積極的に活用し、地域と協働で、知名度向上に貢献している点などが高く評価され、地域活性化センター主催の「第27回ふるさとイベント大賞」で「ふるさとキラリ賞(選考委員会表彰)」を受賞した。

 こうしたなか、市商工観光課の吉松氏は次の展開は「インバウンド誘致」と語り、「行田花手水をフックに、忍城や埼玉古墳群、足袋蔵など代々受け継いできた歴史的遺産を国外に対してもプロモーションをしていくことで、海外からの来訪につなげていきたい」との方向性を示す。

市と局が連携深めブランド形成へ

 行田市の観光地化に関し、「秩父市、川越市に並ぶ第3の観光都市にする」ことを目標に掲げる市商工観光課の吉松氏と観光局の富山事務局長。実現に向け吉松氏は「両者が連携を深めながら観光施策を推進することが、地域経済のさらなる発展と、埼玉県第3の観光地としてのブランドの形成、確立につながる」と強調。

 観光局の富山事務局長は、「観光でまちを活性化させるにはとにかく来ていただける人を増やすことが必要になります。そうしたなかで昨年度は、行田市の実施した貸切バスによる団体型旅行促進事業助成金事業により、1万5千人以上の方を呼び込むことができ、たくさんの方に行田を知っていただきました。これからも引き続き、我われの使命である市の観光地化の推進と県内外への情報発信の基盤整備を着実に進めていきます」と決意を語った。