ツーリズムEXPOジャパン2023 4年ぶりの大阪開催へ 関西で旅の未来発信

2023年7月21日(金)配信

(左から)遠藤克己JNTO理事、髙橋広行JATA会長、最明仁日本観光振興協会理事長

 日本観光振興協会、日本旅行業協会(JATA)、日本政府観光局(JNTO)は10月26―29日の4日間、大阪府大阪市の国際展示場インテックス大阪で、「ツーリズムEXPOジャパン2023大阪・関西」を開く。

 展示商談会やフォーラム&セミナー、交流事業、顕彰事業の4つを軸とした旅の総合イベントで、大阪開催は4年ぶり。

 今回のテーマは「未来に出会える旅の祭典」。前半2日間が業界日、後半2日間が一般日となる。来場者数目標は15万人。業界日は事前登録により参加無料。一般日は前売800円、当日1300円。前回まで高校生以下は無料だったが、今回から学生・専門学校生まで無料の対象を拡大する。

 展示商談会は国内外の企業・団体がブース出展する。今回目標の1245小間は、既に申込済みだという。会場にはクルーズやアカデミー、スポーツツーリズム、アドベンチャーツーリズムなど「特集企画展」を設ける。国内と訪日、海外旅行商品造成・企画担当者と出展者による商談をアポイント制で行い、件数は8千以上を予定する。

 フォーラム&セミナーでは、初日に2025年日本国際博覧会の石川勝会場運営プロデューサーによる基調講演と、各国観光大臣(10―15カ国)らが集う第6回TEJ観光大臣会合などを行う。

 また、JNTO主催のインバウンド専門の商談会「VISIT JAPAN トラベル&MICEマート」も10月26―28日の3日間、同会場で開催する。海外から旅行会社280人が参加し、6千件以上の商談を実施する。

 3団体は7月6日、同市内で概要発表会を開き、JATAの髙橋広行会長は「本格的な国際交流の再開となる今年、国内外に向けて日本のツーリズムの復活をアピールする場とし、そして閉塞感に悩んでいたお客様に新しいツーリズムを提示していきたい。世界中から注目を集める2025年の大阪・関西万博につなぐイベントだ」と話した。

よみうりランドプールWAI、9月10日(日)まで営業 新エリアや夜間営業も

2023年7月20日(木) 配信

2300㍑の水が一気に降り注ぐ「わいわいジャングル」

 よみうりランド(東京都稲城市)は、2023年7月1日(土)~9月10日(日)までの期間、「プールWAI(ワイ)」を営業している。今シーズンは新エリア「わいわいジャングル」が楽しめる。

 

 「わいわいジャングル」は13㍍の高さにある東日本最大級の巨大なバケツから、およそ4分半ごとに2300㍑もの大量の水が降り注ぐアスレチック施設。全長52㍍あるパープルスライダーをはじめ、5つのウォータースライダーが楽しめるほか、レバーでひっくり返せる小型のバケツや水鉄砲、噴水などで遊ぶことができる。

 

 このほかにも、子供に大人気の「それいけ! アンパンマンプール」や、「流れるプール」など5つのプール、高さ24・5㍍、全長386㍍の「ジャイアントスカイリバー」などバラエティー豊かな8つのスライダーがそろい、子供連れの家族、若いカップルなどから人気だ。また、7月15日(土)以降の特定日(37日間)は、午後5時30~8時30分まで、リゾート気分でプールが楽しめる「ナイトプール」も営業している。

【旅行ライター&エディター 三堀 裕雄】

 

JR西「WEST EXPRESS 銀河」、9月から紀南コースで運行

2023年7月20日(木) 配信

WEST EXPRESS 銀河

 西日本旅客鉄道(大阪府大阪市、JR西日本)は9月1日(金)から2024年3月3日(日)まで、夜行特急列車「WEST EXPRESS 銀河」を、京都・大阪と和歌山南部を結ぶ「紀南コース」で運行する。

 同コースでの運行は21年7~12月、22年10月~23年3月に続く3回目。期間中、月・水・金・日曜日を中心に、計36本運行する。

 京都駅(京都府京都市)と新宮駅(和歌山県新宮市)を結ぶ。過去2回は大阪駅(大阪府大阪市)に停車しなかったが、今回は3月18日(土)に大阪駅地下に開業したうめきたエリアに停車する。

 各停車駅ではオプションサービスやおもてなしを展開する。新たな取り組みとして、串本駅(同県串本町)で、大小40余りの岩柱が立つ景勝地「橋杭岩」観賞の臨時バスを運行する。

 新宮発京都行の「昼行」便では、新宮駅―串本駅間で、4号車フリースペースを使い「銀河熊野マルシェ」を実施する。銀河とコラボした地元ならではの食、地酒などを販売する。

熊本市とMIXI連携協定結ぶ、熊本城の観光客誘致でタッグ

2023年7月20日(木) 配信

左から熊本市イメージキャラクター「ひごまる」、大西一史市長、木村弘毅社長、「城郭合体オシロボッツ」オシロボット熊本城

 熊本県熊本市(大西一史市長)とデジタルエンターテインメント事業などを行うMIXI(木村弘毅社長、東京都渋谷区)は7月18日(火)、熊本城を活用した観光客誘致や地域活性を目的に、連携協定を締結した。

 熊本地震で甚大な被害を受けた熊本城の復旧に取り組む熊本市と、昨年12月に全国の城をモチーフとした「城郭合体オシロボッツ」のショートムービーを公開し、城を切り口にした地域活性に力を入れるMIXIがタッグを組み、熊本城の魅力発信をはかる。

 連携事項として、①熊本城の認知度向上②熊本城を活用した観光誘致・PR促進③熊本城に関する情報共有・情報発信④熊本城の保存・修復に関する事業の支援――などを掲げた。

 連携事業第1弾として8月4日(金)から9月3日(日)まで、熊本城内でARを活用し、イベント限定のトレーディングカードをプレゼントする「オシロボッツ×熊本城:巨大ARオシロボットを起動せよ!」を開催する。

 18日、熊本市役所で行われた調印式で大西市長は「オシロボッツをはじめとしたオリジナルコンテンツを通じて、熊本城の魅力を広く発信することで多くの方のご来場のきっかけになる」と期待感を示した。

 オンライン参加したMIXIの木村社長は「面白いコンテンツを生み出すだけでなく、それをきっかけとしたコミュニケーションの活性化を目指している。熊本城が盛り上がるきっかけになるよう尽力していく」と話した。

大邱・達城郡ファムツアーで韓国第3の都市訪問 歴史や自然、世界遺産などで人気

2023年7月20日(木) 配信

日本から旅行会社らを招く

 韓国大邱広域市達城(タルソン)郡・寿地区主催のファムツアーが6月28―30日、日本の旅行会社とマスコミ関係者を招いて行われた。

 大邱にある達城郡は韓国東南部に位置しており、韓国第3の都市として歴史、グルメ、医療観光などから年々人気を博している地区。

 自然と文化が残った観光名所として知られており、ユネスコ世界遺産である「道東書院」や、山全体がツツジで染まる琵瑟山(ピスルサン)、韓国で唯一、日韓友好のために作られた「韓日友好館」などを視察した。

 また、毎年4月には琵瑟山ツツジ文化祭が行われ全国各地から35万人以上が集まる。10月には「沙門津100台ピアノコンサート」が2012年から開催されるなど、大型イベントも行われる。

 成田空港からティーウェイ航空が就航しており、24年の「達城郡訪問の年」を通じて、国内外から多くの観光客が訪れる予定。周辺には釜山、慶州とともに韓国の観光地として注目を集めている。また、大邱の中でも中心部に位置する寿地区は、歴史観光と共に、魅力的な観光地や、特産品、料理、アクティビティを体験できる。

琵瑟山 

 341㌶の自然休養林、自然景観が美しいことで有名。春にはツツジが咲き誇り、冬には氷の洞窟や氷の塔が見どころ。時代劇ドラマのロケ地。
 大見寺 9世紀新羅憲徳王の時代建立。琵瑟山の頂上にあり、標高1千㍍以上にある寺院として有名。

南平文氏本里世居地

 1840年前後、南平文氏18代一族が居住する村を造成。1万坪という広大な集落に、9つの家屋と修学場所であった広居堂、一族が集う寿峯精舎などがある。現在も文氏の子孫が暮らしている。

ソンへ公園 

 達城郡の名誉郡民ソヘン氏の名を記した公園。玉淵池一帯は春になると桜が満開。ソヘン記念館や、散策路、展望憩い場、百歳橋と百歳亭と名付けられた水中橋と亭子などが設置。国内有数の水辺公園として親しまれている。
 沙門鎮酒幕村 花園東山一帯に位置し、物流の中心的な場所。移動式の伝統酒幕やコーヒーショップ、亭子、ピアノ広場などが造成されている。1900年3月に韓国で初めてピアノが運ばれた場所として有名。

馬飛亭壁画村 

 国内最高齢のウルシや竹のトンネル道など自然のなかで、昔の壁画を鑑賞することができる。農村体験展示場では、事前予約制で伝統料理体験や現場体験などのプログラムが用意されている。

馬飛亭壁画村

道東書院(ユネスコ世界文化遺産) 

 朝鮮五賢として文廟に従事した朝鮮時代初期の著名儒学者・寒喧堂(ハンフォンダン)と金宏弼(キムクェピル)を祀った書院で、韓国五大書院。樹齢400年のイチョウと書院の横を流れる洛東江の風景は、一幅の東洋画を連想させる。

達城韓日友好館 

 金忠善将軍(日本名・沙也加1571―1642)の博愛思想を称え、韓日友好のために造られた。2012年5月開館。館内の展示館はじめ、2D映像館、茶道室、遺物展示、和歌山県資料室、伝統弓体験室など、さまざまな施設が無料で利用できる。

ホテル三日月が木更津市ら4者間で協定 オーガニックシティ確立を

2023年7月20日(木) 配信

右から2人目が小髙芳宗社長

 ホテル三日月(小髙芳宗社長、千葉県木更津市)は7月13日(木)、木更津市(渡辺芳邦市長)と国連の友 Asia-Pacific(金森孝裕代表理事 )、世界連邦ユースフォーラム(谷本真邦会長)の4者間で、オーガニックなまちづくりとSDGsの推進に向けた連携協定を結んだ。同社は環境配慮型ホテルに向け、今後は同協定のもとで協力、連携体制を構築して「オーガニックシティ」の確立とさらなるSDGs推進に取り組んでいく。

 木更津市は地方創生をさらに進化、加速させるため市民や企業の力を結集する旗印として「オーガニック」を掲げ、地域一体となった持続可能なまちづくりを推進している。今年の5月にはこうした取り組みが評価され、内閣総理大臣から「SDGs未来都市」の選定を受けたところ。

 協定内容は①市民、市内企業などへのオーガニックなまちづくり及びSDGsの普及推進に関すること②SDGsに係る教育及び学習機会の提供に関すること③世界に向けたSDGsの取り組み情報発信に関すること④前各号に掲げるもののほか、SDGsの推進に関すること――の4点。

 

【特集 No.639】LGBT理解増進法施行 宿泊4団体で統一指針の策定を

2023年7月20日(木) 配信 

 政府は6月23日(金)、「性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する法律」(LGBT理解増進法)を施行した。同日、厚生労働省は各都道府県・保健所設置市・特別区の衛生主管部(局)長に対し「公衆浴場や旅館業の施設の共同浴室における男女の取扱いについて」を通達した。施行同日、日本旅館協会政策委員長の永山久徳氏に、統一指針策定の重要性や、想定し得る事例、トラブルが発生した際の業界としての対応策などについて聞いた。

【聞き手=増田 剛編集長、構成=馬場 遥】

安心・安全な温泉を守るために

厚労省、各自治体へ通達 訴訟ビジネスの対抗策

 LGBT理解増進法施行日の6月23日(金)、厚生労働省が都道府県内保健所設置市などに通達した「公衆浴場や旅館業の施設の共同浴室における男女の取扱いについて」では、「公衆浴場における衛生等管理要領」「旅館業における衛生等管理要領」において、「おおむね7歳以上の男女を混浴させないこと」と定めていることを確認している(左図参照)。

 文書内では、「これらの要領でいう男女とは、風紀の観点から混浴禁止を定めている趣旨から、身体的な特徴をもって判断するもの」としている。これを踏まえ、各自治体には、管内の浴場業・旅館業の経営者に対する周知や指導への配慮を呼び掛けた。

 また、この通達に法的な強制力はなく、あくまで「技術的な助言である」とした。

 今般の法案によってまず懸念されたのは、「男性が女性を自称しさえすれば、女性用のトイレや公衆浴場に入れるのではないか」といった点だ。

 「公衆浴場法」には、「営業者は(中略)風紀に必要な措置を講じなければならない」とあり、公衆浴場・旅館業の衛生等管理要領には混浴禁止の記述がある。これはほとんどの都道府県の条例にも適用されており、銭湯やスパなどで施設管理者の制止を振り切って侵入すれば、公然わいせつ罪や建造物侵入罪に当たる。

 しかし、旅館は公衆浴場法を適用していないところが圧倒的に多く、基本的には旅館業法を適用している。

 公衆浴場法の対象外であることを知った悪意ある利用者が、外見上の性別とは逆の風呂に入りたいと主張を通したいときに、旅館側は前述の「管理要領」に男女と記載があることのみで対抗しなければならない。

 また、新型コロナが感染拡大した影響で、その他の宿泊客やスタッフの感染症対策の観点から旅館業法が改正された。明らかに「特定感染症に感染している場合」や「宿泊客がほかの客へのサービス提供を著しく阻害するような過大な要求を繰り返す場合」は宿泊拒否が可能としている。

 これらが例外的に宿泊拒否できるケースであり、旅館は原則、宿泊拒否はできない。

 旅館業法が制定されたのは戦後まもなくの1948(昭和23)年であり、宿泊施設が世の中のセーフティネットの代表として扱われていた時代だ。この名残から、旅館業法だけが昔の時代背景を基準に義務を課せられていた。

 コロナ禍をきっかけに、ほかの客や従業員の安心・安全を守る観点から、宿泊拒否の項目などが改正された。

 考えられるケースとして、永山氏は「宿泊予約を入れる際、男性客が女湯に入る旨を宣言したとき、咄嗟にスタッフが宿泊拒否に取れる言葉を言ってしまうと、『宿泊拒否だ。法律に反しているだろう』と訴訟ビジネスに持ち込まれる可能性もある」と指摘する。…

【全文は、本紙1907号または7月27日(木)以降日経テレコン21でお読みいただけます。】

〈旬刊旅行新聞7月21日号コラム〉――哀悼 望月照彦さん 22年間、計263回に及び執筆いただいた

2023年7月20日(木) 配信

 エッセイストの望月照彦さんが6月26日、自宅療養中のところ亡くなられた。79歳だった。

 

 本紙(旬刊旅行新聞)で2001年5月から、毎月1日号掲載コラム「街のデッサン」を、今年3月1日号まで約22年間、計263回に及び執筆を続けていただいた。

 

 今年の春ごろから体調を崩され、4、5、6月はコラムを休載していた。望月さんの体調が回復され、執筆の再開を願っていたが、残念でならない。

 

 謹んで哀悼の意を表します。

 

 

 望月さんとお会いした機会は少なかった。旅行新聞新社が主催する「プロが選ぶ日本のホテル・旅館100選」の表彰式を毎年1月に東京・新宿の京王プラザホテルで開催しているが、その祝賀パーティーに何度かご出席いただいていた。

 

 長身でグラス片手に佇む姿をお見掛けし、コラム執筆へのお礼を申し上げ、ほんの少し世間話をする程度だったが、華やかなパーティー会場で、ひと際お洒落な望月さんに漂うオーラの印象が強く残っている。

 

 その後も、望月さんが登壇する「まちづくり」をテーマとするシンポジウムやパネルディスカッションを何度か取材したが、振り返ってみると、これまで深くお話をさせていただいたことはなかった。しかし、22年間、望月さんのエッセイに毎月親しんできたことによって、実際にお会いした回数以上に、関係の「近さ」を感じていた。

 

 

 本紙のコラム陣は豪華である。経験豊富な執筆者が、さまざまな知見を深める情報を提供してくれる。望月さんは数ある肩書の中で、「エッセイスト」として執筆された。暮らすようにパリを旅されたり、ご自宅のある東京・代々木周辺を街歩きされたり、その眼差しや描写が好きだった。

 

 編集者の特権として、読者よりも先に原稿を読むことができる。校了日などは、朝から終日校正作業に追われる日もあるが、望月さんの“純粋な旅のエッセイ”は、校正で疲れ切った頭に「一服の清涼剤」のように、爽やかにデッサンされた世界観が広がった。

 

 異業種の人が集うパーティーなどで「旬刊旅行新聞」と書かれた名刺を渡すと、「楽しそうな新聞ですね」と、しばしば言われる。扱っている分野は旅行や観光だが、日々取材して記事を書く記者にとっては、会見での厳しいやりとりや決算の数値など、他業界の新聞記者と大きくは変わりない。

 

 だから、ときには本紙の紙面が読者に「堅苦しさを与えているのではないか」と危惧することがある。そんなときに、コラムというのは、異なる空気を味わえる枠として存在する。

 

 

 頻繁に会う人であっても、心が触れ合わない関係がある一方で、一度も会ったことがないのに、師であり、友人である関係もある。作家と読者の関係は、そのようなものだ。

 

 文字だけの小説やエッセイとじっくり向かい合う時間が減少傾向にあるが、幸か不幸か、新聞を発行していると、相変わらず想像力が命の文字の世界と触れ合いながら生きている。

 

 本気であるほど文章を書くことは、つらい作業である。そして、つらい中にも書き手の根底に「書くことが好き」という想いが強くなければ、読者はもっとつらく、楽しむことなんてできない。望月さんのコラムの文章を読むと、いつも心は楽しくなった。

 

(編集長・増田 剛)

 

ダイブと全旅連青年部、特定技能の現状と課題提起 宿泊で無期限滞在や家族帯同可能受け

2023年7月19日(水) 配信

記者発表のようす

 宿泊業界に特定技能人材を紹介するダイブ(庄子潔社長、東京都新宿区)と全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会青年部(塚島英太部長)は7月18日(火)、宿泊業界における特定技能の現状と課題を提起する記者発表を開いた。

 政府が6月9日、宿泊を含めた9分野を無期限の就労と家族帯同可能な在留資格特定技能2号の対象とする案を閣議決定したことを受け、今後増加が期待される外国人労働者の受け入れを前に実態を説明した。

 冒頭、菅沼基ゼネラルマネージャーが登壇。今年5月15~26日に行ったアンケ―トの結果を発表。人手不足を感じている宿は約87%だった。

菅沼基ゼネラルマネージャー

 一方、日本人がグーグルで旅館・ホテルへの就職について検索した回数は増えていないことから、「日本人の働き手は増加していない。今後、人口減少で減っていくだろう。外国人雇用で補ってほしい」と語った。

 同日には、昨年12月29日~23年1月11日に実施した日本での就業を目指している外国人へのアンケート結果も公表。特定技能での滞在が可能な12分野のうち、最も人気のある職種は宿泊だった。宿泊施設で働いてみたいですかとの問いには、60%以上が働いてみたいと答えた。

 菅沼ゼネラルマネージャーは「宿泊施設で働く人数が少ないなか、働きたい外国人は多い。採用活動を進めれば、従業員は増える。業界を挙げて外国人採用を活発化してほしい」と語った。

 第2部で登壇した塚島英太部長は「観光需要が増加する一方で、コロナ禍からの復活に向けて、(日本)人の確保が難しい。とくに地方では人材を募集した際、応募されなかった声も届いている」と話した。

塚島英太部長

 また、訪日観光客のあらゆるニーズに応えるためにも、多言語を話すことができるスタッフの必要性が高まっているとした。

 これを踏まえ、塚島部長は「外国人労働者は宿泊業界の成長のほかに、国の成長戦略や地方創生に貢献するためにも欠かせない」と語った。

 今後は「特定技能制度を活用した在留者を増やす活動を推進していく」と述べた。

 最後に導入事例として、油谷湾温泉ホテル楊貴館(山口県長門市)の岡藤明史取締役が、自館で4人の外国人人材を採用した背景について「(日本人は)高齢化で需要が高まった医療など他業種との奪い合いになった。さらに市内に大学がないため、多くの若者が高校卒業後に地元を離れる」と説明した。

岡藤明史取締役(左)とアンドリューさん

 また、外国人人材の成長のためには「日本人従業員に採用する理由と、労働力ではなく仲間として受け入れることへの理解が欠かせない」とした。

 宿泊分野が2号の対象となることについては「長期間の滞在で言語や文化への理解をより深めることができる」と期待を寄せた。

 同館で料理人として働くアンドリューさんは、日本を就職先と選んだ理由を「家族のため。(金銭面で)より良い生活を送りたい」と述べた。

 滞在中に困っていることとして、日常生活で買い物への場所が遠いことを挙げた。このほか、日本語教育のサポートも求めた。

出雲市が山陰地方で初の「旅先納税®」導入 全国では30自治体目

2023年7月19日(水) 配信

(左から)森氏、飯塚市長、棚橋氏

 島根県出雲市(飯塚俊之市長)は7月18日(火)から、電子ギフト事業を手掛けるギフティ(太田睦・鈴木達哉社長、東京都品川区)が提供する「旅先納税®」を開始した。山陰地方では同システムの採用は初めて。全国では30自治体目となる。

 旅の途中でふるさと納税を行う「旅先納税®」は、返礼品として該当地の電子商品券が発行されるもので、地域経済の活性化などを狙う。自治体は同社の「e街プラットフォーム®」を採用することで、地域の電子通貨の発行や流通、旅先納税®など包括したサービスが受けられる。

 出雲市の返礼品の電子商品券は「いずもe街ギフト」で、出雲大社周辺を中心に宿や飲食店、観光施設など53店舗で利用できる。利用可能店舗は順次拡大していく予定だ。

 同日に開いた会見で飯塚市長は昨年、ふるさと納税の総額が目標の10億円を突破したと報告。「さらに伸ばすためにはさまざまなニーズに沿って利用しやすいものにしていかなければならない」と述べ、観光客がコロナ前の状況に回復しつつあるなか、「旅先納税®」に期待を寄せた。

 ギフティ常務執行役員の森悟朗氏は、「旅先納税®」のメリットとして、既存のふるさと納税では恩恵が受けられなかった3次産業が受け口になっていることを挙げ、「新しい地方創生のアプローチだ」と述べた。

 また、ふるさと納税全体でみると利用者は年々増加傾向にあるが、対象者約5950万人のうち、利用者の割合は約12%となっていることから、今後も伸長の余地があることを示した。同社は新しいふるさと納税のスタイルとして「旅先納税®」の定着をはかるとともに、新たな人流創出につなげたい考え。

 同納税の普及に向け、同社は昨年11月に日本航空(JAL)と業務提携を結んだ。会見にはJAL山陰支店長の棚橋学氏も同席し、「旅マエ、旅ナカで搭乗客にPRしていきたい」と周知に向けて意気込みを語った。

 JALでは、9月24日まで「旅して応援!旅先納税キャンペーン~2023夏~」を実施している。期間中に「旅先納税®」を行い、1万円分を1口としてキャンペーンページから参加登録すると抽選で国内線往復航空券などが当たる。