国民宿舎「かいもん荘」利用事業者公募、鹿児島県指宿市 4月14日まで

「用地は無料貸与、固定資産税10年間支援」

 鹿児島県指宿市(豊留悦男市長)は今年1月15日から4月14日までの期間、同市内の国民宿舎「かいもん荘」跡地利用事業者の再公募を開始した。同跡地は、2008年から3回の公募を実施したが、契約には至らなかった。

 そこで今回は、固定資産税相当額の奨励金制度を新設するなど、これまで以上に応募しやすい環境を整えた。

 同跡地は、日本百名山のひとつである開聞岳の間近にあり、眼前には東シナ海が広がる風光明媚な環境にあり、敷地内には2つの泉源も備えている。指宿市は、この地で旅館・ホテルを営もうとする事業者からの応募を求めている。

 貸付地は、開門川尻大月5390―3ほか9筆で、6659・11平方メートル。応募資格は、旅館・ホテルを経営しうる十分な資力、信用、管理運営能力などを有する単独の企業、または複数の企業で構成されるグループを対象にしている。

 条件などの概要は、土地は30年間無償で貸し付け、以後両者の協議によって更新可能。提案する事業は、ホテル・旅館業を主とするものとし、対象地にある2本の泉源は専用使用できる。

 固定資産税(建物および償却資産)については、指宿市過疎地域産業開発促進条例の要件を満たす場合は3年間、免除または支援する。さらに、指宿市かいもん荘跡地利用奨励条例の要件を満たす場合には、これに加えて7年間支援する。

 詳しくは同市ホームページ(http://www/city.ibusuki.lg.jp)に掲載している。

 問い合わせ=指宿市観光課観光企画係 電話:0993(22)2111。 

No.393 JNTOが訪日フォーラム、アジアの注目3市場を分析

JNTOが訪日フォーラム
アジアの注目3市場を分析

 2014年の訪日外客数は前年比29.4%増の1341万3600人と大きく増加した。2020年訪日2000万人へ向けての取り組みが加速するなか、日本政府観光局(JNTO)は1月29、30日に、第13回「インバウンド旅行振興フォーラム」を開き、海外15事務所の所長らが東京に集まった。14年の最大訪日市場となった台湾と、主要5市場に追いつく勢いを見せるタイ、経済発展による海外旅行者増加が顕著なASEAN市場で最も高い伸び率を示したフィリピンの市場動向を紹介する。

【伊集院 悟】

 
 
 

■台湾

 台湾は14年の訪日客数が前年比28・0%増の283万人と、3年連続で過去最高を更新中。訪日数全体の5分の1を占め、最大の訪日市場となった。市場別で首位になるのは16年ぶり。120―130万人台での推移から一気に2倍へと拡大した。親日性が高く、65%以上が日本に「親しみ」を感じているという。約8割がリピーター。

 台湾経済は長年の低迷から回復の兆しを見せているが、若年層を中心に賃金は変わらず景気回復の実感はない。日本交流協会台北事務所経済室の山田敬也主任が「台湾人は景気が悪くても旅行に出るのが好き」と語る通り、海外旅行人口は拡大しており、出国率は5割に達した。このうち訪日率は、09年の12・6%から13年は20・0%、14年は10月までの平均で23・7%と拡大。海外旅行者のうち4人に1人が日本に来ている計算になる。

 11年のオープンスカイ以降、週あたりの日台間航空便数は1・7倍に拡大。14年はさらなる需要増加を受け、台湾南部の高雄からの新規就航や増便が目立ち、今年も注目を集める。…

 

※ 詳細は本紙1576号または2月17日以降日経テレコン21でお読みいただけます。

ロボットメインの運営、ローコストホテル7月開業(ハウステンボス)

ロボットによる受付イメージ
ロボットによる受付イメージ
会見する澤田秀雄社長
会見する澤田秀雄社長

 ハウステンボス(澤田秀雄社長、長崎県佐世保市)は1月27日、スマートホテルプロジェクトとして、世界初のローコストホテル「変なホテル~変わり続けることを約束するホテル~」を7月にハウステンボス敷地内へ開業することを発表した。サービスロボットを導入し、人件費を4分の1ほどに抑える。

 同日の会見で澤田社長は「ロボット化により、世界一生産性の高いホテルを目指す」と掲げた。時期をずらした2棟編成で、第一期棟は7月15日に開業し、第二期棟は2016年に開業予定。両棟とも72室ずつとなる。

 同ホテルは、滞在時の快適性と世界最高水準の生産性を両立するべく、(1)建設コストの削減(2)人件費の削減を目指した自動化とサービスロボットの導入(3)省エネルギー化と光熱費の自給率向上へ向けた太陽光発電の導入――に取り組む。開業時に受付ロボット3台、サービスロボット1―2台、ポーターロボット2台、ロッカーロボット1台、清掃ロボット数台を導入予定。第一期棟はエアコンのない快適性をコンセプトに、放射パネルの実装、日射角度を考慮した屋根による太陽のコントロール、風が抜ける隙間デザインを実施する。澤田社長は「人件費を4分の1に、光熱費は2分の1に抑えたい」と語り、10人以内での運営を目指す。また、「これまでのホテルの半分のエネルギーで運営できる」とし、将来的には再生エネルギーだけでの運営も視野に入れる。

 料金はオークション形式のオープンプライスで、宿泊日の1、2カ月前には決定するという。ホームページ(http://www.h-n-h.jp)ですでに先行仮受付を開始。3月からは電話での予約受付も始める。今回の開業を「0号店」と称し、検証を踏まえ、全国・世界展開につなげていく。

料理長が顔を見せる ― 「厨房は裏方」という考え方は古い

 先日、会社の近くでずっと気になっていながら、入る機会を逸していた居酒屋でランチを食べた。その日の日替わり定食はカキフライと刺身定食で、値段も手ごろだったので、それにした。2階なので多くの客で混み合うということもなく、カウンターに並ぶ日本酒や酒場関連の本を読んで料理を待った。間もなく運ばれて来たカキフライは素材の良さが一口でわかるほど瑞々しく、ジューシーだった。刺身も新鮮で薄口の刺身醤油ともよく合った。でも、これだけなら10軒入れば2、3軒はあるかもしれない。「この店は美味しい」と、新たな隠れ家を開拓した気分になったのは、ごはんを食べたときだった。黒塗りの器に入れられた艶やかな米は、しばしば出会うしゃもじの平面的な跡がべっとりと残ったり、塊となったごはんとは一線を画す“強いこだわり”を感じた。

 過去、いくつかの定食屋を気に入り、何度も行きつけたのに、ある事が原因でそれ以来一度も行かなくなった店がある。ある事とは、「ごはんの炊き方がぞんざいに感じたから」だった。小学校の給食で出されたごはんの炊き方があまりにひどくで、おそらくそのトラウマからどんなに料理が美味しくても、ごはんが美味しくなければ、二度と“行けない”という習性が身についてしまった。

 私は美味しいごはんを出してくれた居酒屋を出る時に、どのようなご主人(料理人)がこんなに美味しいごはんを出すのかと、レジから見える厨房を覗いた。滅多にこのようなことはしないのだが、とくに美味しい料理を食べたときには、料理人がどんな人なのか、無性に知りたくなるのである。

 名の通ったレストランでは料理長やシェフがスポットを浴びる。旅館やホテルでも、料理長の写真とともに「料理長お薦めコース」などのプランを前面に出す宿もある。しかし、依然として旅館では「厨房は裏方」との意識は強い。

 オープンキッチンを取り入れる宿も多くなった。お客は料理人が料理する姿を見ることができる“ライブ感”を得られる。一方、料理人もお客が料理を食べたときの反応をダイレクトに見ることができるので、双方にとってメリットがある。

 女将やフロント係、客室係は宿泊客と接する機会は多いが、料理人は厨房の中だけで、お客と接する機会が少ない。自分たちが作った料理がどのようにしてお客が楽しそうに食べているか知りたいだろう。お客の姿を目にすることで、さまざまなアイデアも沸くし、モチベーションも上がるだろう。食べ残りだけを見るのは辛いものだ。

 職人気質が強く、表に出てお客と話したがらない料理人も多い。しかし、今は料理人にもコミュニケーション能力が求められる時代になった。

 仲居さんが空で覚えた料理を説明しても暗記することで精いっぱいで、刺身の三点盛りの最後の一つが思い出せず、記憶を探りながらお客に試験問題の回答をするようなシーンも見られる。メニューの説明をするのはいいが、実際に社長や料理長が仲居さんを連れて魚市場に行ったり、メニューの品を食べさせたりしない限り、あまり意味がない。であるならば、可能な限り料理長が食事処に顔を出し各テーブルに声を掛け、客からの質問に答えた方がいい。「厨房は裏方」という考え方は、もう古い。

(編集長・増田 剛)

祝日の意義を発信、ハッピーマンデー維持へ(JATA)

バナーから
バナーから

 日本旅行業協会(JATA)はこのほど、祝日三連休化(ハッピーマンデー)維持のため、本来の祝日の意義を発信する「ハッピーマンデー祝日の意義」バナーを作成し、ホームページに各祝日の解説を掲載した。会員各社にはバナーに加え、「海の日」のロゴマークをパンフレットに掲載し、一般消費者に広く理解を求めるよう呼びかけている。

 ハッピーマンデーは、国民の旅行など余暇活動を楽しむ機会を拡大し、豊かでゆとりある生活のために実現された制度。2000年に成人の日と体育の日、03年に海の日と敬老の日が設定され、年4回の3連休が創設された。観光業界にとって経済効果が大きい重要な連休である一方、本来の祝日の意義への薄れを理由に、昨年から国会議員の間で海の日を本来の7月20日に固定化する法改正への動きが出ている。こうしたことを受け、JATAは日本の祝日の本来の意義や継承されてきた伝統・文化を発信したうえで、3連休継続への理解を求めていきたい考え。当面は海の日への取り組みを強化し、各社へ夏パンフレットへのロゴ掲載を求めている。

 1月28日の定例会見で国内・訪日旅行推進部の興津泰則部長は、ハッピーマンデーは観光業界のみならず、全国約653万人の署名と47都道府県を含む849議会の意見書採択など幅広い層からの要望を背景に設けられたものだと説明。「我われにとっては、いずれも重要な連休。今後、何ができるか検討中だが、日本観光振興協会を中心に、観光産業団体全員で維持する取り組みをしていかなければならない」と語った。

ニーズをつかめ

 先日、成田空港の免税エリアで和雑貨などの伝統工芸品を訪日外国人客へ販売する「天正堂」の仲嵩和也店長の話を聞いた。同店では当初安い価格帯の「箸」や「鉄瓶」などを販売していたがあまり売れず、高額商品に変えたところ、月の売上が4倍ぐらいに跳ね上がったという。仲嵩氏は顧客ニーズの分析に力を入れていた。

 2014年の訪日外客数は前年比29%増で1340万人に達し、訪日外国人旅行消費額は同43%増で2兆円の大台を突破した。日本百貨店協会が発表する外国人観光客の売上高は、昨年10月の消費税免税制度改正後は2倍以上に膨れ上がり、インバウンドの好調さが際立つ。

 観光庁は昨年4月に「マーケティング戦略本部」を設置。15年から市場ごとの目標値を設定する方針を掲げていた。各市場ニーズを詳細に分析した戦略に期待がかかる。

【伊集院 悟】

日本の情報を訪日台湾人にPR、「樂吃購(ラーチーゴー)」

 台湾人向け日本観光情報サイト「樂吃購(ラーチーゴー)」(www.letsgojp. com)は2011年のサービス開始から4年で月間ページビュー数は120万回、ユニークユーザーは30万人を超える人気サイト。東京、大阪、京都、神戸、和歌山、奈良、東北、北海道の8エリア版を展開し、3月に九州、4月に沖縄版も新設する。サイト上では、日本全国の最新トレンドや日本の店舗で使えるクーポン、日本企業の商品紹介などさまざまな情報を掲載。同サイトは台湾人観光客を誘致したい地方自治体や百貨店、ドラッグストア、ホテル・飲食店などの広告収入で、ジーシー・メディアグループ(吉田皓一社長)が運営している。
 

強風よさらば

 今、旬の話題といえば、開業まであとひと月に迫った北陸新幹線だろうが、関連した話題として、もうひとつ、個人的に大いに期待を寄せていることがある。近畿と北陸を結ぶ特急「サンダーバード」のサービス向上の一環として実施される防風柵の整備だ。

 よく利用される方ならご存知だが、同特急が走る湖西線や北陸本線は強風による遅延などがたびたび起こる。もちろん運行会社が悪いわけではなく、琵琶湖や日本海のそばを走る列車の宿命なのだが「もう少しなんとかならないか」と常々、思っていた。

 今回の整備は、北陸新幹線との接続を考慮したもので、車両のグレードアップを含めJR西日本が順次、実施するもの。実際にどの程度、解消されるのかは分からないが、どうか今より遅延や運休が減りますように。

【塩野 俊誉】

JR各社と連携強める、訪日は個人旅行化に対応、JTB・髙橋社長

髙橋広行社長があいさつ
髙橋広行社長があいさつ

 JTB(髙橋広行社長)は1月22日、東京都内で2015年新春経営講演会を開いた。今年度は、国内はJR各支社との連携を強め、海外はチャーター・クルーズを切り口に、訪日は個人旅行化への対応にそれぞれ力を入れる。髙橋社長は新年のあいさつで「20年まではグローバル人流の拡大や東京オリンピック・パラリンピック開催など、ビジネスチャンスが到来する黄金の時間だが、何もせずに自然に輝くものではない。グループ170社2万6千人の総力で20年を輝きに変えていかなければならない」と力を込めた。

 また、取扱額2兆円、営業利益400億円を目標にした「『長期経営計画2020年ビジョン』の確実な達成」と、「21年以降も飛躍に向けて経営の道筋をしっかり立てること」を社長の使命に掲げた。「東京オリンピック・パラリンピックは将来に向けた跳躍台として位置づけ、持続できる仕組みを作る準備をする必要がある」と述べた。

 国内旅行は、3月14日の北陸新幹線開業や山陽新幹線全線開業40周年、今年度末予定の北海道新幹線開業など「鉄旅イヤー」としてJR各社と連携し、企画提案と商品展開に力を入れる。

 海外旅行は、チャーターやクルーズなど新たな切り口で海外旅行の需要喚起に取り組んでいく。また、ここ数年低迷している海外旅行を復活させるには中国・韓国マーケットの回復が必要だとした。

 訪日旅行は、訪日観光客の増加予測と個人旅行化が進んでいくことを見据え、「皆さんと一緒に対応を考えていきたい」と意気込んだ。

 講演には毎日新聞社特別編集委員の岸井成格氏を迎え、「日本の政治・経済のゆくえ」――観光立国実現に向けて――をテーマに現在話題のニュースなどをもとに日本の今後の経済の流れなどを解説した。

第1弾は京都市がPR、飯倉公館活用で地方創生

岸田文雄外務大臣
岸田文雄外務大臣

 外務省は2月3日、会談や交流会で使用している東京都港区の飯倉公館を活用した地方創生事業の第1弾として、京都市(門川大作市長)と共催のレセプションを開いた。会場には駐日特命全権大使や観光関連団体、外資系企業など約280人が参加した。

 同省では在外公館やODA(政府開発援助)を活用した自治体の海外展開支援に取り組んでおり、今年からは地方自治体の首長と共催で、在京外交団を飯倉公館に招き地方の魅力を内外に発信する地方創生支援プロジェクトを始める。

 第1弾として京都市とレセプションを開き、同市が誇る和食や風呂敷、香道をはじめとした産業・食・伝統文化などのブース出展や観光PRなどを行った。

 主催者を代表して、岸田文雄大臣は、「地方自治体は外交の重要なパートナーだ。多くの自治体に協力し、地方創生に貢献していきたい」と意気込みを語った。

 同省は2016年以降、イギリスのロンドンとアメリカのロサンゼルス、ブラジルのサンパウロで戦略的海外発信拠点として「ジャパン・ハウス」を開設する。岸田大臣は「日本の正しい姿、多様な魅力を発信していきたい」と述べた。

 京都市は現在、東京都内で「京あるきin東京2015~恋する京都ウィークス~」を開催中(3月2日まで)。2月4日には、門川市長が俳優の京本政樹さんを「京都観光 おもてなし大使」に任命するオープニングイベントが開かれた。同期間中は都内の宿泊施設や百貨店など各施設で京都に関連する展示会や講演会、物販などを行う。
          

レセプションに参加したJTB・髙橋広行社長

 「ビザ緩和や外国語表示など国でしかできないことと、ゴールデンルート以外の新たな観光ルート作りなど我われ民間が得意なことがそれぞれあるので、官民一体で魅力ある日本を目指したい」。