幕張に12万人来場、旅フェア2010「新旅宣言」

 日本観光協会(中村徹会長)が事務局を務める旅フェア実行委員会は5月28―30日までの3日間、千葉県千葉市の幕張メッセで「旅フェア2010」を開いた。初日には2万8972人、2日目には4万7716人、最終日の3日目には4万4144人と、昨年を約1万5千人上回る合計12万832人が訪れ、全国各地のご当地グルメやアトラクションなどで楽しんだ。

 主催者を代表して中村会長は、「旅フェアは日本の新しい魅力や旅の楽しさを発信する、国内最大規模の旅の総合見本市。経済環境の厳しいなか、全国から多くの出店をいただき、充実した内容にしていきたい」と意気込みを語った。

 16回目を迎える今年は、国土交通省、総務省、観光庁、千葉県、千葉市が後援し、都道府県や観光協会、旅行会社などが150を超えるブースを出展した。場所を3年ぶりに旅フェアのふるさとともいえる千葉県の幕張メッセに戻し、「新旅宣言 見つけよう!あなただけの旅」をテーマに開催。「旅」に対するニーズが多様化・高度化するなど環境が変化しているなか、会場を「旅」に出かけるきっかけづくりの場と位置づけ、従来の地域ごとにブースを分けるスタイルをやめ、今年は4つのテーマゾーンと2つのコーナーに分けた。本物のバスガイドが付いてバーチャルツアーを体感できる「乗り物大好きゾーン」や、日本青年会議所と初めて連携した、全国に散らばる彩り豊かな「地域のたから」を一堂に集めた「地域のたから発見コーナー」などおもしろいアイデアが並んだ。

 また、29、30日には「台湾訪日旅行商談会in旅フェア2010」と「産品相談・商談会」の2つのビジネスプログラムを実施した。日本側160社、台湾側30社が参加し、情報交換や商談に臨んだ。

(株)全旅がポイント制導入、売上げで還付率変動

「各支部の経営陣の手腕による」

 埼旅協総会で(株)全旅の大原秀雄副社長は(株)全旅の09年度決算を報告した。09年度はリーマンショックの影響、新型インフルエンザの発生で旅行業も苦境にさらされたなか、売上高は約14億3千万円、経常利益は約9800万円、当期利益は3千万円を計上したと報告。なかでも、旅行事業の売上高が前年度比20%増の6億1千万円と大きく伸びた。保険事業は約3億9千万円、クーポン事業が約4億1千万円。大原副社長は「皆さんの協力のおかげでリーマンショック以前の数値を残すことができた」と述べた。

 10年度は、4月に日本旅行と業務提携を行い、(株)全旅クーポンを通じて日本旅行の旅行商品を取り扱うことが可能になった。(株)全旅の会員は全旅クーポンを利用することで、保証金の納付などの必要なく日旅商品を扱える。現状では、(株)全旅のクーポン会員のみが対象となるが、大原副社長は「将来的には全旅協全会員にもこのシステムが適応できるよう努力していきたい」と述べた。

 また、今年度から各47都道府県支部にある営業所の取扱額に応じたポイント制を導入し、還付する額を決めていくことになったと報告。「今後は各支部の経営陣の手腕によって、還付率が変わってくる。売上や普及率などが加味されるので、(株)全旅のクーポンや保険を積極的に活用してほしい」と語った。これまでは04年の売上によって05年以降、還付率は変わっていない。 「地旅大賞」は売れる商品に」  (株)全旅は地旅を推進しているが、「来年4月に富山で開催される国内観光活性化フォーラムで発表される地旅大賞は、ツアーの参加人数などによって決めることになった。本当に売れる商品、送客できる商品を大賞としたい」と述べた。

09年度旅行業62社取扱額、13.9%減の5兆5402億円、国内1割減、海外2割減

 観光庁がこのほどまとめた2009年度主要旅行業62社の取扱状況(速報)によると、総取扱額は前年度比13・9%減の5兆5402億8350万円と大きく落ち込んだ。

 部門別では、国内旅行が同10・6%減の3兆5338億8829万円。海外旅行が同19・3%減の1兆9541億6977万円、外国人旅行が同15・8%減の522億2544万円と全部門で2ケタの減少となった。

 総取扱額で前年度実績を上回ったのは、阪急交通社(同0・4%増)と、I.JTB(同0・7%増)の2社のみ。

 国内旅行で前年度実績を上回ったのは、エイチ・アイ・エス(同0・3%増)、I.JTB(同2・8%増)、日立トラベルビューロー(同1・5%増)、JTBグローバルマーケティング&トラベル(同71・9%増)の4社。

 総取扱額の上位10社は、(1)JTB(7283億6291万円)(2)近畿日本ツーリスト(3803億4061万円)(3)阪急交通社(3528億6283万円)(4)日本旅行(3474億2699万円)(5)JTB首都圏(2892億4734万円)(6)エイチ・アイ・エス(2800億1268万円)(7)JTBトラベランド(2239億5315万円)(8)ANAセールス(2044億3392万円)(9)JTBワールドバケーションズ(1919億5280万円)(10)JTB西日本(1756億4761万円)の順となった。

韓国ドラマ「アイリス」の新作、鳥取がロケ地に決定

 韓国のテレビドラマ「アイリス」の新シリーズ制作で、海外ロケ地の一つに鳥取県が選ばれた。平井伸治知事が5月26日、大阪市内でドラマを制作するテウォン・エンターテイメントのチョン・テウォン社長と面談し、ロケ実施の確約を得た。

 人気俳優のイ・ビョンホンさんが主演した1作目は、昨年10―12月に韓国で放送され、平均視聴率30%超、最終回は約40%に達するなど大ヒット。

 ロケ地になった秋田県には韓国人旅行客が急増し、今年1月の秋田―ソウル便の利用者数は過去最高の約6千人を記録した。

 新作は前作同様の、スパイアクションものでタイトルは「アテナ―戦争の女神」。人気俳優のチョン・ウソンさんが主演し、今年の秋から韓国で放送される。鳥取ロケは8月末から秋にかけて行われ、ドラマ後半で取り上げられる予定だ。

 面談後、記者会見を開いた平井知事は「6月早々にロケ受け入れの実行委員会を発足させる。ロケ場所は砂丘や温泉地になるのではないか。経済効果は約12億円を見込み、米子―ソウル便やDBSクルーズフェリーなどの活性化を期待している」と述べた。

歯ブラシなどを持参、09年度の環境活動を報告(サンルート)

 国内・海外にホテルを展開する「サンルートホテルチェーン」(五十嵐静夫社長、東京都豊島区)はこのほど、2009年度に行ったチェーン全体の環境への取り組み結果を「環境レポート」として発表した。宿泊客が気軽に読めるように、各ホテルに設置するほか、ホームページでも公開している。

 同ホテルチェーンが取り組む環境活動は、「チャレンジ25キャンペーン」(温室効果ガス排出量を2020年までに1990年比で25%削減を目指す国民的運動)への参加に加え、「歯ブラシ・カミソリの持参」や、連泊客には「客室ノークリーニング」を呼び掛けるなど、さまざまな取り組みを行っている。また、地球環境を考え、客室清掃やアメニティ類の補充をできる限り減らした「連泊エコプラン」をチェーン全体で販売し、連泊客への割引などの特典を提供している。09年度(09年4月―10年3月)は4626室を販売した。

 また、09年度に実施した歯ブラシ・カミソリ持参運動では、スギの木の年間CO2吸収量換算は約7012本分となった。

 宿泊客が持参した歯ブラシは89万1658本、カミソリは252万2879本で、歯ブラシ・カミソリのごみ減量の総重量は3万6233キロに相当する。一方、連泊客のノークリーニング利用室数は、5万9559室となった。

 サンルートホテルチェーンは、10年度も引き続き環境活動を続ける。6月中は従業員とその家族を対象とした、第7回GPN500万人グリーン購入一斉行動「持とう! マイ箸! マイボトル、マイバッグ!」「歩いて減らそうCO2!!」活動に参画して、従業員の意識向上にも積極的に取り組んでいく考えだ。

「源泉かけ流し」宣言、東北で初の高湯温泉

 福島県の高湯温泉観光協会(遠藤淳一会長)は6月1日、「源泉かけ流し」を宣言した。これまで北海道や長野県など、全国8カ所で同様の宣言をしているが、東北では初めて。

 同日、遠藤会長ら観光協会メンバーが県庁に佐藤雄平知事を訪ね、札幌国際大学観光学部の松田忠徳教授立ち合いのもと、宣言文を読み上げた。遠藤会長は「400年間絶え間なく湧き出してくる温泉を、これからも守り続けていく」と宣言。佐藤知事は「福島といえば温泉。(宣言を契機に)魅力を高めてほしい」と激励した。

 宣言は松田教授が中心となり提唱しているもので、源泉を加水・加温せず供給し、循環利用もさせないなどの条件がある。「高湯は10本の源泉が自然湧出しているなど、温泉としての水準も高く、理想的」(松田教授)という。

 高湯温泉は乳白色の硫黄泉で、毎分3160リットルの湧出量を誇る。じゃらん人気温泉地ランキングの秘湯部門で昨年、今年と、2年連続日本一に選ばれた。

100都市の安全情報更新を、新会長にサイトラベル・大畑氏(OTOA)

 日本海外ツアーオペレーター協会(OTOA、安達要吉会長、137会員)は6月2日、東京都内で2010年度通常総会を開き、今年度は都市別安全情報の充実にさらに力を入れ、前年度未調査分を加えた100都市の更新を行うことなどを決定した。

 任期満了に伴う役員改選では、サイトラベルサービス代表取締役の大畑貴彦氏を会長に選任。安達会長は、顧問に就任した。

 安達会長は冒頭のあいさつで「今後は、オペレーターの企画力が否応なく商品の品質を決めることになっていく。我われの情報に付加価値をつけ、それを認めてもらえる旅行会社と一緒に商品造成を行い、共に生きていく時代だ」と語った。また、来賓として出席した観光庁の溝畑宏長官は「インバウンドを推進する前提として、アウトバンドを同時に進めることが大切だ。表裏一体だと考えている」とあいさつした。

 昨年度の事業については、都市別安全情報の充実として、93都市の調査・更新を行う予定だったが、52都市に留まったことなどが報告された。研修事業は2地域・4カ国で研修セミナーを実施した。調査・研究事業では、下請法への積極的な取り組みにより、法に抵触するような行為が改善するケースも増えた。速水邦勝専務理事は「1歩進んだ」との見解を示した。

 今年度は、(1)安全にかかわる情報のさらなる充実をはかる(2)「協働」して海外旅行需要の喚起や、各国の観光インフラ整備に努める(3)消費者への「良質な商品・サービスの提供」の観点から、事業者間取引の再検証、グローバルスタンダードの再推進――などを柱に事業を進める。具体的な取り組みとしては、2回目、3年ぶりとなる「OTOA会員の実情に関する調査」を実施する。また、中小企業庁の協力で6月17日に「下請法説明会PartⅡ」を開く。なお、公益法人改革への対応を本格的に進め、来年の総会に移行方針を上程する予定。

 新会長・副会長は次の各氏。

【会長】
大畑貴彦(サイトラベルサービス代表取締役)

【副会長】
ゲライトン・ホルト(THE J TEAM代表取締役)▽立身政廣(アイディツアーズサウスパシフィック代表取締役)

新会長にJR九州の石原氏、九州観光推進機構が総会

「九州新幹線開業の事業中心に」

 九州観光推進機構(田中浩二会長)は5月20日、福岡市内のホテルで2010年度定時総会を開き、退任する田中会長に代わり新会長にJR九州の石原進会長を選任。10年度事業計画として九州の魅力を磨き、国内の大都市圏や東アジアなどから観光客を呼び込む4つの観光戦略を柱に34の事業を実施することを決定した。

 田中会長は「一昨年のリーマンショック以降厳しい状況が続いていたが、韓国や中国からの観光客も増えている。九州観光も景気回復とともに復調するだろう」と期待を表明。退任にあたっては「2005年4月に会長に就任し、我が国初の広域組織としてスタートした。現在、第3次観光戦略策定の途上だが、新会長につなげたい」と述べ、石原新会長に今後を託した。

 新年度事業では、来年3月の九州新幹線全線開業に向けた取り組みを中心に展開。九州を磨く戦略として、先進的な観光人材のネットワーク化と活用強化、第4回九州観光ボランティアガイド大会の開催、観光案内所のモデルづくり、外国人のもてなしWEBの充実、戦略的観光統計の構築、第3次観光戦略策定に必要な統計情報の収集などを行う。

 国内誘致は旅行会社や鉄道・航空会社とのタイアップ事業を強化し、観光と食がテーマのイベントなどで大都市圏での情報発信力を向上。九州新幹線開業を見越し、首都圏、近畿圏・山陽新幹線沿線地域へのプロモーションを強化する。

 具体的には旅行会社向けに「九州を旅する」のモデルコースを提案し説明会を開催。九州向けの旅行商品の拡充と個人、団体型商品造成への支援を行う。九州新幹線効果も九州全域に波及させる。

 さらに修旅誘致強化や集客力のある観光素材集作成と「着旅」の情報発信、個人向けにHPのレベルアップとメルマガ発行などで情報発信を強化。大手ネット会社との提携も検討する。

 海外誘致は韓国、中国、台湾、香港を中心に、タイ、シンガポールなどの東南アジアへも柔軟に対応。国別の特性に応じたPRを行う。上海万博へは九州地域戦略会議と共同で出展する。九州インバウンド・ビジネスフォーラムも開催する。

 石原新会長は「九州には素晴らしい観光資源があり、観光王国に十分なりえる。地域間や、海外との競争に機構の役割は重要だ」と述べ、官民一体の推進を訴えた。

中間層1600万世帯まで、7月1日から全土拡大(中国人個人観光ビザ)

 外務省は5月18日、訪日中国人個人観光ビザの発給要件を、7月1日から大幅に緩和すると発表した。

 現在の発給対象者は、年収25万元以上(約340万円)の約160万世帯の富裕層に限定されているが、7月1日からは政府機関や企業の中堅幹部など「一定の職業上の地位と経済力を持つ」約1600万世帯の中間層まで対象を広げる方針だ。

 個人観光ビザの受付申請は現在、北京、上海、広州の3公館のみで行っているが、瀋陽、大連、青島、重慶を加えた中国全土7カ所に拡大する。さらに、取扱旅行社も現行の48社から290社に拡大する。

 岡田克也外務大臣は同日に開いた会見で、「今回の要件緩和により、観光分野における日中間の人的交流が一層活発化することを期待する」と語った。また、ビザ発給は世帯主だけでなく、妻や子供も対象となるため、10倍を超える大幅な申請の増加も見込まれる。

 中国人の訪日観光は2000年9月に団体観光ビザの発給によってスタートした。09年7月からは、一定の条件を満たす個人観光客を対象にビザを発給してきた。発給数は昨年末までの半年間で7688件。

〈中国の外資規制「粘り強く協議」―溝畑長官〉  観光庁の溝畑宏長官は5月27日、外務省が7月1日から訪日中国人個人観光ビザの発給要件の大幅緩和を発表したことを受けて、「中国人の訪日旅行への機運の高まりにつながる」と歓迎。約1600万世帯といわれる中間層にまで対象が拡大することについて、「課題解決に調整していただいた関係省庁に感謝している」と語った。

 また、日本の指定旅行会社に条件づけられている帰国確認時の空港での見送り業務の緩和についても、関係省庁との間で協議していると報告。

 懸案となっている中国がアウトバウンド業務で外資系企業の参入を規制し、日本の旅行会社が参入できない状況に関しては、「中国からのインバウンド拡大には、個人観光ビザの要件緩和と併せて、質の高い旅を提供できる日系旅行会社の参入は不可欠。6月末にも訪中し、粘り強く協議していきたい」と語った。

溝畑観光庁長官を表敬訪問(第21回全国旅館おかみの集い運営委員)

 第21回全国旅館おかみの集い運営委員会(運営委員長=畠ひで子・匠のこころ吉川屋女将)は5月19日、畠運営委員長をはじめ、小田真弓アドバイザー委員(加賀屋女将)、移川鞠子副委員長(浅虫観光ホテル女将)、峯平滋子副委員長(湯郷グランドホテル女将)、村田明美委員(五浦観光ホテル若女将)と、旅行新聞新社の石井貞徳代表取締役が観光庁の溝畑宏長官を表敬訪問した。

 全国唯一の旅館・ホテルの女将による全国会議「全国旅館おかみの集い」には毎年100―150人が参加する。第21回を迎える今年は7月6日に帝国ホテル東京で「匠 守るべきもの、変えていくもの」をテーマに開かれる。

 溝畑長官は、「この不況下で一番大変な思いをしているのは現場の女将さんたちでしょう」とねぎらい、「お宿のホスピタリティは世界一。日本文化の本流なので、観光庁もできる限りのサポートをしていくので一緒に頑張りましょう」と激励した。年末年始も九州の宿を泊まり歩き、現場の状況を自分の目で勉強したという長官は、「今は大変なときだが、観光は重要な産業。観光を日本の誇れる産業、みんなのあこがれにしたい」と熱い思いを述べた。

 また、観光庁訪問に先立ち、協賛の読売新聞社の宮本友丘販売担当常務取締役と池田均販売局総務を訪ねた。

 宮本常務は、「時代はどんどん流れていくが、『変えてはいけない旅館の意義』がある。逃げずに挑戦し続けた者が次の展開で勝者になれるのでは」とエールを送った。