No.441 バリアフリーへの挑戦、情報の見える化で再び温泉へ

バリアフリーへの挑戦
情報の見える化で再び温泉へ

 今年の4月から「障害者差別解消法」が施行され、全国的に障がい者差別解消に対する意識が少しずつ高まってきている。しかし、旅行業において現段階では、観光施設や宿泊施設などの態勢は十分だとはまだ言い切れない状態だ。障がいを理由に温泉旅行に行くことをあきらめている人たちに、再び温泉旅行を楽しんでもらうために、今、旅行業界に求められていることは何か、バリアフリー旅行ネットワーク代表理事の平森良典氏(昭和観光社社長)に伺った。

【松本 彩】

 
 
 

 ――今年4月に「障害者差別解消法」が施行され、障がいを理由とする差別を禁止し、合理的な配慮を行うことが求められるようになったが、現段階で観光施設・宿泊施設などの態勢は十分整っているといえますか。

 観光業では観光庁が主導して、日本旅行業協会(JATA)や、全国旅行業協会(ANTA)などが、数多くの取り組みを行っていくなかで、差別解消に対する意識が高まってきており、かなりの数の人たちが理解を示すようになってきました。

 しかし旅行業ということで考えると、1つの旅行商品で多くのニーズを満たすことは難しいです。困りごとは人によってさまざまだからです。例えば、車イス利用者でも、貸切バスの段差が可能な方から、昇降が難しい方などさまざまです。昇降できない方への合理的な配慮は、ハード面で昇降リフト付バスや、タクシーの別手配、ソフト面で接遇のできる介助者の別手配など、選択肢の配慮がまだまだ不十分だと思います。

 旅行業においては、ゆったりとしたスケジュールで、長い距離を歩かない一般ツアーや、障がい者に優しい専門ツアーなど、地域の旅行会社の、一泊温泉手配旅行などのツアーを、1つの手段として全国に広げることが重要です。宿泊1つとってみても、困りごとはトイレや客室、食事、お風呂、ケアの問題など多岐にわたります。例えば「杖を使っている方に優しい部屋」や「車イス生活の方に優しい部屋」など、求めている情報は人により違います。

 そのため、ホームページ上に「高齢者・杖・車イスなどに優しい」といったキーワードで専用ページを設け、部屋の平面図や、トイレの手すりの有無、介助スペース、ベッド周りのスペースなどが分かる写真と、センチメートル単位の情報を掲載する。各施設が、お客様が知りたい情報を提供していける環境づくりこそが、温泉旅行をあきらめている方の利用促進につながると思います。…

 

※ 詳細は本紙1641号または9月27日以降日経テレコン21でお読みいただけます。

あえて… ― 快適なゆえの“退屈さ”を排除する

 ある時、フランス料理の先生が2人、向かい合って昼食を食べているのを何気なく眺めていたことがあった。

 彼らは、テーブルに肘を着き、リラックスしながら時に話に夢中になり、千切ったパンでお皿のソースの残りをすくいながら、口に持っていっていた。フランス料理を知り尽くし、テーブルマナーも熟知しながら、背筋を張らず、丸めた背中で少し下品にフランス料理を食べる、慣れた仕草に男の色気のようなものを感じた。世の中には、さまざまなマナーや作法、ルールがあるが、知識のうえで知りながら、あえてきっちりとやらないことが、洒脱であったりもする。服装もそうだ。上から下まで完璧なドレスアップよりも、あえてのドレスダウンが粋に見える。

 最近の旅は、どんどん快適な方向に進んでいる。家を出て駅や空港まで行けば、目的地までエアコンが効き通しで、雨にも濡れない。目的地でもホテルや旅館の中でずっと過ごせば、旅の途中でその土地の空気と触れることもなく、旅が終わる。

 数年前、沖縄の県庁に日帰りの取材に行ったことがある。家を出てバスで高速道路を走り、羽田空港からそのまま飛行機に乗った。那覇空港に着くと空港内でランチを取り、モノレールに乗って県庁前駅からわずかに歩いただけ。沖縄の島渡る風をほとんど浴びることなくその日の夜には逆の経路で家に帰っていた。これは、私の中では、「旅」とは言えない。沖縄には行ったが、「旅」ではなかった。

 最近、普通自動二輪の免許を取りに行っている。

 なぜ、オートバイなのか?

 それは、どこか快適さへのささやかな反逆なのかもしれないと、思っている。

 クルマは、年々快適性が向上している。まず、ほとんどがオートマチック車である。AT車は便利な分だけ、退屈さを感じてしまうのは、仕方がない。

 最近のクルマは、エンジンの振動や風切り音も遮断し、シートポジションも細かに選べ、エアコンやナビゲーションシステムも高性能だ。だから、家を出て、気が付けば快適な環境のまま、目的地に着いてしまうことになる。

 人間は贅沢である。不快なものを次から次に取り除き、ようやく得た快適さには、退屈を感じてしまうのであるから。だから、あえて快適さを排除したものを求めたがる。

 その一つが、オートバイである。クルマはまもなく自動運転の時代が到来する。そうなれば、ただの快適なカプセルの移動に過ぎない。

 メルセデスやポルシェ、ロールスロイスを所有する世界中のセレブの多くも、オートバイを所有している。快適な退屈さをあえて排除した楽しみに興じているのだと思う。

 オートバイには天井もなければ、エアコンもない。このため、夏は暑いし、冬は凍えるほど寒い。雨が降れば全身ズブ濡れだ。転倒すれば、生死に関わる。しかし、少なくとも旅の目的地に到着した時に覚える感動は、快適な高級車で行くよりも大きいはずだ。

 宿も同じで、ただ快適さや贅を尽くすだけでは、宿泊客はもの足りなさを感じるかもしれない。山や海、川など自然を体感できる遊びのメニューや、あえて原始的な空間を提供することも、きっとプラスに作用するだろう。

(編集長・増田 剛)

リアルな体験を提案、旅行会社だからできること(ジャルパック)

永瀬グループ長(左)、石井マネージャー
永瀬グループ長(左)、石井マネージャー

 ジャルパックは、10月21日と11月3日に、「忠義に生きた西軍の智将石田三成ゆかりの地をめぐる」ツアーを実施する。同ツアーは、JALマイレージバンク(JMB)会員に上質な旅を提供する“JMBプレミアムツアー”の商品で、石田三成というテーマにこだわった内容となっている。造成を担った石井秀俊国内企画商品第2事業部西日本グループマネージャーと同グループを率いる永瀬聡グループ長に話を聞いた。造成の意図に注目したい。
【謝 谷楓】

 ――ツアーの醍醐味はズバリ何でしょうか。

石井:このツアーの醍醐味は、石田三成が身を隠したとされる「オトチの岩窟」(滋賀県)を訪れ、捕縛された瞬間の風景や想いを追体験できるところです。この岩窟は、過去のNHK大河ドラマだけでなく、関ヶ原の合戦を描いた映像作品では必ずといっていいほど登場してきました。現地を訪れることは、歴史好きな方にとって、非常に興味深い体験になると考えています。
 現地へは山を登らなくてはならず、麓から1時間以上かかります。一般的な観光地ではありませんから、道などの整備も十分なものではありません。テレビや映画を見て、行ってみたいと思い立っても、1人で手軽に出かけるといったことはかなり難しいのが現実です。ツアーならば、団体行動というメリットを活かして、このような奥地を訪れることができます。参加者らは、余裕を持って、現場の雰囲気を感じ、過去の出来事に想いを馳せることができるのです。
 また、アマチュア歴史家で、「ミツナリスト」として有名な田附清子氏も同行するため、歴史に詳しくない方でもツアーを楽しむことができます。

 ――テーマ型の造成で大切にしていることを教えてください。

石井:テーマ型造成では、内容の“濃さ・深さ”が重要なキーワードとなってきます。旅行会社は、そのテーマの“キモ”をはっきりさせたうえ、参加者らに対し納得のあるものを提供しなくてはなりません。ただ深掘りし過ぎるのもまた問題ですが、適度な濃さは必要不可欠です。そうすることによって旅行会社は、特定のファン、すなわちリピーターを獲得できるようになると考えています。
 もちろん、これ単体だけでは、十分な利益を望むことはできません。しかし、リピーターを獲得できれば、同種や派生型のツアーを繰り返し実施でき、利益の確保もし易くなります。また、“そのテーマならジャルパック”というように、会社のブランド向上効果も期待できます。

 ――旅行会社としての企画力や提案力が問われる訳ですね。このような姿勢は、個人旅行全盛の昨今では珍しいことだと思いますが。

石井:その通りだと思います。しかし、旅行会社が主体となって、忠実にテーマと向き合い提案するなら、期待しているお客様は必ずついてきてくれます。そのため、内容の“濃さ・深さ”を重んじるツアーがなくなることはないと考えています。今回は、フリープランを中心とした個人旅行とは、ベクトルの異なるツアーができたのではないでしょうか。

JMBプレミアムツアー最新号の表紙。詳しくは左記News HEADLINEへ
JMBプレミアムツアー最新号の表紙。詳しくは左記News HEADLINEへ

 ――個人旅行との差別化も意図していたのですね。今後も、テーマ型に力を入れていくのでしょうか。永瀬グループ長いかがですか。

永瀬:ほかのパッケージ型やフリープラン型とのバランスが、とても重要だと考えています。
 お客様からの要望や自治体との連携など、テーマ型のツアーは、継続していく必要があります。一方、個人旅行の増加や、フリープランを中心とした価格競争など、旅行市場を取り巻く環境の変化についていくことも疎かにはできません。今回のツアーでも、「オトチの岩窟」という秘境をメインに据えましたが、個人では容易に行けないデスティネーションは決して多くありません。言葉のバリアがない国内旅行は、とくにそのことが顕著です。
 そのため、今後も、フリープラン型といった収益を確保する商品を大切にしながら、テーマ型を継続して、バランスの良いツアー造成をはかっていきたいと考えています。

 ――同ツアーと“JMBプレミアムツアー”の関わりについて教えてください。

永瀬:このような内容の“濃い”ツアーを、誰に向かって、どのようにして届けるのかということは、大きな課題でした。JMBはしっかりした会員組織で、“JMBプレミアムツアー”のパンフレットは、そのなかでも上位の会員向けに送付されています。それら会員をターゲットにしているからこそ実現できたツアーだと考えています。

石井:入会に際し、お客様の趣味嗜好に関するアンケートを取るのですが、スポーツや登山といったなかで、歴史という項目もあります。おかげで、年齢や性別にとらわれることなく、歴史に興味を持つお客様というように、ターゲットを明確に意識したツアー造成ができました。

 ――同ツアーは、JALグループの一員であるジャルパックならではの商品だと言えます。本日はありがとうございました。

 “JMBプレミアムツアー「ジャルパックが厳選して贈る いい旅、あたらしい旅。」”では、3つのカテゴリーがあり、「ポレイア」と「ポレイア ネオ」では海外旅行のツアーを、「JMBセレクション」では国内旅行のツアーも楽しめる。

 「ポレイア」は、JALビジネスクラスを利用し、旅にはベテラン添乗員も同行する。「ポレイア ネオ」は、1人からの参加が可能で、ビジネスクラスとJALプレミアムエコノミークラスを利用できる。「JMBセレクション」は、JALエコノミークラスを利用し、テーマに沿った旅を提供する。同ツアーもここに属する。

日本と台湾の共同開発、國光客運とウィラー協働

村瀨茂高代表と呉定發副董事長
村瀨茂高代表と呉定發副董事長

 ウィラートラベル(村瀨茂高社長)と、ウィラーエクスプレスジャパン(平山幸司代表)、ウィラーコーポレーション(村瀨社長)は9月13日に、台湾の國光汽車客運(呉定發副董事長)と協働し、高速バスサービスや商品を共同開発すると発表した。第一弾として、ウィラ―トラベルサイトで、日本から台湾を訪れる旅行者向け商品を販売する。日本にいながら、台湾の交通やツアーを事前に予約、決済ができる。

 共同開発の背景に、両国間の好調な旅行者数がある。2015年度の日本からの訪台者数162・7万人、台湾からの訪日者数は367・7万人を記録した。このなかに、LCCが就航したことで、観光目的の若い女性が増加。これを踏まえ、ターゲットを20代前後から30代の若い女性に据えた。村瀨社長は「日本と台湾は互いに国内旅行に近い感覚で、気軽な旅行になっている」とし、「とくに、若い女性を中心に、非日常的な癒しと刺激を同時に求めている」と話した。

 若い女性は海外旅行で、フリープラン・自由行動タイプのパッケージツアーを選ぶ傾向にある。一方、個人で航空券とホテルを同じサイトで予約・購入する、いわゆるダイナミックパッケージは少数派となっている。原因は、「交通のわかりにくさ」と「言葉の壁」の2つがある。

 両社は、この2つの不安を解消し、簡単・便利に安心しながら、よりローカルな旅の魅力を楽しんでもらうため、共同でさまざまな商品やサービスを開発した。

 國光客運は台湾で最大の路線網を誇り、全国に97路線を有し、利用者は1日約9万人にのぼる。車両は約1160台保有し、桃園空港に24時間空港バスを提供している。今回の協働により、「桃園空港―台北」の往復料金を1千円で、「桃園空港―台中」は1800円で販売する。所要時間はそれぞれ、1時間と2時間10分。

 台北から観光地へ高速バスの利用を想定し、九フンと宣蘭、日月潭、阿里山の4カ所でオプショナルツアーを造成した。村瀨社長は「もともとは國光客運の商品だったが、現地に社員を送り、日本人向けオリジナル商品として造り変えた」と話した。さらに、空港バスと今回販売するツアーの車内アナウンスに日本語案内を導入。今後、順次全路線に拡大していく。

 また、國光客運の路線の乗り放題券「KingPass3」を3300円で発売。3日間乗り放題で6回利用できる。「KingPass5」は5日間乗り放題、8回利用可能で5千円で販売する。

 利用者はこれらすべてを、ウィラートラベルサイトで事前に予約・決済ができる。利用者の使い慣れたWebサイトで、日本にいながら、旅先の交通情報などが確認できる。事前に情報を得ることで、旅行者の現地における不安を解消させる。旅行中にトラブルが発生した場合でも、日本語で対応可能なカスタマーセンターに、電話かメールで問い合わせが可能となっている。

 加えて、台湾でバスに乗車するとき、降車地を記入した「降車カード」をバスの乗務員に渡せば、降車場所到着時にアナウンスがある。ツアーの場合は、バス乗り場や乗車方法、地図、見どころが母国語で書かれた「旅のしおり」が配られる。2つとも、台湾到着時に國光客運のカウンターで、事前予約のチケットなどを引き換える際に配布される。

 呉副董事長は、「訪台される日本人の方々に、まるで日本で過ごしているように快適なサービスを提供します。台湾各地を便利で安全・安心に旅行してもらえます」と述べ、「我われは準備万端です」と笑顔で語った。

 同日の会見後、東京・大手町の会場で、村瀨社長と呉副董事長が調印式を行った。

 今後は、10月以降に台湾から日本に訪れる旅行者に対して、今回と同様のサービスを日本で展開し、台湾で記者発表会も予定している。

 ウィラートラベルは、今回の協働により、海外市場で認知度向上をはかる考えもありそうだ。

規約説明会を実施、7月には大学で出前授業も(旅行業公取協)

説明会のようす
説明会のようす
中峰秀紀委員長
中峰秀紀委員長

 旅行業公正取引協議会(菊間潤吾会長)は、9月2日東京都内で、「2016年秋季公正競争規約説明会」を開き、東京都内で旅行業に携わる関係者約300人が参加した。説明会は2部構成で、前半に「表示規約」、後半に「景品規約」の説明が行われ、講師は同協議会専門委員会の中峰秀紀委員長が務めた。

 中峰委員長は、表示規約の説明の中で同協議会のロゴマークについて触れ、「ロゴマークの認知度を高めることで、会員の旅行会社は『安心な旅行を提供している』という信頼ができる。会員の方々は積極的にマークを表示してほしい」とコメントした。

 なお、説明会は東京を皮切りに、富山、大阪、千葉、静岡、松山、長﨑、名古屋の計8都市で計12回行われる。

 また同協議会は、7月20日に東京都渋谷区の東海大学代々木キャンパスで、観光学部観光学科の学生を対象に「公正競争規約」に関する出前講座を行った。同協議会では、全国の大学で観光について学ぶ学生たちを対象に、旅行業界の景品と表示に関する自主的なルールである〝公正競争規約〟について、理解を深めてもらい、協議会の活動や、旅行広告に関心を持ってもらうことを目的に出前講座を行っている。

熱心に講義を聞く学生たち
熱心に講義を聞く学生たち
袋井等事務局長
袋井等事務局長

 講師として登壇した同協議会の袋井等事務局長は、規約についてさまざまな事例を交えながら解説。学生たちは、一つひとつの事例や、規約に関する重要ポイントなどを聞き漏らすことがないように、熱心にメモを取りながら講義に臨んでいた。

 袋井事務局長は「表示規約違反事案の中には旅行会社に直接的に責任がない場合もある。しかし、規約では、当該広告表示を行った旅行会社が違反に問われることになる」と言及し、学生に対して正しい広告を選択したうえで、旅行商品を購入してもらいたいと説明した。
 
 
 
 
 
 
 
 

ゆる~く商品紹介はじめます

 先日都内で開かれたギフト・ショーのビジネスマッチングに参加した。本来バイヤーが出向く場に「宿泊施設に提案(記事化)できる商品を」と手をあげたところ、53社から商談申込みを頂いた。参加バイヤー48社のなかでも3本の指に入る数らしい。新しい販路として旅館・ホテルが注目されていると実感。2日間で17社から話を聞いた。

 「丁寧なもので、丁寧な時間やつながりを」。そんな思から、新ブランドを立ち上げた会社があった。本業の金属加工技術を生かし、ボードゲームや栓抜きを作っている。旅館をステージに見立てた時、この感性を持つ作り手は何をデザインするのだろう。考えるとワクワクする。

 商品紹介は近号から。「今の残念を解消」「こんなのあったら」を意識し、ゆる~く取り組みます。

【鈴木 克範】

本社もブース出席、17社からプレゼン受ける(ギフト・ショー秋2016)

熱心に商品をPR
熱心に商品をPR

 第82回東京インターナショナル・ギフト・ショー秋2016が東京ビッグサイトで行われた。テーマは、「暮らし・デザイン・新時代~住まいと暮らしのイノベーション 次世代デザインセンスとサムシングニュー~」。生活雑貨や文房具、伝統工芸品、観光物産品など幅広い商材が並び、さまざまな業者が熱心に商談を行った。来場者は、3日間で18万9千23人。

 旅行新聞新社もビジネスマッチングの会場にブースを出展した。目的は、宿で目にしたときに気分が高揚したり、和んだりするもの、働く人の負担の軽減につながるような商材を探すこと。2日間で17社の企業から、さまざまな商材のプレゼンを受けた。

 次回の東京インターナショナル・ギフト・ショーは、2017年2月に10日間の会期で開催される。

12年ぶり800万人台回復、連休の日並びや天候に恵まれ、オートキャンプ15年の参加人口

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 日本オートキャンプ協会(明瀬一裕会長)がこのほど発表した「オートキャンプ白書2016」によると、2015年のオートキャンプ参加人口は、03年以来12年ぶりに800万人を超えた。ゴールデンウイークなどの連休の日並びが良く、それらの連休が比較的天候に恵まれていたことが理由に挙げられた。また、「グランピング」がさまざまなメディアに露出し、キャンプは“誰にでもできて楽しめる”という認識が広まることで、キャンプ人口拡大に寄与する結果となった。

 グランピングとは、グラマラス(魅力的な)と、キャンプを合わせた造語。テントやロッジに泊まってホテルのようなサービスを受けられる。キャンプ道具や経験がなくても、アウトドアを楽しむことができ、おしゃれな雰囲気で幅広い層から注目を浴びている。

 同協会は、7月5日に東京都内で発表会を開き、明瀬会長は同白書が創刊から30年目を迎えたことについて言及。発刊の経緯やこれまでの軌跡、今後の展望などを語った。このなかで明瀬会長は「オートキャンプは世に誕生して約半世紀になろうとしているが、新しい発展の段階に入ったのではないか」と述べた。

 15年のオートキャンプ参加人口は、前年比3・8%増の810万人。キャンプ場平均稼働率は、前年から2・3ポイント増の13・5%と過去最高を記録した。地域別では、東北を除くすべての地域で前年を上回り、とくに九州・沖縄では稼働率が倍増した。また、キャンプ場の収支状況で、「黒字・トントン」と答えたのは69・8%(14年61・3%)、一方の「赤字」は26・3%(14年33・4%)と大きく改善し、収支も過去最高となった。

 15年のキャンパー平均年齢は42・4歳で、ここ15年間で4・1歳上昇している。42歳はほぼ「団塊ジュニア」世代にあたり、比較的人口規模の大きい層になる。近年のオートキャンプの好調さの背景には、団塊ジュニア世代である30―40代の子育て期世代が、全体のキャンパーの約7割を占めていることが考えられる。

 また、訪日客が増加するなか、キャンプ場への訪日キャンパーの受け入れについては、「積極的に受け入れていきたい」が15・4%、「受け入れてもよい」が66・0%となり、約8割が訪日キャンパーの受け入れを許容している結果に。

 対して「受け入れたくはない」は14・7%。「言葉を含めて受入体制ができていない」との声が多く、受入側は言葉や文化の壁、マナー違反などの問題に直面している。ただ、旺盛な訪日客需要を取り込む機会を逃す手はない。今後は早急な受入体制づくりなどの対策を講じる必要が求められる。
【平綿 裕一】

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白書創刊から30周年、明瀬会長が軌跡や展望語る(オートキャンプ協会)

明瀬一裕会長
明瀬一裕会長

 オートキャンプ白書は1986年の創刊から今年で30年目を迎える。7月5日に行われた同白書の発表会で、日本オートキャンプ協会の明瀬一裕会長はオートキャンプをめぐる昨今の動きを説明した。

 1960年代に高度経済成長期で国民の可処分所得が増え、モータリゼーション(自動車の大衆化)により移動が容易となり日本でオートキャンプが誕生した。70年代に入ると高度経済成長が終わり、それまでの仕事一辺倒の生活から、「家族と自然のなかで、共有の時間を過ごしたい」という需要が生まれた。オートキャンプはそれに応えるレジャーであるということで、次第に普及していった。

 80年代に入り、経済が低成長となると、金銭消費型レジャーから、時間をゆっくり使う時間消費型レジャーへと収束していき、ますます発展することとなった。

 そして1986年にはオートキャンプ推計人口がついに500万人を超え、国民的レジャーとして定着した。同時に今後はオートキャンプの実態を明らかにすべきとの認識がなされて、オートキャンプ白書が創刊された。

 その後、90年代に入るとバブル経済を背景に空前のアウトドアブームが起こり、96年にはオートキャンプ参加人口が1580万人に達し、ピークを迎えた。

 ピークからの20年を振り返ると、最初の10年間は減少の一途、後半はほぼ横ばいだったと総括できる。ただ、オートキャンプが低迷したのではなく、むしろ逆で、この20年間は700万人を下限として、底堅く推移したからだ。つまり、30―40代の子育て世代の家族が、毎年、30―40万世帯ほど新規参入し、参加人口を支えてきたことに他ならない。

 08年のリーマンショックを端に発した世界的な金融危機や、2011年の東日本大震災という未曽有の災害においても、そのエネルギーはいささかも揺るぐことなかった。

 そして、13、14年は僅かに参加人口が増加。少子高齢化、人口減少の相対的な人口動態のなか、2年続けて増えたことはオートキャンプが新しい広がりを見せ始めたのではないか、と昨年指摘した。これは、参加人口が12年ぶりに800万人台を回復したことで立証された。

 背景として、30―40代の子育て世代のオートキャンプに対する需要がこれまでにも増して強くなったことと、前後の20代、50代の参加人口が増えていること。さらに、訪日客のオートキャンプ場の利用などが推察できる。そしてこのことは、オートキャンプが世に誕生して約半世紀になろうとしているが、新しい、発展の段階に入ったということを物語っている。

1%減の72兆2990億円、親のゆとり度が子供に影響、15年の余暇市場

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レジャー白書2016の発表会
レジャー白書2016の発表会

 日本生産性本部(茂木友三郎会長)余暇創研は7月14日、東京都内で「レジャー白書2016」の概要発表を行った。15年の余暇市場の規模は72兆2990億円となり、前年比1・0%減となった。ただ、市場規模が突出して大きいパチンコ、パチスロを除くと同1・2%増で、3年連続のプラス成長となる。

 余暇活動参加人口の順位では、「国内観光旅行」が5年連続の首位。前年に比べ参加人口が100万人増加し、5千万人を超えたものはこの種目のみ。また、「ジョギング、マラソン」の人気が復活し、前年は28位だったが、19位まで順位を上げた。参加人口も50万人増えて、2190万人となった。

 余暇市場動向は、スポーツ部門が同1・9%増と微増で、4兆240億円を計上。スポーツ用品は、スポーツシューズが同5・9%増の1970億円、ウェアは同4・2%増の2750億円と好調。フィットネスクラブは同1・6%増の4390億円で、過去最大の市場規模へと拡大した。さらに、スポーツ観戦料も同5・4%増の1560億円と大きく伸びた。

 また、今年は例年の調査では取り上げていなかった5―14歳の子供の余暇に焦点を当てた調査を実施。子供の余暇活動に影響する要因として、親の時間面と支出面のゆとり度の増減について、注目した。

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 親自身の余暇時間が増えたと回答した場合、「ボウリング」、「ジョギング、マラソン」などのスポーツや「絵を描く、彫刻する」など、時間をかけて取り組む創作系の種目で子供の参加率が高くなっている。一方、減ったと回答した場合、「音楽鑑賞」、「スポーツ観戦(テレビ除く)」などの観賞系の種目が目立った。

 子供1人当たりの平均参加種目数は、余暇時間が増えたと回答した場合、13・3種目で、減った場合は12・4種目となった。

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 親の余暇支出が増えた場合、「温泉施設」、「動物園、植物園、水族館、博物館」、「遊園地」などの観光、行楽系の種目で子供の参加率が高くなった。一方、余暇支出が減った場合は、「ソーシャルゲームなどのオンラインゲーム」、「読書(勉強など除く)」、「ドライブ」などで、比較的安価にできる種目が並んだ。

 親の余暇支出が増えた場合、子供の平均参加種目数は13・9種目、減った場合は12・9種目となった。

 また、2016年度版には新項目として「ヨガ、ピラティス」を追加。「女性を中心に中高年が参加しているが、まだ伸びる余地があり、一度始めるとある程度習慣化する可能性がある種目」と初年度の調査を振り返った。

キズナサミット2016開く、「良地良宿」サービス開始(宿泊予約経営研究所)

末吉秀典社長が冒頭あいさつ
末吉秀典社長が冒頭あいさつ

 宿泊予約経営研究所(末吉秀典社長)は9月7日、神奈川県横浜市内のホテルで「キズナサミット2016」を開いた。全国から40社50人が集まった。今年のテーマは「値付け」。末吉社長は冒頭のあいさつで、「宿泊施設が利益を確保するには、施設、周辺の観光地のポテンシャルを最大限活かしきっていくことが大事」と話し、「今日はその具体的なアイデアや考え方を体感してほしい」と語った。

 同社は、「良い町があるから、良い宿屋がある。良い宿屋があるから、良い町がある。宿屋は、その土地の文化に寄り添うことで、もっと栄えていく」とする「良地良宿」(りょうちりょうしゅく)を経営理念に掲げている。末吉社長は「この『良地良宿』を、新たなプロジェクトとした新サービスの提供を始める」と報告。同社は「宿の集客パートナー」として、デジタルマーケティングを最大限活用することで収益最大化を支援していく。具体的には、ブランド構築へのコンサルティングや、宿により適した集客が可能な予約サイトの活用などの販促、自社ホームページの制作による活性化などをサポートする。

 キズナサミットでは、基調講演「きちんと儲けるためのプライシング戦略」には公認会計士の田中靖浩氏が登壇。その後、同社事業創造戦略室の坂本真士マネージャーが「宿泊施設のプライシング戦略~利益の確保と根付けの方法について」をテーマに、ワークショップ・セミナーを開いた。

 夕刻からは、アル・ケッチァーノの奥田政行シェフと、横浜ベイホテル東急のコラボディナー「実食体験セミナー」も行った。

奥田政行シェフも参加
奥田政行シェフも参加