〈観光最前線〉特別な熊野へ

2018年3月1日(木) 配信

今年で創建2050年

 全国に3千以上ある熊野神社の総本宮で、熊野速玉・熊野那智両大社とともに熊野三山のひとつに数えられる熊野本宮大社(和歌山県田辺市)は、今年で創建2050年を迎えるという。

 紀元前33年の創建といわれても、なかなかピンとこないが「絶世の美女」として知られる古代エジプト最後のファラオ、クレオパトラ7世が亡くなったのが紀元前30年というから、熊野本宮大社とクレオパトラは、わずかながらも、この地上で同じ時間を過ごしていたことになる。

 今年はサッカーワールドカップが開かれるが、熊野三山の象徴である3本足の神の使い「八咫烏(ヤタガラス)」は、日本サッカー協会のシンボルとしてもお馴染。動機はなんであれ、今年はちょっと特別な熊野へ、足を運んでみませんか。

【塩野 俊誉】

中国最大ネットモールに参入 九州・沖縄の商品販売、観光支援(ハウステンボス)

2018年3月1日(木) 配信

事業成功を祈願してテープカット

 ハウステンボス(HTB・長崎県佐世保市・澤田秀雄社長)は2月19日、中国国営中央テレビ(CCTV)グループが運営する中国最大のメディア動画インターネットモール(CCTVMALL)の通販事業に参入すると発表した。

 CCTVMALLの国際館内に、昨年9月開設した「CCTVMALL日本館」の運営会社・日本ブランド(耿忠(コウ チュウ)社長、東京都)と業務提携。広域特約代理店として、日本館内に「ハウステンボス九州館」を設け、九州・沖縄の商品PRやインバウンド誘致などを行う。オープンは4月を予定する。

 日本ブランド社によると、中国のEC(電子商取引)ユーザー規模は4億6千万人で、2018年の市場規模は日本円で154兆円、ネットショッピング市場の成長率は前年比40%以上という。

 同社の耿社長は「日中最大のプラットホームを構築し、日本のギフト文化や観光を中国の消費者に紹介し、中国へ進出したい中小企業のパートナー選択や対応、中国語翻訳、配送など課題を解決するため、ワンストップで支援したい。旅行関係にも貢献できる」と自信を見せた。

 ハウステンボスでは、九州・沖縄地区の事業者、地方自治体など対象の日本館出店、九州館への出品合同説明会を3月中旬に開催する。

 出展形態では直接出店型が、CCTVMALL日本館に直接出店し、本格的な事業に取り組みたい事業者向けで、登録商品数は100品以上。中国語による顧客問い合わせ対応や翻訳、プロモーションなどを支援する。

 テナント出品型は、本格的な事業展開前のテスト販売や、直接出店するほどの商品数がなく、費用も抑えたい事業者向けで、登録商品数10品以上。

 観光PR型は、インバウンド誘致を行う事業者や地方自治体、関係団体向けで、動画でのPRなど各種要望に対応する。売上は20年度に30億円を目指す。

 同社の澤田社長は「九州・沖縄の素晴らしい観光、商材をモールを通して全中国に知ってもらい、観光・産業発展のお手伝いをしたい」と話した。

〈旬刊旅行新聞3月1日号コラム〉「いい旅館にしよう!Ⅱ」3月書籍化 成功物語ではない経営者の息遣いを

2018年3月1日(木) 配信

『いい旅館にしよう!Ⅱ』の表紙

 本紙2016年3月1日号から17年11月1日号まで掲載してきた人気対談シリーズ「いい旅館にしよう!Ⅱ」の書籍化が決まった。3月20日の発行を目指し、現在最後の仕上げ作業を行っている。

 今回登場するのは、

 ①「ホテルナトゥールヴァルト富良野」の小林英樹社長
 ②「ベッセルホテルズ」の瀬尾吉郎社長
 ③「ホテルエクレール博多」の永安重喜支配人
 ④「蟹御殿・風の森」の荒川信康社長
 ⑤「千草ホテル」の小嶋亮社長
 ⑥「明神館」の齋藤茂行会長
 ⑦「クア・アンド・ホテル」の三森中社長
 ⑧「有馬グランドホテル」の梶木実社長
 ⑨「スーパーホテル」の山本梁介会長
 ⑩「ホテルグランメール山海荘」の杉澤むつ子会長
 ⑪「福一・旅邸諧暢楼」の福田朋英社長
 ⑫「白玉の湯華鳳 別邸越の里」の飯田美紀子女将
 ⑬「風望天流太子の湯 山水荘」の渡邉和裕社長
 ⑭「グランディア芳泉」の山口賢司代表取締役専務
 ⑮「ホテルニューツルタ」の鶴田宏和経営企画室長
 ⑯「べっぷの宿ホテル白菊」の西田陽一社長――の16人。

 対談相手は、工学博士で、サービス産業の労働生産性について第一人者の内藤耕氏(サービス産業革新推進機構代表理事)だ。

 14年7月1日に発行した前著の「いい旅館にしよう!」シリーズ第1弾は、15人の経営者が登場し、多くの反響を得た。あれから3年8カ月が経ち、今回の第2弾は、前シリーズを超えるバリエーション豊かな顔ぶれと内容になっている。

 宿泊産業を取り巻く環境はこの1―2年で大きな変革期を迎えている。急激に拡大する訪日外国人旅行者に対応するため、従来の旅館やホテルといったカテゴリーでは捉えられない新しいスタイルの宿泊施設が現れている。

 今年6月15日には、住宅宿泊事業法(民泊新法)も施行される。この荒波の中で、旅館・ホテルの舵取りの難しさは想像に難くない。

 書籍に登場する経営者のほとんどは、宿の現場を直視しながら、試行錯誤を繰り返している現在進行形の最中での対談である。このため幾つかの宿では、対談当時とは、経営環境や経営方針が大きく変わっている施設もある。しかし、書籍では、その時点で経営者が直面している課題や、その解決に向けた姿勢、熱意、苦悩などを最優先し、ほとんど手を入れずそのまま掲載した。行間に、経営者の息遣いを感じていただけるのではないかと思っている。

 決して、美しいサクセスストーリー(成功物語)をかき集めたものではない。16人の生身の体温が感じられる対談集となっている。

 前著「シリーズⅠ」のあとがきには、「時を経て、時代や環境がどのように変化したとしても、本書に詰まった経営者の肉声は古びることはないだろう」と記した。

 シリーズⅡの書籍も同じ思いである。旅館・ホテルの孤独な経営者の相談相手となり、未来の経営者の「友人」として本書が長く愛されることを願っている。

(編集長・増田 剛)

「正しい知識」の学びを 訪日LGBT旅行者は増加

2018年3月1日(木) 配信

【1面の関連記事】ホテルグランヴィア京都 接遇部担当部長 池内志帆氏

 ――LGBTウェディングについて教えて下さい。

同ホテルの同性婚挙式イメージ

 当社は2006年、日本の企業としては初めて国際ゲイ・レズビアン旅行協会(IGLTA)に入会しました。年次総会に初めて参加した13年(シカゴ大会)に、欧米を中心とする多くの国や地域からの参加企業が、LGBT当事者向けの商品を多数販売しているのを目の当たりにし、当社を含む日本からの参加企業はLGBT旅行者に向けて訴求力のある商品を何も持っていませんでした。また、保守的なイメージが強い日本は、まだその当時LGBT旅行者にとっては、旅行先としての優先順位が低いということも実感しました。

 そこで、「京都らしい、同性カップルの挙式プラン」を造成することで、日本もLGBTフレンドリーな施設があり、安心してご旅行いただけるというメッセージを発信することにしました。

 もともと外国人カップルのための挙式プランを販売していたこと、京都では春光院さんというお寺が既に同性婚式を行っていたことで、パッケージの造成自体は比較的スムーズに実現しました。

 14年3月、世界最大規模の旅行見本市「ITB Berlin」で初めてプレスリリースを出し、大きな反響がありました。問い合わせ件数は年平均20件ほどいただいておりますが、実際に挙式を挙げられるカップルは年数件ほどです。婚礼を獲得するために同性婚プランを作ったわけではなく、「日本でも同性カップルの挙式が可能(法的には認められていないものの)」というメッセージを出すことで、LGBTフレンドリーな旅行先として認知していただければという思いで始めたものです。

 ――ウェディング以外のLGBT宿泊者への取り組みはありますか。

 宿泊の専用プランはとくに設けていませんが、事前に同性カップルと判明した場合は、6色の折り鶴とともにウェルカムメッセージを入室したり、記念日などでご宿泊のお客様にはピンクのハート形ケーキを用意したりしています。ただ、これらは事前に同性カップルであることが判明した場合のみになります。

 また、15年秋にはトランスジェンダーの方が気兼ねなくトイレをご利用になれるよう、ロビーのユニバーサルトイレの看板をGender Neutral Bathroomという表記に変更しました。いわゆる「誰でもトイレ」の看板ですが、こちらも国内のホテルとしては初めての設置です。

 コンシェルジュでは、LGBTフレンドリーなレストランのリストを独自の調査で作成し、ご案内に役立てています。

 ――従業員教育について教えて下さい。

 不定期ではありますが、ホテル内の全部署を対象に社内セミナーを実施しています。

 また、東京レインボープライドや関西レインボーフェスタなどの国内のLGBTイベントへは14年から出展し、そのようすを社内の掲示板に報告するなど、会社としてLGBTコミュニティへのサポートを行っていることを周知するようにしております。

 さらに、バックオフィスにもレインボーステッカーやレインボーグッズを配置するなど、LGBTフレンドリーであることを従業員に可視化するように心掛けています。

 ――今後取り組みを考える施設に利点やアドバイスをお願いします。

 まずはLGBTの方々への「正しい知識」を学ぶことが重要です。最近では各地でLGBTセミナーが開かれ、インターネットでもさまざまな情報を得られるようになってきました。実は国内のほとんどの施設は既にLGBT旅行者を受け入れています。それにも関わらず、気づかないまま接客をしていらっしゃるケースが多々あり、気づかないが故に失礼な接客を行ってしまう場合もあります。「LGBTの方々は常に身近に存在する」という意識を持って接客すること、最低限の知識をスタッフが持っていることは、LGBT旅行者を受け入れる際には非常に重要なポイントです。

 そのうえで、積極的に市場へアプローチを行うには、LGBTツーリズムに特化した旅行見本市・商談会にブース出展を行うことも非常に有効な手段です。もちろん、まずはIGLTAに加盟をし、さまざまな情報を入手するとともに、IGLTAのホームページに情報掲載することもBtoB、BtoC両方へのアプローチとして効果が見込まれます。

 世界のLGBT旅行市場規模は、少なく見積もっても2020億米ドル(Out Now調べ・日本円で約22兆円)、16年に海外旅行を行ったLGBT旅行者数は8600万人以上(UNWTO調べ)というデータがあり、オリンピックに向け今後ますます訪日LGBT旅行者は増えていくと予想されます。

 海外のLGBTツーリズムの現状を知る機会は国内では多くありませんが、昨年初めて開いたITB BerlinアカデミージャパンLGBTツーリズムシンポジウムを本年の夏も開催できるよう調整中です。実現の際は事業者皆様にぜひご参加いただきたいと思います。                      【飯塚 小牧】              

【特集 No.485】LGBTフレンドリーの取り組み 五輪控え一層の理解促進を

2018年3月1日(木) 配信

 2015年10月に性的少数者のLGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシャル〈両性愛者〉、トランスジェンダー〈性同一性障害など〉)の旅行市場を取り上げた。着実に取り組みは進んでいるが、大半の人はまだあまり知らない世界かもしれない。しかし国内の該当者は7・6%(電通ダイバーシティ・ラボ15年調査)、14人弱に1人と身近な存在。五輪を控え、憲章にも差別の禁止が明記されるなか、一層の理解促進が求められている。地域を挙げて、温かく迎え入れる“LGBTフレンドリー”に取り組む沖縄の事例などを紹介する。

【飯塚 小牧】

○座談会参加者
沖縄観光コンベンションビューロー 受入事業部 部長
加賀谷 陽平氏
日本トランスオーシャン航空 総務部長
糸数 寛氏
パームロイヤル(ホテルパームロイヤルNAHA)代表取締役 総支配人
高倉 直久氏

 

 ――LGBTフレンドリーの取り組みを始めた経緯を教えて下さい。

加賀谷:沖縄県の観光振興計画では、「世界水準の観光リゾート地」を形成していくという方向性が示されています。その実現にはさまざまな取り組みが必要となりますが、誰にでも優しい観光地として、ユニバーサルツーリズムの観点からも多様な旅行者を受け入れていくことは非常に重要だと考えています。沖縄観光コンベンションビューロー(OCVB)では、今後の取り組みを推進する契機とすべく、今年の1月に国際ゲイ・レズビアン旅行協会(IGLTA)に加盟しました。

糸数:日本トランスオーシャン航空(JTA)も考え方は同様です。

 当社は社長を筆頭に経営陣がLGBTに対する理解が非常にあり、トップダウンで2016年度から本格的にLGBTに対する理解を深める取り組みを開始しました。16年度に※「PRIDE指標」のゴールドを取らせていただき、17年度は2年目として新しい展開を始めるにあたり、17年10月にIGLTAに加盟しました。まだ初心者マークを取得したところですが、航空会社として、多様なお客様に我われが就航する沖縄のデスティネーションを紹介していきたいと思います。

高倉:日本の航空業界としては初の加盟ですよね。

糸数:そうですね。

 ――高倉さんは沖縄でのLGBT推進のリーダー的存在です。

高倉:13年から「ピンクドット沖縄」という性的少数者が生きやすい社会の実現を願うイベントが開催され、宿泊施設として協力を始めました。しかし、主催者が抜け、イベントの存続が危ぶまれたときにこれは失ってはいけないと思い、同じ宿泊事業者のカフーリゾートフチャクコンド・ホテル総支配人の荒井達也さんと共同代表を務めるカタチで引き継ぎました。17年度の5回目からです。まずはアライ(支援者)を増やすことが使命だと考え、沖縄の企業に協力を呼び掛けてきました。その結果、JALさん、JTAさんには冠スポンサーになっていただいています。イベントは参加者700人ほどから始まったものが、今は約3300人まで拡大しました。県外や海外から参加されています。

 カフーリゾートさんは、運営会社のKPG HOTEL&RESORTの田中正男社長がダイバーシティの話をした際に、当事者のスタッフがカミングアウトされたそうです。その方を中心にチームを作り、県内初のLGBTウェディングを実現されました。県内のパイオニアであり、カフーリゾートさんの存在は大きいです。

 沖縄は誰にでも優しい島として「ダイバーシティアイランド」を掲げていますが、まずは県内でLGBTへの理解の底上げをはかるのが第一フェーズだと思っています。その先に新たな市場拡大など、観光ビジネスにつながるものがあります。

 ――沖縄で取り組みが進んでいる背景には、多様性を受け入れる土壌があるのでしょうか。

加賀谷:沖縄には「いちゃりばちょーでー」(出会えば、もう兄弟同然)や「ゆいまーる」(相互補助)など、多様性に結びつきやすい精神を象徴する言葉が存在しています。また、沖縄は広大な面積の中に多数の島があり、それぞれに独自の生活や文化が存在するという、暮らし自体にも多様性があります。…

※詳細は本紙1704号または3月7日以降日経テレコン21でお読みいただけます。

 

「楽しく遊びながら健康づくり」 人間ドック、タラソテラピー体験(上天草市)

2018年3月1日(木) 配信

上天草総合病院の人間ドックのようす

 熊本県上天草市(堀江隆臣市長)は、自然豊かな土地を生かしたイルカウォッチングやトレッキングなど、観光による地域活性化に取り組んでいる。一方、2017年度から健康福祉部は、民間活力開発機構(里敏行理事長)と協力して、3カ年計画「複合型スポーツ&ヘルスツーリズム事業」を展開。市が所管する「上天草市交流センタースパ・タラソ天草」でのタラソテラピー体験や、上天草総合病院の人間ドックプログラムを通じた住民の健康づくりと、観光客の誘致も積極的に進めている。
【増田 剛】

上天草総合病院で人間ドックを受診

健診後は医師による アドバイスも

 上天草市が実施している複合型スポーツ&ヘルスツーリズム事業は、「楽しく遊びながら健康づくり」――がコンセプトだ。

 「市民の健康増進とあわせて、健康志向の高い観光客には上天草市に滞在してもらい、人間ドックやタラソテラピーを体験してもらいながら、観光も楽しんでもらいたい」と健康福祉部健康づくり推進課の松本洋司参事は話す。

 少子高齢化が進み、医療費の削減が多くの自治体で喫緊の課題となっているが、上天草市も例外ではない。

 生活習慣病患者数の低減に向け、特定健診の受診率向上に取り組み、市民の誰もが「病気であっても重症化せずに、楽しみや生きがいがあり、笑顔で暮らせるまちづくり」を目指している。同市が行った調査によれば「特定健康診査の受診率は27・6%で、県内44位と低い状況にある。また、運動習慣がない人が6割を超える」(2015年度)。

 このため、同市では地域ならではの健康素材を利用して「温泉療法・食事療法・運動療法・環境療法」の4療法を体験する「健康づくり大学事業」を展開している。同事業の一環として2月13―14日の2日間、人間ドックと、スパタラソテラピー体験を実施した。

 13日は上天草総合病院で受付のあとに身体計測、血圧測定、血液検査を行った。その後、心電図・聴力・眼科検査、歯科検診と続く。レントゲン撮影、腹部超音波検査のあと、胃カメラによる胃内視鏡検査も実施。

 すべてのプログラム終了後、医師による結果説明も行われた。改善すべき食生活や、適度な運動の必要性などのアドバイスもいただき、日ごろの生活を振り返る良い機会となった。健診後には地元の新鮮な食材を使った昼食も提供された。

地元の新鮮な食材を使った昼食

タラソテラピー体験メニューもさまざま

「上天草市交流センタースパ・タラソ天草」

 翌14日は、上天草市交流センター「スパ・タラソ天草」でタラソテラピーを体験した。

 同施設は、スパとタラソが一体となった施設。タラソはギリシャ語で「海」を意味する。海洋性気候のもとで、海水や海藻など海のさまざまな資源を活用し、人が本来持つ自己治癒力を高めていく自然療法。

 天草の新鮮で清浄な海水を、リラックス効果の高い不感温度(33―36度)に温めている。海水の特性を最大限に生かした「元気海プール」はウォーキングレーンや、フロアージェットなど14種類のゾーンで構成。水温や水位、ジェットの位置や強さなども、医学的なデータに基づいてつくられている。若い世代から年配層は90代まで幅広い世代が楽しみながら、効果的な運動や心身のリフレッシュをしている。同施設によると、「海水は真水よりも浮力が高いため、関節などに負担をかけずに無理なく効果的に運動ができる。また、人体に欠かすことのできないミネラルを豊富に含んでいる」という。

元気海プールは14種類のゾーンで構成

 元気海プールでは、さまざまな教室も開かれている。実際にインストラクターと一緒に楽しくリズム体操を体験すると、日ごろ使わない筋肉も活性化し、心身ともにスッキリとした気分になった。シニア向けには、骨・関節・筋肉などの運動器の衰えを予防、改善する水中運動などのメニューも提供している。

 天然温泉〝美人の湯”も併設しており、塩分と炭酸水素ナトリウム(重曹)を含む泉質で、保温効果や血行促進、美肌効果にも優れている。

フロアージェット

携帯1つで、ホテル・旅館の予約を実現 Paidyが予約エンジンのダイナテックと提携

2018年2月28日(水) 配信

記者会見には、ダイナテックの齋藤克也社長(左)とエクスチェンジコーポレーションのラッセル・カマー会長(中央)、橋本知周執行役員が出席した

ショートメッセージサービス(SMS)によって本人確認を行う決済サービス「Paidy」(エクスチェンジコーポレーション、杉江陸社長)が、ホテル旅館の予約時にも利用できるようになる。ダイナテック(齋藤克也社長)との提携によるもので、4月を目処にサービスを始める。国内ユーザーをメインターゲットに据える。ファッション系ECサイトを中心に利用され、利用者数は100万人を超える同サービス。今回の連携を足掛かりに、リアル決済分野への進出も目指す。2月28日(水)、東京都内で記者会見が行われた。

エクスチェンジコーポレーションのカマー会長

 ダイナテック社が提供する予約エンジン「Direct In(ダイレクトイン)」とのシステム連携により、ユーザーは予約時の支払い方法から「Paidy」を選択することができるようになる。会員や口座登録などの手続きがいらないため、施設側は成約率の向上を期待できる。

 携帯電話番号とメールアドレスを入力すると、ユーザーは電話番号宛に認証コードが記載されたSMSを受け取る。4ケタのコードを指定のウェブ画面に入力すれば瞬時に与信が行われ、決済(予約完了)に至る仕組みだ。支払いは毎月1回、コンビニや口座振替で行うこととなる。携帯端末と電話番号、メールアドレスが、クレジットカードの役割を果たすと考えれば良い。

 同社は、決済額を100%保証するため、宿泊施設の気になるキャンセル・ノーショー対策にも有効だ。決済手数料のみ徴収し、初期費用や固定費用はかからない。中小規模の施設にとっても使い勝手の良い仕組みを整えた。

サービスについて説明するエクスチェンジコーポレーションの橋本執行役員

 ひとまず、ダイナテック社の予約エンジン「ダイレクトイン」経由での提供となるものの、さまざまなパートナーとの連携も視野に入れる。同社執行役員の橋本知周氏は、「目的はホテル旅館の自社サイトの売り上げ拡大を支援することにある。あらゆる施設に利用してほしい」と述べ、サービスの拡大に意欲を示した。

 提携先のダイナテック社は、30年に渡って予約エンジンや宿泊施設向けシステムを提供してきた老舗システム企業。ヤフー(Yahoo! Japan)傘下で、施設の自社ウェブサイトを通じた誘客をサポートしてきた。記者会見に出席したダイナテックの齋藤社長は、「ユーザーにより多くの選択肢を提供することで、成約率アップを目指せる」と語った。

ダイナテックの齋藤社長は、提携内容について説明した

 「Paidy」を提供するエクスチェンジコーポレーションは今後、リアル決済分野にも進出したい考え。SMSを利用した決済サービスは、ウェブ上では強みとなるものの、リアル決済にはそぐわない部分もある。いかにリアル決済市場を取り込んでいくのかに注目が集まる。

 なお、記者会見ではアリペイ(ALIPAY、支付宝)といったQRコードを利用した決済スタイルも話題に。すでに100万人以上の利用者を持ち、ネットショッピングで実績を出してきた「Paidy」。リアル決済でも、国内ユーザーに支持されるスタイルを追求し、開発を進めていくという。

目標大きく上回り、12万人を達成 JTB×STBキャンペーン

2018年2月28日(水) 配信 

JTBとSTBはキャンペーン報告会を東京都内で実施した。高橋社長(左)とライオネル・ヨウ長官

 

JTB(髙橋広行社長)とシンガポール政府観光局(STB)は2月28日(水)に東京都内で、グローバルデスティネーションキャンペーン報告会を行った。両者は昨年2月7日に協力覚書を締結。目標人数は9万人だったが、前年比75%増の12万3110人と大きく上回った。共同商品開発やマーケティング、販売網強化が功を奏し、シンガポールへの日本人渡航者数は3年ぶりにプラスに転じた。

 商品開発では貸切オープントップバスで夜景スポットを巡る「キラキラ夜行バス」がキラーコンテンツになった。運行台数は年間411台(目標350台)、延べ乗車人員は1万7500人と好調。18年度も引き続き運行させる。

 マーケティングでは若い女性に対し「フォトジェニック」を軸に、インスタグラマーを起用した商品と販促などを展開。各顧客層への訴求方法も工夫した。 

 販売網強化はとくに力を入れた。実地研修などを支援し、JTB社員約1500人が現地へ赴いた。直接現地を体験することで、販売力の強化につなげた。

 「双方にとって将来にわたる大きな財産となる」。髙橋社長は同日の報告会で1年に及ぶ協力体制を評価した。「より強固になった協力関係のもと、持続可能な旅の仕組みを作っていく。今後も観光を基軸とした交流人口の拡大をはかる」と良好な関係を維持していく考えを示した。

 一方、シンガポールへの日本人渡航者は14年から減少していたが、17年は79万2813人(同1・1%増)で3年ぶりに増加。STBのライオネル・ヨウ長官は「シンガポール観光業界全体に恩恵が及んだ」と振り返った。続けて「今回のCPの終わりは新たな歴史のはじまりだ」と強調した。

ガイドシステムで必見スポット逃さず 東京タワー、トップデッキツアー公開 

2018年2月28日(水)配信

高さ250㍍からの東京探訪

東京タワーで2月28日(水)、3月3日(土)からスタートする「トップデッキツアー」(既報)の内覧会が行われた。トップデッキは、鏡張りの天井と背面に街並みが反射し、さまざまな東京の姿が楽しめる。

 ツアー参加者は、まずタワーギャラリーとシークレットライブラリーで、東京タワーの歴史などを学びトップデッキへのエレベーターを待つプラットフォームへ。ここでエレベ ーターを待つ間、フォトカード撮影やオリジナルデザインのコップで飲み物を提供。撮影した写真は、専用の台紙に入れてもらえ、お土産として購入もできる。

コップは2種類。ドリンクは緑茶、スポーツドリンクから選択できる

 トップデッキでは、13言語対応のガイドシステムが主要な建物の解説や、観光情報、地域の歴史などをわかりやすく解説してくれる。1つひとつのスポットに印がつくので、実際の景色の中から見るべき建物を探すのも容易。鏡張りになっている天井や背面に東京の景色が反射し、東京の街並みと自分自身が一体化したかのような、不思議な感覚を味わうことができるのもこのツアーならではの醍醐味。「トップデッキツアー」は事前予約制のツアー形式だが、予約枠に空きがある場合は当日券の販売も行われる。

さまざまな東京の姿を不思議な空間で

「旅行業、観光産業をリードする立場に」JATA田川会長

2018年2月28日(水) 配信

JATA田川博己会長

日本旅行業協会(JATA)は2月26日(月)、東京都内で「JATA経営フォーラム2018」を開き、300人を超える会員が参加した。そのなかで、田川博己会長は「18年はこれまで以上に観光産業に向けられる関心や期待が高まる」と予測。「我われ旅行業界は中心となり、リードする立場でありたい。産業として発展し続けるための土台の年として位置付け、変化する環境に素早く対応していきたい」と意気込んだ。

 また、19年から導入される国際観光旅客税に触れ、「双方向交流が進化することが、観光先進国の目指すべき姿。JATAとして海外旅行の活性化につながる提案を行っていく。旅行産業の革新や人材育成に関する要望書も出し、価値創造産業への進化の契機としたい」と述べた。

 一方、昨年のてるみくらぶ破綻は社会に大きな影響を与えたことから、「業界の信頼回復をはかっていく。しっかり昨年のことを肝に銘じて前に進みたい」とした。

観光庁の田村明比古長官

 来賓の観光庁の田村明比古長官は、今回のテーマ「旅行業の『新しいカタチ』の追求!―旅行業の役割とは―」について、「旅行業が十数年来問われているテーマだと思う。本格的な人口減少を迎え、個人の可処分所得は必ずしも増加していない我が国では、現状のまま何もしなければ市場が大きく成長することは難しい」と言及した。

 比較として先進10カ国のGDPに占める旅行消費の割合を紹介。1位のドイツは10・0%、次いでイギリスは8・3%、オーストラリアは8・1%を占めるが、日本は4・6%で10カ国中最下位。このうち、他国が1~2%で推移する海外旅行消費に至っては0・5%に過ぎない。「海外旅行に行かないと言われるアメリカでも0・8%。各国で地理的、経済的、社会的環境が異なるとはいえ、日本人の旅行消費は見劣りしている。原因は複合的なものであり、政府全体で取り組んでいかなければならない」とする一方、旅行業へも変革を要求。具体的に、日本人が旅行に持っている固定観念を打ち破る努力や、労働生産性の向上などを求めた。「旅行業界の経営改革が進み、付加価値の高いサービスが提供されることは、日本の観光産業全体のレベルアップにつながると確信している。旅行業が重要なカギを握っている」と期待を込めた。