日本バス協会、清水新会長が就任 バスは「戦後最大の危機」 未来ある先端産業へ

2021年6月23日(水)配信

清水一郎新会長

 日本バス協会(三澤憲一会長、2414会員)は6月16日(火)、東京・経団連会館で2021年度定時総会を最小限で開き、その模様をオンラインで会員に配信した。任期満了に伴う役員改選で、新会長に清水一郎副会長(伊予鉄グループ社長)が就任。会長を退任した三澤氏は顧問に就いた。

 新会長の清水氏は就任あいさつで「新型コロナウイルスにより、バス事業、公共交通は戦後最大の危機にある。このようななかでの就任は重責であると認識している」と語った。そのうえで、「貸切バス事業の安全の確保、質の確保があらためて重要」と気を引き締めた。

 今後の展望について、「コロナ終息後は完全に元通りにならないと思っている。コロナにより世の中が大きく変わり、とくにデジタル化が一気に進展した。バス事業におけるデジタル化を加速させ、『バス事業が未来ある先端産業』になるよう努力していく」と意気込みを語った。

 三澤会長は冒頭、「新型コロナウイルス感染症の終息の気配が見えず、この先の見通しが非常に難しいような状況。外出自粛や人流を抑える措置によって、乗合バスが3割減、高速バスが7割減となった。貸切バスは地域により相違があるが、約6~9割減と多くの事業者が非常に厳しい経営状態に置かれている」と現状の実態を明かした。

 このような状況に対して三澤会長は、与党議員や関係省庁にさまざまな要望を行ってきたと報告し、「今後も必要に応じて強力に要望を続けていきたい」と力説。バス事業の根幹は輸送の安全と述べ、「バス事業は未曾有の危機的状況にある。今後も安全安心で利用者のニーズに応え、事業が健全に発展できるよう、力を結集して取り組んでいく」とあいさつした。

 同協会は昨年度、バス事業の収支状況の調査を取りまとめ、経営環境の厳しい現状の周知に努めた。今後、利用者の行動変容や、新しい生活様式(ニューノーマル)による需要減少が見込まれ、乗合バス事業の在り方を根本から見直すことが必須である考えを報告。また、会員バス事業者の経営状況の悪化を鑑み、会費を6カ月2分の1に減免する支援措置を講じたなど事業報告を行った。

 21年度の事業計画は、新型コロナの対応をはじめ、乗合バスの維持や再編と輸送サービスの改善向上、貸切バスの安全確保と健全な経営基盤の確立などを盛り込んだ。加えて、引き続き運転者確保や働き方改革の対応、バリアフリー対策のほか、MaaS(マース)や自動運転、カーボンニュートラルに向けた取り組みの検討にも力を入れていくと述べた。

 なお、昨年から順延していた11月11日に開催予定の第65回全国バス事業者大会(広島県広島市)は今年も見送り、再度順延することを決めた。

「ZOOM JAPON(ズーム・ジャポン)(6月号)」

2021年6月23日(水)配信

http://zoomjapon.info

特集&主な内容

 本誌3月号では、10年前から連携している石巻日日新聞の協力を得て、東日本大震災からの10年を振り返りました。6月号では、3月号で取り上げることができなかった現在のようすを、原発事故での被害が最も大きかった双葉町に焦点を当てて伝えました。双葉町を訪れたフランス人記者が、復興が進む町を紹介します。「復興五輪」とされていた東京五輪の聖火ランナーを迎えた双葉町、原発PR看板の考案者の取材や、前町長のインタビュー、そしてストリートアートを使った町の復興のチャレンジを紹介しています。旅行ページでは、東京都内でフランス人にも数十年来の人気のスポット、神楽坂を取り上げました。再開発が進む東京で、古き良き日本が残るこの場所の歴史も紹介し、文化的価値を再確認しています。

〈フランスの様子〉大統領が示した観光再生5年計画

経済紙 Les Echosのウェブサイトより。「ツーリズム:マクロン大統領が約束する再活性化プラン」

 フランスでは、国を挙げてのコロナ対策の効果はすべての数値からも明らか。6月30日には外出制限や営業制限が解除され、日常が戻る見通しだ。◆地方視察を始めたフランスのマクロン大統領は、初日の6月2日、コロナ禍の後のフランスの観光に言及。◆これまで何度も移動制限・禁止が発動され、外食産業も昨年から半年以上休業していたフランスでは、日本よりも手厚い休業補償などはあった。それでも業界が大打撃を受けていることは変わりなく、フランスのGDP(国内総生産)の8%を占めるという観光業には、すでに合計300億ユーロ(約5兆円)の支援が決まっている。◆外食産業のほかは、コロナ禍で最も影響を受けた業界は観光や文化、イベント、スポーツとされている。観光業について、マクロン大統領が今後5年の方針として打ち出したのは◆1:雇用も促進する研修制度の改善、2:グリーンツーリズムと遺産ツーリズムを軸としたフランス遺産の価値の向上、3:観光インフラの質の向上、4:デジタルへの投資。◆コロナ禍から日常再開のロードマップを示した大統領は、観光についても今後5年の明確なビジョンを示し、もちろん業界もこれを歓迎しているという。

ズーム・ジャポン日本窓口 
樫尾 岳-氏

フランスの日本専門情報誌「ZOOM JAPON」への問い合わせ=電話:03(3834)2718〈旬刊旅行新聞 編集部〉

コロナ下でも安心・安全な旅行を楽しめる環境を整備 京浜急行電鉄らが観光MaaS の実証実験 

2021年6月22日(火) 配信

「みうらよこすか MaaS 」 アプリ利用イメージ

 京浜急行電鉄と京浜急行バス、 NTT ドコモの3社は7月21日(木)まで、観光MaaS の実証実験を行っている。

 同実証専用のスマートフォン向けアプリ「みうらよこすか MaaS」 内で「デジタルみさきまぐろきっぷ」を販売する。

 同きっぷは、京急の販売する企画乗車券で、日帰りで気軽に楽しめることが魅力だ。3社は同きっぷの対象施設やバスの混雑状況を発信することで、コロナ渦でも安心・安全な旅行を楽しめる環境を整備。位置情報や好みに応じておすすめのスポットなどもリアルタイムに配信することで、旅行体験の充実をはかる。

専用アプリ「みうらよこすか MaaS 」 イメージ

 アプリでは、鉄道と路線バス、シェアサイクル、カーシェア、タクシーなどの交通手段の一元的な検索と予約、デジタル みさきまぐろきっぷのオンライン決済が可能。また、NFC技術を活用することで、同きっぷ 対象の駅・店舗・施設に設置してあるタグにiOS対応スマートフォンをかざすだけで、電車の乗り降りや、きっぷに含まれる食事券、施設利用券を非接触で利用できる。

 利用者の状況に応じた横須賀・三浦エリアおすすめスポットのレコメンド配信は、ドコモが保有する顧客基盤と利用者の滞在エリア、時間、天気などの情報を組み合わせ提案する。

 このほかのアプリ機能として、約130カ所のスポットの情報提供や、モデルコースを基にした旅行プランのカスタマイズ機能なども提供している。

網走で住民参加型のワークショップ 産官学民連携でふるさと納税の返礼品を開発へ

2021年6月22日(火) 配信

 北海道網走市と網走教育委員会は、「網走市ローカル魅力発掘発信ワークショップ」を2021年7月25日(日)~8月22日(日)にかけて開く。市民や市にゆかりのある人が地域の魅力を発掘し、全国に発信する手法を学び、ふるさと納税サイトでの発信と返礼品開発につなげる。

 今回のワークショップでは、ふるさと納税という関係人口拡大につながる仕組みを、地域住民の生涯学習プログラム「あばしり学」と紐付けることで、産官学民を連携させ、より付加価値の高い網走の魅力発見や、意欲ある住民たちの情報発信力強化を目指す。取り組みには、地元高校生からシニア層まで、市民だけでなく、網走市に想いを持つ全国の人々が広く参加する。

 ワークショップは全2回で構成。第1回は、地域の魅力を再発見し、全国の人に伝わるように伝える手法を学ぶ。その後、参加者は、実際に街を歩いて町の人にインタビューを行い、地域の魅力を発掘。2回目のワークショップでは、発掘してきた魅力を元に“魅力発掘発信レポート「ハツレポ」“を作成する。地域の魅力が詰まった「ハツレポ」は、プロの手による校閲・編集を経て、JTBのふるさと納税ポータルサイト「ふるぽ」内の特設ページに掲載。一部の産品は、新たにふるさと納税返礼品として登録される。

「ロケーションジャパン」編集部が厳選 ロケ地レストランでランチ楽しむキャンペーン開催中

2021年6月22日(火) 配信

雑誌掲載後にグルメ番組の常連になった店も

 ロケ地情報誌「ロケーションジャパン」は8月31日(火)まで、「ロケ地でランチキャンペーン」を展開している。

 ロケ地となったレストランを取材する同誌編集部が厳選した店でランチを楽しんでもらう企画で、過去10回の参加者の満足度は90%を超える人気という。

 11回目の今回は、「リーガロイヤルホテル東京」など7店舗をラインナップ。各店舗でワンドリンクサービスなどさまざまな特典を用意しているほか、参加店舗の食事券などが当たるラリー企画も実施している。各企画へは、参加店舗配布のキャンペーンチラシなどから参加可能だ。

 山田実希編集長は、「ロケ地でランチを楽しむ時は、事前に作品が撮影された席を予約していくのがおすすめです。俳優さんが座った席で食事ができるだけで自慢できますし、お店の人に自然と撮影当時の話が聞けるかも。ぜひ、ワクワクするランチタイムを楽しんでください」とPRする。

□ 参加店舗(一例)

キハチ 青山本店(東京都港区)

キハチ 青山本店の料理(イメージ)

主なロケ地(作品):ドラマ「この恋あたためますか」、ドラマ「オー!マイ・ボス!恋は別冊で」 

店の売り:外苑前のイチョウ並木沿いにある店。緑あふれる通りを眺めながら、テラス席で、四季折々の風景と共に絶品料理を堪能できる。また、目の前の並木道は「HERO」など数々のドラマのロケ地としても有名。

特典:スパークリングワインorオリジナルドリンク(940円相当)

en café(東京都台東区)

本格スイーツもおすすめ

ロケ地(作品):ドラマ「姉ちゃんの恋人」、ドラマ「江戸モアゼル」

店の売り:小上がりの畳席もあるカフェ。オシャレな本格スイーツもおすすめ。

特典:自家製レモネードなどのソフトドリンク一杯(600円相当)をサービス

Cafe, Dining & Bar 104.5(東京都千代田区)

デザートプレートに「花束みたいな恋をした」と文字を入れるなどのおもてなしも

ロケ地(作品):映画「花束みたいな恋をした」

店の売り:こだわりの360度スピーカーでジャズを聴きながら、ゆっくり過ごせる店。店内には映画の主人公2人が使用したものと同じカップや雑誌、ロケ地マップが展示されている。また、デザートプレートに「花束みたいな恋をした」と文字を入れる、撮影時の席を案内してくれるなどのおもてなしも。

特典:恵みのプリンもしくは季節のロールケーキ(500円相当)をサービス

「北海道・北東北の縄文遺跡群」を世界遺産に 青森市がふるさと納税型クラウドファンディング実施 6月30日(水)まで

2021年6月22日(火) 配信

 青森県青森市は、「縄文遺跡群の拠点」として広くPRし、世界遺産登録決定を記念した事業に活用するため、「ふるさと納税型クラウドファンディング」で“「北海道・北東北の縄文遺跡群」を世界遺産に!青森市世界遺産登録応援プロジェクト!”を実施している。募集期間は、2021年6月30日(水)まで。

 市では、世界遺産登録の決定を記念したさまざまな取り組みへの支援を募るため、ふるさと納税制度を活用したクラウドファンディングを6月30日(水)まで実施している。目標金額は100万円で、小牧野遺跡環状列石マスキングテープ(寄付額3千円)や遮光器土偶メガネ(同1万円)、縄文クッキング体験チケット(同5万円)など、金額に応じてお礼の品を用意している。寄付金は、「縄文の学び舎・小牧野館」への縄文遺跡群を紹介するパネル展示コーナーの設置、イコモスによる勧告登録や世界遺産登録決定の際の横断幕の制作などに活用する。

「観光人文学への遡航(12)」 ルソーが明確に区別した自己愛と利己愛

2021年6月22日(火) 配信


 私は今年から観光地におけるガイドのあるべき姿に関して研究を始めている。スーパーガイド、カリスマガイドと呼ばれる人は、その他大勢と何が違うのかを明らかにするために、インタビューを試みている。
 
 かつて旅の主流だった団体旅行では、何かとガイドのお世話になることがあったが、個人旅行全盛の時代になると、わざわざガイドを付けたりはしないことが多いのではないだろうか。
 
 さらに、私の肌感覚では、出会えて本当によかったと思える素晴らしいガイドは全体の1割程度で、7割ははっきり言ってつまらない。日本の場合、ボランティアガイドが多いこともその要因となっているように感じる。ボランティアという言葉からは献身的といったニュアンスが発せられているが、実際のボランティアガイドはリタイア後の楽しみや、自分の知識を賞賛してもらいたいといった動機で始めている人が多い。そこに献身の発想は見られない。自分のためにやっているガイドが観光客にとって楽しいはずがない。
 
 ルソーは、「エミール」において、自己愛と利己愛(訳者によっては自尊心と訳しているものもある)を明確に区別した。ルソー以前のフランス語では、これらは区別されていなかったようだ。自己愛とは自分が生存していくための本源的な欲求であり、自己愛を求めるときは他人の存在を想定しない。一方、利己愛とは、自分が他者と比較してより優れた存在、恵まれた存在でありたいと願う欲望をいう。
 
 利己愛は、他者と比較するという性質上、一度他人よりも自分が優れていると思ったとしても、さらに優れた人が出てくるのは自明であり、そうなったら、その人よりも上位になりたいという気持ちがまた生まれてくる。これを永遠に続けていくことになる。
 
 また、利己愛が他者に求めるのは、自分を他の誰よりも愛してもらうことである。ということは、その他者自身よりも自分のことを愛してくれることをも要求することになる。それは基本的には不可能なので、利己愛は決して満たされることはない。ゴールポストがどんどん先に移動していく状態に陥るのである。
 
 ルソーは、和やかな愛情に満ちた情念は自己愛から生まれ、憎しみに満ちた苛立ちやすい情念は利己愛から生まれると述べている。そして、その自己愛こそが他者への愛につながっていくと言う。
 
 だから、ルソーは少年時代のエミールを自然の中で生活させ、都会の不自然な刺激から遠ざけたのである。まず自分の中で、人間として本源的な快、不快の感情を理解し、自我が芽生えたときには、競争心よりも、お世話をしてくれる人からの混じりっけのないピュアな愛情を知ることで、「他者のために尽くす人間へと成長できる」との確固たる教育理念を著したのである。

 

コラムニスト紹介 

島川 崇 氏

神奈川大学国際日本学部・教授 島川 崇 氏

1970年愛媛県松山市生まれ。国際基督教大学卒。日本航空株式会社、財団法人松下政経塾、ロンドンメトロポリタン大学院MBA(Tourism & Hospitality)修了。韓国観光公社ソウル本社日本部客員研究員、株式会社日本総合研究所、東北福祉大学総合マネジメント学部、東洋大学国際観光学部国際観光学科長・教授を経て、神奈川大学国際日本学部教授。日本国際観光学会会長。教員の傍ら、PHP総合研究所リサーチフェロー、藤沢市観光アドバイザー等を歴任。東京工業大学大学院情報理工学研究科博士後期課程満期退学。

九州観光推進機構 唐池氏が新会長に 観光資源の磨き上げへ

2021年6月22日(火) 配信

唐池恒二新会長

 九州観光推進機構(石原進会長)は6月10日、福岡市内で2021年度定時総会と第2回理事会を開いた。石原会長が退任し、新会長としてJR九州代表取締役会長執行役員の唐池恒二氏を選任。石原氏は顧問に就いた。

 総会終了後には、新旧会長が記者会見を行った。石原氏は「会長として11年の間、東日本大震災や熊本震災、集中豪雨災害などあったが、九州新幹線の全線開業、機構の一般社団法人化、ラグビーW杯に合わせた『祭りアイランド九州』の開催など良いこともあった」と振り返り、「九州のインバウンドが100万人弱から、511万人まで伸びた」と胸を張った。

 一方、「新型コロナの影響で、観光消費額が2兆8800億円から20年は1兆1千億円になった」と悔しさを滲ませ、「旅行消費単価を上げ観光を九州の基幹産業にするため、アジアだけでなく、欧米豪からも誘客し、単価を上げることが必要」と強調した。

 唐池会長は①コロナ②観光③機構の方向性――の3点で新会長の考え方を示した。

 コロナでは政府・行政の対策で「交通と観光、飲食関係が移動自粛、集合自粛、インバウンド消失の3重苦となった」と不満を示し「地域と業界全体で声を上げ、正しいコロナ対策を打ち出してほしい」と声を強めた。

 観光では、「国立公園誕生の1934年に、九州では雲仙と霧島、阿蘇の3カ所が指定された」と紹介。宮崎と別府、雲仙など九州観光のメッカ時代をはじめ、湯布院と飫肥(宮崎県)、長崎さるく(長崎市)の歩く観光のヒット、19年の「祭りアイランド九州」の成功なども取り上げ、「観光資源の磨き上げ」を強調。九州観光を評価するリピーター数を「来年度の事業計画に入れたい」と明らかにし、「強い意志で観光を盛り上げたい」と決意を述べた。

 なお、総会では①ニューノーマルへの対応②来訪者の回復・増加③旅行消費単価の向上――を事業の戦略方針とした。

吉村会長が再任 全旅大阪が定時総会開く

2021年6月22日(火) 配信

あいさつする吉村実会長

 全旅協大阪府旅行業協会(吉村実会長)は6月1日、ホテル日航大阪(大阪府大阪市)で2021年度定時総会を開いた。議事では、すべての議案を承認可決し、任期満了に伴う役員改選では、吉村会長の再任を決めた。

 吉村会長は、昨年度の状況について「コロナ禍にあって、当協会としても、日本旅行業協会(JATA)と大阪バス協会との3団体連名で、観光バスや貸切タクシーを利用したツアーに対する助成を大阪府知事に要望するなど、この1年間、各方面にさまざまな陳情や請願を行ってきた」と報告。そのうえで「叶ったものもあれば、実現していないものもあるが、『少しでも会員のためになれば』と取り組んできた。まだまだ厳しい状況は続くが、今後も役員一丸となり、会員に理解いただける事業を進めていきたい」と述べた。

 新年度事業としては、会員活動の活性化や、地元自治体との連携強化に積極的に取り組むほか、感染症対策については、昨年に引き続き本部の対応に協力し、更新登録についての条件緩和や緊急融資の迅速な実施、国内旅行需要喚起のための施策の実施といった各種要望に沿って、近畿運輸局や大阪府庁、関係諸団体と連携を密にして対応していくことが決まった。

 引き続き行われたオーサカ・ゼンリョの第15回定時株主総会では、岡本浩史社長が昨年度の状況について「前期は、㈱全旅からの配当が大幅に減少するなど、危機的状況だったが、業務受託収入や営業外収益などで、なんとか乗り切ることができた。今後も、株主に喜んでいただけるよう取り組んでいきたい」と報告した。

 同日には、ハートンホテル心斎橋別館(大阪府大阪市)で宿泊・観光施設や案内所などで構成するオーサカ・ゼンリョ協力会の通常総会も行われ、すべての議案が承認可決された。任期満了に伴う役員改選では、金子博美会長(琵琶湖グランドホテル代表)の再任が決まった。

 全旅協大阪府旅行業協会の新役員は次の各氏。

 【会長】吉村実(歓喜旅行サービス)【副会長】岡本浩史(日本トラベルサービス)【専務理事】笹井健次郎(ビーウェーブ)【理事】藤方義勝(ジャパンライフトラベル)▽小林富久(ニューワールドツーリスト)▽堀内宏昭(トーヨートラベル)▽中山雅博(いすゞ旅行)▽安田由紀(新日本旅行)【監事】松下忠(ステイドリームツアーズ)▽加藤紀美子(ジェイ・エイチ・アールツアーズ)

全旅連、多田会長が続投 3期目に 「声を出せる団体」次世代につなげる

2021年6月21日(月) 配信

3期目の続投を決めた多田計介会長

 全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会(多田計介会長、1万5288会員)は6月15日(火)、東京都内で2021年度通常総会を開いた。任期満了に伴う役員改選では、2期4年を務めた多田会長の留任を決めた。

 3期目となる多田体制では、①政策②ポストコロナ調査研究③経営基盤調査研究④人材不足対策・職場環境改善対策⑤厚生・バリアフリー化促進――の5つの委員会を中心に活動を展開していく。災害対策室や情報デジタル推進室も設け、迅速な対応へ連携を強化する。

 続投を決めた多田会長は、「民泊や人材不足、外国人労働の問題、そして新型コロナウイルス感染症への対応など、その都度大きな課題が現れたが、会員の力を結集して乗り越えてきた」と2期4年を振り返った。

 さらに、陳情活動などを積極的に行ってきたことに触れ、「このレガシーを次世代にもつなげていかなくてはならない」と述べ、全旅連青年部長も旅館政治連盟のメンバーとして、親会と一体となって政治活動を推進していく方針を示した。

 多田会長は「全旅連が声のない団体ではなく、大きなうねりを作れる『声を出せる団体』に変貌していく」と3期目の決意を述べた。

 総会には、青年部の直前部長の鈴木治彦氏と、星永重25代青年部長も活動報告を行った。

ワクチン接種55% 9月Go To再開を

 鈴木直前部長は「コロナワクチン接種が日本国民の55%に達することが予想される9月中旬には、潮目が変わるのではないか」と述べ、「3連休前の9月17日(金)を目途に、接種を終えた人を条件に、全国一律でGo Toトラベルキャンペーン再開への準備を進めていきたい」と提案した。

  青年部では、全国の部員と情報を共有しながら、各都道府県知事や国会議員にも「『55(ゴーゴー)Go Toトラベル』をスタートさせましょう」と声を上げていく計画だ。「日本国民に日本中を旅していただけるように、そして我われが率先して地域経済の活性化を取り戻せるように、Go Toの再開を1日でも早く手繰り寄せたい」(鈴木氏)と述べた。

鈴木治彦直前部長(右)と星永重青年部長

 星青年部長は「コロナ禍で先の見えない状況が続き、宿泊業界の若い世代はとても危機感を覚えている」と若い世代を代表して、現状の打開策の必要性を強調した。そのうえで、「接種率55%は日本の人口の6738万人強に当たる。青年部、そして親会も含めて『宿泊業界からしっかりと経済を回していく』ことを、今から国会議員や、政府にも伝えながら頑張っていきたい」と、総会に出席している各都道府県理事長にも協力を求めた。

 21年度の主な事業計画として、調査・研究事業では、宿泊業におけるウィズコロナ・アフターコロナへの対応をはじめ、旅館業法5条改正や、風営法等の旅館業に関わる各種法規制の見直し、生産性向上、労働・雇用問題などを深堀していく。

6月15日に東京都内で2021年度通常総会が開かれた

 組織強化では簡易宿所営業許可施設の組合加入を促していく。なお、今年度の会費は昨年度に引き続き、2年連続で5割削減することを決めた。

 今年6月に予定していた全国大会は、コロナ禍の影響で秋に延期していたが、10月25日(月)に福島県いわき市の「いわきアリオス」で開催する。

 また、来年度の全国大会は、100回目の記念大会となる。22年6月15日に東京都千代田区のホテルニューオータニでの開催を予定している。