愛知県、観光誘客や周遊支援 各地でスタンプラリー始まる

2020年9月4日(金)配信

渥美商工会のスタンプラリーチラシ

 愛知県の碧南市観光協会と渥美商工会、知多市観光協会がそれぞれ9月から、県の観光誘客地域活動事業を活用したスタンプラリーを始めた。

 同事業は、愛知県が新型コロナウイルス感染症で深刻な影響を受けている地域経済を回復させるために実施している。観光誘客や域内周遊を目的とした事業を地域の観光振興団体に委託し、地域活性化と観光業界などの再起の支援をはかる。

 碧南市観光協会が企画したスタンプラリー「#レトロぷりん WEBスタンプラリー」は、9月1日(火)~11月30日(月)まで実施する。計16店の参加店舗で対象のプリンを注文すると獲得できるWebスタンプ4個を集め、特設Webページから応募。抽選で碧南市にゆかりのある景品をプレゼントする。応募期間はスタンプラリー期間内まで。

 渥美商工会が企画したスタンプラリー「めぐる~めQRスタンプラリー」は、9月1日(火)~12月31日(木)まで実施する。計36店の参加店舗を利用してポイント10個を集め、特設Webページから応募。抽選で渥美半島にゆかりのある景品をプレゼントする。観光施設5施設もすべて巡ると応募できるコンプリート賞も用意する。応募期間は2021年1月10日まで。

 知多市観光協会が企画したスタンプラリー「おなかがぐーちたスタンプラリー」は、2期間の実施が決まっている。9月15日(火)~11月30日(月)までと、12月1日(火)~2021年1月31日(日)まで。計60店の参加店舗で500円ごとにもらえるスタンプを6個集め、参加店舗にある応募台紙で応募。抽選で知多市の特産品をプレゼントする。応募期間はスタンプラリー期間内まで。

 なお、スタンプラリーは新型コロナの影響などで予告なしに中止、変更される場合あり。詳細は各特設ページから。

絵画に入り込んだような光の世界へ 滋賀県・米原の「 ローザンベリー多和田」で体験没入型イルミネーション

2020年9月4日(金)配信

 複合型観光施設「English Garden ローザンベリー多和田」(滋賀県米原市)に2020年10月から21年3月までの期間、関西圏最大級の体験没入型イルミネーションがオープンする。

 昨年、英国クレイアニメ「ひつじのショーン」をテーマにした世界初のエリアを開業し、年間約24万人が訪れた同施設。新しくオープンするイルミネーションのテーマは、「体験没入型ローザンイルミ2020―ひかり奏でる丘―」だ。3つのメインゾーンと16のコンテンツから構成され、関西最大級規模となる約6万平方メートルの敷地を、100万個のイルミネーションで彩る。まるで絵画の世界に入りこんだようなひかりの世界で、 さまざまな演出とコンテンツが来園者を迎えてくれる。

 開催は20年10月23日(金)~21年3月28日(日)まで。時間は午後5時~同9時(季節により異なる)。夜間料金は大人(中学生以上)1300円、子供(4歳以上)700円、3歳以下は無料。琵琶湖・湖北エリアの宿泊施設とのタイアップも企画し、コロナ禍で低迷する地方の観光事業の復興や夜間の地方観光づくりを推進する。

「もてなし上手」~ホスピタリティによる創客~(116)便利さ以上に「人」が大切 時間に思いやりを託す

2020年9月4日(金) 配信

 

 その日は寒くて、雨が激しく降っていました。目的地に到着して、料金を支払い、おつりと領収書を受け取り、横に置いたカバンに手を伸ばしたとき、タクシー運転手から「ドアを開けますね」と声を掛けられました。

 通常だと、支払いを終えおつりや領収書を片付けている最中にドアが開き、冷たい風や雨が吹き込んできて、「もたもたしていてはいけない。急がなくては」という気持ちになっていました。

 しかし、その日はゆっくりと降りる準備ができたのです。すごい運転手に出逢えたかもしれないと思い、わくわくする気持ちで、「いつもこうしているのですか」と質問をしてみました。すると「できる限り、お客様の準備が整うのを待ってからドアを開けるようにしています」。「それは、会社からの指示ですか」とさらに聞くと、素晴らしい答えが返ってきました。

 「いいえ。私もタクシーに乗る機会がありますが、いつも支払いを終えた後にドアが開くと焦ってしまいます。そのときに、荷物をひっくり返したり、忘れ物をしたりするのです。だから私は、ご乗車いただいたお客様に、ゆっくりでいいですよと言うようにしたのです。ただ、それでも皆さん急がれてしまうので、ドアを開けるタイミングを変えてみたのです」と答えてくれました。

 ご自身の体験から、明確な意思と目的を持って取り組まれたことに感動しました。街中で流しのタクシーがなかなか見つからず、苦労した経験が何度もあります。今では携帯電話にタクシーの配車アプリをいくつか入れています。使ってみると非常に便利です。

 しかし、先日「タクシーの運転をやめませんか」と思わず言ってしまうくらい、不快に感じる運転手に当たってしまいました。返事はしないし、雨の降る中、傘を差せないくらいにたくさんの荷物を持った私を、6車線ある広い道の反対側で降ろそうとする。おまけにトランクを開けただけで、その荷物を降ろす手伝いもしないという最悪の経験でした。便利なアプリでも、こうした運転手に一度でも当たってしまうと、再利用する時には躊躇してしまうのは私だけではないでしょう。

 皆さんのホテル、旅館などの施設でも、お客様からタクシー手配を求められることがあると思います。目的地まで運ぶだけのタクシーであれば良いのか。そのタクシーの中で嫌な想いをさせてしまったら、せっかく一生懸命におもてなしを実行して、喜んでいただいた楽しい時間の記憶さえもなくなってしまうのです。スピーディーな対応は大切ですが、お待ちいただく時間は、お客様と会話できる宝物と捉えて、より安心できるドライバーに託す想いを持ちましょう。

 
 

コラムニスト紹介

西川丈次氏

西川丈次(にしかわ・じょうじ)=8年間の旅行会社での勤務後、船井総合研究所に入社。観光ビジネスチームのリーダー・チーフ観光コンサルタントとして活躍。ホスピタリティをテーマとした講演、執筆、ブログ、メルマガは好評で多くのファンを持つ。20年間の観光コンサルタント業で養われた専門性と異業種の成功事例を融合させ、観光業界の新しい在り方とネットワークづくりを追求し、株式会社観光ビジネスコンサルタンツを起業。同社、代表取締役社長。

 

HIS、さぬき夢気球フェスタ開催 香川県の誘客キャンペーンの一環で

2020年9月3日(木) 配信

イベントポスター

 エイチ・アイ・エス(HIS、澤田秀雄会長兼社長)の中四国事業部は10~11 月の一部の土曜日、日曜日に、屋島(香川県高松市)と小豆島ふるさと村(香川県・小豆島町)で香川県が発表した2020年度うどん県観光誘客キャンペーン「さあ!香川キラリ旅」の誘客イベントとして、「さぬき夢気球フェスタ」を開く。

 同イベントは「気球」・「絶景」・「美食」というキーワードで新たな体験コンテンツにから県内外の観光客の増加をはかるほか、地元の名店を集めた「美食」グルメイベントを実施する。

 さぬき夢気球フェスタで運航する熱気球からは、香川県の自然豊かな地形を活かした景観を地上約20㍍から360度の空中パノラマで楽しめる。搭乗料金は、大人1人2000円、子供1人1000円。

 HISは同フェスタで運航する熱気球の搭乗体験付バスツアーも売り出した。発着地は高松と広島、大阪。商品名は「10 月出発 絶景×美食 日帰りバスツアー(熱気球会場:屋島山上)」で、ランチは地元の食材を使用した美食コースを用意した。

 出発日は10月3日(土)と4(日)、17(土)、18(日)、24(土)、25(日)。Go To トラベルキャンペーン支援金適用後の価格は、大人が高松発が6500円、広島発 1万2870円、大阪発 9997円で、子供は高松発が 5200 円、広島が1万1570円、大阪発が9997円とした。

 同社は11月14日(土)と21日(土)、28日(土)に出発するバスツアーも発売した。同商品では映画のロケ地でも有名なオリーブ公園や二十四の瞳映画村などを巡る。宿泊ホテルは瀬戸内海一望する絶景露天風呂を備える「ホテルグリーンプラザ小豆島」となる。Go Toトラベルキャンペーン支援金適用後の支払い実額は大人が高松発で1万6770円から広島発が2万4570円から。子供は高松発が1万5470円からで、広島発が2万3270円からとなる。

クラツー、生産者と交流する「北海道こだわりの食体験ツアー」売り出す 情報誌と共同企画

2020年9月3日(木) 配信

生産者を特集する「北海道食べる通信」

 クラブツーリズム(酒井博社長、東京都新宿区)はこのほど、情報誌「北海道食べる通信」を発行するグリーンストリーズプラス(丸山真由社長、北海道札幌市)との共同企画旅行商品「北海道こだわりの食体験ツアー」を売り出した。生産者との交流を通じて、“北海道の食”の魅力をツアーで多角的に紹介する。

 「北海道食べる通信」は、情熱ある生産者を発掘して特集する冊子と、食材がセットで届く“食べもの付き情報誌”。北海道の真の“食”を紹介している。クラブツーリズムは同誌の方針に賛同し、ツアーを通じて一次産業を応援する。

 第1弾は「石狩地方」に焦点を当てる。1泊2日のツアー中、農家の畑で採れたての野菜料理を味わえるほか、生産者との交流パーティーを予定している。訪問場所も農場など、同社のツアーではこれまで訪れたことのない場所を中心に企画している。

 旅行代金は、旅行後に自宅に届く石狩産の土産を含め、1人当たり10万9000円。だが、Go Toトラベル支援金1万4000円を活用し、支払い実額は9万5000円となる。このほかに地域共通クーポン6000円が付く。

 11月出発の第2弾は、道南エリアの「せたな町」を予定している。

 

京都・太秦映画村 10月「エヴァンゲリオン京都基地」オープン 日本刀展やスタンプラリーも開催

2020年9月3日(木)配信

 東映太秦映画村(京都市右京区)は2020年10月3日(土)、世界で初めてエヴァンゲリオンに乗ることができる新アトラクション「エヴァンゲリオン京都基地」をグランドオープンする。これに合わせて、映画村でしか見ることができないオリジナルの日本刀「式波・アスカ・ラングレー仕様太刀」も展示する「ヱヴァンゲリヲンと日本刀展」や、映画村と嵐山を巡る「スタンプラリー」も同時開催する。

 「ヱヴァンゲリヲンと日本刀展」では、「ヱヴァンゲリヲン新劇場版」シリーズをモチーフに刀匠が制作した刀剣を展示する。展示は全23点。ロンギヌスの槍をはじめとし、映画村でしか見ることのできないオリジナルの一振「式波・アスカ・ラングレー仕様太刀」が登場する。期間は10月3日(土)から12月20日(日)まで。チケット料金は大人(中学生以上) 1千円、子供(3歳~小学生) は800円。入場には別途、映画村入村券が必要。また「エヴァンゲリオン京都基地」エントリープラグ体験には別途整理券が必要。

 エヴァンゲリオン京都基地スタンプラリーでは、嵐電「四条大宮駅」「嵐山駅」、京都嵐山オルゴール博物館、東映太秦映画村内(2カ所)の計5カ所にスタンプが設置される。スタンプを5個をすべて集めると、オリジナル缶バッジ(1種)がもらえる(無くなり次第終了)。

きぬ川ホテル三日月に三日月神社が誕生 安全祈願の礼拝施設

2020年9月3日(木)配信

鬼怒川三日月神社のイメージ図

 栃木県・鬼怒川温泉の「きぬ川ホテル三日月」は9月10日(木)、ロビーに創建した「鬼怒川三日月神社」(日光東照宮合祀)の鎮座祭を斎行する。

 神社には、長い戦国戦乱の世を治め、徳川260年の泰平の世を築いた家康公をまつる日光東照宮を奉祀。内外から鬼怒川温泉を訪れる多くの旅行者の安全を祈願する礼拝施設として完成した。

 同ホテルはこのほど、大規模な全館リニューアルも実施した。温泉を水着でプールのように楽しむ新施設「おぷーろ」、手湯足湯と眺望を楽しむ水盤テラスを設置。バイキングレストラン「絹の川」の増席やカフェ「さなぶり」の改装、露天風呂付客室フロアのリニューアルなども行った。親子3世代の旅からカップル、女子旅まで多彩に対応できる施設となった。

 また、三日月グループでは、亀田総合病院の監修・指導のもと「新型コロナウイルス防疫体制・7ポイント」を制定。確かな感染防止対策を行い、安全安心な旅の提供を目指している。

城泊寺泊コンテンツ造成、訪日客向け滞在環境の整備へ 10事業を採択へ 観光庁

2020年9月3日(木) 配信

観光庁

 観光庁は8月31日(月)、城泊・寺泊による歴史的観光資源の活用事業について城泊2件、寺泊8件の計10件を採択した。

 同事業は、全国各地に点在する城や社寺を、日本ならではの文化が体験できる宿泊施設として、訪日外国人旅行者向け滞在環境の整備や体験コンテンツの造成を目指すもの。

 補助率は2分の1、城泊の上限は1件あたり750万円、寺迫は780万円。

 補助対象となる経費は①訪日外国人旅行者の受け入れ環境整備のために必要な事業②訪日外国人旅行者向けの体験型・滞在型コンテンツの充実及び魅力向上のために必要な事業③滞在時の案内を行うコンシェルジュの養成――とした。

 事業名・団体名・地名は次の通り。

【城泊】

▽大洲城キャッスルステイ新コンテンツ造成事業
 大洲城キャッスルステイ協議会(愛知県大洲市)

▽平戸城城泊〈キャッスルステイ〉事業
 狼煙(長崎県平戸市)

【寺泊】

▽宿坊事業及び訪日外国人向け禅に関わる体験事業
 おおま宿坊普賢院(青森県・大間町)
 
▽覚林坊訪日外国人観光客の実際の声を取り入れた本物志向の宿坊体験造成事業及び情報発信事業
 覚林坊(山梨県・身延町)
 
▽善光寺インバウンド受入体制強化及び寺院体験コンテンツの拡充事業
 善光寺(岐阜県高山市)
 
▽比叡山延暦寺新しい生活様式に基づく“寺泊”に向けた、団体研修やワーケーションプログラムの策定
 延暦寺(滋賀県大津市)
 
▽常喜院、常喜院密教瞑想・体験センター整備事業
 常喜院(和歌山県高野町)
  
▽インバウンド平準化に向けた高野山ヘルスツーリズムプログラム
 恵光院(和歌山県・高野町)
 
▽大泰寺民泊事業インバウンド対応強化事業
 大泰寺(和歌山県・那智勝浦町)
 
▽四国霊場札所岩本寺と清流四万十川に癒される旅〈アッと四万十「! SHIMANTO」〉
 岩本寺(高知県・四万十町)

ワーケーション意識調査 会社員と経営者の5割超が意欲的 受入自治体は懸念の声も 日本旅行

2020年9月3日(木) 配信

「ワーケーション」制度への興味

 日本旅行はこのほど、会社員・経営者・自治体職員を対象とした「ワーケーション」に関する考え方や、意識、取り組みの実態を調べた。調査によると、会社員の6割が「ワーケーションに取り組んでみたい」と答え、経営者の5割近くが既にワーケーションを実践していることが分かった。一方で、地方自治体職員の3割が「地元活性化の効果が期待できる」と答えたが、環境の整備に関する懸念の声も上がった。【馬場 遥】

 

調査結果

 調査は、日本旅行(堀坂明弘社長)、ウェルビーイング・ジャパン(野口茂一社長)、あしたのチーム(髙橋恭介社長)の3社合同で行われた。

 調査①「ワーケーションに対する考え方と姿勢」(対象・テレワーク導入企業の会社員322人)、調査②「ワーケーションへの取り組みの実態」(対象・テレワーク導入企業の経営者323人)、調査③「自治体における民間企業のワーケーションに対する考え方と姿勢」(対象・東京と大阪を除く全国在住の自治体職員330人)――が、8月13(木)~18日(火)にかけて実施された。

 ワーケーション制度の導入に興味がある会社員が62・0%だったが、実際に自分が利用するにあたって、「休暇が結局仕事になる可能性がある」(51・5%)、「どこまで勤怠をつけて良いのかわからない」(47・1%)と課題を示す声があった(複数回答)。

 導入のメリットとして、「リフレッシュすることで生産性が向上する」(47・3%)、「家族との時間やプライベートな時間の確保がしやすくなる」(38・9%)が挙げられた。

 経営者の50・4%が「自社での導入に興味がある」と回答し、既にワーケーションを実践している経営者は47・6%いることが分かった。

 実際に自社で導入する場合の課題点(複数回答)についての質問には、「休暇中の仕事の適切な評価が難しい」(71・4%)、「休暇中の業務の勤怠管理が難しい」(70・5%)、「仕事環境の整備が難しい」(70・5%)――と評価制度の見直しや環境整備の課題が明らかになった。

 民間企業のワーケーション制度導入で、地元の活性化を期待できると応えた地方自治体職員が29・7%だった。「観光需要を喚起できる」、「新規交流人口が見込まれる」、「定住につながる可能性がある」などの回答が得られ、期待が寄せられていた。

 一方で、受け入れや呼び込みに対しての「不安や課題を感じる」と答えたのは40・6%だった。受け入れの環境整備のほかに、「地域の導入に係るPRや、人の誘致に係る発信力が不安」、「新型コロナウイルス感染拡大への不安」など、懸念する回答が寄せられた。

 テレワークの一般化に伴い、今後普及していくとみられるワーケーションについて、自治体内でも地元活性化の起爆剤として徐々に期待が寄せられていることが分かった。

 同社は、今後ワーケーションを制度として確立するために、「民間企業での労務管理や評価の制度面の整備や見直しはもちろん、自治体内での制度の整備や呼び込み施策の策定がカギとなる」と総括した。

「観光革命」地球規模の構造的変化(226) コロナ不況と観光振興

2020年9月3日(木) 配信

 内閣府が8月17日に公表した4~6月期の実質国内総生産(GDP)速報値は国民に不安を与えている。速報値は年率換算27・8%減で、リーマンショック後の2009年1~3月期の年率17・8%減を超えて戦後最悪のマイナス成長を記録。コロナ禍で個人消費を柱とする内需と輸出などを柱にする外需の両面が総崩れした。

 政府はGo Toキャンペーンで消費を喚起し、補正予算で計上した10兆円の予備費を活用して内需主導の景気回復をはかっている。しかし、連日1000人を超える国内感染の拡大が続き、経済活動の抑制による倒産や失業の増加が危惧されている。

 政府の観光支援事業「Go Toトラベル」は7月22日(水)の開始から1カ月間の利用者数が延べ約420万人で、当初想定の5割弱に留まっている。同事業では、1人当たり1泊2万円を上限に旅行代金の半額相当を補助している。補助総額は1兆1248億円で、来年1月末までの期間中に1カ月当たり約900万人の利用が想定されている。

 評論家の大前研一氏は「Go Toキャンペーンは旅行業界の経営力を奪う『世紀の愚策』だ」と強く批判している。経営者は本来「自分で自分のサービスに対して適正な価格をつける」べきであり、宿泊料金やサービス料金に税金を注ぎ込んで企業を補助金漬けにすることで、旅行業界の基礎的な経営力を失わせて自立を妨げると批判している。

 また、キャンペーン事業は旅行会社が催行するパック旅行や手配旅行に限定されている点も厳しく批判している。大前氏はポスト・コロナに向けて、「日本の旅行業界は価格、サービス、パッケージについて、まず日本人の国内旅行を一から組み直すべきだ」と主張している。

 大前氏は「コロナ禍は日本の観光・旅行産業を本質的に改革する千載一遇のチャンス」と捉えている。正にその通りであるが、長年に亘って築き上げられてきた日本の観光・旅行産業の基本構造を改革することは、容易ではない。先ずは「持続化給付金」や「雇用調整助成金」などで経営基盤の立て直しをはかる必要がある。

 されど、ポスト・コロナにおける日本観光・旅行の在り方は大きな変化が想定されており、今後10年くらいかけて観光・旅行業界の大きな改革を推進することが不可欠になるだろう。

 

石森秀三氏

北海道博物館長 石森 秀三 氏

1945年生まれ。北海道大学観光学高等研究センター特別招聘教授、北海道博物館長、北洋銀行地域産業支援部顧問。観光文明学、文化人類学専攻。政府の観光立国懇談会委員、アイヌ政策推進会議委員などを歴任。編著書に『観光の二〇世紀』『エコツーリズムを学ぶ人のために』『観光創造学へのチャレンジ』など。