城西国際大の添乗実務研修 学生に観光の未来を聞く

2020年10月1日(木) 配信

1807号(10月1日発行)1面

 城西国際大学観光学部(千葉県鴨川市)は9月中旬の3日間、授業の一環で、「旅程管理主任者」資格取得のための講座を実施した。履修した学生49人は座学研修の翌日、日帰りバスツアーを想定した添乗実務研修に参加。キャンパスのある千葉県南部を出発し、成田国際空港がある北西部まで県内を縦断した。研修に同行し、実際に業務を経験する学生の姿を取材するとともに、観光学部に入学したきっかけや、ウィズコロナ時代を見据えた観光業界の未来について話を聞いた。 【入江 千恵子】

実践で学ぶ添乗員のいろは

 企画旅行(募集型・受注型)に同行する主任添乗員は、「旅程管理主任者」資格が必要となる。取得には、旅行業法や約款などを学ぶ旅程管理研修を修了し、所定の添乗実務を経験することが条件となる。

 添乗実務は、旅程管理研修の前後1年以内に1回以上または3年以内に2回以上、ツアーに補助添乗員として同行することや、登録機関が認定する研修ツアーに参加することなどが旅行業法で定められている。

 城西国際大学観光学部では毎年9月、国内旅行に添乗できる「国内旅程管理主任者」の資格を取得する講座「ツアーコンダクター実務」を開講。旅程管理研修2日間と添乗実務1日の合計3日間の日程で実施している。

車内の感染症対策も 行程は千葉県内限定

 今年度は、1―4年生の学生49人(留学生4人含む)が受講した。座学研修の翌日に行われた添乗実務研修では、感染症対策の一環として、バス座席を1人で2席使用。大型バス2台を手配した。出入口にはアルコール消毒液を設置するなど、予防策を講じた。

 コースは、安房鴨川駅を出発し、道の駅保田小学校、成田山新勝寺、成田空港、酒々井プレミアム・アウトレット、市原サービスエリアで下車、安房鴨川駅に戻る行程とした。

 企画した指導教官の山本剛助教は「新型コロナウイルス感染拡大を鑑み、昨年までの東京・神奈川方面から千葉県内のコースに作り直した。マイクロツーリズムの実践にもなった」と話す。

【全文は、本紙1807号または10月7日(水)以降、日経テレコン21でお読みいただけます。】

〈旬刊旅行新聞10月1日号コラム〉大崎上島を再訪 「親切でやさしく一生懸命に」の宿

2020年10月1日(木) 配信

大崎上島のホテル清風館から眺めた瀬戸内海の美しい風景

 3男が広島商船高等専門学校という学校で5年半の間、学んでいた。広島県の大崎上島という、竹原港から山陽商船のフェリーで約30分の離島で、航海士を目指して寮生活をしていた。

 
 新型コロナウイルスの影響もあって、船上での訓練などのスケジュールが大幅に変更となり心配していたが、この秋ようやく卒業することになった。

 
 卒業式の日は、真っ青に晴れ渡った。瀬戸内海独特の静かな海と、心地よい海風に吹かれながら、フィナーレに真っ白な航海服を着た卒業生たちが白い制帽を大空に投げたシーンに、私の心は震えた。

 
 まだ中学生だった息子を連れて、秋の学校説明会や真冬の受験、桜が咲き乱れる春の入学式など、何度も大崎上島を訪れた日々を思い出してしまった。

 

 
 卒業式の前日には、大崎上島にある「きのえ温泉ホテル清風館」に宿泊した。

 
 同館の角南正之社長は、今年1月に東京で開いた「プロが選ぶ日本のホテル・旅館100選」の表彰式にもご出席いただいた。息子の卒業式とともに、ホテル清風館に宿泊することが楽しみであった。

 
 ホテル清風館の料理は、鯛やアワビ、サザエなど豊富な地元の素材をさりげなく使い、なおかつ、味付けなどの調理はしっかりとしている。器もこだわっている。

 
 多島美を誇る瀬戸内を一望できる露天風呂も、気に入っている。日が暮れかかった海に大小さまざまな船が行き交う。潮風を感じながら、そのような風景をただぼんやりと眺める時間がいい。

 
 今回、久しぶりに訪れたが、数年前よりも宿全体の雰囲気が明るくなっていた印象を受けた。フロントや食事会場で接するスタッフが伸び伸びとして、笑顔が絶えない。訪れた人も清々しい気持ちになる。

 
 角南社長は「自分たちは田舎の旅館で素人」と謙遜する。「だからこそ、『親切でやさしく一生懸命に』を経営理念に掲げています」とおっしゃる。まさにその理念が浸透しているようだ。

 

 
 宿のロビーに「バー」ができていたことにも驚いた。

 
 私はバーのある旅館が好きだ。ホテル清風館のバー「サファイア」には、バーテンダーの田村知行さんが笑顔で迎えてくれる。田村さんは東京の帝国ホテルに41年間在籍し、数々の著名人や文化人を相手に腕を磨いてきた。

 
 今回は地元・大崎上島のライムを使った特性のジン・トニックと、瀬戸内海のブルーをイメージしたオリジナルのカクテルを作っていただいた。

 
 田村さんは大崎上島に魅了され、退職後に移住した。そのことを知った角南社長は宿にバーカウンターを作り、田村さんを迎え入れた。今では、このバー「サファイア」が宿の1つの個性として、浴衣姿の宿泊客に楽しいひとときを提供している。

 

 
 大崎上島は、観光地としては決して知名度が高いわけではない。しかし、背伸びをせずに、自然や人と向かい合う姿勢をいつも感じる。「本当の力量」が高い島だと感じる。

 
 最近、宿泊特化型のビジネスホテルに宿泊する機会が多かったが、素朴さを否定せず、「親切でやさしく一生懸命に」を目指すホテル清風館に、「旅館で過ごす時間と空間」の心地よさを改めて教えていただいた気がした。

(編集長・増田 剛)

新たに4場面を追加 「新しい旅のエチケット」 観光庁

2020年9月30日(水) 配信

新しい旅のエチケット・交通編(観光庁HPより)

 旅行者視点での感染防止の留意点をまとめた「新しい旅のエチケット」について、観光庁は新型コロナウイルス感染症対策分科会での提言を踏まえ、このほどガイドラインの見直しと充実をはかった。旅行の場面ごとに「交通編」「旅の飲食編」「宿泊編」「観光施設・ショッピング編」を新たに作成し、周知徹底に努める。

 今回の「新しい旅のエチケット」では、接触確認アプリ「COCOA」の導入とマスクの着用について、いずれの場面でも実施を要請するため、各場面共通の項目とした。

 とくに留意する必要のある「飲酒・飲食」や「マスクなしでの会話」については、新たに項目を追加している。

 ガイドラインには、「COCOA入れ 準備完了、さあ出発!」や、「マスク着け、私も安心、周りも安心。」、「向き合えば、話が弾む、飛沫舞う。」など、覚えやすく575のリズムを用いて項目を示している。

 観光庁は、「旅行者の皆様には、改めて自身の行動に留意していただけるようお願いしたい」と協力を求めた。

一休.comレストラン、「Go To」に参加 独自の還元CP開始

2020年9月30日(水)配信

一休.comレストランのサイトイメージ

 一休(榊淳社長、東京都港区)が運営するレストラン予約サイト「一休.comレストラン」は、10月1日(木)から独自の還元キャンペーンを実施する。同日から農林水産省の主体で始める、飲食業界向け支援策「Go Toイート」キャンペーンにあわせたもの。

 一休.comレストランでは、利用金額に応じた「一休ポイント」が会員ステージごとに決められたパーセンテージで付与される。通常は会員ステージにより、予約金額の1~2.5%分のポイントを付与するが、10月1~31日までの期間限定で、利用者全員に10%分のポイントを還元する。「Go Toイート」と併用も可能で、一休ポイントは付与されたその場での即時利用もできる。

 「Go Toイート」は、予約サイトで対象飲食店の来店予約をすると利用者1人につき500円分、午後3時以降の来店予約で1000円分のポイントを付与するキャンペーン。ポイントは、来店日の翌月10日の付与で、次回予約時から対象飲食店で利用できる。ポイント付与は、1予約につき最大10人まで。複数人の来店予約の場合、ポイントは予約者にまとめて付与される。

 なお、一休ポイントは一休.comレストランをはじめ、宿泊予約サービス「一休.com」など、一休のサービス内で共通して利用できる。

JTBグループ国内旅行CP「日本の旬 九州」始まる 来年3月31日まで

2020年9月30日(水) 配信

「日本の旬 九州」ロゴマーク

 JTB(山北栄二郎社長)は10月1日(木)~来年3月31日(水)まで、JTBグループ国内旅行キャンペーン「日本の旬 九州」を展開する。九州の魅力を再発見するとともに、災害から復興し、未来へとつなげていけるよう後押しする。

 同キャンペーンは、「自然・風景」「歴史・文化」「食・味覚」「体験」「復興・つなぐ」を切り口に、九州全体の活性化を目指す。テーマは「Re-Sight Kyushu~時をつむぐ 未知へつながる~」。

 九州では、2016年の熊本地震で不通となっていた豊肥本線は今年8月に全線開通し、崩落した阿蘇大橋も来年3月に開通予定となっている。阿蘇大橋の開通は、「大分~阿蘇~熊本~長崎」をつなぐ九州観光再開の大動脈として期待されている。また、鹿児島県の奄美諸島は世界自然遺産登録の推薦地となり、九州への注目度は高まっている。

開放的な空間を満喫

 CP期間中の主な旅行商品は、個人旅行では離島を専用機で巡るアイランドホッピングツアーや、代表スポットを結ぶ2階建てオープンバスの運行、プライベートガイドが案内する歴史・文化に触れるプランなどを用意。団体旅行は、九州の観光列車をお客のグループごとに貸し切れるプラン、熊本地震からの復興を学び伝えるプランなど、九州でしか体験できない内容をそろえた。

 「日本の旬」は、各地の「旬」な魅力を掘り起こし、旅を通じて地域活性化に貢献することを目的としている。半期ごとに対象方面を選定し、2021年度上期は「東北」を予定している。

10月1日(木)から東京のGo To参加の施設を調査 観光庁

2020年9月30日(水) 配信

観光庁

 観光庁は10月1日(木)から、Go Toトラベル事業に参加している東京都内の宿泊施設を対象に、新型コロナウイルス感染拡大防止策の実施状況について調査する。

 同日から東京発着の旅行が新たにGo Toトラベル事業の支援対象になる。検温、本人確認、3密対策などを徹底しているか、運営事務局などが個別訪問して確認する。実施が不十分な項目については、現場を確認したうえで助言を行うとともに、相談に応じる。

 調査は9月7日(月)から、事業に登録している全宿泊施設を対象に行っている。2回の調査で最も多く指導を受けた項目は、「『Go Toトラベルを利用される方が遵守すべき事項』の旅行者への周知が不十分」と、「公的書類による旅行者の本人確認を実施していない」の2点だった。

 旅行者への検温や、飲食・浴場の3密対策は、大半の施設が確実に実施していた。

 観光庁はGo Toトラベル事業について、「ウィズコロナの時代における『安全で安心な新しい旅のスタイル』を確立し、普及・定着させることが目的」としている。

純損失78億円の赤字へ コロナ影響で減収減益に ジェットスター・ジャパン20年6月期決算

2020年9月30日(水) 配信

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 ジェットスター・ジャパン(片岡優社長、千葉県成田市)は9月29日(火)、2020年6月期決算(19年7月1日~20年6月30日)を発表した。営業収入は前年同期比20・9%減の478億8300万円、営業損失は66億7500万円(同利益10億6400万円)、純損失は77億5700万円(同純利益9億1400万円)と赤字に転じた。

 会計年度前半の業績は好調だったが、下半期は新型コロナウイルス感染拡大の影響で、航空需要は急激に減少した。

 総搭乗者数(有償ベース)は前年度から121万人減少し、同21・8%減の431万人となったが、4月に累積搭乗者が3500万人を超えた。定時運航率は85%(前年は78%)で、平均搭乗率は82%(前年は87%)となり、堅調に推移した。

 片岡社長は、新型コロナの影響が拡大する状況下で、累積搭乗者数3500万人を達成できたことに触れ、利用客に感謝の意を示した。

 また、感染拡大による需要の大幅な落ち込みを鑑みて、「安全運航を最優先し、コスト削減と運航の最適化にいち早く動いた。柔軟な対応を続けていき、需要が回復したときには元通り事業に注力できるよう取り組みたい」と意気込んだ。

 同社ではこのほど、安心・安全に利用できるよう感染予防プログラム「フライウェル」を導入した。運賃や料金の払い戻しができるオプション「フェアクレジット」も販売。

 オンラインチェックインの推進や、空港での自動手荷物預け機の導入で空港や機内での感染予防策を徹底し、安全に利用できる環境を整える。

 なお、同社は昨年10月に指定本邦航空運送事業に指定され、12月には航空機整備検査認定を受けた。

ベニズワイガニやシロエビが味わえる 東京駅で「富山湾 秋の味覚フェア」

2020年9月30日(水) 配信

「旨味」と「甘味」が格別なベニズワイガニ

 富山県は10月1日(木)~10月31日(土)まで、東日本旅客鉄道(JR東日本)の東京駅構内にある飲食店22店舗で「富山湾 秋の味覚フェア」を開く。富山湾で水揚げした海の幸をその日のうちに北陸新幹線で東京駅に直送。新鮮で贅沢なメニューが楽しめる。

 北アルプスから流れ出る良質な水や豊富なプランクトンで育ったベニズワイガニや、富山湾でしかまとまった量が水揚げできないシロエビ、富山湾の神秘とも称されるホタルイカを使用する。ほかにも2018年デビューの新しい米「富富富(ふふふ)」や芳醇で味わい深い日本酒の提供も予定している。

10月1日、「近代化遺産 全国一斉公開」スタート 普段非公開の施設や、保存修理工事中の施設171カ所で

2020年9月30日(水) 配信

針尾送信所の電信室

 全国近代化遺産活用連絡協議会(会長=多々見良三舞鶴市長)は10月1日(木)から11月30日(月)まで、「近代化遺産 全国一斉公開」を行う。

 今年度は、普段非公開の施設や、保存修理工事中の施設171カ所で実施。併せて、38会場でライトアップやトレッキングツアーなどのイベントも企画されている。

 「近代化遺産」とは、幕末から第2次世界大戦期までの間に建設され,日本の近代化に貢献した駅舎や橋梁、公共施設など産業・交通・土木に係る建造物。今年度は、保存整備工事が完了した富岡製糸場西置繭所(群馬県富岡市)や、針尾送信所(長崎県佐世保市)の電信室などが初めて公開される。

 今年度は初の試みとして、東京シティアイ パフォーマンスゾーン(東京都千代田区)とJR国立駅南口「旧国立駅舎」(東京都国立市)で近代化遺産を紹介する展示イベントも企画した。

 9 月18 日(金)~20 日(日)に行われた東京シティアイ パフォーマンスゾーンでのイベントでは、会場には明治期に灯台で使用されていたレンズやなどを展示。「灯台」や「鉄道」などをテーマに専門家らのトークイベントも行われた。

 18日のオープニングセレモニーセレモニー終了後には、多々見会長が登壇し、丁野朗氏(東洋大学大学院国際観光学部客員教授)、青柳正規氏(東京大学名誉教授)とトークセッションを行った。

(左から)丁野氏、青柳氏、多々見会長

 多々見会長は、「街の歴史を見つめなおすと、先人の知恵などが浮かんでくる。歴史を知ることが、地域資源の発見につながるので、市民全員で現状を把握し、未来像を考えるきっかけにしたい」と地域の歴史の活用に関する持論を展開した。

 青柳氏は、「新型コロナウイルスの感染拡大によりさまざまな新ルールが必要とされるなかで、日本の強靭な部分、欠点、見落としている部分が明らかになったと思う。こうした状況のなかで新しい日本を作り上げるうえで、近代化遺産から知恵の使い方を学ばなければならないのではないか」と意見をまとめた。

 また丁野氏は、「近代化遺産の活用には、ストーリーと制度が必要。近代化遺産を核に、どう地域全体を活性化させるかをしっかり考えていきたい」と語った。

 なお、JR国立駅南口「旧国立駅舎」でのイベントは、10 月31 日(土)~11 月8 日(日)に行われる。

岩手県初 雫石町でONSEN・ガストロノミーウォーキングイベント開催

2020年9月30日 (水)配信

温泉街外れにある「逢滝」まで足を伸ばした

 岩手県・雫石町で9月20日(土)、「ONSEN・ガストロノミーウォーキング in みちのく雫石・うぐいすの里 おうしゅく」が行われた。岩手県初のONSEN・ガストロノミーウォーキングイベント。参加者は新型コロナウイルス感染症対策として、東北県民限定とした。

 コースは、岩手山、男助山などを遠くに仰ぎ、間もなく収穫を迎える黄金色の稲穂が眩しい畦道や、本格ガーデニング公園の「フラワー&ガーデン森の風」を抜け、温泉街外れにある「逢滝」まで足を伸ばし、鶯宿温泉を目指す全長約9㌔。途中、雫石高等学校の生徒も、山祗神楽や、雫石よしゃれ、さんさ踊りなどの伝統芸能で参加者をもてなした。各ガストロノミーポイントでは、雫石牛焼きや南部かしわ汁、村上餅屋きりせんしょなど地元の食をふんだんに用意。岩手のクラフトビール「ベアレンビール」や、地酒などとともに提供し、111人の参加者を楽しませた。

地元の食をふんだんに用意

 コロナ禍で大規模なイベントを行うにあたり主催者の「雫石町温泉・食文化満喫ツーリズム実行委員会」は開会式を行わず、事前に案内したスタート番号順に約10分間隔で10人前後のグループに分かれて出発するかたちを採用。また、食事提供場所での消毒や、食品をそれぞれ個包装し渡すなど、感染症対策を徹底し、参加者が安心して楽しめる環境を整備した。