ヤマップ、オマツリジャパンと提携 アドツーの推進をはかる

2020年12月17日(木)配信

2社が連携してアドベンチャーツーリズムの推進をはかる

 ヤマップ(福岡県福岡市、春山慶彦社長)は12月14日(月)、オマツリジャパン(加藤優子社長、東京都渋谷区)と業務提携を結んだ。自然・アウトドア分野に強みを持つヤマップと、祭り・伝統文化に強みを持つオマツリジャパンの2社が連携。これにより、観光庁がポストコロナ観光政策の注力分野に位置付けている「アドベンチャーツーリズム」の推進をはかる。

 アドベンチャーツーリズムとは、北米を中心とした欧米圏で発達したツーリズムの1つ。アクティビティや自然、文化体験の3要素のうち、2つ以上で構成される旅行スタイルを指す。旅行者の特徴として、平均で14日間と長期の滞在を好み、経済波及効果が高いことから市場規模は70兆円を超えるといわれている。

 連携後、第1弾となる取り組みを北海道釧路市阿寒町で実施する。ヤマップが、トレッキングやカヤックとサイクリングを掛け合わせたものの参加体験ができるコンテンツを造成。一方でオマツリジャパンは、アイヌ文化が参加体験できるコンテンツを造成する。さらに第2弾を、埼玉県・横瀬町で実施する計画だ。

11月の訪日外客数、97.7%減の5万6700人 入国規制緩和で前月から倍増

2020年12月16日(水) 配信

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 日本政府観光局(JNTO)が12月16日(水)に発表した2020年11月の訪日外客数(推計値)は、前年同月比97.7%減の5万6700人だった。14カ月連続で前年同月を下回ったが、実数は前月の2万7400人から倍増した。

 増加の要因には、11月1日(日)から日本政府が中国やベトナム、韓国など、11の国と地域の感染症危険情報をレベル2に引き下げたこと、10月1日(木)以降は一定の条件下ですべての国・地域からの新規入国が可能となり、入国規制緩和が進んでいることなどが挙げられる。

国立公園や温泉地の楽しみ方にたけた人材を育成 ON・ガス推進機構、養成講座開く

2020年12月16日(水) 配信

講座のようす

 ONSEN・ガストロノミー推進機構(小川 正人理事長)は12月12日(土)、福島県会津若松市内で「アウトフィッター」養成講座を開いた。

 同機構が来年度からの本格稼働を目指す「国立公園・温泉地大学校」構想に向けた準備講座。国立公園や温泉地の楽しみ方にたけた人材を育成し、両者を有する地域を活性化させることが狙いだ。

 「アウトフィッター」は、「国立公園・温泉地大学校」事業構想を支える2本柱の1つで、自然観光の舞台である国立公園や温泉地の楽しみ方にたけた人材と同機構が定義づける存在。国立公園や温泉地での現地研修会と検定試験を行い、アウトフィッターに認定する。認定者はガイド面などの特別研修を受講後に、アウトフィッタープロとして認定し、ガイドとコンシェルジュの役割を担う。

 もう1本の柱である「地域活性化」に関しては、国立公園と温泉地を有する自治体に自然観光を考える場として「ナショナルパーク・サミット」を全国巡回のカタチで開催し、自然観光コンテンツの体験や、自治体やDMOの人にほかの地域の実例を学ぶ環境を整える。

 「国立公園・温泉地大学校」事業構想について解説した亀澤玲治専務理事は、「自然と自然に恵まれた地域の文化や暮らし、歴史が凝縮されたエリア」と国立公園を紹介し、「文化的景観もあり、農林漁業とも共存している。こう考えると、国立公園と周辺地域は食でもつながっているといえる。今後は、国立公園ガストロノミーウォーキングや国立公園トレールガストロノミーなど、食と国立公園の組み合わせによる地域活性化も考えていく」と語った。

 要請講座は、会津若松市で12月12日(土)からスタートした「ONSEN・ガストロノミーステイ&ホッピング  in会津」の一環で行われた。コロナ禍での「新しい生活様式」を取り入れながら、市内の「街歩き」、「食べ歩き」、「温泉巡り」を楽しむ同企画。同推進機構が主催する。12月28日までは「クリスマスバージョン」として、市内4店舗が会津地域の食材などを使用した限定メニューを用意している。参加者は同イベントのクーポンを提示することで、いずれか1店舗のメニューが注文できる。また、参加者には1000円分のタクシーチケットも提供する。1月4日からは、メニューが変わる。

馬肉のカルパッチョなどが味わえる會津バルの限定メニュー

 また、「道の駅猪苗代」(福島県・猪苗代町)では、同じく12月12日から20日まで、「クリスマスマーケットinあいづ」も行われている。ONSEN・ガストロノミー推進機構と、県内17市町村で構成する極上の会津プロジェクト協議会、会津地域経済循環推進協議会が共催し、会津地域の魅力的なコンテンツを発信することが目的。会場には、会津の食材を使ったブースが並ぶ。世界的に有名なフランス・アルザス地方のクリスマスマーケットの雰囲気を体験できるブースが目玉で、アルザスワインや菓子などをそろえている。

多くのブースが並ぶクリスマスマーケット

KKday、「東京タワー台湾祭2021新春」前売り券を独占販売

2020年12月16日(水)配信

電子チケット券面のイメージ

 アジア最大級のオプショナルツアー予約サイトを運営するKKday(陳明明社長、台湾)は、台湾祭実行委員会(東京都中央区)が主催する「東京タワー台湾祭2021 新春」の前売り電子チケットの独占販売を始めた。当日はQRコードだけで専用入口からタッチレスで、スムーズに入場可能。電子チケットは購入後即使用でき、出掛け先での当日購入でもすぐに利用できる。

 KKdayの電子チケットシステムを活用することで、前売り券購入による入場列の解消や、タッチレス入場で接触機会を減らすなど、コロナ禍のニューノーマルに対応すべく今回初めて導入した。オンライン販売を記念し、先着200人限定のKKday特典付き前売り券や、東京タワーメインデッキとのセット券を用意している。

 特典付き前売り券は、大人800円、子供500円。購入特典のオリジナルスプレーボトル(25ミリ)が付く。東京タワーメインデッキとのセット券は、大人2000円、子供1200円。なお、入場料にはドリンク1杯と、台湾祭オリジナルエコバッグ、パイナップルケーキ(4個入)が含まれる。

 台湾祭の開催日は2021年1月3日(月)~11日(月・祝)まで、東京タワー屋外特設会場(南側駐車場)で開かれる。雨天決行。

兵庫県洲本市産の新鮮野菜を販売 「るるぶキッチンビルヂング」など10店舗で JTBパブ

2020年12月16日(水) 配信

洲本市産の新鮮な野菜が並ぶ

 JTBパブリッシング (今井敏行社長)と兵庫県洲本市(竹内通弘市長)は12月30日(水)まで、東京・新宿の「るるぶキッチンビルヂング」など全10店舗で、洲本市産の直送野菜を販売する「るるぶキッチン産直マルシェ」を開いている。新型コロナウイルスの影響で需要が減少した洲本市の生産者を応援するとともに、洲本市ふるさと納税のプロモーションを展開する。

 各店舗では、ふるさと納税返礼品でも人気の高い「成井さんちの完熟たまねぎ」やノーワックスのレモン、レタス数種類など、現地から直送の野菜を取り扱う。購入者にはプレゼントを進呈するほか、ふるさと納税のPRも予定している。

 フードアーキテクトラボが運営する飲食店と包括契約を行い、「るるぶキッチンビルヂング」1階にある「酒処 何方此方(どちこち)」のほか、東京、神奈川、京都の計10店舗で展開する。

 JTBパブリッシングは今年9月、洲本市とシティプロモーションや、まちづくりなどの分野で連携を強化するため「包括連携協定」を締結。これまでに、観光情報誌「るるぶ特別編集 淡路島洲本市」の発行や、るるぶキッチンでの洲本市産の食材メニューの提供などを行っている。

 実施店舗は、次の通り。

 【東京】酒処 何方此方(新宿・るるぶキッチンビルヂング1階)▽シェルマン(月島)▽ワイン酒場(神楽坂)▽牡蠣入レ時々海栗(五反田)▽牡蠣入レ時(茅場町)▽焼鳥スエヒロガリ(中目黒)▽真夜中の太陽(有楽町)▽牡蠣入レ時(大井町)【神奈川】TRATTORIA TEXAS(武蔵小杉)【京都】スエヒロガリ(京都市)

Go To延長に1兆311億円 第3次補正予算で支援 国土交通省

2020年12月16日(水) 配信

国交省は12月15日(火)、第3次補正予算でGo Toトラベル事業に1兆311億円を計上した。

 国土交通省は12月15日(火)、臨時閣議で決定した2020年度第3次補正予算の概要を発表した。総額3兆2912億円のうち、観光関係では、Go Toトラベル事業に1兆311億円を計上した。感染拡大防止策の徹底、観光需要の回復が遅れている事業者や地域への配慮、平日への旅行需要の分散化策を盛り込み、制度を段階的に見直しながら事業を延長する。

 観光拠点の魅力と収益力を高めるため、短期集中で支援する「観光拠点の再生・高付加価値化推進事業」には549億7200万円。地域の縦割り打破を掲げ、地域に眠る観光資源を磨き上げる取り組みを支援する「地域の観光資源の磨き上げを通じた域内連携促進」に50億2200万円を計上する。また、訪日外国人旅行者の受入環境整備に対する緊急対策事業には49億9700万円を充てるなど、3点合わせて650億円を予算に組み込んだ。

 テレワーク拠点などの整備に対する支援には27億7100万円を充てる。

 ポストコロナに向けた経済構造の転換・好循環の実現として、国交行政手続きのオンライン化推進(10億8500万円)や、スマートシティ推進によるまちづくりのデジタル化や海外展開(10億円)にも取り組んでいく。

 地域公共交通の活性化や継続をはかるため、感染症対策のための新技術活用などを行う取り組みに対して支援(304億9700万円)を行う。

 「防災・減災、国土強靭化のための5カ年加速化対策」の初年度として、今回の補正予算では公共事業・非公共事業併せて1兆3684億円を充てた。

リョケン「ポストコロナの経営とは」、オンラインセミナー開く テーマは「高収益経営へ Chance to Change!」

2020年12月16日(水)配信

リョケンの佐野洋一社長

 リョケン(佐野洋一社長)は12月10日(木)、「令和3年 旅館の経営指針発表」のオンラインセミナーを開いた。今回は新型コロナウイルスの影響で、従来の「旅館大学セミナー」から変えて、オンラインによるウェビナー形式で開講した。旅館・ホテルの経営者や役員、幹部社員などが参加し、持続性ある「ポストコロナ時代」の旅館経営の在り方を考え、存続価値の再点検と付加価値の幅を広げるビジネスモデルを探った。

 基調講演では、「高収益経営へ Chance to Change!」と題し、リョケンの佐野社長が講演を行った。コロナ禍での経営対応や、高収益経営への戦略、旅館の経営者がやるべきことなど、ポストコロナへの転換に向けた旅館の経営指針を語った。

 まず、観光業界をとりまく動きを前提認識として確認した。コロナ禍で世界的にデジタル化が加速し、シニア世代のITリテラシーも高まりつつあるため、今後はデジタルの活用は避けて通れない必須のものと指摘。あわせて、インバウンド需要が当面期待できない現状、「国内市場の取り込みをいかにはかれるかが課題」との認識を整理した。

オンラインセミナーのようす

 佐野社長はコロナ禍で「今起きている変化を認識してそれを客観視し、今とるべき経営対応の指針に落とし込んでいくことが大切」。コロナ禍から学んだ経験と教訓を生かし、「転んでも(コロナでも)ただでは起きない経営を目指してほしい」と呼び掛けた。

 他方で、コロナ禍により経営ビジョンや独自価値、生産性向上の取り込みなどが棚上げになっていないかと投げ掛けた。人々の価値観がさまざまな面で変化し、これまでとは違う商売発想やさまざまなニュービジネスのほか、社員の危機意識の高まりで引き締まりムードが生まれている。今こそが体質転換のチャンスであると強調した。

高収益経営に向けて、あえて高料金化を提言

 このうえで、来年に向けて提唱したいテーマの「高収益経営への戦略」のうち、最大のテーマは「高付加価値戦略」であると伝えた。付加価値生産性を高めるためには、十分な粗利益率を確保することと説明。そのための戦略として、あえて「高料金化戦略」をはかることを提言した。

 宿泊業は1日の販売数(客数)に限りがあり、大規模施設でないと薄利多売が成り立ちにくいと指摘。旅館業の価格弾力性もそれほど高くないため、もっと付加価値を意識する経営をしていくべき考えを示した。

 高料金化を目指すための方策として、①品質重視経営②個客重視戦略③ターゲット転換戦略④コンセプト転換戦略――の4つの戦略方向を提言した。ただし、いずれも高料金化に結び付くか吟味して進めなければ、自己満足に終わる場合もあると注意喚起した。高収益経営に取り組むに当たり、「目指す姿からの逆算」が不可欠と示唆。全部を少しずつ良くしていく経営に戦略性はなく、目指す姿をハッキリと定めて変えていくことが大事と力を込めた。

 旅館の経営者が今やるべきことは、短期と中長期の両方の視点で経営を考えることだと語った。「短期はあくまでもオペレーション。(経営者は)大局的な指示出しだけとし、各部門の責任者に任せる体制を整えてほしい。そのうえで、中長期の『経営の骨組み』を見つめ直すこと。それはコロナが終わってからでは遅い」。

 最後に改めて、ポストコロナへの経営転換について、今まさにきっかけとすべきときではないかと呼び掛けた。「①戦略的経営に踏み切るチャンス②新しい発想を取り入れるチャンス②社員の意識と結束を生かすチャンス――。このようなチャンスを生かして、高収益経営への変革に踏み出してほしい」と締めくくった。

21年は「リ・モデル」、6つのテーマ別講演も

 「経営計画『リ・モデル』の年~『量』から『質』へ」と題したテーマ別講演も実施した。6つのテーマごとに研究員が講演を行い、具体策を提言した。

 1つ目の「経営計画『リ・モデル』の年」では、浜荻仁志常務が講演を行った。「リ・モデル」とは、今までのやりかたを改めて、収支バランスの改革を目的とする新しい事業モデルを創造するという意味と説明。経営に関わるすべての面で、「量」から「質」重視を追求していく考え方に変えようと呼び掛けた。

 環境変化による最大の変化は、旅行形態が「個人客主体(コマ化)が加速したこと」と話し、近年の個人客へのサービス対応に変化すべきと指摘。浜荻常務は「お客様のニーズは常に変化している。商品や販売の在り方も変化しなければ生き残れない。経営の本質は変わらなくても戦略、方針、商品やサービスの形態は変わり続ける。改めて実践する年に」と締めくくった。

 2つ目の「商品のリ・モデル」では、鈴木健太研究員が講演を行った。高収益戦略の追求に向けて、提供側の理由だけの価格アップはそれに見合う「品質」が伴わなければ購入してもらえない時代と指摘。これまでのサービスから単純に削るだけでは品質のダウンになる、「高く売るための工夫や仕掛けを考える」という視点で、設定や対応を考えること意識するようにと強調した。

 3つ目の「『料理のリ・モデル』のすすめ」では、長島晃本部長が講演を行った。旅館の料理について、先入観や既成概念があるのではないかと指摘。卓上料理やケータリングなどの新しい形式を提案したほか、お客の滞在シーンに合った料理を方針に立て、もう一度自館に合った料理を確立してほしいと語った。

 ほかにも「業務運営」「自力販売戦略」「組織管理のリ・モデル」の講演を行ったほか、リョケンが今年に新たな商品整備を行った旅館を事業事例として紹介した。

JTB旅ホ連、人手不足解消に向け「おてつたび」と連携 費用も一部負担

2020年12月16日(水) 配信

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 全国の旅館・ホテル約4000施設が加盟するJTB協定旅館ホテル連盟(JTB旅ホ連、大西雅之会長)は12月15日(火)、宿泊施設の短期的な人手不足を解消するため、人材マッチングサイトを運営するおてつたび(永岡里菜CEO)と連携し、雇用需要に応える取り組みを始めると発表した。宿泊施設が抱える課題を解決するとともに、働きながら地域の魅力を体験することで旅行需要を創出し、地域活性化につなげていく。

 JTB旅ホ連は、今回の連携により、繁閑の差が激しい旅館・ホテルの人材管理の課題解決に向け、多くの宿泊施設に広く周知していく。おてつたびに支払う費用の一部はJTB旅ホ連が負担し、コロナ禍で経営がひっ迫する施設も利用しやすいようサポートする。

 おてつたびは、人手不足の宿泊施設をはじめ、地域の困りごとを手伝いながら報酬を得て旅をするサービス。旅費の軽減や、さまざまな地域に足を運ぶことができるなどの特徴がある。また、地域の人と関係性ができることで仕事終了後もその地域を再訪し、関係人口創出の一助を担っている。

プライベートガイドツアー運営のotomo 神戸観光局などと連携協定締結 アフターコロナに向け地域周遊企画を

2020年12月16日(水) 配信

 全国15都道府県にてプライベートツアーサービスを運営している、otomo(平塚雄輝代表、東京都文京区)はこのほど、神戸観光局(尾山基会長、兵庫県神戸市)および、せとうち観光推進機構(真鍋精志会長、広島県広島市)、瀬戸内ブランドコーポレーション(藤田明久代表、広島県広島市)と連携協定を締結し、神戸をモデル地域としてアフターコロナに向けたプライベートガイドツアーの整備を共同で推進する。

 プライベートツアーは、現地在住のガイドを通じてその地域が持つ独自の魅力を伝えられることから、新たな旅行体験の在り方として全国各地で注目されている。とくに、新型コロナウイルス感染症の世界的な流行で、安心・安全を前提とした新たな旅行形態が求められているなか、3密を避けながら安全に旅行を楽しむことのできるプライベートツアーへの期待はより高まっていると考えられる。

 神戸においてプライベートツアーを「いつでも、どこでも、だれでも」予約・利用できるよう、本協定を通じてガイド人材の育成やツアーコンテンツの充実、予約受付態勢の強化に共同で取り組む。2021年1月には、ガイド人材の育成を目的とした「プライベートガイド講座」も神戸市内で開催する。

 本協定における取り組みは、JTBや関西エアポート、関西エアポート神戸、インバウンドガイド協会が協力事業者として参画し、国際観光都市・神戸における旅行者の体験向上と観光振興を通じた地域経済の活性化を目指すとともに、モデル地域となる神戸の取り組みを、他地域にも順次展開していく。

「井川今日子のおもてなし接客術(46)」 Go To限定客へのおもてなし

2020年12月16日(水) 配信

 Go Toトラベルのキャンペーン期間中、普段と異なる“旅行予算帯”のお客様も多く来られます。

 そのお客様をタイプ別に分類すると、①普段通りの予算帯の宿に宿泊する②普段よりも高い予算帯の宿に宿泊する③普段よりも安い予算帯の宿に宿泊する――の3つに分類されます。

 トラブルが起こりやすいのは、②と③のお客様であるのは言うまでもありません。

 普段と違うお客様が来られるということは、それだけ新規客の割合が高くなることを意味します。

 新規客が多い=相手の“常識(認識)”が分からないこともあるので、トラブルも少なくありません。

 ②のお客様を受け入れたケースでは、あるOTA(オンライン旅行会社)の1泊朝食付きのプランで滞在したお客様から、クチコミ評価1点を付けられたそうです。その投稿内容は「夕食が付いていると思った。夕食が付いていない旅館などあるのだろうか」というものでした。

 お客様の考える“予算帯”や、そのお客様の“常識”からすると、「旅館である以上、この金額なら夕食が付く」ということなのでしょう。

 ③のお客様を受け入れたケースでは、新規で連泊のお客様に、2日目に部屋の掃除などで、入って良いかどうかを確認しようと「お部屋はいかがなさいますか」と聞いたところ、「そのままにしておいてください」と言われたため、お客様が外出先から戻られてからリネン類の交換やアメニティ類を届けに、お部屋に伺おうと考えていたそうです。

 ところが、お客様が外出から戻って来て、お部屋に入るなり「ゴミの回収やタオルの交換など、何もしていないのはどういうことだ」と物凄い剣幕で怒られたそうです。

 恐らく、このお客様は普段からこの旅館と同等クラス、あるいはそれ以上の国内外のホテルに泊まり歩いておられており、ホテルタイプの“常識”を持ったまま、旅館に泊られたのだと思います。

 このように、国内の観光需要喚起のために、政府や自治体から多額の旅行補助があったり、海外旅行という旅行スタイルが制限されている間は、普段とは異なる“予算帯”で、異なる“常識(認識)”を持つお客様も多くなります。今の時期に接客・おもてなしをするうえでは、このことに留意しなければなりません。

 Go To期間中は、これまで接点を持てなかったたくさんのお客様と出会う絶好のチャンスでもあります。

 平常時にお越しになるお客様(リピーター)と比べて、利用頻度は少ないかも知れませんが、目の前のお客様の“常識(認識)”を理解・共有するように努めていただき、再度足を運びたくなる宿として印象に残せるよう、普段以上のきめ細やかなおもてなしを、提供していきたいものです。