日観振、小学生に出前教育 観光産業の認識向上はかる

2023年1月20日(金) 配信

市内の3つの小学校から約40人が参加した

 日本観光振興協会(山西健一郎会長)と新潟県妙高市(城戸陽二市長)は
昨年12月9日、同市内で小学校5~6年生を対象に「観光教育出前授業」を開催した。旅の意義や楽しさを伝えながら、観光産業による経済波及効果を通じて、観光産業の認識度向上をはかる。

 出前授業は2019年3月に、台東区立浅草中学校(東京都)と同年9月に、秩父市立吉田小学校(埼玉県)で実施している。今回はコロナ禍を経て3年ぶりに開催した。

 当日は、市内にある3つの小学校の児童40人が参加。講師は東京成徳大学の寺本潔特任教授が務めた。具体的には、同協会が発行した観光副読本を活用しながら、市内にある施設とイベント、歴史、生活文化、食べ物、自然のなかで、自慢できるものなどをグループで話し合い、発表した。

寺本潔特任教授

 ポジショニングマップのワークでは、観光地に訪れる客層をファミリーと女子大生3人組、熟年夫婦、ハネムーナーの4つに分け、それぞれの観光の目的や消費単価について議論した。

 また授業後には、先生や妙高市観光商工課、教育委員会、新潟県観光協会、魚沼市観光協会、日本旅行新潟企画、寺本特任教授などを交えてた意見交換会を行った。

 寺本特任教授は、探求の学びを促す観光教育の魅力や妙高市の次世代に培いたい観光の学びについて説明。出席者は「妙高市の学校教育の重点事項要素を、観光教育で育むことができると感じた」や「校内の教員にも紹介し、このような時間を取り入れていきたい」などの意見を交わした。

ノースレインボーエクスプレス、北海道の最終運行を貸切で(クラブツーリズム)

2023年1月20日(金)配信

ノースレインボーエクスプレスで道内のさまざまな景色へご案内(提供JR北海道/※写真中央撮影者:橋場仁泰様)

 クラブツーリズム(酒井博社長、東京都新宿区)はこのほど、東京発の「最終運行期間を貸切!『ノースレインボーエクスプレス』でめぐる 春爛漫の北海道4日間」ツアーを売り出した。北海道旅客鉄道(JR北海道、綿貫泰之社長、北海道札幌市)から運行終了が発表されている「ノースレインボーエクスプレス」のラストランを貸切運行する。

 「ノースレインボーエクスプレス」は、1992年の運行開始から約30年間、北海道の大地を舞台として長きに渡り活躍してきた。大きな連続窓と天窓から北海道の雄大な景色が楽しめる、開放感あふれるリゾート列車となっている。

 その歴史に敬意と感謝を表し、クラブツーリズムだけの特別ルートで北海道内を走行する。函館から札幌にかけての海沿いの景色や、釧網線から眺める釧路湿原など、大きな窓からさまざまな北海道らしい絶景を観覧できる。

 車中では北海道ご当地弁当の昼食や、ノースレインボーの歴史や運行の裏話などのアナウンスを楽しめる。そのほか、オリジナルの硬券や記念乗車証明書のプレゼントなどの特典も付く。

 出発日は4月27日(木)。旅行代金は14万8000~16万3000円。そのほか、北海道新幹線プラン、おひとり参加限定プラン、名古屋発・関西発なども用意があるとした。

 クラブツーリズムによると「多くの人の思い出をたくさん詰め込んだ車両のフィナーレを体感できるコース内容に仕立てた」という。

22年訪日客は前年比16倍 中国との相互交流回復が待たれる(観光庁長官会見)

2023年1月20日(金) 配信 

観光庁の和田浩一長官は1月18日(水)、会見を開いた

 観光庁の和田浩一長官は1月18日(水)に開いた会見で、2022年の訪日旅行者数が、21年比約16倍となる383万1900人(19年比88.0%減)となったことを報告した。昨年12月単月は、21年同月比で約113倍となる137万人。19年12月と比べると、中国を除いて74%まで回復した。和田長官は、「水際対策の緩和や円安の効果があいまって、訪日客数と旅行消費額の両方が堅調に回復しつつある」と分析した。

 観光庁によると、コロナ前の19年には中国の訪日客数が959万人と、訪日外客数全体の3割を占めており、一番の市場だった。しかし、昨年22年の中国人観光客は19万人に留まり、全体の5%に満たなかった。

 和田長官は、「重要な市場である中国に対して、感染状況の改善が見られ、双方向の相互交流が円滑に行われるようになることを望んでいる」とし、円滑な交流が再開した際のプロモーションの内容も含め、日本政府観光局(JNTO)と検討を進めていく方針だ。

 また、日本ASEAN友好協力50周年を迎えることに触れた。双方の人的交流の拡大に尽力し、19年には日本から570万人を送客し、ASEANからは390万人が日本に訪れ、双方で約1000万人近くまで拡大していたことを報告。

 新型コロナの影響で大きく減少した交流人口だが、「22年からは日本を含む各国で水際措置の緩和などが進み、人的交流の回復が進んできている。観光交流の回復と拡大のほかに、世界各国が抱えている持続可能な観光の実現に向けた協力体制の構築など、さまざまな面で協力関係を築くことを望む」(和田長官)。

 また、「50周年という記念すべき年であるので、この機会に意見交換を通じて協力関係を一層強化し、双方の発展につなげていきたい」考え。

 

新観光立国基本計画、3つの戦略盛り込む

 23年度の観光政策については、国内外の観光需要の本格的な回復拡大をはかっていくことが重要という認識のもと、旅行者の意識変化やこれまでの課題を踏まえて、3つの戦略を総合的かつ強力に推進していきたい方針を示した。

 「持続可能な観光地域づくり」、「インバウンド回復戦略」、「国内交流拡大戦略」──の3つの戦略を、今年3月までに策定する新たな観光立国推進基本計画に盛り込みながら、「日本の観光の持続可能な形での復活に向けてしっかりと取り組む」(和田長官)と話した。

 

全国旅行支援再開 観光地へにぎわい戻る

 昨年10月11日(火)から開始した全国旅行支援について、和田長官は、「非常に多くの方々に利用いただいて、昨年10~11月の日本人の国内宿泊者数は、コロナ前を上回るカタチとなった。訪日旅行者数も、12月にはコロナ前の半分程度に回復してきていることもあいまって、観光交通分野の需要が徐々に回復し、全国の観光地ににぎわいが戻ってきている」との認識を示した。

 各都道府県の予算がなくなり次第、事業は終了する。少なくとも3月までは実施する見込み。

 全国旅行支援後の需要喚起策については、「業界のなかには細く長く支援を続けてほしいという声があるが、一方で、今後は国の需要喚起策に頼らずに自立的な経営を目指すべきだという声もあると承知している。したがって、今後の需要喚起策については業界とよく相談しながら、需要動向や感染状況を踏まえて、適切に対応する」方針を示した。

ジョルダン、河津桜パーク&トレインフリーきっぷ 乗換案内アプリで販売開始

2023年1月20日(金)配信

「河津桜パーク&トレインフリーきっぷ」リーフレット

 ジョルダン(佐藤俊和社長、東京都新宿区)は1月17日(火)、伊豆急行(小林秀樹社長、静岡県伊東市)が企画・運行する「河津桜パーク&トレインフリーきっぷ」をモバイルチケットで売り出した。ジョルダンが運営するアプリ「乗換案内」から購入できる。

 「河津桜パーク&トレインフリーきっぷ」は、伊豆急行線の伊豆高原駅前駐車場の利用者限定で、伊豆高原~伊豆急下田駅の1日フリー乗車券をセットにしたお得なフリーパス。同チケットの販売開始により、河津町内の交通混雑渋滞を避けてスムーズに河津駅に向かうことができ、交通渋滞や駐車場探しを気にせず満喫できる。また、地域の足である伊豆急行線の利用促進をはかる。

 同サービスの提供により、キャッシュレスでチケットを購入できるようになり、購入時の窓口探しや時間に捉われず、スマートフォン1つで、移動がより便利になる。

 販売期間は3月10日(金)まで、利用期間は2月1日(水)~3月10日(金)まで。価格は税込で大人1500円、子供750円で、駐車場代金の普通車1台1日500円が別途必要。

〈旬刊旅行新聞1月11・21日合併号コラム〉浅草雷門―― 東京は“強烈な1枚の写真”を獲得

2023年1月20日(金) 配信

 2023年がスタートして、もう3週間近くが経った。日本のお正月は、ゆっくりとした時間のなかで、それっぽいテレビ番組を見ながらお節料理やお雑煮を食べ、初詣や初売りなどに出掛けたりするのが一般的なのだろう。だが、最近は正月の過ごし方も変わってきているのではないかと感じている。

 

 とくに若い世代ではテレビを一日中見ながら、お酒を飲んだり、ムダに食べたり、自分のペースではない、型にはまった時間を過ごすことに耐えられない人も多いのではないか。長年そのような過ごし方に慣れ親しんできた私も「だらだらし過ぎている」と、若干の違和感を覚えるようになってきた。新たな年に向けて「何かをしよう」と決意し、とりあえず親しみのある川沿いの散歩道を歩いて、新年の本格的なスタートに備えた。

 

 

 1月13日には、旅行新聞新社主催「第48回プロが選ぶ日本の旅館・ホテル100選」をはじめ、各表彰式を東京・京王プラザホテルで開催した。全国の旅館・ホテルや、土産物施設、バス会社、水上観光船事業者などの代表者にご出席いただいた。

 

 観光業界もコロナ禍によって大きく変わってしまった。3年の空白期間にあいさつもできないまま、去られた方もいる一方で、新春の「晴れ舞台」で久しぶりに多くの方にお会いできた。表情も昨年や一昨年と比較して、格段に明るく見えた。

 

 さまざまな賀詞交歓会や新年会も今年は開催されており、ようやく大きな車輪が動き始めたことを感じる。新聞社にとって一番変化を実感するのは、ニュースリリースの配信や、記者会見の案内、取材依頼、そして来社される方々の激増である。昨年末からの大きな傾向であるが、量と質ともにコロナ禍前とほとんど変わらないレベルにまで回復している。

 

 

 弊社も昨年末に、忘年会を兼ねて屋形船で美味しい食事とお酒をいただきながら、浅草から東京レインボーブリッジをくぐる隅田川クルーズを楽しんだ。

 

 穏やかな青空に包まれた冬の午後で、デッキに出て東京湾から吹く川風を全身に浴び、たくさんのカモメが寄り付くのをのんびりと眺めていると、東京の別の顔が見えてきた。

 

 下船したあと、浅草の雷門から浅草寺まで続く仲見世通りを久しぶりに歩いた。観光客も多かった。一時期は閑散としていた浅草だったが、活気あふれた風景が似合う。

 

 

 インバウンドの完全復活にはまだほど遠いが、浅草は外国人観光客にとって東京観光の象徴的なスポットとなっている。

 

 写真1枚でそれとわかる都市は「世界的な観光地」としての地位を確立している。

 

 例えば、エジプト・カイロはピラミッド、フランス・パリは凱旋門やエッフェル塔、英国・ロンドンはビッグ・ベンや赤い2階建てロンドンバス、米国・ニューヨークはタイムズ・スクエアや自由の女神、イエローキャブが映っていれば、一目で世界中の人々に認識される。

 

 東京は、世界中の人々に1枚の写真で認識される強い絵面がなかった。東京タワーやスカイツリーではない。渋谷や秋葉原でもない。やはり日本らしさを表す浅草の雷門と仲見世通り、そして行き交う人力車が映るシーンだろう。

 

 ようやく東京は文化的な背景を有する“強烈な1枚の写真”を獲得した。期待は大きくなる一方だ。

(編集長・増田 剛)

【特集No.626】第48回「100選」表彰式開く、観光回復の兆しに期待高まる

2023年1月20日(金) 配信

 旅行新聞新社が主催する「第48回プロが選ぶ日本のホテル・旅館100選」「第43回プロが選ぶ観光・食事、土産物施設100選」「第32回プロが選ぶ優良観光バス30選」「第6回プロが選ぶ水上観光船30選」に加え、「日本の小宿」「もてなしの達人」「優秀バスガイド」「優秀バスドライバー」の表彰式が1月13日、東京・新宿の京王プラザホテルで開かれた。表彰式には、約230人が出席した。

今年は大きく飛躍する年に

 表彰式の冒頭、旅行新聞新社の石井貞德社長は昨年の表彰式再開に引き続き、今回も無事開催できたことに、後援者および出席者に感謝の意を表した。「コロナ禍も4年目に突入し、観光業界は大変な痛手を被っている状況だが、これに負けるわけにはいかない」と述べ、「今年1年がより良い年になるように、皆様と協力していきたい」と強調した。

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 100選は、国土交通省と観光庁、全国旅行業協会(ANTA)、日本旅行業協会(JATA)後援のもと、観光業界で最も歴史あるイベントの1つとして定着した。
 後援団体を代表して、ANTAの駒井輝男副会長は「全国旅行支援などの影響で旅行客が少しずつ戻ってきているが、団体旅行に関してはコロナ前のような状況に回復していなかった」と昨年を振り返った。昨年11月にようやく貸切バスのガイドラインが大幅に緩和されたと伝え、「団体旅行も少しずつ増えてきている。お客様を迎える宿泊業の皆様にも、大きな期待をしてお待ちいただければ」と力を込めた。

 東京都旅行業協会の村山吉三郎会長は来賓を代表して、「インバウンド客は円安の影響もあり、諸外国から徐々に増えつつあると感じられる」と期待感を語った。一方で感染者数が減らない限り、旅行業や宿泊業が元のかたちに戻るのは難しい点を再確認。今後は「感染者数が徐々に減り、日本経済、観光業界も回復していくと期待している」と述べた。

 選考審査委員を代表して、エム・ツー代表の三堀裕雄氏は各部門を講評した。今回は「加賀屋(石川県・和倉温泉)が2年ぶりの総合1位に選ばれ、9位の結びの宿 愛隣館(岩手県・新鉛温泉)は初めてトップ10入り。このほか、総合100選入りを目指していた施設が新たに入選・再入選を果たした」と総括した。

総合と各部門1位に壇上で表彰状を授与

 日本のホテル・旅館100選の表彰では、2年ぶりに総合1位の加賀屋(石川県・和倉温泉)をはじめ、各部門代表者に壇上で表彰状が授与された。料理部門はいぶすき秀水園(鹿児島県・指宿温泉)、施設部門は八幡屋(福島県・母畑温泉)、もてなし部門と企画部門は加賀屋がそれぞれ1位に選出された。

 観光・食事、土産物施設100選は、観光・食事部門で浅間酒造観光センター(群馬県・長野原)、土産物部門で御菓子御殿(沖縄県・読谷)がともに4年連続で1位に輝いた。

 優良観光バス30選は、はとバス(東京都大田区)が2年連続の1位を獲得した。また、水上観光船30選は、最上峡芭蕉ライン観光(山形県・戸沢村)が2年連続の1位に選ばれた。

 選考審査委員特別賞「日本の小宿」は、小規模な宿を毎年10軒推薦している。対象を客室数25室以下の宿に絞り、1990(平成2)年から始め、今回で34回目。今回は北海道地方から1軒、東北地方から2軒、関東地方から1軒、中部地方から2軒、近畿地方から2軒、九州・沖縄地方から2軒が選ばれた。

【全文は、本紙1892号または1月25日(木)以降日経テレコン21でお読みいただけます。】

日本バス協会、決起大会の要望達成 業界として大きな第一歩

2023年1月19日(木)配信

日本バス協会の清水一郎会長

 日本バス協会(清水一郎会長)は1月17日(火)、東京都千代田区の経団連会館で通常理事会を開き、コロナ禍の3年間で追い打ちを掛けられたバス業界の危機感を訴えた。清水会長は、昨年11月に自由民主党本部で同協会が初めて開催した「バス危機突破 総決起大会」が危機感の表れであると強調した。

 決起大会で決議された固定資産税の減免、全国旅行支援の延長、EVバス補助の大幅増額に関しては、与党に対する要請を行った結果、どれも認められたと報告。清水会長は「我われにとって本当に勇気づけられるとともに、バス業界としても大きな第一歩になった。引き続き働き掛けていく必要がある」と語った。

 乗合バス事業については、地域からの交付税措置では追い付かず、赤字が続く厳しい状況にあると言及。「交付税措置をバス業界に届くようにしなければならない」と述べたうえで、「もっと支援の厚みを厚くしてもらわないとならない。今年はこれを大きなテーマとしてやっていきたい」と力を込めた。

 貸切バス事業については、約3年間の人流抑制よる旅行控えの影響が大きく、厳しい状況が続いている。1月10日(火)に再開した全国旅行支援に対して、人流抑制期間と同様に「最低3年間は続けてほしい。全国旅行支援という国のお墨付きが不可欠であり、国が団体旅行に行って良いという旗を振り続けていてほしいと言い続けていく」考えを示した。

 続けて、EV(電気自動車)バスについては、要望活動により補助金が増額されたことで、2023年度の導入支援予算として約100億円、約500台分を見込んでいる。清水会長は「23年をEVバス元年」とし、EVバスの普及に力を入れる。加えて、「30年にEVバスの導入数1万台」を目指すと明かした。

 また、人手不足が非常に深刻な課題と評した。「根本的な解決には賃金を上げるために、運賃を上げるしかない。国の緩和により運賃改定が順次進んでいるが、運賃を上げて賃金アップに反映できれば人が集まり、そしてバス産業が夢のある魅力的なものであるという循環が不可欠」。それに加えて、外国人労働者がバスの運転者として仕事ができるように、国や国会議員含めて理解が得られるように働き掛け、人材確保の可能性を広げていきたいとした。

 バスの安全性については、7年前の軽井沢スキーバス事故に触れ、悪質事業者の退出は国でしかできないと主張した。国には「運行管理が不十分な悪質事業者を退出させるため、事故が繰り返さないように制度、仕組みづくりが喫緊に必要。踏み込んだ措置を徹底的にやってもらいたい」と強く求めた。

 なお、9月20日(水)の「バスの日」で、日本初の路線バスが走ってから120年を迎える。これを踏まえて、清水会長は「協会として本の出版やWebなど、さまざまな前向きな発信を考えている」と準備を進めている。

KKdayグループ、22年売上は14年の創業以来最高に 各国受入再開や韓国などの成長で

2023年1月19日(木) 配信

22年12月における日本へのインバウンド事業は、コロナ禍前の2019年比で20%増となった
 アジアでオプショナルツアー予約サイトを運営するKKdayグループ(陳明明CEO、台湾・台北市)は1月18日(水)、2022年のグループにおける連結売上高が14年の創業以来最高となったことを発表した。日本と台湾、香港が海外からの観光客の受け入れを再開したことのほか、韓国やシンガポール、東南アジアでの成長が主な要因。

 22年12月における日本へのインバウンド事業は、コロナ禍前の2019年比で20%増えた。23年の旧正月期間への予約では、100%以上増加した。国別では東アジアからの旅行者が多く、このうち韓国からの旅行客は大幅に増加してるという。

 日本からのアウトバウンドについては、年末年始期間における旅行者数が前年比で20倍以上となった。22年10月以降は渡航が容易な国・地域として、東南アジアと東アジアへの旅行客が増加したという。

 また、同グループはコロナ禍で国内旅行事業も強化。事業を展開する日本や台湾、韓国、シンガポールなどの各国におけるアウトバウンドと国内の商品数の割合は、50%ずつとなった。これによって獲得した新規ユーザーが、水際対策の緩和後に海外商品を購入するなどさらなる旅行申込につながった。

JNTOとタイ観光庁 観光往来促進へ趣意書を締結

2023年1月19日(木) 配信 

左からラービセートパン特命全権大使、スパソーン総裁、清野理事長、星野国際観光部長

 日本政府観光局(JNTO、清野智理事長)とタイ国政府観光庁(ユッタサック・スパソーン総裁)は1月18日(木)、両国間の相互往来の発展に向けた連携を強化する目的で、趣意書(LOI)の締結を行った。調印式では、清野理事長とスパソーン総裁が趣意書に署名。駐日タイ王国特命全権大使のシントン・ラービセートパン氏と、観光庁国際観光部長の星野光明氏が立会人として臨席した。

 調印後、清野理事長は「日本・タイ間の相互往来のさらなる強化に向け、双方の情報発信と今後の連携強化を期待する」と話した。また、今後の課題として、「東京や大阪、京都などの主要な都市以外にも興味を持って訪れていただくために、中央航空路線を強化することが重要。タイの航空会社や日本の地方空港との連携が必要だ」と述べた。

趣意書を締結し、相互往来回復に向けた連携を誓った

 スパソーン総裁は、「初めて国家レベルでの協力関係を約束でき、大変喜ばしい。より包括的で具体的な相互交流の実現に向けた大きな一歩」とコメントした。

 2021年11月には外国人観光客の本格的な受入再開を行っていたタイの状況については、「タイ国政府観光庁では、今年の目標値として訪タイ客数を2000万人としている。このうち、日本からは約100万人を迎えたい」と意気込んだ。

 このほか、5つのFとして、食(Food)、映像(Film)、ファブリックやデザイン(Fashion)、ムエタイ(Fighting)、祭(Festival)──を掲げ、世界にタイの魅力を発信していく柱に据える。

 来賓として出席した日本旅行業協会(JATA)理事長の志村格氏は、「日本・タイの相互交流の早期復活を大いに期待している。アウトバウンドを推進する立場として、タイ国政府観光庁と連携を密にし、食・アクティビティ・自然などの魅力的な観光コンテンツを発信していきたい」と話した。日本のアウトバウンドの状況について、円安や燃油高、コロナ感染への不安などのハードルがあるなかで、「海外旅行への根強い欲求は確実にあるので、今回のイベントなどを通じ、消費者マインドの改善を行っていく」と述べた。

観光立国推進協議会が第9回会合開く 「年頭の勢い付け」へ、業界の代表が決意表明

2023年1月18日(水) 配信

約100人が出席した

 観光立国推進協議会(委員長=山西健一郎・日本観光振興協会会長)は1月17日(火)、東京都内で第9回観光立国推進協議会を開いた。観光庁や観光団体、関連企業の協議会委員ら約100人が参加した。

 山西委員長は冒頭、今後の活動方針として、コロナ禍からの再起と大阪万博に向けた誘客強化を示した。今回については「各委員の業界における現状や決意表明で年頭の勢い付けをはかりたい」とした。

山西健一郎委員長

 来賓の観光庁の和田浩一長官は、国内と訪日旅行の需要が回復傾向にあることに触れ、「観光立国の復活に向けて、業界と力を合わせて施策立案に取り組んでいく」と語った。

和田浩一観光庁長官

 そのうえで、観光庁の基本的な方向性として、全国旅行支援による需要拡大への取り組みを報告。高付加価値化と生産性向上による収益増加に向けた支援も実施していることを伝え、「人手不足の課題が顕在化するなか、従業員の待遇を改善ほしい」と求めた。

 また、サスティナブルに観光したい世界の旅行者が増えたことから、脱炭素型の観光と、地域社会の持続可能性を追求していく方針を示した。そのうえで、「各地で成功モデルを確立し、日本が持続可能な先進地になれるようする」とした。

 観光業界の各社・団体からの発言では、はじめに旅行業界を代表して日本旅行業協会(JATA)会長を務める髙橋広行副委員長が登壇。国内旅行が2019年比で8割程度まで回復したことについて、「全国旅行支援などの施策による効果。支援が終了すると回復の流れが途絶えるため、できる限り長期化してほしい」と要望した。

髙橋広行副委員長

 訪日旅行は19年比で約4割まで戻ったことを説明。日本入国時のワクチン3回接種、もしくは72時間前の陰性の証明書の取得が足枷となっていることから、「グローバルスタンダードに合わせて世界と共同歩調を取るべき」と述べ、「新型コロナウイルスの2類相当から5類への見直しを一刻も早く実現してほしい」と求めた。

 宿泊業界を代表して日本旅館協会会長の大西雅之副委員長は、国内や訪日旅行需要が増加したが、「協会会員のうち63%が赤字となる見込みで、コロナ禍で負った債務を返済できない」と訴えた。さらに、「会員の約半数はコロナ禍前の収益を得ても、返済期間が80年以上となる。営業継続が懸念される事態となっている」と危機感を示した。

大西雅之副委員長

 このため、「全国旅行支援は訪日外国人観光客が一定度戻るまで、継続してほしい」と要望した。

 人手不足については、会員の宿では平均約11%のスタッフが離職したことを報告。この解決策として、宿泊施設と外国人人材とのマッチング会を実施したが、「状況は厳しいまま。現実に即した法制度を求めたい」と語った。

 運輸業界の立場から、はとバス社長の塩見清仁委員は「コロナ禍で我われは大きな傷を負った。このため、全国旅行支援は長く実施してほしい」とした。また、「住所や証明書の確認のほか、クーポンの確認に必要なアプリという概念を知らない客層も多いため、通常よりも案内に時間が掛かっている」として制度の改善を要求した。

塩見清仁委員

 また、旅行はコロナ禍で不要不急や敬遠されてきたことから、「我われ業界が国民のマインドの変換に向けた努力が欠かせない」と語った。

新春交流会に400人 斉藤国交相や菅前首相も出席

 同協議会終了後には、日本観光振興協会が幹事を務める観光関係団体懇談会が、2023年観光関係者新春交流会を開いた。約400人が出席。来賓として国会議員約30人も参加した。

 日本観光振興協会の山西会長は、全国旅行支援などの支援施策について「国会議員の先生方のお陰。観光立国の復活に向けて一致団結して取り組んでいきたい」と話した。

 来賓のあいさつに立った斉藤鉄夫国土交通大臣は、国内と訪日旅行者数が増加したことに触れ、「この機を逃さず国交省は、観光業が日本を支える屋台骨の産業になるように力を合わせていく」と述べた。

斉藤鉄夫国土交通大臣

 菅義偉前首相は「日本には世界に誇る自然や文化、食が備わっている。観光は地方創生の切り札であるため、今年は復活できることを祈念している」と語った。

菅義偉官前首相

 自由民主党観光立国調査会の二階俊博最高顧問は「観光立国に向けて力を貸してほしい。私も一層奮起して観光振興に取り組む。地域の素晴らしい場所を紹介することを旅行業界の使命として背負ってほしい」と求めた。

二階俊博最高顧問