tripla、コーポレートロゴ刷新 海外展開を視野に入れて

2023年5月1日(月) 配信

「鶴」をイメージしたロゴに刷新した

 宿泊施設向けITソリューションを展開するtripla(トリプラ、高橋和久CEO)は5月1日(月)、事業拡大に合わせてブランドイメージの発信を強化すべく、コーポレートロゴを刷新した。同日以降、順次使用を開始する。

 従来のロゴは、創業初期の中心サービスであったAIチャットボット(tripla Bot)を施したものをシンボルマークとしていた。そこで、常に時代の変化に順応してサービスを重層化している現状と、海外展開を目指した今後の事業拡大を視野に入れ、今回のデザイン刷新に至った。

 新しいロゴのデザインは、「自由に羽ばたく鳥のようにスムーズな旅を支援し、宿泊業界において日本を代表する会社を目指す」という思いを込め、「鶴」をイメージしていたという。従来のロゴのカラーであるピンクは、トリプラのカラーとして既に認知している宿泊施設の人も多いため、そのまま継承された。

 同社によると、今回のコーポレートロゴの刷新に伴い、今後一層の宿泊業界の課題を解決するサービスの拡張と日本国内外へのサービス展開を進めていくとした。

「100年フード」普及へ サミット開き交流深める (文化庁)

2023年5月1日(月) 配信 

丁野朗氏

 文化庁はこのほど、東京都内で100年フードサミットを開いた。会場では100年フードの認定を受けた団体の代表者らがそれぞれの郷土料理の魅力、歴史、普及と保存に向けた取り組みなどを紹介。今後の連携に向け、交流を深めた。

 文化庁は日本の多様な食文化の継承や振興への機運を醸成するため、地域で世代を超えて受け継がれてきた食文化を100年フードと名付け、継承する取り組みを推進している。

 100年フード有識者委員会の座長で、日本観光振興協会総合研究所顧問の丁野朗氏は、「食の裏側にある物語が分かるとより面白くなる。認定された100年フードに関しては、色々なカタチでネットワークを構築していくことが大切になる」と今後の展開への考えを示した。

 当日は、丁野氏がファシリテーターを務める2つのパネルディスカッションが行われた。

 1つ目のパネルディスカッションでは、2022年度の有識者特別賞を受賞した山形県・日本一の芋煮会フェスティバル協議会の大場康平氏と、愛知県・設楽町観光協会の依田住久氏が登壇し、取り組みを説明した。

 大場氏は山形県の郷土料理である山形芋煮の特徴や芋煮会フェスティバルについて説明。依田氏は、設楽町が展開する五平餅プロモーションについて紹介した。

 2つ目のパネルディスカッションでは、100年フードサポーター企業・高校の先進事例が紹介された。登壇者は、津島六宝保存協会の田村寿一事務局長と同志社大学経済学部の太下義之教授、安来市観光振興課の安部航氏、島根県立情報科学高等学校の生徒、沖縄県・本部町観光協会の當山清博会長。情報科学高校の生徒は、地元で長年愛されている「清水羊羹」の魅力を発信するリーフレットを作成したことを報告した。

全国旅行支援、5月8日(月)から接種証明や陰性証明が確認不要に コロナ5類移行を受け(観光庁)

2023年5月1日(月) 配信 

5月8日(月)、全国旅行支援の利用条件が変更される

 政府は5月8日(月)から、全国旅行支援の利用条件を変更する。これまで新型コロナワクチンの接種歴や、陰性の検査結果を利用条件としていたところ、同日確認不要とすることを決めた。なお、支援利用には引き続き本人確認が必要となる。

 新型コロナは同日、2類感染症から5類相当へ引き下げられる。これに伴い、「新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針」が廃止されることとなった。

 また、コロナ禍で旅行をするときに基本的な感染対策の呼び掛けを行ってきた「新しい旅のエチケット」についても廃止される。以降は、個人・事業者が自主的な感染対策に取り組んでもらうこととした。

 観光庁ホームページでは、政府が発信する「基本的な感染対策の考え方」などの感染対策の情報提供を行っていく。

「観光人文学への遡航(34)」 秘密曼荼羅十住心論⑤絶対肯定の世界

2023年5月1日(月) 配信

 小乗仏教と比して大乗仏教の本質を表しているのが「空」の概念である。世の中はすべて空であるからこそ、所有欲も当然なくなるし、従って区別も差別も当然ない。金も地位もすべて実体はないのだから、羨むことも妬むこともない。

 

 ただ、空こそがすべてと感じてしまうと、虚空という言葉があるように虚無的になってしまう。第7住心の域に達した人は、空を理解すると同時に、いくら頑張っても、情熱的に生きても何も変わらないと冷めてしまうのである。

 

 大学教員にも多いタイプだが、メディアのコメンテーターのなかにも、世の中を冷めて見ることに格好良さを感じている人が目につく。そういう冷めた態度に知性を求めている需要があるから、そういう人たちがいかにも自分は世の中を俯瞰しているかの如く振る舞っているけれども、これは虚無主義である。本来の空はそのような悲観的、厭世的なものではなく、コヘレトの言葉を解説した小友牧師の言葉を借りると、「束の間」。人生は短いが、だからこそ、日常の小さな出来事さえもすべて生きる価値・意味があるのだと、コヘレトは逆説的に説いている。

 

 先日亡くなった音楽家の坂本龍一氏の愛した「芸術は長く、人生は短し」という言葉には、悲観的、厭世的な香りはまったく感じない。人生への大いなる讃歌を感じる。だからこそ、空は、決して虚しくはなく、束の間なのである。

 

 その境地を表しているのが、第8住心の「一道無為心」である。空は絶対否定ではなく、むしろ絶対肯定である。「一道」とは唯一絶対である仏の教えを指す。「無為」とは作為的なものがないということだ。空は清浄な世界だからこそ、作為的なものが一切ないという境地である。この世界を一つの大きな乗り物に例えて、その乗り物は仏の加護のもと、乗客皆が救われている状態を表している。すなわち、この住心は、すべてに仏性が宿されていることを悟る段階であり、宗派としては天台宗に相当する。

 

 しかし、ただ本性、すなわち生まれながらに持っている極めて清浄な世界が究極なのではない。現状にこそ究極の世界があると考えるのが、第9住心の「極無自性心」である。これが華厳宗の立場である。華厳宗といえば、奈良の大仏が象徴的である。奈良の大仏は、盧舎那・毘盧遮那と呼ばれ、これはサンスクリット語のヴァイローチャナの音訳であり、光明があまねく照らすという意味である。中国洛陽の龍門石窟にある大盧舎那仏を手本に作られたと言われている。

 

 華厳宗では、「初発心時、便成正覚」という言葉があるように、初めて発心したときにはもう仏の世界に入っているという境地である。涅槃の境地に至るには気の長くなるような修行の期間が必要といわれているけれど、華厳宗では、発心こそが重要なのだと説いているのである。

 

島川 崇 氏

神奈川大学国際日本学部・教授 島川 崇 氏

1970年愛媛県松山市生まれ。国際基督教大学卒。日本航空株式会社、財団法人松下政経塾、ロンドンメトロポリタン大学院MBA(Tourism & Hospitality)修了。韓国観光公社ソウル本社日本部客員研究員、株式会社日本総合研究所、東北福祉大学総合マネジメント学部、東洋大学国際観光学部国際観光学科長・教授を経て、神奈川大学国際日本学部教授。教員の傍ら、PHP総合研究所リサーチフェロー、藤沢市観光アドバイザー等を歴任。東京工業大学大学院情報理工学研究科博士後期課程満期退学。

JR九州SL人吉 ラストシーズン運行開始 来年3月に引退

2023年5月1日(月)配信

SL人吉

 来年3月に引退し今年度がラストシーズンとなる九州旅客鉄道(JR九州)の観光列車「SL人吉」の運行が4月8日、鹿児島本線の熊本(熊本県)―鳥栖(佐賀県)駅間で始まった。

 6月までの毎週土・日曜日と5月の大型連休期間中、同区間を1日1往復する。7月以降の運行スケジュールは改めて発表される。

 SL人吉は肥薩線の熊本―人吉間で2009年に運行が始まった。客車を牽引する蒸気機関車は1922年に製造され、現在、営業運行しているものとしては国内最古だ。

 同社ではラストシーズンを盛り上げようと、「SL人吉」の絵を8月31日まで募集し、JR九州の主な駅に掲出する。写真共有サービス「インスタグラム」上で、投稿写真をもとにした「卒業アルバム」も制作していく。

 ラストシーズン限定で、特別にデザインした記念乗車証を車内で配布する。上りと下り用の2種類を用意。車内ではラストイヤーロゴキーホルダーなども販売する。

 

三重交通グループ協定旅館連盟 加藤、西山会長が再選 ブランド統合後初の総会開く

2023年5月1日(月)配信

加藤昌利会長

 三重交通グループ(名阪近鉄旅行・三交旅行)協定旅館連盟と協定観光施設連盟の2023年度通常総会がこのほど、愛知県名古屋市内でそれぞれ行われた。名阪近鉄旅行の「カッコーツアー」と三重交通の「三交パルック」のバスツアーブランドが20年1月に統合し、「カッコーパルック」として誕生した経緯から、協定連盟の名称も変更になった。以来、コロナ禍で総会は書面議決を行ってきたが、名称変更後初のリアル開催となった。

【土橋 孝秀】

 協定旅館連盟(会長=加藤昌利・稲取銀水荘会長、175会員)の総会は4月7日に行われた。任期満了に伴う役員改選で、加藤会長が再選した。

 加藤会長は「本日は58軒の会員施設に出席していただいた。役員も含めると70軒。非常に大きな総会になった」と謝意を示したうえで、「マスク着用が緩和され、5月には5類への移行が控える。その先で感染者が増えるという局面があるかもしれないが、右往左往することなく状況を見極め、商売に正面から取り組んでいくことが重要だ。会員の皆様と三交グループ様とともに観光を押し上げていきたい」と述べた。

 名阪近鉄旅行の田端英明社長は22年度の業績概要を報告した。「移動制限の緩和や県民割支援事業、全国旅行支援などの効果で、会社全体の昨年度の旅行取扱は、前年度比155%と徐々に回復しているが、コロナ禍前の18年度比較では50%と厳しい状況が続いた。一方で、速報値ではあるが、最終損益は赤字から脱出する見込みだ」と話した。

 三重交通の乾一彦取締役は「皆様と顔を合わせる初めての総会となる。コロナ禍を経て、各地域の状況も変化していると思う。各エリアの最新情報を共有して、営業活動に結び付けていきたい」と述べた。

 議事では新年度事業計画などすべての議題を決定した。役員はすべて現状維持となった。

 また、名阪近鉄旅行の高野慎二取締役が今後導入を予定するVG(バーチャルガイド)システムの概要を説明した。会議アプリ「Zoom」を活用し、ツアーバス車内と事務所をつなぎ、車内モニターに映し出されたアバターが観光案内を行うという。

協定観光施設連盟 「力合わせ乗り切る」

西山健司会長

 協定観光施設連盟(会長=西山健司・西の屋グループ社長、195会員)の総会は4月13日に行われた。任期満了に伴う役員改選で、西山会長を再選した。

 西山会長は「明るい兆しが増えてきた。コロナ禍という長いトンネルは抜けたが、景色は変わったと感じる。原材料の高止まりなど商売するうえでの苦労はまだまだ多い。三重交通グループと力を合わせ、難局を乗り切っていきたい」と話した。

 名阪近鉄旅行の田端社長は旅館連盟総会と同様に業績報告した。

 議事ではすべての議案を決定した。役員はすべて再任となった。

 新年度は地区別の懇談会を開催し、三重交通グループとの連携強化をはかる。

MIMARU、みんなで泊まるホテル 多人数宿泊の訪日客に応える(藤岡英樹社長インタビュー)

2023年4月30日(日)配信

藤岡英樹社長

 中長期滞在に適した都市型アパートメントホテル「MIMARU」を運営するコスモスホテルマネジメント(藤岡英樹社長、東京都港区)は、東京・京都・大阪を対象エリアとして計28施設を展開している。家族や仲間と“みんなで泊まる”というコンセプトから、広い室内にキッチンを設け、とくに多人数で滞在したいインバウンド需要に応えている。藤岡社長に、新規参入が続くアパートメントホテル市場と本格化する観光客の回復について話を聞いた。

 ――アパートメントホテル「MIMARU」について教えてください。

 アパートメントホテルという名称は元々、当社が作った造語です。「MIMARU」は、アパートホテルに属するような宿泊施設ですが、海外からみるとアパートホテルは民宿のようなもの。これとは異なるホテルであると区別できるように名乗ったのが始まりです。

 インバウンド向けの多人数で中長期滞在できる「MIMARU」の客室は、定員4人以上となります。日本の都市部は定員2人の客室が多く、家族やグループ利用が多いインバウンド客は部屋を分ける必要があります。とくにお子様連れは一緒の部屋で泊まりたいと思い、みんなで一緒に泊まれるホテルをつくろうというコンセプトを基に誕生しました。

客室の一例

 ――「MIMARU」の運営を始めて、お客様の反応はどうですか。

 2018年2月、東京・上野に1号店のホテル「MIMARU東京上野NORTH」がオープンしました。事業開始にホテル業界の方たちと行ったヒアリングでニーズがないという声が多く、チャンスだと思いました。そして、開業前にOTA(オンライン旅行会社)に掲載すると、当日から予約が入り始め、オープン時には6~7割の予約が入り、それから順調に7~8割とドンドン稼働が上がっていきました。

 開業当初から9割がインバウンド客でした。今もお客様から、みんなで泊まりたいから利用したいという声や、例えば東京都内にある「MIMARU」で空いていないかとの問い合わせがとても多いです。非常にありがたい状況です。

 ――現況のインバウンドの再加熱を受けて、変化はありましたか。

 通常以上に予約が入ってきていると感じます。日本政府観光局(JNTO)が発表した今年1月の訪日外客数は約150万人。このうち、「MIMARU」には外国籍のお客様が約2万7千人、割合でいうと1.8%ですから約50人に1人が泊まられています。1月は恐らくスキーシーズンの影響を受けて、とくにオーストラリアからの割合が8.3%と、約12人に1人が利用されました。

 都市部に4人以上で泊まれる客室は多くなく、競合が少ないのも追い風となっています。

 ――運営体制に関しても他のホテルとは異なるのですか。

 色々な角度から見てかなり違うと思います。1号店がオープンしてから、従業員や施設スタッフにお客様ととにかく会話し、フレンドリーにとお願いしました。この結果、1号店を開業した翌年には、トリップアドバイザーが発表した「外国人に人気のホテル2019」のベスト20に、早くも「MIMARU」から3施設も初選出されました。フレンドリーな接客がお客様から非常に評価を受けて、この翌年にはベスト10に2施設も入りました。

 インバウンド客を受け入れるにあたり、課題になりやすい言語の問題に対する体制も特徴です。ホテルに在籍する施設スタッフの8割近くが外国籍で、基本的に日本語と英語での会話ができ、母国語のほかに複数の言語が話せる人もいます。言語の不安を解消することで、お客様からも気軽に話しかけてもらえる関係が築けるようになりました。施設スタッフからは、来日者が少ない国からのお客様が言葉が通じたことに涙を流して喜ばれたという報告もあったほどです。

 ――「MIMARU」として今後の取り組みや見通しについては。

 インバウンドが戻ってきて、コロナ禍以前を上回る驚くほどの反響をいただいています。また、昨年8つのホテルを開業しましたが、人手不足で再開できていないホテルを23年度にすべて開業させる予定です。将来的には、現在の倍くらいの客室数3千室の運営に向けた取り組みを始めていきたい考えです。

 これからもインバウンド向けの多人数で宿泊できるアパートメントホテル市場を、よりメジャーな市場にして注目されやすくし、市場の中でのナンバーワンであり続けたいなと思っています。

 ――ありがとうございました。

「ZOOM JAPON(ズーム・ジャポン)(4月号)」

2023年4月29日(土)配信

https://zoomjapon.info

特集&主な内容

 本誌4月号では、異文化の相互理解に欠かせない翻訳者の特集を企画しました。フランスと日本との文化交流で、とくに大きな役割を果たしているのが、1980年代から活動を始め、井上靖も理事を務めていた小西国際交流財団です。この財団が1993年から行っている日仏文学賞の受賞者にお話を伺いました。丸山眞男の著書の翻訳で2023年の日仏翻訳文学賞を受賞したモルヴァン・ペロンセル氏、そして、2021年に梨木香歩の「西の魔女が死んだ」の仏語訳で奨励賞を受け取ったデボラ・ピエレ=渡邉氏です。グルメページでは、日本での卵の値上げの話題に触れ、日本の食文化における卵の重要性を紹介しています。旅行ページでは、2020年夏に、伝統的な銭湯から現代的な銭湯にリニューアルされた錦糸町の黄金湯の取り組みを取り上げました。

〈フランスの様子〉フランスの花粉症は環境問題

「花粉:アレルギー対策のアイデア」4月8日の民放TF1の夜のニュースより。画面にあるのは2月の花粉注意情報

 フランスの4月といえば春のバカンスの季節、冬が終わってリフレッシュする時期だ。◆しかし、近年この時期になると話題になるのが、花粉症。最新の調査ではフランス国民の25-30%が花粉症にかかっており、その割合は確実に上昇傾向で、2050年には国民の半数が花粉症になるという試算もある。◆今年は、例外的な暖冬だったこともあり、例年よりも花粉の飛散が早く始まり、2月後半から花粉注意報、そして4月に入ってからは多くの地域で警報が発令されている。◆日本よりも北に位置するフランスで、最も飛散が広範囲なのはシラカバの花粉だが、他にもイネ科の花粉や、地域によってはスギなどもある。◆日本でもフランスでも花粉症に悩む人の多さは変わらないが、日本とは対応が異なる。◆花粉対策グッズや市販薬で溢れる日本とは違い、対策は、マスクの着用のほかは、日常生活での朝晩の換気や、髪の毛を洗うことが推奨され、ひどい場合は専門医にかかる。◆そして、この時期の花粉の飛散は、冬の雨不足による乾燥や夏の局地的豪雨や猛暑などと同じく、季節の話題にとどまらず、毎年深刻になる気候変動問題として取り上げられている。

ズーム・ジャポン日本窓口 
樫尾 岳-氏

フランスの日本専門情報誌「ZOOM JAPON」への問い合わせ=電話:03(3834)2718〈旬刊旅行新聞 編集部〉

ジョルダン、MaaSで快適な交通を 「乗換案内」の進化目指す(佐藤俊和社長インタビュー)

2023年4月29日(土)配信

佐藤俊和社長

 経路検索から予約・決済まで、多彩なサービスで“快適な移動”をサポートするジョルダン(佐藤俊和社長、東京都新宿区)は、最短・最適な交通ルートを検索できる「乗換案内」を展開している。コロナ禍による人流の制限を経て、国や自治体とも連携し、地域課題の解決に資する日本版MaaSを牽引している。交通の面から社会課題の解決に貢献する同社の佐藤社長に、デジタル活用の観光やこれからの見通しについて話を聞いた。

【聞き手=編集長・増田 剛、構成=長谷川 貴人】

佐藤 俊和社長インタビュー

 ――コロナ禍からの現状について、お聞かせください。

 新型コロナウイルスの感染が拡大した2020年当初は、人の移動が制限されたことで「乗換案内」へのアクセス数が激減し、広告収入が半分以下まで減りました。終電繰り上げや減便などで行われたダイヤ改正を反映させる必要があり、アクセス数が減ったうえに、メンテナンスコストが非常に掛かる状況からの始まりとなりました。

 徐々に人流が回復へ向かっても、緊急事態宣言などが繰り返されるたびにダイヤが変動し、速やかに対応させなければならず大変でした。法人向けに鉄道会社やバス会社からの要請を受けて、システムの開発・提供をしていましたが、こちらもコロナ禍2年目には激減し、どちらも落ち込む状態を迎えました。

 そのようななか、コロナ前から動き始めていたのがモバイルチケットなどのMaaS(Mobility as a Service)です。MaaSはフィンランドの企業から生まれた考え方であり、スマートフォン1台で複数の公共交通や移動サービスの予約から決済、そして移動中の案内まで一括で行うサービスで、ぜひ日本でやりたいと思っていました。

 しかし、日本は鉄道会社やエアラインなど、予約そのものが自社のダイレクトマーケティングツールになっています。それでも、ジョルダン以外が提供するMaaSアプリからでもすべての機能が使える共通のプラットフォームをつくりたい。そう考え、日本国内向けの「J MaaS」プラットフォームを立ち上げました。旅行者に、ジョルダンをはじめとしたさまざまな企業のMaaSアプリを通じて、公共交通などが予約しやすくなるように開発しました。

 ――一方で、アプリ版「乗換案内」はモバイルチケット「一日きっぷ」の販売を始めました。

 MaaSをどこから始めるか話していたとき、地域のグルメと特産品付きの企画乗車券である、京浜急行電鉄の人気商品「みさきまぐろきっぷ」の存在を知りました。これが日本に合った1つのMaaSのカタチではないかと思い、アイデアを出し合い、システムをリリースさせていただいたのが始まりです。

 やはり、デジタルなプラットフォームを利用すると、今までにない利便性や情報の解析ができるようになります。紙仕様のチケットで行う、加盟店からの回収や京急での集計作業などの処理がなくなることで、両者がすぐに結果がわかるようになり、人流のデータも集めやすくなりました。回復に向かうインバウンド客に対しても、デジタルなら英語や中国語などの言語対応がしやくなることでしょう。

 ――これからインバウンドが増えていくなかでの対応は。

 中国人の多くが利用しているプラットフォーム「Alipay(アリペイ)」上で、中国語対応の「乗換案内」ミニアプリが利用できます。訪日時は、そこで1つのアプリの中から、目的地までの経路検索と、その際に利用可能なモバイルチケットが購入できるため、両替せずにキャッシュレスで旅行ができます。インバウンドではそのような展開を考えています。よりユーザーの手間を省き、使いやすく、シームレスに色々とやれるようなカタチにしたいです。

 ――これからの「乗換案内」の見通しは。

 MaaSに取り組みつつ、「乗換案内」に対しても新しい方向性が見えてきました。1つは、交通手段の候補に地方のバスが増え、さまざまな地方自治体との関係が増えたことで、地方版の乗換案内のようなアプリを作り始めました。加えて、その地域の情報を発信できるような方向に発展していければと考えます。

 そして、単なる近場の経路検索としての利用から、遠方への観光にどう利用してもらえるようになるかを今後の大きなテーマにしています。スマホの「乗換案内」を見ながら、どうやれば旅行に行きやすいかという考えを基に、皆様に提案できたら面白いなと考えています。

 私はスマホ1台で、旅行のプランニングから決済までもっていきたい。観光や旅行の大変さをできるだけなくすようにしていきたいと思っています。ただ、企業として囲い込むよりも情報の基盤みたいなものをつくり、我われのユーザーには早めにそれを届け、使ってもらいながらシステムを改善していく。大きな流れとしてはそうあるべきではないかと思うのです。

 消費者側の視点では、スマホですべての情報を得て旅行を決められたという具合にしたい。そこにはさまざまな好みがあっても良いでしょうから、我われが旅行を独占したいという訳ではなく、基盤として共通のものを使いながら、広く皆様にも使ってもらいたい。場合によっては、ホテルや旅館が自ら旅行パッケージを提案する時代が来るかもしれません。

 ――現状から課題を感じていますか。

 使いやすくしたいというのがこれからの大きな課題となります。今も音声認識システムの活用を検証しているチームがあり、これからはAIの活用が進んでいく可能性がありますので、システムをステップアップしていかなければならないと思っています。

 また、私は旅行で公共交通機関を利用することも、自分の足で歩くことも好きです。このなかで色々と不便があると感じたものを少しでも分かりやすくし、地域の活性化につなげていきたい。移動は楽になったし、次は観光のステージだと考えています。自分にとっても欲しいものをつくっていますので、永遠にテーマが尽きないところです。

 ――ありがとうございます。

JAL、TDR40周年記念で 特別塗装機を国内線に就航

2023年4月28日(金)配信

東京ディズニーリゾート40周年記念した特別塗装機のデザイン

 日本航空(JAL、赤坂祐二社長)とオリエンタルランド(吉田謙次社長兼COO)は、東京ディズニーリゾート40周年記念して、特別塗装機「JAL Colorful Dreams Express」を6月9日(金)から国内線に就航する。

 4月15日(土)から開催中のアニバーサリーイベント「東京ディズニーリゾート40周年“ドリームゴーラウンド”」を記念したもので、両社の特別塗装機によるタイアップは今回で5回目となる。

 今回はボーイング767-300ER型機に、東京ディズニーリゾート40周年の特別な衣装を着たミッキーマウスと仲間たちが描かれたカラフルな機体となっている。ヘッドレストカバーや紙コップなどにも特別なデザインが施されている。

紙コップは全3種類の中からランダムで1種類

 就航期間は2024年4月ごろまでを予定。就航中、希望者には期間ごとに変わる全3種類の搭乗証明ステッカーを配布する。

搭乗でもらえる特別デザインの搭乗証明ステッカー