宮崎市内から「高千穂」「鵜戸神宮」へ 3月末まで路線バスの実証運行

2019年12月20日(金)配信

高千穂峡(イメージ)

 宮崎交通は2020年3月末日まで、「宮崎-高千穂」「宮崎-鵜戸神宮」間で路線バスの実証運行を実施している。

 2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催などで、個人旅行者を中心としたインバウンドの増加が見込まれるなか、県の支援事業を活用し、観光地への路線バスの実証運行調査や旅行環境整備を行う。

実証運行調査

内容:
 「宮崎-高千穂」 直行便を毎日1往復 運賃2550円
 「宮崎-鵜戸神宮」 快速便を土日祝に1往復運行 運賃1510円
 「鵜戸神宮-サンメッセ日南」シャトル便を土日祝に5往復運行 運賃230円
     ※上記運行計画は2月末日まで。3月のダイヤは調整中。
   ※運賃は大人運賃

旅行環境整備

1)車両へのWi-Fi設置(点検等で設備のない車両で運行する場合もある)
2)Googleマップへの路線バス情報表示
      (日本語のほか、英語、韓国語、簡体字、繁体字)
3)県内7カ所の交通拠点施設のデジタルサイネージを多言語化

宮崎~高千穂、宮崎~鵜戸神宮の実証運行がスタート!Googleマップ表示、Wi-Fi設置...
https://www.miyakoh.co.jp/news/2019/10/googlewi-fi.html

 

「津田令子のにっぽん風土記(56)」イベントを通して嬬恋村の魅力発信~群馬県嬬恋村編~

2019年12月20日(金) 配信 

「愛妻家の聖地」愛妻の丘
嬬恋村観光商工課 黒岩秀樹さん

 今年4月まで総務の仕事に従事していた黒岩秀樹さん。「異動してから半年が経ち観光の仕事は1人では難しい事でもみんなで力を合わせれば1+1が、100にさえなると実感しています」と語る。村ではキャベツマラソンをはじめ、さまざまなイベントを行っているが、黒岩さんは前任者から受け継ぐ形でイベントのまとめ役を担当している。
 
 嬬恋村では2006年から日本愛妻家協会を中心に、「キャベツ畑の中心で妻に愛を叫ぶ」というイベントが始まった。
 
 万座温泉をはじめ、泉質の異なるさまざまな温泉が湧出する温泉郷として、また標高1千㍍超の地形を生かした高原野菜の生産地としても有名だ。「嬬恋キャベツ」といえば全国的にも知名度が高いブランド商品だ。
 
 収穫時期は7~10月。そんなキャベツ収穫期の真っ只中、愛妻家の聖地、愛妻の丘で「キャベツ畑の中心で妻に愛を叫ぶ2019」が開催された。開催日は9月8日。叫び開始時間は「いいふうふ」にちなんで午前11時22分。「愛してる」「大好き」「いつもありがとう」と叫ぶと、拍手喝采が起こり感極まって涙する人もいるという。
 
 「叫ぶ言葉は違っていても愛情がこもっていれば何を誰に叫んでもいいんですよ」と黒岩さん。嬬恋村の男性はシャイな方が多いそうで、ご自身も「恥ずかしくて叫べなかったんです」と話す。「過去には、実際にプロポーズした方もいらっしゃいました」。
 
 「嬬恋のキャベツは、甘味もあってやわらかいのに、シャキシャキしているので生で食べることが多いんです」と黒岩さんは誇らしげに語る。
 
 また住民によるプロジェクト「妻の手しごと」で発売した「嬬恋キャベツ酢」が「グッドデザインぐんま」優秀賞を受賞するなど、キャベツの力で村全体のブランド力が上がっている。
 
 先月、私が出演するFM熱海湯河原の番組に黒岩さんがゲスト出演したときには、キャベツの収穫時期はすでに終わっていたが、それに勝るとも劣らない嬬恋村特産のジャガイモ10㌔を持参していただき、リスナープレゼントの商品として提供いただいた。すでにラジオ局には何通もの応募ハガキが「愛してるよ~」のメッセージと共に届いたと聞いている。
 
 その中に「これからも嬬恋でしかできないイベントを楽しみにしています」というものが入っていた。イベントのまとめ役の黒岩さんの本領発揮のときがきた。

 

コラムニスト紹介

津田 令子 氏

 社団法人日本観光協会旅番組室長を経てフリーの旅行ジャーナリストに。全国約3000カ所を旅する経験から、旅の楽しさを伝えるトラベルキャスターとしてテレビ・ラジオなどに出演する。観光大使や市町村などのアドバイザー、カルチャースクールの講師も務める。NPO法人ふるさとオンリーワンのまち理事長。著書多数。

森トラストとヒルトン、「ヒルトン沖縄瀬底リゾート」2020年7月開業

2019年12月19日(木) 配信

ヒルトン沖縄瀬底リゾート 外観イメージ

 森トラスト(伊達美和子社長、東京都港区)とヒルトン(クリストファ J. ナセッタ社長、アメリカ・バージニア州)は2020年7月1日(水)、沖縄県・瀬底島に「ヒルトン沖縄瀬底リゾート」を開業する。

 ヒルトンが展開する日本初のビーチリゾートホテルとなる同ホテルは、森トラストが開発を担当し、ヒルトンが運営を行う。

 沖縄本島の本部町から瀬底大橋でつながる瀬底島の西端に位置し、国内屈指の透明度を誇る瀬底ビーチに面している。ホテル前面に広がる瀬底ビーチでは、マリンスポーツや白い砂浜での海水浴を楽しめる。

 人気観光スポットの沖縄美ら海水族館には車で約15分で行くことができる。世界遺産の今帰仁城跡、やんばる国立公園、水納島、古宇利島など、美しい自然が広がる沖縄本島北部を巡る拠点としても便利な立地だ。

 館内には全298室の客室のほか、屋内外プール、スパ、3つのレストラン、ロビーラウンジ&バー、フィットネスセンター、宴会場を用意。全室オーシャンビューの客室には、瀬底の海の波を思わせるアクセントが施され、プライベートバルコニーやテラスから見えるリゾートならではの景色との調和を楽しめる。

ホテル概要

名称:ヒルトン沖縄瀬底リゾート

所在地:沖縄県国頭郡本部町瀬底5750番地

交通:那覇空港より車で沖縄自動車道経由、約90分

敷地面積:12万4313平方㍍

延床面積:約2万1千平方㍍(6352.5坪)

建物規模:地上9階

客室数:298室

館内施設:屋内外プール、レストラン(3か所)、ロビーラウンジ&バー、ビーチハウス、スパ、フィットネスセンター、宴会場など

構造:RC造

設計施工:大成建設株式会社

インテリアデザイン基本設計:ウィルソン アソシエイツ

東武トップツアーズ、営業体制強化 事業開発推進部など新設

2019年12月19日(木)配信

2020年1月1日付で組織改正

 東武トップツアーズ(坂巻伸昭社長、東京都墨田区)は2020年1月1日付で組織改正を実施すると発表した。営業推進部と国際事業推進部を統合した事業開発推進部のほか、教育事業推進部、ソリューション営業部を新設。東京支社が所管する東京国際事業部とインバウンドセンターを事業開発推進部に移管し、官公庁営業、クルーズ営業、グローバル営業の各専門部に再編し、取組強化をはかる方針だ。

 事業開発推進部には、法人事業推進担当、公務・地域振興推進担当、インバウンド事業推進担当、東武沿線事業推進担当、MICE事業推進担当および万博推進担当を設置する。法人や官公庁・自治体、インバウンドの各事業ドメインを連携させ一体化した機能を保有することで、営業体制の強化をはかる。

 教育事業推進部では、探求学習を組み入れた教育旅行プログラムの開発や企画、販売支援、運行支援までを一貫。業務推進を強化し、ソリューション事業を展開する専門組織を設置する。

 ソリューション営業部は事業開発推進部内に設け、顧客のさまざまな課題に対しサービスをもって解決をはかる提案型営業の一層の強化。ともにこれまで培ったノウハウを生かし、全国で開かれる大型大会や学会をはじめとしたイベント事業などの取組を推進する。

富士屋ホテル 2020年7月15日グランドオープン 来年1月から予約受付を開始

2019年12月19日(木) 配信

富士屋ホテル 全景 イメージ

 富士屋ホテル(神奈川県・箱根町)が142年目の創業記念日にあたる2020年7月15日(水)、グランドオープンする。同ホテルは約2年間の耐震補強、改修工事を行い構造部の強化をはかるとともに、文化的価値を優先した復原も進めている。
 2020年1月1日(水)午前10時から、電話による宿泊とレストランの予約、予約ウェブサイト上での宿泊予約の受付を始める。

 社寺建築を思わせる入母屋造りの瓦葺大屋根、唐破風の玄関が特徴の本館には、1965年以前の位置にフロントカウンターを移設・復原し、ラウンジ、オーシャンビューパーラーを復刻した。

本館 ヒストリックジュニアスイート イメージ

 本鎧戸付き上げ下げ窓、唐破風の玄関など特徴的な外観を持つ西洋館は、今回の改修工事の過程で、創建当時と思われる漆喰壁の色が桃色と判明。一部の客室で、同色を忠実に再現する。

 1960年に建築されたフォレスト・ウイングの最上階には、スパ&リラクゼーション施設を新設する。箱根外輪山の雄大な景色を望めながら、箱根七湯に数えられた名湯・宮ノ下温泉を堪能できる。客室は建築当時の姿に復刻し、和のテイストを取り入れた落ち着いた雰囲気を演出する。

 皇室御用達建築家の木子孝三郎氏がてがけた食堂棟では、文化財補修の専門家による天井画の復原作業が行われた。天井高6㍍の折り上げ格天井には、日本アルプスの高山植物が636種描かれ、欄干や柱もさまざまな彫刻が施されている。また今回の改修工事では、レストランや客室、ロビーなどの椅子や家具も専門の再生工房に修復を依頼し復原している。

 改修工事とともに、新築されたカスケード・ウイングの最上階には、1920年に建てられた旧宴会場「カスケードルーム」を復原したレストランを設ける。

レストラン カスケード イメージ

 誕生から現在までの貴重な史料を集めた「富士屋ホテル史料展示室」は、「ホテル・ミュージアム」としてリニューアルする。

東京ヴァンテアンクルーズは12月23日(月)~25日(水)の3日間、「クリスマスクルーズ」を実施

2019年12月19日(木) 配信

クリスマス・ディナーイメージ

 東京ヴァンテアンクルーズは12月23日(月)~25日(水)の3日間、「クリスマスクルーズ」を実施する。船内でクリスマスコンサートを開くなどし、特別な時間を演出する。

 クリスマスプランは、夕方に出航する「トワイライトクルーズ」と、夜出航する「ディナータイムクルーズ」で行われ、それぞれ味わえる料理が異なる。両クルーズで共通するデザートは「白いケーキ」をテーマに、メレンゲで雪をイメージ。伊豆産紅ほっぺや木苺などを使った1皿に仕上げる。

 船窓からは、お台場や羽田空港、大井コンテナふ頭の夜景とレインボーブリッジのスペシャルライトアップも楽しめる。

ヴァンテアン号

クリスマスクルーズ 概要

ロワイヤルプラン(窓側席指定)

トワイライトクルーズ

出航:午後4:20

着岸:午後6:20

料金

23日(月):1万7千円

24日(火)・25日(水):2万1千円

ディナータイムクルーズ

出航:午後7:20

着岸:午後9:20

料金

23日(月):2万円

24日(火)・25日(水):2万5千円

ノエルプラン

トワイライトクルーズ

出航:午後4:20

着岸:午後6:20

料金

23日(月):1万5千円

24日(火)・25日(水):1万9千円

ディナータイムクルーズ

出航:午後4:20

着岸:午後6:20

料金

23日(月):1万8千円

24日(火)・25日(水):2万3千円

PicUApp、海外製品が欲しい依頼者と旅行者をつなぐショッピングアプリ「HAKOBIYA」発表

2019年12月19日(木) 配信

発表会見を行った田中悠斗CEO(左)

 アプリの開発・運営などを行うPicUApp(田中悠斗CEO、東京都北区)は12月18日(水)、ソーシャルショッピングアプリ「HAKOBIYA(ハコビヤ)」の発表会を開いた。海外製品が欲しい依頼者とその国を訪れる旅行者を結ぶとともに、越境EC市場における物流システムの変革を目指す。

 「HAKOBIYA」は現在、主にベトナムと日本で展開している。利用例として、ベトナム在住者が日本で購入してきてほしい商品名や希望額、報酬額などを投稿。ベトナムへの旅行者が条件に合った依頼内容を選択し、商品を購入して現地で受け渡しを行う。

 支払いや出金はアプリ上で行い、受け渡し方法は直接のほか、専用の無人ボックスに預けることができる。

 アプリを利用することで、依頼者は報酬を上乗せしても自国で購入するより安く済んだり、いち早く商品を手に入れることができる。一方、旅行者はアプリで得た報酬によって旅費の削減につながる。

 今年5月にサービスを開始し、ダウンロード数は10万を超えた(12月16日現在)。ユーザーの96.5%が外国人で、うち90%をベトナム人が占める。旅行者の平均報酬額は約3千円となっている。

 田中悠斗CEOは同日の会見で、「今後は、旅行者と依頼者、両者の密度を上げていき、すぐに(商品が)届く状況を作り上げていきたい」と力を込めた。そのうえで、「20年6月までにシンガポールと台湾、マレーシア、インドネシアにもサービスを拡大する」と明らかにした。

会社概要

会社名:株式会社PicUApp

所在地:東京都北区赤羽1-59-8ヒノデビル4F

CEO:田中悠斗

設立:2017年8月14日

事業内容:旅行者マッチングプラットフォームを提供するアプリHAKOBIYA®、カンボジアの大学のインフラ整備とともに企業と学生のニーズをマッチングするアプリFREEPRIの開発・運営

ジャルパック、働き方改革を加速化 フレックス制を本格導入

2019年12月19日(木)配信

 ジャルパック(江利川宗光社長、東京都品川区)はこのほど、社員の働き方改革の一環として、3カ月清算のフレックスタイム制を本格導入した。あわせて、社員の自律的な働き方改革の推進活動「WHIP(ホイップ)」については、活動メンバーに現業との兼務を人事発令してミッションを明確化し、活動を活発化させて展開していくと発表した。

 同社は今年6月、日本旅行業協会(JATA)主催の2018年度「働き方・休み方改革、ダイバーシティ推進」に関するJATA会長表彰で、働き方・休み方改革部門の大賞を受賞した。2019年度も継続的に各種改革を推進している。

働き方の柔軟性拡大 <フレックスタイム制の本格導入>

 全社員を対象に、昨年夏から実施した試験導入のレビューを行い、加えて今年4月の働き方改革に関する法律の改正点を踏まえ、3カ月清算によるフレックスタイム制を本格導入した。現在、全社員の約9割にあたる450人に適用されている。

 コアタイム(午前11:00~午後3:00)は、働き方に応じてその有無を部署選択制とした結果、約半数の社員がコアタイム無しの“スーパーフレックスタイム制”で勤務しているという。3カ月清算で、従来の単月から労働時間管理の幅が広がり、旅行商品の造成業務など複数月にまたがる繁閑への調整も可能とした。

WHIP(Work and Holiday Innovation Project)

 公募により組織単位で選出された25人の社員と総務部(事務局)7人で結成。(1)働き方改革(2)健康経営(3)ダイバーシティ&インクルージョン(4)JALフィロソフィ――の4つの分科会で活動を展開している。

 WHIPのロゴマークは、余白を生かしながらホイップクリームをイメージした、シンプルで明るくポジティブなデザイン。​キャッチコピーは「わたしらしく働く」。一人ひとりが「働くこと・働き方」について、「主体性をもって考えて行動をおこし、素晴らしい人生を送るために自分らしく働こう」との意志が込められている。強い芯を持ち​ながら、柔らかなことばで表現した。

​​(1)働き方改革

①スウェーデンのコーヒー文化「Fika」導入

 「フィーカ」(Fika)とは、スウェーデンで“お茶をする”という意味。毎週木曜日の午後、約15分のリラックス&コミュニケーションによる社員間の交流を促す。

②各種制度やICTインフラの利用方法の情報発信、講習会の実施

・在宅勤務の活用方法を「WHIP通信」で発信

・ビジネスチャットツール「Teams」講習会の実施

・サテライトオフィス利用方法を社内報で紹介

(2)健康経営

 社員の健康リテラシー向上と健康​増進を目的として、日本航空健康管理部専属トレーナーによる2つの取り組みを実施している。

①「本気の!ラジオ体操」

 ラジオ体操の12のポイントの実技を交えた講習会(45分)​を、11~12月に本社勤務の全社員(500人)で受講する。うちWHIPメンバー9人が事前にアドバイザー認定講座を受講し、2020年1月以降、毎月の全社朝礼時に継続的に実施を予定する。

②「椅子ヨガ教室」

 終業後、希望者を対象に毎月1回、10月以降継続的に実施する。​

※ジャルパックは、健康経営優良法人2019 ホワイト500(大規模法人部門)認定を受けている。さらに、令和元年度東京都スポーツ推進企業374社のうちの1社として認定された。

(3)ダイバーシティ&インクルージョン

①「女性執行役員との座談会」

 結婚・出産・介護、そして闘病を続けながら仕事との両立など、笑いあり涙ありの経験談とともに座談会を実施する。女性社員のみならず、男性社員のモチベーションの向上を促進する。

②「ジャルパックイクメンリレー!」

​ 女性が出産・育児などを乗り越えて社会で働き続けるには、パパさんの協力が必須と考え、仕事に家事に育児にと頑張る男性社員をリレー形式で紹介する。

(4)JALフィロソフィ

 全社員の共通の価値基盤であるJALフィロソフィの社内勉強会の継続的な実施で、社員間の相互理解とコミュニケーション促進による組織活性化を実現する。2020年1月から通年で実施する。

①「フィロソフィ リーダートーク」

 役員・部長によるフィロソフィの実践を通じた成功体験や、そのビジョンを達成するためフィロソフィに基づいた行動やリーダーシップの発揮について、自身の考えや想いを語る講義形式。​

②「フィロソフィーカ(PhilosoFika)」​

 役員・部長以外の全社員を対象に発表者を募り、自律的にエントリーした社員がファシリテーターを務め、”Fika”(北欧式の気軽なコミュニケーション)のエッセンスを取り入れ、お茶とお菓子とともにリラックスした雰囲気のなか、ディスカッション形式で実施する。

ジャルパック公式サイト

【シ―クルーズ瀬﨑公介社長に聞く】観光業の多角化に挑戦 イルカウォッチングから川下り

2019年12月19日(木)配信

瀬﨑公介社長

 熊本県上天草市の船会社・シークルーズ(瀬﨑公介社長)は、市が10月12日に開業した観光情報発信拠点「ミオ・カミーノ天草」の運営を、九州産交ツーリズム(熊本市)と共同で業務受託した。同社は、天草のイルカウォッチングやスイーツクルーズ、マリーナ業、ボート免許業、三角―松島定期航路「天草宝島ライン」運航、旅行業など幅広い事業を展開。今年1月からは、経営悪化していた人吉市の観光船「球磨川くだり」の業務を任され、瀬﨑氏がトップになり経営強化に乗り出している。さらに7月には同市内の空き家を改装した滞在型宿泊施設「シークルーズハウス・ナビオ」もオープンした。観光業を多角的に進める瀬﨑氏に話を聞いた。

【九州支局・有島 誠】

 ――観光業への参入は。

 1993年から始めたイルカウォッチングがスタートです。利用客を伸ばすなか、2008年に熊本と天草本渡を結ぶ航路廃止が決定。その代替海上交通として、天草宝島ラインを運航しました。最初は三角―本渡間の運航でしたが、2年間で5千万円の赤字と大変な苦戦でした。11年3月には九州新幹線が全線開通し、熊本から三角駅まで観光列車「A列車で行こう」が運行開始。宝島ラインも水戸岡鋭治氏がデザインした船に一新し、三角―松島港を結ぶ航路で列車との一体化をはかり、乗船客は爆発的に増えて黒字化が続いています。

 ――イルカウォッチングの状況は。

 イルカ事業者15社で、年間約15万人の利用客ですが、当社がそのうち2割の約3万人。売上ベースで3割強を占めています。このうち、FIT(海外個人旅行)がJR九州のレールパス利用で約1万人。乗船客の40%はインバウンドです。中国が50%を占め、香港が35%、台湾5―8%。ラグビーW杯で欧米も増えました。ホームページも6カ国の多言語化し、予約システムも5カ国語で対応しています。

 ――ミオ・カミーノ天草の役割は大きい。

 松島エリアの再開発拠点です。4年前に観光複合施設・リゾラテラス天草が開業し、隣接してカミーノの誕生です。陸上交通は熊本市内から九州産交バス、海上から宝島ラインが三角まで結びます。ここでイルカや天草五橋、サンセットのクルージングに乗船でき、シーカヤックやSUPヨガ、ほかのマリンスポーツも楽しめます。

観光情報発信拠点「ミオ・カミーノ天草」

 ――屋内の施設も充実していますね。

 AIで天草観光モデルコースが作成できるシステムを開発。タブレット端末6台を設置し情報提供を行っています。ボルダリング体験やレンタカー、電動レンタサイクル利用もできます。フードコートやバーベキュー施設、地元特産品の売店なども充実しています。

 ――さて、球磨川くだりの経営再建は。

 人吉市の第3セクターの球磨川くだり株式会社は、約1億5千万円の借金を抱えていました。1月25日に業務提携し、36・6%の株式を取得して5年契約で経営再建を目指しています。補助金もなく、借金も返済しています。既存船9隻も整備し、新たに水戸岡氏デザインの26人乗りの船を2隻導入しました。運航時間の見直しや社員の意識改革も進めています。ネット予約と旅行会社の商品設定も増え、乗船客も確実に増加しています。目先と5年後を見た経営をしなければいけません。

「ZOOM JAPON(ズーム・ジャポン)(12月号)」

2019年12月19日(木) 配信

http://zoomjapon.info

〈巻頭言〉

クロード編集長

 今年もあっという間の1年でした。本誌の今年最後の号は、昔からクリエイターが多く集まる東京の中央線エリアを特集しました。文化面では、クリスマスプレゼントにオススメの、今シーズンに発売された日本にまつわる書籍や映画DVDをピックアップ、旅ページでは広島の名園を紹介しています。この号は、12月・1月合併号なので、しばらくゆっくり冬休み……だといいのですが、今月は仏・英語版のほかにイタリア語版もあり、年明けにはスペイン語版の発行が控えています。また次号は、1月末に開催されるアングレーム国際漫画祭での配布に合わせ、2月を待たずに発行予定。同時に、来年6月に創刊10周年を迎えるにあたり、特別号(第100号)の企画を進めたり、慌ただしい年末年始となりそうです。皆様、本年中はお世話になりました。良いお年をお迎えください。

(編集長 クロード・ルブラン)

特集 「東京・中央線をゆく」

中央線をまたぐ陸橋は太宰治も愛し、今でも住民に愛されている

 都心から西に向かって延びるJR中央線は、地下鉄も含めた80以上ある首都圏内の路線の中でも圧倒的な存在感を放つ。歴史を遡ると、甲武鉄道が新宿駅と立川駅間に開通したのが1889年、新宿から東京方面の開通はしばらく後の1908年だった。1920年代は関東大震災をきっかけに、都心から西部に移り住む人々が激増し、中央線は東京の都市化とともに発展。その後、中野区、杉並区、そして武蔵野市内の駅周辺には、作家、ミュージシャン、漫画家など多くのクリエイティブな人々が集まるようになった。■大正・昭和の文豪たちが愛した中央線沿線の街。太宰治のゆかりの地、三鷹には今でも多くのファンが足を運ぶ。■新宿の西側は、漫画にも深い関わりがある。かつては、前衛的な漫画雑誌ガロに関わった人々が好んで暮らした街に、現在は約400のアニメーションスタジオが集中。近年漫画関係のショップが増えている高円寺、阿佐ヶ谷、荻窪、そして吉祥寺の個性を探る。■都内有数のオタク文化が花咲く街、中野。サブカルショップ2店で宝探し。■杉並区に暮らしながら、その地区の観光情報をweb上で発信しているアメリカ人、グレッグ・ムダリさんにインタビュー。

〈ZOOM・JAPON 編集部発 最新レポート〉フランス国鉄の徒然

パリ北駅のTGVホーム

 12月に入ったばかりの現在、フランス国内でのもっぱらの話題は、年金制度改革に反対する国鉄(SNCF)を中心に決行中のゼネストです。日本では国鉄が民営化されてから一度も鉄道ストはありませんが、SNCFは全国規模のストライキがあった1947年から毎年その権利を行使。利用者は怒るよりも、ただうんざりです。普段から整備不良や、運転士の遅刻、置き忘れ荷物の処理のために頻繁に電車が遅れるため、TGVが新幹線を抜いて世界一高速の電車であっても、なかなかその価値を実感する機会に恵まれません。そのため、出張で約束に間に合うか、休暇中の旅行が台無しにならないか、いつも気が気ではないのが実情です。そんな鉄道事情に慣れた人々が日本を訪れると、時刻通りに動く電車に感激します。たかが電車、されど電車。旅行者にとって時間の正確さや交通手段の利用のしやすさは、そのままその国の印象に反映します。11月、SNCFは2024年のパリオリンピックに向けて、観光客で溢れかえるであろう駅構内の人の流れをスムーズにすべく、日本の業界のエキスパートを招き、指南を受けました。SNCFが日本並みの鉄道サービスを提供できる日は来るのでしょうか。

フランスの日本専門情報誌「ZOOM JAPON」への問い合わせ=電話:03(3834)2718〈旬刊旅行新聞 編集部〉