〈旬刊旅行新聞9月21日号コラム〉コロナ前夜の観光業界は? 「Go To」で過去を忘れてしまわぬように

2020年9月19日(土) 配信 

「Go To」で過去を忘れてしまわぬように(写真はイメージ)

 今年に入り、新型コロナウイルスの感染拡大によって日本の観光業界は大きく様変わりしてしまったが、コロナ前夜の観光業界がどのような状況にあったか、思い出してみたい。

 
 2019年の年間訪日外国人旅行者数は、3188万人だった。18年が3119万人だったので、前年比2・2%増加した。17年は2869万人で、前年比19・3%増と約20%増加したことに比べれば、伸び率はかなり鈍化していたことになる。

 
 19年の下期を見ると、7月は前年同月比5・6%増と前年を上回ったものの、8月は同2・2%の減少。9月は同5・2%増と再び増加したが、その後10月は同5・5%減、11月は同0・4%減、12月は同4・0%減と前年を下回っていた。

 

 
 市場別では、韓国は18年の754万人から19年は559万人と激減している。これは、日韓関係の悪化により、航空便の減便や運休などの影響が大きい。

 
 中国は18年の838万人が、19年には959万人と大幅に増加している。しかし、インバウンド全体の3割近くを1国が占める状況は、国際情勢の変化に左右されやすい市場であるために、当時から危機感を覚えていた人は多いはずだ。

 
 台湾は18年の476万人から19年は489万人と増えている。だが、日本から台湾を訪れる旅行者は200万人程度と不均衡である状態から、双方向の観光交流のさらなる拡大が課題となっていた。香港は18年の221万人から19年の229万人と微増している。

 
 一方、19年の年間出国日本人数は前年比5・9%増の2008万人と史上初めて2千万人の大台を突破していた。

 
 このように書きながら、すでに遠い昔のような感覚になってしまう。

 

 
 新型コロナウイルスの感染が拡大してからの記憶は新しい。

 
 国内旅行は緊急事態宣言による「不要不急の外出の自粛要請」などにより、多くの宿泊施設や観光施設、旅行会社、バス会社などが長期間休業した。

 
 20年の目玉イベントだった東京オリンピック・パラリンピックは延期された。インバウンドはほぼ皆無の状況が続いており、海外旅行も同じだ。

 
 7月22日からGo Toトラベルキャンペーンが始まった。当初予定から前倒しでのスタートだったが、東京都や大阪府などをはじめ、全国的に感染者数が増加傾向にあった時期のため、多くの手厳しい批判も浴びた。また、間際に東京都が同キャンペーンの割引対象から外れたため、旅行会社や一般の旅行者などにも大きな混乱を招いた。10月から東京都も同CPの割引対象となる予定だ。

 

 
 新型コロナの感染拡大で、訪日外国人旅行者の姿が消え、観光地で「日本人の旅行者ばかり」という風景も随分久しぶりに見た気がした。コロナ前夜には、都市部や人気観光地は“インバウンドバブル”の様相で、オーバーツーリズムの対応に苦慮していた観光地もあったが、今は真逆の状況に陥っている。

 
 コロナの収束状況と経済の両面からの判断で、外国人旅行者の入国も徐々に緩和される流れになるだろう。「喉元過ぎれば熱さを忘れる」のが人間だが、Go Toキャンペーンによってお客が来ることで、すべてを忘れてしまうのが恐い。「Go To」が終了した後を心配する声があることに、こちらが心配になる。

 

(編集長・増田 剛)

 

8月の訪日外客数、前年同月比99.7%減の8700人 11カ月連続で前年下回る

2020年9月18日(金) 配信

画像はイメージ

 日本政府観光局(JNTO)が9月18日(金)に発表した2020年8月の訪日外客数は、前年同月比99.7%減の8700人(推計値)だった。前年同月を下回るのは、11カ月連続となる。

 22市場すべてで訪日外客数が5カ月連続でほぼゼロに近い数字となった。引き続き、日本での検疫強化や査証の無効化、多くの国で海外渡航制限の措置が取られていることなどが減少の主な要因。

 一方で、今年4月から4カ月続いた同99.9%減からわずかに回復したようにもみえる。

 出国日本人数は同98.2%減の3万7100人(推計値)。今年4月の3915人を最少に、5月以降は増加している。

日光観光がお得なパスポート、LINEでも販売 東武トップ

2020年9月18日(金) 配信

「日光 2DAY パスポート」を企画

 東武トップツアーズはこのほど、栃木県日光市と連携し、世界遺産やテーマパークなどを割安で周遊できる2種類の「日光 2DAYパスポート」を売り出した。同社の店舗や現地の観光協会のほか、スマートフォンアプリ「LINE」でも販売を開始。新生活様式が求められるなか、非接触販売の手法として取り組む。

 「奥日光地区」パスポートは、日光の社寺や中禅寺湖遊覧船など12施設が対象。利用期間は9月19日から、11月30日まで。7410円相当のものが、2200円で購入できる。

 「鬼怒川地区」パスポートは、9月19日から2021年2月28日まで利用でき、江戸ワンダーランド日光江戸村や東武ワールドスクウェアなど9施設が対象となる。販売価格は5200円で、1万7700円相当分がつく。

 

日観振、新しい旅の仕方を動画で紹介 旅行者と地域、事業者の相互の安全安心を

2020年9月18日(金) 配信

佐渡・岩首昇竜棚田での地域住民との交流シーン

 日本観光振興協会(山西健一郎会長)はこのほど、新しい生活様式に沿った旅の仕方を紹介する「新しい旅のおもいやり」動画をユーチューブと協会ホームページで公開した。旅行者や地域住民、事業者の相互の安全・安心を目指し、広く啓蒙していく。

 今回の動画は「旅行者・地域住民そして観光事業者の相互の思いやりによる旅の安全と安心」をテーマに、「旅立ち編」「移動編」「お買い物編」「旅の出会い編」「お宿編」と、これらをまとめたフルバージョン1本の計6種類を用意。手指消毒やマスク着用の呼び掛けから、事業者による安全確保の取り組み、旅行者と地域の人との触れ合いのようすなどを盛り込んだ。また、観光事業者からの「おもてなし」と旅行者の「おもいやり」のポイントをアイコンで表示し、解説している。

 動画は、新しい生活様式下での旅行スタイル動画をいち早く公開した、新潟県・佐渡観光交流機構の協力のもと制作。佐渡旅行を見本ケースとして紹介する。

 日本観光振興協会は「これから旅行へお出掛けの皆様にはぜひ一度動画をご覧いただき、皆様の周囲の方への思いやりをもったご旅行へのご理解とご協力をお願いする」と呼び掛けている。

 なお、同協会は8月7日、観光関連団体や企業による旅の安全安心への取り組みを紹介するWebサイトを開設しており、情報登録の希望も随時募っている。

クラツー、テレ東番組をパッケージツアーに 「テレ東トラベル」ツアー売り出す

2020年9月18日(金) 配信

Webサイトを開設した

 クラブツーリズム(酒井博社長)はこのほど、テレビ東京グループで通信販売事業などを展開するテレビ東京ダイレクト(遠藤孝一社長)と共同で、テレビ番組にちなんだパッケージツアーを販売する共同プロジェクトを始めた。ツアーの販売サイト「テレ東トラベル」も9月17日(木)に開設し、テレビメディアともに新しい旅行サービスの開発を進めていく。

 テレビ東京グループが放送するバラエティや旅グルメ、ドラマなど多様なジャンルの番組から、両社が番組コンセプトにちなんだ旅行商品を開発。さらにクラブツーリズムが新型コロナウイルス感染予防策を施したパッケージツアーを造成し、販売、実施する。

 同プロジェクトの商品は今後、番組出演者をガイド役に据えた特別ツアーや、番組コンセプトを活用した国内・海外ツアーなどを予定している。既に販売を始めているツアーには、テレビ東京で放送しているお取り寄せグルメ番組「虎ノ門市場」(月~金、午前11時~、午後5時10分~放送)とタイアップし、生産者との交流や、グルメ商品を現地で味わう「体験ツアー」を盛り込んだ内容に仕上げている。

 これまで両社は、旅番組「ハーフタイムツアーズ」(月~金、午前8時~放送)で共同事業として旅行商品の販売を展開。同事業を発展させ、アフターコロナ時代を見据えた新しい旅行サービスの開発を行っていく。

LINEトラベルjp、「Go To」お得に探せる特設ページを公開

2020年9月18日(金)配信

最大2万円分がお得になり、さらにLINEポイントがもらえる旅行プランも

 「LINEトラベルjp」はこのほど、国内外の旅行会社が提供する「Go Toトラベル」対象プランをお得・便利に探せる特設ページを公開した。JTBやJR東海ツアーズ、ジャルパック、日本旅行、一休.com、Booking.comなど、大手旅行会社約20社をはじめとした各社の対象商品を検索できる。

 7月に官民一体型の地域活性化、国内観光需要喚起を目的とした「Go Toトラベル」キャンペーンが開始。このほど東京発着の旅行も追加される見込みにより、一層の増加が見込まれる旅行予約をサポートする。

 特設ページでは、「Go Toトラベル」による割引に加え、地方自治体が配布するクーポンを利用して、1泊最大2万円分引きとなる商品なども多数そろえる。ユーザーそれぞれによって最適な商品を簡単に探せる。また、10月1日から開始予定の「Go Toトラベル」キャンペーン第2弾の地域共通クーポンにも順次対応する予定だ。

 なお、特設ページ経由でLINEポイントの還元対象となる旅行を予約すると、割引やクーポンに加えてLINEポイント還元で、さらにお得に旅行を予約できるという。

新横浜プリンス 19日から「ブッフェダイニング」のディナー営業再開 各地の郷土料理をアレンジしたメニュー提供

2020年9月18日(金)  配信

出来立てのパフォーマンスメニューを届ける

 新横浜プリンスホテル(神奈川県横浜市)は9月19日(土)、新型コロナウイルス感染症の拡大や緊急事態宣言を受け休止していた「ブッフェダイニング ケッヘル」のディナーの営業を再開する。

 11月30日(月)までは、旅行に行き難い状況下でも旅行気分を味わえるよう、「JAPAN GOURMET FESTA-日本の美味しいを旅しよう-」を展開。ケッヘルの定番メニューに加え、鴨肉の治部煮 ケッヘルスタイル(石川県)など、各地の郷土料理をシェフがアレンジしたメニューが味わえる。

定番の料理と各地の郷土料理をシェフがアレンジしたメニューが楽しめる

 営業再開にあたり同ホテルは、コロナ禍でも安心、安全に利用できるよう従来のブッフェスタイルを変更。料理を個々に盛り付けるとともに、6エリアだったライブキッチンは8エリアに拡充し、出来立てのパフォーマンスメニューを届ける。また着席後にアミューズを提供することで、ブッフェライン混雑の緩和もはかる。

 このほか感染症対策として、ブッフェ台にはアクリルパネルやスニーズガードといった飛沫感染防止什器を設置。座席数はプリンスホテルが独自に策定した衛生・消毒基準「プリンスセーフティーコミットメント」に基づき、従来の256席から140席に変更した。

「さあ!香川キラリ旅 in Marunouchi」 9月24日スタート ポップアップカフェを開設

2020年9月18日(金) 配信

香川いりことセミドライトマトのオープンサンド(中央)などオリジナルメニューが味わえる

 高松空港と香川県、香川県観光協会、三菱地所が9月24日(木)~9月30日(水)、観光PRイベント「さあ!香川キラリ旅 in Marunouchi」を展開する。

 県が今秋スタートする「絶景」と「美食」をテーマにした観光誘客キャンペーン「さあ!香川キラリ旅」の事前周知イベント。期間中「Marunouchi Happ. Stand & Gallery」(東京都千代田区)にポップアップカフェを開設する。

 カフェでは、香川県の県産品「オリーブ牛」や「オリーブハマチ」、「いりこ」などを使用したオリジナルメニューを用意。県の絶景スポットはパネルや動画で紹介するだけではなく、首都圏から高松空港経由の絶景スポットまでの所要時間も表記する。

 また、カフェには高松空港直営店の「四国空市場(四空(YOSORA))」が出店し、人気の讃岐うどんやオリーブオイルなどの香川県産品を販売しイベントを盛り上げる。

 「さあ!香川キラリ旅」は、香川県と香川県観光協会が10月1日(木)~21年3月31日(水)まで実施する観光誘客キャンペーン。歴史ある名所からフォトジェニックなスポット、素材を生かした美食、忘れられない感動体験といった、「キラリ」と光る香川の旅を楽しめる企画を取りそろえる。

アクティビティジャパン、オンライン東京ツアーを発売

2020年9月18日(金) 配信

商品のイメージ
 HISグループのアクティビティジャパン(小川雄司社長、東京都新宿区)は10月5日(月)から、オンラインで東京の観光地を巡る「オンライン東京ツアー」を売り出す。同社は東京都と東京観光財団が取り組む「オンライン東京ツアー」事業の事務局として、東京都内の観光協会などが企画・主催するオンラインツアーの造成・運営、参加者へのサポートを行う。
 
 同ツアーは、都内街歩きをオンラインで体験することで地域と参加者をつなげ、持続的にコミュニティの創出が期待できる新しいデジタルコンテンツ。コロナ禍でも、自宅で現地を旅しているような体感が得られ、地域外の人に継続的に地域の情報を発信できることが特徴。
 
 同社は「能動的にヒト・モノ・コトの魅力に触れられ、地域への興味や購買意欲の向上につながる」(同社)とコメントした。
 
 ツアーは2020年10月中旬~2021年2月下旬まで実施。テーマは歴史や文化、自然など。ガイドが都内各地の魅力的なスポットを案内する。商品の数は18ツアー程度を用意する。1ツアーの募集人数は20人程度で事前予約制・先着順となる。参加料として、ツアー実施前に送付する地域の特産品代が掛かる。
 
 10月に実施するツアーの一例として、青梅市観光協会が主催する「青梅・西ノ猫町で猫とご朱印巡り 青梅宿で新たな魅力と出会う旅」が挙げられる。常保寺や昭和幻燈館、津雲邸など猫にまつわる施設を訪れる。
 
 同月には墨田区観光協会主催の「日本の国技『相撲』を知る旅 地元のガイドと巡る両国相撲ツアー」も開く。両国国技館や回向院、相撲写真資料館、相撲博物館などを巡る。
 

10月29日―11月1日開催 新しいMICEを提案しツーリズム復活目指す ツーリズムEXPOジャパン 旅の祭典in沖縄

2020年9月18日(金) 配信

9月17日に会見を開いた(JATA理事・事務局長の池畑孝治氏)

 日本観光振興協会、日本旅行業協会(JATA)、日本政府観光局(JNTO)は10月29日(木)~11月1日(日)の4日間、ツーリズムEXPOジャパン旅の祭典in沖縄を開く。「新しいMICEのカタチを提案し、今後のツーリズム産業の復活に寄与していきたい」(推進室)考え。

 新型コロナウイルス感染拡大の影響が残るなかでの開催にあたり、①ニューノーマル時代のMICEの新しいカタチ②安心安全なイベントモデルを示す③国内旅行で地域経済を復活させる④国際交流復活の契機に⑤新しいツーリズムのカタチを沖縄から世界に発信――と5つの主旨を掲げた。

 商談会では通常のリアル商談に加えて、セラーがテレビ通話などで参加するオンライン商談会を初めて実施する。

 開会式では、渡航制限で来日ができない海外の観光大臣によるビデオメッセージを流す。在日大使はリアル登壇し、パネルディスカッションを行う。国際会議のようすは動画で配信を予定している。

 展示会は入場無料にし、初めて事前登録制を取り入れる。事前にQRコードを発行して、リアルタイムで入退場者を管理し、混雑状況を把握する。入場者数が上限(5千人または収容人数の50%以下)を超えないように調整する。

 会場外のフードコートでは、接触を極力避けるためにキャッシュレス決済を導入する。

 そのほか、新型コロナ感染症対策として、マスクやフェイスガードの着用を義務付ける。「新型コロナ接触確認アプリ COCOA」の取得を依頼する。すべての入り口で検温を実施する。

 JATAの池畑孝治理事・事務局長は、コロナ禍の影響で商談会や展示会が延期・中止になっていることを振り返り、「ツーリズムEXPOの責任として、感染拡大を防止しながら旅の力を皆様に感じてもらいたい」と力を込めた。

 国内の感染者が減少している現状にも触れ、「ニューノーマルな旅行は、感染拡大防止と旅による経済活動を両立できる。これからはオンラインも最大限に活用して、新しいカタチで旅行業界を盛り上げていく」(同氏)と語った。