20年国内旅行消費額 54%減の9兆9738億円(観光庁)

2021年5月10日(月) 配信

観光庁の資料を基に編集部が作成

 観光庁はこのほど、「旅行・観光消費動向調査」の2020年年間値を発表した。20年の国内旅行消費額は、前年度比54・5%減の9兆9738億円となった。このうち、宿泊旅行消費額は同54・7%減の7兆7723億円、日帰り旅行消費額が同53・9%減の2兆2015億円だった。

 日本人国内延べ旅行者数は、同50・0%減の2億9341万人。このうち、宿泊旅行が同48・4%減の1億6070万人、日帰り旅行が同51・8%減の1億3271万人だった。

 日本人国内旅行の1人1回当たりの旅行単価は、同9・0%減の3万3993円。同12・2%減の宿泊旅行は4万8365円、日帰り旅行は同4・3%減の1万6589円となった。

 なお、20年の日本国内での旅行消費額は、同60・6%減の11兆円だった。このうち、日本人海外旅行(国内分)が同75・0%減の3000億円、訪日外国人旅行が同85・4%減の7000億円だった。

 また、訪日外国人旅行に関しては、新型コロナウイルス感染症の影響で調査が一部中止となったため、20年1~3月期の全国調査の結果を用いて試算した。

「まさかり海遊きっぷ」で下北を周遊 3社が連携

2021年5月10日(月) 配信

北海道と青森の3社が協力

 津軽海峡フェリー(村上玉樹社長、北海道函館市)とシィライン(山崎隆一社長、青森県青森市)、下北交通(山上常廣社長、青森県むつ市)はこのほど、下北周遊旅行を推進するため特別企画商品「まさかり海遊きっぷ」を売り出した。

 同きっぷは、津軽海峡フェリーの函館―大間航路とシィラインの佐井―青森航路の片道乗車券、下北交通バス(むつバスターミナル―佐井)3日間の乗り放題をセットにしたもの。下北半島の別名「まさかり半島」を商品名に採用した。

 有効期間は利用開始から3日間のため、大間や下風呂温泉郷、仏ヶ浦、恐山などを巡る旅ができる。

 利用期間は10月31日(日)まで。価格は大人が8400円(税込み)、子供が4350円(同)。

エアトリ子会社が運営、民泊運用型セカンドハウス(台東区)

2021年5月10日(月)配信

施設内イメージ

 エアトリ子会社のエアトリステイ(澤畑勝章社長、東京都港区)は5月1日(土)から、台東区の民泊運用型セカンドハウス「YANAKA SOW」の運営を始めた。仕事と生活の両方の利用を想定した長期宿泊者や、2拠点居住の検討者などの利用を想定している。部屋数は13室、価格は1室1万6000円から。

 同施設は、ブランドデザイン事業を行うオレンジ・アンド・パートナーズ(小山薫堂社長、東京都港区)と、Airbnb(エアビーアンドビー)による共同プロデュース。所在する地域への“住むと泊まるの間”の体験ができる場づくりを目指した、両社の考えを結集させたもの。

 特徴は、長期でも利用しやすい第2の自宅のような空間デザインと、町案内専門スタッフによるガイドサービス。初めて訪れた人でも、自然に町に溶け込むような時間を過ごせるという。

 ホテルオーナーは、初のホテル事業を手掛ける積水ハウス不動産東京(島貫利一社長、東京都渋谷区)。設計・施工は、積水ハウス(仲井嘉浩社長兼CEO、大阪府大阪市)が担当した。また、同社が建設した物件は、「SOW -dig through culture hotel-」という、オレンジ社との共同ホテルブランド第1弾となる。

ワーケ経験者に調査 「隠れワーケ―ター」で潜在ニーズが浮き彫りに(山梨大学×クロス・マーケティング)

2021年5月10日(月) 配信

山梨大学とクロス・マーケティングはこのほど、ワーケーションに関する調査を行った。

 山梨大学生命環境学部地域社会システム学科の田中敦教授と西久保浩二教授の研究グループはこのほど、クロス・マーケティング(五十嵐幹社長、東京都新宿区)と共同でワーケーションに関する調査を行った。調査では、会社に導入されていない、または会社の制度を利用せず連休などと併せてワーケーションをした「隠れワーケ―ター」が4割程度いることが分かった。

 調査は3月23(火)~29日(月)に、全国在住の男女20~64歳の就業者7万6834人のうち、「直近1年間にワーケーションを実施した」と答えた1000人を対象に行われた。

 実施場所は「自宅や会社から離れた観光地(ホテル・旅館・キャンプ場など)」が49・0%と最も多く、なかでもビジネスホテルやリゾートホテル、シティホテルなどのホテル施設の利用が多かった。

 また、旅先での働き方は「仕事中心に過ごし、業務時間外であっても遊びや観光をしない派」と、「仕事中心だが、業務時間外では遊びや観光をする派」が同程度で、1日当たりの平均労働時間は5・4時間と、通常の勤務時間より少し短い傾向が見られた。

 旅先での仕事内容は、9割以上が「普段の仕事の一部」または「普段の仕事とまったく同じ仕事」と回答した。

 同行者の有無については、約半数が「1人旅」と回答し、同行者がいる場合は4人に1人が「配偶者や恋人との2人旅」という結果になった。

 ワーケーションを経験した半数以上が「今後ワーケーションを(再び)行いたい」と回答し、とくにワーケーションを経験した管理職以上の人の7割が実施意向を示し、6割が会社への導入を検討していることが分かった。同社はこの結果に対し「意外にも管理職の意向が高い」と見ている。

 また、リゾート地などで仕事をしながらこっそり休暇の環境を楽しむ「隠れワーケ―ター」が4割ほど存在することが分かった。

 これについて、田中教授は「企業側は働く場所の自由度を高め、社員が安心してワーケーションできる仕組みを検討する必要がある」と提唱し、観光庁が作成した企業向けパンフレットを参考に、ワーケーション制度の導入を勧めた。

 「ワーケーション中に積極的に遊びや地域での交流を楽しむ『デジタルノマド』型が多数存在していることは、今後の受入地域でのマーケティングに大きな示唆を与える」(田中教授)と期待を述べた。

 

交通総合文化展2021の作品を募集 6月1日~7月15日まで、日本交通文化協会

2021年5月10日(月) 配信

誰でも応募可能

 日本交通文化協会(滝久雄理事長、東京都千代田区)は2021年6月1日(火)から7月15日(木)まで、観光や鉄道、旅の写真と俳句を一般募集する。テーマは、写真部門が「日本の交通もしくは新しい観光地」、俳句部門は「日本の鉄道や日本の良さを表現したもの」。

 同協会は「鉄道の日」実行委員会とともに、2021年10月27日(水)から11月1日(月)までの6日間、駅を舞台に日本の芸術や文化、観光の振興を目的とした「交通総合文化展2021」を開く。今回募集する作品のなかから、入選したものは文化展で展示する。同文化展は1954年から65年以上続くもので、東京・上野のJR上野駅中央改札口外グランドコンコースで毎年開催している。

 応募要項の詳細は「交通総合文化展」のウェブサイトから。

 問い合わせ=日本交通文化協会「交通総合文化展2021」事務局 TEL:03-3504-2207(直通)、FAX:03-3504-2224。受付時間は平日:午前9時30分から午後5時30分(土日祝日除く)。

「街のデッサン(241)」小さな店でも観光文化の担い手 鎌倉の人気店の閉店が教えてくれた

2021年5月9日(日) 配信

店が鎌倉文化の舞台だった

 卜部ご夫妻とは、今から十数年前に鎌倉の極楽寺に思い切って「構想博物館」という大仰な名前で研究所と私塾を開設してから、ずっと懇意にしている。2地域居住の実験的意味があって、東京の渋谷と鎌倉のパラレルライフだ。ご夫妻の住まいがその構想博物館の目の前で、建物を建てた折にごあいさつに伺って以来、京都出身の豪放磊落なご主人の圭右氏とは気が合った。よくお茶を一緒にしながら、商売の話や、京都から鎌倉に移り住んだ経緯などを伺った。

 圭右氏は話し上手、父親が彼に輪を掛けて粋人で京都から東京に出て鎌倉に移り住んだ話は小説のよう。ご夫妻の人生にも何度も大波乱があり、結局は長谷の大仏様近くに洒落た「プチカフェ」を経営することになって20年余。私たち夫婦も時々はカフェにお邪魔して、お喋りを楽しんだ。

 この1月中旬、コロナ禍で東京を動けないでいる私たちに、奥さんの裕子さんから電話があった。「お久しぶりね」と電話に出た妻に、裕子さんが切り出した。「実はね、お店を閉めることになりました。長谷の商店街は閑古鳥。昨年の11月ごろから観光客がほとんど来なくなって、周りの店も閉店が増え、主人も85歳になったので、もうこの辺でと見切りを付けました」という。ご夫妻は3年ほど前に逗子のマンションに引っ越しをしていて、長谷の店が無くなると簡単に会えなくなる。妻と私は、急に寂しく悲しくなった。

 もうひとつショックだったのは、東京と鎌倉の行き来に必ず寄って食事をしていた江ノ電駅に隣接したカフェ・ロンディーノが、昨年11月に閉店したことだった。このカフェ食堂は、たぶん観光客にも地元の住民にも鎌倉で一番愛された店ではないかと私は確信している。まずメニューの品々がお安く美味。例えば、看板セットのハンバーグ定食は飲み物付きで800円、10年前は650円だった記憶がある。私は、ワンプレートのハンバーグにジンジャエールを頼んで、本当に満足していた。そして店員がよく訓練されていて、歯切れの良いサービスをしてくれた。開店したのは1967年、53年間の歴史だ。

 店主の沖喜八重さんの父親・安治さんが、美容院を間借りしてスタートさせた。コロナ禍で6週間の休業を余儀なくされたが、閉店の理由は客足ではなく、人手不足などで店の持つ文化の劣化を心配したからだという。卜部さんや、八重さんの店仕舞いは、こうやって長年培われた貴重な鎌倉観光文化資本が失われ、今後その再生が問われると嘆息をしたものだ。

コラムニスト紹介

望月 照彦 氏

エッセイスト 望月 照彦 氏

若き時代、童話創作とコピーライターで糊口を凌ぎ、ベンチャー企業を複数起業した。その数奇な経験を評価され、先達・中村秀一郎先生に多摩大学教授に推薦される。現在、鎌倉極楽寺に、人類の未来を俯瞰する『構想博物館』を創設し運営する。人間と社会を見据える旅を重ね『旅と構想』など複数著す。

 

「もてなし上手」~ホスピタリティによる創客~(124) やった事実ではなく、「できている」レベルのおもてなしを実行しよう 掛けた手間にひと工夫

2021年5月8日(土) 配信

 

 おもてなし力を高める目的は何か。その正しい理解がなければ、現場で実行される行動にも期待する成果は生まれません。

 目の前のお客様に、喜んでもらうおもてなしは正しいことですが、それは手段であり、おもてなしの目的ではありません。目的は「創客」であり、リピーターとして次の利用を創造することにあります。

 現場で実行する、おもてなし効果を最大限にするには、お客様と出逢う初めの印象が大切です。悪い印象を与えると、それを挽回するのに大きな力が必要となります。その後に100点満点の仕事ができても、お客様の評価は80点や50点になるかもしれません。

 逆に、初めに良い印象を与えると、後は非常に楽になるのです。100点の仕事でも、150点や200点の満足度を感じてもらえるでしょう。

 ただ、仮に200点の評価を得ても、次回の選択肢に残っただけです。再利用の確立を1%でも高めることが仕事です。

 そのためには、次の機会をもらえるまでの仕掛けが大切です。

 「お客様へのお礼状を大切にしましょう」とよく話をしています。お客様と接するときだけが、おもてなしを実行する時間ではありません。

 「またお越しいただきたい」という「想い」をお客様に伝えることが、現場で実行したおもてなし行動を生かすことになるのです。

 先日、以前に宿泊したホテルから、3通のお礼状をもらいました。3通ともに手間の掛かる丁寧な手書きのお礼状だったのです。

 ただ、そのうちの1通は、宿泊した特別室の担当マネージャーからでしたが、過去にも、宿泊当日にもお逢いしていない方からでした。

 さらに1通は、当日にも逢って話をした方ではありましたが、書かれている内容は、見本文を書き写したかのような定型的なもので、宛先だけを変えても通ずるものでした。残念ながら、この2通は手間を掛けてもらった割に、感動につながらなかったのです。

 最後の1通は、以前から親しくしていた方からでした。当日は不在であいさつができなかったことへのお詫びと、いまの現状などと共に次回へのお誘いの一筆がありました。

 この3通を手にして感じたことは、掛けた手間を生かすには、もうひと工夫が必要であるということです。

 お礼状を出した、という事実が大切なのではなく、次回の利用を意思決定してもらえることが目的であることを理解すれば、「やっている」行動は、「できている」に変えることができるのです。

 おもてなしとは、お客様を「顧客」から「個客」に変えて接するということが最も大切なことなのです。

 

コラムニスト紹介

西川丈次氏

西川丈次(にしかわ・じょうじ)=8年間の旅行会社での勤務後、船井総合研究所に入社。観光ビジネスチームのリーダー・チーフ観光コンサルタントとして活躍。ホスピタリティをテーマとした講演、執筆、ブログ、メルマガは好評で多くのファンを持つ。20年間の観光コンサルタント業で養われた専門性と異業種の成功事例を融合させ、観光業界の新しい在り方とネットワークづくりを追求し、株式会社観光ビジネスコンサルタンツを起業。同社、代表取締役社長。

 

 

ハウステンボス、スマホ音声ガイド導入 93カ所の見どころ伝える

2021年5月7日(金) 配信

サービスのイメージ

 ハウステンボス(坂口克彦社長、長崎県佐世保市)は5月8日(土)から、トゥーエイトが開発したスマートフォン音声ガイドサービス「音声ガイドで楽しむHUIS TEN BOSCH」を導入する。

 同サービスは、場内マップと連動する機能を搭載し、美術館やアトラクション、建物など93カ所の見どころを利用者のスマートフォンに音声で伝える。対応言語は日本語のほか、英語と中国語、韓国語。来園者は場内マップに掲載されたQRコードや専用ページにアクセスし、利用できる。

「新型コロナウイルス感染症との400日間の闘い」 全旅連ウィズコロナ調査研究会が活動報告書を発行

2021年5月7日(金) 配信

冊子「新型コロナウイルス感染症との400日間の闘い」

 全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会(多田計介会長)のウィズコロナ調査研究会(大木正治座長)はこのほど、冊子「新型コロナウイルス感染症との400日間の闘い」を発行した。新型コロナ対応の活動報告として、「組合員への情報共有に活用してほしい」考えだ。

 冊子は2020年1月から、国内で感染が始まった新型コロナウイルスに関係する主な出来事に加え、全旅連が行った要望や、国の支援策など14カ月間の活動を8㌻にまとめている。また、同調査研究会が5回にわたり実施した「対前年売上比率の推移」などのアンケート調査の結果や、自由回答で寄せられた組合員の意見や考えも掲載している。

 大木座長は想像を超える宿泊業の危機的な状況を受け、「『できることをみんなで考え行動する』協同の組合精神のもとで報告書をまとめた。次の行動に生かしていただければうれしい」と語る。

 なお、冊子の内容は全旅連公式ホームページ「宿ネット」の組合専用ページ「全旅連からのお知らせ」(http://yadonet.blogspot.com/)にも掲載している。

津田令子の「味のある街」「金目鯛煮付けセット」――割烹伊豆の味おか田(静岡県・南伊豆町)

2021年5月7日(金) 配信

郷土割烹伊豆の味おか田「金目鯛煮付けセット」3000円(税込)▽静岡県賀茂郡南伊豆町湊307-1▽☎0558(62)1006。

 美しい海と山、温暖な気候に恵まれた南伊豆湊に創業1985年の「おか田」はある。「純和風の落ち着いた店内は、ゆとりを大切にという思いから設計しました」と代表取締役の岡田正司さんは語る。

 
 NHK総合テレビ「こんにちはいっと6けん」や、NHKラジオ第一放送「タウン情報旅ガイド」の取材で、これまでに南伊豆を訪ねたのは数えきれないが、その度に、料理の素材の豊かさに感激していたことを思い出す。

 
 さて、コロナ禍でなかなか自由に取材に出られないでいるなか、南伊豆の美味しい味が食卓に届く方法があると聞き、早速取り寄せてみた。南伊豆町に隣接する下田市は、金目鯛の水揚げ量が日本一の港だが、この特産の新鮮な金目鯛をさまざまな料理法で提供しているのが、郷土割烹伊豆の味おか田だ。

 
 4月11日に始めたばかりだという「金目鯛煮付けセット」お取り寄せ便のセットの内容は、頭半割1個、カマ1個、身4切入っていて、税込で3000円という超お買い得価格も気に入った。冷凍の状態で送られてくるので冷凍庫での保存になる。「食べる際は冷凍庫から取り出して8~10分ぐらい湯煎して召し上がってくださいね。冷凍調理品なので到着後1カ月以内に」と岡田さん。

 
 おか田の煮付けの特徴は「漁場煮」と呼ばれる地元漁師の料理法で、漁師が船の上で食事をとる際に煮汁自体が、ご飯のおかずになるようにと考えだされたという。もちろん酒の肴にもグッドなのだが、下戸の私は、切り身に箸をつける前に、まずは甘辛い濃い目の煮汁をあつあつのご飯にかけていただいてから、皿にのせられた赤い鱗までたっぷり煮汁で浸した金目鯛に目を向け、厚み1・5㍉はあろうかという肉厚の身を一気にほぐしていく。

 

 口に入れた瞬間、あまりの美味しさに、うなってしまうほど。今までに、これほど柔らかく、しかもしっかり味付けされたキンメの煮付けに出会ったことはなかった。

 
 いつまでも口の中は南伊豆の磯の香りと塩梅良く味付けされた煮汁が、占領している。

 

(トラベルキャスター)

 

津田 令子 氏

 社団法人日本観光協会旅番組室長を経てフリーの旅行ジャーナリストに。全国約3000カ所を旅する経験から、旅の楽しさを伝えるトラベルキャスターとしてテレビ・ラジオなどに出演する。観光大使や市町村などのアドバイザー、カルチャースクールの講師も務める。NPO法人ふるさとオンリーワンのまち理事長。著書多数。