「井川今日子のおもてなし接客術(49)」 滞在中の顧客評価を集めよう

2021年6月19日(土) 配信

 宿泊予約の際、宿のクチコミ評価が最後のひと押しになるのは、今も変わりません。

 顧客評価は、“滞在後”だけでなく、“滞在中”にもしてもらえれば、最終的な評価を上げられると考えています。

 滞在中の不満がその場で解消されれば、お客様の評価の下げ幅は、最低限に留められるのですが、それができないことで、不満指数はどんどん大きくなり、顧客評価が最低にまで下がってしまいます。そのタイミングで滞在後のアンケート評価を依頼されると、自ずと評価点が下がるのは言うまでもありません。

 ただ、アンケートが滞在後だけではなく、滞在中にもできれば、宿側がお客様の不満に即対処でき、お客様も今以上の満足度が得られるはずです。

 それでは、どのようにすれば滞在中にお客様評価(とくに不満点)を集めることができるでしょうか。それはやはり接客を通して確認していくほかありません。

 この時、着目したいのが、「お客様が意見を言いやすい環境を整えられているか」という点です。

 例えば、旅館の夕食提供の時に、スタッフからお客様に「お部屋ではお寛ぎいただけましたか。至らない点はございませんでしたか」などと聞けば、お客様も意見や不満を言いやすくなります。

 一方で、スタッフが料理の説明だけをしていると、お客様が部屋への意見や不満を言うのは、相当にハードルが高いと思います。

 接客中にお客様の意見や不満を吸い上げる仕組み作りをすれば、顧客評価を収集できますが、収集だけでは不十分です。 

 大切なのは、お客様からいただいた意見や不満に即座に対応できる体制を整えることでそこに価値が生まれ、顧客評価向上という結果に結びつきます。

 宿側に不満を伝えたお客様は、その解消を期待しています。それがチェックアウトの時間になっても解決されなければ、当初の不満に加えて「わざわざ不満を伝えたのに無視された」と、不満指数は倍増して、かえって顧客評価が悪くなります。

 また、お客様の不満を吸い上げるのと合わせて、既にいただいた(過去の)クレームを活用しながら、不満を未然に防ぐ取り組みも効果的です。

 たとえば「貸切風呂の温度が熱すぎて入れなかった」とクレームがあった場合、その後に貸切風呂をご利用になるお客様には、「一度浴衣のまま、浴槽の温度をご確認いただけますでしょうか。調整が必要でしたらお知らせください。直ぐに伺います」と声を掛けるといった具合です。

 このように既存のクレームを踏まえた声掛けひとつでも、お客様が意見や不満を言いやすい環境を整えることができ、不満を未然に防ぐことにつながります。滞在中の顧客評価の収集こそが、最終的なお客様評価を上げる近道です。

井川 今日子 氏

おもてなしコンサルタント 井川 今日子 氏

大学で観光学を学んだ後、船井総合研究所を経て、10年に観光文化研究所入社。全国の旅館や観光協会を中心に、女性の感性を活かした集客・固定客化支援で活躍中。商品戦略や販売促進、現場接客サービスなど多岐にわたり提案。

 

 

日観振、ワクチン接種に関する観光産業の緊急アピールを発出

2021年6月18日(金) 配信

観光産業一丸で1日も早いワクチン接種へ協力

 日本観光振興協会(山西健一郎会長)は6月17日(木)、「ワクチン接種に関する観光産業からの緊急アピール」を発出し、東京都内で会見を開いた。「ワクチン接種の進展に伴う社会経済活動の正常化に向けて」を副題とし、観光産業を挙げて1日でも早いワクチン接種に協力するとともに、接種後の経済活動再開に向け、改めて感染拡大防止に努める決意を表明した。

 山西会長は「ワクチン接種は諸外国の例から、発症化や重症化を防ぐのみならず、感染予防にも高い効果があることが明らかになった。ワクチンは長いコロナとの闘いの先に見える光明だ」とし、ワクチン接種が進むとコロナに対する雰囲気も大きく変わることへ期待を込めた。

 このうえで、1日でも早く、1人でも多く接種できるよう産業全体で協力することを宣言した。各地域の観光関係者は地方自治体や医療関係者などとの連携で接種会場の運営や予約受付業務、会場提供、会場までの輸送などを手掛けているが、大企業は職域接種を効果的に進めていくことを記した。

 また、政府に対しては諸外国と連携できる「ワクチンパスポート」の早期導入を求めた。国際的なビジネス再開に向け、観光産業のみならず、日本経済団体連合会など経済界からも要望が上がっており、世界に遅れを取ることがないように検討の加速化を訴えていく。

 ワクチン接種の進展に伴い、社会活動は順次回復すると予想し、地域経済の活性化を期待する半面、改めて観光関係者は感染防止対策を徹底することを確認。ガイドラインの確実な遵守やワクチン接種証明などを活用した旅行、検査付商品などの展開で交流拡大につなげていくとした。

 一方、さまざまな理由でワクチン接種を受けない人への差別や偏見に配慮したうえで、安心安全な観光環境を整備するため、PCR検査の陰性証明を有効活用することなども盛り込んだ。

 会見には副会長らも登壇した。東日本旅客鉄道(JR東日本)の会長を務める冨田哲郎副会長は「観光も運輸も一刻も早い人流の回復が喫緊の課題」とし、自社の状況として需要はコロナ前の50~60%、新幹線などの長距離輸送にいたっては4分の1程度と明かした。安全安心な輸送環境を提供するため、運転士など現場の社員から順次職域のワクチン接種を進めていく。

 髙橋広行副会長(JTB会長)はワクチンパスポートについて「コロナが収束するまで必要なもので、海外旅行でもインバウンドでもスタンダードなものとなる。日本入国時のさまざまな制限についてもセットで考える必要がある」と言及した。また、「飲食業界も観光業界もギリギリの状況で、インフラの維持に必死だ。タイミングを見据えた経済対策を」と訴えた。

HIS、タイに京都の魅力発信するカフェ開く アフターコロナ後の送客課題につなげる

2021年6月18日(金) 配信

Hannari Café de Kyotoの外装と店内のようす。2回では京都産品も販売する

 エイチ・アイ・エス(HIS、澤田秀雄会長兼社長)のタイ法人であるH.I.S.TOURS CO.,LTDは6月9日(水)、タイのバンコクで「食」・「モノ」を通じて京都の魅力と文化を発信するカフェ「Hannari Café de Kyoto」をオープンした。

 同法人は、京都旅行専門サイト「Kyoto Special」を運営するなど、インバウンド需要の創出に向けて京都府と連携していたが、コロナ禍での渡航規制などで、送客できていない。これを受けて、フターコロナを見越して、タイからの送客拡大につなげようと、タイへの輸出拡大を進めている京都府と同府の企業と協力し、物販を通じて京都の魅力を感じてもらう。

 営業時間は毎日午前10:30~午後9:30。店内の1~2階にはカフェとイートインスペースを設けた。このうち、2階は畳を敷き、京都府と連携し、加工食品と雑貨を中心とした京都産品を販売する。

 タイでは日本をテーマにしたカフェやレストランが人気で、日本のチェーン店も多く進出するが、同カフェはタイ人には馴染みのない喫茶店をコンセプトにした。 メニューとして、京都産の抹茶を使用した薫り高い抹茶ドリンクとスイーツを提供する。

 今後は、京都府と同県の企業と連携したメニューの展開や京都の魅力と文化を発信するイベントも開く。


 

冬は「流氷サウナ」に 世界遺産を望むデザインサウナが誕生 北こぶし知床 ホテル&リゾート

2021年6月18日(金) 配信

「UNEUNA」(左)のうねりは、3D加工で木材を削り出して曲線を形取った

 北海道・知床の「北こぶし知床 ホテル&リゾート」は2021年6月19日(土)、時代に合わせてサウナ室をリニューアルオープンする。

 新しいサウナ室には、風景をパノラマで切り取る大きな窓を設置。眼下には、世界自然遺産・知床の大自然が広がる。連なる山々と雄大なオホーツク海に、すべるように飛ぶカモメと海原はるかを行き交う漁船や観光船。テレビはなく、聞こえるのはほのかなBGMのみだ。冬季は「流氷サウナ」として楽しめる。水風呂で体を引き締めた後は、露天スペースに設置された外気浴用のイスで澄んだ空気を体いっぱいに取り込み、心も体もしっかりと”ととのえ”たい。

 今回のニューアルは、サウナー専門ブランドやサウナのプロデュースを手がけるTTNEが監修。ダイナミックな流氷をイメージして直線的なデザインを力強く表現した「KAKUUNA(カクウナ)」と、木の洞窟をイメージして緩やかな曲線でうねりを描いた 「UNEUNA(ウネウナ)」が誕生する。「UNEUNA」のうねりは、世界でも珍しい3D加工で木材を削り出して曲線を形取っている。

 サウナストーブは、世界一のシェアを誇るHARVIA社製を採用。ストーブを囲む壁面には六方石を使用し、知床の切り立った岩肌を表現している。ストーブの上のサウナストーンは、地下深部にあるマグマから生成されたものを使用した。サウナ内のBGMは、サウンドアーティストの松本一哉氏が知床の地で環境音との即興演奏による録音・制作したドキュメンタルなサウンドを音源に使用している。

21年版観光白書 Go Toなどの施策を振り返る

2021年6月18日(金) 配信

政府は6月15日(火)、2021年版の観光白書を閣議決定した。

 政府は6月15日(火)、2021年版の観光白書を閣議決定した。同書は4部構成。観光立国推進基本法に基づいて、毎年国会に提出している。21年版では、例年通り国内外の観光の動向を掲載するほか、新型コロナウイルスが観光にもたらした影響を幅広い観点から分析。また、20年度の施策の振り返りや、観光のトレンドの変化、日本の観光の特性と課題点、観光立国の実現に向けた具体策──などを報告している。

 

Go To実績、5000億円の支援

 政府は20年度中、新型コロナの感染拡大防止策の徹底と共に、Go Toトラベル事業などの需要喚起策の推進を行った。この結果、20年11月にかけて国内旅行の需要が回復した。しかし、12月に再び感染拡大が起こり緊急事態宣言を発令したことで、全国一律で事業を一時停止し、需要は再び減少した。

 同事業の利用人泊数は約8781万人泊、支援額は約5399億円だった。Go Toを利用した宿泊旅行の平均泊数は約1・35泊で、1泊での利用が最も多かった(約8割)。1泊当たりの利用価格は「5000円以上1万円未満」が最多で、次いで「5000円未満」が多いことから、比較的低価格帯で利用された。

 また、国内旅行者の約67%が事業を利用したと回答した。

 

コロナで観光のトレンドが変化

 観光のトレンドの変化として、国内旅行では県内や近隣地域内での観光の割合が増加し、マイクロツーリズムが浸透した。旅行の同行者については、「夫婦・パートナー」の割合が増加する一方で、「友人」が減少した。旅行形態では「個人旅行」が増えてきていると報告した。

 人ごみなどの3密を回避したい思いから、アウトドアが人気を集めた。また、新しい旅のスタイルとして、滞在型観光や分散型旅行などを、旅行会社・交通事業者と連携して促進している宿泊施設も見られる。

 コロナ禍でテレワークが普及した影響で、「ワーケーション」の周知が広まった。とくに20代から30代からの実施希望率が高い。受け入れ側の地方や宿泊施設などは、施設の整備やコンテンツの造成を行っている。

 

日本の観光を分析、課題解決を目指す

 政府は、日本の国内旅行の特徴として、宿泊日数の短さや、月別旅行消費額に偏りがあることなどを挙げた。加えて、宿泊業の労働生産性や年間賃金が、全産業の平均に比べ低いことも指摘。宿泊業や飲食サービス業の入職率と離職率が、他産業に比べて高かった。

 これらの課題を解決するため、観光業の体質強化と、魅力向上やデジタルトランスフォーメーションなどを目的とした観光地の再生に向けた取り組みを行った。

 21年度は、事業の継続や雇用の維持への支援を行い、国内需要喚起に取り組む予定だ。また、魅力的なコンテンツの造成や、訪日外国人観光客の受入環境整備に力を入れ、インバウンドの段階的復活に向け準備を進める。

 

国内外の観光動向、全部門で大幅減へ

 国連世界観光機関(UNWTO)の調査では、20年の国際観光客は前年比73・1%減の3億9400万人だった。うち、訪日外国人旅行者数は412万人で、同87・1%減と大幅に減少した。訪日外国人旅行消費額(試算値)は同84・5%減の7446億円だった。

 日本人の国内宿泊延べ人数は同48・4%減の1億6070万人、日帰り旅行は同51・8%減の1億3271万人となった。日本人国内旅行消費額は、同54・5%減の10兆円だった。うち、宿泊旅行は7・8兆円、日帰り旅行は2・2兆円と、どちらも前年から5割減となった。

 また、日本の観光動向(宿泊旅行)として、20年は客室稼働率が34・6%となり、前年から28・1㌽減に落ち込んだ。シティホテルや、ビジネスホテルの客室稼働率は相対的に高い水準となったが、旅館やリゾートホテルよりも前年比の落ち込み幅が大きかった。

5月の訪日外客数、19年同月比99.6%減の1万人 JNTO発表

2021年6月18日(金) 配信

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 日本政府観光局(JNTO、清野智理事長)が6月16日(水)に発表した2021年5月の訪日外客数(推計値)は、前々年同月比99.6%減の1万人だった。新規入国の一時停止のほか、ビジネストラック・レジデンストラックの運用停止など、国境をまたぐ往来の制約が続いていることが主な要因。観光目的の入国も引き続き認められていない。日本人の出国者数は、同97.9%減の3万100人だった。

 訪日外客数の前年同月比は、501.3%増と大幅に増加した。だが、前年同月は多くの国で海外渡航制限や外出禁止などの措置が取られ、日本も検疫を強化したことにより、前年の月別で最少の1663人だったことから、今回の伸率が大きくなった。

 市場別の人数は、中国の1800人が最多で、次いで韓国と米国の各1000人、フィリピン600人、インド500人の順だった。

千葉県・リソルの森 ワクチン「済証」提示で3千円を割引 巣ごもり疲れ癒すプラン発売

2021年6月18日(金) 配信

長柄カルナの湯(男性大浴場)

 体験型リゾート施設「Sport&DoResortリソルの森」(佐野直人社長、千葉県長柄町)はこのほど、長引くコロナ禍での巣ごもり疲れを癒す宿泊プランを企画した。プラン利用者には、新型コロナワクチン接種を終えた人に発行される「接種済証明書」を提示すると、1泊1人につき3千円を割引くキャンペーンも実施している。

 コロナ禍で外出を控えていた高齢者層中心とした温泉宿泊利用需要を見込み、温泉と食事つきの宿泊プラン「プチ湯治!森のスパリゾート湯めぐりプラン」を2021年6月23日(水)~7月16日(金)までの平日に提供する。

 夕食場所は、旧スイス大使館として使用された格調高い建物で現在は国の「登録有形文化財」に登録されている趣のある和食処「翠州亭」を利用。房総の漁港に水揚げされたばかりの新鮮な海の幸をはじめ、大地に育まれた採れたて野菜など、旬の地元食材を生かした和食御膳を用意する。朝食は、地元の新鮮野菜を使用したサラダやスープ、オムレツなど、彩り鮮やかな料理をバスケットに詰めて客室へ届けてくれる。

 客室は、眼下に中房総の森が広がり、遠くに海を臨む16階建てのホテル棟「トリニティ書斎」の「リラクゼーションスイート」(80平米)。好きな香りの自家栽培ハーブを収穫し、桶に入れて湯を注ぎ、足を浸してリラックスできるフットハーブバスの特典も付く。

 宿泊料金は1泊2食付きで1室1人利用3万7470円、1室2人利用2万5150円。新型コロナワクチン2回接種者限定割引サービスとして、宿泊料金から1人につき3千円、2泊以上連泊すると同6千円を割引く。(チェックイン時に接種済証明を提示する)

 リソルの森では、地下600メートルから湧出する海のミネラル豊富な黒褐色のとろとろとした肌触りの天然温泉「紅葉乃湯」と、北海道二股温泉から採取された原石より溶け出した乳白色の準天然温泉を楽しめる「長柄カルナの湯」が楽しめる。「長柄カルナの湯」には炭酸泉もあり、両施設合わせて3種類の泉質を楽しむことができる。

シリウム、航空市場を分析 需要回復は2024年以降と予測

2021年6月17日(木)配信

アジア担当コンサルタントのジョアナ・ルー氏

 航空データの分析を行うシリウム(Cirium、英国)はこのほど、新型コロナウイルス禍での日本の旅客便や貨物便の運航状況を踏まえ、日本の航空会社の動向と需要回復を予測。2019年の世界の旅客数レベルにまで回復するのは24年以降と予測し、回復状況は各国で違うと明らかにした。

 アジア担当コンサルタントのジョアナ・ルー氏は、今年も日本の国内線の座席提供数が激しく変動していると指摘。「4月は19年の70%、ゴールデンウイークは90%まで回復したが、最近のコロナ感染者数の急増によって、5月19日時点で25%以下まで減少している」と説明した。

 旅客数についても、他のアジア太平洋諸国の大型国内線市場と比べ、日本の回復が遅れていると述べた。回復状況について、ルー氏は「コロナの抑制状況や対策の成否で決まってくる。そのため、日本では旅客数が抑制される状況が続く」との見通しを示した。

 この結果、国内便の市場が縮小傾向にあり、航空会社がそれに対応するため新たな戦略を採用し始めている。ビジネスよりもレジャーの旅客が早く回復すると見込まれることから、「JAL(日本航空)やANA(全日本空輸)がLCCとの関係を強化する戦略に打って出ている」と語った。

単通路機は稼働が安定、双通路機は新型移行へ

 座席提供数の減少で運航機数も縮小しているなか、ワイドボディ(双通路)機と比較して、ナローボディ(単通路)機の方がコロナの影響を受けにくいと説明。稼働率についても、比較的安定していると語った。

 とくに20年は、ワイドボディ機の長距離輸送が激減したことで運航停止の対象となり、21年に入ってから大量のボーイング777が運航停止・駐機状態となった。コロナ禍以降、全般的に稼働率が低下し、とくに大手航空会社の老朽化したワイドボディ機の稼働率が顕著に下がっている。結果として、ワイドボディ機の老朽機を新たな新機材タイプへ置き換える動きがみられているという。

 現在のワイドボディ機は、このような需要の減少によって航空機価値が下落し、供給過剰状態のため資産価値も下がっている。一方で貨物輸送機は、貨物輸送量が今後も増大する見込みのため、その価値が高まる傾向にあると述べた。

 なお、コロナ禍で増加した日本の航空貨物需要は、外資系貨物航空会社が需要に合わせて輸送量を増やして対応。日系貨物航空会社の輸送量は、19年とほぼ同等レベルだったと振り返った。

将来の需要回復を予測、アジアは24年5月ごろ

 シリウムでは将来のトレンドを見据えるため、コンサルタントチームがコロナ禍以降の回復シナリオをたてている。19年時の需要までの回復は、少なくとも2年ほどかかり、回復速度は地域により異なると予測。現在の市場状況に近いシナリオの場合、アジア太平洋地域は24年5月ごろに、世界的には同年8月ごろに回復すると見ている。

【北海道】ウポポイー二風谷コタン間に今年も直通バス 札幌・新千歳空港発着 7月から

2021年6月17日(木) 配信

バス車体にはアイヌ文様を取り入れたデザインを施した。

 札幌観光バス(福村泰司社長、札幌市清田区)は2021年7月3日(土)から、札幌・新千歳空港発着で白老町の民族共生象徴空間「ウポポイ」と平取(びらとり)町の二風谷(にぶたに)コタンとを結ぶ周遊バス「セタプクサ号」を運行する。旅行代金は大人3千円。

 昨年に引き続き、平取町からの委託を受け実施する事業で、運行日は31日間から36日間へと拡大する。車両も昨年と異なる新しいデザインで、二風谷の工芸家・貝澤守氏と髙野啓子氏が共同で手掛けた。背景色はアイヌ民族の最も身近で尊い神・アペフチカムイ(火の神)の炎をイメージした「朱(あけ)」を採用した。

 バスには添乗員の資格を持つバスガイドが同乗し、各地の見どころやポイントを案内する。期間中は、二風谷地区での町歩きガイドやマルシェの開催など、地域をより深く知ることのできる仕掛けも予定している。

 近年、白老町の「ウポポイ」開業や「北海道」命名150 年をはじめとして、アイヌ文化への関心が高まっている。平取では生活に根付き生業となっているアイヌ文化を「体験して」学び、白老ではアイヌ文化を「見て」学ぶことにより、アイヌ文化への理解や交流を深める環境が整いつつある。周遊バスが札幌駅や新千歳空港から白老、さらに平取へと繋ぐことで、アイヌ文化を気軽に学ぶ環境づくりの一助となることを目指す。

 バスの愛称「セタプクサ」はアイヌ語で「すずらん」の意味。平取町内に、住民によって大切に守られてきた北海道原種のすずらんの、日本一の群生地があることにちなんでいる。

セタプクサ号

【2021年9月13日(月)追記】北海道へ発令されていた緊急事態宣言の延長を受け、セタプクサ号の運行日が下の通り変更となります。

・運行を中止する日程:2021年8月28日(土)、29日(日)、9月4日(土)、5日(日)、11日(土)、12日(日)、9月18日(土)、9月19日(日)、9月20日(月・祝)、9月25日(土)、9月26日(日)

・振替で運行する日程:2021年10月23日(土)、24日(日)、30日(土)、31日(日)、11月3日(水・祝)、6日(土)、11月7日(日)、11月13日(土)、11月14日(日)、11月20日(土)、11月21日(日)
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 運行日:2021年7月3日(土)~10月17日(日)の土・日・祝日
  ※ただし9月23日(木・祝)は運休

 運行スケジュール:1日1便運行
  札幌駅北口                           /午前 8:40出発
  新千歳空港  午前 9:40到着/午前10:00出発
  ウポポイ   午前11:00到着/午後 1:00出発
  二風谷コタン 午後 2:30到着/午後 4:30出発
  新千歳空港  午後 5:30到着(降車希望ない場合札幌駅北口に直行)
  札幌駅北口  午後 6:30到着
  ※二風谷コタン滞在中、希望者はバスで「びらとり温泉ゆから」に送迎あり

 旅行代金(各税込):
  札幌駅・新千歳空港→ウポポイ→二風谷コタン→新千歳空港・札幌駅  3千円
  札幌駅・新千歳空港→ウポポイ→二風谷コタン   2千円
  ウポポイ→二風谷コタン→新千歳空港・札幌駅        2千円

 問い合わせ:札幌観光バス ツーリズム営業部 電話011-206-0225

「コロナ禍の五輪」を成功させる デジタルを最大限に活用(観光庁長官会見)

2021年6月17日(木) 配信

観光庁の蒲生篤実長官は6月16日(水)、会見を開いた

 観光庁の蒲生篤実長官は6月16日(水)に開いた会見で、東京オリンピック・パラリンピック(以下、五輪)について「コロナ禍においての五輪を成功させることが重要」と力を込めた。外国人観光客がいないなかでの開催となった今大会。大会の映像を世界に配信することで開催国への関心を高めてもらうのが従来のオリ・パラのパターンだとして、「4年前より大きく進化しているデジタル技術を最大限活用していく」考えだ。

 蒲生長官は、「オリ・パラの開催に向けてさまざまなものを準備してきた」とし、外国人の受入環境整備や、ユニバーサルデザインのまちづくりなどを例に挙げた。こういった環境整備が、「今後の日本の観光に“コロナレガシー”として役立つのではないか」と見ている。

県民割は新たに5県が交付決定

 「地域観光事業支援」の県内旅行の割引事業に対する支援状況を発表した。15日(火)時点での交付申請は28県。山形、福島、新潟、福井、鳥取県の5県に対し、新たに交付決定を行った(計18県)。

 地域観光事業支援に追加措置として加えられた「宿泊事業者による感染防止対策などへの支援」には、38府県からの交付申請があったと報告した。うち交付決定を行ったのは、東北4県、関東3県、中部3県、近畿5県、中国2県、九州4県の計21府県。

 この支援では、各都道府県が行う、宿泊事業者が感染拡大防止策の強化に取り組むときの費用を財政支援する。

Go To再開向け、接種率も議論に

 全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会が6月15日(火)に開いた通常総会で、青年部は「国内のワクチン接種率が55%となる見通しの9月中旬を目途に、Go Toトラベル事業の再開を求める働きかけを行いたい」との意向を示した。

 蒲生長官はこれについて、「Go Toトラベルの再開基準として定めているのは感染状況のステージ」とし、「ワクチン接種率と感染状況のステージの因果関係についての議論は、日本ではまだ行われていない」と述べた。そのうえで「全旅連青年部の提言や提案が、議論へ一石を投じていくことになるのでは」と期待感を示した。

帰国後に14日間、日本の隔離緩和は

 スペインは5月21日(金)、ワクチン接種済みの渡航者に対し、入国制限を解除したことを発表した。

 一方で、日本からの入国者も受け入れているものの、日本への帰国時には14日間の隔離措置が行われる。アウトバウンド商品を販売している旅行会社からは、隔離免除を求める声が出ている。

 蒲生長官は「ワクチン接種率と感染状況ステージの改善が見られたら、各省庁間で水際対策についての議論が行われると思う」としたうえで、「旅行、宿泊事業者のニーズをヒアリングしたうえで、改善の方向性について注視していく」方針だ。