会津トラベルサービスがファム 絶景×美食で誘客 「ここでしか味わえない」旅

2021年10月25日(月)配信

手作りバターをのせて、山野辺シェフが仕上げを

 会津トラベルサービス(木村洋介社長、福島県会津若松市)は9月29日、南会津の雄大な高原牧場を会場に、1日限りのアウトドアレストランで食事を楽しむ、「『ここでしか味わえない』旬の旨味【絶景】×【美食】ファムツアー」を開き、マスコミや観光事業関係者ら15人が参加した。

 取り組みは会津バスが受託した観光庁の「地域の観光資源の磨き上げを通じた域内連携促進に向けた実証事業(福島県沖地震等の風評対策)」を活用したもの。アウトドアレストランツアー「Food Camp(フードキャンプ)」を手掛ける孫の手トラベル(山口松之進社長、福島県郡山市)が企画協力した。

 今回の舞台は那須連峰の麓、下郷町にある金子牧場。標高約700㍍の酪農に適した高原地帯で、乳牛48頭、ジャージー牛12頭を飼育している。なかでもジャージー牛の生乳は全国的に生産量が少なく、乳成分が高くミネラルを多く含むのが特徴だ。牧場長の金子正彦さん案内で牛舎見学をしたあと、体験メニューとして人気の「バター作り」を楽しんだ。

牛舎を案内する金子さん

 ツアーの目玉は、生産者と共に食卓を囲むことで得られる「食の感動体験」。手作りバターもランチを彩る素材の1つとなった。5品のコース料理は、銀座や葉山で腕を振るい、現在は下郷町でフランス料理レストランを経営する山野辺宏シェフが担当。地元で採れた松茸がふんだんに入ったスープや奥会津牛のローストなどを堪能した。山野辺シェフは「青空の下で料理を提供するのは新鮮。楽しみながら協力しています」と、顔をほころばす。

 企画を担当した会津トラベルサービスで着地型旅行を企画する渡部実係長は「地域の連携を深めることで深掘りしたコンテンツを開発し、観光誘客につなげたい」と意気込む。今回と10月に実施するファムツアーでの声を受け、中身をブラッシュアップさせたい考えだ。

「観光人文学への遡航(16)」 パラオに学ぶ島としての日本のコロナ対策

2021年10月24日(土) 配信


 パラオ共和国のフランシス・マツタロウ大使がこのたび、帰国されることとなった。元々の任期は昨年までだったのだが、コロナの広がりによって任期が延長され、ようやくグアムとの定期便も再開されたことから、帰国の予定が立った。

 
 パラオは1994年の独立以来、観光業を国の基幹産業に据え、その美しい海に魅了された人はもちろん、第2次世界大戦の激戦地ペリリュー島を中心に、遺骨収集や慰霊のために訪問する人が絶えずいた。

 
 印象深いのは、現在の上皇・上皇后両陛下が2015年にペリリュー島をご訪問されたことである。両陛下のご訪問は現地で大歓迎を受け、ペリリュー島ではご訪問を受けた4月9日が現在も祝日となって、後世まで語り継いでいこうという強い意志を感じる。

 
 そのパラオは、国際観光がコロナによって停止され、観光関連産業も大打撃を被っている。フィリピン人をはじめとする観光関連産業の従事者も本国への帰国を余儀なくされた。私の教え子が1人パラオで現地ガイドとして活躍していたが、彼女も帰国してきた。

 
 しかし、そのような状況下においても、観光関連産業には国家が保障して、倒産を回避しながら、徹底した入国制限を行っている。

 
 その結果、いまだにパラオのコロナ感染者は累計でも0のままである。小さな島国で、医療体制も十分であるとは言い切れない状況だから、ひとたび感染が広がってしまったらとんでもないことになってしまうため、そこは徹底した入国制限をしている。

 
 おかげで、とくに中国人観光客の激増に伴って危ぶまれた環境への負荷が減少し、珊瑚や毒のないクラゲとともに泳ぐことができるジェリーフィッシュレイクのクラゲの数も元通りの数になってきたそうである。今のコロナ危機は、観光地の環境再生だとポジティブに考えているようである。

 
 日本において、最多の感染者を発生させ、自宅療養という名の医療崩壊を招いた第5波は、明らかに東京オリンピック・パラリンピックに伴う入国者の増加と、当初関係者が主張していたバブルが形成できなかったことによる。入国者を自由に活動させたら、感染が広がるに決まっている。

 
 もう今回のオリ・パラで、個人旅行にバブル形成は期待できないことがわかったはずだ。ならば、コロナ後のインバウンドの復活は、個人旅行ではなく、団体旅行で再開すべきなのではないか。

 
 そこには、今まで我が国の旅行会社に蓄積された数々のノウハウが生きてくる。お題目ではない真の安心安全を、旅行者にも、そして旅行者を受け入れる観光地に住む地元の人々にも提供するために、旅行会社が今までのノウハウを結集して、団体旅行で実施すべきだと強く主張したい。 

 
 自国民に負荷がかかるインバウンドの復活を大多数の国民は求めていない。

 

コラムニスト紹介 

島川 崇 氏

神奈川大学国際日本学部・教授 島川 崇 氏

1970年愛媛県松山市生まれ。国際基督教大学卒。日本航空株式会社、財団法人松下政経塾、ロンドンメトロポリタン大学院MBA(Tourism & Hospitality)修了。韓国観光公社ソウル本社日本部客員研究員、株式会社日本総合研究所、東北福祉大学総合マネジメント学部、東洋大学国際観光学部国際観光学科長・教授を経て、神奈川大学国際日本学部教授。日本国際観光学会会長。教員の傍ら、PHP総合研究所リサーチフェロー、藤沢市観光アドバイザー等を歴任。東京工業大学大学院情報理工学研究科博士後期課程満期退学。

旅のUDアドバイザー開講1周年記念 「私の旅のユニバーサルデザイン」②  学び(情報)のアップデートが重要――介護旅行ナビ代表、鹿児島県旅行業協同組合ソリスター 堤 玲子氏

2021年10月23日(土) 配信

介護旅行ナビ代表、鹿児島県旅行業協同組合ソリスター 堤玲子氏

 私は「介護旅行ナビ」という、1人では外出が難しい人に付きそう同行サービスを行っています。

 
 また、鹿児島県旅行業協同組合と、ソリスター契約を結び、ユニバーサルツーリズムプランナーとして企画、手配をし、年齢や障害、性別に関わらず、多様な方が「旅行」を通して、生きがいや、楽しみをもっていただけるよう奮闘中です。

 
 ツアーメニューは、お客様が「行きやすい場所」ではなく、「行ってみたい場所」を中心に造成しています。事前にお客様への配慮が必要なことを聞き取りさせていただき、いかにしてご要望を叶えるか知恵を絞ります。

 
 排泄のことなど、ナイーブなこともお聞きしないといけないため、言葉を選びながら、失礼にならないよう心掛けています。

 
 行程の作成には、目的地の段差の有無、トイレの設備など、事前調査に時間がかかるのですが、「私に旅ができるなんて夢みたい」などのお声がうれしくて、楽しく取り組んでいます。

 
 なかでも「プレミアムな旅」と称して、小学生から高齢者、車イスや盲導犬ユーザー、LGBTの方もご参加いただいたツアーは、「通称、ごちゃまぜツアー」と呼ばれました。

 
 大型リフト付きバスが満席となり、障害のあるなしに関わらず、くだもの狩りや、陶芸体験、古民家レストランでのランチを楽しんだ皆様が、まるで家族旅行のような温かい雰囲気で終了しました。

 
 「次はいつ? また、行きたい」というお声があったにもかかわらず、新型コロナウイルス感染症により断念せざるを得なかったのが、本当に残念でした。

 
 でも、こんなときこそ、新しい時代に向けて動き出さねば、と「旅のユニバーサルデザインアドバイザー」を受講しました。

 
 私は外出支援に関する資格を持ち、バリアフリーの勉強も続けてきたつもりですが、今回、受講して、学び(情報)のアップデートの重要性を感じました。

 
 受講内容をヒントに、インバウンド向けのユニバーサルツアーの準備も始めています。いつか、この資格を、介護・福祉に携わる方々にも取得してもらえないかと妄想中です。私にとっての「旅のユニバーサルデザイン」とは、誰もが旅をする希望を失わないでいられる仕組みづくりなのです。

 
 最後に、ことあるごとに思い出す、認知症と診断されたお客様の言葉を紹介します。

 
 「昨日、何を食べたかを忘れても、明日、どこに旅をするかの自由まで手放すわけにはいかないんだよ。旅は僕たち夫婦の希望なんだ」。

飛鳥Ⅱ 104日間の「2023年世界一周クルーズ」実施を発表

2021年10月22日(金) 配信

飛鳥Ⅱ「2023年世界一周クルーズ」実施を発表

 郵船クルーズはこのほど、同社が運航する客船「飛鳥Ⅱ」(5万444㌧)による「2023年世界一周クルーズ」の実施を発表した。

 通算23回目となる世界一周クルーズの航路は、23年4月2日に横浜、翌3日に神戸を出港。アジア、スエズ運河、地中海、西欧、北欧、北極圏、大西洋を渡り、北米東海岸、カリブ海、パナマ運河、北米西海岸、太平洋を経て、7月14日に横浜、翌15日に神戸に寄港する104日間の予定だ。

 陸路・空路で内陸観光を楽しめるランドツアー(別料金/定員制)では、スイスの名峰の絶景や、マチュピチュ(ペルー)など、世界遺産を訪れるツアーも企画している。

 同社は「感染症対策に真摯に取り組み、魅力的な船旅を提供したい」としている。

9月の訪日外客数、29.3%増の1万7700人 ワクチン接種者は行動制限緩和も(JNTO発表)

2021年10月22日(金) 配信 

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 日本政府観光局(JNTO、清野智理事長)が10月20日(水)に発表した2021年9月の訪日外客数(推計値)は、前年同月比29.3%増の1万7700人だった。コロナ禍前の前々年同月比では99.2%減の低水準となった。

 観光目的の国際的な移動に制約が続く一方で、ワクチン接種が普及するなどの影響で、欧米市場を中心に一部の国では入国後の行動制限が緩和されている。日本においても10月以降、一部の国・地域からのワクチン接種証明保持者の入国後の待機期間を短縮するなどの動きが見られている。

 市場別の人数は、中国の4000人が最多で、次いで韓国2200人、米国1700人、ベトナム1000人、インドネシアとインド、フランスの各500人の順だった。

 日本人の出国人数は、前年同月比65・8%増(19年同月比97・0%減)の5万2400人だった。

〈観光最前線〉出羽三山で祈りの本質想う 

2021年10月22日(金) 配信

羽黒山参道の石段から見る夕陽

 丑年御縁年参りに山形・出羽三山へ。出羽三山はそれぞれ開山の年を御縁年としているが、出羽三山がそろった開山成就の「丑年」(湯殿山開山の干支)には三山大神の御神徳が最も高まり、お参りを果たすと12年分の御利益を得られるとも伝えられている。

 現世の幸せを祈る山「羽黒山」では2446段の石段を登りながら、人生の険しさに思いを巡らす。8合目から参拝した死後の安楽と往生を祈る山「月山」では、沈みゆく夕日に西方浄土の美しさを重ねる。そして、生まれ変わりを祈る山「湯殿山」では、雨と霧が創り出す幽玄な雰囲気に圧倒された。自然の美しさと厳しさに向き合いながら、神仏に祈りをささげることを神と一体となると考えた古の人の気持ちが、少し理解できた気がした3日間だった。

月山から見る夕陽は西方浄土を思わせる美しさ

【寄稿】日本商工会議所 観光専門委員会 委員 須田寬氏、多目的“Go To”を期待

2021年10月22日(金) 配信

須田寛氏

 対コロナ緊急事態宣言も解除され観光も少しずつではあるが復活の兆しが見えてきた。

 国もGo Toトラベルキャンペーンを新内閣のもとで復活すると聞く。

 復活に当たっては昨年実施した際の反省もあり、閑散時の旅行便宜につながるような配慮を加えるなど改善したうえで実施されるとのことで、あるいは本稿掲載までにはその方法が明らかにされているかもしれない。

 遅ればせながら今後のGo Toの施策について、次のような提案をさせていただきたいと思う。

 Go Toの復活(“復活”というより“新キャンペーン”の実施と考えたい)の目標に、従前の「(観光)旅行の復活(増加)促進とそれによる観光業界の苦境救済」と共に、「今後の新型コロナ感染防止ないし流行収束のための『新観光』促進」を掲げてはと考える。

 専門家の知見によればコロナは今後も程度の差はあれ、当分波動的に蔓延が続くと考えられ、長期にわたって警戒予防対策が必要だとのことである。いわばウィズコロナの状況が当分続くことになる。

 この状態のなかでも「観光」を持続発展させるために、さらに進んでコロナ感染防止を、観光行動を通じて行えるような施策を工夫し、その促進のためのGo Toにできればと思う。

 たびたび提唱されているように、コロナ感染防止に重要な「3密回避」の旅行方法を観光に伴う交通機関の利用と、宿泊供食施設利用のなかで実施定着させるため、Go Toとその資金を活用することを考えたい。
 

 交通機関については、5列座席の3列利用、4列座席の2列利用など座席定員以下の利用で「密」を防止する。旅館、ホテルの利用に当たっても個室利用をはじめ、4人室の3人利用や2人室の1人利用などとし、会食などでも同様の座席数以下での利用とする。

 さらに、進んで各施設とも必要に応じて座席間隔や壁(プラスチック板など)設置など、設備上の感染防止対策も恒常化することが必要であり、今後、これらは臨時措置でなく“対コロナ観光特別メニュー”として定常的に提供することを考えたい。

 この場合、事業者側で得べかりし収入を失う(定員以下の利用による減収)恐れがある。この補填を一部は観光客に「安心料」として上乗せして、一部を負担してもらうことも考えられる。Go To資金によって、全部ないし一部を補填し、事業者の負担を軽減して、全体として利用促進をはかることである。

 さらに、現在Go Toは緊急対策であり、継続的なものとはされていない。しかし、前述のようにウィズコロナが長期間続くと考えられるので、コロナの完全収束を見るまで、即ち“対コロナ観光メニュー”が必要な期間持続してはと考えられる。再開のGo Toキャンペーンを旅行費用の一率補助から一歩進んで①コロナ収束のための施策として、また②持続的観光の発展③業界の経営環境改善のため――など多目的に活用することを期待したいと思う。

アトキンソン氏が講演 富裕層観光の重要性訴える(ラグジュアリージャパン観光推進機構)

2021年10月22日(金) 配信

講演を行うデービッド・アトキンソン氏

 ラグジュアリージャパン観光推進機構(富山直之代表理事)は10月20日(水)、第1回「富裕層観光戦略ウェビナー」を開いた。政府の成長戦略会議のメンバーであり、「新・観光立国論」の著者であるデービッド・アトキンソン氏(小西美術工藝社、社長)を講師に迎え、アフターコロナの観光戦略として、「富裕層観光に取り組むべき理由」について講演を行った。

 

 アトキンソン氏は富裕層観光に取り組むべき理由について、「外国人が良いと思うものは、日本人にとっても良いものである。国籍関係なく楽しめるコンテンツの開発と、より質の高いサービスの提供が必要だ」と語った。これにより、長期滞在を促し、観光消費額の増加を狙う目的。

 社員旅行やバスツアーなどが主流だった昭和期のマス観光は「大量生産的」だとして、多くの観光客を動かすための観光だったと指摘した。「交通機関や旅行会社だけが多くの利益を得るような仕組みは、今の時代にそぐわない」とした。

 近年では人口減少に伴い観光客が減少している。とくに現役世代の若い層が旅行しなくなったことについて、アトキンソン氏は「ピーク時に比べ、日本国内の観光客は3000万人も減少している。これはイギリスの労働人口と同じだ」と危機感を示した。「選択肢としては、古い施設を廃業させ1カ所にお客を集中させるか、訪日観光客に来てもらって減少分の穴埋めをしてもらうか。日本は後者を選択した」と振り返った。

 同氏は、「昭和型のマスツーリズム志向から脱却し、『高付加価値』な観光サービスの提供に舵を切るべきだ」と以前から主張していた提言を改めて述べた。

 

アフターコロナでは富裕層が早期回復

 新型コロナ感染症の流行で需要が消滅したインバウンドについて、回復傾向の予測が国連世界観光機関(UNWTO)から発表された。

 この予測によると、インバウンド回復後の日本の観光収入はコロナ前よりも若干伸長するものの、観光客数については以前の8割程度の回復に留まると言われている。

 原因として、クルーズや航空会社の相次ぐ倒産により、多くの訪日外客を運べないという理由が挙げられる。

 同氏は、「客数が少ないのに観光収入が増えるということは、1人当たりの旅の予算が増えているということ。アッパー・ミドル層の回復がマス層よりも早い」と分析した。こうした予測を踏まえ、より旅行にお金を掛ける層(アッパー、ミドル)を満足させられるサービスの提供が必要だと力説した。

 

文化・歴史の魅力を伝え、地方活性化へつなげる

 また、ごく最近までは神社などの歴史的建造物や施設などに観光資源の解説文が不足しており、その地域の文化や歴史を知る環境が整っていなかった。こうした課題を受け、観光庁は2018年から「地域観光資源の多言語解説整備支援事業」に取り組んでいる。

 アトキンソン氏は、「地域の文化や歴史を深く知る意欲があり、理解を深められる旅行者が満足するような滞在を提供することにつながる」と評価した。

 「文化や歴史を知ることは、地域の魅力をより深く感じるために必要。これは外国人旅行者だけではなく、日本国内旅行者にも当てはまる」と、地方活性化に直結するとして、重要性を訴えた。

 このほか、大きな課題のひとつとして、国内の4、5つ星ホテルは32軒しかないということを挙げた。国内に良質で高単価な宿泊施設を作れば作るほど、「日本国内の観光客も、ハワイに行くまでもなく良質な宿泊旅行ができるため、国内消費につながる」と述べた。

 

要望に応え、提案する 優秀な人材配置が急務

 従来の日本の観光において重視されてきたのは丁寧な「おもてなし」である。しかし、アトキンソン氏はこの考え方について、「旅先の国で考えられているおもてなしと、旅行者が求めているおもてなしとの相関関係はないとされている」と一刀両断した。

 「本来、旅行者本位の楽しみ方が優先されるべきなので、旅行者が求めている要望を叶えられる環境を整え、さらに良いサービスを提案することが大事だ」と力を込めた。

 例として、滞在中に旅行者から「海女さんが獲った新鮮なアワビを、ビーチでBBQして味わいたい」という要望があったとする。「これに対して、プランにありませんからと丁寧な言葉でお断りするのはおもてなしとは言えない。メニューやプラン外の要望でも対応できる優秀な人材を配置することが求められる」。

 施設や設備への投資よりも、より質の高いサービスを提供するための人材を雇用・育成することが何よりも重要であると語った。

高速バスの安心をアピール、31のバス事業者が連携で

2021年10月21日(木)配信

バスタ新宿(東京都新宿区)でチラシとマスクを配布するようす

 高速バス事業者で組織する「高速バス安心推進コンソーシアム」は10月15日(金)~21日(木)まで、「みんなで作るあんしん高速バス強化ウイーク」を実施した。31のバス事業者が参画し、各社のバスターミナルや高速バス車内などでチラシと不織布マスクを配布し、感染症対策の協力を呼び掛けた。

 同コンソーシアムは、今年8月に乗客を対象にアンケート調査を実施した結果、乗客同士で心掛けるべき対策について、約9割が「大声での会話を控えること」「マスクの着用」と回答。同アンケート結果をもとに、これまでの感染症対策の協力に対する感謝の気持ちと、引き続き対策の徹底を呼び掛ける今回のキャンペーンを実施した。

 事務局を務める楽天グループモビリティ事業部バスグループの佐藤修マネージャーは、高速バスの乗車率が低下している問題に言及。「1台当たりの乗車率を担保するために、運行便数を減らして耐え忍んでいる状態」が続いているという。

 一方で「緊急事態宣言が明けて予約が戻ってきた印象を受けている。これからの紅葉シーズン、冬場が本番になる温泉地旅行など、レジャー路線の動きが活発になると期待したい」と語った。

国際観光文化推進機構、日台の観光交流再開の意義説く 来年の展示会を前に

2021年10月21日(木) 配信

(左上から時計回りに)安藤俊介代表理事、船田幸夫代表理事、吉田皓一社長

 観光と文化の紹介を通して、日本と世界の交流を促す国際観光文化推進機構(安藤俊介理事長、東京都千代田区)と台湾・香港向けの訪日観光情報サイト「樂吃購(ラーチーゴー)! 日本」などを展開するジーリーメディアグループ(吉田皓一社長、東京都渋谷区)は9月28日(火)、日台観光マーケティングセミナー&オンライン説明会を開いた。

 来年4月22(金)~24日(日)に台北で日本の観光や文化、物産などを紹介する展示会「第6回 Touch The Japan Festival」を前に、日本の観光業界の関係者に台湾との観光交流を再開する意義を説いた。 

 Touch The Japan Festivalはこれまで5回実施し、累計約110万人の台湾における旅行会社社員や個人などが訪れている。日本からは自治体やDMOをはじめ、日本酒の酒蔵や食品会社などが参加。1回当たりの出展者数は約40者。

 はじめに、日本観光振興協会理事長の久保田穣氏が講演「日台間観光交流再開に向けて」を行った。

久保田穣理事長

 冒頭には台湾からの訪日市場の特徴として、「外交関係の影響を受けやすい訪日市場のなかでは、台湾は安定した来日が見込める国の1つ」と話した。

 日本を訪れた台湾人のうち、19年までに2回以上日本を訪問した人は9割を超え、東京や大阪などのゴールデンルートに出掛けた人は多い。

 久保田氏は「収束後、地方への来訪者増加による、経済活性化が期待できる」と主張する。コロナ禍直前には、日本の地方と台湾を結ぶ航空路線が多数就航しており、再開されれば、アクセスも容易との理由だ。

 台湾人の受入人数が最も多い国は日本で、次いで中国、香港、韓国の順となる。日本への出国者数は19年時点で、約480万人。中国への観光客は同約400万人。「日本は他国に追いつかれないよう、コンテンツを磨き、発信する必要がある」とアドバイスした。

 同年、日本を訪れた台湾人民は人口の約21%で、台湾を訪問した日本人は国民の約2%だったことにも触れた。

 「台湾人に日本で消費してもらうだけでなく、日本人も台湾でお金を落とすべき」と双方向交流の重要性を訴えた。

 続いて、「日本にとってのアフターコロナ台湾インバウンド市場規模」と、「アフターコロナインバウンド復興のあるべきマーケティング活動とは」――の2つのテーマでパネルディスカッションを行った。

 登壇者は国際観光文化推進機構代表理事の安藤俊介氏と、ジーリーメディアグループ社長の吉田皓一氏、日本巡礼代表理事の船田幸夫氏の3氏。

 Touch The Japan Festivalを主催する安藤氏は国民全体の感染率について、日本が21年9月現在、1・20%。台湾は同0・07%だったこと示したほか、日本におけるインフルエンザの感染率が毎年、10%程度で推移していることを説明した。

 そのうえで、「抗体カクテルなどの普及で、インフルエンザのように、回復が容易になれば、両国の制限は緩和される」と述べた。具体的には来春、ビジネス渡航が解禁され、来夏に観光目的の往来が再開されると展望した。

 吉田氏は1日当たり平均0人だった新規感染者数が今年5月に、600人程度まで増えた際、蔡英文総統の支持率が低下したことを紹介。「来年は選挙があるため、政権は入国制限の緩和時期を慎重に検討している」との見方を示した。

 一方で、「日本への来訪意欲は低下していない」と語気を強め、コロナ禍以降、「和食レストランの平均単価が2万円になったこと」や、台湾の旅行業界の調査で、「2人に1人が収束後、日本への来訪を希望した」ことを紹介した。

 台湾で神社仏閣を巡るツアーを販売する船田氏も同様に「日本にある多くの神社仏閣でのお守りの購入者は、日本人よりも台湾人が多かった」と日本の人気の高さを説明。理由として「日本の神社仏閣に当たる台湾の廟では、お参りした証がない。参拝者を守るお土産としても重宝されている」と分析した。