「16年は“忍者元年”だ」、2月22日(忍者の日)に宣言

忍者元年の幕開け
忍者元年の幕開け

 日本忍者協議会(会長=鈴木英敬・三重県知事)は2月22日の“忍者の日”に東京都内で忍者の日特別イベント「『忍者元年宣言』忍者の2030年を考える」を開いた。同協議会は昨年10月に設立。2020年の東京オリンピック・パラリンピックなどを見据え、忍者を活かした観光振興や文化振興、地域経済の活性化をはかっていく。

 冒頭、忍者衣装を身にまとい登場した同協議会の溝畑宏副会長は、「日本の文化・歴史の象徴である忍者で、世界に日本の魅力を発信していきたい」と決意を述べた。続いて、溝畑副会長によって、〝忍者元年宣言〟が行われ、30年に向けた取り組みへの幕が上がった。今年行われる主な活動として、6月12日に東京・お台場で忍者を基にしたランイベント「忍NINパーティー(忍パ!)」を行う。また、7月2日―10月10日まで東京都港区の日本科学未来館で企画展「The NINJA―忍者ってナンジャ!?―」を開催するほか、12月には新プロジェクトの発表を予定している。

 忍者元年宣言後には、「忍者の2030年を考える」ディスカッションが行われ、溝畑副会長をはじめ、三重大学人文学部教授で、忍者に関する学術研究の先駆者である山田雄司氏、クールジャパン官民連携プラットフォーム委員で、カルチャージャパンプロデューサーのダニー・チュー氏、数々の忍者映画に出演している女優の肘井美佳氏が登壇し、忍者の魅力などについて語り合った。MCから「現代の忍者は誰か」という質問が投げかけられ、山田氏は「職人さん」と回答。「職人さんのコツコツと仕事に打ち込む姿が、忍者の忍び耐えながら任務を遂行するところにつながっている」とまとめた。

高野龍神ウルトラマラソン

 絶景が楽しめる観光道路は全国に数多くあるが、和歌山県の「高野龍神スカイライン」もその1つ。霊峰・高野山と美人の湯で知られる龍神温泉を結ぶもので、オートバイのツーリングコースとしても有名だ。私も数年前に車で走ったことがあるが、その絶景と開放的な雰囲気にうっとりした。

 そのスカイラインを全面通行止めにして9月11日に「高野龍神スカイラインウルトラマラソン」が初開催される。100キロと50キロの2コースあり、高低差812メートルの難コースになるという。

 地元実行委員会から運営を受託したJTB西日本は、大会前後の宿泊プランを設定している。過酷なレースゆえ、前後宿泊者が多いのもウルトラマラソンの特徴で、地域振興の手段として有効なのだろう。

【土橋 孝秀】

ウェブサイトを一新、宿検索などの機能拡充(ピンクリボンのお宿ネットワーク)

全100軒の加盟施設情報などを 紹介する
全100軒の加盟施設情報などを
紹介する

 乳がん経験者に優しい宿づくりを進める「ピンクリボンのお宿ネットワーク」(会長=畠ひで子「匠のこころ吉川屋」女将、事務局=旅行新聞新社)はこのほど、専用ウェブサイトをリニューアルオープンした。

 サイト内では、ピンクリボンのお宿ネットワークに加盟する全100軒の宿泊施設の温泉などの浴場情報を中心に、宿泊プランや取り組みを紹介。検索機能も充実し、専用画面から「貸切風呂がある」「食事相談対応ができる」などの項目や希望エリアを絞り、条件に合った宿を探し出せるようになった。趣旨に賛同する観光協会などの加盟団体や企業会員の情報、温泉や旅行にまつわるコラムなども掲載する。

 URLは(http://www.ribbon-yadonet.jp/)。「貸切風呂の利用割引券」など、宿泊の際に使うことができる、お得なクーポンページも用意する。

 問い合わせ=ピンクリボンのお宿ネットワーク事務局 電話:03(3834)2718。
 
 
 
 
 
 

宿泊施設確保が課題、地域ブロックの検討事項(国交省)

本部会議に集う国交省幹部
本部会議に集う国交省幹部

 国土交通省は2月29日、石井啓一国土交通大臣を本部長とする観光立国推進本部を開き、地方別ブロック連絡会の取り組み状況の確認と今後の進め方を確認した。各地方ブロックで検討していく訪日課題には、宿泊施設の確保や観光拠点の整備に関するものが多かった。

 石井大臣は「インバウンドの趨勢は我われの想像以上で、政府全体としては3月末を目途に新たな観光ビジョンを打ち出す動きがある。国交省としても継続的な検討課題だけでなく、新たに生じる可能性がある課題についても地方別ブロック連絡会を活用して積極的に取り組んでいく」と意気込んだ。

 観光産業分野で検討していく課題は、北海道ブロックは(1)イレギュラー運航発生時の宿泊施設確保(2)外国人旅行者へのマナー周知(3)ニセコ地区の深夜などの案内、関東ブロックは都心部へ集中している宿泊需要の地方への分散、北陸信越ブロックは宿泊施設の確保、中部ブロックは(1)通訳案内士不足(2)宿泊施設などの受入環境整備、近畿ブロックは宿泊施設の確保、中国ブロックは(1)通訳ガイド不足(2)ムスリム旅行社の受入環境の促進、九州は宿泊施設の確保――をそれぞれ挙げた。

 観光地域づくり分野では、北海道ブロックは(1)大型荷物の宅配輸送サービスを活用した手ぶら観光推進(2)Wi―Fi環境の整備(3)新千歳空港観光案内所の整備(4)観光案内所の充実(5)拠点における多言語対応(6)災害時対応および傷病など緊急時対応、東北ブロックは(1)土産物品の検疫と免税店の拡大(2)広域観光周遊ルートの形成に合わせた受入環境整備(3)無料公衆無線LANの環境整備(4)多言語対応の強化、関東ブロックは(1)ターミナル駅における多言語案内表示(2)多言語による医療機関での受診、北陸信越ブロックは文化施設などにおける多言語化、近畿ブロックは観光拠点(観光交流センター・外国人観光客向けサービス提供施設)の整備、中国ブロックは無料公衆無線LAN環境の環境整備、四国ブロックは(1)無料公衆無線LAN環境の環境整備(2)多言語表記(公共交通機関、観光情報サイト、観光地、観光施設など)(3)免税店の拡大、九州ブロックは観光地や観光施設における多言語対応の強化、沖縄ブロックはスーツケースやおみやげ品などの手荷物の配送及び預かり機能強化――などを進める。

 次回は6月にブロック別に中間とりまとめを行い、年内に各ブロックから最低3つの成果を報告する。翌年1月には観光庁が取りまとめを行う予定。

中国旅行復活へ、緊急フォーラム(JATA)

 日本旅行業協会(JATA)は3月22日の午後1時から、JATA研修室で中国旅行復活緊急フォーラムを開く。海外旅行者数をみると、2012年の1850万人をピークに、15年は1620万人と約230万人減少している。中国が12年比で約100万人、韓国が約170万人減少したことが大きく影響しており、JATAは中国旅行の需要喚起に取り組む。

 フォーラムでは、5つ星ホテルを中心に11軒、航空5社が参加するワークショップのあと、「中国旅行新時代に向けて~中国商品100万人リカバリー」をテーマに、ワールド航空サービス社長の菊間潤吾氏がモデレーターを務め、航空会社や中国旅行 事情に詳しい専門家などを交えて、新たなインフラが整備されつつある中国の新たな観光スポットや素材を探る。

 今後、現地視察ツアーも予定している。

全九州バス乗り放題、SUNQパス発売10周年

「SUNQパス」
「SUNQパス」

 九州島内と山口県下関市周辺を結ぶ高速・路線バスのほぼ全線と、一部船舶が乗り放題となるフリーパスチケット「SUNQパス」の全九州版が4月に発売10周年を迎える。九州運輸局は「九州観光発展に大きく貢献した」として、同パス運営委員会(委員長=庄山和利・西鉄高速バス社長)に感謝状を贈呈。2月24日に福岡市内のホテルで授与式が行われた。

 同パスは2004年に北部九州の高速バスと一部路線バスで限定的に試行発売。同年に韓国での発売を開始し、05年に九州内のほぼ全線をカバーした「SUNQパス全九州」を発売。07年には海上船舶まで利用拡大し、14年には台湾での販売も行っている。同委員会への加盟は49社局で、バス路線数は2400路線となっている。

 パス券種は「北部九州+3日間」(8千円)、「全九州+下関3日間」(1万円)、「全九州+4日間」(1万4千円)の3種類で、発売実績は昨年(12月まで)が5万685枚で、この10年の累計では37万7914枚に達する。

 同委員会によると、販売の7割が韓国、台湾などの海外客で、このうち9割が韓国という。韓国では20―30代の個人やカップル、女性グループなどの利用が多い。

 同委員会では、4月にLCC機内での発売や下関エリアでの利用バス路線の拡大を予定。海外発売の利用期間未指定パスの対応窓口の拡大も取り組む。

感謝状授与式
感謝状授与式

豊岡版DMOを設立、ウィラーは地域商社立ち上げ

(左から)加藤部長、中貝市長、村瀬社長、桐山社長
(左から)加藤部長、中貝市長、村瀬社長、桐山社長

 兵庫県豊岡市(中貝宗治市長)と全但バス(桐山徹郎社長)、WILLER ALLIANCE(村瀬茂高社長)は2月19日、東京都内で会見を開き、地方創生に向けた取り組みとして「豊岡版DMO」を設立することを発表した。また、ウィラーグループは今回の事業を進めるにあたり、地域商社として新会社「WILLER CORPORATION」(ウィラーコーポレーション)を3月に設立する。

 豊岡版DMOは人口減少下の地域経済活性化、魅力的な雇用創出策の柱の1つとして、とくにインバウンドの需要取り込みを官民協働で戦略的に進めることが狙い。目的には「地域の稼ぐ力を引き出し、高める(地域事業者の売上・利益アップ)」を掲げる。目標数値は2020年に外国人宿泊客数10万人を設定した(15年は3万4318人)。

 事業内容は地域マーケティング戦略の推進として、ビッグデータの活用による情報の分析や戦略の策定、着地型観光の創出などに取り組む。収益事業は宿泊予約サイトの運営と着地型ツアーの企画・販売、豊岡ブランド商品の販売を展開する。

 組織形態は一般社団法人で代表者は中貝市長、実務を担う専務理事は大手商社からの人材を登用予定。スタッフはウィラーや全但バス、JTBなどから人材を派遣し、9人で運営する。今後、5―6月に設立総会を開催予定という。

 また、豊岡版DMOと全但バスが城崎駅前で運営するツーリストインフォメーションセンター「SOZORO」、ウィラーコーポレーションの3者を「豊岡版DMO機構」とし、お互いに連携し、補完しながらDMOの役割を果たしていく。

 中貝市長は今後について「着地型などは周辺の他地域も扱っていきたい。DMO会員も募集するので、豊岡だけではない広がりに期待している」と語った。

 また、村瀬社長はウィラーグループの考える地方創生は地方都市が人口減少、少子高齢化を抱えるなかで「世界とつながり、継続的にまちを元気にすること」と定義。新会社で(1)観光資産の商品化と販売(2)地域産品の海外輸出の仕組み作りと販売支援(3)販売データに基づくマーケティング&コンサルティング(4)人の移動に基づくマーケティング――に取り組み、地方創生を目指す。「新会社は3人からスタートし、豊岡に全力を傾ける。そのなかでノウハウを吸収し、将来的には全国に広げていきたい」と意気込みを語った。

 来賓の観光庁・加藤庸之観光地域振興部長は「昨年来、DMOの周知や啓発を続けている。そのなかで、豊岡のDMOは民間との連携で先進的なモデルケースになる。自立的に持続的に、取り組みを続けていける組織になっていただきたい」と期待を込めた。

第1位は長湯(大分県)に、外国人が選ぶ九州ベスト温泉

長湯温泉を代表して首藤文彦竹田市 観光ツーリズム協会会長が受賞
長湯温泉を代表して首藤文彦竹田市
観光ツーリズム協会会長が受賞

九州観光推進機構が表彰

 外国人が選ぶベスト温泉で、長湯温泉が第1位に――。九州観光推進機構(石原進会長)は、外国人が九州の魅力を発信するブログコンテストと投票で「九州のベスト温泉地」を選ぶコンテストを実施。優れた記事を投稿した18件と、ベスト温泉地を発表し、3月2日に福岡市内のホテルで表彰式を行った。

 2回目となるブログコンテストには、14の国と地域から184件が応募。英語、韓国語、簡体字、繁体字の4言語で金賞4人、銀賞4人、銅賞10人が選ばれた。

 また、今年初めて開催したベスト温泉地には2669件の投票があり、投票数で上位20位までを発表。第1位に長湯温泉(大分県)、2位が由布院温泉(同)、3位に黒川温泉(熊本県)が選ばれ表彰された。

 4―10位は人吉温泉(熊本県)、別府温泉(大分県)、原鶴温泉(福岡県)、指宿温泉(鹿児島県)、雲仙温泉(長崎県)、阿蘇内牧温泉(熊本県)、小浜温泉(長崎県)の順になった。

 投票者からは「長湯は疲れた体を癒す温泉」、「別府はどの温泉も素晴らしい体験ができる」「指宿の砂蒸し温泉入浴が忘れられない」などコメントが寄せられた。

 石原会長は「九州のブランドイメージの確立が最も重要で、全国3分の1の源泉数と4分の1の湧出量を誇る温泉に、豊かな自然と食、歴史が加わり九州の魅力ができる」と強調した。

お客同士のトラブル ― 不利な客への配慮がなおざりに

 毎日通勤電車に乗っていると、「今朝方、お客様同士のトラブルが発生したため、この電車は現在○○分遅れています」などといった車内アナウンスをよく聞く。

 ああ、また背中を押したとか肘が当たったとかの言い争いかしらん? イヤフォンから漏れる音を注意したら逆切れしたのかな? それとも痴漢騒動か!?……などと思いを巡らす。しかし、原因は何であれ、車掌さんの声のトーンに微かではあるが、「客同士のイザコザなので、私たちに全面的な非はない」という言い訳じみたニュアンスが、少しだけ気になる。

 電車には数百人の乗客が乗っている。車内アナウンスで「携帯電話の通話はご遠慮ください」などの注意喚起を行っているが、基本的に車内マナーは客側のモラルに任されている。乗客にとってもA地点からB地点に安く、遅れることなく到着することが電車を利用する主な目的なので、車内の環境が多少悪くても我慢するしかないし、我慢できなければ客同士が注意し合うしかない。また、新幹線の自由席に行くと、混み合って座れない人がいるのに、あえて隣の席に荷物を置いて座らせないようにする人を見かけるが、こちらも基本的に車内アナウンスのみの注意喚起で乗客のモラルに任されており、不利な客への配慮は、ほとんどなおざりである。一方、タクシーを利用すれば、マンツーマンのサービスであるから、乗客同士のトラブルは発生しない。

 お客同士のトラブルは、あらゆる場所で生じる。たとえば、寿司屋のカウンターや、レストランなどでは、喫煙者と、煙草を吸わない客は相容れない。旅館やホテルでは、隣の部屋の客が夜遅くまで騒いで眠れないなどのクレームが多い。

 あるとき、国際線で最大限シートを後方に倒している乗客がいた。機内食の時間になり、キャビンアテンダントが食事の提供を始めたが、リクライニングシートを倒した前の客は機内食を拒否して寝続けたかったのだろうが、キャビンアテンダントは「後ろの席のお客様は食事をされますので、シートを元の位置にお願いします」と前方の客に声を掛けていた。これと同じような状況を別の航空会社に乗っているときに遭遇したが、キャビンアテンダントはシートを傾けた前方の乗客に気づきながら、声を掛けることもなく素通りした。後ろの客は仕方なく前の乗客のシートを叩いて「少し前に戻してください」と、申し訳なさそうにお願いしていた。航空会社はこのようなケースの対応は、個々のスタッフの判断に委ねているのだろうか。

 

 ホテルなどサービス業の場合、客に対するスタッフの比率が高いほど格付けが上っていくという。スタッフはより少人数のお客の素振りに集中できるし、お客にとっては自分の要望がダイレクトに伝えやすいため、不要な客同士のトラブルも回避しやすい。しかし、私がよく利用する場末の安食堂では、ホールにおばちゃんが2人ほど手持無沙汰に立っているが、コップの水がなくなっても何もしてくれない。「水を下さい」と言うと、ようやくピッチャーを探し出し、別のテーブルで見つけたピッチャーも空だと気づき、奥に取りに行くといった塩梅だ。多くの接客の現場は少し意識を変えるだけで、大きく改善するのになぁと、感じる日々である。

(編集長・増田 剛)

No.424 ホテルナトゥールヴァルト富良野、“お客様満足”をひたすら追求

ホテルナトゥールヴァルト富良野
“お客様満足”をひたすら追求

 高品質のおもてなしサービスを提供することで、お客様の強い支持を得て集客している宿の経営者と、工学博士で、サービス産業革新推進機構代表理事の内藤耕氏が対談のなかで、その理由を探っていく人気シリーズ「いい旅館にしよう!」プロジェクトが「第2弾」として帰って来た。シリーズ第1回は、「満足度経営」に切り替えてからお客様満足度評価が上昇し、単価や稼働率も大幅にアップしたホテルナトゥールヴァルト富良野の小林英樹社長が登場する。

【増田 剛】

 
 

〈「いい旅館にしよう!」プロジェクト2シリーズ(1)〉
ホテルナトゥールヴァルト富良野

小林:創業は1972(昭和47)年です。郵便局に勤務していた父に縁があって、スキー場の前で7部屋の「北誠荘」という民宿としてここでスタートしました。母が主に切り盛りしていましたが、77年にアルペンワールドカップ富良野の誘致などでスキーブームが始まったのです。

内藤:当時の富良野は観光地ではなかったわけですね。

小林:夏はもちろん何もなく、冬はやっとスキーがブームになってきたところで父も郵便局を辞め、本格的に民宿旅館の経営を始めました。当時の富良野には宿自体もなく、スキー場の前の駐車場で仮眠するスキー客もいました。国体が開かれ、旅行会社からも部屋がほしいという需要もあり、当社もこのときから増築を繰り返していきました。
 81年からテレビドラマ『北の国から』がスタートし、その後JRのポスターにラベンダー畑が掲載され、ラベンダー畑に多くの観光客が訪れるようになりました。もともと富良野の宿は冬場の4カ月のみで、夏場は休業していましたが、これを機に夏にもお客が来るようになりました。

内藤:現在のホテルはいつ建てたのですか。

小林:旅館は木造として3棟まで増築しており、最大500人宿泊可能なまでに増築していきました。現在のホテルは91年に新築しました。
 私は99年にホテルに戻りました。それまで大学、ホテル専門学校に通いましたが、母の背中を見て育ったこともあり、学校を辞めて調理の世界に踏み込んでいきました。札幌、旭川で修業を積み、ホテルに戻ったのは25歳の時でした。

内藤:ホテルに戻ってきた時はどんな感じでしたか。

小林:バブルがはじけてからホテルを建てていますから大変な状態でした。売上は3億2千万円程度でしたが、借金は約11億円ありました。当時は金利だけでも5―6千万円。減価償却費を決算書に入れると、真っ赤になる状態でした。
 私は調理の仕事をやっていたので、師のように色々教わっていた人を調理長として当社に呼び、調理場の改革をお願いしました。私は最初にフロントに配属され、そこから改革をスタートしました。例えば、コンビニで1200円で売っているワインボトルを5千円で売っていたので当然売れず、まずは売れるところから始めようと、料金の改革などにも着手しました。…

 

※ 詳細は本紙1620号または3月7日以降日経テレコン21でお読みいただけます。