“持続可能性”テーマに、ジャパン・ツーリズム・アワード、5月31日まで受け付ける

 日本旅行業協会(JATA、田川博己会長)は2月23日の定例会見で、ジャパン・ツーリズム・アワードへの応募を呼びかけた。今年のテーマの、「持続可能な観光による社会の発展の実現」に沿う取り組みを募る。優秀なビジネスモデルを周知することも、実施目的の1つ。

 昨年に続き、国内・訪日と、海外2つの領域を設置。各々に付随する部門は、「ビジネス」と「地域」、「メディア」の3つを用意した。応募者は、取り組みの主体や目的、方法に適した部門を選択できる。

 「メディア」部門は、昨年あった「プロモーション」部門を踏襲したうえで、応募者拡大を狙う。出版物から映画作品まで、関係するさまざまな取り組みに手を上げてほしいという。

 なお、国内・訪日領域では「DMOを含む広域観光による社会の活性化」に、海外領域では「新たなる需要創造と促進活動」に、それぞれ重きを置き評価する。

 募集期間は、3月1日―5月31日。表彰式は、9月21日を予定し、UNWTO賞の表彰も併せて行う。

 問い合わせ=ジャパン・ツーリズム・アワード募集事務局 電話:03(5246)7221。

4月、東武特急が会津に

 東武鉄道は4月21日から、26年ぶりとなる新型特急「リバティ」の運転を始める。1日4往復が都心の浅草から福島県の会津田島まで乗り入れる。運賃・料金合わせて片道5350円。到着後は会津若松行きの列車に接続する。

 会津方面への新しい玄関口となる駅周辺では毎年7月に「会津田島祇園祭」が行われる。花嫁が列をなして歩く「七行器(ななほかい)行列」やけんか屋台と言われる「大屋台運行」など、華やかで勇壮な神事だ。

 会津田島からツアーバスで只見(福島県)にも足を伸ばせる。先日、JR只見線が「20年度にも復旧」とニュースになったばかり。町内では「日本一小さな蒸留所で世界一和食に合う米焼酎造り」が昨年から始まり、4月17日「ねっか」のブランド名で発売予定だ。

【鈴木 克範】

「さかえや」2度目の栄誉、第3回旅館甲子園開く

第2回大会に続き、2度目の優勝

 全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会の加盟施設がエントリーする第3回旅館甲子園(大会会長=桑田雅之全旅連青年部長)の決勝戦が2月22日、東京都江東区の東京ビッグサイトで開かれた。多くの来場者が見守るなか、北関東信越ブロックの「春蘭の宿 さかえや」(長野県・渋温泉)が、前回大会に続き、2度目の栄誉に輝いた。

 決勝戦まで勝ち残り、ファイナリストに選ばれたのは、「伊香保温泉 ホテル松本楼」(群馬県)、「天見温泉 南天苑」(大阪府)、「城崎温泉 小宿 縁」(兵庫県)、「奥津温泉 名泉鍵湯 奥津荘」(岡山県)、「渋温泉 春蘭の宿 さかえや」(長野県)――の5館。

 決勝戦は第2回大会と同様、全国から選び抜かれたファイナリスト5施設の旅館経営者とスタッフが、趣向を凝らしたプレゼンテーションで、経営者のビジョンやスタッフ教育、地域への貢献などを発表。決勝審査員10人による審査と来場者による投票で優勝施設が決定した。

 審査委員長の北原茂樹全旅連会長は「それぞれの旅館が、いま我われ旅館業界が抱えている問題を、色々なかたちで全国にメッセージとして伝えてもらったと思っている。そのメッセージが旅館業界に多くのヒントを与えてくれている」と総括した。

3つの柱据え、活性化、最終とりまとめを発表(スノーリゾート活性化検討会)

最終とりまとめ案を議論

 観光庁は3月1日に東京都内で、第6回スノーリゾート地域の活性化に向けた検討会を開き、「最終とりまとめ(案)」を発表した。連絡会議(仮称)の設置とモデル事業実施、アクションプログラムの策定を3つの柱に据えた。政府は初めてスノーリゾートの活性化に向けたとりまとめを行う。今後は国の観光施策にも盛り込み、活性化に向けた取り組みを早める考えだ。

 前回の検討会を踏まえ、スノーリゾートの概念に新たに観光面も取り入れる。これまで国内では「スノースポーツの場」との狭義の概念が一般的だった。今回は雪遊びや食事、宿泊、地元の人との交流なども含め広義に定義づけた。

 連絡会議では関係各省庁のほか、地方自治体、民間団体などで構成する。情報共有や意見交換のための場となる。

 アクションプログラムは、国内外の先進事例の作成・共有や、モデル事業の実施、連絡会議でのフォローアップなど包括的な策定を行う。

 モデル事業は規模別で取り組む。大規模はDMOを中心とした地域づくり、中小規模は近隣スノーリゾートとの連携などをはかる。全国数カ所でモデル事業を行い、成果を他地域に横展開する。

 首都大学東京特任教授の本保芳明氏は「関係者間で共通意識の共有が重要。各運輸局を中心に、とりまとめを基に勉強会を開くなどの準備行為も必要だ」と話した。

 このほか、今後の取り組みとして「スノーリゾート地域の経営力向上」で日本版DMOの形成を促進する。通年営業を含めた事業継続の検討も進める。「訪日外国人旅行者のスノーリゾートへの誘客の対応」では情報発信に力を入れる。とくに欧米豪や東アジア・東南アジア、富裕層を狙う。一方、国内客は子供と若者、シニアをターゲットにする。

 すでに日本政府観光局(JNTO)は同サイトでスポーツをどう扱うか議論しており、今後はスキーを大きく取り上げる見通し。SNS(交流サイト)を含め情報発信する体制を整えていく構えだ。ただ委員からは「夏期のスキー場の規制緩和」「スキーガイドの資格化」「人材不足」など、まだ課題があるとの意見も出た。

 観光地域振興部長の加藤庸之氏は「人材不足は現在、人材派遣などの仕組みづくりを始めている。今回の意見を含めて検討し、最終とりまとめを行う」と述べた。

 なお、最終とりまとめは3月末の公表を予定している。

浅草でおもてなし、通信や言語など一括整備

“興行街”としての浅草の再生進める

 東京・浅草の六区ブロードウェイ商店街振興組合(熊澤永行代表理事)、奥山おまいりまち商店街振興組合(白倉儀輝代表理事)はこのほど、「浅草おもてなしプロジェクト」を始めた。通信・通貨・言語・認証・交通・体験プログラムを一括整備する。各分野に特化した企業と連携し、受入体制を整える。

 同プロジェクトの第1弾としてモニターツアーを実施。指紋認証決算サービスなどを行った。今後は訪日外国人向けのツアーを企画し、データなどを集める見通しだ。訪日外国人が抱える問題を解決し、ストレスなく快適な観光を楽しんでもらえる環境を提供していく。

 モニターツアーは羽田空港から実施した。同空港から浅草の隅田川船着場まで船舶で移動。新たな動線として舟運を活用した。移動中は船内で「Touch&Pay」を用いパスポート・指紋情報を登録させる。登録後は浅草の提携店舗での買い物が、指紋認証のみで決済可能となる。

 今回は新たなサービスとして「Touch&Pay」の認証機能を応用し、免税対象商品の一括免税を行った。経済産業省の「IoT推進のための新ビジネス創出基盤整備事業」のモデル体系として実施し、検証する考えだ。

 実際にいくつかの店舗で買い物をしたあと、日本各地の地産商品を扱う「まるごとにっぽん」で一括免税のようすを確認。購入データを一元化することで、購入した物販をリストで確認でき一括免税を行うことができた。

 情報の「見える化」も行う。船内に設置のWi―Fiサービス「FON」で、観光案内ページの登録ができる。浅草到着後は各店舗に設置のFONから接続した観光案内ページで、指紋決済の可能なスポットが表示される。

 このほかイベントなどの開催場所や免税店、外貨利用可能店舗、多言語対応の対象エリアを地図上のアイコンで確認しながら、目的別の観光を楽しめる。

 多言語対応は通訳アプリのLiNGOのサービスを用いる。テレビ電話通訳やチャット機能のサービスで、提携店舗に通訳アプリを設置。浅草を中心に展開していく。

 同ツアーは国家戦略特区事業認定を目指す社会実験「浅草オープンカフェ」の第3期最終週(2月10―11日)に行われた。体験プログラムは「船上エンターテイメント」「サムライ&忍者サファリ」「人力車」などを用意。

 Touch&Pay、LiNGOなどで用いる専用端末の設置は順次増やして行く方向だ。地域、組合、企業が一丸となって「興行街」としての浅草の再生を進めていく。

指紋認証のようす

田中国交副大臣を訪問 全国旅館おかみの集い運営委員会

(左から)深見さん、樋口さん、田中副大臣、
野澤さん、高橋さん、林さん

 全国旅館おかみの集い運営委員会(野澤邦子運営委員長)は2月23日、田中良生国土交通副大臣を表敬訪問し、7月に新潟市内で開く大会の概要を伝えた。

 高橋はるみ副委員長、樋口智子副委員長、深見聖子副委員長、林真理子副委員長、石井貞徳特別委員が同席した。野澤運営委員長は「開催テーマに『うまさぎっしり』という新潟のイメージを掲げました。食はもちろん、おもてなしも伝えられるよう取り組みます」と報告した。田中副大臣は、政府が策定した「明日の日本を支える観光ビジョン」に触れ「観光は地方創生の目玉。おもてなしの最前線に立つ女将の皆様に力を合わせ頑張っていただきたい」とエールを送った。

 第28回全国女将サミット2017新潟は、7月5日にホテル日航新潟で開催する。

藤嶽彰英氏偲ぶ会、「100選」選考委員の感謝状も

絹子夫人に感謝状

 昨年10月7日に逝去した旅行ペンクラブ名誉会長の藤嶽彰英氏を偲ぶ会が2月27日、ホテル日航大阪(大阪市)で開かれた。

 会場には、古くから親交のあったイラストレーター、成瀬國晴氏による藤嶽氏の似顔絵が飾られ、集まった旅行ペンクラブ会員やマスコミ、全国の旅館経営者や観光従事者らが、それぞれ藤嶽氏との思い出を語り合った。

 成瀬氏は「藤嶽さんと一緒に滋賀県東近江市に取材に行ったときのことは、今でもよく覚えている。本当に楽しかった」と振り返り、「広告代理店からの依頼は受けず、自分の目と足を使い、報道と旅の啓蒙に徹した人だった」と、その人柄を懐かしんだ。

 パーティーの席では、「プロが選ぶ日本のホテル・旅館100選」の選考審査委員を長年務めたことに対し、旅行新聞新社から絹子夫人に感謝状と記念品が贈られた。

「瑞風」車両を公開、“美しい日本をホテルが走る”(JR西日本)

鮮やかなダークグリーンの外観

 JR西日本は6月17日から運行を開始する豪華寝台列車「トワイライトエクスプレス瑞風(みずかぜ)」の車両を報道陣に公開した。2月23日に網干総合車両所宮原支所(大阪市淀川区)で開かれた披露式典には、同社の来島達夫社長や車両デザインを統括した浦一也氏、エクステリアを監修した福田哲夫氏が登壇。瑞風アンバサダーの葉加瀬太郎氏も登場し、作曲したテーマ曲を初披露した。

 来島社長は「瑞風のコンセプトである“美しい日本をホテルが走る”にふさわしい車両ができ上がった。地域の皆様とともに、山陰・山陽の自然や文化、食といった魅力を発信し、鉄道の旅を通して新しい価値を提供していきたい」とあいさつした。

 デザインを統括した浦氏は「外観は鮮やかなダークグリーンで、ちょっと懐かしさを感じるデザインに仕上げたほか、車両全体を通したデザインには、昭和初期にも通じるアール・デコを取り入れた」と解説した。

葉加瀬氏がテーマ曲を披露

 また、葉加瀬氏は「瑞風~MIZUKAZE」と名付けたテーマ曲について「昨年末に奥出雲、萩、尾道、倉敷と旅をし、音のスケッチを描いて今年1月に完成させた。乗客やクルーなど、すべての方々に末永く可愛がっていただければ」と思いを語った。

 「瑞風」は10両編成で運行。注目は1車両すべてを使った「ザ・スイート」。1両1室の構成は世界的にも珍しく、バスタブ付きのバスルームを備えるなど、広さだけでなく随所にこだわりをみせている。

 ツインとシングルの各客室には天然木を多用。先頭と最後尾に備えた開放感あふれる展望車は、デッキに出ることが可能なほか、運転席の視点と同じ高さから眺望が楽しめる特別シートも用意する。ラウンジカーには茶の卓やバーも備える。

ザ・スイート寝室
ロイヤルツイン

 このほか、車内を彩る調度品として、焼物などの工芸品や西洋のアンティークを随所に配置するなど「瑞風ならではのものを満載した」(浦氏)という。車両を見学した葉加瀬氏も「こんなにも素敵な空間が山陰・山陽を走るのかと感動した」とその魅力を語った。

 瑞風は、山陰・山陽を巡る1泊2日の片道4コースと、2泊3日の周遊1コースの全5コースを設定。料金は6―9月出発の1期分の場合、ロイヤルツイン(2人利用)1泊2日で1人27万円から。1期分はすでに販売終了済み。10―11月の2期分は4月1日から受け付け開始予定。

2月の第4日曜日、「雪の日」制定へ(長野県)

 長野県内でスキー場を運営する観光関連事業者などが、県の貴重な観光資源である雪の魅力や価値をアピールする「雪の日」を制定した。2月の第4日曜日を「雪の日」(今年は2月26日)として、まずは県民の認知を広め、将来的には国民の祝日化を目指すという。

 2014年に「信州山の日」(7月第4日曜)を制定。昨夏には国民の祝日「山の日」(8月11日)を初めて迎えたことから、夏山に対して、冬山の「雪の日」をアピールすることで、雪に親しむ機運を高め、冬季の誘客やスキー場の活性化につなげたい考えだ。

 スキー場事業者などでつくる「長野県索道事業者協議会」や長野県旅館ホテル組合会などでつくる「長野県観光産業振興協議会」は2016年6月、雪の日制定に向けた周知活動を盛り込んだ事業計画を決定。冬の観光誘客に取り組む官民の全県組織「『スノーリゾート信州』プロモーション委員会」も、長野県内のスキー場で来年のスキー場シーズン券が当たる関連イベントなどを今冬から展開する。

【百戦錬磨 上山康博(かみやま・やすひろ)社長インタビュー】特区民泊、全国で実施を

質問に答える上山社長

“ヤミ民泊”追放へ、一致団結したい

 古民家や空き家を活用する“民泊”への関心は高く、不足する宿泊施設のカバーにも有効だ。インバウンド増加と多様化するニーズを満たす一方、利益を優先する事業者による“ヤミ(違法)民泊”の横行は、ホテル・旅館業界だけでなく、“合法民泊”の理解普及への取り組みにも水を差しかねない。今回、“合法民泊”のパイオニアとして、業界を牽引してきた百戦錬磨の上山康博社長を訪ねた。同社の取り組みやビジョン、民泊をめぐる政府や自治体、ホテル・旅館への期待について、話を聞いた。
【謝 谷楓】

 ――会社の取り組みについて教えてください。

 “ステイジャパン”といった、民泊の予約サイトを運営しています。民泊運営者(ホスト)と旅行者(ゲスト)をつなぐプラットフォーマーとして、Webサイトを提供することが、我われの仕事なのです。マンションや一軒家、古民家、お寺などを公認の民泊施設に活用するといったアマチュアで宿泊に携わる方を、ゲストとマッチングさせています。一般的なOTAとの違いもここにあります。

 ノウハウの仕組みづくりを進めることで、このようなビジネスモデルが実現可能だということを証し、根付かせることに取り組んでいます。

 物件を提供するホストに対し、我われはテクノロジーを駆使して集客をはかるなど、インターネット上のマーケティングで支援を行います。地域への誘客を実現するため、自治体や観光協会、DMOと協力する場合もあります。

 さらに一歩踏み込み、地に足をつけて地域で事業展開する。“空中戦”ではなく、“地上戦”を行う点も、ほかのOTAと大きく異なる特徴です。

 ――取り組みを通じて、目指すことは。

 欧米型のロングステイを、各地域で実現・普及したいと考えています。地域への誘客増加をはかるため、ホテル・旅館に携わる方にも、踏み込んだ取り組みを行ってほしいと考えています。例えば、既存の宿泊施設でチェックインを済ませ、地域の古民家に長期間泊まることが実現すれば、新しい滞在スタイルの提案だけでなく、欧州など遠方からのインバウンドの取り込みも期待できます。

 空き家となった古民家の再活用は、継続したビジネスの展開が難しかったグリーン・ツーリズムの収益化にも有効です。ホストとの触れ合いが中心であったホームステイ型のグリーン・ツーリズムは、継承が困難でした。仕組み化されれば、ノウハウの継承が可能です。地域での、一歩進んだ取り組みにも期待しています。

 ――地域(自治体)の “稼ぐ力”獲得にも目を向けていますね。

 外からの来訪目的となる、地域の核が見つかるまで、枝葉末節を削ぎ落とすことが必要です。各地域には、地名の由来や歴史に着目し、作業を進めてほしいです。

 ――都心型の民泊について

 “ステイジャパン”では、自治体の認可を受けた公認施設のみ掲載しています。国家戦略特区内では、大阪府と大阪市、東京都大田区で物件を取り扱い、各地域で認定第1号物件を運営しています。

 大田区で民泊(特区民泊)を行うためには、6泊7日以上の滞在が必要です。稼働率はおよそ50%となります。大阪市では、1月から2泊3日の民泊利用が可能となりました。回転率の増加が望めます。

 大田区での取り組みを始めてから、1年が経ちました。ゴミ捨てルールの周知や安全対策など、近隣住民とゲスト双方に対し、ホテル・旅館と同水準の安全安心を提供してきました。実際、ゲストと近隣住民のトラブルはほとんどなく、従来からあった懸念点も払拭できました。

 ――特区民泊に取り組む自治体はまだ多くありません。普及が遅れている要因とは。

 ヤミ民泊の存在です。ホテル・旅館業界の一部には、合法か否かを問わず、民泊に反対する方がいます。感情的になっている方もいます。非合法に活動するヤミ民泊業者が、不当に利益を上げていては、民泊に対し、社会全体が良いイメージを抱くことは難しいといわざるをえません。ヤミ民泊が一掃されることで、誤解を解くことができるはずです。

 ――有効な手立てとは。

 大前提は取締強化です。旅館業法のみならず消防法・建築基準法・税法などの関連法も含めた指導の強化を行政に対し、お願いしたいところです。ヤミ民泊を告発する窓口の設置も有効です。

 国家戦略特区や民泊新法の利用促進も、政府や自治体にお願いしたいです。とくに、東京都などヤミ民泊が横行する地域は、取り組みのスピードを上げるべきです。

 特区民泊の実行は、ルール遵守を要求するメッセージとなります。各事業者が取り組む民泊ビジネスが、合法か否かも一目瞭然となります。民泊のうち、合法のもの以外はすべて、旅館業法に抵触する可能性があるのだということを、周知するべきです。グレーゾーンはありません。

 自治体のなかには、特区民泊を認めたら、ホテル・旅館業界が困惑すると考える方がいます。しかし、安全対策など、特区民泊を実現するハードルは高く、事務手続きの面でも旅館業法と遜色ありません。

 ホテル・旅館業界にとっての問題は、ヤミ民泊の横行にあるはずなのです。

 大切なことは、ルールを守った取り組みを行うことです。ヤミ民泊対応でも、ホテル・旅館業界や、不動産業界の方々と連携していきたいと考えています。一致団結して取り組むべき事柄なのです。

 ――ありがとうございました。