【6月23-24日】郡上おどりin青山、秩父宮ラグビー場で開催

1郡上おどりin青山H28
「郡上おどりin青山」は本場同様、小雨であれば踊り続行
(昨年雨天時のようす)

 東京都・青山外苑前の秩父宮ラグビー場駐車場で6月23、24日の2日間、岐阜県郡上市の伝統的な盆踊り「第24回郡上おどりin青山」が開催される。

 同イベントは、岐阜県郡上八幡城主・青山家の江戸屋敷があったことが地名の由来である「青山」にちなみ、同地で毎年開催している。郡上おどり保存会によるお囃子にあわせて、本場同様の盆踊りを体験できる青山の初夏の風物詩。会場では踊り開始前に郡上おどり保存会による講習会が開かれ、午後5時―同8時(24日は同8時30分)まで「郡上おどり」が行われる。

 両日とも午後1時からは観光物産展も開き、郡上鮎の塩焼きをはじめ、明宝・明方ハム、郡上八幡サイダー、地酒や地ビールなどの物産品を販売する。入場は無料。雨天決行。

 そのほか観光案内所を設け、郡上や岐阜県を目的地とする観光案内と旅行パンフレットの配布など、誘客アピールにも注力する。

 本場の郡上おどりは7月8日―9月2日まで、郡上市内各地を会場に開かれる。旧盆の8月13―16日の4日間にイベントの最高潮を迎え、数万人の踊り子が「徹夜おどり」で夜通し踊り明かす。

【イベント概要】
■期 間 : 6月23日(金)~6月24日(土)
■時 間 : 午後1時~午後8時(23日は午後8時30分まで)
■会 場 : 秩父宮ラグビー場・駐車場
      (東京都港区北青山2-8-35) 
■交 通 : ・東京メトロ銀座線「外苑前駅」徒歩5分
      ・JR「千駄ヶ谷駅」、「信濃町駅」徒歩15分
      ・都営大江戸線「青山一丁目駅」徒歩10分

3郡上おどりin青山H28
飛び入り参加も大歓迎

■予 定 
開催日:6月23日(金)
 ◎郡上物産展 販売開始
  午後1時~踊り終了まで
 ◎踊り講習会
  午後4時30分~ 
 ◎郡上おどり 開始
  午後5時~ 
 ◎お楽しみ抽選会
  午後7時30分~ 
 ◎踊り終了
  午後8時30分  

郡上鮎の塩焼きは絶品
郡上鮎の塩焼きが絶品

開催日:6月24日(土)
 ◎郡上物産展 販売開始
  午後1時~踊り終了まで
 ◎子供踊り講習会
  午後3時45分~
 ◎一般踊り講習会
  午後4時30分~ 
 ◎郡上おどり 開始
  午後5時~ 
 ◎お楽しみ抽選会
  午後6時45分~ 
 ◎踊り終了
  午後8時 

民泊年間で〝ゼロ泊も〟、早ければ年明けに施行、民泊新法が成立

田村長官「自治体の判断」

 住宅宿泊事業(民泊)法案が6月1日の衆義院本会議で可決、9日に参院本会議で採決され法案が可決・成立した。今後は政令・省令の制定、各都道府県の条例が検討され、早ければ年明けに施行。住宅を有料で貸し出す民泊サービスが全国で行えるようになる。民泊事業者には届出制と、管理・仲介事業者に登録制度を設ける。宿泊日数は都道府県などが条例で期間を制限できる。旅館・宿泊業界らが陳述などを続けてきたが、政府は年間〝ゼロ泊〟も認める考えだ。
【平綿 裕一】

 観光庁の田村明比古長官は5月31日の国土交通委員会の質疑で年間ゼロ泊について、「最終的には自治体の判断」との見解を示した。

 民泊事業者は都道府県知事(保健所設置市などはその長)に届け出れば、180日を超えない範囲で民泊ができる。訪日外国人観光客に対しては、設備使用方法や交通手段を外国語で案内しなければならない。

 騒音防止や周辺地域の生活環境への悪影響防止に関しても説明を義務付けている。周辺住民からの苦情対応も素早く的確に行う旨を定めた。

 家主不在型民泊の場合は管理事業者に事業を委託する。管理事業者は国土交通省に、仲介事業者は観光庁に登録し、それぞれ5年毎に更新しなければならない。国交省と観光庁ともに、登録を取り消す権限も規定した。

 ゼロ泊に関して田村長官は「1年間365日すべてを制限するのは適切ではない。合理的に必要と認められる限度は、地域の実情がさまざまであるので、法令で一律に定めるのは困難」としながらも、「最終的には自治体の判断になる」と述べた。年間でゼロ泊が認められれば、民泊を禁止できる地域もでてくる。

 一方で、罰則強化が盛り込まれた旅館業法の一部改正法案は未だ成立していない。3万円から100万円と大幅な罰則金の引き上げがなければ、ヤミ民泊への抑止力が失われる。法案成立が急がれる。

最短・最速ルートではない旅 ― 自分の内面と向き合う時間を求める

 スペインの北西端部に位置する都市サンティアゴ・デ・コンポステーラは、エルサレム、バチカンと並んでキリスト教の3大巡礼地。フランス各地からピレネー山脈を越えて、終着地の大聖堂を目指す人々が後を絶たない。1千キロを超える巡礼路を徒歩や、自転車で向かう。まだ歩いたことがないが、私自身このサンティアゴ・デ・コンポステーラ巡礼路は、ずっと心にひっかかる何かが存在している。

 日本にも、四国八十八ヶ所巡礼をはじめ、熊野詣、善光寺参りなど、各地に巡礼路が存在する。もともと宗教的な意味を持つ巡礼路だが、今はさまざまな理由から、巡礼路を辿る人も多い。一歩、一歩、長く厳しい道のりのなかで、自分の内面と向き合う時間を求めているのだろうと思う。

 現在の旅は、目的地に「より早く」「より快適に」到着することが一つの価値となっている。2015年3月の北陸新幹線金沢開業もこれを象徴する代表例である。東京から最短で約2時間30分で金沢の地に足を踏み入れることが可能になった。開業後、私も何度か金沢を訪れる機会を得たが、「本当に近くて、便利になった」という印象を強く受けた。その反面で、かつて感じていた北陸・金沢への深い旅情が若干薄れてきたことも、正直なところ感じている。

 先日、全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会の第95回全国大会が、金沢駅前の石川県立音楽堂で開かれた。大会前日には、和倉温泉・ゆけむりの宿美湾荘で前夜祭が行われた。美湾荘から石川県立音楽堂までは、貸切バスで移動したが、その途中の羽咋市にある千里浜なぎさドライブウェイに立ち寄った。

 千里浜なぎさドライブウェイは、約8㌔に渡る砂浜の波打ち際を、自動車やバイク、観光バスなどが走ることができる能登半島を代表する観光名所でもある。そして知る人ぞ知る、SSTR(サンライズ・サンセット・ツーリング・ラリー)のゴール地点でもある。

 日の出を太平洋側で確認したあと、オートバイに乗って日本海側にある、千里浜なぎさドライブウェイで日の入り(夕日)を眺めるというイベント。オートバイによる史上初の北極点・南極点到達や、パリ・ダカールラリーにも参戦した冒険家の風間深志さんがプロデュースし、今年は5月20日に行われた。全国から約2400人がこの類稀な砂浜の道でゴールを迎えた。日没までという限られた時間の中で、参加者はそれぞれのルートを自分で決め、ゴールに向けて走る。「いかに道中を楽しみ、無事にゴールに辿り着けるか」が問われ、「参加者の優劣を競うのではなく、無事にゴールに辿り着いたライダーは等しく勝者」という精神がいい。

 放浪と異なり、旅には、目的地が必要である。どこかにその目的地がなければ、帰ってくることはできない。家を出たときには、明確な目的地がない場合もある。旅の途中で、「ここが目的地だったんだ」と気づく旅もあるかもしれない。一方、目的地は決まっているが、そこに向かう道が決まっていないケースもある。そして、目的地に2時間30分で到着できるのに、わざわざ厳しい道を選ぶ旅もある。ナビゲーションシステムを使えば、最短・最速ルートは瞬時に検索できる。しかし、そこから外れた、豊かな旅のルートを設定するのは、やはり自分である。

(編集長・増田 剛)

No.464 第5回「ピンクリボンのお宿」シンポ in 塩原、乳がん患者・体験者の旅をサポート

第5回「ピンクリボンのお宿」シンポ in 塩原
乳がん患者・体験者の旅をサポート

 ピンクリボンのお宿ネットワーク(会長=畠ひで子・匠のこころ吉川屋女将、事務局=旅行新聞新社)は5月16日、ホテルニュー塩原(栃木県那須塩原市)で「ピンクリボンのお宿シンポジウムin塩原」を開いた。HOPEプロジェクト理事長の桜井なおみ氏と、おもてなし経営研究所所長の西川丈次氏による講演のほか、愛隣館(岩手県・新鉛温泉)社長の清水隆太郎氏による会員活動報告も行われた。当日は、JTBガイアレックによる関連商品の造成・販売についても紹介が行われた。

【謝 谷楓】

 
 
 ■講演や活動報告が充実

 ピンクリボンのお宿ネットワークの目的は、手術後の痕を気にして旅を諦めてしまう方々に、心ゆくまでホテル・旅館での入浴を楽しんでいただくこと。乳がんを患い、手術を受けて回復への道を辿る方々のサポートを果たしている。

 貸切風呂の無料利用や、ウェルカムドリンクなど、お得なサービスが豊富なクーポンを掲載した「ピンクリボンのお宿冊子」の配布もその一環で、個人からだけでなく、全国の医療機関からの問い合わせも多い。現在、協力会員である医療機関数は計17施設に上る。

 講演だけでなく、愛隣館(岩手県・新鉛温泉)の清水隆太郎社長による会員活動報告も行われた今回。「宿屋の想いを伝える」というテーマのもとピンクリボンのお宿ネットワークへの参画理由や、商品造成する際の工夫、ピンクリボン運動に取り組む意義など、さまざまな側面から会員活動について説明した。

 講演を担うのは、HOPEプロジェクト理事長でキャンサー・ソリューションズ代表も務める桜井なおみ氏と、おもてなし経営研究所所長で、観光ビジネスコンサルタンツ代表の西川丈次氏。両氏の講演テーマはそれぞれ「お客様へのおもてなし~がんになっても旅を楽しみたい」と、「心を動かす〝おもてなし〟とは」。会場には多くのホテル・旅館と企業関係者らが詰めかけ、講演に聴き入った。本紙ではそれぞれについて紹介する。

 なお、シンポジウムには栃木県医師会塩原温泉病院長の森山俊男氏が駆けつけ、乳がん患者・体験者のケアをめぐっての意見交換も活発に行われた。

 ■畠会長、一層の躍進目指す

 シンポジウム冒頭に畠ひで子会長は、「何回でも旅に出て、心行くまで旅先で入浴を楽しんでほしい。そんな思いで、ピンクリボンのお宿ネットワークは立ち上がった。これからも、1人でも多くの方に、お風呂に入ってほしい」と、同ネットワークの理念について改めて説明した。発足してから5年が経つ今年、「本当に多くのホテル・旅館や企業の皆様に支えられて、ここまで来ることができた。ホームページをリニューアルしたほか、参画する宿のクーポンが利用できる冊子も好評で、全国各地の病院や個人のお客様から問い合わせをいただいている」と謝辞を述べた。昨年に引き続き、会員数の増加と、知名度向上を目指す。

 ■地域からの激励も

 君島寛那須塩原市長は、「温泉は、古くから病や傷を癒す場として栄えてきた。那須塩原市もその1つ。大切な役割を担ってきた。今回のシンポジウムを通じ、ピンクリボン活動が一層活発となることを強く期待する」と力を込めた。

 永井洋之栃木県産業労働観光部参事は、「がんは早期発見がとても大切。同ネットワークの活動に対し改めて敬意を表したい。県では〝とちぎ観光おもてなし条例〟を定め、オール栃木で国内や海外のお客様に対し、充実したホスピタリティを提供している。ぜひ協力を深めていきたい」と語った。新井俊一栃木県観光物産協会長は、「今日は塩原温泉の〝女将の会〟に所属する女将も多く来場している。おもてなしを深める機会にしてほしい」と強調した。

 ■来賓者紹介

 君島寛那須塩原市長、永井洋之栃木県産業労働観光部参事、新井俊一栃木県観光物産協会長、木下昭彦那須塩原市観光局長、臼井祥朗塩原温泉観光協会副会長、君島則夫塩原温泉旅館協同組合理事長の6人。…

 

※ 詳細は本紙1674号または6月27日以降日経テレコン21でお読みいただけます。

移動を核に4施策、20年までに売上500億円へ(ウィラー)

新たなロゴ抱える村瀨氏

 ウィラー(村瀨茂高代表)は6月12日に、第1回「NEXT WILLER」を開き、交通を「移動サービス」ではなく「移動ソリューション」と捉えた4つの施策を公表した。2020年までの売上目標を500億円とするなか、3月1日に策定した第3期成長戦略の概要も説明。会社ロゴも一新した。世界展開なども明らかにされ、移動を核に次なる領域に躍り出る。

 「顧客が非常に強い時代」(村瀨氏)。市場はプロダクト型ではなくカスタマーマーケティングに変化したという。成長戦略でイノベーションとグローバリゼーションの両輪を回し新たな市場創造をはかっていく。

 「一人ひとりのインサイトを叶えるイノベーションを起こす」(同)と強調。IoTなどの最先端技術を取り入れながら、これまでにない移動ビジネスも生み出す考えだ。一方グローバリゼーションで欧州とASEAN、米国、東アジアに絞って展開していく。

 4つの施策の1つ目はシェアライドサービス。特徴はコストを分担できる点だ。訪日客の1人が設定した観光ルートをWeb上で共有する。設定された観光ルートに共感した他の人間が集まって、チャーターしたバスで周遊。料金はいわゆる〝割り勘〟で支払う。法律上の制限など解決できれば、今秋にもサービスを始める見通し。

 2つ目のコンテンツツーリズムでは映画「君の名は。」の公式ツアーを近日発売予定だ。KADOKAWAグループが今年2月に設立した旅行企画会社「クールジャパントラベル」とウィラーが提携し実現。レストランバスで「君の名は。カフェ」も今夏に予定している。

 3つ目はウィラーゲートウェイ構想。既存のターミナルはインフラ機能のみだったが、カスタマーマーケティングを取り入れる。まずは今夏に大阪のウィラーのバスターミナルで始める。

 最後の4つ目の施策にベトナムで7月18日から運行する「ジェニック旅」を紹介。ベトナムをIoT化したチャーターバスのジェニックビークル(仮称)で周遊できる。

 車内はGPS機能によるジェニックポイントの通知や、オンラインコンシェルジュ、同時翻訳サービスを搭載。フュートレックとの共同開発によりこれらのIoT化を実現した。同社との業務提携も会見当日に発表された。

 村瀨氏は「これまで旅先から目的を決めていたが、SNS上へのアップを目的とした旅先選びへと転換した」とみる。この新たな流れに合った顧客目線の商品を形作った。

 今後はシェアサービスも欧州で始める。ジェニック旅を可能にするサイトシーイングバスとして、ベルギーとオランダ、ドイツ、フランスで事業計画を進めている。

多田体制「情報共有を」、石川県で全国大会開く(全旅連)

多田計介会長があいさつ

 全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会(多田計介会長、1万5334会員)は6月7日、石川県金沢市の石川県立音楽堂で第95回全国大会を開き、900人を超える組合員らが一堂に会した。

 多田体制のスタートに当たり、多田新会長は「今年は、昨年から旅館業に大きく関わる民泊新法(住宅宿泊事業法)が動く年。また、生産性の向上、人手不足、国際化対応、耐震問題など多くの課題がある」とし、「スピード感を持って対処する問題と、時間を掛けてじっくりと対応するものを見極めて、一つひとつ丁寧に取り組んでいく。全国の皆さんと情報を共有していきたい」とあいさつをした。

徐銀樹理事長

 第20回「人に優しい地域の宿づくり賞」では、厚生労働大臣賞に、割烹旅館清都(千葉県)の「B型就労継続支援施設とのつながりで人件費削減と人材不足の解消」が受賞した。

 次回の全国大会開催地は18年6月6日に、福岡県福岡市、全国大会前夜祭は熊本県熊本市での開催を予定している。

 大会終了後の懇親会には、中華民国旅館商業同業公会全国連合会の徐銀樹理事長も出席し、「台湾でも宿泊業界は違法民泊の影響を受け、収入が減少している。日本と台湾の宿泊業界が協力して健全なホテル運営に向け協力していこう」と述べた。

 8月23―24日に東京で 民泊対応へ合宿実施

 全国大会に先立って6月6日に、石川県・和倉温泉のゆけむりの宿美湾荘で2017年度通常総会が開かれた。全国旅館政治連盟(多田計介会長)の会長代行には、元全旅連会長の佐藤信幸氏が就任。自民党観光産業振興議員連盟とのパイプをより太くする体制を敷く。なお、北原茂樹前会長は、全旅連の顧問に就任した。

 最大の課題である民泊問題については、8月23―24日の2日間、47都道府県の理事長と理事を対象に、全旅連活動方針と、住宅宿泊事業法に対応するための合宿を開く。会場は、東京都千代田区の砂防会館別館を予定している。23日夕刻には自民党観議連の議員らとの意見交換会も実施する考えで、大木正冶副会長は「今後は、地方での戦いになる。全理事の参加を」と呼びかけた。

お座敷列車将棋の旅

 将棋の史上最年少棋士で、中学3年生の藤井聡太四段の快進撃が止まらない。小学4年で「奨励会」に入会後、破竹の勢いで昇級昇段を重ね、昨年10月に加藤一二三九段の記録を62年ぶりに更新する14歳2カ月でプロ棋士になった正真正銘の「神の子」だ。

 自分も将棋が大好きで、中学時代の担任教師が将棋部の顧問だったことから遅ればせながら将棋を習い始めた。当時は駒の動かし方ぐらいしか知らなかったが、中学生の時期の成長は驚異的で数カ月で顧問の先生がまったく歯が立たなくなるぐらい強くなった。父親は将棋を知らず相手ができないので、その代わりに駅前の将棋クラブによく連れて行ってくれたし、日本将棋連盟が企画した「大山十五世名人と行くお座敷列車将棋の旅」にも参加させてくれた思い出がある。

【古沢 克昌】

【朝ごはんのおいしい宿 アンケート結果発表】豪華さを感じる朝食が人気

海の幸・米が根強い人気、地元食材を求めるニーズも

 本紙は旅行形態の変化に伴い、宿泊施設での朝食も重要な集客要因と考え、「第42回プロが選ぶ日本のホテル・旅館100選」発表冊子内と、本紙が業務提携する「地球の歩き方T&E」のWeb「日本の歩き方」上で、「朝ごはんのおいしい宿」のアンケート調査を実施した。その結果、「種類の豊富さ、豪華さ」を感じられる朝食の人気が高い結果になった。また、海の幸や米の人気が根強く、地元の食材・名産品を求めるニーズも高いことが分かった。 

 推薦施設を都道府県別に見ると、1位は静岡県で89軒、2位が長野県で61軒、3位が北海道で56軒、4位が神奈川県と兵庫県で53軒、6位が群馬県で50軒、7位が栃木県と大分県で43軒、9位が新潟県と石川県、岐阜県の3県が39軒と続く。

 推薦が多かった施設のトップ10は、1位が大分県・別府八湯の杉乃井ホテルで48件、2位が石川県・和倉温泉の加賀屋で47件、3位が新潟県・月岡温泉の白玉の湯泉慶・華鳳で30件、4位が岐阜県・下呂温泉の水明館で27件、5位が栃木県・鬼怒川温泉のあさやで21件、6位が静岡県・稲取温泉の稲取銀水荘で19件、7位が栃木県那須郡のホテルエピナール那須で18件、8位が栃木県・那須温泉のホテルサンバレー那須で17件、9位が鹿児島県鹿児島市の城山観光ホテルで16件、10位が山形県・かみのやま温泉の日本の宿古窯で15件となった。

半数がバイキング

 朝食スタイルでは、推薦された宿の約53%がバイキングではないスタイル、約47%がバイキングだった。バイキングではない食事形態は、「ゆっくり食べられる」ことや「(盛り付けなどを視覚で)楽しめる」、「自分のペースで食事ができる」ことなどから利用者に喜ばれている。

 他方、バイキングは「種類の多さ」や「好みのものを食べられる」、「選ぶのが楽しい」といった意見のほかに、イクラなどの高価な食材を好きなだけ味わえるといった贅沢感も人気につながっている。食べきれないほどの量のメニューが並んでいて、「楽しかった」、「幸せ」、「感動した」などと答えた人も多くみられた。小さな子供がいる利用者にとっては、子供が好きなものを食べられたり、沢山食べられたりすることから好まれるようだ。

いろいろなものを食べられる朝食が好まれる

豪華さがカギ握る

 推薦理由で最も多かったのが「種類が豊富・豪華」で、310件あった。「和、洋、中を万遍なく食べられる」や、「自分の好みにあわせられる」、「選ぶのが楽しい」といった点などが、推薦理由の多さにつながったようだ。子供が楽しみながら食べられることから、家族連れからの支持も高い。

地元食材求める声

 次に多かった推薦理由は、「地元の食材・名産品が食べられる」で218件。ご当地メニューも人気で、地域を感じられる味付けなどは、旅行気分を盛り上げ、好印象を与えている。なかでも、採れたての新鮮な野菜に対する支持が高い。朝食で気に入った特産品などは、お土産として購入する人もいる。

和食形式喜ばれる

 干物や、刺身、イクラなどの海の幸を推薦理由に挙げる声は、196件。とくに、焼き立ての美味しさなどを理由に干物を推す声が52件と多く、日本人の朝食の定番スタイル(御飯・魚・味噌汁)がよかったという声も97件、味噌汁単体でも37件の推薦理由があった。

 刺身やイクラなどを推薦理由に挙げる人からは、「朝から舟盛りが出て感動した」、「自分好みの海鮮丼が作れて幸せ」などの声が聞かれた。朝食で獲れたての新鮮な海の幸を堪能できるのも、利用者の満足感につながっているようだ。

丁寧に炊かれたご飯が人気

根強いお米の人気

 新潟県や北海道など、各地にいろいろな銘柄米がある日本。今回の調査でも、「米の美味しさ」を推薦理由に挙げる声が89件と、根強い人気を示した。米が美味しくて「何杯も食べてしまった」や「印象に残っている」という声が多い。また、炊き立てのご飯を食べられることだけではなく、釜などで丁寧に炊かれたご飯の味に感動した人も多く、好印象につながっているほか、「おにぎりを目の前で握ってくれた」、「付け合わせが沢山あった」という声もあった。

 ご飯・米の関係では、「温泉粥」などで提供される粥が27件推薦理由に挙がっていて「体に優しい」ことが、利用者に喜ばれている。餅も24件の推薦理由があり、日常ではあまり食べることのないつき立ての餅を楽しめたことが好評を得ているようだ。

 朝食のもう1つの主役、「パンの美味しさ」を推薦理由に挙げる声は62件。「焼き立て」、「自家製」、「種類が多い」ことが好印象を与えている。自家製のジャムなども、パンが支持を集める要因になっている。

豆腐はでき立てで

 海の幸や米、パン以外で人気があったものをみると、でき立て、手作り、自分で作る豆腐の支持が高く、43件。とくに湯豆腐が人気。オムレツは38件推薦理由として挙がっていて、目の前で焼き上げてもらえることが、印象に残るきっかけになるようだ。

地産食材人気続く

 地産食材やジビエなどへの注目が高まっているといわれている。施設側でも、「地産食材」をコンセプトに献立作りやフェアを開催しているところは多い。今回のアンケートでも、「地元の食材・名産品が食べられる」ことが多くの人の推薦理由になっていた。地元の食材や味付けは、旅行に出たからこそ味わえるもの。今後もニーズが高まっていきそうだ。

 推薦理由には、「美味しい」や「おすすめ」という声だけではなく、「幸せ」、「ほっとする」、「楽しい」などの声も多く挙げられている。感情に訴えかけるメニュー作りや味付け、盛り付けなども宿の食事を気に入る重要な要素になっているようだ。

 「種類が豊富・豪華」な朝食を推薦理由に挙げている人も、品数の多さに感動したり、選ぶことを楽しんだりしていた。また、刺身など普段朝食のメニューでは並ばないものに対し、贅沢感を挙げる人も多い。朝食の満足感を上げるには、多くのおかずを並べるなどし、目でも楽しめるよう工夫されたメニュー作りも重要になる。

 このほか、手作り感やでき立て、丁寧さなど、料理の味以外の部分を感じられることも、推薦された宿の評価に大きく関係しているようだ。

 なお、今回の調査は2225人の方から回答があり、1073軒の宿が推薦された。

通報制度導入か、ガバナンスを議論(観光庁)

 観光庁は6月15日に「第2回新たな旅行業法制度に関する検討会 経営ガバナンスワーキンググループ」を開いた。今回は企業ガバナンスのあり方について議論。健全な経営の遵守のため「内部・業界通報制度」の導入が検討された。

 会後に記者ブリーフィングが行われ、観光庁観光産業課産業政策担当の黒須卓参事官は「通報するには基準を作るべきとの議論があった」と報告。旅行会社の種別や業績など、判断基準をどこに据えるのかも議論が必要だとした。

 観光庁や旅行業協会、第3者機関などが主体となり実施する可能性が高い。一方で通報による風評被害にも留意する。

 このほか、観光庁らが行う登録更新の確認項目も強化し、更新年度以外での定期的な確認も実施していく考えを示した。

 企業自身の監査体制に対しては「コンプライアンスの問題もあり、内部体制作りも必要」(黒須氏)と述べた。てるみくらぶでも問題になった広告表示・旅行者募集については、現行の規制を強めていく方向だ。

 なお、3回目は6月の4週目に行う。4回目でとりまとめ、夏期に発表して今秋に対策を実行する見通し。

商慣習の見直しも、投資へ〝見える化〟はかる(観光産業革新検討会)

検討会のようす

 観光庁は6月14日に東京都内で第4回観光産業革新検討会を開いた。地域のマーケティングと生産性向上のために、業績や市場状況などの数値の見える化を重視。廃業などで疲弊した地域へ投資促進に取り組む一方で、サービサー(債権回収会社)を積極的に活用すべきとの意見も出た。旅行会社に対する商慣習の見直しも明記され、7月のとりまとめに向け動きが加速した。

 「外部から投資を呼び込むためにも、業績の見える化などはエビデンス(根拠)として必要になってくる」。観光庁の黒須卓参事官は、客観・定量的な数値の把握が必要だとした。併せて見える化すべき指標や、データの抽出方法などの研究の啓発も行っていく考え。

 政策金融や地域経済活性化支援機構(REVIC)などの官民ファンドも引き続き活用していく。投資ノウハウ、人材支援の機能も安定的に提供できるようにし、体制を整えていく方向だ。

 一方で「地域金融機関は地域密着でやってきたが、地域事業者との癒着が生まれている」とEHS代表の渡辺清一朗委員はこの状況を問題視。「改めてサービサーの活用も必要ではないか」と疲弊している地域における解決策の1例を挙げた。

 生産性向上にはオペレーションを合理化し、付加価値の向上と、コスト削減に取り組んでいく。泊食分離などのあり方もワークショップやセミナーを開催して啓発する。

 宿泊施設の情報開示項目も検討し、モデル的に試行を実施。宿泊産業全体の生産性向上底上げを狙う。ただ個々の宿泊施設で厳しい場合も考慮。共同売買のプラットフォームの確立支援もする。

 旅行会社に対しては宿泊事業者への商慣習の見直しをはかる。客室ブロック時には前受金を一部支払わせるなど、デポジットを支払う仕組みの普及を検討していく。