【特集No.596】セルリアン・リーガロイヤル・八芳園がタッグ 顧客共有しファンづくりへ

2021年11月11日(木)配信


 ロケツーリズムへの注目が高まっている。新型コロナウイルス感染症の影響により経営面で大きな打撃を受けたホテルなどは、営業できない施設や空きの目立つ客室をロケ場所として積極的に貸し出し、大きな収益を得ている。また露出機会を増やすことで、収束後の誘客へつなげるのも狙い。

 各施設でロケ誘致に尽力するセルリアンタワー東急ホテルの長谷川達宏氏、リーガロイヤルホテル東京の金子由夢氏、八芳園の村上裕章氏が、施設連携でのロケ誘致や各施設のファンづくり、利用者数の増加に向けた取り組みを語る。

  ――8月にロケ撮影に使われるスイートルームの観覧付きプランを売り出したセルリアンタワー東急ホテルは、どういった経緯でロケ誘致を始められたのですか。

 長谷川:新型コロナウイルス感染症が流行する前は、インバウンド需要もあり高稼働で売上が推移していました。一方で、スイートルームの販売に関しては唯一苦戦していました。

 この課題を解決するために注目したのが、「ロケ撮影」です。2019年に自社ウェブサイトに撮影誘致が目的の専用ページを開設し、同時期に外部のロケ地検索サイトにも参画しました。それによってロケ撮影に前向きなことが浸透し、問い合わせが増えました。

 ――八芳園もロケ誘致の取り組みを本格化させたのは最近ですね。

 村上:八芳園がロケ誘致の体制を整え、本格的に動き出したのは、私が担当になった2年前からになります。

 ただそれ以前から前任者が庭園や宴会場での撮影を受け入れており、売上実績も積み重ねていました。

 八芳園がロケ誘致を本格化させたタイミングは、コロナの影響で宴会場の利用が止まったときとも重なるのですが、その年にまず会員と映像制作者が効果的なロケ誘致をしようと情報を交換するロケツーリズム協議会にオブザーバーとして参加しました。昨年からは、正会員として引き続き参画し、ノウハウを学びながら、制作者へのPR、ホームページを通じてのロケ実績の発信などを行っています。

 ――リーガロイヤルホテル東京は、ロケ誘致に早い段階から取り組み、成功事例を積み重ねられています。

 金子:リーガロイヤルホテル東京は1994年に開業したのですが、リーガロイヤルホテルグループが関西を中心に展開していたので、開業当時は東日本での知名度は高くありませんでした。そこで、知名度アップの方策としてロケ誘致の取り組みを始めました。

 ――企業PRなどを目的にロケ誘致に取り組む民間企業も増えていますが、この流れをどう捉えていますか。

 金子:私共のホテルが「ヨーロピアンクラシック」を基調としているように、各施設それぞれにスタイルがあり、撮影される作品ごとに、世界観に合う、合わないという判断を制作サイドがします。大切なのは、問い合わせが来たけれどイメージと違うとなったときに、他の施設を紹介できるかどうかだと思っています。新型コロナウイルス感染症の流行拡大で観光業界は大きな打撃を受けています。こうした状況下で、相互に送客し合うことも大切です。

 ――ロケの受け入れは、コロナ禍で打撃を受けたホテルの収益面にどの程度の恩恵をもたらしていますか。……

【全文は、本紙1847号または11月17日(水)以降日経テレコン21でお読みいただけます。】

日本修学旅行協会、20年度修旅の実態公表 中学5割、高校6割が中止

2021年11月10日(水) 配信

中学は47・2%、高等学校は34・3%が計画を変更した

 日本修学旅行協会(竹内秀一理事長)が11月8日(月)に発表した、2020年度全国修学旅行調査速報版によると、中学は約5割、高等学校は約6割が中止したことが分かった。同年度の修学旅行の計画について、中学校は47・2%が変更し、51・5%が中止した。予定通り催行した学校は1・4%。一方、高等学校は61・4%が中止し、34・3%が計画を変えた。計画通りの実施は2・1%。海外旅行の実施校数は0件だった。

 調査は、中学校の1046校と高等学校の1147校から回答を得た。

 中学校でのコロナ禍による具体的な変更内容については、出発時期が38・7%でトップ。次いで、日数が22・3%、方面が32・9%と続いた。コロナ禍収束後の海外旅行は、意向ありが40・4%、予定なしは、38・3%。未定は21・3%となった。

 実施時期では、10月が前年同月比99件増の149件で最多。次いで9月が同55件増の120件、11月が同62件増の111件だった。

 旅行先は京都(6・5%)が最も多く選ばれた。続いて奈良(5・9%)、山梨(5・8%)、北海道(5・2%)、長野(同)の順。

 構成比については、19年度と同じ順位だった京都が前年度比16・2%減、奈良は同13・9%減となり、他県との差が縮まった。

 班別の自主行動を行った学校は、同59・9%減の31・1%。

 高等学校の実施時期は、12月が前年同月比100件減の86件で最も多かった。2位は11月が同146件減の75件、3位は昨年0件だった3月が58件となった。

 旅行先は長崎(7・3%)が1位。沖縄(5・8%)、広島(5・5%)、大阪(5・1%)、北海道(4・9%)と続く。

 班別に自主行動した学校は前年度比34・2%減の50・8%。

 収束後の海外旅行については、62・2%が再開したいとし、14・7%は意向なしと回答。未定は23・1%。

下山の魅力を発信 富士山でONSEN・ガストロノミーウォーキング 

2021年11月10月(水) 配信

ウォーキングを楽しむ参加者

  静岡県・富士山で10月16日(土)、ONSEN・ガストロノミーウォーキングを行った。富士登山はハードルが高いと敬遠されていた人に、富士山5合目から眼下に広がる景色を体感してもらうとともに、年間を通して訪問者が訪れることのできる下山の魅力を発信することが狙い。イベントは観光庁の富士山再訪を見据えた新たな富士山地域周遊観光実証事業として、官公庁の助成を受け実施した。

 富士山「富士宮5合目」をスタートし、6合目の宝永火口縁を経由し、御殿場信吾合目(実質2合目)まで下山するルートを組んだ今回のイベント。国立公園内を進むコースのため通常のイベントのようにガストロノミーポイントを設けることができないため、参加者には静岡県のB級グルメやフルーツサンドを中心とした軽食を用意した。

 眼下に静岡県や海を眺め、状況によっては雲海の上を歩くような壮大な景色のなかを歩く予定だったが当日はあいにくの雨となり、ウォーキングイベントそのものは距離を大幅に短縮。ウォーキング終了後は、御殿場高原ホテル「時之栖」で「お疲れ様ディナー」も実施した。静岡県の食材にこだわったフレンチコースディナーを通じ、静岡県の食材の豊富さをあらためて認識するイベントとなった。

 ONSEN・ガストロノミーツーリズム推進機構関係者は、「今回のイベントは観光庁の助成金を利用した企画ということもあり、参加費1000円で充実した内容のイベントをご提供でましたが、来年度以降同じ内容で実施することは難しいです。ですが、静岡県、富士山周辺での開催は食材やお酒といった観点でも地域色が出せることや、なんといっても富士山を眺めながら歩くということから、ONガスウォーキングを実施するうえでは非常に魅力的な土地なので、継続して展開したいという思いが強くなりました」と今回のイベントを振り返った。

10月の宿泊業倒産は8件 10月時点で78件、19年通期を上回る(東京商工リサーチ調べ)

2021年11月10日(水) 配信

東京商工リサーチはこのほど、21年10月の宿泊業倒産を発表した

 東京商工リサーチがこのほど発表した2021年10月の宿泊業倒産は8件(前年同月は13件)だった。2カ月連続で前年同月を下回った。このうち、新型コロナ関連倒産は5件。倒産全体の6割(構成比62・5%)を締めた。また、21年1~10月の累計倒産件数は78件で、前年同期の105件を下回っている。一方で、コロナ禍前の19年通期(1~12月)の75件を既に上回る結果となった。

 

宿泊業の倒産状況

 10月の宿泊業倒産の負債総額は85億4300万円(前年同月比45・1%増)で、2カ月ぶりに前年同月を上回った。今年1~10月の累計負債総額は1387億5300万円で、前年通期(1~12月)580億1200万円のおよそ2・4倍。

 原因別として、販売不振が5件で6割を占めた。形態別では、破産が6件のほか、特別清算が2件となり、すべて消滅型で占められた。地区別では中部が4件、九州2件、関東と近畿から各1件発生した。

 おもな倒産事例として、「ホテル長泉ガーデン」を経営していた長泉ガーデン(静岡県・長泉町)が10月22日(金)、債権者から破産を申し立てられ破産開始決定を受けた。負債総額は、長泉ガーデンと関連企業の長田事業併せて約187億円。

 同社は、会員制リゾートホテル「ホテル長泉ガーデン」の経営を手掛けていたほか、関連企業の長田事業は同ホテルの建築主であり、会員権の販売などを行っていた。しかし、建設費の支払いが遅れるなど当初から資金面で問題が生じていた。

 近年は会員とのトラブルが発生するなか、関連企業のAWH(旧・淡島ホテル)が19年12月に破産開始決定を受けた。ホテル会員権や貸付金、預託金などの債権者が結成した「淡島ホテルグループ債権者の会」が、会員の権利や金銭問題の解決のほか、グループ内での資産流出の抑止策を講じた。

 今年3月10日(水)に静岡地裁沼津支部へ両者の破産を申し立て、10月22日(金)に破産開始決定を受けた。負債は、長泉ガーデンが債権者約30人に対して約75億円。長田事業が債権者約30人に対して約112億円となった。

 

旅行業の倒産状況

 今年10月の旅行業倒産は20年12月以来、10カ月ぶりに発生しなかった(前年同月6件)。21年1~10月の累計倒産件数は25件(前年同期24件)で、前年を上回って推移している。

 10月に入り緊急事態宣言などが全国で解除され、国内旅行が活発化する動きや「Go Toトラベル」の再開も議論されている。同社は、「入国制限もビジネス旅客の緩和が取り沙汰されていて、コロナ禍で疲弊した旅行業の回復に期待が集まる」と分析した。

クラツー、八幡平市と連携協定 地域共創で活性化はかる

2021年11月10日(水)配信

(写真左から)八幡平市長の佐々木孝弘氏、クラブツーリズム社長の酒井博氏

 クラブツーリズム(酒井博社長、東京都新宿区)は11月4日(木)、岩手県八幡平市(佐々木孝弘市長)と「観光分野における連携協定」を結んだ。相互の人的や物的、知的資源を有効に活用した協働の活動を推進することで、地域の活性化をはかり、持続的な発展につなげる目的だ。

 今回の協定で、八幡平地域や周辺の豊かな自然資源を軸に、新たな自然体験コンテンツの企画から国内自然観光地としての認知度向上をはかる。さらにはインバウンド観光でも選ばれるよう、八幡平市とともに同地域の資源を生かした観光振興に取り組んでいく。

 これに伴い、新たに協働で企画したトレーラーサウナを使用したアウトドアサウナ「浴衣de雪見サウナ体験」を盛り込んだ旅行商品を販売する。アウトドアキャンプ場や海岸、湖畔などで近年人気のテントサウナを、八幡平の雪景色と掛け合わせたツアー3コースを企画している。実施期間は2022年2月18日(金)~23日(金)(出発日は異なる)。

 なお、既に地域活性化企業人制度を活用して同社スタッフを八幡平市に派遣するなど、人的な資源活用を進めている。

マニラに12月28日、ホテルオークラ開業 ニノイ・アキノ空港に隣接

2021年11月10日(水) 配信

ホテルオークラマニラ外観

 オークラニッコーホテルマネジメントは12月28日(火)、フィリピン共和国の首都マニラに「ホテルオークラマニラ」を開業する。日本のおもてなしとフィリピンの真心が融合したサービスの提供を目指す。開業に先立ち、11月10日(水)から宿泊予約を開始した。

 同ホテルは、ニノイ・アキノ国際空港に隣接する統合型リゾート施設「リゾート・ワールド・マニラ」内に位置。同施設は第3ターミナルと歩行者用通路で直結しており、快適に移動できるという。また、ビジネスの中心街・マカニティ地区などにも近く、レジャーだけでなくビジネス利用者にも便利な立地にある。

アトリウムロビーのイメージ

 館内は、日本の伝統美を現代的に表現したアート空間を設えた。ロビーは吹き抜けにし、山岳風景を思わせる意匠を施した。ロビーを囲むように配置された客室からは、アトリウムの全景を見渡すことができる。ロビー内の枯山水の庭園に佇むような東屋にはレセプションが配置され、奥には日本食を始め、世界の料理を提供するオールデイダイニング「和らぎ」が広がる。

 客室は全190室。和の趣が感じられる自慢の「檜湯ルーム(30室)」と「パレススイートルーム(16室)」には、長野県南木曽町の檜を使用し、日本の職人が仕上げた檜風呂を備えた。

クラツー、星野リゾート巡る 6泊7日の贅沢ツアー発売

2021年11月9日(火)配信

星のや東京 玄関(イメージ)

 クラブツーリズム(酒井博社長、東京都新宿区)はこのほど、星野リゾートを6泊7日で巡る一人旅限定の「星野リゾートめぐりツアー」を売り出した。関東から北陸までの温泉旅館ブランド「界」の5施設と、最高級ブランド「星のや東京」に宿泊する贅沢なコースを用意した。出発日は2022年2月20日(日)、27日(日)の2回実施で、旅行代金は77~100万円。

 宿泊場所は、栃木県の「界 川治」と「界 日光」、静岡県の「界 アンジン」、長野県の「界 アルプス」、石川県の「界 加賀」。そして最終泊は東京都の「星のや東京」に宿泊する。

 心地良い和にこだわった「界ブランド」では、温泉や「日本旅会席」、ご当地体験など、各地域の個性と日本の伝統を感じられる充実の内容を提供する。一方、「星のや東京」は、最上階にある地下1500メートルから湧き出る温泉や、日本の食材をフレンチの技法で味わう夕食など、都心に佇む日本旅館で非日常の体験を味わえる。

 移動は、20日発が完全個室型バス「Grace Dreamer(10人乗り)」を、27日発が水戸岡鋭治氏デザインバス「クラブツーリズムフアースト(コロナ対策で9人乗り)」を使用。移動時間も寛ぎながら上質な旅になるよう仕上げた。

日本修学旅行協会、12月25日に一橋講堂で教育旅行シンポ開く 産業観光位置づけ探る

2021年11月9日(火) 配信

2019に開いた教育旅行シンポジウムのようす

 日本修学旅行協会(竹内秀一理事長)は2021年12月25日(土)、東京都千代田区の一橋大学・一橋講堂で第16回教育旅行シンポジウムを開く。今回は「教育旅行と産業観光 ~産業観光を教育旅行にどのように位置づけるか、SDGsの視点も踏まえて~」をテーマに、地方自治体や小・中・高等学校の教職員、観光業関係者など約250人が参加する予定だ。

 産業観光が見学と体験を通して、「勤労観と職業観を育むキャリア教育につながり、生徒が持続可能な社会の創り手として成長できる」ことを確認する。

 同シンポは2部構成となる。第1部の基調講演では、全国産業観光推進協議会会長の須田寬氏が「産業観光」への取り組みの現状や、教育に活用することの意義などを語る。

 第2部は「産業観光」に対する学校のニーズや教育旅行での効果的な学び方、課題やこれからの方向性について、パネルディスカッションで議論していく。

 パネリストには、東京都立中野工業高等学校統括校長の守屋文俊氏と、東京大学教育学部附属中等教育学校副校長の淺川俊彦氏、全国産業観光推進協議会副会長の丁野朗氏、大阪モノづくり観光推進協会専務理事兼事務局長の足立克己氏、JTB事業基盤機能人事チーム調査役の長島誠人氏の5氏が登壇する。コーディネーターは日本修学旅行協会理事長の竹内秀一氏が務める。

 参加資料代は、1人2000円。教育関係者は無料。

 申込は12月15日(水)まで、FAXまたは同協会のホームページで受け付けている。

「地域を見つめ、地域を動かす」 國學院大學22年観光学部観光まちづくり学科を開設

2021年11月9日(火) 配信

西村幸夫教授

 國學院大學は11月8日(月)、同學内で「観光まちづくり」フォーラムを開き、2022年開設の観光学部観光まちづくり学科の構想を発表した。

 スローガンを「地域を見つめ、地域を動かす」とし、「地域から考える」ことを基本にする。

 新学部設置準備室長の西村幸夫教授は、「地域が魅力的になることにより、経済が動く。そこに暮らす人が自信をもって将来生きていけるまちをつくるとともに、すでに観光地になっている場所の観光の魅力もより深めていきたい」と学部への思いを語った。

 観光学部の柱は①地域の個性をみつけ、みがく(地域環境を見る)②地域の多様なつながりをつくり、生かす(地域社会を見る)③地域の暮らしを支え、豊かにする(地域経済を支える)④地域の未来をつくる人材と仕組みを育てるーーの4つ。観光まちづくりを推進するにあたり必要な地域の諸条件、観光を取り巻く環境を客観的に分析する手法や、社会学の基礎を文系、理系の垣根を超え、理論と実践の両方から学ぶ。

 同学部には、観光学や社会学、歴史学などさまざまな分野での経験と専門性をもつ教員が来年4月までに29人、再来年には30人集う。地域の魅力を生かし、課題を解決するマインドをもった学生を育てるべく、フィールドワークも実施する。

 佐柳正三理事長は、同学部設立趣旨を「日本の存在の根底にあるゆるぎないモノ、人々の心、地域、自然、伝統、文化遺産などを改めて見直し、地域に軸足を置いたまちづくりを実践し、自然、人が豊かに生活できる世の中を実現すること」と説明する。

 そのうえで、「21世紀の今日改めて建学の精神『本ヲ立ツル』に立ち返り、日本の伝統文化、歴史などの重要性を基点にまちづくり、都市づくりを通して、日本再生、発展に寄与していくと期待している」と力を込めた。

針本正行学長

 針本正行学長は「國學院大學は1882年に國學と神道の教育機関として誕生した皇典講究所を母体に創設され、建学の精神を具現化した高等神職の養成機関として毎年多くの神職者を排出している。ご奉仕をする神社は地域社会、コミュニティの核であり、神社の持つ宗教文化に立脚する文化視線が観光を通して活用され、まちづくり、地域づくりの中核としても位置付けられている。ここにこそ本学が観光まちづくり学部を設置する意義がある」とした。

岡田美術館で特別展「The SAMURAI―サムライと美の世界 ―」 武士をテーマとする絵画に工芸品を併せて約30件を展示

2021年11月9日(火) 配信

葛飾北斎「堀河夜討図」
(部分 )江戸時代後期 19 世紀前半 岡田美術館蔵

 岡田美術館(神奈川県・箱根町、小林忠館長)で2022 年 2 月 27 日(日) まで、特別展「The SAMURAI―サムライと美の世界 ―」が開かれている。

「平家物語図屏風」(左隻 部分) 江戸時代前期 17 世紀中頃 岡田美術館蔵

 源頼朝や義経など語り継がれた源氏のヒーローたち、 威儀を正して参列する諸大名、勇壮な馬追の祭礼や凄惨な合戦のようすなど 「武士を描く絵」を中心に、武士をテーマとする絵画に工芸品を併せて約30件を展示。源平の栄枯盛衰を豪華絢爛に表現した「平家物語図屏風」や、源義経、静御前、武蔵坊弁慶を描いた葛飾北斎による「堀河夜討図」などの名品を見ることができる。

渡辺崋山「虫魚帖」のうち(鶏頭にとんぼ・部分 )天保 12 年( 1841 )重要文化財 岡田美術館蔵*会期中ページ替あり

 同展覧会では、さまざまな形で武士の身分・職分との折り合いをつけながら画才を発揮した画家たちにも焦点を当てる。21年に没後180年の節目を迎える渡辺崋山の、代表作「虫魚帖」(重要文化財)を始め、浦上玉堂の「山雨一洒図」や、歌川広重の「東海道五十三次日本橋」(朝之景)などの作品も見どころだ。

 入館料金は一般・大学生 2800円(前売り2550)、小中高生は 1800円(前売り1550円)。開館時間は、午前9時から午後5時まで。