正会員の2022年度上半期実績を報告 ロケツーリズム協議会 3度目の会合開く

2022年9月29日(木)配信

エリア別ワーキングのようす

 ロケツーリズム協議会(藤崎慎一会長)は9月22日(木)、リーガロイヤルホテル東京(東京都新宿区)で今年度3度目の会合を開いた。

 冒頭、観光庁観光地域振興部 観光資源課 文化・歴史資源活用推進室の遠藤翼室長は「2022年度の概算要求は『観光立国復活』がキーワード。今までため込んできたノウハウ、リソースを自治体や企業が発揮できるよう観光庁としても支援を行う」とあいさつ。その後、正会員の2022年度上半期の実績を報告した。

 事例紹介では神奈川県綾瀬市、岐阜県多治見市、静岡県伊東市の3自治体と、2つのホテルの成果を紹介した。映画「さかなのこ」のロケ地となった神奈川県綾瀬市は、権利交渉を適切に行い映画のワンシーンを広報誌の表紙に採用。ロケ地となった学校にはロケ地看板を設置するなどし、映画の情報発信を展開した。

 静岡県伊東市は日本テレビで8月4日に放送された「秘密のケンミンSHOW極」で取り上げられた道の駅 伊東マリンタウンがSNSで話題になったほか、同施設で販売されている「しらすのジェノベーゼ」も2日で半年分の在庫、500個が完売した。

 オリックス・ホテルマネジメントは「会津・東山温泉 御宿 東鳳」(福島県会津若松市)と「函館・湯の川温泉 ホテル万惣」(北海道函館市)、「クロスホテル札幌」(北海道札幌市)にテレビドラマ「雪女と蟹を食う」のロケを誘致。撮影に際し3ホテルが宿泊支援やエキストラ、ケータリングなど全面的に協力、原作本プレゼントなどの宿泊プランを展開したほか、作中に3ホテルが実名で登場した。

 事例報告の後は、2つのワーキングを実施した。コース別ワーキングでは、ケナビゲーターコース、ロケエディターコース、ロケツーリズム効果チームに分かれ、ロケ対応から、その後の活用・情報発信までロケツーリズムによる地域活性のノウハウを学習。ロケエディターコースではプレスリリースを出すタイミングの重要性などを解説、小さな話題でもマスコミを呼ぶことの大切さなどを学んだ。

 エリア別ワーキングでは、前回に引き続き、地域の受け入れ担当者がグループごとに分かれ、制作者も交え、自分の地域の強みや弱み、受け入れ時の工夫や悩みなどを共有した。

旅館業法5条改正は「新しい旅のエチケットに沿った内容」 需要回復で人手不足への懸念も(和田観光庁長官)

2022年9月29日(木) 配信

観光庁の和田浩一長官(9月21日の会見)

 観光庁の和田浩一長官は9月21日(水)に開いた会見で、秋の臨時国会で提出される旅館業法の改正案について、「宿泊業界の声を踏まえたもの。感染症まん延防止の観点からも必要。観光庁としても、楽しい旅行をしてもらうために新しい旅のエチケットを推進しているので、今般の改正はこの趣旨に沿っている」との認識を示した。

 現行法では、伝染性の疾病に罹っていると明らかに認められる場合のみにしか宿泊を拒否できないが、新型コロナ感染の疑いのある利用客が施設の指示に従わない場合、事業者側が宿泊拒否できるよう方向性を取りまとめた。

 また、国内外の観光需要の回復に伴い、宿泊事業者において人手不足感が高まっている状況にある。

 現状、宿泊事業者は、従業員のマルチタスク化やDX(デジタルトランスフォーメーション)の活用によって生産性の向上をはかるほか、パートなどを含む人員の新規募集や、人材派遣会社への派遣依頼などによって対応している。和田長官は、「今後、インバウンド需要の本格的な回復に適切に対応していくためには、中長期的な視点に立って人手不足への対応をしっかり進めていく必要がある」として、国内人材の担い手確保を進めながら、それでもなお足りない部分に対しては外国人材を活用する環境を整えていく。

 国内人材の担い手確保については、レベニューマネジメントの実施などによって収益力を向上し、DX化を推進する。

 「宿泊業における構造的課題である労働生産性の向上や賃金水準の上昇をはかり、魅力ある産業にしていく必要がある」とした一方で、外国人材に関しては、「業界とも連携して特定技能試験の回数を増やし、外国人材の受け入れ強化に取り組んでいく」考えを示した。

金賞はORGANに、ツーリズムEXPOで表彰(第15回産業観光まちづくり大賞)

2022年9月29日(木)配信

5つの受賞団体が表彰された

 日本観光振興協会と全国産業観光推進協議会は9月23日(木)、東京ビッグサイト(東京都江東区)で開かれたツーリズムEXPOジャパン2022で、第15回産業観光まちづくり大賞の表彰式を行った。当日は金賞、経済産業大臣賞、観光庁長官賞などを受賞した計5団体が登壇。金賞にはORGAN(オルガン、岐阜県)の「産業観光拠点『和傘CASA』を端緒とした、伝統工芸岐阜和傘の産業再生への多面的取り組み」が選ばれた。

 同賞は、「産業観光」による観光まちづくりを実践し、他の地域の模範となる優れた事例を表彰する制度。産業観光に取り組む団体、企業などを対象に幅広く募り、産業観光を通した地域振興の寄与や、受入側と訪問側に双方のメリットがあるビジネスモデルであるかなどを主な評価の視点として審査を行っている。

 ORGANは「和傘」を核に、高単価の商品や体験プログラムの造成・販売、戦略的なプロモーション活動、伝統産業を守り伝えていくための人材育成、地域の他の伝統産業との連携など、さまざまな優れた取り組みを行っている。活動の継続性や高い事業性が評価され、金賞に選定された。

多摩大学の望月照彦名誉教授が講評した

 審査副委員長を務めた多摩大学の望月照彦名誉教授は、受賞した5団体について「次世代につなげるまちづくりや、産業をどうやって再生していくかを考えて取り組んでいる。非常に優れた観光資源を持ち、それが未来をつくることにつながっているエリアではないか」と講評した。

 このほかの受賞団体と取り組みは次の通り。

【経済産業大臣賞】やまなし観光推進機構(山梨県)の「やまなしワインツーリズム」

【観光庁長官賞】横須賀市(神奈川県)の「産業遺産を活用した周遊施策『MEGURU PROJECT』の実施」

【銀賞】越前海岸盛り上げ隊(福井県)の「越前海岸の暮らしに触れる旅/越前海岸盛り上げ隊」

【特別賞】備前観光協会・みんなでびぜん(岡山県)の「海洋教育を通じたSDGsと観光―里海・里山の自然と共存する観光まちづくり―」

出雲大社「神在月」期間の貸切バス駐車予約開始へ

2022年9月29日(木) 配信

出雲大社

 島根県出雲市の出雲観光協会は9月30日(金)、全国の八百万(やおよろず)の神々が出雲の地に集う11月の「神在(かみあり)月」の期間、出雲大社大駐車場を利用する貸切バスの事前予約受付を始める。

 予約が必要な日時は、11月3(木)~10日(木)の8日間で、3日(木)は午後4時から同9時30分、4(金)~10(木)日は午前8時30分から午後4時30分。

 マイクロバス以上の観光バスは予約が必要となる。今年度から貸切バス1台につき、「交通対策協力金」として1000円を収受する。下車時および乗車時の利用、またはそのどちらか1回の利用が収受対象となる。

バスレーンが13台と少なく円滑な運用のため、駐車時間は最大15分とし、指定する待機場所への回送が必要だ。

 予約受付開始は9月30日(金)午前9時からの予定。同協会のホームページに開設する予約サイトで受け付ける。

 また、来年1月1日(日)に出雲大社参拝ツアーなどで大駐車場を利用する場合も予約が必要となる。同日の予約受付は11月下旬から開始する予定。交通対策協力金として1台につき1000円を収受する。

 問い合わせ=出雲観光協会  ☎0853(31)9466。

岐阜県・下呂温泉など国内10カ所を選出、世界の持続可能な観光地トップ100選2022

2022年9月28日(水)配信

下呂温泉街

 「世界の持続可能な観光地トップ100選2022」に、日本からは岐阜県の下呂温泉街(下呂温泉観光協会)など10カ所が選ばれた。

 持続可能な観光の国際基準を取り入れ、より良い地域づくりに努力している地域を毎年選出するもの。2022年9月27日(火)にギリシャの首都アテネで開かれた「Green Destinations 2022 Future of Tourism Summit」で、国際的な認証機関「グリーン・デスティネーションズ」(オランダ)が発表した。今回で8回目。

 下呂温泉街は、下呂温泉観光協会(瀧康洋会長)が主体となって取り組む「『E-DMO』による持続可能な地域づくりへの挑戦」が評価された。観光協会は2017年、観光振興体制の確立を目指し、DMO(観光地づくり法人)として法人登録。統計データに基づく観光プロモーションや商品企画に取り組むなか、国の「重点DMO」にも選定されている。一方、16年には下呂市エコツーリズム推進協議会を設立し、経済活動と環境保全の両立にも注力してきた。DMO側はプロモーション、エコツーリズム側は資源の保全・活用を担うという、下呂独自のモデルは「E-DMO」として、注目されている。

 トップ100選に選ばれたのは下呂温泉街のほか、阿蘇市(熊本県)、箱根町(神奈川県)、東松島市(宮城県)、釜石市(岩手県)、南知多町(愛知県)、那須塩原市(栃木県)、小国町(熊本県)、大洲市(愛媛県)、小豆島町(香川県)の各地。選定された地域は、認証ロゴマークの活用や専用ホームページでの国際的なPRが可能となる。

那須塩原市観光局、初の独自出展 持続可能な観光地選定アピール

2022年9月28日(水) 配信

アクティビティや特産品などもアピールした

 栃木県の那須塩原市観光局は9月22日(木)~25日(金)、ツーリズムEXPOジャパン2022に出展し、2021年度の「世界の持続可能な観光地TOP100選」に選ばれたことに加え、特産品やアクティビティなどをアピールした。独自でブースを設けるのは初となる。

 同表彰は国際的な認証団体グリーン・ディスティネーションズが国連世界観光機関(UNWTO)の指示で作成した文化保護などの項目で審査する。那須塩原市は、夏目漱石や谷崎潤一郎などの文豪が訪れた際に執筆した文章を刻んだ石碑の保存と活用方法などを評価された。

 昨年度、日本から選定されたのは京都府京都市や北海道・ニセコ町、香川県・小豆島町など9地域。関東では那須塩原市のみだった。欧米などでは高く評価されているという。

 また食材の紹介として、特産物「那須塩原ブランド」を活用した料理やレシピのほか、食事の際に一緒に楽しめる塩原温泉プレミアムビールやパスチャライズド牛乳、アイスミレピーニなどを掲載したパンフレットを配布した。旅行後、自宅でも食材を通して、那須塩原市の魅力を堪能してもらい、再来訪を促す狙いだ。

 小林紀明事業部長は「国内外から1人でも多くの人に那須塩原市に来てほしい」と意気込みを述べた。

どらなびEXPO2022秋、バス運転手の就職イベント 大阪、名古屋、東京で開く

2022年9月28日(水)配信

「どらなびEXPO2022春」東京会場のようす

 バス運転手専門の求人サイト「バスドライバーnavi(どらなび)」を運営するリッツMC(中嶋美恵社長、東京都港区)は10月、大阪、名古屋、東京でバス運転手専門の就職イベント「どらなびEXPO2022秋」を開催する。同月1日(土)は大阪・グランフロント大阪で、15日(土)が名古屋・JRゲートタワー、29日(土)に東京・新宿エルタワーを会場に開かれる。

 「どらなびEXPO」は、過去に東京・大阪・名古屋で30回以上開催し、総来場者数は5900人を突破した国内最大級のバス運転手専門の就職イベント。バス運転手として就職・転職を目指す人が無料で参加できる。ブース出展しているバス会社の採用担当者からの会社説明や、現役バス運転手によるトークイベントなどに参加できるほか、業界初心者向けの特別講座や就職相談コーナーなども用意する。

東武バスの「どらなびEXPO2022春」出展時のブースのようす

 開場時間は午前11:30~午後5:30。イベントの予約来場者全員に、どらなびオリジナルお守りとQUOカード500円分をプレゼントする。さらに、女性の来場者にはスキンケアセットもプレゼントする。

 予約は、どらなびWebサイト内のどらなびEXPO特設ページから。

蔵元自らが店頭に立って日本酒を提供する「Bar農!Farming & Brewing 2022」 11月13日まで

2022年9月28日(水) 配信

22の酒蔵の日本酒が楽しめる

 「農!と言える酒蔵の会」は11月13日(日)まで、日本酒の販路拡大・消費喚起に向けたイベント推進事業「Bar農!Farming & Brewing 2022」を展開している。

 「農!と言える酒蔵の会」は、原料の米作りから酒造りまでを一貫して手掛け、農業と醸造、そして消費者をつなげることを目的に22の酒蔵で構成する団体。今回のイベントは、若い人に品質の良い、おいしい日本酒に触れてほしいとの思いで企画した。

 期間中は蔵元自らが店頭に立って日本酒を提供する「酒蔵店長企画」を実施。同企画実施時は、担当酒蔵のラインナップされている日本酒以外の日本酒も提供する。また、マイグラスを持参することで、50円の割引が受けられる特典も用意している。

 一ノ蔵の鈴木整社長は「日本酒のプロである蔵元が直接アドバイスすることで、最高の日本酒ライフを提供できる。米から丁寧に作った日本酒をこの機会に体験して下さい」とPRする。

 イベントは前半が10月16日まで、後半は10月25日から。メニューには22蔵の日本酒をラインナップ、価格は500~1000円。

日本バス協会、税制改正を国に要望 固定資産税の減税要求へ

2022年9月27日(火)配信

日本バス協会の清水一郎会長

 日本バス協会(清水一郎会長)は9月21日(水)、東京・丸の内の日本交通協会で通常理事会を開き、コロナ禍による人流抑制で追い込まれたバス業界の厳しい状況を訴えた。清水会長は「乗合バスがなくなって一番困るのは市町村民」と強調し、公共交通の維持のため、来年度の税制改正要望に乗合バスの固定資産税の減税を要求したと伝えた。

 あわせて、貸切バスは約2年間の人流抑制と旅行控えにより、さらに厳しい状況にあると言及。全国旅行支援が開始した際は、「国が全国どこでも行って良いと旗を振ってほしい。この支援策は閑散期や平日だけでも良いので来年以降も何年も続けてほしいと言い続けていく」と語った。

 続けて、EV(電気自動車)については「環境・エネルギー問題が喫緊の課題となっているなかで、EVバスがカーボンニュートラルに向けた解決策の切り札になってくる」との考えを示した。他方、EVバス導入の初期費用に対して、国の支援制度や補助金が足りていない現状を指摘。EVバスが「カーボンニュートラルの大きなチャンスと思っている。EVバス支援を強力に求めていきたい」と力を込めた。

 運賃改定の問題については「国にお願いをし続けて色々な制度会議にはかられ、既に申請や計画が進んでいるところもある。とにかく早期認可をお願いしている」と述べた。

 最後に、北海道・知床半島沖の観光船事故、6年前の軽井沢スキーバス事故などにも触れ、悪質事業者の退出は国でしかできないと主張した。国には「運行管理の問題、ダンピングの悪質事業者の問題を徹底的にやってもらい退出させるようお願いしている。踏み込んだ措置を徹底的にやってもらいたい」と求めた。

 なお、来年9月20日(水)の「バスの日」で、日本初の路線バスが走ってから120年を迎える。清水会長はこれを踏まえて、「バスが持続可能でそしてバスで日本の未来を明るくしたい」と伝え、出席者に協力を求めた。

スペイン政府観光局、日本の重要性強調 プロモーションも計画

2022年9月27日(火) 配信

フェルナンド・バルデススペイン観光庁長官

 スペイン政府観光局は9月21日(水)、スペイン大使館(東京都港区)で会見を開き、日本市場の重要さを強調し、観光業界の現状やプロモーションの計画などを発表した。

 フェルナンド・バルデス観光庁長官は冒頭、来日の目的について「(日本の)観光庁と観光協力に関する覚書を締結し、往来の回復に向けた基礎を築く」と語った。さらに、ツーリズムEXPO2022では、約90平方㍍のブースに州の観光局やホテルなど14団体が出展することをアピール。「観光庁だけでなく、多くの団体などが日本を重要な市場として捉えている」と強調した。

 スペインについては、9月1日(木)から、渡航前にウェブなどで健康状態を申告するスペイントラベルヘルスを廃止。現在は3回目以上のワクチン接種証明書や出発72時間前のPCR検査による陰性証明書などで入国可能となった。今年の観光客数はコロナ前の2019年比で8割程度となる見込みだ。

 政府はコロナ禍以降、事業者に経営や雇用を維持してもらうため、観光産業に約526億ユーロ(日本円で約7兆4700億円)を融資。「パンデミック前と変わらない受入体制と品質を提供できている」という。

 一方、日本市場は回復が遅れているため、旅行会社やツアーオペレーターなどへのプロモーションを強化し、観光客の増加につなげたい考えだ。

 具体的には、視察旅行を通して、23年に没後50年を迎えるピカソ生誕の町マラガのほか、縁のある都市として、マドリードやビルバオなどをアピールする。日本で人気が高まっているとして鉄道の旅や、滞在日数を増やしてもらうため、カナリア諸島でのワーケーションなども訴求していく。

 バルデス長官は「観光事業者は日本からの観光客を心待ちにしている。旅行事業者にはスペインの魅力を知ってもらい、送客につなげてほしい」と語った。