三陸鉄道 今年も好評の「こたつ列車」運行 さまざまな特典も

2021年12月1日(水) 配信

「こたつ列車」と「洋風こたつ列車」今年も運行

 三陸鉄道(中村一郎社長、岩手県宮古市)は今年も好評の「こたつ列車」を、12月18日(土)~2022年3月27日(日)までの土・日・祝日に運行する。久慈駅正午発―宮古駅午後1時47分着と、宮古駅午後2時発―久慈駅午後4時40分着を予定。1月1―3日も運行する。

 お弁当は「大漁舟唄御膳」(3000円)に加え、「あわび弁当」(1600円)、うに丼(1700円)、ほたて弁当(1200円)から選べる。

 アテンダントによる車内ガイドに加え、岩手県北部の小正月行事の風習で、秋田の「なまはげ」に似ている「なもみ」が車内に突然現れるイベントも人気だ。久慈市銘菓「ぶすのこぶ」や記念乗車証、ミカンがプレゼントされる特典もある。

  合わせて、「洋風こたつ列車」も12月11日(土)~22年2月27日(日)までの土・日・祝日限定で運行する。ハイカラさんガイドの案内や、宮古の旬の食材を牛乳瓶に入れ、お客自身がその場でご飯にかけて食べる体験型のご当地丼「瓶ドン(磯汁付き)」(1500円)など数種類の弁当から選択できる。記念乗車証、ミカンに加え、マドレーヌ「恋し浜ブッセ」をハイカラさんガイドからプレゼントされる。運行時間は、宮古駅午前11時発―盛駅午後1時55分着。

 両プランとも、運賃は乗車区間の運賃+座席指定料金300円。

(左から)「なもみ」に扮する赤沼駅長、田中さん、小笠原主事

 12月1日(水)には、三陸鉄道旅客営業部の赤沼喜典副部長兼宮古駅長と、宮古駅駅務係の田中千理さん、岩手県東京事務所企業立地観光部の小笠原大介主事の3氏が本紙を訪れた。「なもみ」に扮する赤沼駅長は、05年から恒例となっている「こたつ列車」の魅力や、三陸エリアの海の幸の美味しさをアピール。田中さんは「観光客が少しずつ増えてきています。多くの人に三陸の素晴らしさを知ってもらいたいです」と話す。

ブッキング・ドットコム、「サステナブル・トラベルバッジ」日本に導入

2021年12月1日(水)配信

「サステナブル・トラベル」バッジ

 ブッキング・ドットコムはこのほど、サステナブルな活動に取り組む宿泊施設を示す「サステナブル・トラベル」バッジを、日本語サイトに導入すると発表した。

 同社は今年初めから、パートナー施設の掲載ページ内で取り組んでいる同活動を表示できる仕組みを展開している。日本語サイトに導入されることで、旅行者は予約をする際に、各施設がどのようなサステナブルな取り組みを行っているかを確認できるようになる。

 新しく導入する同バッジは、サステナビリティ関連のコンサルティングを行うサステナライズ社と協力。宿泊施設が実施しているサステナブルな取り組みの効果をはかる新たな評価基準を作成した。これにより、宿泊施設の所在地域ごとに異なる評価基準を満たしている宿泊施設のみ、同バッジを取得できる。

 ブッキング・ドットコムによると、サステナビリティへの取り組みの評価基準が地域によって異なる枠組みは、旅行業界では初めてという。同バッジの取得で、実施しているサステナブルな取り組みがその地域で効果が高いものと示せる。

 なお、掲載ページだけでなく、検索結果ページにも同バッジの表示を開始。年内には、ユーザーが同社の予約サイトでサステナブルな宿泊施設を検索しやすくなるよう、「サステナブル・トラベル」の絞り込み検索機能も導入する予定だ。

ホワイト・ベアーファミリー、再生を機に三大PJ開始 セールやECサイトリリースも

2021年12月1日(水) 配信

ホワイト・ベアーファミリーはこのほど、企業再生を機に3つのプロジェクトを打ち出した

 ホワイト・ベアーファミリー(池田千代子社長、大阪府大阪市)はこのほど、企業再生を機に、旅行商品の販売や会員制度の開始、お取り寄せグルメECサイトをリリースするなど、3つのプロジェクトを打ち出した。

 同社は、2020年6月に民事再生法の適用を申請し監督命令を受けていた。負債額は約278億円に上るなど、新型コロナ関連倒産では、過去最大の規模だった。今年の6月30日(水)に再生手続きの申請を行い、10月29日(金)に手続きの終結を迎えた。

 観光業の再建策と企業再生事業の一環として、11月から「WBF・ReBORN-FUN TO TRAVEL,AGAIN-プロジェクト」を始めた。

 第1弾は、WBF再スタートキャンペーンSALE大感謝祭として、旅行商品の販売と併せ、会員・メルマガ会員を対象に最大8000円の割引クーポンをプレゼントする。また、先着500人に抗原検査キットの特典を付ける。期間は22年1月31日(月)まで。

 第2弾は、入会金・年会費無料の新会員制度「ハッピーメモリークラブ(HMC)」をスタートする。会員はWBFの旅行企画や、国内旅行「しろくまツアー」、海外旅行「ハッピーホリデー」、国内・海外ツアーの旅行に参加するごとに次回の予約に使えるポイントを最大2%還元する。

 このほか、旅行回数に応じて4つの会員ステータスを設け、ステータスに応じてポイント付与率をアップする。

 第3弾は、全国各地の選りすぐり商品を集めたECサイト「千匠商店」を12月1日(水)からリリースする。商品は「全国観光特産検定2級以上」に合格したバイヤーが取り揃えた。

 同社は、「お客様に一生の思い出に残る旅行を提供し、社会に貢献できる企業として再生していくことを目指す」と意気込む。

地元の若手社員が企画! 長崎・五島列島で癒しの旅、東武トップツアーズ

2021年12月1日(水) 配信

地元目線で体験してほしい素材を盛り込んだ

 東武トップツアーズ(百木田康二社長、東京都墨田区)はこのほど、“今お客さまにおすすめしたい九州の地元”をコンセプトに、九州地区に勤務する若手社員が企画した「癒しの女子旅~長崎 五島列島~」を売り出した。地元出身者ならではの情報と視点を生かし、実際に出掛けて体験してほしい内容を盛り込んだ。

 五島列島は、長崎市の西、東シナ海上にある大小約150もの島々からなり、手つかずの自然が残る。今回のツアーでは、長崎市街から交通アクセスの良い列島最大の島・福江島で、教会やビーチを背景にプロカメラマンによる写真撮影や、古民家を改装した海を一望できる食事処で囲炉裏を囲んで五島列島の海の幸、山の幸を堪能する昼食が楽しめる。宿泊は、福江港から徒歩約5分のリゾート感あふれる「GOTO TSUBAKI HOTEL」の海側の部屋を用意。また、島内の移動に便利なレンタカー利用が2日間分付いている。

 商品設定は、2022年3月26日(土)までの1月1日を除く毎週土曜日出発の1泊2日。長崎港の発着で、料金は大人1人4万700円から。東武トップツアーズ各支店で2人から申し込みを受け付ける。なお、長崎県在住の人は「長崎しま旅」の割引が適用となる。同社は「ご友人や親子、ご夫婦など幅広くご利用いただけますので、この機会にぜひ五島列島への“島旅”をお楽しみください」とアピールする。

日本人宿泊者数、10月は3256万人泊に 前月から1・7倍増(観光庁)

2021年12月1日(水) 配信

観光庁は21年10月の宿泊旅行統計調査第1次速報を発表した

 観光庁が11月30日(火)に発表した2021年10月の宿泊旅行統計調査第1次速報によると、延べ宿泊者数は前年同月比5・4%減の3290万人泊だった。19年同月比では34・3%減となった。このうち、日本人宿泊者数は3256万人泊となり、緊急事態宣言中だった前月(9月)の2215万人泊から1・7倍に急増した。

 日本人延べ宿泊者数は同5・5%減の3256万泊(19年同月比18・2%減)で、外国人延べ宿泊者数は、同10・7%増の33万人泊(19年同月比96・7%減)だった。

 21年9月の客室稼働率は全体で31・2%(前年同月比4・7㌽減)。10月は42・1%(前年同月0・1㌽増)となり、先月よりも10・9㌽増加している。とくに簡易宿所やビジネスホテルの伸び率が高かった(21年10月)。

 9月の第2次速報によると、都道府県別日本人延べ宿泊者数は、東京が前年同月比10・6%増の266万7670人泊と最多に。次いで、大阪が同4・7%増の135万2100人泊、山形が同5・0%減の31万6430人泊、埼玉が11・6%減の25万6940人泊、千葉が同12・6%減の100万2490人泊と続いている。

10月の訪日外客、19・3%減の2万2100人 オミクロン株で新規入国停止へ(JNTO発表)

2021年12月1日(水) 配信

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 日本政府観光局(JNTO)によると、2021年10月の訪日外客数(推計値)は、前年同月比19.3%減の2万2100人。コロナ禍前の前々年同月比では99・1%減の低水準となった。

 日本では商用・就労目的の滞在者について外国人の新規入国を認めていたが、変異ウイルス「オミクロン株」が確認されたことで、11月30日(火)以降、すべての国・地域を対象に外国人の新規入国を停止した。これに伴い、12月1日(水)以降の帰国者・再入国者に対しても、停留措置免除や待機期間短縮措置が見直された。

 市場別の人数は、中国が4000人と最多に。次いで米国2000人、韓国1900人、インド1500人、ベトナム1000人の順だった。

 日本人の出国人数は、前年同月比63・6%増(19年同月比96・9%減)の5万800人だった。

跡見学園女子大学が観光経営人材育成 【無料講座を開講】12月11日~22年3月8日 受講者募集中

2021年12月1日(水) 配信

笠原清志学長

受講は無料】コロナ禍での観光の未来を考える ジェンダー、異文化理解、ハラール対応

 跡見学園女子大学(笠原清志学長、東京都文京区)は2021年12月11日から22年3月8日まで、東京都労働産業局、観光部と連携して、「大学等と連携した観光経営人材育成事業」講座(受講は無料)を実施する。ジェンダーや異文化理解、ハラール対応といったテーマを取り上げ、単なるノウハウを超えて、理論的・体系的に理解できる能力を備えた人材の育成に取り組む。笠原学長に講座の意義と、今後求められる人材像などを聞いた。

【聞き手=本紙編集長・増田 剛】

東京都「観光経営人材育成事業」講座とは

 東京都は観光関連事業者の経営力向上をはかり、観光産業の活性化につなげることを目的に、大学などと連携して新たな教育プログラムの開発などを支援している。

 2021年度の東京都「大学等と連携した観光経営人材育成事業」講座は、跡見学園女子大学に加え、亜細亜大学、東洋大学でも実施する。城西国際大学や帝京大学、立教大学は19年度から継続して行う。過去には玉川大学、東洋大学、早稲田大学でも実施された。

 跡見学園女子大学は、「インバウンドのセカンドステージでの課題と人材育成」をテーマに、「ジェンダー」「異文化理解」「ハラール対応」を3つの柱とした。

 12月11日(土)―2022年3月8日(火)まで全10日間、実施される。開催時間は第1講座が午後6―9時、第2・3講座は午後7―8時30分を予定。

【第1講座】(12月11日、22年1月22日)はコロナ禍の観光戦略・インバウンド観光再開に向けた対応

【第2講座】(22年2月1、3、8、12日)は観光におけるダイバーシティ

【第3講座】(22年2月15、22日、3月1、8日)は観光におけるハラール対応――について専門家による講座が開かれる。

 今年度はコロナ禍のため、講義はすべてオンラインで行われる。受講料は無料。定員になり次第締め切り。

 受講希望者は12月10日まで受け付ける。

 申し込み・詳細は↓のリンク先を参照。

観光経営人材育成講座のご案内 | 跡見学園女子大学
https://www.atomi.ac.jp/univ/activity/detail/7491/
跡見学園女子大学では、東京都の「大学等と連携した観光経営人材育成事業」による観光産業の人材育成と基礎的知識の習

お問い合わせ・お申込みはこちらのアドレスへ

kankou_jinzai@mmc.atomi.ac.jp

跡見学園女子大学 観光経営人材育成講座担当
*お申し込みの際はメールタイトルを「受講申し込み」とし、
① 氏名(ふりがな)
② ご所属、
③ 連絡先(電話番号、メールアドレス)を記載下さい。

詳しい講座内容はこちらをご覧ください。

跡見学園女子大学 笠原 清志学長インタビュー

 ――観光経営人材育成事業に取り組む意義について教えてください。

 観光業はホテル・旅館、鉄道、航空、船、土産物店など幅広い分野が関連する産業です。これは鉄鋼産業や、自動車産業に匹敵するほど広い領域を持った産業分野だと捉えています。
 これほど多くの人が携わっている観光業ですが、社内教育など体系的な人材育成については、製造業など他産業に比べて若干遅れているのではないかと感じています。
 米国では、観光学や観光業の研究はコーネル大学を中心に、非常に伝統のある分野です。ところが日本の観光業における人材育成や教育は、体系的に行われているところは残念ながらまだ少なく、多くはOJT(On the Job Training)程度で、上司や先輩が現場で「ハウツー」を教えるレベルにとどまっています。
 今日、多くの大学で観光学部・学科が設置され、人材育成も幅広くなされるようになってきています。コロナ禍ではありますが、観光産業の未来を考え、「体系的な観光教育による人材育成」に寄与していきたいと考えています。

 ――跡見学園女子大学が実施する講座の特徴はどのようなものですか。

 東京都「大学等と連携した観光経営人材育成事業」では、応募した大学がそれぞれの問題意識や関心からテーマや、プログラムを提案します。
 本学の場合、「コロナ禍での観光の未来を考える:インバウンドのセカンドステージでの課題と人材育成~ジェンダー、異文化理解、ハラール対応~」というテーマで応募し、東京都に採択されました。
 2019年には訪日外国人旅行者数が3千万人を超えましたが、その後コロナ禍となり、すべての訪日旅行はストップしてしまいました。しかし、コロナ収束後には、インバウンドのセカンドステージが始まります。
 このセカンドステージで、跡見学園女子大学の伝統と人材育成の教育の中で、ジェンダー、異文化理解、ハラールなどの問題を理解した人材が求められると考えました。
 東京都と連携して他大学も、それぞれの大学が持つ特性をベースにテーマが選ばれています。
 跡見学園女子大学が設定した講座プログラムでは、観光学だけでなく、社会学、文化人類学などの先生が半分以上担当します。この多様性が本学の特徴でもあります。 
 例えば、観光学では篠原靖准教授、文化人類学では塩月亮子教授、そして社会学については私(笠原)が担当します。
 コロナ禍において働き方改革も加速しているなかで、観光業界の労働環境は一部で遅れが見られます。どの産業にもそのような面がありましたが、少しずつ改善され、今日に至っています。
 さらに、観光業界ではお客様だけでなく、従事する人たちのなかに外国の人たちが増えています。そこには相互の背景にある文化への理解が不可欠です。
 そのほかにも、ジェンダー(男女の社会的性差)や、LGBTの問題も大変重要になってきています。
 異なる文化を持つ人たちが訪れたとき、なかでもムスリム(イスラム教徒)が食べられるハラールの問題は、インバウンドのセカンドステージではとても重要な社会的な問題となります。
 ムスリムの人たちには、豚肉やラード、アルコールなどはタブーです。外資系ホテルチェーンのような大きなホテルはムスリムの人が訪れても、旅行会社から前もって情報を得て個別対応も可能です。
 ところが受け入れのノウハウや知識のない宿泊施設にムスリムの人たちが来たときに、個別対応はかなり難しい状況にあります。
 今や訪日外国人旅行者の中心はアジアであり、インドネシアやマレーシア、バングラディシュなどの国々です。
 とくにインドネシアは人口2億7千万人、バングラディシュも1億6千万人。この両国だけでも4億人を超えます。さらにマレーシア、そして中東諸国の人たちが日本にもっと訪れるようになるでしょう。
 また、インドの約8割がヒンズー教徒で、牛肉を出すことはできません。
 このほかにも、ベジタリアンやヴィーガンへの理解も必要です。観光業の最前線の人たちには今後、さまざまな宗教や、食生活などの理解と対応が問われてくると思います。

 ――ハラールの難しさとは。

 厳格さのレベルが個人によって異なること、また、同じ人であっても厳格さが自国と外国に出たときや、友達・仲間がいるときといないときですべて異なります。
 当然マニュアルは必要ですが、個別対応で現場の対応力が問われると思います。これらを含め、ホテルや旅館、観光業に携わる人たちに基本的な理解をしてもらいたいとの思いが込められています。

 ――受講者はどの層を中心に想定されていますか。

 受講対象となる方は、管理職マネージャークラスから、これから観光を学ぶ若い世代まで幅広い層にご参加いただき、理解を深めてほしいと思っています。

 ――今回はオンラインでの受講となります。

 従来は対面での講座でしたが、観光業界の方々はとてもハードなスケジュールのため、決められた時間に大学まで行って受講することは難しかった。しかし、コロナ禍でオンラインによる教育が可能になり、本学もすべてオンラインで行うことにしました。
 アフターフォローとしては、できる限りプログラム修了時に受講者が集まれる場も考えたいと思っています。
 オンラインで学べ、オンデマンドで見られるという措置によって受講しやすくなったと考えています。航空会社や、旅行会社、ホテル・旅館、DMO、自治体の観光担当者など幅広く受講してほしいと願っています。

 ――ありがとうございました。

〈旬刊旅行新聞12月1日号コラム〉「おもてなしの原点 女将さんのこころ―その三」発刊―― 新時代には新しい旅館女将が現れる

2021年12月1日(水) 配信


 知らない土地を旅して、夕方、旅館に辿り着く。玄関やロビーで女将さんの姿を目にすると、すごく安心する。

 
 シティホテルと決定的に異なるところであるが、旅館に女将さんという存在を置かない宿も増えてきた。でも、それでいいと思っている。さまざまなスタイルの宿が現れるのは当然であるし、誰とも接することなく宿泊する気軽さも理解できる。

 
 目まぐるしく変化する社会で、ついこの前まであった馴染みの店が、別の新しい店に変わっていて寂しい思いをすることも多々ある。「以前泊まった旅館の女将が今回も変わらずにいて、おもてなしをしてくれる」ことに価値を感じる旅人はいつの時代にもちゃんといるのだ。

 

 
 本紙で2000年から約21年間連載を続けてきた瀬戸川礼子氏の「女将のこえ」を書籍化してきた。14年に「おもてなしの原点 女将さんのこころ―その一」(赤色の表紙)を発刊、翌15年7月に「その二」(緑色の表紙)を発刊し、今もなおロングセラーとなっている。

 
 そして、今年12月1日、ついに待望の「その三」が発刊した。表紙デザインは小西啓介氏によるもので、上品な紫色に明るく力強い、黄色の差し色が入っている。「赤」「緑」「紫」の3冊に、55人ずつの女将さんの人生がぎっしりと詰まっている。

 
 女将としての生き方や、お客との接し方、従業員教育、後継者問題など、さまざまな難しい局面をどのようにして乗り越えてきたのか。書籍に登場する北海道から沖縄県までの女将55人の人生に触れることができる。

 
 ここに登場する多くの女将さんは、「まさか自分が旅館の女将をするなんて想像もしていなかった」という、稀有で不思議な人生について語られている。そこがすごく面白い。人生はなかなか自分の思い通りにはいかない。目に見えない大きな力によって、未知なる土地で、想像すらしていなかった人生が始まることもあり得る。

 
 そのときに、運命をマイナスと捉えるか、プラスと捉えるかで、その後の人生が大きく様変わりする。著者の瀬戸川礼子氏はこのあたりの女将さんの人生の岐路となる瞬間を見逃さない。詳細に描かれ、読み進むうちに、あたかも自分が女将さんと対座し、直接話を聞いているかのように、錯覚する。

 

 
 書籍化の準備を始めた2年前から新型コロナウイルスの感染拡大により、発刊が1年間後ろ倒しになった。コロナ禍で、相次いで発令された緊急事態宣言による行動制限で、多くの旅館は経験したことのない苦境に立たされた。自然災害であれば、復旧に向けて支援することもできるが、コロナにおいては、無力感を覚えるのみだった。

 
 「おもてなしの原点 女将さんのこころ―その三」に登場する55人も厳しさに直面しながら、知恵を絞って新たな発想で事業をスタートする女将さんや、楽観的に、悠然と事態を見守る女将さんもいて、人生いろいろだと感じ入った。

 

 
 瀬戸川氏の「女将のこえ」に登場する女将さんも、1つ、2つ世代が移り変わっていった。働き方改革や、インバウンドの拡大、従業員不足など宿を取り巻く環境が激変している。休業日を定期的に設ける宿も増えてきた。「新しい時代には、新しい旅館女将が現れてくる」ことも実感できる1冊となっている。

【特集No.598】飯島町タウンプロモーション 「小さな町でもココまでできる」

2021年12月1日(水)配信

 長野県・飯島町は中山間地域にある人口9000人余りの小さな町だ。ICTを取り入れた新しいまちづくりを目指して今年4月、任意団体「飯島町タウンプロモーション」(ITP)を立ち上げた。独居高齢者のコミュニケーション支援や、病児病後児保育施設の予約システムづくり、町の魅力などの情報発信も強化している。飯島町議会議員の久保島巖氏、同町職員でITPアドバイザーを務める下平英樹氏、トラベルキャスターで飯島町との関わりが深い津田令子氏の3氏が「小さな田舎町でもココまでできる」をテーマに語り合った。

【増田 剛】

 ――今年4月に任意団体「飯島町タウンプロモーション」(ITP)が発足しました。

 下平:3年前に、さくら祭りの“ライトアップイベント”でSNSを活用して実施した戦略的プロモーションがすべての始まりでした。最新技術や流行を取り込むことに成果を実感し、「これを成功モデルとして今後も発展させよう」と町に提案しましたが、町には受け入れられず、町に頼らずに想いが同じ者を募って水面下で活動していくことになりました。
 その後、具体的に事業を進めていこうとした矢先に新型コロナウイルスの感染拡大により、一切のイベントが開催できなくなりました。
 そこでコロナ禍のうちにICTを活用したさまざまな事業環境を整備しておこうと考え、継続して進めてきました。

 久保島:町の情報発信はポスターの掲出や、新聞告知、折り込みチラシなどアナログの手法が今も主体ですが、SNSなどICTを活用した町内外への発信が必要だと考えました。
 桜を紫やオレンジ色にライトアップしたさくら祭りでは、SNSに投稿する人が増えました。しかしながら、高齢者が多い町では、スキルを持った町民やスタッフも少なく、なかなか前に進まない状況でした。
 町と外部団体で組織され、運営していた「まちづくりセンターいいじま」が「利益を上げる団体になっていない」との理由で3年前に廃止になりました。長年蓄積してきたデータもなくなり、「我われのグループでまちづくりをサポートし、発信していきたい」とITPの発足に向けて動き出しました。

 津田:すべてがなくなってから立ち上げていこうというところからのスタートですね。ITPのメンバーは何人ですか。

 下平:現在7人です。
 まずは国内8900万人が利用するコミュニケーションアプリ「LINE」の公式アカウントを取得し、情報提供を始めましたが、不特定多数に一方的に発信する形式に留まっていました。
 もう一歩踏み出そうと、さまざまな情報共有やデータ管理も可能なLINE WORKS(ラインワークス)を使っていくと、私がアンバサダーに就任する経緯となり、最新の流行とテクノロジーがラインワークスを通じて私に入ってくるようになりました。ITPのなかでも費用もかからず、一番理想的な情報共有ができています。

 久保島:下平さんが就任したアンバサダーは、行政職員では全国でもとても珍しいケースです。ラインワークスのノウハウをITPでも活用し、発展させていこうと考えています。

 下平:それが現在取り組んでいる「高齢者ICTプロモーション」と「おひさまハウス運営プロモーション」です。
 ラインワークスを利用すればテレビ動画で話ができるので、高齢者は独りぼっちにならない。
 病児保育は電話やファクシミリではなく、ラインで予約ができるようになります。母親世代はほぼラインを日常的に使っているので、とても使いやすいと思います。

 久保島:医師と協力した高齢者の見守りサービスは私の公約でもあります。まずはIT弱者と言われる高齢者にタブレットに触っていただく機会を作ろうとしています。

 津田:高齢者がタブレットと親しめるセミナーを開いたのですか。

 下平:コロナ禍でまだ1度開催しただけですが、「面白かったのでもう一度やりたい」という参加者の声もありました。タブレットの操作講習を継続していけば、「タブレットを購入したい」という高齢者も出てくると思います。いずれ独居高齢者にタブレットを配布する提案もしていきたいですね。……

【全文は、本紙1853号または12月7日(火)以降日経テレコン21でお読みいただけます。】

日本旅行、「日本の観光・物産博」に協賛 台日をオンラインで結ぶ

2021年11月30日(木) 配信 

日本旅行はこのほど、「日本の観光・物産博2021」に協賛する

 日本旅行(小谷野悦光社長)はこのほど、台湾と日本各地をオンラインでつなぎ、台日観光交流促進を目的に開かれるプロモーションイベント「日本の観光・物産博2021」に特別協賛する。

 2013年から始まり9回目となる今年は、両国間の渡航が困難ななかでも、日本各地と会場とをオンラインでつなぐハイブリッドイベントとして開催する。今年初の試みとして、台中市で日本食材を取り扱う高級スーパー「裕毛屋」と連携した物産展も開く。

 このほか、日本の「観光名所からの中継」や、「ご当地グルメ食べ歩き」などのLIVE中継プレゼンテーションも行う。観光情報ブースではパンフレットやノベルティを配布する。

 イベントは、12月4(土)~5日(日)の2日間は台北駅で開催。12月23(金)~29日(水)の7日間は台中市・裕毛屋で行われる。

 参加する団体は、地方自治体や観光協会、インバウンド促進団体、各地域の販売事業者など計23団体。