No.280 ハウステンボス・澤田社長に聞く - アジアに開く観光ビジネス都市へ

ハウステンボス・澤田社長に聞く
アジアに開く観光ビジネス都市へ

 昨年3月から旅行業大手のエイチ・アイ・エス(H.I.S)傘下で経営再建を進める、長崎県佐世保市のリゾート施設ハウステンボス(HTB=澤田秀雄社長)が、2011年9月期の第1四半期(10年10-12月)決算で営業黒字を達成した。リゾート、テーマパーク、医療、教育などからなる「観光ビジネス都市」を将来イメージに描く澤田社長に、東日本大震災後の見通しや上海航路開設をはじめとする今後の計画など聞いた。

(聞き手=関西支社長・有島 誠)

「1.2倍の改革スピード、お客様目線が経営の基本」

 ――この1年を振り返って。

 やはり大変だった。引き受けた時点は業績が下がり続け、社内に負け癖がついていた。平均年齢も高く、なかなか変われない。改革のスピードに、社員もよくついてきてくれたと思う。何事もスピード感が大事。東日本大震災の影響によるインバウンドのキャンセルでは、素早く国内に展開を切り替えた。

澤田 秀雄社長

 ――売上、入込み増の要因は。

 当初は基本ができていなかったので、まず基本を皆でやるところから始めた。どんな業態でも汚い店は流行らない。工場でもオフィスでも一流とされるところは清潔に保たれている。だから、まず皆で掃除をして常に清潔な園内を保つようにした。

 それと、テーマパークは暗い雰囲気ではダメ。当初は閉鎖中の店やミュージアムもあり、お客様に失望感を与えていた。スタッフ自身が明るく振る舞うことはもちろん、約半年ほどかけて、ほとんどのお店をオープンさせた。開店すれば人件費などの経費はかかるが、やはりお客様の目線にあわせることが大事。夜もさみしかったので、ミュージカルを入れたり、光のショーを行ったりにぎわいを創出した。

 

※ 詳細は本紙1421号または日経テレコン21でお読みいただけます。

子供にやさしい宿へ――次世代を育てる責務(6/1付)

 電力不足のまま迎える今夏は、「平年よりもやや暑め」と気象庁は発表した。昨夏の悪夢のような暑さが甦る。このようななか、自動車産業などは、業界を挙げて土・日に工場を稼働させ、木・金を休日にするという、電力消費の平準化に向けて英断を下された。
観光業界は、省エネに何ができるか? それは、多くの電力消費が予想される一般家庭から、一家族でも多く、観光客を旅館に集めることである。
夏休み期間中に、家族が長期間滞在できるプログラムを旅館は提供できないものか。宿泊費と食事代を分離して、食事代はオプションとする。さらに、可能であるなら、大人料金は高めであっても、子供料金を格安にする。旅館の場合、一家族何人であろうと1部屋なので、宿としては融通しやすいはずだ。
昨今、旅館に泊まった経験のない学生や子供が増えていると聞く。子供時代に旅館に泊まった経験のない人が、大人になって突然変異のごとく、旅館を頻繁に利用するだろうか。その可能性は相当に低い。子供のころから旅館というものに慣れ親しんでいないと、敷居は高く感じるものなのだ。
プロ野球やJリーグでも、子供たちが球場に来やすいように、ファン感謝デーなどを積極的に行い、子供たちとの触れ合いを何よりも大切にしている。 また、フランスでは美術館などに子供は無料で入館させ、文化・芸術との触れ合いを重んじている。自分たちの生業を大切に思うのであれば、目先の利益を追うのではなく、長期的なビジョンを持って次世代の子供たちに接近しなければならない。
では、旅館業はきっちりと子供たちに目を向けているだろうか。おそらく、小金を持つ高齢者ばかりに目が向いているのではないだろうか。しかし、頼りの高齢者層すらも数年後には、人口減少時代を迎えるのだ。
大人からお金を取り、子供からお金を取らない。これは商売の基本であり、鉄則である。
子供時代は何をしても楽しいのである。その楽しい盛りの子供たちを、遊園地や携帯電話、ゲームなどに取られてもいいのだろうか。なぜ、無償でも旅館の楽しさ、素晴らしさを知ってもらおうとしないのか。観光庁も本気で観光振興をしたいのなら、子供の宿泊費用の一部負担など真剣に取り組むべきである。
(編集長・増田 剛)

南三陸町応援ツアーin復興市、KNT

 近畿日本ツーリスト(KNT)は、宮城県三陸町で5月29日に開かれる「復興市」へ行くバスツアーの販売を始めた。専用サイト(http ://ecc.knt.co.jp/tyoec/fukkoichi/)で受け付ける。

 復興市には全国の商店街が協賛し全国の特産品などを販売。売り上げの一部は「復興市」の活動支援金にあてられる。ツアーは復興市への参加だけのコースと、比較的軽度なボランティア活動への参加も組み込んだ2コース。料金はそれぞれ、1万8800円、2万4800円。旅行代金のうち5000円は「南三陸町復興支援金」として寄付される。募集人員は200人。

新人フラガール迎え、全国キャラバン始動

 福島県いわき市のスパリゾートハワイアンズを運営する常磐興産は4月26日、同社付属の常磐音楽舞踊学院の卒業式、入校式を開いた。また、5月3日には新人を除く現役29人のフラガールがいわき市内の避難所を慰問。これをスタートに全国キャラバンを展開する。

 今年入校したフラガール6人のうち5人がいわき市出身、1人が秋田県出身と地元東北出身の新顔が並んだ。入校した鈴木晴奈さんは「早くダンサーの一員としてデビューして、地元の復興に貢献できるよう努力していきたい」と抱負を述べた。

 スパリゾートハワイアンズは震災の影響により、パーク、ホテル共に被災したが、10月中の再開を目指している。式典で同社社長でもある斎藤一彦学院長は「一日も早い再開を目指し、地域の皆さんと一体となって、被災地の慰問活動、原発の風評被害払拭の全国キャラバンを実施したい」と復興に向けた活動への決意を述べた。

 全国キャラバンは、いわき市内の慰問活動に続き、避難所を含む首都圏地区、東北・北関東地区、さらには西日本地区へも巡回し、公演を行う予定だ。

上位16施設を掲載、旅行満足度調査75点以上

 NACS(日本宿泊施設顧客満足度調査推進委員会)はこのほど、2008―09年度のECS(旅行満足度調査)で75点以上を獲得した上位16施設を掲載した冊子を作成した=写真。無料。

 NACS(http://www.nacs-web.jp)は17項目にわたる調査項目を設定して、宿泊利用者による無記名のアンケートを実施。この評価を公開し、加盟する全国57施設が切磋琢磨し合う組織。全国の個性的な宿が名を連ねる。

 掲載16施設は次の通り。

 石苔亭いしだ(長野県・昼神温泉)▽明神館(長野県・扉温泉)▽中棚荘(長野県・中棚温泉)▽旅館花屋(長野県・別所温泉)▽あぶらや燈千(長野県・湯田中渋温泉郷)▽斎藤ホテル(長野県・鹿教湯温泉)▽別邸仙寿庵(群馬県・谷川温泉)▽白馬リゾートホテル ラ ネージュ東館(長野県白馬村)▽ランプの宿高峰温泉(長野県・高峰温泉)▽豊島屋(群馬県・四万温泉)▽美人の湯と渓谷の宿湯瀬ホテル(秋田県・湯瀬温泉)▽旅館さかや(長野県・野沢温泉)▽旅館すぎもと(長野県・美ヶ原温泉)▽鬼怒川パークホテルズ(栃木県・鬼怒川温泉)▽旅の宿滝の湯(長野県・戸倉上山田温泉)▽大阪屋ひいなの湯(和歌山県・加太淡島温泉)

割引プランを設定、県内施設の宿泊に-群馬県

 群馬県は6月30日まで「ぐんまの温泉・観光宿泊割引プラン」を実施している。温泉地や観光地の宿が参加して、通常よりも割安なプランを設定しているほか、先着5万人に群馬県産農産物や地元特産品をプレゼントする。また、宿泊料金の一部(100円以上)を東日本大震災の被災地の義援金にあてる。

 大澤正明群馬県知事は県内の観光地に東日本大震災の大きな影響がでていることを受け、4月20日に「ぐんまの観光地は、暖かく皆様をおもてなしし、観光を通じて全国に元気を発信する」とぐんま観光元気宣言を発表。そのなかで「元気の源、ぐんまの温泉で身も心も元気になってもらうため、『ぐんまの温泉・観光宿泊割引プラン』を用意した」と同プランについて触れた。

 プラン参加の旅館・ホテルの一覧はHP(http://www.pref.gunma.jp/)から。申込みは県内各地の観光協会や宿泊施設に直接連絡する。なお、予約受付は5月31日まで。一部地域によって期間は異なる。
問い合わせ=群馬県観光国際協会 電話:027(243)7273。

震災復興セミナー開く、全旅連青年部東北ブロック

講演する野澤幸司氏
講演する野澤幸司氏

 全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会青年部東北ブロック(一條達也ブロック長)は4月27日、宮城県仙台市で「東日本大震災復興セミナー」を開いた。講師には、新潟県中越地震と中越沖地震の2つの震災を乗り越えた新潟県旅館生活衛生同業組合の野澤幸司理事長を迎えた。震災直後から復興に至るまでのプロセスを、野澤氏自身の経験を踏まえて語ってもらい、ヒントを得ることが目的。

 野澤理事長は新潟県は旅館3団体が統合していたことで、情報や行動を一元化できたメリットを強調。「全旅連、日観連、国観連の旅館3団体が情報を共有化し、県との連携などにより、官民が一体となった観光戦略会議などの大きな組織を作ることが大切」と語った。

 マスコミへの対応としては、「報道のタイミングもある。女将さんが行動することでマスコミに取り上げられる確率は高まる」とアドバイス。放射能に関しては「さまざまな見解があり、自分自身でしっかり勉強することが必要」と述べた。

 続いて、佐藤勘三郎全旅連東北ブロック長が東北ブロックとしての方向性を講演。「地震・津波と放射能の問題は別で考えるべき」としたうえで、「現状ではホテル・旅館の全容がまったくつかめていない。まずは、具体的な被害数値を出すことが重要」と述べた。融資対策に関しては、福島原発被害に対しての特別融資や金利の免除、セーフティーネット貸付などを要望していくとした。風評被害に関しては安全性アピールの情報発信、国や東京電力への施設補償などを要望していく考えを示した。

 パネルディスカッションでは、野澤、佐藤両理事長のほかの佐藤信幸全旅連会長、青年部東北ブロックの熊谷立志青年部東北ブロック直前ブロック長、幕田勝浩青年部福島県部長らが登壇し、意見交換を行った。

食べて被災地を応援、農業支援2000プロジェクト

築地にて武蔵丸親方が塩ちゃんこを販売
築地にて武蔵丸親方が塩ちゃんこを販売

 被災地の生産者を支援する農業支援2000プロジェクト。全国の農産物直売所などのネットワークを活用して、安全性が確認された農産物を販売し、被災地農家の生産活動を支える。4月16、17日、長野県安曇野市の農産物直売所で福島県産の農産物販売支援から始まった同様の取り組みは、ゴールデンウイークにかけてさまざまなチャリティーイベントとして全国に広がった。各会場は「食べて応援できる」と多くの人が訪れた。農産物の完売も続出するほどの盛況ぶりで、被災地の生産者を元気づけた。

 4月16、17日、安曇野市内で「千年の災害に負けない農業支援プロジェクト」が行われた。プラザ安曇野など5カ所の農産物直売所特設会場で、福島県産の農産物、加工品を販売。福島からも生産者や直売所経営者、地産地消シェフなどが参加し、売り子として店頭に立った。イベント2日目の昼にはすべての商品が完売。売り上げは102万8555円に上った。

 会場を訪れた人からは、「福島がんばれ、と願うしかできなかったが、野菜を買うことで応援できてうれしい」「安全なのはわかっているから風評被害に負けないで」といった声が福島県の生産者にかけられた。生産者の1人は「このタイミングで福島のものを販売してくれることがありがたい。本当に売れるのかという心配があったが、このイベントで消え去ったような気がする」と語った。

 4月30日、NPO築地食のまちづくり協議会などが中心となり、東京・築地の波除通りイベント特設会場で、築地チャリティーイベント「がんばろう日本!元気を出そう!築地から」が開かれた。500円ワンコイン市では、築地場外市場各店の選りすぐりの逸品が集結。売り上げは全額義援金として被災地へ寄付された。チャリティー塩ちゃんこコーナーには武蔵丸親方が登場。自ら販売も行い、多くの来場者を引き付けた。そのほかタレントのヨネスケ師匠や元バレーボール全日本代表の益子直美さんなど各界の著名人が応援に駆け付けた。

 被災地支援コーナーでは、福島県の「素材広場」、栃木県の「秋山農場」「蕎楽しらさぎ」、岩手県陸前高田市の「田舎のごっつお」、茨城県常陸太田市、坂東市、千葉県旭市などが出店。農産物などの販売を行った。

被災地支援コーナーにヨネスケ師匠(築地)
被災地支援コーナーにヨネスケ師匠(築地)

 長い歴史を持つ築地市場のなかで直産販売が行われたのは初。築地は関東大震災後に自然発生的にできた市場でもあり、「産地があっての築地」と築地市場の店主たちが考え、今回初の産直イベント実現となった。

 ゴールデンウイーク期間中の5月4、5日は、東京都・葛西臨海公園で「農業支援2000プロジェクトin葛西」が開催。福島県から南相馬・相馬市の生産者、会津若松市の「素材広場」「山際食彩工房」、茨城県から「ファーマーズマーケットほくそう」、特用林産振興会、栃木県から「マルシェ栃木」の生産者などが出店した。20人の野菜ソムリエも販売をサポートし、野菜にひと手間加えた試食を出すと、売り上げも一気に伸びた。

 そのほかGW期間中に、「ふらっと美山」(京都府南丹市)、「道の駅かなん」(大阪府河南町)、「道の駅クロスロードみづき」(広島市尾道市)などで被災地の応援販売も行われた。全国各地に支援の輪は広がりを見せている。

 被災地の生産者、直売所組織と全国の直売所など販売先を結ぶコーディネート役を担うのが都市農山村漁村交流活性化機構。通称、まちむら交流きこう。髙橋正夫プロジェクトきこう部長はイベントについて「なんとか被災地を助けたいという、明確な目的意識を持った方に買いに来ていただいた。完売するところもあり、反響は大きかった」と語る。

 まちむら交流きこうは、市と農山漁村の交流を推進する、農林水産省の外郭団体として半官半民の立場にある。「農業支援2000プロジェクトは、公的な応援がないと難しい。まちむら交流きこうは、全国の直売所との関係は長く、生産者と直売所、個人と個人を仲介するのに向いている。農林水産省をはじめ、各県の農政局などの担当者との調整役もできる」と話す。

 同機構は、農業支援2000プロジェクトへの賛同者を募集。

 問い合わせ=電話:03(4335)1983。

海外へ日本の安全PR、会員に支援制度情報を

 インバウンド旅行を専門に扱う旅行会社で組織されるNPO法人アジアインバウンド観光振興会(AISO、王一仁理事長、正会員32社、賛助会員70社)は4月21日、東京都内で第1回災害復興対策委員会を開き、東日本大震災・福島原発事故の影響で激減するインバウンド旅行の対応策を協議した。広報・事業サポートチームと復興商品企画・造成チームに分かれて行われた。

 広報・事業サポートチームは、支援制度情報を収集し、会員企業へ発信するほか、雇用・労務管理の助言を行う。訪日客に対する災害発生時の緊急連絡体制も構築する。

 震災後、会員のうち6社は事務所を東京から大阪や海外に移し、ほとんど連絡が取れず、3社は事業を停止。まったく連絡が取れてない。岡本立雄理事は「AISO会員は、社員数20人以内の規模で、オーナー経営者が経営しているところがほとんど。震災の影響で、雇用維持と会社維持はまさに死活問題。人員削減や給与カットを余儀なくされている。この状態が続けば、9月までもたない」と語った。震災後の被害状況については「とくに中国・台湾からの修学旅行、グループ旅行、青少年交流旅行などはゼロになった。震災前は毎日、グループ旅行を受け入れていた会社も現在、まったく機能していない」。

 5月9日には、東京商工会議所で旅行会社を中心とする中小企業を対象に、公的支援制度相談会が開かれた。関東経済産業局や東京都、東京信用保証協会、東京労働局などの担当者が融資、雇用などの公的支援制度について説明、個別相談を受け付けた。こうした支援制度情報も、会員に対して随時、発信していく。

 復興商品企画・造成チームは、被災地以外を優先させ、地域行政や宿泊施設などと連動したインバウンド誘致を行う。「ホテル・旅館、量販店、レストランなど賛助会員から早く震災後の商品を造成してくれという要望は多い」(岡本理事)。

 海外への売り込みについては、原発問題以外の地域は元気で安全であると国の予算を使って、海外にPRしてもらうことを外務省に提案。5月21、22日、東京で開かれる日中韓の首脳会談に合わせて、各国のメディア、現地の旅行会社の方にも来てもらい日本の安全をPRすることなどを提案している。

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岡本立雄理事
岡本立雄理事

「東京電力に抗議文、旅行団体として初」

 AISOは4月25日、東京電力に対し原発事故災害に対する抗議文を提出した。旅行業界団体として正式に行ったのは初。岡本立雄理事は「旅行業界で今回の震災の影響を1番受けているのはインバウンド関係者。福島原発事故の終息までにはもう少し時間がかかるが、今出さないわけにはいかない。まず意思表示を行う」と語った。

 抗議文は、原発事故の影響により、全面的にインバウンド旅行が取り消しとなり、企業として経営存続が困難であることを説明。東京電力に対して、海外に向けての正確な情報の開示、一刻も早い事故処理の完了、海外への「日本の安全宣言」の発信などを求めた。

 今後は東京電力が開設する被害者窓口に被害者申込書を提出、原子力損害賠償を請求する。「東京電力は事故終息に最善を尽くしてほしい。交渉時期については無理な要求はしない」(岡本理事)としている。

旅の力で日本を元気に、旅行業者など1500人集まる

二階会長が冒頭あいさつ
二階会長が冒頭あいさつ

 全国旅行業協会(ANTA)が主催する「国内観光活性化フォーラムin富山」が4月26日、富山市芸術文化センターで開かれ、全国の旅行業者など約1500人が集まった。東日本大震災を受け、「旅の力で日本を元気に」という富山宣言が発表された。

 開会式でANTAの二階俊博会長が登壇し「このような状況だが、沈んでばかりはいられない。皆で立ち上がり東北を応援しよう」と東北への支援を呼びかけ、「風評被害のことばかり言っていても余計にマイナス効果。観光地は立ち直ったというメッセージが必要」と鼓舞した。また、観光庁と相談し中小企業庁へ融資の働きかけをした結果、「文書化はまだだが、昨日の夕刻に、融資決定の方向で進んでいると連絡が入った」と明かした。

 また、来賓の溝畑宏観光庁長官は「笑顔と元気こそが風評被害を吹き飛ばす。今日の会が『観光が日本を元気にする』決起集会になるのでは」と語りかけた。

 シンポジウムでは、溝畑長官が「観光立国の実現に向けた取り組み」について講演し、ANTAの木村茂男副会長が大震災に対する協会の対応を報告。震災で被害を受けた青森・岩手・宮城・福島・茨城・千葉の県支部長が登壇し、支援のお礼や今後への決意を述べた。

 続いて、兼ねてより力を入れている「地旅」の現状と将来について、コーディネーターにまちづくり観光研究所の奥坊一広所長、コメンテーターに全旅の池田孝昭社長を迎え、「土佐の『おきゃく』2011」「天神祭り」「こころの故郷水辺、海辺の原風景を舟とローカル電車で旅をする」の3事例を着地側と発地側それぞれから発表した。

 その後、「被災地域への積極的な送客」や「地域の魅力ある『地旅』を発信し、旅の力で日本を元気に」という富山宣言が発表され、次回開催地の群馬県へ引き継がれた。

 会場内には、県内外の名所や特産品を紹介するブースが設けられ、富山県出身の女優、室井滋さんによるトークショーと北陸・信越をPRする「秘密のケンミンSHOW」も行われた。懇親会には、石井隆一県知事も駆けつけ、情報交換と交流を深めた。

 翌日には、立山・雪の大谷ウォークや世界遺産合掌集落など県内各地をめぐるエクスカーションが2コースに別れて実施された。