観光関連に102億円、復興枠5・8億円で福島支援も(13年度予算)

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 2013年度政府予算案が1月29日に閣議決定され、復興枠を含む13年度の観光関連予算は12年度予算(103億3900万円)比1%減の102億3200万円となった。厳しい財政状況を受けた予算編成となったが、何とか100億円の大台は確保。このうち、観光庁計上分は同3%減の96億5500万円で、復興庁計上の復興枠は同73%増の5億7700万円となった。9月にまとめた概算要求では、12年度予算の8%増となる111億7700万円を要求していた。

【伊集院 悟】

 予算項目は(1)訪日外国人3000万人プログラム(2)観光を核とした地域の再生・活性化(3)観光産業の再生・活性化(4)ワークライフバランスの実現に資する休暇取得の促進(5)観光統計の整備――の5本柱と、復興枠の(1)東北地域観光復興対策事業(2)福島県における観光関連復興支援事業――の2事業。

 事業別にみると、「訪日外国人3000万人プログラム」は、前年度比1%減の82億800万円。このうち、中核となる訪日旅行促進事業(ビジット・ジャパン事業)は、同11%増となる54億9100万円となった。「16年インバウンド1800万人」達成へ向け、訪日個人旅行の促進と国際会議などのMICE推進、送客元の多様化をはかり、震災や外交関係などの外的要因の影響を受けにくい訪日外客構造への転換を目指す。また、現地旅行会社と連携する現地旅行会社向け事業、在外公館などと連携する海外現地オールジャパン連携事業、自治体や経済界と連携する地方連携事業を柱に、質が高く裾野の広い誘客をはかるためオールジャパンによる連携を強化していく。あわせて、現地消費者向けの情報発信と観光客目線での風評被害対策で震災により傷ついたイメージの改善と競合国と差別化された訪日ブランドの強化を狙う。

 新規事業「東南アジア・訪日100万人プラン」には5億9900万円を計上。震災後も高い伸びを示し、2012年訪日客78万人の東南アジアに対し、オールジャパンによる訪日促進プロモーションで、13年の訪日客100万人を目指す。

 訪日外国人旅行者の受入環境整備事業は同67%減の2億8千万円。日本政府観光局(JNTO)の運営費交付金は同3%減の18億3700万円となった。

 「観光を核とした地域の再生・活性化」分野は同45%増の4億3千万円と大幅増となった。新規事業の「観光地域ブランド確立支援事業」には9月の概算要求時よりも1億円ほど多い3億4300万円を計上。国際競争力の高い魅力ある観光地域づくりを促進するために、観光地域づくりプラットフォームを有する観光圏が地域独自の「ブランド」確立に向けて取り組むのを支援する。GPS機能なども活用し、観光客の行動・動態などの調査・分析を実施しマーケティングに力を入れる。

 4900万円を計上した新規事業「観光地域評価事業」では、観光地域づくりに取り組む地域での課題や改善点などを明確にするため、多面的かつ客観的な指標による評価制度を構築し、恒常的な評価・分析にもとづくコンサルティングを行う。

 「観光産業の再生・活性化」分野では同17%増の1億9900万円を計上。このうち「ユニバーサルツーリズム促進事業」は前年度比4・36倍の3900万円、滞在交流型観光の推進をはかる「地域観光環境改善事業」は同6・58倍の9900万円となり、13年度に力を入れていく事業であることがうかがえる。

 概算要求より3千万円少ない2千万円の計上となった新規事業「地域宿泊産業再生支援事業」では、経営悪化などに直面した地域の宿泊産業と、観光経営や地域づくりの知見を蓄積した、意欲ある地域・近隣の大学を結びつけ、地域全体の力を結集し、宿泊産業が自立して継続的に再生できる仕組みづくりを目指す。また、安全管理体制の構築・充実に向けた調査・検討を行う新規事業「旅行の安全確保・向上方策検討調査」は2500万円となった。

 7千万円を要求していた「地域観光イノベーション促進事業」は予算計上を見送られた。

 「ワークライフバランスの実現に資する休暇取得の促進」分野は同80%減の1600万円。家族旅行の需要喚起のための「柔軟な学校休業の設定に関する調査事業」は1千万円を要求していたが、今回見送られた。

 12年度に調査を終えた「観光統計の整備」は同42%減の5億1800万円となった。

 また、復興庁計上の「復興枠」では、復興基盤が整いつつある太平洋沿岸エリアの旅行需要回復と、東北観光博の仕組みを踏まえた滞在交流型観光を支援する「東北地域観光復興対策事業」に1億9900万円、福島県が実施する風評被害対策と震災復興に取り組む観光関連事業に補助する「福島県における観光関連復興支援事業」に3億7800万円を計上した。

【特集No.331】鶴雅グループ 地域に根差した“開拓精神”

2013年2月11日(月) 配信

 高品質のおもてなしサービスを提供することで、お客様の強い支持を得て集客している旅館がある。なぜ支持されるのか、その理由を探っていく「いい旅館にしよう!」プロジェクトのシリーズ第9弾は、鶴雅グループの大西雅之代表取締役社長が登場。産業技術総合研究所の工学博士・内藤耕氏との対談で、大西社長は多店舗展開のメリットや、(1)ひとり旅(2)ペット同伴(3)長期滞在(4)海外のFIT旅行をしっかりと取り込み、新たな北海道滞在型リゾートを目指す構想を語った。

【増田 剛】

 大西:釧路で小さな商人宿を営んでいましたが、父が阿寒湖温泉で旅館を始めたのが1955年。私は旅館としては4代目、観光旅館では2代目となります。
 26歳で私が旅館に戻った1981年のころは8畳間中心の136室。客室と宴会場しかなく、大浴場もそれほど力を入れていない状態で、最初に父から命じられたのは越冬資金を銀行から借りて来ることでした。木造から初めて鉄筋の建物にしたのが1970年で、その後少しずつ客室を増やし193室になったときに念願の1日に1千人宿泊を達成させました。つまり、8畳一間に5人を詰め込んでいた計算です。当時は「顧客満足」とか「品質向上」というような言葉は会社にはなく、「どうしたら満館にできるか」ということばかりを考えていました。
 阿寒グランドホテル時代の1987年にJTBのアンケート評価が58点となり、60点を下回ったために送客停止となりました。まさに崖っぷちから落とされたような気持ちでした。狭い客室、パブリックスペースもない旅館でしたが、そこから「品質を高めていきたい」と、方向転換をしていきました。

 内藤:ターニングポイントとなった送客停止を機に、品質向上への大転換に向かっていったのですね。

 大西:低位でずっと価格競争を強いられてきた立場から脱却しようと、93年に鶴雅別館に着手しました。当時売上が21億円程度にも関わらず、50室足らずの鶴雅別館の工事費は36億円でした。そのときにどこにもないような大浴場にしようと、洞窟風呂など多様な風呂を作りました。周りからも心配されましたが、迷いはありませんでした。価格競争から抜け出し選んでもらえる施設にしたい思いが強かったのです。
 今から考えると、私にとっての一番の勝負だったと思います。これによってJTBのアンケートも85点に上がりました。宿はハードだけではダメですが、ハードのないソフトも難しいと私は思っています。

 内藤:私は鶴雅のビュッフェが好きなのですが、料理についても大転換をはかりました。

 大西:87年当時、レビューショーをやっていたショーホールをもっと旅館としての本質に近いものにしていこうという流れのなかで、屋台村を始めました。当初、屋台を並べるという社内のアイデアに私はあまり賛成ではなかったのですが、これが思いのほか好評でした。それで和・洋・中のすべてを備えた本格的なビュッフェスタイルを展開していこうと思い切った転換をはかりました。

 内藤:多くの旅館では、とくに朝食はバイキング化が進んでいます。「手抜き」のためにバイキング化している宿も散見されますが、鶴雅では「でき立て」感を出していくというのが特徴です。
 定山渓の鶴雅リゾートスパ森の謌なども多くのシティホテルで見られるような大量に作り置きするビュッフェ料理ではなく、寿司屋のカウンターのようにでき立てのものを小まめに出していくという「屋台の源流」があることが今のお話でとてもよくわかりました。

 大西:ビュッフェは決してコストが下がるものではないのです。おそらく大宴会場でお決まりの料理を出していく方が、満足度は下がるでしょうけど、原価も下がると思います。

 内藤:団体旅行の流れで多くの旅館では「厨房がつくり置きをすることで品質劣化が生じてしまう」という課題があるわけですが、ビュッフェであっても「でき立て」の料理を出していくという鶴雅グループの努力は素晴らしいと思っています。一般的にビュッフェにすると品質が下がることが多いのですが、それを逆の方向に持っていったのは鶴雅リゾートの非常に面白い取り組みだと思っています。

 大西:しかしながら、「料理を自分で取りに行くのが嫌」という層もいらっしゃるので、ビュッフェだけでは限界があると思っています。しこつ湖の「水の謌」などはビュッフェスタイルとレストランが併設できているので、それぞれのニーズに応えられるのかなと思っています。森の謌はレストランを作ることが次の投資の課題だと考えています。

 内藤:北海道での多店舗展開のメリットは現れていますか。

 大西:私たち温泉旅館も複数の地域に拠点を持っていくと、エリア内のネットワークのメリットを感じます。リスク分散の営業上の利点もありますが、オペレーション上も大きなメリットがあります。これまでは繁忙期、閑散期にはニセコのリゾートホテルさんとスタッフの融通を行っていたのですが、今年、小規模ですがニセコでもグループ展開を広げるので、オン・オフを活かした人材活用ができるようになります。グループが拡大していけば目が届かなくなるリスクもありますが、各支配人の権限の拡大によって面白いことになるのではないかと期待の方が大きいですね。
 私は各地域の会合などで地元の行政や観光協会、旅館組合などの代表者とお会いしたときには、「地域の中で弊社の代表である支配人がお約束したことを本社が覆すことは一切ありません」と申し上げています。これはかつて私たちも困ったことで、地域で決まったことを全国チェーンの本社に伝わると決定事項が覆ることが多々ありました。また、各支配人には「大西色が見えなくても構わないから、あなたの色で個性旅館を追求してほしい」と話しています。これによって支配人の自覚が変わってくるのです。

 内藤:それぞれの宿に自治権を与える一方で、グループとしては「何を」共有していくのですか。

 大西:「地域に根ざし、観光のフロンティアに立とうという開拓精神」でしょうか。大手ホテルチェーンはどこに行っても同じサービスを受けられるメリットがありますが、一旦中に入ってしまうとどこにいるのかわからない。鶴雅グループの宿は「どの宿も全部違う経営者がやっているようにしよう」と言っています。「北天の丘あばしり湖鶴雅リゾート」では自分たちの農園で作った木苺などを自ら考えながら喜んで出したりしています。
 今年、ホテルグループも11軒になりますが、まだ1軒の延長です。これがもっと大きくなり、20―30軒の規模になれば別のビジネスモデルが必要なのかもしれません。
 旅館業界は、総キャパシティは供給過多ですが、高度成長時代の団体旅行形態のキャパが圧倒的に多く残っていて、一方で、新しい時代の個人客のニーズへの対応はまだまだ不足しています。全体のキャパでみると、稼働率低下に映りますが、実は新しい時代に合った施設をもっと作っていくことが求められているのではないでしょうか。
 東日本大震災以降、これまで私たちが目を背けてきた4つのマーケットがあると思います。(1)ひとり旅(2)ペットと同伴旅行(3)長期滞在旅行(4)海外からのFIT旅行――。この4つの市場をしっかり掴むことで我われのグループの特色が出せるのではないかと考えています。
 旗艦の鶴雅ウィングスは昨年リニューアルしましたが、北海道の新しい大型温泉リゾートのモデルを作ってみたいと思っています。鶴雅ウィングス以外は大きな施設はやらないつもりです。それぞれの支配人に「個性的な宿を作れ」と言っているわけですから、支配人が1人で見ることができる範疇の50―80室というのが一番いいのではないかと思います。

 内藤:ひとり旅も積極的に受け入れているのですか。

 大西:そうですね。ひとり旅は飛躍的に伸びています。12年9月が前年同月比60%増、10月は2倍の伸びです。男女比は圧倒的に女性が多いです。
 鶴雅ウィングスの宿泊プラン数は100近くあるのですが、一つひとつはそんなに売れない。ロングテールで商品数を増やし、これについてきてくれるお客様を大切にする発想に切り替えようとしています。運営だけで、コストはほとんどかからないので、とくにネット商品はロングテールの顧客を考えることが大事になってきました。

 内藤:アマゾンは本のロングテール化に成功しましたからね。

 大西:まさにアマゾンの話をしました。個人客の時代には団体客の時代のような単一ヒット商品は難しい。さまざまな客室、ソフトを備えていかなければなりません。たとえば、ペットは国民の約2割が飼っています。鶴雅グループのペット専用旅館は大型犬まで客室OKです。「森の謌」でも3階のワンフロアはペット同伴客専用にしています。客室のテラスにペットを走らせる小さなスペースも作りました。エレベーターを完全に一般客と分けて、外から3階まで直通で行けるように工夫しています。グループの各ホテルも、数室はペットも泊まれる部屋として用意しています。ペット同伴のお客様は「ひとり旅」の割合も高く、「ひとり旅」との連携が必要だと思います。これらのカテゴリーは目を向けてこなかったというよりも、「3泊目以降の料理を何を出したらいいかわからないので長期滞在を受けない」「語学ができないので外国人観光客を受けない」「ペットはほかのお客様に迷惑をかける」などの理由を挙げて、見ないようにしてきたわけです。新しいマーケットに取り組んでいかないと国内の旅行市場は今後ますます縮小してしまうし、成熟していきません。
 長期滞在についても、日本人は1週間以上の滞在は難しいかもしれないですが、3―5泊くらいは当然の時代がくるのではないでしょうか。必要なニーズにきちんと応え、いかにリーズナブルに提供できるかが勝負になります。
 大震災を転機に長期滞在に対応するために、11年に抜本的な価格体系の見直しを行いましたが、一旦できる限りのサービスを削ぎ落としたルームチャージ制をどのくらい導入できるかが今後の課題です。1泊2食で子供料金を大人の5割なんて設定していると連泊はできません。家族で長期滞在したときにどれだけ負担感をなくすことができるかが問われてきます。
 旅館が「ノー」と言われている部分はものすごく多い。旅館が守らなければならない伝統もありますが、時代に合わせて変わっていく勇気も必要だと思います。

 内藤:旅館は施設、料理が非日常を追求していった結果、連泊、滞在に合わなくなっているのではないかと強く感じます。高級にしていく、豪華にしていくと逆に人間は豪華さに飽きて連泊しづらい状況にもなります。
 その意味でサービスの作り込みという部分はこれまでとまったく違う、新しい方向で展開していく必要があります。

 大西:私たちが考える連泊プランは基本的に料理は外し、ビュッフェを選択されたお客様には割安な料金を提示するシステムです。また、ミニキッチンで自分たちで作るけど「ご飯やサラダを人数分注文したい」というニーズに対応する仕組みも必要です。

 内藤:大西社長が思い描く北海道の新しい大型温泉リゾートのスタイルとはどのようなものですか。

 大西:北海道では200室程度は中型旅館で、400―600室などが大型旅館といわれるスケールになっています。でもこれらは団体旅行の周遊のための施設です。大宴会場、大型ビュッフェ会場、客室はできるだけ同じスタイル、10畳一間くらいのユニットバスの部屋が400室くらい並ぶのが一番効率が良く、団体客からもクレームが起きないスタイルなのです。しかし、21世紀になり個人型旅行に大きく移行していきましたが、施設としてはそのまま残ってしまっています。
 沖縄のホテルは大きいけれど満足度は高い。大規模がダメなのではなくて、団体旅行のスタイルに合わせている北海道流の大型化が時代とズレてきているだけなのです。そして、近年さらに判断を難しくさせているのが、海外からの募集型団体旅行が国内の団体旅行が廃れたあとをカバーしていることです。これが決断を遅くしている面もあります。しかし、先般の中国との領土問題などが生じると、一気にまた厳しさが露呈してきて、北海道は今ものすごく大きな転換が起こってきています。
 「そこに滞在してどれだけ楽しんでいただけるかという付帯をきちっと作れるか」が、新しい北海道スタイルではないかと考えています。私たちは北海道の連泊型の新しい施設を提案していきたいと思っています。鶴雅ウィングス本体は春の大浴場の大改装で一つの形ができるだろうと思っています。これ以外のグループ旅館は、より中・小型化して今の時流に合った施設づくりをしてみたいと思っています。

 内藤:海外進出についてはどうお考えですか。

 大西:2010年に私たちはインターナショナル宣言を行い、国際部を設置しました。すべてのFITのお客様に国際部のメンバーの内線が書かれたカードをお渡しし、医療的なことや、細かなことでも24時間対応できることを目指しています。
 将来的には台湾に進出した加賀屋さんのように海外での運営受託、設計監理などにも積極的に取り組んでみたいと考えています。
 なぜ海外に進出していくかというと、現地で事業利益を得るという目的以上に、スタッフの交流や現地でしっかりとした運営を行うことによって「鶴雅」という名前を広く知ってもらい、ブランドイメージの定着に主眼を置いています。中国・蘇州市の太湖リゾートにヒルトンや、マリオットとともに和風の鶴雅グループが運営する約60室オールスイートの中型旅館「太湖鶴雅」ができる予定でしたが領土問題で一時中断しています。車で2時間圏内で円を描くと1億2千万人がおり、中国では2番目に個人所得が高いエリアなので、鶴雅ブランドを上海を含めたエリアに認知され、日本に旅行する時に使っていただけるようなブランド戦略を考えています。近いうちにぜひ実現したいと思っています。

出張のひとり旅 ― 温泉旅館に泊まりたい

 先日、岡山県倉敷市に出張で訪れ、翌日に兵庫県・城崎温泉に出向くスケジュールだったので、その途中にある大阪や京都のビジネスホテルではなく、有馬温泉で宿を取ろうと思い、インターネットで検索してみたのだが、有馬温泉には出張族が素泊まりできるようなプランが見つからず、諦めてしまった。実際にはビジネスマン向けの出張プランはあるのかもしれないが、私の探し方が悪かったのか、思うような宿に巡り合うことができなかった。

 出張宿泊費はたかが知れているので、有馬の名門旅館に泊まろうなどとはハナから思ってもいない。小さくて、古くてもいいから安い宿に泊まらせてもらい、共同湯「金の湯」で「有馬温泉のありがたい湯に私も少しだけ浸からせていただきたい」などと考えていたのである。

 業界内外のいろいろな人から、「出張ついでに温泉地の宿に泊まりたい」という声を聞く。しかし、温泉地の宿の方で、受入れを閉ざしてしまっている印象を受ける。

 宮城県仙台市に近い作並温泉の「鷹泉閣 岩松旅館」では、早くから女性のひとり旅を受け入れている宿だ。「平日の出張ついでに温泉に入りたいという女性たちの潜在需要は大きく、もったいない」と岩松廣行社長は話す。

 今回の1面でも登場する北海道の鶴雅グループの大西雅之社長も「(旅館が)これまで取りこぼしてきたひとり旅や、ペット同伴の旅行者を受け入れなければ、国内旅行市場はますます縮小するし、成熟もしない」と語っている。

 人気旅館だから頑張っているのではなく、頑張っているからこそ人気旅館なんだと改めて感じた。

 結局、その夜は有馬温泉ではなく、姫路駅前のビジネスホテルに宿泊した。姫路には以前から行ってみたいと思っていたので、ちょうど良かった。工事中にも関わらず、ライトアップされた姫路城は異様に美しかった。

 夜の姫路城見学後、アーケード内の居酒屋に入り、ビールやサワーを飲みながら、焼き鳥やら串カツやらを注文して、結構へべれけになるまで呑んでしまった。料理は旅館より上か。最後に注文した焼きおにぎりとお新香がすごく美味しかったので、帰り際に支配人にそう告げると、うれしそうな顔をしていた。

(編集長・増田 剛)

12年上期のくまモン商品、11年通年の売上高の約5倍

くまモン関連の商品
くまモン関連の商品

半年で売上高118億円突破

 熊本県の宣伝と営業部長として県産品販路拡大などで大活躍する、ゆるキャラ「くまモン」の関連商品販売が、2012年1月から6月までの半年間で118億円以上となり、11年通年の売上高25億円に対し、半年間で約5倍の売り上げとなった。県が昨年12月に発表した。

 県では2010年から、県産品の販売促進や認知度向上、観光PRなどを対象に「くまモン」図柄の無料利用許諾を行い、効果を上げてきた。とくに関連商品はぬいぐるみ、ストラップなどのグッズから、衣類、食品など2673種類を数える。

 発表した売上高は、県の許諾を受けた調査対象業者1579件のうち、回答のあった674件の合計額で、商品別では食品の98億9300万円がトップ。次にグッズが11億9100万円と続く。食品の中ではJA出荷分63億円が含まれる。

 業者を対象に売り上げへの効果を聞いたところ「大きな効果があった」(32%)、「一定の効果があった」(58%)を合わせると90%が効果があったと回答している。

 くまモン関連商品では大手食品メーカーが、昨年11月から今年2月まで熊本県の特産品「デコポン」使用のジュースを全国販売。インスタント食品メーカーも熊本の郷土料理になった「太平燕(タイピーエン)」の全国販売を1月から開始するなど、くまモン人気は衰えない。

 熊本県が県内外に配信するメルマガ登録会員数も昨年12月に2万人を突破。県では会員限定の「くまモン壁紙」や「くまモン年賀状用画像」が会員増加に結びついたと分析する。

宿泊施設から要望多数、税制、受信料、交際費など(自民党観議連総会)

細田博之会長
細田博之会長

 自民党に政権が戻ってから初となる自民党観光産業振興議員連盟(細田博之会長、117人)の総会が1月17日、自民党本部で開かれ、全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会と日本旅館協会、全日本シティホテル連盟、日本ホテル協会の宿泊施設代表者らが多数参加し、13年度旅館・ホテル業界の税制改正要望やNHK受信料体系の見直し、公営宿泊施設の現状についての問題点などを提起した。
【伊集院 悟】

 細田会長は総会冒頭で、「自民党の観光産業振興議員連盟は古い歴史があり、36年前に200人でスタートし、観光業界の問題点を一つひとつ取り除いて進めてきた。これからも新しい問題と向き合い、観光業界にとって良い道が開けるよう尽力していきたい」と語った。

 

 

全旅連・佐藤信幸会長が要望内容を説明
全旅連・佐藤信幸会長が要望内容を説明

 全旅連の佐藤信幸会長は、日本旅館協会との連名による13年度旅館業界の税制改正に関する要望書の中で9つの要望を挙げた。なかでも固定資産税の軽減と、消費税の外税表示化、交際費の全額損金算入の要望を強調。固定資産税評価の経過年数は最終残存率達成年数が50年で最終残存率が20%であることを挙げ、「50年といえば東京オリンピックよりも前になる。そのような建物にまで課税するのが適正なのかどうかをしっかり考えてほしい」と訴えた。

 交際費については現状、資本金1億円以下の法人に対して損金算入額600万円までが損金となり、それ以外は認められていない。「景気低迷のなか、企業にとって円滑な事業活動を阻害している」(佐藤会長)として全額損金算入を強く要望。これには出席議員から、「宿泊業に相対営業は必須。交際費は業務上必要経費なので、課税をゼロにしても良いぐらいでは」との意見も出た。

 また、宿泊施設4団体は連名でNHK受信料体系を少なくともイギリスのBBCと同程度の料金にするよう強く求めた。出席したNHK職員の報告によれば、全体の受信料収入6千億円中、旅館・ホテルからの受信料収入は100億円にのぼる。細田会長は「NHKは収支の問題もあり、旅館・ホテルなど取りやすいところから徴収しているという側面もある。たとえば、自民党本部や一般企業でもテレビが何台あるかをNHKは把握していないのではないか」と指摘し、「旅人はテレビを見るために、旅館・ホテルに泊まるわけではないので、宿泊施設におけるテレビをどう捉えるかをもう一度考える必要がある」と話した。

 そのほか、民間と競合する公的施設(国や特殊法人が設置主体となる会館、宿泊施設、会議場、結婚式場、健康増進施設、総合保養施設、勤労者リフレッシュ施設など)の改革について、新築・増築の禁止や、官民のイコール・フィッティング(税制を含めた同一競争条件の確保)の観点から、5年以内の廃止・民営化・その他の合理化を要望。さらに、共済組合の宿泊施設の多くが、インターネット予約サイトで誰でも予約可能となっている現状などの問題点を指摘した。

取扱額2兆円へ、2020年ビジョン発表(JTB新春経営講演会)

 JTB(田川博己社長)は1月17日、東京・新宿の京王プラザホテルで2013年新春経営講演会を開き、田川社長が次の100年に向けてさらなる進化を目指す「2020年ビジョン」を、出席した旅館・ホテル関係者らに説明した。2020年にJTBグループで取扱額2兆円、営業利益400億円を目標に定めている。

 田川社長は「昨年度は創立100周年を迎えた。現状の覚悟・自信・決意をもとに、ツーリズムの新しいかたちづくりに向けて進化していく。事業パートナーの皆さんとの信頼のもとで、共存共栄を築く『2020年ビジョン』に向けて、JTBグループ178社が全力を発揮していく。変わりゆく姿に期待をしていただきたい」と語った。

 JTBグループは長期的なビジョンのなかで、ブランドスローガンを「感動のそばに、いつも。」を使用する。「2020年ビジョン」はJTBグループの中期的なゴールと位置づけている。「アジア市場における圧倒的ナンバーワンポジションを確立し、長期的・安定的な成長を可能とする基盤を完成させる」ことを基本戦略としている。田川社長は「旅行業をコアとしながら、交流や人流があるところすべてにビジネスがある。地球を舞台にあらゆる交流を創造し、ビジネスにしていく。社会から『交流文化事業のJTB』という認識が高まったときが交流文化事業の完成」と述べた。また、「2020年ビジョン」を実施する第一歩として次期中期経営計画(2013―15年)を策定。コア市場として(1)国内個人事業(2)国内法人事業(3)グローバル個人事業(4)グローバル法人事業の4つの事業領域に定義し、「『世界発世界着』にもチャレンジしていきたい」と語った。06年の分社化から10年目となる15年はグループ全体で取扱額1兆7500万円、営業利益200億円を目指す。

今年も東北支援強化

JATA・菊間会長
JATA・菊間会長

JATA菊間会長“旅の力が社会的に認知”

 日本旅行業協会(JATA)は1月11日、2013年初の定例会見を開き、菊間潤吾会長が今年の事業方針などを語った。そのなかで、国内旅行は昨年末に1千人を東北に派遣した東北復興プロジェクトの評価が高かったことから、今年も引き続き東北への支援を強化することなどを強調した。

 菊間会長は昨年について、「震災後、どうなるかと思案したが、旅行という商品の根強さを実感し、国内外ともに前年を上回る数字となった。国内は、スカイツリーの開業や東京駅の復原があり、海外はLCCの就航や円高で数字が伸びた。また、東北復興のなかでも旅の力というものが社会的にも認知されてきた年となった」と語る一方、「旅行の安全確保の問題で、旅行会社の責任を深く考えさせられる年だった」と述べた。

 JATAの活動については昨年6月の会長就任後、「旅行業界のプレゼンスをどのようにもう一度高めていくのか、見直しを行った」とし、「環境の変化が速いことからスピード感を持って施策を行っていく必要がある。今後の方向性の確認とその準備期間の半年だった」と振り返った。今年は、昨年設置した政策検討特別委員会でまとまった課題に対し、アクションプランを持って実現させていくという。

 そのなかでも旅行業法や約款について「今年は検討が進んでいくものと考えている。課題を整理し、消費者と我われ業者にとってよいかたちに改善を要望していきたい」と強調。長谷川和芳事務局長は、法政委員会内の研究会で、観光庁にもオブザーバー参加をしてもらい、検討していることを補足し、観光庁の「観光産業政策検討会」と連動して進めていくことを語った。

 また、菊間会長は各分野についても所感を述べ、国内旅行の取り組みに対し「会員の6割は国内を扱っているので、国内に力を入れることが会員のためになる」とし、「各委員会のなかでも国内旅行委員会はアクティブに動いている」と評価。宿泊キャンペーンの「もう一泊、もう一度」の拡大などを行っていく意向を示した。東北復興支援については「昨年の1千人プロジェクトは、受け入れ側の評価が高く、参加者からも継続してほしいという要望があった」と報告。国内を扱う会員会社だけではなく、海外専門の会社からの興味も高く、今後も現地視察などを検討していきたいとした。

 海外旅行は「今年は日本ASEANの友好協力40周年、日豪観光交流の年でもある。我われとしては自分たちでどのようにマーケットを作り上げ、提案していくのかを試みる最初の年になるだろう」とし、数字に対しても2016年に2千万人達成の目標に意欲をみせた。一方、中国・韓国との領土問題は「中国、韓国は大きな市場。どのタイミングで問題解決をしていくかがカギとなる。個人的意見として、春の3、4月ごろには復調していくのではないか」と予測した。

 さらに、訪日外国人旅行は、第三者機関が評価するランドオペレーターの品質認証制度をJATAが進めていることに触れ、「4月を目途に募集を行う予定。今、そのルール作りの最終段階を迎えている」と報告。「今後は認証制度のメンバーらと共に、積極的に訪日プロモーションを行っていきたい」と述べた。 

宿の個性で日本一競う

横山公大部長があいさつ
横山公大部長があいさつ

2月20日、第1回旅館甲子園

 宿の個性で日本一を競う「第1回旅館甲子園」が2月20日に東京ビッグサイト(東京都江東区)で開かれる。

 主催する全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会青年部(横山公大部長)は1月10日、東京都千代田区の全旅連本部で旅館甲子園の説明会とプレゼン順の抽選会を行った。

 旅館甲子園は、これまで表舞台に出ることのなかったスタッフにスポットを当て、旅館が守り続けてきた大切な日本文化を若い世代や海外に伝え、業界や地域の活性化を目的として生まれた大会。来場者は700人を予定、全国から選び抜かれた旅館の経営者とスタッフがプレゼン方式で宿の個性「日本一」の取り組みや魅力的な部分をアピールし競い合う。

プレゼン順が決まった5軒の旅館代表者
プレゼン順が決まった5軒の旅館代表者

 本大会出場を決めた5軒の旅館代表者たちはくじ引きにより(1)越後湯沢HATAGO井仙(新潟県)(2)鬼怒川温泉ホテル(栃木県)(3)竹と茶香の宿 旅館樋口(島根県)(4)和歌の浦温泉 萬波MANPA RESORT 日本スタイル(和歌山県)(5)流辿別邸 観山聴月(宮城県)の順で発表することに決定した。

 本大会のプレゼンテーションでは、各宿15分間の持ち時間が与えられ、採点方法は100点満点のうち、書類審査10点、決勝審査として観光庁長官や旅館関係者、コンサルタントなど専門家による審査で80点、残りの10点を会場の来場者にコインを配布しての投票方式となっている。

 協賛企業はリクルートや第一興商など、またドリームスポンサーとして多くの企業も参加している。優勝した宿には、「じゃらん」での特集記事など、さまざまな特典が与えられる予定で、観光庁長官賞も別途用意されている。

 横山部長は「全旅連の青年部長を目指した理由の一つに、旅行甲子園を開催させることが大きな夢だった」と話し、「この旅館甲子園は居酒屋甲子園をモデルとし『それぞれの旅館には日本一が何かひとつは必ずある』をコンセプトに掲げている」と説明した。

 さらに、「我われが旅館の魅力と文化をスタッフと共に誇りを持ち、多くの同業者の皆さんに勇気と希望を与えていく場になればいい。そして来場する若者、若いスタッフに『私たちも旅館経営をしたい、一生旅館で働きたい、もっと旅行に行きたい』と思ってもらえるような大会にしたい。旅館甲子園は2回、3回と継続し発展させていく」と熱く語った。

【内川 久季】

一足早い、「成人式」(はとバス)

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 はとバス(東京都大田区)は1月11日、恒例のバスガイド成人式を行った。祝日にあたる成人の日が業務多忙で、各自治体で行う式典に参加できない場合もあるため、同社独自の成人式を毎年開催している。今年で52回を迎える。

 新成人となるガイドは1都14県出身の19人。当日は、はとバス本社車庫で「祝はとバス成人式」とペイントされたバスの前での記念撮影の後、明治神宮に参拝した。19人の入社は東日本大震災の直後。東北出身のガイドには被災者も数人。とくに宮城県気仙沼市出身の西條麻理さんは自宅が震災し、1人だけ約2週間遅れの入社。「不安いっぱいだったが、周囲の支えで今日を迎えることができた」と語った。

本紙が台湾「旅奇」と提携

 台湾を代表する旅行専門誌「旅奇」を発行する旅奇廣告有限公司(何昭璋社長、本社・台北市)と「旬刊旅行新聞」を発行する旅行新聞新社(石井貞徳社長、本社・東京都)は1月18日、「第38回プロが選ぶ日本のホテル・旅館100選」表彰式の前に、両紙が提携紙として今後相互の記事提供や、さまざまな事業連携を行い、協力し合うことで合意した。

 今回の第38回「100選」表彰式・パーティーには、来賓として何社長、劉厚志国際市場部長、蔡雅ブン記者の3氏が出席し、「旅奇」の紙面でも特集企画として紹介される予定だ。

 何社長と石井社長は「今後、台湾で日本の旅行商談会を開くなどさまざまな可能性が考えられる」と握手した。