今年訪日外客数1000万人達成へ、観光関係者250人が集い“一致団結”

菊間潤吾JATA会長が乾杯の音頭をとった

 観光庁は10月1日、国土交通省内のニコラスハウスで「訪日外国人旅行者1千万人に向けての集い」を開き、太田昭宏国土交通大臣をはじめ、歴代観光庁長官、観光業界を代表する団体トップら関係者約250人が一堂に会し、一致団結して今年の訪日外客数1千万人達成へ力を合わせていくことを確認した。

 今年はビジット・ジャパン事業がスタートし、観光立国の実現に向けた取り組みが本格化して10周年、また、観光庁発足5周年を迎える節目の年であり、悲願である1千万人達成へ関係省庁との連携のもと、ビジット・ジャパン事業を可能な限り年内に前倒しするほか、低迷する中国からの訪日客回復などに取り組んでいく。

 久保成人観光庁長官は「1千万人達成は999万人と違い、数字以上の重みがある」と話し、1千万人達成に向け、関係者に協力を求めた。

旅行業法見直しへ、旅行産業研究会が始動(観光庁)

第1回旅行産業研究会

 観光庁はこのほど、旅行産業研究会を立ち上げ、9月30日に第1回の研究会を開いた。同研究会は4月に取りまとめられた「観光産業政策検討会提言」を受け、今後の旅行産業の在り方や現行諸制度の見直しの方向性、旅行業の組織的な安全マネジメントの構築などについて、有識者による議論を行う。

 事務局の観光庁観光産業課の石原大課長は、「日本の観光産業への危機感から立ち上げた観光産業政策検討会で出た課題について、この先10年を見据えた処方箋になるよう取りまとめたい」と語った。同研究会では、旅行産業に特化した内容となるが、旅行産業に関わりの大きい宿泊産業や運輸業も対象となる。第1回研究会の詳細は次号以降で紹介予定。

 旅行産業研究会メンバーは次の各氏。

 【座長】山内弘隆(一橋大学大学院商学研究科教授)【委員】植竹孝史(全国旅行業協会試験研修実務小委員会委員長、関東観光社代表取締役)▽神山一彦(楽天トラベル事業戦略部副部長事業開発グループマネージャー)▽上山康博(百戦錬磨社長)▽神田泰寿(プリンスホテル営業部次長)▽小林天心(亜細亜大学経営学部ホスピタリティ・マネジメント学科教授、観光進化研究所代表)▽齊藤茂行(明神館代表取締役)▽佐々木優(ジェイティービー法務室長)▽佐々木幸孝(適格消費者団体・認定NPO法人消費者機構日本常任理事)▽立身政廣(アイディツアーズサウスパシフィック代表取締役、日本海外ツアーオペレーター協会代表理事)▽原優二(日本旅行業協会理事法制委員会委員長、風の旅行社代表取締役)▽増田悦子(適格消費者団体全国消費生活相談員協会専務理事▽三浦雅生(五木田・三浦法律事務所弁護士)

No.353 加速する自治体PR - 今年は「自治体PR元年」

加速する自治体PR
今年は「自治体PR元年」

 あらゆる地域間競争が激化するなか、全国の都道府県や市町村などの自治体はPRに力を入れる。自治体PRを数多く手掛けるオズマピーアール営業開発部地域ブランディングチーム部長の名和佳夫氏は今年を「自治体のPR元年」と位置付ける。また、8月には市町村や民間団体で構成する「シティプロモーション自治体等連絡協議会」(神保国男会長)が発足し、市町村単位での売り込みも目立ち始めた。加速する自治体PRについて紹介する。

【飯塚 小牧】

“もっと地域の自慢を”、中長期のPR計画が重要

 ■自治体のPR元年

 今年10月で50周年を迎えたオズマピーアール(境信幸社長)は、国内のパブリック・リレーションズ(PR)会社の先駆けといえる。そのなかで、2012年度から立ち上がったのが「地域ブランディングチーム」だ。部長の名和佳夫氏を中心に、15人のメンバーが在籍し、数々の自治体のPR活動を支える。

 

※ 詳細は本紙1520号または10月18日以降日経テレコン21でお読みいただけます。

訪日外客数1000万人に向けて ― VJ大使からの修正点は“宝の山”

 観光庁が発足した2008年10月1日から数えて5周年を迎えた13年10月1日、同庁は「訪日外国人旅行者1千万人に向けての集い」を開いた。ビジット・ジャパン(VJ)事業がスタートした03年に「訪日外客数1千万人」を目標に掲げたが、あれから10年が経つが、一度も達成することができなかった。数字がすべてだとは思わないが、予算投入のあり方や、世界の観光客の足が日本に向かわなかったことへの反省は必要だろう。

 日本政府観光局(JNTO)の推計値によると、13年の訪日外客数の1―8月累計の推計値は、前年同期比21・4%増の686万4400人。12年は年間で835万人訪れているので、2割増のペースを続ければギリギリ達成できるという計算だ。久保成人観光庁長官も「10月1日時点では(目標達成は)厳しい状況」という認識を持っている。国はこの節目の年に形振り構わず、予算執行の前倒しをしてでも「悲願成就」を目指す意気込みを感じる。

 「1千万人の集い」に先だって、国土交通大臣から委嘱された「ビジット・ジャパン大使」21人が一堂に会し、観光庁の久保長官以下幹部と意見交換を行った。そこでは世界の観光客が日本に足を向けなかった原因や修正点が山のように出てきた。

 その一部を紹介すると、外国人観光客受入れの草分け的な存在である澤の屋旅館館主の澤功氏は、世界中に日本のガイドブックがあることの重要性を訴えた。富士箱根ゲストハウス代表の高橋正美氏は受け入れ側の人的対応能力を上げていかなければ、いずれ異文化摩擦やトラブルが生じるだろうと警鐘を鳴らした。日本観光通訳協会元副会長の辻村聖子氏は外国人観光客に人気のJRパスが「のぞみ」に乗れないことの弊害を指摘。富ノ湖ホテル社長の外川凱昭氏はビザ緩和やスムーズな入国審査を求めた。

 沖縄ツーリスト社長の東良和氏は「都道府県や市町村にも観光予算が増えてきているが、旅行、観光の流通のしくみや、空港のハンドリングのしくみを勉強していない担当者が制度設計すると『馬鹿げた』不公平な政策が生じる」と述べた。新規LCC就航に支援金を出すことが、同じ路線の既存の航空会社との格差を生み、市場原理を壊す原因になることや、たとえば旅行者の頭数に対して3千円の支援金を出発地の旅行会社に予算づけすると、支援金を得た旅行会社が5万円のツアーを4万7千円で売り、結局A社からB社に移るだけになるという事例を上げた。ショートショートフィルムフェスティバル&アジア代表で俳優の別所哲也氏は「日本からは物語が聞こえてこない」という海外の声を紹介し、ストーリーテリングの拙さを指摘した。JR九州ビルマネジメント社長の町孝氏が大学生に行ったアンケートによると、パスポートを持っているのは約2割。「来てください」と言う以上、こちらもいつでも行ける準備が必要ではないかと語った。

 このほかにもたくさんのビジット・ジャパン大使からさまざまな意見が出された。しかし、一つだけ残念だったのは、時間内にすべての大使が発言できるように「1人3分以内」と観光庁から言われていたにも関わらず、10分近く語り出す大使もいた。順番が後ろの4人の大使は時間切れで、ひと言も発言できなかった。持ち時間を延長した大使は、自己満足のように聞こえた。

(編集長・増田 剛) 

【10月18日-20日】 「謝月祭」イベント開催〈静岡県・東伊豆町〉

 静岡県の東伊豆町は満月の前後である10月18日から20日の3日間、「謝月祭」を開催する。東伊豆町では水平線から昇る神秘的な月を見ることができ、月光が海面に描き出す月の道“ムーンロード”は感動的な光景だ。

 東伊豆町の温泉郷ではそれぞれイベントを開催。音と光のレーザーショー「月を奏でる粒子たちin稲取温泉」(18・19日、稲取温泉)、「満月と星空・熱川温泉キャンドルナイト」(19日、熱川温泉)、月と伝統芸能を楽しむ「ムーンロード感謝の夕べ」(18日-20日、北川・大川温泉)、月に向かって炎を上げる手筒花火「炎艶美・月と手筒と潮騒の競演」(19日、片瀬・白田温泉)と、月にちなんだユニークな催しを行う(雨天中止)。

 静岡県が県民から広く募集した、ふじのくにエンゼルパワースポット総選挙の行ってみたい部門1位にも選ばれた「ムーンロード」。キラキラと輝くムーンロードに向かい10秒間お祈りをすると願いが叶うともいわれており、パワースポットとしても注目を集めている。

問い合わせ=東伊豆町観光協会 ☎0557(95)0700 

【10月末まで】旅館100選投票受付中 発表は来年1月に

 来年1月の発表で39回目を迎える「プロが選ぶ日本のホテル・旅館100選」の投票が10月1日から始まりました。10月31日までの1カ月間、全国の旅行会社の皆様から投票をいただき、「ホテル・旅館100選」、「観光・食事、土産物施設100選」、「優良観光バス30選」をそれぞれ選出します。

発表は来年1月11日(予定)、旬刊「旅行新聞」紙面やこのホームページを通じて行います。

全国の旅行会社の皆様におかれましては、今年も投票協力のほどよろしくお願いします。

10月31日まで募集中、13年度おもてなし経営企業(経産省)

 経済産業省は、地域・顧客密着型経営を行っている企業を選出する「2013年度おもてなし経営企業」の募集を、10月31日まで行っている。初年度の昨年度は50社が選出され、2回目の今年度は30社程度の選出を予定している。

 少子高齢化や、都市部への人口集中などによる国内市場の競争強化、グローバル化への対応など、多くのサービス事業者は厳しい価格競争にさらされている。

 その一方で、各地域には地域・顧客との関係を徹底的に強化することで価格競争に陥ることなく、顧客ニーズに合致したサービスを継続的に提供し、顧客のみならず、社員、地域・社会から愛される経営を実現している企業が存在している。

 経産省は、このような企業で行われている「(1)社員の意欲と能力を最大限に引き出し、(2)地域・社会との関わりを大切にしながら、(3)顧客に対して高付加価値・差別化サービスを提供する経営」を「おもてなし経営」と称し、地域のサービス事業者が目指すビジネスモデルの一つとして推奨している。

 選考スケジュールは11月に書類選考を実施。12月―14年1月に1次選を経て、2月に2次選考を行い、3月に「おもてなし経営企業選」として公表する。

 問い合わせ=事務局 電話:03(5649)1185。ホームページhttp://omotenashi-keiei.go.jp/  まで。 

京都屋のピンクリボンの日、乳がん支援で貸切

≪10月15日は女性限定≫

 佐賀県・武雄温泉の老舗旅館の京都屋は、10月15日に「第3回 京都屋のピンクリボンの日」を開く。当日は、乳がんの支援と予防を呼びかけるため女性限定の貸切宿として営業し、男性大浴場も開放する。2つの大浴場のうち1つは乳がんの方の貸切にし、より配慮した環境づくりを目指すという。プランは日帰りと宿泊の2つが用意され、夕食後のお茶会では、参加者同士の交流が予定されている。

 同館女将の前田明子氏は、「今回のピンクリボンの日は、第1・2回の経験と、乳がん経験者の方からのアドバイスを活かし、女性限定プランを作りました。お茶会では、参加者の方たちに大いに語っていただき、新しい出会いの場、情報交換の場になればと思っています」と話した。

 池山メディカルジャパンや、QOL総合研究所、KEA工房など数社の企業展示も予定されており、人工乳房やケア帽子などを実際手に取ることができるという。

 日帰り・宿泊の両プランに付いている夕食は、地元の食材を使った「お野菜たっぷり身体に優しい和のコース」で、ギター奏者の小畑和彦氏の生演奏を楽しみながら味わえる。夕食後は、「共に語り合い明日への希望を見いだす夕べ」と題し、お茶会を設定。宿泊者は特典として湯浴み着の無料貸し出し(要予約)、温泉まち武雄の本「たけお散歩」プレゼント、特製温泉ヨーグルトと水出しコーヒーのサービスを受けることができる。

 宿泊プランは、1泊2食とお茶会、温泉付きでシングル利用が税込1万2千円、相部屋利用が税込1万円。日帰りプランは、夕食とお茶会、温泉付きで税込5千円。

 問い合わせ=京都屋 電話:0954(23)2171。

林氏がグランプリ、今年は14人が受賞(ツアーコンダクターオブザイヤー2013)

受賞者(前列)

 日本添乗サービス協会(TCSA、山田隆英会長)は9月13日、東京ビッグサイトで開かれたJATA旅博2013会場内で「ツアーコンダクターオブザイヤー2013」の表彰式を行った。今年はグランプリ・国土交通大臣賞の林勝重さん(JTBサポート中部)を含め、14人が受賞した。

 表彰式であいさつに立った山田会長は「ツアーコンダクターは旅の演出家として大事な素晴らしい仕事であると同時に、事故や災害に遭遇すると自らの身を呈して帆走しなければならない厳しい仕事でもある」と改めてツアーコンダクターが専門性を有する職種であることを強調。一方で、「社会的に正しく認知されていない現状がある」と語り、同表彰などを通してツアーコンダクターの活躍や専門性をアピールしていきたいとした。

 また、表彰式後は学生などを対象に、ツアーコンダクターの魅力や本音を語る添乗シンポジウム「より価値の高い旅の創造に向けて」を開催。グランプリを受賞した林さんをはじめ、「ナニワのカリスマ添乗員」として人気の日本旅行の平田進也さんらが登壇し、パネルディスカッションを実施した。

 ツアーコンダクターオブザイヤー2013の受賞者は次の各氏。

 【グランプリ(国土交通大臣賞)】林勝重 JTBサポート中部【準グランプリ(観光庁長官賞)村松政美 ジャッツ【委員長賞】加治文子 ツーリストエキスパーツ【会長賞】林正実 ANAセールス【会長特別賞】坂口実 トップ・スタッフ【優秀賞】並木彩 ツーリストエキスパーツ▽橋間邦仁 ツーリストエキスパーツ▽望月一久 JTBサポートインターナショナル【奨励賞】今井博子 ツーリストエキスパーツ▽勝野弘子 ツーリストエキスパーツ▽宮城恵 沖縄ツーリスト▽平井隆司 エスティーエス▽河内美恵子 トップ・スタッフ▽三枝定一 フォーラムジャパン

補助金2億8千万円、福島の観光復興支援事業(観光庁)

 観光庁はこのほど、早期の観光復興を促進するため、福島県が実施する観光関連復興支援事業に総額2億8300万円の補助金を決定した。

 観光庁では2013年度予算において「福島県における観光関連復興支援事業」に3億7800万円を予算化。このたび、福島県からの補助金交付申請を受けて、補助金の交付が決定した。

 事業は(1)国内プロモーション(2)海外風評対策(3)教育旅行再生――の3本柱。総事業費の合計は3億5400万円。補助率は80%で、補助金合計は2億8300万円。

 国内プロモーションでは、風評払拭に向けたイベントプロモーションや体験型イベントの実施、日本一の観光地づくりを目指した観光資源の調査・開発や人材の育成、旅行会社商品の造成支援などを行う。海外風評対策では、中国・韓国・台湾の市場調査事業や、中国・台湾・ASEANへの観光プロモーション、風評対策としての観光情報発信を行う。