Airbnbと提携、鍵の受け渡しをスタート (ファミリーマート×エアビーアンドビー)

2018年5月21日(月) 配信

ファミリーマートの澤田社長と、田邉代表(右)、エアビーアンドビー

ファミリーマートとエアビーアンドビーは5月21日(月)、民泊分野での業務提携を東京都内で発表した。ファミリーマートは、宿泊者への鍵受渡しや本人確認サービスを全国の各加盟店舗で実施するほか、利用する外国人旅行者(インバウンド)向け商品開発にも注力する構え。いよいよ本格稼働する民泊ビジネスについて、ファミリーマートの澤田貴司社長は「ファミリーマートは、地域に根付く加盟店が多い。そこで培ってきたコミュニティを、民泊展開にも生かせる」と強調した。

 民泊物件に宿泊するユーザーの取り込みは、加盟店での販売や、昨年参入を発表したコインランドリー事業とも相性が良い。近隣施設で生じた洗濯物の受託するサービス展開も視野に入れる。

 同じく会見に出席したファミリーマートの和田昭則専務執行役員は「エアビーアンドビーは、アクティブな旅行者から支持を集めているプラットフォーム。商品開発を通じ地域と旅行者をつなぐハブとしての役割を果たしたい」と語った。オーラルケアといった日用品など、旅先で必要な商品を充実させ、相乗効果を狙う。

 ファミリーマートは東京都内を中心に実証実験をスタートさせ、4店舗で鍵の受け渡しを始めている。サポートはオンライン対応となることから、多言語含め店舗スタッフへの極端な負担増はみられないとのこと。今後、全国1万7千店舗を対象に普及を急ぐが、いずれの店舗かといった詳しい計画については精査中とした。

 観光庁によると、5月11日(金)時点での民泊事業者の届け出は724件。依然動きが鈍いことに関して田邉泰之代表は「法の施行後、許可がない物件は間違いなく掲載しない。一方、我われは物件を提供するホストのコミュニティを大切にしている。物件提供に必要となる手続きのアナウンスなど、周知を進めてきた。施行後も引き続き徹底していく」と物件確保について、前向きな姿勢を示した。

四季彩一力が、創業100周年 「本当に喜ばれるサービスを模索する」【PR】

2018年5月21日(月) 配信

四季彩一力が100周年を迎える(クリックで拡大、年表はページ下部からでもご覧いただけます)

四季彩一力が5月20日(日)、創業から100周年を迎えた。大正から昭和、平成とさまざまな世相を知る福島県・磐梯熱海温泉を代表する老舗旅館。皇族のほか、国賓や政治家、文化人らをもてなし、各界の名士にとって寛ぎの場所としても名高い。大きな節目に当たって、小口憲太朗代表取締役社長に話を聞いた。歳月を振り返るとともに、宿や地域の観光産業に対する思いについても語ってくれた。

本当に喜ばれるサービスを模索する

時代に振り回されない

小口 憲太朗 氏
四季彩一力 代表取締役社長
1965年生まれ。東京大学工学部卒業
93年に一力旅館に入社、2009年より現職
福島県旅館ホテル生活衛生同業組合 常務理事

 「お客様やお取引先、日々送客に注力してくださる旅行会社、皆様に支えられて100周年を迎えることができました。深く感謝しています。これからも、地域に根付く老舗宿としての役割をしっかり果たしていきたいと考えています。倍旧のお引き立てを賜われるよう努力を重ねて参ります」(小口憲太朗社長)。

 関係者一人ひとりの顔や、これまでの歴史について思いを馳せているのだろうか。100周年に当って尋ねたところ、小口社長はゆっくりと感謝の言葉を口にした。昭和天皇皇后両陛下の御行幸啓時の宿泊先として2回(1970、84年)、2015年には安倍首相による英国ケンブリッジ公爵ウィリアム王子の歓迎晩餐会場としても利用され、福島県のみならず、日本を代表する旅館の地位も、歳月のなかで確立してきた。

 一方、インバウンドや民泊など旅のスタイルが変わりつつある現代は、幾多の時代・困難を乗り越えてきた老舗旅館にとっても楽観視が難しいという。観光業界全体が大きな過渡期に立たされるなか、小口社長は次のように強調する。

 「大切なものを見極めたうえで、経営判断を行っていきたいという信念を持っています。利益だけを追求するビジネスは、他にいくらでもあります。旅行会社や地域と三方良しの関係を維持していくためにも、お客様と接し、もてなし、その声に耳を傾ける宿だからこそできる商いを続けていきたいと考えているのです」。

 旅行会社や地域の協力なくして、宿はサービスを提供することはできない。旅行会社と地域事業者・住民は欠かすことのできない大切なパートナーなのだ。旅行会社が客の送り手であるならば、宿は地域で受入体制を牽引する存在。関わる企業や事業者らが潤う最適な環境づくりも、老舗旅館には求められている。

 「短期間で大きな利益を出したからといって、宿を支えてくれるパートナーの皆様を幸せにできるとは限りません。宿とは、〝厳しいときをしっかり耐えられる〟ものでなくてはいけないという考えを持っているのです」(小口社長)。

 時代に振り回されず、関係者一人ひとりを幸せにする環境づくりこそ、老舗旅館の果たすべき役割であり、真価だという小口社長。次の100年に向け、地域や旅行会社との絆を深めつつ、四季彩一力独自の手法で、顧客獲得と人材育成に注力していく必要があるとみる。地域との関係をめぐって、次のように語った。

地域に寄与する旅館として

 「インバウンドが3千万人に迫る勢いを見せるなか、交流人口の増加によって地域経済を発展させる施策に注目が集まっています。これは旅館が、何百年も前から行ってきたことです。来訪者の声に耳を傾け、地元で採れた作物で喜ばれる料理をつくる。調理・加工することで、地元農作物の消費を促してきたのです」。

 四季彩一力は近年、台湾を中心にインバウンドの取り込みにも注力してきた。グローバル化を見据えた取り組みを進めているものの、仕入れに関してはあくまで地元ファーストを貫いてきた。

 「来訪者による消費を地元に波及させる仕組みがなければ、地域経済が干からびてしまいます。当旅館では長年にわたって、朝食が高く評価されてきました。クオリティが高く、美味しい農作物を生産する地元の方々の協力があってのことです。我われ一軒を、多くの方が一体となって支えてくださっているからこそ、100周年を迎えることができました。今後も信頼を裏切らないよう商いを続けていきます」(小口社長)。

 事業者だけでなく、近隣住民との交流にも注力してきた。先代社長で、現会長の小口潔子女将は、取引先が集う会員組織〈水月会〉と協力して「一力えんにち」や盆踊りを長年主催してきた。屋台や夜店を並べ、冷蔵庫・テレビ・洗濯機・自転車などの賞品も用意。郡山市全域から参加者を集める一大イベントになっていたという。

 「地域に対する思いを継承し、出会いや交流によって生まれる縁を大切にしています。今から30年前、70周年を記念した催しに薪能を行いました。実は、5月28日の100周年記念式典には30年前に小鼓方を務めた方のご子息で宗家を継いだ方に演じていただきます」(小口社長)。

 歳月のなかで培ったつながりこそ、四季彩一力にとっての宝。長年続く地域との関係にも当てはまることだ。

旅行会社との連携一層の強化を

 「東日本大震災後、社内会議を当館で開いていただくなど、旅行会社各社の皆様には日頃以上の支援をいただきました。復興をサポートしていただくなかで、受入サイドの我われは、ホスピタリティやプランの品質をもっと高める必要があることを痛感しました。一方的に甘えてばかりではいけないからです。風評被害は根強く、ハンデを抱えていることも事実です。福島県を、今まで以上に選ばれるデスティネーションとするためにはどうすれば良いのか? 難しい課題ですが、宿泊施設である我われが、旅行会社の皆様と協力してことに当たるべきだと考えています」(小口社長)。

 JTB協定旅館ホテル連盟東北支部連合会の会長で、東北観光推進機構の理事も務める小口社長。宿と旅行会社双方が密にコミュニケーションを取ることで、来訪者の需要把握・創出も加速するとみる。

 「着地型商品への期待や、地域の観光を牽引するDMO(デスティネーション・マネージメント・オーガニゼーション)の興隆など、地域と旅行会社双方が、数だけではなく観光商品のクオリティも重視する姿勢を持つようになりました。来訪者であるお客様のためにできることは何かを一緒に考え、協業することで課題に臨みたいですね」。

顧客獲得と人材育成双方を重んじる

 単価の高い高級旅館ということもあり、ミドル層の団体旅行を中心に取り込みに傾注してきた四季彩一力。団体と個人旅行客の比率は拮抗しているものの、ブライダル事業を軸に、個人市場の開拓も進めている。

 「若女将(小口正子取締役)が主幹となって、ブライダル事業を立ち上げました。宿のシンボル日本庭園〈水月園〉を生かした挙式やセレモニーは四季折々の花や緑・紅葉と相まって『ここにしかない』印象的な色鮮やかさで、和婚ブームに先駆けて大変好評をいただいております。昼・夕それぞれ1組だけの貸切フルオーダーメイド式で、ご希望に沿ったご提案をしております。ご婚礼の後にゆっくりとお泊りいただくなど、相乗効果も表れています。御婚礼をきっかけに結婚記念日やご家族の御祝い事にも引き続き末永くご利用いただいております」(小口社長)。

 3世代に渡って利用する得意客など、四季彩一力に魅了されたリピーターはこれまでも、尽きることがなかった。個人旅行全盛のなか、四季彩一力ではブライダル事業を通じ、新たなファン層の獲得・育成にも励んでいる。

 「リピーターのお客様は、旅行会社やお取引先の皆様と同じく当館にとって、とても大切な存在です。これからも愛されるコンテンツづくりと質の高いホスピタリティを提供していく考えです」(小口社長)。

 高品質のコンテンツづくりと並行して、人材育成にも重きを置いてきた。経営理念、いわゆるクレドを定めず、持ち味や能力の異なるスタッフ一人ひとりの個性を生かしたホスピタリティも、根強いリピーターを生むキッカケとなっている。

 「働きやすさは、お客様にとって居心地の良さにつながるものです。経営や生産性の面で無駄が多いという方もいるかもしれません。しかし、スタッフの感性を重んじることは、お客様の持つ個々のニーズを把握し、本当に喜ばれるサービスを模索するために不可欠な要素だと捉えています。定められた目標のために働くのではなく、お客様が喜ぶために何をすれば良いのかと自ら目標を決め、日々の業務に勤しむことができるからです。70人のスタッフがおりますが、高い定着率を保ってきました」(小口社長)。

 100年に渡って愛されてきた四季彩一力。人間味溢れるサービスの提供を通じ、地域や旅行会社とともに新たな歴史を歩んでいく。

四季彩一力、100周年記念年表クリックで拡大

□広告特集

企画・制作=旅行新聞新社 企画営業部 (2018年5月11・21日付合併号1712号5面に掲載)

新たな夏の風物詩 “東京花火大祭~EDOMODE~”開催へ

2018年5月21日(月) 配信 

8月11日に開催

東京花火大祭制作委員会(石嶋洋平委員長)は2018年8月11日(土)にお台場海浜公園で「東京花火大祭~EDOMODE~」を開く。内閣総理大臣賞受賞クラスの日本を代表する花火師が集結する。東京の花火大会でこのような花火師が集うのは初の試みだという。

 同イベントは、東京を象徴する音楽や食、芸能、テクノロジーなどのさまざまなコンテンツと花火を組み合わせる。「歴史上初の歌舞伎と花火のコレボレーションもある。東京の新たな夏の一大イベントとして、世界に向けて発信していく」(同委員会)。90分ほどの間に、約1万2千発を打ち上げる。チケットは5月末に抽選販売を開始する見通し。

 出展花火師は、紅屋青木煙火店、マルゴー(担当花火師:斉木智)、イケブン、丸玉屋小勝煙火店。

公式HP

仲介業者の登録完了(ホームアウェイ)

2018年5月21日(月) 配信

ホームアウェイが、仲介業者への登録を完了させたことを発表した

バケーションレンタル(民泊)大手のホームアウェイはこのほど、6月15日(金)の住宅宿泊事業法(民泊法)施行後、住宅宿泊仲介業者として登録されることを発表した。法の施行以降、民泊法下の物件仲介も可能となる。

 同社のホームページも、物件を登録するホスト(住宅宿泊事業者)に対し、物件の許可種類(旅館業法か特区民泊、イベント民泊、民泊法)を明らかにするよう求める仕組みに改めた。以下にて登録方法の詳細を説明。

 6月15日の民泊法施行後からは入力が必須となることから、同社では、物件を掲載する(予定)のホストに対する周知に注力している最中。民泊法の届け出をサポートする仕組みも、ベンチャー企業と共同で立ち上げるなどしており、法施行後以降も、物件数の確保を狙い、物件数の減少を最小限に留めたい考えだ。

偉人のカードを集めながら志国高知 幕末維新博を巡ろう

2018年5月21日(月) 配信

5月18日(金)現在、17人がカードをコンプリート

こうち旅広場運営本部は12月31日(月)まで、高知県で開催中の「志国高知 幕末維新博」の25会場で“土佐ゆかりの偉人トレーディングカード”を集めるカードラリー「土佐ゆかりの偉人巡り」を実施している。

 カードラリーは、専用カードホルダーを購入し各施設に入館または条件を満たすと、その地域ゆかりの偉人トレーディングカードがもらえるイベント。イラストは漫画「サムライせんせい」の作者・黒江S介氏の描き下ろしで、全25種類。全会場を制覇すると高知観光情報発信館「とさてらす」でコンプリートカードがもらえる。

持ち帰りOK!浴衣付きの女子会宿泊プラン(リーガロイヤルH東京)

2018年5月21日(月) 配信

浴衣で女子会を

 

リーガロイヤルホテル東京(北垣真紀総支配人、東京都新宿区)は6月1日(金)から9月30日(日)まで、女性グループを対象に、浴衣付きの夏季限定宿泊プラン「ガールズ浴衣ステイ」を売り出す。持ち帰りができる浴衣セットが付いた夏季限定の人気プラン。毎年好評という。

 浴衣は、レトロモダンな和柄や華やかな文様など、数種類の色柄の中から好きな1着を選べる。帯や下駄、腰紐など着付けに必要な小物一式に加え、朝食付きで、1室5人利用時は1人1万3500円とリーズナブルな価格設定も売り。

 また、ホテル内4階の「資生堂ビューティーサロン」では、浴衣の着付けやヘアアレンジ、ジェルネイルもオプションで用意。着付けに自信のない人も安心して利用できる。「 花火大会や夏祭りなどのイベントのほか、ホテル近隣には和の情緒溢れる石畳の路地が広がる神楽坂もあり、浴衣姿での散策もお楽しみいただけます。フォトジェニックな夏の思い出作りにぴったりのプランです」(同社)とPRする。

夏の女子会プラン「ガールズ浴衣ステイ」 概要

期間:2018年6月1日(金)~9月30日(日) 

客室:2人利用:ツインルーム(38平方㍍)
       3~5人利用:ジュニアスイートツイン(49平方㍍)

料金:1泊1室1人料金(消費税・宿泊税・サービス料込)
ツインルーム      2人様利用 朝食付     18,500円
ジュニアスイート    3人様利用 朝食付     15,500円
ジュニアスイート    4人様利用 朝食付     14,500円
ジュニアスイート    5人様利用 朝食付     13,500円
※金曜日は1人+3千円
※土曜日、休前日は1人 +7千円

選べる浴衣のイメージ

特典:
①女性用浴衣7点セット
[内容]浴衣、帯、下駄、腰紐、帯板、収納バッグ、着付けマニュアル

②「ダイニング フェリオ」での和洋朝食ビュッフェ

③午後1:00までのレイトチェックアウト(通常12:00)

④本プランをご予約の際、もしくはチェックイン時にレストランをご予約いただくと、ガーデンラウンジで使えるワンドリンクチケットをプレゼント

協力:株式会社 優彩(ゆうさい)〒604-8154 京都府京都市中京区菊水鉾町567

 オプション:
・着付け 1人5,400円
・ヘアセット 1人5,400円~
・ジェルネイル プラス4千円~(※本プランの特別料金)
  ※4F資生堂ビューティーサロン:3日前までの予約制
  営業時間:午前10:00~午後6:00  定休日:水曜日、第2・4火曜日(夏の祭りシーズンなど、繁忙日は定休日でも受入可能な場合もあるので、詳しくは問い合わせを)
  ※オプションは予約時に申し込み

〈観光最前線〉ニール・ヤングは止まらない

2018年5月21日(月) 配信

Neil Young + Crazy Horse UNREHEARSED

 ニール・ヤングが4年ぶりに盟友クレイジー・ホースと再集結し、5月1日に米国カリフォルニア州フレズノのワーナーズ・シアターでコンサートを開催した。

 クレイジー・ホースのメンバーはドラムスのラルフ・モリーナとベースのビリー・タルボット、ギターはフランク“ポンチョ”サンペドロの代わりにニルス・ロフグレンが参加している。メンバー全員が高齢なのでいつ誰かがライブに参加できなくなってもなんら不思議ではない。

 ニール・ヤングも現在72歳。いまだに轟音をかき鳴らし、ライブ活動も厭わず、アルバムはコンスタントに発表し続けている。なにが彼をそこまで突き動かすのか。私の一番好きな「コルテス・ザ・キラー」の演奏を聴き、あと何回聴くことができるのか心配になってきた。

【古沢 克昌】

「提言!これからの日本観光」 「国民の祝日」に思う

 2018年5月20日(日) 配信

最近、「国民の祝日」をめぐる提案や議論が活発になってきた(写真はイメージ)

今年のゴールデンウイークも各観光地が例年通りに大勢の観光客でにぎわった。ところで最近、「国民の祝日」をめぐる提案や議論が活発になってきた。その動機となったのは明年予定される天皇陛下のご退位と新天皇のご即位が近づいてきたこと、さらに、東京オリンピックの開催に関連しての祝日についてである。
 

  前者については天皇誕生日が変わることや即位の礼当日の祝日化などが、また、後者にあってはオリンピックの開会式前後の時期に「祝日」を移すことなどの提案があった。

 ここで気になることはこのオリンピック開催に伴う首都圏の道路など、交通混雑の緩和のために可動祝日となっている「海の日(7月)」それに「山の日(8月)」を2020年に限り7月のオリンピック開会式前後に移そうと提案していることである。

 さらに現在ハッピーマンデー(祝日を該当日に近い週の月曜日に移し、土、日、月の3連休とするもので、「成人の日」、「敬老の日」、「体育の日」、「海の日」の4祝日がこれにあたる)実現のために可動祝日となっているもののうち固定化への要望の強い「海の日」を翌年から7月の固定祝日に戻そうとすることもあわせ、検討すると言われている。

 気になるのは、「祝日」を、オリンピック開会式を円滑に進めるための手段に用いることや、観光振興のためとはいえ、祝日を毎年異なった日にすることについての違和感である。

 「国民の祝日」とは、国の営みの節目となった記念すべき日を指定し、その「祝日」の持つ意義をあらためて思い起こし、「国民こぞって祝い感謝し記念する日」(国民の祝日に関する法律)とされている。したがって、その日はとくに法律で定められている重い意味を持つ日なのである。

 さまざまな目的のためにその日を簡単に変えたりすることは「国民の祝日」法の趣旨に反するといわざるを得ない。また欧米主要国の祝日が10日前後なのに対し、現在国民の祝日は年16日とかなり多く、これ以上増やすのは困難な状況にある。

 オリンピック対策やハッピーマンデーに期待されるような休日の役割は有給休暇制の活用によって果たされるべきものと思う。しかし、日本ではその取得率が欧米諸国に比べ半分程度の50%以下にすぎないところにも問題があるように思う。すなわち、日本では多くの休暇を取ることは仕事に熱意がないと誤解されるような風潮が今も根強く残るなど、休暇取得環境が未成熟である。そこで、このような「国民の祝日」制度を利用して「皆で渡れば怖くない」式に休ませる安易な休暇施策をとってきたことが問題だと思う。

 したがって、有給休暇の取得環境を整備し、誰でも容易に休暇を活用できるようにすることこそ目下の急務である。安易に「国民の祝日制」を濫用することは「祝日」の意義を失わせるとともに、有給休暇の活用も遅らせる逆効果を生むような気がしてならない。

コラムニスト紹介

須田 寛
日本商工会議所観光委員会共同委員長
須田 寬 氏
 
 
 
 

「女将のこえ210」小幡美香さん 、竹葉(島根県安来市さぎの湯温泉)

2018年5月20日(日)配信

小幡美香さん 竹葉

どじょうすくい女将

 安来(やすぎ)市に伝わる民謡「安来節」。大正から昭和初期に大流行して全国に名を馳せた。現在も毎年、3日間にわたる全国大会が開かれる。その安来節に欠かせないのが「どじょうすくい」だ。豆絞りを被って一文銭を鼻に当て、滑稽な踊りで沸かせる。
 

 美香さんは、自らどじょうすくい女将を名乗り、顧客、宿、地域のために喜々として伝統芸を披露している。近年は、社員研修として教わりたいとの宿泊依頼もあるそうだ。
 

 「師匠が、『名物女将にならんかね』と声をかけてくれました。大半の人には、若い女性がやるもんじゃないと言われましたが、発祥の地なのに安来節が見られる宿がなかった。人を笑わせるのが好きですし、誇りを持ってやっています」
 

 松江から嫁いで21年。結婚前の7年間は、日本最大の機関投資家である農林中央金庫に勤め、キャリアを積んでいた。日本の農業を支える意気込みだったが、ソフトな人柄の浩三(ひろみ)さんと出会い、「愛こそすべて」と、女将の道へ。
 

 ところが、当時は開店休業状態。近隣地に挨拶に出向くと「営業していたの」と驚かれた。危機感を覚えた美香さんは営業を開始。
 

 「地元企業さんに『嫁に来ました』と足を延ばし、SNSも始めました。結婚1年間は会社勤めを続けていましたが、勇気を持って辞め、女将業に専念することにしました」
 

 2年目に露天風呂が完成。「1歳の娘と私がまさにひと肌脱いでパンフレットのモデルになりました。いつも『最小労力、最大効果』を考えます」。3年目に『週刊文春』のグラビアで女将紹介されると火が付いた。
 

 5年目には、隣接する足立美術館が米国専門誌で日本の庭園1位に輝き、「大きな恩恵を受けることになりました」(美香さん)。
 

 料理も資格を取り、薬膳およびマクロビオティック料理を手掛ける。浩三さんは海鮮会席を作るから、竹葉では3タイプの料理が選べるわけだ。「外(体)は温泉で、体の中は料理で。心は家庭的なおもてなしや笑いで。心身に心地良い温かな宿でありたいです」
 

 昨年、美香さんはテレビのバラエティ番組に出演。自身の再現ドラマで初めて、結婚時は借金4千万円があったと知る。「連日の熱烈プロポーズは、『助けて』の意味だったんだなと(笑)」
 

 どじょうすくいは、「苦労しても最後は笑顔で」という哲学的解釈もでき、美香さんと重なる。「日本を代表する女将という職業を通じて地域の仕事もできたら。一生懸命よりも一緒賢明にやっていきます!」。

(ジャーナリスト 瀬戸川 礼子)

住所:島根県安来市古川町 438▽電話:0854-28-6231▽客室数:7室(18人収容)、1人利用可▽創業:1959(昭和34)年▽料金:1泊2食付12,000円~(税別)▽温泉:ラジウム泉(加水加温なしの源泉かけ流し)▽足立美術館まで徒歩30秒。料理はマクロビオティック、薬膳、海鮮会席の3タイプがあり、ランチ営業もしている。

コラムニスト紹介

ジャーナリスト 瀬戸川 礼子 氏
ジャーナリスト・中小企業診断士。多様な業種の取材を通じ、「幸せのコツ」は同じと確信。働きがい、リーダーシップ、感動経営を軸に取材、講演、コンサルを行なう。著書『女将さんのこころ』、『いい会社のよきリーダーが大切にしている7つのこと」等。

 

「津田令子のにっぽん風土記(37)」 飛騨らしい空間で一流のジャズを~岐阜県高山市編 ~

2018年5月19日(土)配信 

飛騨高山ジャズフェスティバルの出演者
合同会社JAM 白石達史さん

 岐阜県高山市で5月26日、初めて「飛騨高山ジャズフェスティバル」が開かれる。会場は合掌造りなどが移築・再現されている「飛騨の里」。フリューゲルホルンとヴォーカルのTOKU、ギターの小沼ようすけなど、出演者は国内外で活躍する豪華16組で、クラブジャズ、レゲエ、ヒップホップなど多彩なジャンルだ。主催する合同会社JAM代表の白石達史さんは「地元の皆さんに、プロの生演奏はすごいと感じてほしい。地域外の人にも、観光+フェスというカタチで来てもらえれば」と話す。
 
 白石さんは両親の仕事の都合で全国を転々とした後、東京の大学に進学。海外や東京で働いた後の2010年、飛騨里山サイクリングのガイドツアーなどを行う「SATOYAMA EXPERIENCE」(株式会社美ら地球)のスタート時に、スタッフとして飛騨市に移住してきた。マネージャーを務めた後、17年4月に独立。イベントの企画や運営、ウェブディレクター、ライターなど、地域の魅力を再編集する「編集者」としてさまざまな仕事をするなかで、友人たちと立ち上げた企画の1つがこのジャズフェスティバルだ。

 「榑」と呼ばれる板で葺いた家屋の中など、屋内に2ステージ、合掌造りなどの見える屋外に2ステージを設置する。会場の指定管理者にイメージを伝えるのに時間もかかったが、昨年10月に別の重要文化財の建物で行ったプレイベントを見に来てもらうと一気に理解が進み、協力体制ができてきた。「原っぱにステージを組むなら、飛騨じゃなくてもいい。懐かしさや、古い文化が残る飛騨の魅力を凝縮したような場所で、ここに来ないと見られない空間ができます。飛騨らしさを感じてもらえれば、この地域でやる意味がある」。フェス翌日には観光もできるよう、土曜日だけの開催としている。

 運営メンバーには地域の電気店、大工などさまざまな人が名を連ねる。「若い人が新しいことをやろうとしているから」と地元から応援の声も届く。

 「ここでやることが他の地域の参考になれば。日本に小さいフェスがたくさんでき、協力して海外の有名アーティストを呼べるといいですね」と白石さん。その地域らしい会場と「本物」の音楽を組み合わせることで、魅力的な、他にない空間ができる。新しい交流、地域活性のカタチが生まれそうだ。飛騨高山ジャズフェスティバルについて詳しくはホームページ(https://hidatakayama-jazz.com/)を参照。

コラムニスト紹介

津田 令子 氏

社団法人日本観光協会旅番組室長を経てフリーの旅行ジャーナリストに。全国約3000カ所を旅する経験から、旅の楽しさを伝えるトラベルキャスターとしてテレビ・ラジオなどに出演する。観光大使や市町村などのアドバイザー、カルチャースクールの講師も務める。NPO法人ふるさとオンリーワンのまち理事長。著書多数。