〈観光最前線〉「錦市場」で仕入れ体験

2018年12月2日(日)配信

料理人や店主らと相談しながら仕入れを体験

 古くから「京の台所」として親しまれている京都の錦市場を舞台に、参加者自ら食材を仕入れ、プロの料理人がその食材を使って懐石料理を振る舞うというユニークな体験プログラムが始まった。

 今でこそ国内外の観光客でにぎわう観光スポットとなっている錦市場だが、本来は卸し業が主。その本来の姿を体験してもらおうと、今春オープンした料亭「錦市場 斗米菴(とべいあん)」が11月26日から実施する1日1組限定・完全予約制のツアーだ。

 朝の仕入れには店のスタッフが同行。プロの目利きによる食材選びを間近に体験できる。午前中に仕入れを終えると一旦解散。夜、再び店を訪れると、朝選んだ食材を使った懐石料理が堪能できるという仕組み。料金は食材費、料理代含め1人1万8千円(税・サ込)。

【塩野 俊誉】

〈旬刊旅行新聞12月1日号コラム〉オートバイ独走 1人でいることを最も楽しめる時間

2018年12月1日(土)配信 

写真はイメージ

 

春先から同じ道をオートバイで走っている。神奈川県の宮ヶ瀬湖に続く川沿いの道だ。この道は、やがて細い山道に変わる。信号がないのがいい。野球のグラウンドや、野の花が咲いている河原を眺めながら、季節の移り変わりを感じることができる。晩秋から初冬のこの時期には、ススキが揺れる。

 山道の途中には、オギノパン本社工場に併設する直売店がある。ここはいつも人気である。時折立ち寄って、丹沢あんぱんを買うこともある。

 宮ヶ瀬湖の駐車場には、多くのオートバイが集まって来る。とくに休日には、見本市のようだ。

 ハーレーダビッドソンの集会もしばしば行われている。かなり高齢化したおじいさんたちが自慢の愛車を並べて楽しそうに話している光景を、行く度に目にする。

 つい最近では、GB250クラブマンや、CB750F、FZR750などの集会も行われていた。宮ヶ瀬湖にはヴィンテージのオートバイも集まってくるので、1台1台眺めて回るのも楽しみの一つだ。

 私自身、目的地に定めた宮ヶ瀬湖で何をするわけでもなく、また誰か知り合いがいるわけでもなく、小一時間、ぼんやりと過ごすだけである。缶コーヒーを飲んで体を温めると、再びエンジンをかけて家路に向かうのである。

 そして、よく見ると、自分と同じような人が多くいることに気づく。ついこの前も、モンキーに乗って、しばらく休憩したあとに去っていく初老の男や、RZ350Rに乗った10代の男の子も、寡黙な時を過ごして静かに去って行った。カワサキのオートバイに乗った若い女性もいた。1人でベンチに座ってペットボトルのコーヒーを飲み、しばらく湖を眺めたあと、フルフェイスのヘルメットをかぶり、前傾姿勢で来た道を帰って行った。

 駐車場のあちこちで、多種多様なグループが騒がしく集会を行っているなかで、1人でオートバイに乗って来て、やがて静かに去っていく姿は一見、孤独に見える。しかし、実はそうではないのだろう。個人的な経験からも、オートバイに乗って、独りぼっちで走ることは、「1人でいることを最も楽しめる時間」と感じるからだ。

 生きていくうえで、しがらみに縛られることからは逃れられない。どんなに単純な生き方をしようとしても、人との関係性は複雑化していく。幾多の場面で、関係する人たちに助けられているにも関わらず、勝手なもので、時に煩わしく感じることがある。他人との関係を良好に維持していくことは、努力以外の何ものでもない。

 また、高度なネット社会においては、誰とでも簡単につながることができるが、一旦つながると、容易く逃げることができない。大きな利便性への代償は、知らずうちに積み重なっていく。

 1人でオートバイに乗って湖を訪れる人の孤独な姿は、社会の息苦しさから“一瞬だけ”解放されたように私の目に映る。その孤独さが清々しく見える。熱い缶コーヒーを片手に、彼らの人生について、さまざまな想像をするのが楽しい。

 しかし、季節は巡る。もう寒くなってきた。先日、少し厚手のグローブを買った。山道なので、そろそろ道路の凍結も心配だ。

(編集長・増田 剛)

三陸鉄道 12月15日から冬の名物「こたつ列車」スタート 新企画「洋風こたつ列車」も登場

2018年11月30日(金)配信 

(左から)なもみに扮した三陸鉄道の赤沼喜典さん、南リアス線アテンダントの今野未菜さん、岩手県東京事務所の吉田絵美さん

三陸鉄道(中村一郎社長、岩手県宮古市)は12月15日(土)から冬の名物「こたつ列車」を運行する。あったかいこたつの中で、久慈―宮古駅間をのんびりと揺られながら、“三陸の海の幸”を味わえる人気企画。また、今年から、釜石―盛駅間に新企画「洋風こたつ列車」も走る。

 11月29日(木)に、三陸鉄道の赤沼喜典営業課長兼宮古駅長と、南リアス線盛駅アテンダントの今野未菜さん、岩手県東京事務所主事の吉田絵美さんが本紙を訪れ、全国から毎年多くの人が訪れる三鉄の豪華レトロ列車の旅の魅力を紹介した。

「こたつ列車」

 「こたつ列車」は、来年2月24日(日)まで1日1往復、土・日・祝日に運転する。午後0時7分に久慈駅を出発し、1時54分に宮古駅に到着する。運賃は片道1850円と、座席指定料金300円。

 あわび弁当や、うに丼、ほたて弁当、大漁舟唄御膳なども事前に予約できる。また、宮古駅を午後2時40分に出発し、久慈駅に4時32分に到着する列車では、季節のスイーツを予約販売している。

 秋田の「なまはげ」と似た風習の「なもみ」が登場するアトラクションも人気。

 予約・問い合わせ=tel0193(62)8900。

「洋風こたつ列車」

 「洋風こたつ列車」は、豪華レトロ車両の各テーブルに、こたつ布団を掛けた「洋風」のイメージ。靴を脱がなくても座れるスタイルだ。矢絣模様の着物と、袴姿の“ハイカラさん”に扮したガイドが、紙芝居や観光案内をする。ランチやスイーツも事前予約で楽しめる。 大阪の船商人が伝えたという伝統芸能「虎舞」の踊りや、恋し浜駅で奉納できる絵馬ホタテ(200円)の販売も行っている。

 運行は、12月22日(土)から2月11日(月)までの土・日・祝日。釜石―盛駅間を1日1往復する。午前10時55分に盛駅を出発し、11時48分に釜石駅に到着。また午後0時5分に釜石駅を出発し、0時58分に盛駅に到着する。乗車区間の運賃と、座席指定料金300円。

 予約・問い合わせ=tel0193(22)1616。

「3千万人超える」 訪客減から一転 増加に 観光庁

2018年11月30日(金) 配信 

田端浩長官

 

 日本政府観光局(JNTO)によると、10月の訪日外国人旅行者数は264万600人で前年同月比1・8%増となり、先月の減少から一転し増加となった。自然災害の影響は残るものの、最も大きな中国市場が10月として過去最高になるなど、全体を底上げした。観光庁の田端浩長官は11月21日の会見で「外的な要因が無ければ、18年は3千万人を超えると見込まれる」と初の大台突破へ期待感を示した。

 田端長官は3千万人の見通しについて、「18年の航空便冬ダイアは17年冬期と比べ、週333便増となっている。これは旅行需要にメリットが大きい」とプラスの要因を説明した。

 訪日外国人旅行者数は10月として過去最高となり、1―10月の累計は前年同期比9・7%増の2610万9300人となった。訪日外国人数を詳しくみると、重点20市場のうち、韓国と台湾、香港、マレーシアを除く16市場が10月として過去最高となった。

 東アジア4市場(韓国、中国、台湾、香港)は9月、全体の約75%を占めたが、10月は前年同月比69・5%と7割を切った。韓国は同8・0%減の57万1200人で、台湾は同9・9%減の37万9600人、香港は0・9%減の16万9500人。この3市場で昨年10月から9万人の減少となった。

 韓国や台湾は、昨年10月にあった祝日の移動や分散のほか、自然災害による旅行控えなどで響いた。

 一方、休暇改革について触れ「休暇改革を推進できる組織体や協議体を、年度内を目途に設立したいと考えている」と話した。現在は準備段階としながらも「働き改革といっているだけでは進まない。しっかりと動かしていかなければ」と危機感を示した。

 なお、日本人出国者数は、同12・8%増の1646万6200人と19カ月ぶりの2ケタ増となった。主に中国や台湾、韓国への旅行が好調だった。田端長官は「日中韓観光大臣会合を10月に3年ぶりに開くなど、外交関係が良好になっていることが大きく影響している」と述べた。

国内旅消費6兆円超え動向調査7―9月期

 観光庁によると7―9月期(1次速報)の日本人国内旅行消費額は、前年同期比3・9%増の6兆5079億円だった。このうち宿泊は同6・1%増の5兆2357億円で、日帰りは同4・3%減の1兆2722億円となった。

 日本人国内延べ旅行者数は13・2%減の1億6424万人と大きく減少した。このうち宿泊は7・4%減の9103万人で、日帰りは同19・5%減の7321万人となった。7―8月に気温がかなり高かったことや自然災害のほか、「8月に三連休がなく、昨年、一昨年より休日数が少なかった」(同庁)ことなどが減少の原因とみる。

 一方で1日当たりの旅行単価は、宿泊が同14・5%増の5万7517円で、日帰りが18・9%増の1万7377円となった。田端長官は「ガソリン代を含むエネルギー費が緩やかに上がっていることなどが、単価上昇に影響している」と要因を示した。

トーセイホテルココネ上野が12月1日に開業、観光客も狙う

2018年11月30日(金) 配信

スカイツリーなどが展望できる屋上はパブリックスペースとして開放

トーセイ・ホテル・マネジメント(川端一郎社長)は12月1日(土)、同社2軒目となるビジネスホテル「トーセイホテルココネ上野」を東京・上野に開業する。中古オフィス物件をビジネスホテルへ改装したもので、外観などはオフィス時に利用していたものを使用。部屋タイプは、物件の構造上各階で異なる床面積という間取りを逆手に取り、24パターンの多様なものをそろえた。「天井高を生かし、ビジネスホテルでは珍しい二段ベッドも取り入れた」(檜山元一取締役本部長)とアピールする。

観光客向けの3つのプラン用意

和モダンタイプ

 

 新ホテルはビジネス客に加え、上野という立地から、外国人と女性グループ、ファミリーをターゲットに設定。3者の観光客を取り込むため、ニーズを想定したプランを各種用意する。

 外国人向けには、日曜日1組限定で、和モダンツイン・トリプルルーム予約客に、上野の老舗和菓子と抹茶付きの「和のおもてなしプラン」を設定。マイ箸と箸の使い方冊子をプレゼントするなど、日本文化に触れられるような工夫をした。価格は1人4795円~1万14616円。

バンクフォース(二段ベッドルーム)

 

 家族向けには、部屋でプラネタリウムが楽しめる「HOMESTAR Classicプラン」を用意。土・日曜日、祝日1組限定で、二段ベッドルームタイプを予約すると利用できる。

 同ホテルは小学生まで添い寝は無料だが、二段ベッドルームなら1人寝も無料になるため、両親と小学生の子供2人の計4人家族の場合、大人2人料金で宿泊できる。同プランの価格は1人4795円~1万1410円。

チェキでアルバムが作れる

 

 さらに、女性グループには10階のレディース優先フロアを予約すると、土・日曜日、祝日の1組限定で利用できる「思い出づくりサポートプラン」を企画した。1部屋に1台チェキを貸し出し、1人につきフィルムは10枚、アルバム1つの特典が付く。アルバムをデコレーションするペンやマスキングテープなども貸してくれる。また、10階フロアは女性には嬉しい美顔器やスチーマーが設置されている。価格は1人4890円~1万7240円。

 各プランとも予約は公式ホームページから受け付ける。

“ロシアを食する旅” 食を通じた観光交流を

2018年11月30日(金) 配信 

多くの来賓が出席した

ロシア連邦観光庁は11月27~28日の2日間、食を通じた観光交流をはかるため「ロシアを食する旅2日間」を開いた。27日、東京・南麻布の在日ロシア連邦大使館で開かれた式典に、観光庁の田端浩長官やJNTO(日本政府観光局)の清野智理事長らが出席した。ロシア側からは歓迎舞踊や伝統料理、ワインなどが提供された。

 同イベントは、昨年9月に日露観光当局間で結んだ覚書に基づくプロジェクトとなる。今夏に、日本側はモスクワで日本食を振る舞った。田端長官はあいさつで「(プロジェクトは)今日のイベントで完成し、我われの協力関係は1つ先のステージにレベルアップすると強く感じている」と強調した。

 一方、ロシアとの相互交流の機運は高まっている。17年の訪日ロシア人は過去最高の7万7千人(前年比41%増)で、訪露日本人は10万2千人(同21%増)だった。さらに同庁は11月22日、JNTOらで構成する日露相互交流拡大WGを設置。2023年までに相互交流人口40万人を目指すなど、さらなる拍車をかける考えだ。

 駐日ロシア特命全権大使のミハイル・ガルージン氏は「ロシアの各地方には独特の食文化がある。すべての地方の料理は紹介できないが、代表的な料理を出している。日本の方々にロシアの料理のおもてなしをできる機会ができ嬉しく思う」と開催を喜んだ=写真。 ロシア連邦観光庁長官のオレグ・サフォノフ氏は「日本のパートナーと連携しているが、まだまだ取り組むべきことがある。だからこそ大きな可能性がある」と今後の展望を力強く語った。

トリップアドバイザー×都営交通 オリジナルきっぷ1万枚限定発売へ

2018年11月30日(金) 配信 

中央がカティーキャットさん、左端がとあらん

トリップアドバイザーと東京都交通局は12月1日(土)から、オリジナルデザインきっぷ(都営まるごときっぷ)の販売を始める。きっぷは1万枚の数量限定。11月30日には東京・都庁前駅でお披露目会を開いた。女優やユーチューバーなどマルチに活躍するカティーキャットさんが登場し、アンバサダーに就任した。「東京の魅力を紹介していきたい」と意気込みを語り、駅構内の利用者にチラシを配るなどPRに専念した。

カティーキャットさんがアンバサダー就任。記念のオリジナルデザインきっぷの巨大パネルを受け取る

 オリジナルデザインきっぷで、都営交通が1日乗り降り自由になる。なかに“当たり”が含まれており、当選すれば非売品の都営交通グッズ詰め合わせがもらえる。大人700円(子供350円)で、都営大江戸線各駅で買うことができる。

 今回は、両者が11月23日に始めた「TOKYO SURPRISE!」の目玉企画となる。同CPは日本文化に触れる“体験”を紹介するもの。トリップアドバイザー上の口コミが高い体験を抽出し、国内外の旅行者が楽しめるように選定している。

 そもそも両者は2016年から1年間、東京のベスト100の場所を決める「TOKYO100」を行っていた。今回の「TOKYO SURPRISE!」は、「TOKYO100」のスピンオフ企画となる。これまでは見て楽しめる場所を決めたが、今回は“体験”を軸に展開していく考え。

 トリップアドバイザーのビジネスディベロップメントシニアマネージャー西林祥平氏は30日、「(東京には)私も気付かなかった魅力がまだある。今回の企画を通じてぜひ楽しんでほしい」と呼び掛けた。

 お披露目会の会場には、花魁やサムライに扮した都営交通のスタッフらが集結した。都営交通のマスコット「とあらん」も参加し、駅利用者から「写真を撮ってもいいですか」と声を掛けられ、PRに一役買っていた。

駅構内で特別リーフレットを配った
イベントPRに打ち込むとあらん

期間限定カードがもらえる 海保、明治期灯台巡るカードラリー実施

2018年11月30日(金) 配信

灯台カードDigitalには、さまざまな灯台データが書かれている

海上保安庁は来年2月28日(木)まで、「灯台150周年記念明治期灯台巡り」キャンペーンを行っている。明治期灯台(明治時代に建設され今もなお現存する灯台)を3基巡り「灯台カードDigital」をダウンロードすると、期間限定灯台カードがもらえる。

 同キャンペーンは、「灯台カードDigital」の認知度を高めるために行われる。期間中、「犬吠埼灯台(千葉県銚子市)など31基の灯台のうち3基の明治期灯台を巡ると、期間限定灯台カード(初代・観音埼灯台版)がもらえる。カードは印刷済みで、灯台カードDigitalでは非公表。さらに10基の灯台を巡ると、お気に入りの灯台で撮影した写真で作成する「あなたの写真で作るオリジナルカード」ももらえる。同カードは、希望すれば1年間お気に入り灯台に掲示された二次元コードを通じ、公式カードと一緒に配布できるようになる。

明治期灯台リスト

「灯台カードDigital」とは

 「灯台カードDigital」は、日本初の洋式灯台「観音埼灯台」の起工から150年目の節目を迎えた今年から配布が始まった、歴史的に価値が高く安全に訪問できる全国150基の灯台をカード化。灯台に関する情報と画像が載っており、灯台の門扉などに掲示されている二次元コードを読み取り、データをダウンロードすることで入手できる。配布開始から1カ月で、約1万4千件のアクセスがある。

【特集No.510】対談 佐藤幸子氏×小田真弓氏 旅館女将が「現代の名工」に

2018年11月30日(金) 配信

 厚生労働省は11月12日、2018年度の卓越した技能者(現代の名工)150人を表彰した。今回は、日本の宿古窯(山形県・かみのやま温泉)の佐藤幸子氏と、加賀屋(石川県・和倉温泉)の小田真弓氏2人が旅館女将として初めて選出された。日本を代表する旅館の女将である両氏は、長年接客の現場に立ち続け、目に見えない“心のおもてなし”の技能を極めてきた。対談では、お客と同じように社員を大切に想う気持ちや、次世代の人材育成など、話題は多岐にわたった。

【増田 剛】

 佐藤 私自身、「旅館女将」と、「現代の名工」とはすぐにイメージが結びつかないのですが、「お客様に喜んでいただきたい」との一念で、「お客様の身になって」接してきました。この心のあり方は、各分野で卓越した技能の匠である「現代の名工」に共通する神髄ではないかと思います。

 旅館女将は一人ひとり異なるお客様に対応していかなければならず、接客にはマニュアルはありません。〝心のおもてなし〟という技能を言葉で表わすことは大変難しいですね。でも、目に見えない道を極めることで、旅館の女将が認められたことは、これからの若い世代にも道を開くことができ、大変良かったと感じております。

 小田    私も最初はとても驚きましたが、旅館の女将が「現代の名工」に選ばれたということは、とても名誉なことだと受け止めています。

 佐藤    情緒や地元を大切にする旅館の女将は、ホテルの支配人とも違いますし、コンシェルジュでもありません。世界のどこにもない、日本独特の文化だと思います。

 今回表彰されたのも、「日本の独特の旅館文化を担っている」という意味も含まれているのかなとも考えています。

 小田    私は東京で生まれ育ち、旅館業はまったくの素人でしたが、先代(小田孝女将)に多くのことを教えられました。

 嫁いで初めて里帰りした1963(昭和38)年のことを鮮明に覚えています。能登半島は「三八豪雪」と呼ばれる大雪のなか、東京の上野駅から能登半島の和倉の地に戻りました。トラックにも長時間揺られ、ようやく辿り着いたときに、真っ白な大雪の中で毛布を被ってずっと待っていてくれていたのが、先代の女将でした。嫁と姑の関係ですが、義母の姿を見て「ここで旅館業のイロハから教わろう」と心に固く決めた瞬間でした。

 「一生懸命におもてなしをする心」や、「働いてくれている社員を大切にする姿勢」も、すべて義母から教わりました。私は旅館女将として55年になりますが、義母から教わったお客様への心や姿勢は、時代が変わっても守っていきたいと思っています。……

【全文は、本紙1736号または12月6日以降日経テレコン21でお読みいただけます。】

昭和世代と平成世代 それぞれの20代の旅行実態を調査 違いが顕著に

2018年11月30日(金) 配信 

20代の頃の「友達との旅行先」といえば?

エクスペディア・ジャパンはこのほど、平成最後の師走を前に「昭和対平成の海外旅行調査」を行った。20代を昭和で過ごした「昭和世代」 の50代と、平成に生まれ育った「平成世代」の20代を対象にした。それぞれ20代のころの旅行を比べることで世代別の違いも明らかになった。

 「20代の時の友達との旅行先」について聞いたところ、平成世代の44%が「台湾やソウルなどのアジア」と答えたが、昭和世代は2割を切った。今では日本の人気海外旅行先ランキングの常連となった台湾や韓国だが、平成になって躍進した旅行先だったことが分かった。

 若者の旅行離れが指摘されていたが、初の海外旅行時の年齢をみると、平成世代は10代が半数以上となった。昭和世代は20代が約5割。さらに「初めて自ら企画して海外旅行をした年齢」では、平成世代は20代前半までが8割を占めるなど、積極的に海外に目を向けていることが分かった。

はじめての海外旅行は何歳でしたか?
はじめて自ら企画して海外旅行をした年齢は?

 旅行形態の変化も顕著となった。「20代のときに海外旅行に求めていたものは?」との問いに、昭和世代は「グループ旅」が82%で、平成世代は「1人旅」が35%と答えた。団体旅行の波から個人旅行へ、若者の趣向は移り変わっているようだ。

海外旅行の必需品といえば?
海外旅行に行く際の「予約方法」はどの方法が定番でしたか?

 一方で、「海外旅行の必需品」や「海外旅行をする際の予約方法」についても大きな差が出た。旅行するときに手にするものは、ガイドブックからスマートフォンに、予約は店頭からオンラインにとなった。アナログからデジタルという昭和から平成への時代の変化を如実に表している結果となった。

アンケート概要

サンプル数:計400人

調査対象:20代~50代の海外旅行に行ったことのある男女

調査期間:2018年10月26~29日

調査方法:インターネットリサーチ

※本調査では小数点第1位で四捨五入しているため、足し上げても合計数値が100%とならない場合がある