日本の関心右肩上がり 国・地域に合った対策を トリップアドバイザー、初のインバウンドレポート発表

2019年7月12日(金) 配信

会見のようす。前方左手の登壇者が牧野代表

 トリップアドバイザー(牧野友衛代表)は7月11日(木)、同社として初めて訪日客の動向をまとめた「インバウンドレポート2019」を発表した。これによると、海外から日本の情報へのアクセス状況は、13~18年にかけて年平均24%増と右肩上がりに増えている。日本への関心が高まる一方、訪日客の来訪理由や目的はそれぞれ異なることが分かった。「訪日客」とひと括りせずに個々の国・地域に合った対策が重要だとした。

 日本の情報への海外からのアクセス分布は、アジアが52%で過半数を占める。次いで北中米が21%、欧州が15%。とくに米国は単独で17%を占め、世界で最も大きいアクセス元となった。

 17~18年のアクセス回数の増加率をみると、1位はインドで29%増、2位はイタリアの23%増、3位はニュージーランドの21%増だった。同日に開いた会見で、シニアリサーチマネージャーの櫻井泰斗氏は「これから攻めるべき市場だと考えている」と語った。

 他方、今回は世界9つの国・地域の同社会員から、計2万1820人のアンケートを回収した。これを基に大きくアジアと欧米豪の違いを探った。

 「訪日旅行を決める際に影響されるモノやコト」で違いが出た。

 アジアは「季節のイベント(花見・紅葉狩りなど)」が63%で最多だったが、欧米豪は37%となった。「伝統文化(侍、着物、日本美術など)」は欧米豪が78%だった一方、アジアは61%だった。アジアは日本人と近しい感覚で体験を選び、欧米豪は日本固有の伝統や文化を楽しむ傾向があった。

 中国には特徴的な趣向があった。「アニメやJポップなどポップカルチャー」は他の国・地域は10~20%の水準だったものの、中国は54%と突出して高かった。「伝統文化」の43%を上回るほどだ。中国は伝統文化だけではなく、現代の大衆文化が、訪日旅行の大きな要因となっているようだ。

 体験型観光の動向も調査した。日本で人気が上がっていたのは、歴史や茶道などの「文化&テーマ別ツアー」だった。前年と比べ予約増加率が132%増えた。次いで「プライベートツアー」が98%増、「観光チケットとパス」が95%増と続いた。「ショッピング・ファッション」は80%増で、モノ消費からコト消費への移行が進んでいることが分かる。

 一方、同日発表した「トラベラーズチョイス™人気の体験2019」では、世界トップ10の2位に「シカゴのリバークルーズ」が入った。日本では上位にクルーズは入っておらず、「今後はクルーズ人気が出てくるかもしれない」(櫻井氏)とみる。

 櫻井氏はレポートを振り返り、「日本に関心がある外国人は増え続けているが、国や地域で日本に来る目的や期待感に大きな違いがあることに注意が必要だ。さらに体験型観光商品の人気は大きく、地域独自のコンテンツを現地で直接体験したいといったニーズが増えていることにも対応していく必要がある」と述べた。

 なお、今回は同社の内部データと口コミ、利用者からのアンケートによる3つの視点で分析した。レポートのデータはオンラインで公開している。下記からダウンロードが可能。

〈観光最前線〉東大阪で体験プログラム

2019年7月11日(木) 配信

「ひがしおおさか体感まち博」のロゴ

 東大阪ツーリズム振興機構は9月13日から11月4日まで、東大阪市内全域で体験型観光プログラムイベント「ひがしおおさか体感まち博2019」を行う。

 “ラグビーの聖地”で知られる花園ラグビー場がある同市は、今秋開催のラグビーワールドカップの開催都市の1つ。試合観戦で訪れる国内外の人々に市の魅力を体験してもらおうと、「グルメ」「歴史・文化・伝統」「ものづくり」「スポーツ・アクティビティ」の4ジャンルで計57の体験プログラムを設定する。

 飲食店の店主や企業関係者、ラグビー選手など、まちの人々が案内人となりプログラムを実施。ねじの手作りや小さなロボットの組み立て、ラグビー体験など多彩にそろう。参加は事前申込制で、8月1日から受け付ける。

【土橋 孝秀】

世界各国のキャンパーが一堂に会す世界大会が福島で 日本開催は25年ぶり3回目

2019年7月11日(木) 配信

パンフレット

 世界各国のキャンパーが一堂に会す「第89回FICCオートキャンプ世界大会」が2019年9月28日(土)から10月6日(日)まで、福島県天栄村・羽鳥湖高原で開かれる。日本開催は1994年以来25年ぶり3回目。現時点で日本含む世界14カ国から約560人(うち外国人約210人)ほどの応募があるなど関心が集まっている。同大会実行員会は7月10日に会見を開き、「20カ国1300人(同400人)規模を目標に目指していたい」と意気込んだ。

 テーマは「観光」「交流」「復興」。県周辺の観光地を訪れる小旅行「エクスカーション」では会津や日光を訪れるほか、福島第一原発を視察コースもある。「福島の復興が、大きな目的だ」(事務局)とし、安心安全にキャンプを楽しんでもらい、福島の今を国内外に世界に発信していく。

 このほか、飲食ブースや出展ブース、ステージでのイベント、ビアホールではウェルカムパーティー、地酒パーティも行われる。羽鳥湖レイクサイドトレッキング、民芸制作体験などといった体験型コンテンツも用意した。

 参加費は、パーティ代や期間中のキャンプサイト料金を含み大人1人で1万8千円。一方、「国内キャンパーから、会期中すべてに参加するのは難しいといった声があった」(事務局)とし、国内旅行者限定で、前半と後半の5日間だけのハーフプラン(大人1人1万円)も用意した。

 主催は同大会実行委員で、共催は日本オートキャンプ協会(明瀬一裕会長)と福島県、天栄村。後援は環境省やスポーツ庁、観光庁ら。

 なお、FICC(キャンピング・キャラバニング・オートキャラバニング連盟、本部はベルギー)は世界最大の国際キャンプ組織なる。1932年に設立され、現在39カ国70団体が加盟している。

第38回温泉関係功労者表彰 日本温泉協会の八木副会長ら

2019年7月11日(木) 配信

(左から)中澤敬氏、八木眞一郎氏、佐藤和志氏

 環境省は7月10日(水)、同省内で第38回温泉関係功労者の表彰式を開いた。温泉の保護や適正利用、温泉地の活性化などの活動で顕著な功績者(団体含む)を対象に、今回は、環境大臣が10人と1団体を表彰した。

 日本温泉協会からは、副会長の八木眞一郎氏(福井県・あわら温泉)、常務理事の中澤敬氏(群馬県・草津温泉)、理事の佐藤和志氏(秋田県・鶴の湯温泉)の3氏が表彰された。

東武鉄道と秩父鉄道が共同で乗り放題切符を売り出す

2019年7月11日(木) 配信

東武鉄道の東上線と越生線の全線、秩父鉄道の寄居~三峰口間が乗り放題

  東武鉄道(根津嘉澄社長、東京都墨田区)と秩父鉄道(大谷隆男社長、埼玉県熊谷市)は、7月20日(土)~11月30日(土)まで、「東武鉄道×秩父鉄道SAITAMAプラチナルート乗車券」を売り出す。埼玉県が推奨する主要観光地である川越市と長瀞町、秩父市を結ぶ「SAITAMAプラチナルート」を満喫してもらうことを目的に企画した。

  同商品は東武鉄道の東上線と越生線全線、秩父鉄道の寄居駅~三峰口駅間が1日乗り降り自由となる乗車券だ。期間中には同乗車券の利用をより楽しめるように「東武鉄道×秩父鉄道SAITAMAプラチナルートスタンプラリー」を実施し、スタンプ台を同ルートの駅や観光地である川越駅観光案内所と小江戸蔵里、長瀞駅、寳登山神社、秩父駅、秩父神社の6カ所に設置する。すべてのスタンプを集めると、達成賞として「東武鉄道×秩父鉄道オリジナルメモ帳」をプレゼントする。

 また、「東武鉄道×秩父鉄道SAITAMAプラチナルートスタンプラリー」開催に伴い、川越・長瀞・秩父地域の観光情報を紹介する専用サイトを開設する。

乗車券とスタンプラリー概要

東武鉄道×秩父鉄道SAITAMAプラチナルート乗車券
名称:東武鉄道×秩父鉄道SAITAMAプラチナルート乗車券
発売期間:7月20日(土)~11月30日(土)
内容:東武鉄道の東上線と越生線全線と秩父鉄道寄居駅~三峰口駅間乗り降り自由
発売箇所:東武鉄道の東上線と越生線全駅と秩父鉄道寄居駅~三峰口駅間の各駅
発売金額:大人:1,900円、子供:950円
有効期間:発売期間内のうち1日間

東武鉄道×秩父鉄道SAITAMAプラチナルートスタンプラリー
名称:東武鉄道×秩父鉄道SAITAMAプラチナルートスタンプラリー
実施期間:7月20日(土)~11月30日(土)
台紙配布場所:東武鉄道の東上線と越生線全駅と秩父鉄道寄居駅~三峰口駅間の各駅、両社のホームページ。※台紙は、無料配布。ただし、無くなり次第配布は終了する。
スタンプ設置場所:川越駅観光案内所、小江戸蔵里、秩父鉄道長瀞駅、寳登山神社、秩父鉄道秩父駅、秩父神社(計6カ所)
スタンプ設置時間:午前9時00分~午後から5時00分
特典:全スタンプ達成賞:全6カ所のスタンプを集めた人には「東武鉄道×秩父鉄道オリジナルメモ帳」をプレゼントする。
引換箇所:東武鉄道東上線川越駅観光案内所(午前9時00分~午後5時00分)、秩父鉄道長瀞駅・秩父駅(午前9時00分~午後5時00分)※プレゼントの引換は1人1回のラリーにつき1枚まで。

愛知&岐阜 産業・武将観光施設を巡るスタンプラリー実施

2019年7月11日(木) 配信

スタンプラリーのチラシイメージ

 愛知・岐阜広域観光推進協議会は、愛知県と岐阜県の産業観光・武将観光施設を周遊する「あいちとぎふ 見にトリップ×戦トリップ(産業・武将観光)スタンプラリー」を展開する。期間は2019年7月13日(土)~20年2月29日(土)まで。

 愛知と岐阜の両県には、伝統工芸から自動車、航空宇宙などのさまざまな分野の「産業観光施設」と、戦国武将が実際に活躍した戦場や居城跡などの「武将観光施設」が数多くある。観光パンフレット「見にトリップ×戦トリップ」に施設144軒を掲載、そのうちスタンプラリー対象施設は123軒。最大8個のスタンプで、1万円相当の愛知・岐阜の特産品が当たるコースに応募できる。

実施概要

 観光パンフレット「見にトリップ×戦トリップ」に掲載された施設の内、スタンプラリー参加施設を2カ所以上めぐってスタンプを集め、スタンプカードを郵送する。抽選で合計170人に、愛知・岐阜の特産品が当たる。

実施期間:2019年7月13日(土)~2020年2月29日(土)まで

観光パンフレット「見にトリップ×戦トリップ」掲載施設:

 144施設(愛知県71施設、岐阜県73施設)

 うち、スタンプラリー対象施設 123施設(愛知県65施設、岐阜県58施設)

スタンプラリー参加方法

 観光パンフレット「見にトリップ×戦トリップ」を参加施設で入手、またはスタンプ台紙を特設Webページからダウンロードすれば参加できる。

応募締切:第1期:2019年10月7日(月)、第2期:2020年3月9日(月)

応募条件:

コース スタンプ数 商品内容  本数
ゴールド 8個 愛知・岐阜の特産品(1万円相当) 10
シルバー 4個 愛知・岐阜の特産品(3千円相当) 20
ブロンズ 2個 愛知・岐阜の特産品(1千円相当) 100
キッズ賞 2個 のりもの関連グッズ(1千円相当) 40

※スタンプは必ず愛知・岐阜両県のスタンプが1個以上必要

応募先:

 〒450-0003 愛知県名古屋市中村区名駅南1丁目18-11 コアビル5階

  あいちとぎふ 見にトリップ×戦トリップスタンプラリー事務局

  (株式会社ピコ・ナレッジ内)

 TEL:052-586-8575

静岡県三島市で「はじめてのトレッキング入門」モニターツアーを実施へ

2019年7月11日(木) 配信

トレッキングについて説明してくれる

  Hotel Gee Haive(ホテルジーハイブ、静岡県三島市)は7月20日(土)~21日(日)に、都会で働く女性に向けた新しい旅の提案として「はじめてのトレッキング入門」モニターツアーを開く。  

  同商品はトレッキングに興味はあるものの、「いまいち道具や服装のことが分からない」「山のマナーや基礎知識が分からない」という女性をターゲットにした。また、同ホテルを利用する女性客の多くが都会から気分転換でふらりと来たり、癒しを求めていることを踏まえている。

  同ホテルは2018年9月に、オープンした。自分らしくいられる「もうひとつの居場所」をコンセプトにさまざまな過ごし方を提案してきた。過去には「沼津のまちと駿河湾を一望!新緑の香貫山ハイキング」と題してハイキングをはじめとして、沼津港で海鮮料理を堪能した。

◻︎ツアー概要

開催日:7月20日(土)~21日(日) 午前中解散
集合場所:Hotel Gee Haive(ホテルジーハイブ)
募集人数:10人
対象:トレッキングに興味はあるが、どうやって始めたらいいのかわからない人
ツアー詳細:

前回のようす:

施設概要
所在地:〒411-0039 静岡県三島市寿町9-35
TEL: 055-939-7751 ※火曜日、水曜日定休
アクセス:JR三島駅南口より徒歩7分
公式サイト:

「食」と「グルメ」を切り口にインスタ活用したキャンペーン展開 夏の飛騨を盛り上げる

2019年7月11日(木) 配信

「#飛騨のごちそう」画像例

 岐阜県飛騨市は9月30日(月)まで、「食」と「グルメ」を切り口に2つのインスタグラムを活用したキャンペーンを展開している。まだ知られていない飛騨の食と、市内の貴重な歴史資産を広く発信し、夏の飛騨を盛り上げる。

「飛騨のグルメ情報」をインスタ通じ発信

茄子もち(居酒屋源)

 「#飛騨のごちそう2019」lnstagrmフォトコンテストは、Web上でのグルメ情報の掲載量が少ないことや、旅行前や旅行中に「具体的な写真や欲しい情報などがあまり得られない」といった観光客の声などを反映して企画された。観光客や市民に積極的にインスタグラムを通じてWeb上に写真をアップしてもらうことで、市内のグルメ情報を多くの方に発信することが狙いだ。

 フオトコンテストでは「飛騨市で食べられるグルメ・スイーツ」をテーマに、みだらし団子や飛騨牛、宿で食べた朝ごはんやお気に入りの居酒屋での一品など市内で撮影した「お気に入り」や「おすすめしたい」食の写真を募集。投稿することで、飛騨牛ペア食事券5千円分などが当たる抽選資格も得られる。

市学芸員が内容、デザインを監修したこだわりの一品 数量限定でプレゼント

江馬氏館・中庭

 飛騨市神岡町にある江馬氏館跡庭園と神岡城では、夏季限定のキャンペーンを実施している。神岡城は、昭和期に城跡に建てられた天守閣。一方の江馬氏館跡庭園(江馬館)は、室町時代の武家館と庭園を精巧に復元したもので、飛騨地方で唯一国の名勝に指定されている。

 キャンペーンでは2館に入館し、江馬館で庭園や館で撮影した写真をインスタグラムに投稿することで、庭園鑑賞や山城探訪で使える特製オペラグラスがもらえる。また2感の共通入場券を購入すると、特製クリアファイルもプレゼントする。両グッズは市学芸員が内容、デザインを監修したこだわりの一品で数量限定となる。

【特集No.528】全国旅館おかみの集い 30回記念大会 「心寄せ合い、文化育つ」

2019年7月11日(木) 配信

 全国旅館おかみの集い実行委員会と旅行新聞新社は7月1日、東京・新宿の京王プラザホテルで「全国旅館おかみの集い―第30回全国女将サミット2019東京―」を開いた。1990年に京都から始まり、今大会で記念すべき30回目を迎えた。テーマを「心寄せ合い、文化育つ」とし、新元号「令和」に込められた思い「人々が美しく心を寄せ合うなかで、文化が生まれ育つ」を反映させた。会場には主役の女将たち約100人が全国各地から集結し、交流を楽しんだ。

【編集部】

女将サミットに全国から100人

 節目の第30回大会で実行委員長の大役を務めた小田真弓女将(加賀屋)は冒頭のあいさつで、「30回目の開催は、皆様のお力の賜物と考えております」と謝意を述べた。さらに、「東京オリンピック・パラリンピックの開催を控え、日本に多くの外国人の方々にお越しいただいております。我われも日本の歴史や文化を学び、日本の旅館文化を若い世代とともに守っていきたいと思っています」と意気込みを語った。

 実行委員会特別委員で旅行新聞新社の石井貞德社長は「ある女将たちに、東京ステーションホテルで『自分たちの意見が言える、語り合える場を作ってもらえないだろうか』と相談されたのがきっかけだった」と会発足の経緯を紹介。そのうえで「当時は男性が外に出て、女将たちは家や宿を守っているという構図があった」と説明した。「30年の間に自然災害などのつらい時期もあったが、これからの新しい時代を皆さんと1歩1歩築きあげていきたい」と力を込めた。

 続けて、小田実行委員長から昨年の第29回鹿児島大会で委員長を務めた有村青子女将(指宿シーサイドホテル)と下竹原成美女将(指宿白水館)に記念品が贈られた。有村女将は「昨年も天候が悪いなか参加していただき、ありがとうございました」と感謝を述べた。「それまで鹿児島には女将さんの組織がなかったにも関わらず、県内から皆さんが集まって協力してくれました。おかみの集い開催をきっかけに同郷の会ができました」と女将同士の絆が強まったことを報告した。

 贈呈式後は、プラチナ会の紹介、今大会の実行委員会委員の紹介、展示会出展企業22社の紹介、女将セレクションの審査発表と表彰が行われた。

 開会式終了後は、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会会長の森喜朗氏の講演が開かれた。

【全文は、本紙1761号または7月18日(木)以降日経テレコン21でお読みいただけます。】

鉄道のネット対応の遅れが市場全体のネット予約率に影響、WITJapan2019

2019年7月11日(木) 配信

牛場春夫氏

 メタサーチのベンチャーリパブリック(柴田啓代表)が事務局を務める、オンライン旅行産業の国際会議「Web In Travel Japan(WIT)」が7月4、5日に東京都内で開かれた。同会議はシンガポールから始まり、日本では東日本大震災後の2012年から毎年行っている。このなかで、日本のオンライン旅行市場について、フォーカスライトジャパン代表の牛場春夫氏は、「日本は鉄道のオンライン予約化への対応が遅れていることで、市場全体のインターネット予約率を下げている」と指摘した。

 牛場氏は同社の調査資料から、販売高から見た日本国内の旅行市場のネット予約率を41%(販売高約4兆円)と報告。「ネット予約率はアジア太平洋地域(APAC)では45%、欧米だと50%を超えている。日本は世界第3位の観光立国だが、ネット率は一見すると低い。日本は鉄道大国で非常に大きな市場を持ちながら、鉄道のネット率が極めて低い現状がある。ここでは新幹線の予約率26%を鉄道のネット予約率として紹介するが、これが全体を押し下げる原因だ」(牛場氏)。ただ、今後は新幹線のチケットレス化も進行していることから、徐々にネット予約率は上がるとみる。

 他方、鉄道を除くと世界平均と遜色なく、とくに航空券だけでみると世界平均を上回るという。「日本の国内線は年間1億人を運んでおり、これは世界第4位。1年前のデータでは約70%がネット予約化されていたので、恐らく今は80%近いだろう。団体を除けばほぼ100%。各社のトップも『ほぼ天井』と語っている」と解説した。

 セグメント別にみると、宿泊施設は国内オンライン旅行市場シェアで43%を占め、航空の34%を超える占有率だが、内訳はタイプ別に大きく異なる。ビジネスホテルのネット予約率は約55%だが、旅館は30%に満たない状況だ。一方で、インバウンドは全体の3分の2に当たる2千万人が日本の宿をネット予約しているという。「これを支えているのが外資系OTA(オンライン旅行会社)だ」と紹介。今後、国内の市場でも外資系OTAがさらに成長するとの見方を示した。

国内OTA4社のトップが登壇

(左から)宮本氏、榊氏、髙野氏、盛崎氏、柴田氏

 例年、WITでは国内OTAのトップが一堂に会すプログラムを実施している。ベンチャーリパブリックの柴田氏が一問一答形式で4社のトップに切り込んだ。

 JTB個人事業本部Web販売部長の盛崎宏行氏は、昨年度決算で赤字を計上したことについて、Web部門の課題を問われると「JTBのオンライン化が市場の成長に追い付いていないことは確か。開発や運用、人材確保、合意形成などすべてにおいてスピードがない。今後は組織のスリム化でスピード感を持たせるので期待してほしい」と意気込んだ。

 また、現在加熱しているキャッシュレス決済競争が今後数年、旅行業へどのような影響を与えるかについて、楽天執行役員でトラベル事業長の髙野芳行氏は、「キャッシュレス化で売上が上がることは分かっている。旅館や観光施設も早めに導入した方が利益は上がる。OTAとしても事業領域を旅ナカまで拡大し、現地決済もシームレスにできる環境を作れば売上が伸びる」と考えを述べた。

 インバウンド事業での外資系OTAとの差別化は、リクルートライフスタイル旅行領域担当執行役員の宮本賢一郎氏が「国内宿泊施設の在庫数と網羅性が強み。どう顧客を連れてくるかが課題だが、海外のOTAや旅行会社と連携を強めていきたい」と語った。

 また、マーケティングにおける過去1年間の変化や進展を問われた、一休社長の榊淳氏は「サイトに訪れてからのウェブ接客に力を入れている。ページビュー単位の予約意向のデータがそろってきている」と自信を見せた。