第三者委託可能に、消費税免税制度を拡充(15年度与党税制改正大綱)

 自民、公明両党は昨年12月30日に、2015年度与党税制改正大綱を正式決定し、地方の商店街や物産センター、クルーズ埠頭などにおける免税店の拡大に向け、消費税免税制度の拡充を決めた。第三者への免税販売手続きの委託を認め、一括カウンターの設置を実現する。制度開始は4月1日を予定。

 免税販売手続きを第三者に委託することを前提とした、新たな免税店許可制度「手続委託型輸出物品販売場制度」を創設。免税手続きを委託できるのは、商店街や物産センター、ショッピングセンターなどで、(1)商店街振興組合の組合員が経営する店舗(2)中小企業など協同組合の組合員が経営する店舗(3)大規模小売店舗の施設内にある店舗(4)一棟の建物内にある店舗――に限る。一括カウンターでは、店舗を超えて購入金額の合算が可能になったが、一般物品と消耗品は区別する。

 今回の制度拡充により、外国語対応への不安や免税手続きの煩雑さが解消され、地方の商店街などでの免税店増加をはかる。また、外国人旅行者にとってもより便利になり、旅行消費額の増加による地域の活性化が期待される。

 そのほか、外航クルーズ船の寄港時に埠頭へ免税店を臨時出店する手続きを簡素化。大型クルーズ船1回の寄港で2―3千人の訪日外国人旅行者が来訪するといわれ、寄港地では消耗品を含む物品が大量に購入されている。手続きの簡素化により、臨時免税店が増えれば、訪日外国人による地元産品などの大量購入につながるとみる。

就職サイトを開設、旅行業・観光業に特化、(株)ジャタ

 株式会社ジャタ(大西誠社長、東京都千代田区)はこのほど、旅行業・観光業に特化した就職情報サイト「旅行業界就職ナビ」(https://www.mda.ne.jp/jata/)を開設した。企業側には中小企業を中心に低価格で人材採用ができる仕組みを提供し、観光系学部の学生などには多様な企業や団体を紹介することで、業界の人材採用の活性化をはかる。同サイトは日本旅行業協会(JATA)の協力でジャタが運営し、メディア総研が管理する。

 サイトは新卒の学生や旅行業経験者の採用意向がある企業、団体などが有料で登録し、学生など求職者は無料で登録。旅行業経験者については、定年退職者や家庭に入り離職中の女性などを想定する。また、求人会社はJATA会員以外にも地方の旅館やホテル、観光団体など全国の幅広い企業の参画を促す。登録料の年間費はJATA会員(協力、国内賛助会員含む)が6万円、会員外が8万円。2月末までに登録するとそれぞれ2万円の割引が適用される。

 情報提供の開始は日本経済団体連合会が定めた新卒採用の指針により3月1日からとなるが、学生の登録は昨年の10月から開始しており、1月15日時点で221人が登録した。1月15日のJATAの定例会見で大西社長は「学生は、大手企業はすぐ浮かび応募もするが、中小企業のことはほとんど知らない。サイトを通し、多種多様の企業や団体があることを知らしめていきたい」と意気込んだ。学生の登録は最終的には1千人を目指し、登録企業は今年、100社を目標にする。

42提言を長官に手交、観光立国の実現に向けて(観光立国推進協議会)

山口委員長から久保長官へ
山口委員長から久保長官へ

 オールジャパン体制で観光立国の実現を目指すため、さまざまな産業の企業や団体のトップ100人が参画する「観光立国推進協議会」(委員長=山口範雄日本観光振興協会会長)は1月20日、東京都内で2回目の協議会を開いた。このなかで観光立国実現に向けた42の提言を発表し、山口委員長が観光庁の久保成人長官に手渡した。

 山口委員長は「観光立国実現のため、提言が少しでもお役に立てればと思う」とし、「お集まりの皆様はまさに観光立国の担い手。実現に向け、強く連携を進めるとともにさまざまな場面での支援、協力をお願いしたい」と呼びかけた。

 久保長官は、観光による国内外から地方への交流人口の拡大は地方創生の観点からも重要だと強調。「15年度の補正予算では4千億円を超える地方創生のための交付金が新たに設置されている。地方自治体と地域の観光関連産業が密接に連携し、この交付金を観光に最大限活用していただきたい」と呼びかけた。

 昨年1月に設立した協議会は、観光関連企業だけではなく、全国知事会や日本経済団体連合会、日本商工会議所、流通・小売、金融などのトップが集まり、観光立国実現に向けた国民運動を広く展開している。昨年は全国各地でのタウンミーティングや一般を対象にしたフォーラムなどを開催。また協議会委員に、観光庁が6月に発表したアクション・プログラムに関するアンケートを実施したほか、観光立国に関する国民意識調査を実施。これらをもとに、観光立国実現に向けた提言を作成した。

 提言は(1)魅力ある観光地域づくり(2)地域社会の活性化(3)国民意識の向上――を骨子に42項目を挙げた。(1)は、誰もが訪れたくなる観光地域づくりを進めていくため「個性ある観光地域づくり」「観光産業の人材育成」「移動しやすい環境づくり」「ショッピングツーリズムの促進」「MICE誘致対策」「受入環境の整備」のもと、東日本大震災による被災地の復興支援など26の具体的な提言を盛り込んだ。(2)は地域社会の活性化に資するあらゆる需要創出に向け、「訪日プロモーションの強化」「MICE開催の促進」「国内需要の創出」を掲げ、10の提言で構成。(3)は「観光」に対する国民の意識を高めていくため「観光立国実現に向けたアクション・プログラムの周知」「観光に触れる機会の充実」「観光立国実現に向けた国民運動の展開」のもと、6項目の提言をまとめ

賀詞交歓会に360人、「貸切バス新運賃見直しを」(東京都旅協)

 駒井輝男会長が新年のあいさつ

駒井輝男会長が新年のあいさつ

 全国旅行業協会東京都支部(駒井輝男支部長)と東京都旅行業協会(駒井輝男会長)は1月20日、東京都内の目黒雅叙園で毎年恒例の「新春賀詞交歓会」を開き、会員旅行会社のほか、受け入れの宿泊施設や観光施設、行政関係者など約360人が集まった。各地域の観光PRや福引大会も交え、新年の飛躍を誓った。

 駒井会長は、冒頭のあいさつで昨年4月に施行された貸切バス新運賃制度導入について触れ「事前の周知もなく突然施行されたが、さまざまなところから矛盾を指摘する声が挙がっており、『死活問題だ』と訴える会員も多い。制度の見直しを考えるべきではないか」と訴えた。

 来賓の東京都産業労働局観光部振興課の鈴木のり子課長は、東京都の第2種、第3種、地域限定旅行業の登録が、14年4月から12月末までの間で4社増加し、1928社となったことを報告。「近年の減少傾向に歯止めがかかったのではないか。皆さんには業界の牽引役として業界を引っ張っていってほしい」と会員に呼び掛けた。

ロゴマーク
ロゴマーク

 なお、東京都旅行業協会は昨年末に同協会のロゴを作成。旅行という観点から、オレンジ色の球体を中心に、外に向かっていくイメージを表現し、誠実で信頼感を持てるマークを考案した。

内装含め8割完成、第3ターミナルを公開(成田空港)

ターミナル名の接着作業中
ターミナル名の接着作業中

 成田国際空港(NAA、夏目誠社長)は1月16日、4月に供用開始するLCC専用の第3旅客ターミナルビルの見学会をマスコミ向けに行った。

 見学会の冒頭、夏目社長は「工事は順調」と話し、12月末時点で内装も含め工事全体の83%が完成していることを明かした。「仕様の簡素化による建設コストの制限・圧縮、さまざまな工夫による運営コストの低減で、LCCビジネスモデルに適した低コストで効率的な運航が可能になった」と説明。同空港へは国内・国際線合わせて13社のLCCが就航し、海外11都市、国内12都市の合計23都市を結ぶ。LCCのシェア率は14年度冬ダイヤ開始時に21・5%となり、国内線では67・1%に上る。夏目社長はLCCの戦略について「国内線は首都圏の顧客だけでなく、地方からの国際線乗り継ぎと、訪日客の地方への乗り継ぎ利用を促進し、国際線はアジアの近距離路線のさらなる充実をはかりたい」と言及した。

国際線の手荷物引渡場
国際線の手荷物引渡場

 コスト削減のため、本館とサテライトを結ぶブリッジやサテライトの国内線到着動線は空調のない半屋外にした。エアラインラウンジや有料待合室はなく、本館2階のフードコートやゲートラウンジのソファベンチを利用するようになる。シャワールームもない。フードコートは国内空港最大の座席数400席以上で、本館3階免税エリアには、成田空港内で最大の総合免税店「Fa―So―La DUTY FREE」などが出店する。

訪日2千万人達成を、観光関係幹部ら500人集う

山口範雄会長
山口範雄会長

 日本観光振興協会が幹事を務める観光関係団体懇談会と観光庁、日本政府観光局(JNTO)は1月20日、東京都港区の東京プリンスホテルで「観光立国・訪日2000万人に向けた新年交流会」を開いた。行政や観光関係団体の幹部ら約500人が参加し、2014年の訪日観光客数1341万人を喜ぶとともに、改めて2千万人達成に向けた決意を確認した。

 主催者あいさつに立った日観振の山口範雄会長は昨年末、米国のフューチャーブランドが毎年発表している国別ブランドランキングで初めて日本が世界1位になったことなどを示し、「今、世界中から“和”が注目されている。今後はこの和をいかに活用し、全国津々浦々の観光魅力を創出して競争力ある観光地づくりをしていくかが重要になる。それらを通じて地方創生、地方の活力を取り戻していきたい」と語った。また、訪日外国人客数が1300万人を超えたことに触れ「2千万人時代への一歩を踏み出した今こそ、観光産業が内需や雇用拡大に即効性があり、乗数効果が高く裾野が広い産業であることを強く訴えていき、地域や産業がそれぞれ連携して新たな意気込みで精一杯努力をしなければならない」と強調した。

 太田明宏国土交通大臣は「訪日客数は1300万人の大台に乗った。そこで歪みが出ていたら反省し体制をもう一度強化して、次への前向きな攻めの戦いをスタートしたい。2千万人への現実味が帯びてきた。もう『高み』とはいわない。今年は1500万人を超え、2千万人への戦略を立てる年にしたい」と意気込んだ。このほか、石破茂内閣府特命担当大臣も駆けつけ、あいさつした。

 〈ANTA、5月中国に、3千人訪問団派遣〉

 会のなかで、全国旅行業協会(ANTA)の二階俊博会長は、日中韓の観光交流の重要性が高まっていると言及。「2月半ばには韓国に1千人の訪問団を派遣する。また、中国へは5月半ばに3千人で訪中する計画だ」と述べた。

JR長野駅、新駅ビル全面開業へ

「MIDORI長野」外観イメージ
「MIDORI長野」外観イメージ

3月7日、「MIDORI長野」
 JR長野駅の新駅ビルMIDORI長野(長野市)が3月7日にグランドオープンする。昨年11月に一部先行オープンした45店に、土産品や食料品などを取り扱う67店が加わり、合計112店となる。県内初出店や各社にとって新業態となる店舗も多く、3月14日の北陸新幹線(長野経由)金沢延伸で増加が見込まれる観光客に信州の魅力を発信する。

 新たにオープンするのは、改装で休業中の既存駅ビル地下1階と1階、建設工事が進む新駅ビル1階と2、3階の一部。全面開業時の延べ床面積は2万5600平方メートル、総売場面積は1万1500平方㍍となる。県内初出店は12店。

 新駅ビルの1階は名称を「MIDORIマルシェ」とし、生鮮食料品や総菜店など19店が出店。新駅ビル2階には県内各地の名産品を販売する25店が並び、和洋菓子やおやき、日本酒やワインなどをそろえる。明治亭(駒ヶ根市)は、ソースカツ丼を広く発信しようと弁当販売の専門店を初出店。桜井甘精堂(小布施町)は、数種類のあんみつなどを提供する和風喫茶「甘味屋幾右衛門」を初出店する。

 飲食店7店が集まる新駅ビル3階では、信州そばや県産野菜の料理を味わえる。県内市町村による観光PRや、住民が交流イベントを開催できるコミュニティースペースも3階に設ける。

 MIDORI長野は昨年11月21日に改装した既存駅ビルの2―4階と新駅ビルの2、3階の一部が先行オープン。服飾雑貨店が中心で、東急ハンズ(東京)が北信越地方で初めて出店した。

VJ大使に新バッジ授与、「金メダルで頑張ろう」(観光庁)

久保長官(中央)とビジット・ジャパン大使
久保長官(中央)とビジット・ジャパン大使

 観光庁(久保成人長官)は1月16日、観光庁でビジット・ジャパン(VJ)大使に新デザインのロゴバッジを授与した。デザインはVJ大使でデザイナーのコシノジュンコ氏が手掛けた。金色のバッジを手にしたコシノ氏は「まずはこの金メダルで、東京オリンピックに向けて頑張りましょう」と力を込めた。

 新ロゴは金・赤・白の3色を使い、太陽と富士山をイメージ。コシノ氏は「ロゴは理屈抜きでわかるように、日本そのものを表した。バッジの色は金色で、これを金メダルと思い、誇りを持ってバッジを活用し、活動していただきたい」と語った。

 バッジを授与した久保長官は、「2020年は『日本』オリンピック・パラリンピックを目指しており、この機会に東京以外の地域を見てほしい。VJ大使は各分野、各地域で活動していただいているので一層のご協力をお願いしたい」と期待を込めた。

【2月3日まで】試写会に15組30人招待、五島列島舞台「くちびるに歌を」

©2015『くちびるに歌を』制作委員会©2011中田永一/小学館
©2015『くちびるに歌を』制作委員会
©2011中田永一/小学館

 長崎県・五島列島を舞台にした映画「くちびるに歌を」が2月28日から、全国公開される。これを記念して、2月9日に東京都中野区で開かれる試写会に読者15組30人を招待する。

 同映画の原作は、全国学校音楽コンクールの課題曲にもなった「手紙~拝啓 十五の君へ~」の作者・アンジェラ・アキさんのテレビドキュメンタリーをもとに、小説家・中田永一氏が書き下ろしたもの。物語は、天才ピアニストだったと噂される柏木ユリが五島列島の中学校に臨時教員として赴任。合唱部の顧問となり、コンクールを目指す部員に「15年後の自分」へ手紙を書く課題を出すところからはじまる。

 主人公を演じるのは女優・新垣結衣さん。合唱部の部員は全員、オーディションで選ばれ、半年の合唱練習を経て撮影に臨んだという。監督は「陽だまりの彼女」などを手掛けた三木孝浩氏。

 
【読者プレゼント】

試写会は2月9日、なかのZERO大ホール(中野区中野2―9―7)で午後7時開演。
読者プレゼントは官製ハガキに住所、氏名を記入のうえ、次の住所に郵送する。2月3日必着。
(※当選者は発送をもってかえさせていただきます)。

◆応募先
 〒104―0061  東京都中央区銀座7―2―22 同和ビル5階
  株式会社マンハッタンピープル
   「旬刊 旅行新聞『くちびるに歌を』試写会」プレゼント係。

風刺画 ― 敬意を払わぬ言動は共感できない

 人は無意識のうちに他人との間隔を50センチほど開けて近づかないのは、“その人への敬意”なのだとテレビ番組で言っているのを聞いて、腑に落ちた。家族や仲間、恋人のように親しい間柄ではない人が、馴れ馴れしく近づいてくれば、誰もが不快な感覚を抱く。それは自分への敬意を無視されているからだ。

 なぜ、ネクタイを締めるのか。それは、“その場への敬意”のためである。しかるべきレストランに食事に行くときに、女性が綺麗に装い、テーブルで慎重にナイフとフォークを動かし、唇をソースで汚さないように品良く食事をする姿は見ていて心地よい。男性もスーツとネクタイで、背筋を伸ばして食事をする。料理人への敬意であり、素晴らしいテーブルと空間を用意してくれたレストランという「場」、そして相手の女性への敬意の表れだろう。

 義父が生前、我が寓居を訪れるとき、日曜日の午後であるのに、いつも白いシャツとスーツ姿だった。めったに来ることはないが、田舎の父が来る時もスーツを着て来る。少々堅苦しいと感じていたが、狭く、汚い生活空間だが、「場」に対して敬意を表してくれていたのだろうと思う。

 サッカーのワールドカップや国際親善マッチの前に、両国の国歌斉唱を行う。かつて政治的な問題を抱えるアジアの国で開催された国際大会で、「君が代」が流れたときに、ブーイングを受けた。日本で開催する国際試合で、相手国の国歌が流れているときに、ブーイングを浴びせる行為は絶対にすべきではない。好きではない国であっても、いや、問題を抱える国だからこそ、相手国の国歌に対して敬意を表して最後まで黙って聴こうではないかと思う。

 相撲が好きでよく見るのだが、ときどきハワイやモンゴルなど外国出身力士と、日本人力士が優勝をかけて戦うことがある。そのときに、「ひいきの力士」というわけでなく、「日本人力士だから」という理由で、館内が一体となって声援する場面に出会う。自国の力士を応援したくなる気持ちはわかる。ただ、その応援の仕方が相手の外国人力士に対して敬意を損ねるほどの異様なムードになるときがあり、なんだか居心地の悪い不気味さを感じてしまう。

 外国や日本の地方を旅するとき、旅人はその地のしきたりや習慣に従うだろう。その地域でやってはいけない戒律などがあるのならば、できるだけそれに沿うようにしたいと思う。自分たちとまるっきり文化が違い、いつもやっていることと正反対の行動であっても、その人たちが長い歴史の間そのように生きてきたのなら、そのことを面と向かってバカにしたり、笑ったりはしない。

 フランスの週刊新聞「シャルリー・エブド」がイスラム教の預言者ムハンマドを風刺した画を掲載し、イスラム社会では反発の声が高まっている。もちろん、テロ行為は許されるものではないが、“表現の自由”を標榜するシャルリー・エブド紙のイスラム社会への敬意のない風刺画を見ても、共感できない。相手への敬意を払わない言動は戦争に直結する。とてもレベルの高い“ジャーナリズム精神”とも思えない。私は、山口瞳氏の「ジャーナリストとは、他人のファイン・プレイを探して世の中に紹介する職業だと私は思っている」という言葉が好きである。

(編集長・増田 剛)