「もてなし上手」~ホスピタリティによる創客~(174) たった1人の素敵な行動を「企業力」に変えよう 自ら「考動」に移せる人へ

2025年7月13日(日) 配信

 夏の強い陽射しが照りつけるある日のことでした。私は観光バスに乗って、山間の緑豊かな道を走り抜けていました。やがて、大型の土産店と食事処が一体となった施設に立ち寄りました。観光バスが何台も並び、多くのお客様たちが降りてきて、楽しそうにお土産を手に取り、なかにはソフトクリームを食べたり、冷たい飲み物を飲んだりしながら、外では次の出発を待つ人たちも見受けられました。そのときです。

 ふと聞こえた何気ない声に、私はその方向に目を向けました。そこに広がっていたのは、何とも言えない感動的な光景でした。1台の観光バスの運転士が脚立に乗り、フロントガラスを丁寧に拭いていたのです。ほかのバスの運転士たちは休憩を取っていたり、日陰で涼んでいたりするなかで、たった1人、その人だけが黙々と窓を磨いていたのです。

 山間の道路を走ると、どうしてもフロントガラスには虫が当たって汚れてしまいます。しかし、その運転士は、これから再び乗り込むお客様たちに、美しい景色をクリアな窓から楽しんでもらいたいという想いから、その仕事をしていたのだと思います。

 誰に命じられたわけでもなく、誰かに見せるためでもなく、ただ「お客様のために」と思っての自然な行動です。それが胸を打ったのです。周囲のバスは汚れた窓のまま出発していきました。

 その違いに、私は考えさせられました。「こうした行動が自然とできる人と、できない人。その違いは何なのか」。それは、「言われたからやる」のではなく、「なぜこの仕事をしているのか」という目的意識を持っているかどうかなのではないでしょうか。一時的に「やれ」と言われてできることでも、目的が腹落ちしていなければ継続してはできません。お客様の快適さや喜びを心から願い、そのために今、自分ができることは何かを考え、自ら「考動」に移せる人、それが本当のプロフェッショナルなのだと思います。

 私たちは皆、それぞれの人生の大切な時間を費やす「働く場所」を選びます。会社というのは、単に仕事をする場所ではなく、人が夢や理想を実現し、価値を分かち合うために集う場です。そんな場も、たった1人の心ない言動で、信頼や空気が壊れてしまうことがあります。

 しかし逆に、1人の誠実な行動が、その場の雰囲気を変え、企業全体のブランド価値すら高める力を持つこともあるのです。あの日見た運転士の姿は、まさにそれを教えてくれました。誰も見ていないようで、実は誰かがちゃんと見ている。そんな姿に人は心を動かされ、学び、敬意を抱き、次はあのバスに乗ってみたいという利用者を創り出すのだと私は確信しています。

 

コラムニスト紹介

西川丈次氏

西川丈次(にしかわ・じょうじ)=8年間の旅行会社での勤務後、船井総合研究所に入社。観光ビジネスチームのリーダー・チーフ観光コンサルタントとして活躍。ホスピタリティをテーマとした講演、執筆、ブログ、メルマガは好評で多くのファンを持つ。20年間の観光コンサルタント業で養われた専門性と異業種の成功事例を融合させ、観光業界の新しい在り方とネットワークづくりを追求し、株式会社観光ビジネスコンサルタンツを起業。同社、代表取締役社長。

 

「観光革命」地球規模の構造的変化(284) 秀逸な道とアプカシ

2025年7月12日(土) 配信

  第2次トランプ政権発足後、世界的に自国第一主義やポピュリズムの台頭などによって民主主義の危機が深刻化している。危機の打破のためには「地域社会」の復権が必要不可欠であり、日本においてもそれぞれの地域なりに「民産官学の協働」によって地域資源をより良く活用しながら地域活性化をはかることが求められている。

 北海道では20年前の2005年から「シーニックバイウェイ北海道」事業が展開されている。シーニック(scenic)は「景色のよい」、バイウェイ(byway)は「わき道」の意。道をきっかけにして、地域に暮らす人が主体になり、企業や行政と連携・協働しながら、美しい景観づくり、活力ある地域づくり、魅力ある観光空間づくりを行う取り組みだ。現在全道くまなく15の指定ルート、2つの候補ルートがあり、約500団体が活動している。

 シーニックバイウェイ北海道事業は、これまでの20年間の内に、多様な効果を挙げている。①地域への愛着・誇りの醸成②旅の快適性の向上・ストレスの少ないツーリング環境の形成③地域ブランドの形成④交流人口の拡大⑤地域産業の振興⑥地域における雇用の拡大――などだ。

 21年からは各地域が厳選した「秀逸な道」のプロモーションが行われている。例えば「支笏湖ブルーに出逢う道」、「樹海に佇む天空の道」、「汐風薫るいにしえの道」、「一面の流氷が織りなすグレートネイチャーを体感する道」など、一度はツーリングしておく価値のある「秀逸な道」だ。

 北海道はシーニックバイウェイに象徴されるツーリングに最適の秀逸な道が数多く存在すると共に、一方では歩いて楽しむフットパスも数多く存在している。現在の北海道には29のフットパスが整備されており、歩いて自然や景観や生き物たちとの出会いを楽しみながら、センス・オブ・ワンダーを感じることができる。北海道ではアイヌ語の「歩く」を意味する「アプカシ」を用いて、フットパスのプロモーションを行う動きも生じている。

 北海道旅行においては、ツーリングとウォーキングをうまく組み合わせることによってゲスト(旅人・観光客)の楽しみを倍増させることが可能になり、ホスト(地域住民)の側の魅力ある観光空間づくりや活力ある地域づくりへの貢献も期待できる。

 

石森秀三氏

北海道博物館長 石森 秀三 氏

1945年生まれ。北海道大学観光学高等研究センター特別招聘教授。観光文明学、文化人類学専攻。政府の観光立国懇談会委員、アイヌ政策推進会議委員などを歴任。編著書に『観光の二〇世紀』『エコツーリズムを学ぶ人のために』『観光創造学へのチャレンジ』など。

 

 

ダイブ、「不思議の国でアリスと」の映画鑑賞券プレゼント リゾートバイトの思い出投稿した100人に

2025年7月11日(金) 配信

「不思議の国でアリスと」のポスター

 宿泊施設へ人材派遣・紹介事業を展開するダイブ(庄子潔社長、東京都新宿区)は8月8日(金)まで、8月29日公開の劇場アニメ「不思議の国でアリスと」とのスペシャルコラボ企画として、InstagramやTikTokでリゾートバイトの思い出を指定のハッシュタグを付けて投稿した人のなかから、抽選で100人に同映画の鑑賞券をプレゼントするキャンペーンの応募を受け付けている。

 「不思議の国でアリスと」は、将来や日常に息苦しさを感じる主人公「りせ」が”あたりまえのない世界”での体験を通して、自分の内にあった本当の自由に気づいていく成長物語。キャンペーンでは、未知の環境に一歩踏み出すことで得られる“挑戦”や“自己成長”に焦点をあて、映画とリゾートバイトに共通する価値と魅力を多くの人に届ける狙い。

 キャンペーンの応募期間は8月8日(金)午後11時59分まで。リゾートバイトダイブで就業中の人、または過去にリゾートバイトダイブを通じて働いた経験がある人が対象。当選者の発表は8月18日(月)ごろを予定。InstagramまたはTikTokのダイレクトメッセージで個別に連絡する。

東京・日本橋エリアで夏イベント開催中 「ECO EDO日本橋2025~五感で楽しむ、江戸の涼~」

2025年7月11日(金) 配信

約250個の江戸風鈴が涼を奏でる

 日本橋室町エリアマネジメントは7月11日(金)から、名橋「日本橋」保存会とともに、東京の日本橋、八重洲、京橋エリアで、江戸時代からの涼体験を届けるイベント「ECO EDO日本橋2025~五感で楽しむ、江戸の涼」を開始した。今年は三井不動産グループの東京都内4施設で、納涼イベントを開催。各施設の個性を生かしたコンテンツを用意している。イベントは8月11日(月・祝)まで。

 日本橋エリアでは、夏の日本橋のシンボル「夏を奏でる風鈴スポット」で約250個の江戸風鈴が涼を奏でる。福徳神社から福徳の森へと続く小径にトンネル状に江戸風鈴を装飾し、夜はライトアップも実施する。

 浴衣の着付け&レンタルサービスの連携店舗「ゆかたレンタルスポット」では、さまざまなデザインを用意しているため、好みの1着を探すのも楽しい。期間中のレンタルスポットは、コレド室町3のゆかたレンタル特設会場「橋楽亭」など。日本橋髙島屋S.C.本館や日本橋三越本店などでは、購入もできる。

 日本橋エリアで働く人が浴衣を着て街を彩る「ゆかたワークデイ」は8月6~8日に設定。仕事後は8月7~8日にCOREDO室町テラスの大屋根広場で開かれる「大屋根夏まつりin日本橋」に参加し、オンもオフも“涼”な姿で満喫するのがおすすめという。

名店のかき氷が集結(写真はフルーツカフェpomp)

 毎年好評を集める「日本橋かき氷フェスティバル2025」は7月11~13日までの3日間限定で、COREDO室町テラスの大屋根広場に全国から話題のかき氷が集結。日本橋氷菓店、フルーツカフェpompと日本橋の名店のほか、大阪・関西万博にも出店している、奈良県の「てのべたかだや」(11日のみ)などの一杯が登場する。期間中正午~午後6時まで、なくなり次第終了となる。

 このほか、日本橋エリアの約160店舗では、期間限定で見た目が涼やかなスイーツやフード、ドリンクなど納涼メニューやグッズなどを数多く取りそろえる。

期限が迫った防災備蓄品を活用した「打ち水」も

 さらに、「晴れたら打ち水!日本橋」では7月11日(金)と26日(土)の正午~午後6時まで、誰でも自由に日本古来からの涼を得るための手段「打ち水」が体験できる。近隣オフィスの賞味期限が迫った防災備蓄用品の水を活用し、エコに実施する。

 連携イベントも多数用意している。詳細はイベント特設サイトから。

全旅連、「宿の日week」8月10日から開催へ 新たな観光促進運動として業界挙げて展開

2025年7月11日(金) 配信

「宿の日week」観光強化週間のロゴ

 全国旅館ホテル⽣活衛⽣同業組合連合会(井上善博会長)は8月10日(日)から、「宿の日week」観光強化週間を開催する。

 「宿の日week」は、1992年に全旅連青年部によって制定された「8月10日=宿の日」を広く周知し、新たな観光促進運動(観光強化週間)として、業界を挙げて展開していく。

 全旅連はOTA(オンライン旅行会社)各社で実施予定の特集ページやセールへの参画や、同日の宿泊者への粗品プレゼントや、キャッシュバックキャンペーンを実施する宿泊施設を募集している。

東武トップツアーズ、「隅田川花火大会」橋上観覧席プラン発売

2025年7月11日(金) 配信

隅田川花火大会のようす(写真はイメージ)

 東武トップツアーズ(百木田康二社長、東京都墨田区)は7月11日(金)、隅田川花火大会が7月26日(土)に開催されるのに合わせて、東京・隅田川に架る橋梁「すみだリバーウォーク」から鑑賞する特別プランを売り出した。東武グループのショッピングサイト「TOBU MALL」で、座席数限定で販売している。

 隅田川花火大会は、東京都墨田区と台東区周辺で毎年開催され、第1会場と第2会場の2カ所から合計約2万発の花火が打ち上げられる伝統的な花火大会。同プランは「すみだリバーウォーク」を貸し切りにした特別営業として、計105席限定で売り出す。当日は多くの人々で賑わう周辺の雑踏から離れ、隅田川上の特別な座席でゆったりと花火を鑑賞でき、ここでしか味わえない特別なひとときを提供する。

 一般席の鑑賞プランは、東武ホテルの林総括料理長が監修したこだわりの食材を丁寧に仕上げた逸品を盛り合わせた特製御膳付きで、第2会場の花火を間近で観覧できる。席数は90席、金額は1人につき税込5万円。フリードリンク(アルコール含む)付き。

 グループ席の観賞プランは、3人まで利用できるグループ向けの座席で、第1会場の花火を間近で観覧できる。席数は5組15席、金額は1組につき税込10万円(3人まで)。おつまみセット&フリードリンク(アルコール含む)付き。

JTB夏休み旅行動向、旅行意欲は堅調の見通し 総旅行者数は0.8%増の7464万人

2025年7月11日(金) 配信

 JTB(山北栄二郎社長)はこのほど、夏休み(7月15日~8月31日)の旅行動向見通しを発表した。これによると、夏休みの総旅行者数は前年同期比0.8%増の7464万人、総旅行消費額が同8.2%増の4兆264億円。同社は日並びの良さやボーナスの上昇などを後押しに、旅行意欲は堅調とみている。

 国内旅行では、旅行者数が同0.3%増の7220万人、平均旅行予定費用は同4.5%増の4万6000円、旅行消費額が同4.8%増の3兆3212億円と推計。旅行者数は物価高などの懸念があるものの旅行意欲は底堅く微増、平均旅行予定費用は物価高による価格自体の上昇や、北海道、沖縄など遠方の人気もあり上昇する見込み。

 アンケート調査によると、旅行日数は「1泊2日(36.5%)」が最多で前年から1.1ポイント減。一方で、「2泊3日(32.8%)」は0.5ポイント増、「3泊4日(17.4%)」は0.5ポイント増となった。また、最も増加率が高かったのは「8泊以上(2.1%)」で、昨年の0.3%から1.8ポイント増加した。

 旅行先は関東(17.2%)が最多で、次いで近畿(15.5%)、北海道(11.1%)と甲信越(同)の順となった。伸び率でみると、北海道と甲信越が1.2ポイント増、北陸は1.1ポイント増、九州と沖縄が0.8ポイント増。

 人気方面は大阪・関西万博の京阪神エリアや、7月25日(金)に開業するテーマパーク「ジャングリア沖縄」がある沖縄本島、瀬戸内国際芸術祭やテレビドラマの影響などもあり、中国・四国地方が好調とみている。

海外旅行は増加基調、行先は二極化傾向に

 海外旅行では、旅行者数が同20.8%増の244万人、平均旅行予定費用は同5.5%増の28万9000円、旅行消費額が同27.4%増の7052億円と推計する。旅行者数は航空座席供給数の回復や、昨年に比べやや円安傾向が落ち着いたことなどから前年を大きく上回り、平均旅行予定費用は続く物価高や円安基調、遠方への旅行の増加傾向などから上昇の見通し。

 旅行日数は「3泊4日(21.2%)」が最も多く、次いで「5泊6日(16.1%)」と「2泊3日(同)」が同率。行先は上位から「韓国(16.8%)」と「ヨーロッパ(同)」が同率でトップとなり、「台湾(13.9%)」と「東南アジア(同)」が続いた。日数や行先の傾向からも、引き続き遠距離と近距離の二極化傾向が見られる。

花王プロフェッショナル・サービス、宿向けに「清掃ガイドブック」作成 大分県の旅館ホテル組合や旅館協会との連携で

2025年7月11日(金) 配信

清掃ガイドブックの配布案内

 花王(長谷部佳宏社長、東京都中央区)のグループ会社でBtoBの衛生関連事業を手掛ける花王プロフェッショナル・サービス(豊島顕社長、東京都墨田区)はこのほど、大分県旅館ホテル生活衛生同業組合(西田陽一理事長)や日本旅館協会大分県支部、大分県観光局などと連携し、ホテル・旅館を対象に行った労務負担についてのアンケート調査の結果を踏まえた清掃ガイドブックを作成した。

 訪日客の需要が拡大するなか、県内の宿泊業界は労働力不足や業務効率化の課題に抱えている。アンケートの結果、とくに水回りの清掃や施設内の衛生管理は、現場での労務負担が大きく、従業員の安全と仕事に対する満足度の向上が求める声が多く挙がった。

 これを受けガイドブックでは、水回りの清掃にフォーカスした内容を現場の実態を反映しながら、具体的な清掃手順や安全対策のポイントをまとめた。花王プロフェッショナル・サービスのウェブサイトや大分県のホームページから、無料でダウンロードができる。

熊本市で子供向け涼感イベント 8月9日(土)~17日(日)に (九州産交ランドマーク)

2025年7月11日(金) 配信

イベントのイメージ

 九州産交ランドマーク(渡邉晋司社長、熊本県熊本市)は8月9日(土)~17日(日)、熊本県熊本市のサクラマチクマモトと花畑広場で、小学生以下の子供向けに体験型涼感イベント「ひんや~りサクラマチ」を開く。

 イベントでは、本物の氷を使ったスノーマシーンで 雪を降らせる「ひんや~りスノーふりふりタイム」を実施。食品やアイスなどの輸送に使われ、約マイナス30度まで冷やされる冷凍車に中に入ることもできる。ミストが降るなか、氷水が入ったプールを歩く「ひんや~りアドベンチャー」も行う。

 これらのコンテンツは1枚500円(税込)の専用チケット「ひんや~りパスポート」で楽しむことができる。なお、8月12日(火)は休止する。

9月30日まで特別展「イルカとクジラ」開催中 えのすい

2025年7月11日(金) 配信

“Coool”なコンテンツをそろえた特別企画展

 新江ノ島水族館(崎山直夫館長、神奈川県藤沢市)は9月30日(火)まで、「えのすい特別企画展 イルカとクジラ Coool Dolphin」を開催している。夏季限定として、イルカショーを特別バージョンで実施。ダイナミックな水演出で、客席にたくさん水しぶきを届ける、びしょ濡れ必須のショーを展開する。

 館内では、旧館時代の1957年からイルカやクジラと関り続けてきた「えのすい」だからこそできる、これまでの歴史や現在、未来へつなげる取り組みを伝える。

 現在世界で90種類以上のイルカやクジラが知られているが、相模湾ではそのうちの3分の1、35種が確認されているという。特別企画展では、えのすいが実際に調査で見た15種を含め、35種をパネルと映像で紹介する。

 また、「イルカとクジラ スタンプ&クイズラリー」は相模湾で確認されているイルカとクジラを館内で探しながら、調査をしている気分になれるイベント。夏休みの自由研究の参考にもおすすめという。なお、8月17日までの前半と8月18日~9月30日(日)までの後半で内容が異なる。誰でも参加できるが、平日は先着500人、土・日・祝日は先着800人。

 現在、枚数限定でオリジナルステッカー付きの前売り券をWeb販売している。価格は大人2800円、高校生1800円、小・中学生1300円、幼児900円。