13年交流人口700万人へ、第27回日韓観光振興協議会

加藤審議官(右)と慎局長
加藤審議官(右)と慎局長

 加藤隆司観光庁審議官と慎庸彦(シン・ヨンオン)韓国文化体育観光部観光産業局長を代表とする日韓両国が10月29日、北海道の函館国際ホテルで第27回日韓観光振興協議会を開き、2013年の日韓間の交流人口目標を700万人とした。

 日韓観光交流促進に向けた日韓両国の協力や風評被害対策、地方観光交流拡大などについて合意し、確認文書を取り交わした。

 そのなかで2013年の日韓間の交流人口目標に700万人を掲げ、日韓間をとりまく諸課題の状況にかかわらず、観光交流は原則としてそれに影響されることなく推進することを確認した。また、自然災害、疾病などの観光へのリスクが考えられる危機的状況が発生した際に、風評被害を含め相互に協力することをうたった。

 さらに、地方観光交流の拡大に向け、2013年を「日本地方観光交流元年」として日韓両国で積極的に活動することを誓った。

「地熱発電の隠された真実」、佐藤好億氏監修

“開示されないデータ”

 「地熱発電の隠された真実」は、日本温泉協会副会長・地熱対策特別委員長、日本秘湯を守る会会長などを務める佐藤好億氏が監修した。サブタイトルは「温泉文化滅亡の危機~温泉地は、地熱発電の工業廃湯を旅人に入浴提供しろというのか~」。

 佐藤氏は40年以上、全国の温泉地を行脚するなかで、地熱開発や地熱発電所が建設された地域で、温泉の枯渇や泉質変容、温度低下などに加えて、樹林の枯死やヒ素流出、地すべり、水蒸気爆発、群発地震などの影響を耳にし、実際に目にしてきた。日本において地熱開発の危険性やデメリットの検証が十分にされていないなかでの「開発ありき」の国や開発業者の姿勢に、本書は「地熱発電が本当に世間一般に流布されているような安心安全なエネルギーなのか?」と問いかける。

 地熱発電所周辺で生じた影響など、さまざまな事例を科学的なデータに基づいて紹介しながら、地熱発電に対する正負両面の理解を深め、見極めたうえでの判断の必要性を訴えている。

 国や開発側が有するデータはほとんどが開示されておらず、開発のメリットのみが情報として流される現状に危機感を覚える。

 温泉旅館の経営者をはじめ、地方自治体の温泉・観光関係者には必読の書である。474ページフルカラーで、1500円(本体1429円+税)。

 問い合わせ・書籍注文=地熱発電と温泉力について学ぶワーキングチーム(代表=岡村興太郎氏) FAX 0248(84)2568、Eメール chinetsu2012@gmail.com まで。 

12年度秋の叙勲・褒章、伊藤正司氏(鹿の湯ホテル)が旭日双光章

勲章伝達式のようす
勲章伝達式のようす

 政府は11月3日付で2012年度秋の叙勲・褒章受章者を発表した。本紙関連では、鹿の湯ホテル会長で全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会常務理事の伊藤正司氏が双光章を受章するなど、5人が受章した。

 国土交通省の勲章伝達式は11月7日、東京都港区の東京プリンスホテルで開かれ、国土交通省の羽田雄一郎大臣は、「これまで我が国の発展に貢献されている。皆さまの輝かしいご功績にお祝いを申し上げたい」と述べた。

 本紙関連の叙勲、褒章受章者は次の各氏。

 【叙勲】旭日小綬章 幸重綱二(大分交通会長)=大分県バス協会会長 自動車運送事業功労▽旭日双光章 伊藤正司(鹿の湯ホテル会長)=全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会常務理事 生活衛生功労▽森松平(杉の子会長)=国際観光日本レストラン協会常務理事 観光事業振興功労

 【褒章】藍綬 村木營介(矢太楼会長)=全国旅館ホテル生活衛生同業組合連動会常務理事 生活衛生功労▽黄綬 樫本幸子(観光ホテル淡州大女将) 旅館業務奨励▽三浦公子(miura社長代理・女将) 旅館業務精励

旅館数4万6196軒に、ホテル234軒増、旅館710軒減(12年3月末時点)

 旅館数710軒減の4万6196軒――。厚生労働省がこのほど発表した2011年度「衛生行政報告」によると、12年3月末現在の宿泊施設軒数(簡易宿泊施設、下宿含む)は8万1404軒と前年度比で317軒増えた。しかし、旅館は4万6196軒で同710軒の減少となった。09年度から10年度に2060軒減少したことに比べ、小幅な減少となったが、減少傾向に歯止めはかかっていない。

 小幅になったとはいえ、旅館数の減少が続いている。10年度は東日本大震災の影響により、宮城県は仙台市以外の市町村、福島県の相双保健福祉事務所管轄内の市町村の統計が含まれないが、2010年度の4万6906軒から710軒減少して、12年3月末時点で4万6196軒となった。1980年代に8万3226軒とピークを迎えた後の減少傾向が止まらない。

 一方、ホテルは前年度から234軒増えて9863軒と、「旅館減少・ホテル増加」の構図は変わらない。

 客室数で見ると、旅館は前年度比2868室減の76万1448室、ホテルは同1万2295室増の81万4355室となった。09年度に旅館とホテルの客室数が逆転して以来、その差はさらに広がった。

 山小屋やユースホステル、カプセルホテルなどの簡易宿所は2万4506軒と前年度より787軒増加。下宿は839軒で87軒増えた。

 都道府県別に見た旅館軒数は、静岡県が3155軒で最も多く、以下は(2)北海道(2622軒)(3)長野県(2592軒)(4)新潟県(2190軒)(5)三重県(1626軒)(6)福島県(1552軒)(7)栃木県(1396軒)(8)山梨県(1361軒)(9)千葉県(1305軒)(10)兵庫県(1298軒)。トップ10で増加したのは、6位の福島県(100軒増)のみ。

 一方、ホテル軒数の上位は(1)東京都(684軒)(2)北海道(679軒)(3)長野県(519軒)(4)兵庫県(411軒)(5)福岡県(379軒)(6)静岡県(373軒)(7)埼玉県(368軒)(8)沖縄県(359軒)(9)大阪府(356軒)(10)愛知県(303軒)――となった。

【特集No.326】 石川県和倉温泉 加賀屋 まったく新しい視点が必要に

2012年11月11日(日) 配信

 高品質のおもてなしサービスを提供することで、お客様の強い支持を得て集客している旅館がある。なぜ、支持されるのか。その理由を探っていく「いい旅館にしよう!」プロジェクトのシリーズ第8弾は、石川県・和倉温泉「加賀屋」の小田禎彦代表取締役会長が登場。低額料金の宿泊施設が勢いを増すなか、大型旅館の経営は難しくなっている。20世紀をリードしてきた加賀屋は、来るべき時代に対してどのような変革をしていくのか、産業技術総合研究所の工学博士・内藤耕氏との対談で小田会長が将来を展望した。

【増田 剛】

 内藤:20世紀を振り返ると、女将制度や、「おもてなし」によるサービス、施設の大型化といった「加賀屋」のやり方が大成功し、「これを結果的に全国の多くの旅館が一つのモデルとしていった」と、私は感じています。
 しかし、21世紀に入り、これまでの成功モデルであったハードの「大型化」や、ソフトの「おもてなし」自体が大きな岐路に立っています。加賀屋が築いてこられたモデルが今、転換点にあるのではないかとも思うわけです。そこで20世紀型の成功モデルから、新たな時代に対応した旅館へ、加賀屋が今後、どのような変革をされていくのかをまず伺いたいと思います。

 小田:私たちは「Guest is always right」「お客様の望むことをやって差し上げなさい」「お客様の望まないことをやってはいけません」ということを鉄則として教えてきました。ひとことで言うと、「ベタベタサービスの加賀屋」というやり方です。一昔前は「上げ膳据え膳」が当然でしたが、現在は大部分の人が身の回りのことを自分でやる訓練をされているため、「自分でやったほうがいい」と考える人が多くなってきています。このため、これまでのやり方が今になって時代から少しズレてきているわけです。
 加賀屋としてはやり甲斐のない話ですが、一部のお客様のなかには「客室に入らないでほしい」という声もあり、客室係がなかなか客室に入りたがらなくなるといった傾向もあります。一方で、旅館の経営者も、宿の方針である「おもてなし」を現場に徹底させていく仕組みづくりが不足しています。すべてを各々の客室係の判断に任せていくと、どうしても手抜きの方に流れていきがちになります。このあたりの管理、コントロールがここにきてとても重要になっています。
 宿が大型化するにつれて、それぞれの担当部門で責任者が必要となってきました。本来は旅館全体の働き方をコントロールしなければならないのですが、それがとても難しくなってきました。だからこの管理の部分が弱いためいろいろ新しい問題も出てきて、旅館にいい人材が集まって来ない状態にあるのではないかと思います。
 大型旅館が高いレベルのサービスで運営していくには、いい人材の採用、社員教育、的確な評価、労務管理、福利厚生などを行う「人事」が一番大事です。この部分を、宿主や女将に代わって会社として組み立てていかなければならないのです。
 加賀屋でも“額に汗をかく”現場の客室係や調理師はしっかりとやっています。しかし、不満があるとすれば、知恵を出さなければならない間接部門がまだ充分に力を発揮していないという点です。
 たとえば、今のお客様は以前ほどお酒を飲みません。でも、ウーロン茶を2本売ればビール1本売ったこととほとんど同じです。今の時代に合った売る仕組みづくりは本来、間接部門の管理者が“脳みそに汗をかいて”知恵を絞るべきところなのです。
 今、加賀屋が取り組んでいるのは、長い間に贅肉が付いてしまった組織全体の改革です。「本部と事業部機能の確立」「営業戦略の再構築」「人件費の不完全燃焼の解消」「集中仕込センターの活用」――という4大改革によって、人の働き方、能力開発を含めて、生産性の向上と、サービスの質を高めていきたいと思っています。

 内藤:人件費の不完全燃焼という部分については、どのように捉えていますか。

 小田:旅館は製造業と違って、ハイシーズンとオフシーズンがあります。1年を前半と後半で分けると、加賀屋の場合、前半は高コスト体質。つまり稼ぎづらい時期でもあります。旅館の人件費率をみると、大体、売上の30%といわれていますが、前半は数%オーバーしています。つまりその分の売上が足りない。逆にいえば、その分スタッフが多いということになります。これを人件費の不完全燃焼と捉えています。
 ところが後半になると、人件費率は30%以下に下がり、利益も出ています。前半の人件費率を上手にコントロールできれば、旅館経営がもっと利益体質になっていくわけです。曜日によっても部門ごとに細かい繁閑の違いがありますし、時間でみると、夜と朝の食事の時間がピークで、それ以外の時間は、人数をかけなくても問題のない時間帯なわけです。不完全燃焼によってロスしていたコストを何らかの方法で完全燃焼させなければなりません。

 内藤:おっしゃるように、繁閑による現場の細かい不完全燃焼=アイドルタイム(無駄な部分)の解消というのがサービス産業にとって一番大切なところです。

 小田:前半の人件費率30%をオーバーしている人員を上手く管理することが大事で、たとえば1つの事例ですが、間接部門のスタッフが「ある時間だけ現場でお客様におもてなしのサービスを提供している客室係を、後ろから支援する」こともやらなければなりません。外注している仕事の内製化も1つのオプションです。農場で作物を作り、それを加賀屋で提供する。このようなマルチジョブ化も考えていくべきだと思います。

 ――今後の方向性について。

 内藤:加賀屋は日本の伝統的な旅館というイメージがありますが、実は歴史的に湯宿から料亭旅館へ、さらに大型旅館へと世代交代するたびに変貌していった改革の歴史でもあると思います。そういう意味で、加賀屋の次の改革にすごく関心があるのですが。

 小田:それは次の世代を担う人たちが真剣に考えていかなければなりませんが、これまでにないまったく新しい視点で旅館経営を見ていく必要があると感じています。そうしなければ旅館自身がこの世の中から消えていってしまうと思います。

 内藤:加賀屋の「おもてなし」のサービスは今後どのようになっていくのですか。

 小田:若干の強弱、手直しは必要だと思います。基本的には今はセルフサービスの時代ですから、お客様がすべてを自分でやられると、低額料金の施設と差別化ができなくなります。ある程度、押しつけまではいかなくても手厚く「おもてなし」をしていくという根底の部分は変わらないと思います。それよりも、「お酌しましょう」というかたちの部分ではなく、サービスの本質である「正確性」と「ホスピタリティ」という人の心の部分がもっと大事になってくると思います。たとえば、「声をかけ忘れたので出発が遅れた」ということがないようにすることがサービスの正確性です。もう一つは、相手の立場になって思いやる心がホスピタリティです。また、着物を着せてあげるといった“ベタベタサービス”よりも、会話の面白さなどが大事になってくると思います。能登の見どころや、調理長がお客様を唸らせるような料理の説明を添えて食べていただく「インフォメーション」の部分が大切だと思っています。
 宴会中心の団体旅行から「癒し」「体験」「健康」「学習」というようなものを目的に訪れたお客様にも満足していただけるようなサービスが必要です。今までとは違ったかたちでの質の高いサービスを磨いていくことが、今後の課題になってきます。
 一方で、「客室係とお話をしたい」というお客様もたくさんいます。「話し相手がほしい」お客様には、「聞き上手」になってあげることも大切です。サービスの内容、質をしっかりと見極めて社員教育につなげていかないと、食い違いのサービスになってしまいます。

 内藤:実際に「客室に入ってほしくない」お客様がどのくらいいるのかというと、本当はそれほど多いわけではなく、むしろ人との触れ合いを求めて旅館、とりわけ加賀屋に来ているのだと思います。
 客室に「入る」か「入らない」の二者択一ではなく、お客様が求めるなら入り、求めないのであれば入らない。それができるかどうかが本質的なサービスだと思います。

 小田:多少の修正はありますが、加賀屋の流儀は貫いていかないと、わざわざ加賀屋までお越しいただく意味がなくなると信じています。
 それから、私は7800円という低額料金の宿泊施設に見習う部分が大きいと思っています。バイキング方式など人件費を使わない1泊2食のシステムで今の時代のお客様に支持され、利益を出せる骨組み、仕組みづくりをしっかりとされています。
 一方、我われは、あれもこれもと肥満体質になっている。コストが決まっているから「宿泊料金はこれだけいただかないと合わない」という風になっています。だから、一つの基準となる7800円をしっかり見ながら、「これに何を足したらお客様に本当に喜んでいただけるか」「選んでいただけるところはどこなのか」と見定めていかなければならないと思っています。
 高度経済成長期のなかでは、「いい旅館に宿泊して1泊2食をフルに楽しみたい」というのがお客様の大きな選択基準でした。温泉の良さや、温泉地の環境によって選ばれるより、旅館の施設の良し悪しが旅を楽しむための主たる選択肢であったと思います。
 そのなかで、我われは、「とにかく選ばれる旅館」を目指してきたわけです。旅館の中ですべての用が足りる「囲い込み旅館」という誹りもあったわけですが、またそういう旅館でなければお客様に来ていただけない時代でもありました。
 しかし、今は日本の経済がデフレ基調の中で「付加価値」を省いた、利益の出にくい体質のものに代わっていっているのだろうと感じています。そういう環境のなかに旅館も置かれているのだと思います。
 付加価値のない、贅肉の付かない「実質本位」を追求した7800円の低額料金の宿泊施設は、ハードの良さを生かしながら人件費を掛けずに、バイキング式で楽しんでもらい、バスでの送迎まで付いてクレームが起こらないレベルのリーズナブルな料金帯で組み立てています。これが1つのビジネスモデルとして、家族連れなどに人気を得ています。この7800円の低額料金の路線に入っていき、その中で勝負し合うと、我われ旅館は到底生き残っていけない。これが旅館の宿命だと思います。しかし、消費者はこのスタイルでこの先もずっと満足されるのかという疑問もあります。それだけでなく、付加価値によってお客様に選ばれるような特徴を出せる分野を我われとしては狙っていかなければならないと思っています。
 企業のマーケティングコンセプトの原点は、「お客様が抱えている問題解決」なんです。それぞれの分野で、問題を誰よりも上手く解決してくれるところにお客様はお越しになられると考えています。 

 内藤:サービス産業の「人と人の触れ合いを求める」という部分がますます大事になってきているなかで、きちんとできている旅館が意外と少ないという問題もあります。

 小田:昔からの旅館の仕組みが今の世の中には合わなくなってきています。お客様が望まないものまで押しつけて料金が高くなっていたり、望むものが与えられなかったり……。時代に合った、ビジネスとして成り立っていく接点をどこに求めてお客様のニーズをくみ上げていけるかというのが、これからの課題となっていくと思います。
 もう一つ、大きな変化として、これまでは旅館が旅の「目的」となっていた時代がありましたが、今は何かをするために、旅館が「手段」として選択される時代に変わりつつあるようにも思います。

 内藤:目的地となりえない旅館が増えてきたというのは、非常に大事なポイントだと私も思います。ただそれをきちんと理解すれば、実は旅館の次の経営戦略が見えてきます。

 小田:「○○旅館に泊まりたい」――。旅館は本来はここを目指すのが一番いいのでしょうが、なかなか難しい。また、「和食よりもハンバーグの方がいい」という方が増えています。この先、若い世代が和食や、畳、布団、着物から離れた生活が主流になっていくと、日本旅館よりもホテルの方がきっといいはずなのです。加賀屋では輪島塗のテーブルで和食をお出しするなど、本物の日本文化を提供しています。そうすると、ターゲットマーケットは「団塊の世代」といったところになるわけですが、ターゲットを絞ると、必然的に市場が狭くなり、我われのような大型旅館は苦しくなります。
 このような難しい状況のなかで、旅館は目的として選ばれるだけではなく、地域の特性や観光資源などに合致するような宿泊施設のあり方を組み立てられるのかどうかが重要になってくると思います。
 たとえば、和倉ではサッカーの合宿ができる環境やマラソンコースがあり、ヨットハーバーも行政の協力によってできあがりつつあります。MICE誘致にも力を入れています。
 「料理が美味しい」「サービスがいい」「温泉がいいから来て下さい」というだけでは、なかなか動いてくれない時代になっています。だから、合宿や医療的な療養や、エステなどと複合的に組み合わせて宿泊の部分を旅館が受け持つといった“行かざるを得ない”環境づくりもこれから必要だと思います。

 内藤:サービスを複合的にしていくことや、地域全体を良くしていくということは大事だと思います。しかし、旅館で過ごす時間が一番長いので、やはり個々の旅館が良くなければ、地域全体の印象が悪いものになってしまいます。
 私は地域における個々の施設の「サービスの品質」の積分(足し算)が最終的には全体の良さになっていて、内部の改革を抜きにした全体の改善は難しいのかなと思います。
 そのなかで、加賀屋さんは効率化だけでなく、弛まず品質を上げていこうとされている努力が素晴らしいと感じています。

 ――ありがとうございました。

進化か? 劣化か? ― 後戻りできない社会

 未来に向かって人間社会は少しずつ進化しているのか、それとも劣化しているのか。

 限られた空間に原初100人の共同体だったものが、やがて1万人になり、100万人、1億人に拡大していく過程で、社会の質も比例して高度化していくわけでもない。科学の進歩は目に見えて分かるが、文明が文化を超えた現在、そして未来の社会は、本当に幸福だろうかと疑問に思う。好むと好まざるとに関わらず、不必要な装飾品を纏いながら、決して後戻りができない、前進のみの社会構造が存在する。進化とはそういうものであるし、そう思い込むことこそ劣化なのかもしれない。

 田中眞紀子文部科学大臣が3大学の新設を突然不認可にしたことが騒がれている。「田中大臣の“ちゃぶ台返し”が大学の関係者に混乱を与えている」とテレビのニュースも言っていた。田中大臣の手法はいつも極端であるが、言っていることは正論だと思う。どうして認可が下りる前に、大学の建物を作り始めているのか。学生の募集を始めているのか。「万が一にも、大学の新設が認可されなかったら、志望する学生に混乱を与えてしまう」と大学の関係者は考えるべきところではないか。田中大臣を訴えるような動きをしているようだが、それは違うような気がする。地元の学生は混乱し、可哀そうだと思う。しかし、弱者である学生たちの声を楯に、田中大臣を完全なる悪者にする風潮が嫌いだ。この構図は、あらゆる場面で見てきた。一部の弱者の声を引用し、世論を形成していく。冷静に考えれば、この急激な少子化の中で、毎年毎年大学を増やす必要があるのだろうか。国民の大多数は本当に、定員割れの大学が無数あるなかで、さらなる補助金を投入しなければならない大学の増設を望んでいるのだろうか。

 トヨタの営業利益が1兆円を超えそうだという。その陰には、国の減税措置という後押しもあり、相当の電力の供給が必要だったはずだ。トヨタが多額の税金を納めてくれるので、国は成功を収めた。自動車に乗らない人も、この国策に乗っていく。そしてこの流れは決して後戻りはできない。大きな国の方針が、不特定多数の小さな個々の幸せと結びつかなくなってきている。国の大きな権限を目の細かな地方に移す時代なのではないか。

(編集長・増田 剛)

理念とマーク制定、使命と役割を広く発信(日観振)

シンボルマーク
シンボルマーク

 日本観光新興協会はこのほど、同協会の使命と役割を広く観光振興に携わる地域や産業に発信するため、理念とシンボルマークを制定した。今後は、このもとで観光立国の実現を目指していく。

 今回定めた理念は(1)観光の持つ力の重要性について国民に広く周知するとともに、観光振興の取り組みを積極的に行い、観光立国の実現を目指す(2)「住んでよし、訪れてよし」の観光地域づくりを推進する(3)観光産業に従事する人材を育成し、観光産業の活性化をはかる(4)地域が育んできた固有の伝統・文化・自然を活かし、観光需要の拡大をはかる(5)観光地域の国際競争力を高め、均衡のとれた双方向観光の実現を目指す――の5つ。

 また、シンボルマークは、日本の都道府県や市町村、観光協会などの「観光地域」と旅行業や宿泊・サービス業、運輸業などの「ツーリズム産業」をつなぐイメージをデザインコンセプトにした。日の丸と組織をつなぐイメージの球体は、協会組織の組織力と団結力を表現し、円の大小は各団体の組織の個性を表している。

 加えて、“見たこともない感動”「ときめき」と“味わったことのないおもてなし”「やすらぎ」も表現しているという。

東北5県へ拡大、東電賠償

原発起因減収分の5割

 東京電力は10月18日、原発事故による観光業の風評被害について、賠償対象地域に青森、岩手、宮城、秋田、山形の東北5県を追加すると発表した。これまで東電は賠償対象を福島県、群馬県、栃木県、茨城県の4県と、千葉県内の対象地域、山形県米沢市、宮城県丸森町に限っていたが、今回の東北5県の認定により、賠償対象が大幅に拡大した。なお、東北5県の賠償対象期間は2011年3月11日から12年2月29日まで。

 賠償対象は、東北5県に事業所があり、おもに観光客を対象として営業を行っている法人または個人事業主のうち、原発事故により東北地方以外からの観光客の解約・予約控えなどにともなう減収があった事業者。

 賠償額は売上高に利益率、原発事故による売上減少率、東北5県への来訪割合をかけて算出。来訪割合は50%に統一となり、原発起因による減収分の半分が賠償されることになった。原発事故による売上減少率は、実際の売上減少率から原発事故以外の要因による売上減少率を減算したもの。原発事故以外の要因による売上減少率については、11年3月11日―5月31日まで20%と、11年3月11日―8月31日まで10%の2パターンを用意。被害を受けた事業者がどちらかを選び算定基準とすることにした。

 東北5県への賠償対象拡大へ向けて、先頭に立ち東京電力と交渉してきた全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会の佐藤信幸会長は本紙の取材に対し「長い闘いだったが、あきらめずに粘り強く交渉し続けて賠償を勝ち取った」と吐露。本紙は次号で、佐藤会長の東電との交渉の過程を克明にレポートする。

 賠償金請求については「福島原子力補償相談室」まで。電話:0120(926)404。受付時間=午前9時から午後9時まで。

【伊集院 悟】

(次号は全旅連・佐藤会長の交渉の過程をレポート)

 

約半分が建築基準法違反、築40年以上のホテル・旅館

 47%が建築基準法違反――。国土交通省は今年5月13日に広島県福山市のホテル・プリンスで発生した火災を受けて、全国のホテル・旅館を対象に緊急点検を行い、この結果をまとめた。調査の対象となったのは、3階以上(地階を除く)の建物で、1971年以前に新築された、築40年を超える全国1840施設。ただし、消防部局が「適マーク」を交布したものや、建築基準法の防火・避難規定に適合している施設は対象外となった。

 調査によると、1840施設のうち、約47%に当たる867施設が建築基準法令に違反していることがわかった。

 項目別にみると(施設によっては複数の違反あり)、「非常用照明装置関係」が410件と最も多く、(2)耐火建築物関係(395件)(3)防火区画関係(346件)(4)排煙設備関係(220件)(5)直通階段関係(160件)(6)内装制限関係(138件)(7)廊下の幅員関係(95件)(8)非常用進入口関係(76件)(9)間仕切壁関係(73件)(10)敷地内通路関係(66件)――などとなっている。

新認定制度スタート(観光庁)

外国人案内所、3年ごとに更新

 観光庁はこのほど、新しい外国人案内所の認定制度をスタートさせた。「外国人観光案内所の設置・運営のあり方指針」にもとづき導入したもので、認定によるブランド化と案内所のカテゴリー別の分類、3年ごとの更新制により、案内所のサービスの質の向上・質の担保をはかっていく。

 今回の認定では、カテゴリー1が165件、カテゴリー2が76件、カテゴリー3が7件、パートナー施設が20件の合計268件を認定した。カテゴリー1は、パートタイムで英語対応可能なスタッフがいるか、電話通訳サービスやボランティアスタッフの協力などで英語対応できる体制で、地域内の公共交通利用や観光情報の提供が可能。カテゴリー2は、英語対応可能なスタッフが常駐し、電話通訳サービスやボランティアスタッフの協力で英語以外の言語にも対応できる体制で、広域エリア内の情報提供ができる。カテゴリー3は、英語・中国語・韓国語で対応可能なスタッフが常駐し、全国の情報提供ができる。

 日本政府観光局(JNTO)の多言語ウェブサイトや海外事務所を通じて認定案内所ネットワークの情報を海外に発信。各認定案内所からの情報などを政策の企画・立案に生かすことで、認定案内所ネットワークの機能向上と、外国人旅行者の利便性、満足度の向上につなげていく。