地域・顧客密着型の“おもてなし”経営

9月4日、東京でフォーラム開く

 経済産業省サービス政策課は9月4日の午後2時から、東京都千代田区の東京商工会議所国際会議場で「おもてなし経営推進フォーラム」を開く。「おもてなし経営」を実践しているネッツトヨタ南国取締役相談役の横田英毅氏と、でんかのヤマグチ社長の山口勉氏が登壇し、人と経営研究所所長の大久保寛司氏がファシリテーターを務める。参加予定者数は250人(先着順)。

 現在、サービス事業者を取り巻く環境は、価格競争の激化などによって悪化している。しかし、地域の中小規模のサービス事業者のなかには、徹底した地域・顧客密着型の経営を行うことで高収益を上げている企業が存在している。同省はこうした地域・顧客密着型の企業経営を「おもてなし経営」と定義。(1)従業員の意欲と能力を最大限に引き出し、(2)地域・社会との関わりを大切にしながら、(3)顧客に対して高付加価値・差別化サービスを提供する経営――を地域のサービス事業者が目指すビジネスモデルの1つとして広めていくことを目指す。さらに、「おもてなし経営企業」を応募型で選出し、悩みを抱える中小サービス事業者に対して経営改革のヒントを提供する事業も計画している。

 訪日外国人の顧客として「おもてなし経営」を実践している事例については、クールジャパンの一環として国内外に発信し、日本的サービスの魅力を再発見する契機としたい考え。

 同省は、9月4日の東京でのフォーラムからスタートし、全国各地で「おもてなし経営推進フォーラム」を開く予定だ。

 問い合わせ=経済産業省サービス政策課 電話:03(3580)3922。 

近ツー、クラツー来年1月統合

(左から)岡本邦夫CT社長、吉川勝久KNT社長、戸川和良近畿日本鉄道副社長
(左から)岡本邦夫CT社長、
吉川勝久KNT社長、戸川和良近畿日本鉄道副社長

KNT―CTホールディングスに

 近畿日本ツーリスト(KNT、吉川勝久社長)とクラブツーリズム(CT、岡本邦夫社長)の両社は8月10日、取締役会を開き、来年1月1日に経営統合することを決めた。2004年、KNTからクラブツーリズムが分離・独立して8年、元の鞘に収まるかたちだが、強固な会員組織をベースにメディア型旅行会社に成長したCTと、黒字体質を確保し、総合旅行会社として強力な営業力、販売力を有するKNTが統合することで、旅行業の新たなビジネスモデルの構築とともに、シナジー効果を求めていく。

【増田 剛】

 統合に向けては、クラブツーリズムの普通株式1株に対して、KNTの普通株式8500株を割り当てる。KNTは株式交換により約1億6055万株を公布する。近畿日本鉄道はKNTに対する所有割合が12・0%から58・5%となり、これによってKNTは近畿日本鉄道の関連会社から子会社となる。

 また、KNTは持ち株会社に移行して社名をKNT―CTホールディングスに変更する。代表取締役社長には近畿日本鉄道取締役副社長の戸川和良氏が就任、KNTの吉川社長が同社の代表取締役会長となる。クラブツーリズムの岡本社長は代表取締役に就任。

近ツー、クラツー来年1月統合

 KNT―CTホールディングスの下には、クラブツーリズムと、KNT団体(商号未定)、NKT個人(同)の3社を100%子会社として設立する。クラブツーリズムは岡本氏が引き続き社長を継続するほか、KNT個人の社長も兼務する。KNT団体の社長にはKNT常務の小川亘氏が就任する予定。KNTツーリストは、「KNT個人」の100%子会社になるが、そのほか30数社の子会社は同ホールディングスの直接の子会社になる。

 統合前の経営状況(12年度見通し)は、KNT(連結)は営業収益626億円、クラブツーリズム(単体)は220億円。単純合算で846億円となるが、統合5年後の17年度には900億円に目標を設定した。営業利益はKNTが26億円、クラブツーリズムが31億円で合算すると57億円。17年度には85億円を目指す。

 8月20日に、東京都内のホテルで会見し、近畿日本鉄道の戸川副社長は「近鉄グループで旅行業が中核事業になるなかで、08年にクラブツーリズムを買い戻したときには、KNTとの統合は選択肢の一つにあったが、当時はその環境にはなかった。しかし、KNTも収益改善を達成し、8年間それぞれが歩んだ道が一緒になることで大きなシナジーが期待できる状況になった」と説明。統合によるメリットとしてKNTの吉川社長は(1)KNT新会員組織へのクラブツーリズムのノウハウ活用による個人旅行事業の収益向上(2)クラブツーリズムの新規顧客の拡大施策としてKNTブランド力・店舗の活用――などをあげた。また、ホールディングスによる経営戦略機能の強化では、(1)両社広報支援部隊の業務の標準化、共通化によるコストの圧縮(2)事業や人員の「選択と集中」による事業構造改革などをあげ、「クラブツーリズムはSIT(目的型旅行)に優れ、我われKNTは着地型旅行に積極的に取り組んでおり、双方を結びつける新しい観光地の発掘、物語をつくることが可能。また、KNTが持つ海外の拠点とクラブツーリズムの連携も考えられる。統合シナジーにより、他社グループにない旅行事業の新たなビジネスモデルを構築したい」と強調した。

 クラブツーリズムの岡本社長は「シニア層に特化してきたが、今後さらに高齢化が進めば、〝ネクストシニア〟という新たな層の取り込みが必要。KNTの個人旅行の顧客からクラブツーリズムに移行できる仕組みをつくっていきたい」と語った。

No.319 旅館の分煙対策 - 実施施設は8割以上

旅館の分煙対策
実施施設は8割以上

2002年の健康増進法の施行から、公共の場所での禁煙や分煙が進んできた。同法では、多数の人が利用する施設の管理者に、タバコの受動喫煙を防止するための必要な措置を要求しているが、同時に、「喫煙者と非喫煙者をあくまで対等の対場において進めなければならない」など喫煙者側への配慮も併記しており、両者が快適に過ごせる環境づくりが求められている。宿泊施設でも利用客から分煙を望む声が増えている一方、旅館はホテルのような対策が取りづらい面もある。旅館の分煙への取り組みの現状を探った。

【飯塚 小牧】

両者への配慮で苦悩
実施無しは「できない」実情

本紙が旅館を対象に、分煙対策の実施の有無を尋ねたアンケートによると、34施設中「館内禁煙・分煙を実施している」と答えた施設は29施設と8割以上となった。ほとんどの施設は部分的な禁煙や分煙の実施で、館内を完全禁煙としている施設は4施設という結果だった。

 

※ 詳細は本紙1473号または9月6日以降日経テレコン21でお読みいただけます。

東北旅行雑感 ― 宿の「温かみ」を再考(9/1付)

  この夏、東北に行ってきた。東日本大震災が起こる前、家族で東北旅行に行ったのだが、自然の美しさや、時間のゆるやかさ、田園風景のやさしさ、出会った人たちの温かさなどが忘れられずに、再び東北を訪れた。

 遠刈田温泉、蔵王温泉、鳴子温泉、玉川温泉、後生掛温泉、蒸ノ湯など、東北を代表する幾つかの素晴らしい温泉を堪能し、改めて東北と温泉文化のつながりの深さを知った。

 津波の被災地も辿った。震災から1年半が経とうとするなか、未だ復興どころか、被災した建物がそのままになっているところも多く散見された。日本は内陸部でない限り、どの地域にも津波の危険性はある。津波が押し寄せた場合、「どこに逃げたらいいのか」の答えは、被災地の何もかもがなくなった更地に佇めば分かる。しかし、私たちが訪れた陸前高田市の「奇跡の一本松」の付近には、安全な高台が近くにはなく、高齢者などは逃げることが不可能だったのではないかと思う。全国の市町村の首長、議会の議員、まちづくりや、防災関係の担当者の方々には、ぜひ被災地を訪れ、今後いつ訪れるか分からない津波などの対策を考えるきっかけにしてほしいと思う。

 今回の旅行では、東北の湯治宿に幾つか泊まった。以前、現代の旅行者の視線から外れてしまったボロ宿に泊まることで、「旅館の本質を問いたい」と書いたが、想像以上に新鮮な世界が見えてきた。

 古い木造建築の湯治宿の食堂で、あまり期待もせずに夕食を食べたのであるが、手作りの料理の美味しさに感動すら覚えた。前日まで2連泊した大型旅館の料理の酷さと比べていたのかもしれない。その大型旅館は初日と2日目の夕食メニューを変えていたが、2日目は「ベンチの控え選手」というような代物だった。連泊客の心理としては、むしろ2日目の方に何か新しいメニューがあれば、好印象を受け、再訪したいと思わせるものなのに、少々残念だった。

 建物は古かったが、湯治宿の料理の方が、温かみがあった。宿を訪れた遠方の旅人に、温かい作りたての料理でもてなすという宿の真髄が、守られていた。最先端のスタイルはカッコイイ。だけど、古くから残る宿の「温かみ」を再考するのも大切だ。湯治宿には、若き旅館経営者にも学ぶべきものが多いと思う。

(編集長・増田 剛)

JCSⅠ(日本版顧客満足度指数)帝国ホテルが1位に、ビジネスホテルはドーミーイン

 サービス産業生産性協議会(代表幹事=秋草直之富士通相談役)はこのほど、シティホテルやビジネスホテルなど8業種・業態における「JCSI」(日本版顧客満足度指数)を発表した。これによると、シティホテル部門では帝国ホテルが1位に、ビジネスホテル部門ではドーミーインがトップとなった。

 JCSIは、同協議会が業種・業態横断での比較・分析が可能な顧客満足度指数を開発し、2009年度から発表している。総計10万人以上の利用者からの回答を収集し、幅広い産業をカバーした国内最大級の顧客満足度調査。年間32業種・業態、約400企業・ブランドの調査を年4回に分けて実施している。「顧客の評価を起点とした業種・業態を超えた競争」を促すことで、より高い付加価値や顧客満足を高める経営が日本全体に広がり、日本企業の成長と国際競争力の強化に役立つことが狙い。今回は、コンビニエンスストア、衣料品専門店、シティホテル、ビジネスホテル、飲食、カフェ、携帯電話、宅配便の8業種・業態において90企業・ブランドを調査し満足度を算出した。

 シティホテル部門では、顧客期待、知覚品質でトップとなった帝国ホテルが4年連続1位。2位はザ・リッツカールトン、3位はオークラ、4位はロイヤルパーク、5位はハイアットの順。

 ビジネスホテル部門ではドーミーインが前回1位のリッチモンドと順位を入れ替えトップとなった。3位はスーパーホテル、4位はコンフォートとなった。

 コンビニエンスストア部門の1位はセイコーマート、2位はセブン―イレブン、3位はローソンの順。衣料品専門店部門は1位が西松屋、2位はハニーズ、3位はローリーズファーム、4位はGAPとなった。

 飲料部門の〈ファストフード店(丼・麺・カレーを含む)〉は1位は丸亀製麺、2位は幸楽苑となり、モスバーガー、はなまるうどんが同点で3位。〈レストランチェーン〉の1位はスシロー、2位は木曽路、3位はくら寿司、4位はサイゼリヤ。

 カフェ部門の1位はコメダ珈琲店、2位はカフェ・ベローチェ。携帯電話部門の1位はau、2位はウィルコム。宅配便部門では、1位はヤマト運輸、2位は福山通運。

 なお、11年度の業種・業態横断での顧客満足度上位ランキングでは、1位は劇団四季、2位は東京ディズニーリゾートで、帝国ホテルは7位だった。 

世界で「日本食」人気、伊、仏に次いで3位に

 オンラインホテル予約サイト「ホテルズドットコム」(デイビット ロシェ社長、本社・米国テキサス州)はこのほど、世界約2万7千人を対象に「グローバルフード」についてアンケート調査を実施。旅行先のローカルフードが一番美味しいと思う国では、「日本食」は3位に選ばれた。

 1位はイタリア(32%)、2位はフランス(24%)、3位は日本(18%)がランクされた。イタリアンやフレンチなど伝統的な料理が長く旅行者に好まれているなかで、海外でも提供される機会が増えた日本食が人気を集めた結果となった。「日本食」が好きと回答した人に、何が好きかと聞くと、寿司、天ぷら、ラーメン、蕎麦の人気が高かった。

 4位は中国(13%)、5位はスペイン(11%)、6位は米国(10%)、7位はメキシコ(8%)、8位はタイ(8%)、9位は台湾(5%)、10位はインド(5%)の順。

 また、日本人(1057人)に「誰かに3つ日本食を薦めるなら何?」(複数回答)の質問では、寿司(74%)が1位。次いで(2)天ぷら(57%)(3)ラーメン(33%)(4)蕎麦(31%)(5)お好み焼き(27%)(6)しゃぶしゃぶ(24%)(7)カレー(14%)――などが上位を占めた。 

「モノ」から「経験」消費へ、シニア層が堅調な伸び

黒須宏志主任研究員
黒須宏志主任研究員

 日本交通公社が7月24日に東京都中央区のベルサール八重洲で開いた第17回海外旅行動向シンポジウムで、日本交通公社主任研究員の黒須宏志氏がマーケットの最新動向と将来のシナリオについて解説した。

 好調な海外旅行者数の推移を受け、リーマンショック後から震災前までと震災後から12年4月までに分け、性別・年代別の出国率や寄与度を紹介し、どの年代も高い伸び率を示していることを紹介した。なかでも20代女性の出国率の高さをあげ、黒須氏は「韓国のウォン安の影響が大きい」と語り、「人口減少で頭数が減るのは当たり前。それよりも意識がどう変化しているのかを見ていくことが大切」と語った。

 航空需給ではアウトバウンドが震災後の6月にプラスに戻ったことを紹介し、「アウトバウンドの息切れが起きなければ、インバウンドも伸びるだろう」と話した。

 90年代以降のレジャー消費動向は、レジャー全体での消費額は変わっていないが、選択的投資型余暇の傾向が強まっていることを紹介。「同じ金額だがよりお得感がある」「同じ財サービスが前より割安な価格で手に入る」など消費にデフレメリットの実感を求める傾向や、生活の質に対する関心が高まり、サイクリングやクッキング、ウォーキングなどの日常的な活動のレジャー選好、使えるお金は限られるので参加するレジャーを絞り込み、より好きなことに時間とお金をかける傾向などをあげた。

 震災後の価値観変化では、モノ消費(浪費)から経験消費(蓄積)への移行、他人や社会に役立つお金と時間の使い方をしたいとの思いや、自分に対する投資、自分の時間を大切にする傾向を紹介した。

 また、インサイト・JTBレポート・abRoadの動向を紹介し、(1)休暇・観光需要、ビジネス需要はともに好調(2)FITシフトはあるがフルパッケージも横ばい(3)オンラインシフトが進み、旅行会社利用率は少しずつ減少(4)間際化は海旅ではさほど顕著ではない(5)泊数、単価にプラスの傾向⑥地方マーケットに勢いあり――などと話した。

 黒須氏は今後のシナリオも予測し、航空座席の需給状況は、空港容量に余裕があり、マーケットの成長余力とロードファクターの上昇余地、座席供給量の伸びしろがあり、LCCによる新規需要創出へ期待できるとみている。

 短期的視点としては、(1)11年に震災で旅行を見送った人達が戻ってくるシニア層の旅行頻度上昇、(2)ビジネス需要の上乗せについて話し、「震災からの反動要素は12年前半でほぼ出つくし、7、8月の動向が今後の成長力の試金石となる」と語った。

 また、中期的視点としては、(1)円高で高まった旅行モチベーションの継続(2)団塊世代が65歳を過ぎる14年までのシニア層の堅調な伸び(3)海外赴任の増加によるVFR需要の底上げ効果を紹介し、ポイントの1つに「若年層をどこまで伸ばせるか」をあげた。

「日田は元気です」、CPで風評被害を払拭

日田温泉名物の屋形船
日田温泉名物の屋形船

 大分県日田市では7月に発生した九州北部豪雨による風評被害を払拭しようと8月1日から31日まで「元気倍!日田2012夏キャンペーン(CP)」を官民一丸となって展開している。

 今回の豪雨被害では、日田温泉街や天ヶ瀬温泉の宿泊施設、おもな観光施設への被害はほとんどなかったが、同市北部を中心とする水害状況が全国ニュース等で連日放映されたため、7月3日から16日現在で日田温泉と天ヶ瀬温泉旅館で約2500人のキャンセルが発生している。

 そこでCPでは、日田駅や天ヶ瀬駅、日田バスセンター、日田インターチェンジなどにメッセージ横断幕を設置。8月6、9日は福岡市内でパンフレットを配布して「元気な日田」をPRした=写真。

パンフレットを配布

 期間中のイベントとして、天ヶ瀬温泉では26日まで「七夕灯籠祭り」を開催。三隈川では26日に「鮎祭り」と「リバーフェスタin三隈川」を実施する。

 また、26日限定企画として日田温泉旅館組合では「ガイド付屋形船」の格安プランを用意。通常はガイド料と屋形船乗船料、鵜飼い鑑賞料がセットで2500円のところ1千円で体験できるほか、日田祇園囃子船の無料運行や屋形船の水上屋台、水上イベントを実施する。

 さらに27―31日は「心付け復興支援プラン」と題し、宿泊客に料金を決めてもらう数量限定プランを実施。旅館は1泊2食付、ホテルは1泊朝食付で、料金の一部は復興支援に寄付される。同市では10月にもキャンペーンを実施し、観光復興をはかる計画だ。

 またJR九州によると、豪雨により現在は不通となっているJR久大本線の日田市夜明駅と福岡県のうきは駅間(約9キロ)は、8月27日頃に全線再開の見込みという。

「オンリーワンのまち」第1号認定は千葉県鎌ヶ谷市

高津敏理事長
高津敏理事長

 NPO法人ふるさとICTネット(高津敏理事長)はこのほど、「オンリーワンのまち」の第1号として千葉県鎌ヶ谷市(清水聖士市長)を認定した。「オンリーワンのまち」認定事業は、そのまちにしかない、ふるさとの産物や観光資源に光を当て、全国ブランドに育てることで永く地域経済の活性化に結びつけることを目的としている。鎌ヶ谷市は標高差29メートルの平坦な地形でありながら、分水嶺から3つの水系に川が流れる「水の三叉路」として珍重な観光資源を有し、環境維持活動にも真剣に取り組んでいる。ふるさとICTネットの髙津理事長に話を聞いた。
【増田 剛】

人々が健康で文化的な生活を営み、活力のある地域づくりを目指す「NPO法人ふるさとICTネット」は、防災・防犯・子供やお年寄りのための安全安心情報に加え、観光・地域産品など、地域のさまざまな情報の流通と、誰もがその恩恵を受けられるように、ICTを最大に活用して地域の活性化や、地域社会の再生・発展に寄与することを目的としています。

 総務省が2025年を目標に、ICT(インターネット情報通信技術)を最大限に活用し、世界最先端の情報通信社会になることを国家目標に掲げたことが当NPO設立のきっかけです。総理府より2011年5月12日に認証され、5月19日に設立登記されました。

 昨年3月11日に発生した大地震と連動した大津波で、またもや、三陸地方の沿岸地帯を中心に大災害が発生しました。不可抗力の天災が引き金とはいえ、福島での原発事故は、人類が制御不可能な放射線に対し初歩的な防災対策すら施してはいなかった信じがたい人為事故であることが露呈しました。1年半経過した今も、汚染地帯は人の住めない死の町であり、多くの住民はふるさとを捨てざるを得ない塗炭の苦しみが続き、解消のめどは今も立っていません。

 これら絶望的な状況の下、子供や若者たちに大きな変化が生まれています。かつてないほどに、家族を大切にし、両親に感謝する心が自然に芽生えています。人は生まれ育ったところがふるさとです。ふるさとは誰にも選択できないだけに絶対的な重みと意味があります。震災後に期せずして復興への絆が強まり、人がそこに生まれて暮らしていることの意味を知り、かけがえのないふるさとへの思いと重なり、心がつながってきました。唯一無二の我がまち、我がふるさとの大切さに覚醒しました。当NPOは日本人が、ふるさとの自然、産物、祭りや行事を決して忘れてはならない心の拠り所と気づいたことに際し、積極的に全力で会員の心を一にして津々浦々のふるさとの活性化に貢献してゆく組織なのです。

「オンリーワンのまち」認定が事業の柱に

 ふるさとICTネットは、「オンリーワンのまち」の登録商標を出願し、今年の5月18日に特許庁に出願しました。そのまちだけにしかないオンリーワンの知られざる、ふるさとの産物を全国ブランドにすることがその趣旨です。

 伝統文化や行事、観光資源などに光を当て、それらの相乗効果で、まちと住民が一体となり積極的に活動している事物や無形のものを理事会にて評価選定します。単なる「○○日本一」や「日本一の○○」など類似性のあるものとは異なり、永く地域経済を活性化し、人々が多少なりとも利益を享受でき、地域に潤いをもたらす経済活動に結びつくことが唯一の選定理由であり、前提条件となります。

 いくつかの候補の中からこのほど、千葉県鎌ケ谷市を「オンリーワンのまち」第1号に選定したのは、市政40周年行事として、長年にわたり行政とともに市民がその取り組みを良く理解し、しっかりと地道に支え取り組んできたのが理由です。

 人が生きてゆくのに欠かせない命の水がテーマの「水の三叉路」の記念碑が市民の発意で建立され市に贈呈されました。

 同市は標高差が29メートルの平坦な地形ですが、居住地の側に分水嶺があり、ここから3つの水系に川が流れている水清く自然環境保全に努力している極めて珍重かつ意外性のあるまちです。分水嶺には高き山や峰の頂きを連想しますが、丘とも言えないほどの低地に市内最高地が存在している大自然の成せる造形の神秘性は、オンリーワンのまちの観光資源に相応しいと判断しました。何より、市長以下市民が心を合わせ、水の三叉路と清浄な川の流れの環境維持活動に、真剣に取り組んでいる姿勢に賛同し、第1号選定の決め手となりました。

 今後の活動については、「オンリーワンのまち」活動を周年の恒例行事とし、記念行事の開催を強力に支援していきます。過去の認定自治体首長が一同に参加する「オンリーワンのまちサミット」の開催も考えています。

 将来の夢は、地域が自発的に地域経済活動を行うことで、人々がふるさとに誇りを持ち、家族と地域住民がふるさと関連グッズなどの売上金、イベント行事やオンリーワンのまちを訪ねる関連ツアーの実施を通じ潤いを得られることです。多くの人をファン化し、関係者の所得が向上することが目標です。そのためのプラットホームを、ICTを活用しインターネット上に設営していきたいと思います。また、オンリーワンのまち実現までの道程、関連イベント、観光資源および入手先などを各自治体がデータベース化し、イベント企画委員会が取りまとめ、書籍を共同発行することも視野に入れています。

 ICTを最大限に活用することで、ふるさとのヒト・モノ・カネの適切な流動を促し、地域経済活性化につながることへの思いは限りありません。

トラベル・カウンセラー制度、紹介サイトを開設

 日本旅行業協会(JATA)は8月1日から、協会ホームページ内で「トラベル・カウンセラー制度」を紹介するサイトの運用を開始した。旅行業界関係者だけではなく、一般消費者にも制度を紹介することで、旅行需要の促進をはかることが狙い。主要旅行会社のホームページ上にもリンクをはり、周知に努めていく。

 同制度は旅行者の旅行の多様化に対応し、そのニーズを的確に捉えていくための知識や技能の習得を目的に、JATAが事務局のトラベル・カウンセラー制度推進協議会が2005年から設けている。新サイトでは、「お客様へ、旅の安心と信頼をお届するスペシャリスト資格認定制度」をキャッチフレーズに、業界をあげて人材育成に取り組んでいることをアピールするほか、旅行知識などを習得できる講座への参加も促していく。

<12年度秋期講座申込み受付開始>

 トラベル・カウンセラー制度推進協議会は9月14日まで、10月開講の「トラベル・コーディネーター(T/C)」「デスティネーション・スペシャリスト(D/C)」の秋期養成講座の受講者を募集している。T/Cは販売実務と旅行地理、コミュニケーション・スキルの3科目。D/Cは22講座(33カ国・地域)を設ける。

 申込みはWEB(http://www.traco.jp )から。