14年訪日1200万人へ、久保長官「秋のプロモーション重要」

 好調な訪日外客数の伸びを受け、久保成人観光庁長官は8月20日の会見で、2014年累計で1200万人台を目指す意向を語った。

 JNTOが発表した7月の訪日外客数は前年同月比26・6%増の126万9700人と、年間を通じた単月としても過去最高を更新した。3月から5カ月連続で100万人を突破。1―7月累計では750万人を超え、前年同期比26・4%増と大幅増を維持している。久保長官は「このまま好調を維持して年間累計1200万人台にのせられるよう頑張りたい」と語った。7月までの前年同月比を維持できれば1300万人台も見えてくるが、秋以降について「毎年、7、8月を頂点に訪日客数の絶対値は下がってくる。13年も過去最高ペースだったが、秋以降のベースは毎月80万人台というところ」と分析。そのうえで、秋以降、重点を絞ったプロモーションの重要性を強調し、「春は『桜』や『桜と雪が一緒に見られること』の認知が高まり、訪日客数も増えた。秋も旅行には良い季節なので、『紅葉』を押し出したプロモーションなど、後半戦はもう一がんばりしないといけない」と力を込めた。

 半年ぶりにプラスの伸び率に転じた韓国の現状については、「個人を中心に回復、団体は徐々に回復の途上になりつつある」と説明。しかし、依然として船舶を利用した旅行は厳しい状況で、船での訪日が多かった九州は「依然苦戦中」とした。久保長官は8月29日に、韓国ソウルで開かれる韓国観光公社主催の「日韓観光交流拡大シンポジウム」に出席予定。「地方対地方の交流活性化方策について活発な議論を期待する」と語った。

 また、訪日客数に大きく影響するビザの緩和についても言及。先般改定されたアクションプログラムで、インドネシアのビザ免除、ベトナムとフィリピンの大幅緩和(観光目的と指定旅行会社経由のビザ免除、発給要件緩和と有効期間の最長5年への延長)が盛り込まれたが、久保長官は「1日も早く実施されるよう強くお願いしている」と現状を報告した。

No.380 山梨県の先進事例に学べ - Wi-Fi整備で訪日周遊促進へ

山梨県の先進事例に学べ
Wi-Fi整備で訪日周遊促進へ

 世界のなかで、無料公衆無線LAN(Wi-Fi)環境の整備が遅れている日本。2012年に観光庁がまとめた外国人旅行者アンケートで、旅行中困ったこととして「無料公衆無線LAN環境」が36・7%と最も多く、6月に改定されたアクションプログラムにもWi-Fi環境の整備促進が盛り込まれ、ますます注目が集まる。山梨県は12年1月に「やまなし Free Wi-Fi プロジェクト」を立ち上げ、14年3月時点で県内1500スポットを達成。同県の先進的な取り組みを紹介する。

【伊集院 悟】

 
 
 
利便性向上で周遊促進、行政・民間・地域で協働

<Wⅰ―Fⅰ環境を整備周遊促進で地域活性化>
 山梨県は12年1月に、富士山の世界遺産登録を見据え、外国人観光客が手軽に利用できる無料公衆無線LAN(Wⅰ―Fⅰ)のスポット整備を全県的に推進する「やまなし Free Wⅰ―Fⅰ プロジェクト」を立ち上げた。「外国人観光客の利便性向上と周遊促進を通じた地域活性化の一助にする」という明確なビジョンを打ち出し、行政と民間通信事業者、地域の受入施設で共有。受入環境の水準を向上させ、外国人観光客の増加と、滞在・周遊促進につなげ、地域活性化を目指す。

 プロジェクト立ち上げ前の状況について、山梨県観光部観光振興課広域振興担当の高橋義徳課長補佐は「ホテルでは、外国人観光客に『スターバックスコーヒーはどこ?』とよく聞かれたそうです。外国人観光客はタクシーに乗ってでも、Wⅰ―Fⅰ環境を求めてスターバックスコーヒーに行くような状況でした」と話す。…

※ 詳細は本紙1556号または9月5日以降日経テレコン21でお読みいただけます。

添乗労働、みなし不適、旅行会社に時間管理求める(TCSA)

 日本添乗サービス協会(TCSA、山田隆英会長)はこのほど、会員会社の主な派遣先旅行会社43社に対し、添乗員の労働時間管理について書面で申し入れを行った。今年の1月、最高裁判所は旅行業界の慣例である添乗労働の「事業場外労働のみなし労働時間制」の適用を否認。これを受けて東京裁判所の判決が確定したことから、労働時間管理導入にともなう派遣料金についてTCSAの見解を示した。
【飯塚 小牧】

 従来、TCSAは添乗労働については、みなし労働時間制度適用を基本認識としてきた。しかし、東京高裁の判決結果や東京労働局と労働基準監督署が今春改定したリーフレット「事業場外労働に関するみなし労働時間制の適正な運用のために」で適用を明確に否認する記載がされていることから、「運営幹事会」や「添乗業務改善委員会」、6月に設置した「時間管理特別委員会」で協議を進め、認識を改める方針を固めた。会員へは、各地域の定例の意見交換会で趣旨を説明しているほか、関係委員会などの議事録を随時発信しており、今後は、時間管理に向けて社内体制や賃金制度の見直しを早急に行い、これまでの定額日当制での賃金支給から、労働時間に応じた賃金支給に改めるよう指導を徹底していく。

 一方、派遣労働者の添乗員の時間管理は派遣元のみならず、派遣先の旅行会社の適正な管理が不可欠なことから、今回、派遣法に乗っ取った労働時間管理について旅行会社に申し入れを行った。ポイントは(1)添乗労働は事業場外みなし労働が適用されないこと(2)派遣添乗員の労働時間管理は派遣先の旅行会社が行うべき業務であること(3)時間管理をすることで派遣添乗員の処遇が悪化しないよう配慮してほしいこと――の3点。 

 具体的な時間管理は、業務の特殊性から原則労働時間を「自己申告」とし、日程表や指示書に始業予定時刻と終了時刻を明記することや、顧客への日程表に「添乗員が適宜休憩を取る」旨の記載をすること、打ち合わせ・精算時の労働時間は指定時刻から起算すること、対客電話は打ち合わせ日当と別途、応じた派遣料金の支払いをしてほしいことなどを求めた。

 また、料金は現行の賃金から減額にならないよう配慮してほしいことを強調。派遣料金の考え方は時間単位で料金を定め、添乗時の労働時間に応じて支払い、1日の派遣料金は11時間相当額を最低補償とするか、基本派遣料金を1日につき3時間の所定外労働を含めた定額残業制とし、労働時間が11時間を超過した場合は、基本料金とは別に時間外労働相当分を支払うことと明記した。

 深夜労働時間帯(午後10時―午前5時)は、時間あたりの派遣単価に25%の深夜割増を加算した支払いを要求する。

増える訪日客

 「1200万人台へ」。観光庁長官の口からようやく訪日外客数目標ともいえる具体的な数値が出てきた。総務省から、年別・市場別に目標値を設定するよう指摘を受けたことに加え、今年が過去最高を大幅に上回るペースで推移しているのも大きいのだろう。街中でも外国人の増加を実感することが多く、弊社近くの神田明神では以前はほとんど見かけなかったが、ここ最近は欧米系の個人観光客をよく見かける。もしかしたら、秋葉原とセットで、神田明神や湯島の方を巡る観光コースが発信されているのかもしれない。

 公衆無線LAN環境の整備が求められるなか、山梨県が先駆的に取り組んでいる。他地域でそのまま取り入れるのは難しいかもしれないが、Wⅰ―Fⅰ環境の重要性を理解し、自治体と民間通信事業者、地域の観光関連施設が三位一体で取り組む仕組みは、参考にできるはずだ。

【伊集院 悟】

取引先と関係深化を、国内旅行のアワード創設(ジャルパック)

 ジャルパック(二宮秀生社長)は今年、JALパックブランド誕生50周年を迎えたことから、国内旅行の全取引先を対象にした表彰制度「JALパックアワード」を創設する。取引先と関係深化をはかるのが狙いで、宿泊施設や観光施設、運輸、添乗員・ガイドなど商品に関わる取引先すべてを同じ土俵で審査するのが特徴。

 審査は年度ごとに行い、初回の2014年度の表彰は来年4―5月を予定する。

 海外旅行の一部では00年から表彰を行っているが、国内旅行でこうした枠組みを設けるのは初めて。同社の増澤紀之国内仕入部長は「まずはアワード自体に興味を持ってもらい、取引先との関係を深めたい」と意気込む。「パンフレットへの記載や記念商品・プラン作りなど、取引先とのコラボレーションで送客につながる展開をはかる」と受賞メリットの創出に努めていく。

 表彰部門は3つで、「CS部門」は顧客評価が高かった取引先の表彰。ツアー参加者のWebアンケートの点数やコメントなどから総合的に評価する。対象商品は、同社が主催するすべてのツアー。「企画部門」は同社の方針「いい旅、新しい旅。」の創造に協力した企画性の高いもので、対象はパンフレット商品。「Web販売部門」は、eエントリーシステムの活用で、同社ダイナミックパッケージと宿泊予約の販売に最も貢献した取引先を表彰する。

 各部門の選出は6つのエリアごとに行い、計18対象を表彰する。エリアは同社の商品造成や各地の協力会などの関係から、「北海道」「関東・東北・北陸・中部」「関西・山陰・山陽」「四国」「九州」「沖縄」に設定。エリアは大小があるため、今後必要があれば調整を行うという。

東京五輪と建築

 外界から人間を守るはずの建築が我われの生活を脅かすときがある。災害が多く、人口減少が進む日本。求められる建築像も変わりつつある。

 東京オリンピックの開催を受け、にぎわう建設業界。都心では整備事業が始まり、早くも建設業の人材不足が叫ばれる。新国立競技場のデザイン案は、さながら近未来都市の誕生といった様相だ。

 「首都圏外への波及効果は」「災害対策は」。開発にはさまざまな課題が縮図のようにのしかかる。足かけ2カ月に満たない祭典。だが街は残る。五輪後に施設の余剰部を切り離す減築技術や、仮設・既存建築の活用など、新技術の発展にも期待がかかる。

 再びの東京五輪。建築は、街を構成する重要なピースだ。未来のライフスタイルを導く、建築の在り方が問われている。

【森山 聡子】

国際線の比重高める、11月に香港線開設など(バニラエア)

石井知祥社長
石井知祥社長

 レジャー・リゾート路線のLCC「バニラエア」(石井知祥社長)は8月7日、東京都内で2014年度冬ダイヤ販売戦略説明会を開き、新規路線開設など、今後さらに国際線に比重を置く方針を発表した。現在の提供座席数の比率は、国内線6に対し国際線4だが、今年度末には国際線6、国内線4まで国際線の比重を高めていく計画だ。

 石井社長は「昨年12月から運航開始し、7月末で50万人のお客様にご利用いただいた。1月は落ち込んだが、2―3月は好調、4―6月は機長不足などもあり苦戦したが、7月から非常に良い数字が出ている」と報告。7月からの5番目の路線としてスタートした成田―奄美大島線については「7月は利用率85%、8月は90%半ばまでいきそう。想像以上に手ごたえを感じている」と語った。また、とても厳しかった4―6月でも「就航率はほぼ100%、定時出発率の目標85%に対して92―94%を達成した」と強調した。「LCCバスは東京―成田で1日170便を超えている。カプセルホテルもオープンし、成田空港も便利になりつつある」ことも好調の要因の一つにあげた。さらに、「11月初めから成田―香港線の開設を予定している。週3便からスタートし、できるだけ早いタイミングでデイリー化、年度内には1日2往復を目指したい」とし、15年2月から高雄にデイリーで運航も計画していることも明かした。

オープンバス10周年、話題のエリアに記念コース(日の丸自動車)

 日の丸自動車興業(富田浩安社長、東京都文京区)は今年9月に2階建てオープンバスの営業運行から10周年を迎える。04年9月11日に日本初の2階建てオープンバスを使用した皇居・銀座・丸の内コースの運行を開始して以来、累計で約97万人(14年7月末現在)が利用している。

 同社は10周年を記念して、9月6日―11月30日までの土・日・祝日に、丸の内をスタートし、流行の発信地である表参道や外国人旅行者に人気の渋谷駅前スクランブル交差点など話題のエリアと、自然豊かな外苑・赤坂御用地周辺をドライブする約80分のコースを設定。出発時間は午前10時10分、午後1時10分、3時30分の3回。出発地は東京駅丸の内駅南口近くの三菱ビル前。料金は大人2千円、子供1千円。

 予約・問い合わせ=スカイバスコールセンター 電話:03(3215)0008。

上野駅前に2軒建設、16年の開業を予定(アパホテル)

京成上野駅前のイメージ
京成上野駅前のイメージ

 アパグループ(元谷外志雄代表)はこのほど、東京・上野駅前に「アパホテル上野駅前」と「アパホテル京成上野駅前」の2ホテルを建設すると発表した。2016年の開業を予定する。

 両ホテルの概要は、アパホテル上野駅前がJR上野駅不忍口から徒歩約4分の立地に建設。地上14階建てで全181室(ダブル180室、デラックスツイン1室)。16年2月の開業予定。京成上野駅前は、京成上野駅池之端口から徒歩約1分の立地。15階建てで全286室(ダブル285室、デラックスツイン1室)。開業は16年3月の予定。

 元谷代表は起工式の記者発表で「上野駅周辺では初のアパホテル。上野恩賜公園や上野の森美術館などが近接し、ビジネスや観光に大変素晴らしい立地だ。2棟同時建設となるが、各々のホテルが新幹線・各路線への電車アクセス、成田空港への直通アクセス、高速道路へのアクセスと立地特性があり、競合することなく共存することで高稼働・高収益が見込める」と自信を見せた。 

 また、顧客層の中心であるビジネスマンにとって大切なことは「時間」と「駅前立地」と説明。ルームキーをポストに入れるだけでチェックアウト可能なサービスなどが好評を得ているとし、「今後も“駅前で宿泊するならアパホテル”と言われるよう利便性を重視し、駅前立地にこだわっていきたい」と語った。

 一方、アパホテルのインバウンド戦略については「アパホテル銀座京橋・銀座宝町でみると、欧米人の個人客を中心に外国人客宿泊率は35%に達した。国内客、海外客の宿泊単価に価格差は設けず、単価の安い団体客は我われのターゲットではない」との考えを示した。

温泉宿経営セミナー、全国6都市で開く(船井総研)

 船井総合研究所(高嶋栄社長、大阪府大阪市)は9月中に、全国6都市で温泉旅館・ホテル向けの経営戦略セミナーを開く。戦略の新しい基準や話題のビジネスモデル、ネット販促対策などを紹介する。

 セミナー内容は、第1講座が「集客ポテンシャル×価格帯で考える温泉旅館・ホテル経営戦略」。経営戦略を大きく左右する“集客ポテンシャル×価格帯”理論や最新トレンド、小さな宿でも取り組める即時業績向上法を解説する。第2の「成功事例と一緒に学ぶ、話題のビジネスモデル4選」は、泊食分離で成功している旅館の実態や全室スイートで成功している旅館の実態などを紹介。第3は「今すぐ実践できる推薦集客ネタ3選」で、ネットやプレスリリースの集客アップ法を伝授する。第4の「好意的口コミの多い旅館になるためのスタッフの育成法」では、組織図から逆算してつくる3カ年計画などを提案する。

 参加費用は一般企業が1人2万9700円(税込)、会員企業が1人2万3760円(同)。申し込みはホームページから(http://www.funaisoken.co.jp/seminar/514267.html)

 開催場所は次の通り。開催時間はいずれも午後1―5時。

 大阪会場(9月2日、船井総合研究所淀屋橋セミナープレイス)
▽松山会場(9月9日、TKP松山カンファレンスセンター)
▽福岡会場(9月10日、TKPガーデンシティ博多)
▽仙台会場(9月24日、仙台駅前貸会議室ヒューモスファイブ)
▽札幌会場(9月25日、TKP札幌駅カンファレンスセンター)
▽東京会場(9月30日、船井総合研究所五反田オフィス)