「湯渡軍団」で冬の温泉をPR、宮城県

2017年12月1日(金) 配信

渡哲也さんに扮して記者発表に登場した村井知事

多くの名湯・秘湯がある宮城県は、冬の温泉を「渡るように楽しんでもらう」をコンセプトに「宮城 湯渡(ゆわたり)上手な旅」キャンペーンを2017年12月1日(金)から始めた。期間は2018年2月28日(水)まで。

 キャンペーンでは石原プロモーションの協力で、テレビドラマ「西部警察」の「大門軍団」にちなんだ「湯渡軍団」(ゆわたりぐんだん)と題したPR動画を作成し、特設サイトやユーチューブで配信している。

 動画では村井嘉浩宮城県知事が渡哲也さんに扮し、タレントのゆうたろうさんが「ボス」として登場。刑事(苗字が温泉地名)が県内各地を温泉捜査に置き換えて、その魅力をPRする。バックに流れるBGMは西部警察の主題歌。また、キャンペーン用のパンフレットもこれらの刑事が各地の温泉捜査として登場するスタイルで編集されている。

 PR動画視聴者へのプレゼント(応募締め切り2018年1月15日)や旅行割引クーポン券(応募締め切り2018年1月3日)などさまざまな企画も用意している。詳しくは特設Webサイトで。

 

ファミリービジネスの永続性へ “女性がコントロールを” 一條千賀子女将が語る

2017年12月1日(金) 配信

一條千賀子女将(中央)

 日本ファミリービジネスアドバイザー協会(FBAA、西川盛朗理事長)は11月18日、東京都内で5周年記念講演会「ファミリービジネスの永続性に向けた世界の潮流」を開いた。

 大きなテーマとなったのは、ファミリービジネスのガバナンス(統治)や女性の役割。約460年続く老舗旅館の「時音の宿湯主一條」(宮城県・鎌先温泉)の一條千賀子・20代目女将が出席し、「男性にはない女性の能力を認める寛容さと、女性に協力しようという気持ちがあれば、会社も家庭も平和になる。女性が上手くコントロールしながら(男性を)諭していくことも大事」と持論を展開した。

 講演会の冒頭、西川理事長は「日本の企業の9割以上がファミリービジネス(同族企業)。上場会社でも5割を超える」と強調する一方で、「たとえ業績が良くても事業承継で廃業するケースも増えている」と紹介。「事業承継は日本経済において最重要課題」と訴えた。

 続いて行われた基調講演「ファミリー企業が直面する世界的な課題」では、カリフォルニア臨床心理大学院名誉教授のケリン・E・ガーシック氏が登壇。事業承継計画を阻害する要因として、(1)シニアが退陣を拒んでいる(2)ジュニアの準備が整っていない(3)システム、環境、そして家族が変化を恐れている――などを挙げた。このうえで、後継者候補の経営参加の度合いを高めるためには、「女性や親戚、養子縁組などまで候補を広げることが大切」と述べた。

 「女性の役割と進化」を探る討論で、一條女将はファミリービジネスが長く存続していくうえで女性の大きな役割は「後継者を生み、育てること」と語った。また、女将の役割については「新入社員には、お客様を感動させるあなたがスターであり、女将はコーディネーターと話している」と紹介した。さらに子育てと仕事が同時並行であった経験から、「子供を持つ女性が仕事をするためにはPTAの改革は急務」と強調した。

〈観光最前線〉ブレードランナー2049

2017年12月1日(金) 配信

映画「ブレードランナー2049」鑑賞後に購入したパンフレットとポストカードセット

 待ちに待った映画「ブレードランナー2049」を観てきた。1982年に公開されたリドリー・スコット監督の前作「ブレードランナー」から30年後の世界を描いた続編だ。スコット監督が製作総指揮を務め、カナダ出身のドゥニ・ヴィルヌーヴ監督が新たにメガホンをとっている。

 映画「ブレードランナー」は、今でこそSF映画の金字塔と評価されているが、公開時は客の入りが悪く、わずか2週間で上映が打ち切りになった。その後、ビデオデッキの普及に伴い、マニアの間でカルト的な人気を誇るようになった。まさか35年の時を経て正式な続編が製作されるとは夢にも思っていなかった。

 続編の評価は賛否両論あるようだが、個人的には傑作と評価したい。163分という上映時間もまったく気にならなかった。

【古沢 克昌】

IoTと観光を考える 見逃し市場発掘へ “IoTはスマホ”身近に捉える

2017年12月1日(金) 配信

パネルディスカッションのようす

 11月9日に行われた全国商工会議所観光振興大会=既報=では「地域の宝を生かせ! ~地方都市の底力~」をテーマに4つの分科会が開かれた。「IoTと観光」では、見逃し市場の発掘などIoTを活用した新たな観光誘客を模索した。パネリストからは「IoTはスマートフォン」と示され、身近に、シンプルに考えることや、使うこと自体を目的にせず、あくまでツールとして捉えるべきなどの意見が出された。

【飯塚 小牧】

 IoTとは「Internet of Things」の略で、「モノのインターネット」といわれる。ありとあらゆるものがインターネットにつながることを指し、観光業でも活用の動きが広がっている。

 分科会では前段として、日本電信電話(NTT)新ビジネス推進室地域創生担当統括部長の大西佐知子氏が、IoTやAI(人工知能)を観光、地域にどのように活用できるのか、どのような新しい風を吹かせられるかなどを語った。

 大西氏は、「スマートフォンを利用するのが大きなポイント。例えば中国人観光客がどこで何を買っているのかという実態がスマホで可視化できる」と紹介した。新たな観光資源を発掘できるほか、売れないと思っていた商品が実は人気だったというような見逃し市場を発見できる。「可視化したニーズをプロモーションし、着地側のおもてなしに役立てられるという一連の流れができ、PDCAサイクルを潤滑に回すことができる」と、データに基づく^tPRは効果が大きいとした。

 具体例として、北海道札幌市の事例を提示。台湾人旅行者が中島公園に1時間ほど滞在しているデータから、SNS(交流サイト)で調べたところ、無料のスキーレンタルがあり、雪が珍しい台湾人に人気を博していた。「理由を探るのはSNSでのつぶやきが便利。なぜそこにいるのか、困っていることは何かが分かる」。

 パネルディスカッションでは、JTB国内事業本部法人事業部観光戦略チーム観光立国推進マネージャー・日本版DMOサポート室室長の山下真輝氏が、IoTのメリットとして「合意形成をはかるために必要なもの。今まで感覚的に行っていたことがデータで裏付けられる」と語った。

 また、内閣官房日本経済再生総合事務局参事官の川村尚永氏は「人手をかけずに、自動で集まっている既存データを組み合わせて、潜在的な需要を探すことがIoTの肝ではないか」と語った。

 他方、山下氏は会場参加者からの質問に返答し、観光地ではない地域での観光の取り組み方をアドバイスした。「大切なのはプロセス。観光はさまざまな産業の人が関われる分野で、異業種交流が不可欠になる」と言及。観光はまちが抱える諸課題の解決の糸口になると示し、さまざまな人が意見を出し合う場を設けることに意義があるとした。また、そのまち自体が観光のデスティネーションになる必要はなく、周辺地域とのポジショニングを考え、連携することが有効だとした。

「もてなし名脇役 14」乳幼児が遊べる空間を 木製玩具メーカーが提案

2017年12月1日(金) 配信

キッズスペースの一例(休暇村裏磐梯)

 訪れた人が「迎えられている」と感じる。そんな空間演出につながるモノを、使われる場面も想像しながら紹介します。

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 「赤ちゃんも1人の大切なお客様」と考え、それを特徴とする宿も増えています。今回は、乳幼児連れ旅行を歓迎する宿への提案です。

 グッズの用意や貸切風呂の利用、部屋食対応など、できるもてなしの可視化も進み、安心して宿を選べるようになりました。「次の一手」を考えたとき、パブリックスペースに家族の居場所をつくるのも1つの選択になると思います。

 木製玩具と乳幼児向け食器を製造・販売するマストロ・ジェッペット(福島県・南会津町)は、企画力を生かした「遊び場」の提案も手掛けています。利用の減った2次会施設やロビーの一角などを生かし、「ここで楽しく遊んでください」という空間を作ってみるのはいかがでしょう。

 そこで活躍するのは、木肌の優しい手触りが感じられるおもちゃの数々。素材や安全性に加え、グッドデザイン賞やWONDER500を受賞するなど、インテリア性のある玩具は、きっと宿の空間になじみます。

 問い合わせ=0241(62)1600。

水上観光船 脚光浴び注目度が高まることを期待

2017年12月1日(金) 配信

水上観光船は旅の思い出を深める

 観光産業といえば、ホテルや旅館などの宿泊施設、旅行会社や大規模なテーマパークなどを真っ先に思い浮かべるかもしれない。旅の移動には欠かせない航空会社や鉄道会社、観光バス会社なども、観光産業の重要なポジションを占めている。

 ドライブインなどの土産物施設や飲食店も、観光産業の主役である。視点を変えると、バッグやカメラ、自転車などのメーカーだって観光との関わりは密接である。「観光は裾野が広い産業だ」と言われるが、実際、本当に広い。観光とまったく関係がない業種を探すことは、非常に困難である。

 観光産業のど真ん中に存在し、とても愛される存在でありながら、これまで十分に脚光を浴びて来なかった業種がある。それは、水上観光船だ。

 業界専門紙の記者として数えきれないほど、観光関係者が集うパーティーなどにも出てきた。宿泊施設や旅行会社、運輸機関などに対する期待の言葉、日ごろの努力への賛辞や貢献への謝辞は多く耳にしたが、水上観光船への言及は少なかったというのが率直な印象である。

 島国で海に囲まれ、自然豊かな日本には、さまざまな水上観光船がある。

 海辺には多島美を満喫する島めぐり観光船や、湾内クルーズなどが多く存在する。工場夜景を海上から眺めるコースも全国各地にある。南の島では、サンゴ礁や熱帯魚の群れをガラス越しに眺めることができるグラスボートもある。

 景勝地として広く認知されている湖には、遊覧船はワンセットだ。湖上のひとときをのんびりと優雅に過ごすための遊覧船が運航している。

 川下りも人気である。桜や新緑、紅葉の深い渓谷を船でゆっくりと流れていく景色を眺めるのは、日本の深部に秘する美を堪能できる贅沢な旅である。

 また、城下町など歴史的な古い町並みのお堀には、船頭さんが舟唄を気持ちよさそうに唄いながら、巧みな竿さばきで、町並みを案内するツアーも名物となっている。

 そして最近は、水陸両用船が脚光を浴びている。

 海や湖、川、お堀でもそうだが、水上から眺める体験は、歩く旅とはひと味違う。旅の思い出を重層的に深める力を有している。

 豪華クルーズ船による船旅は多くの人の憧れだ。しかし、現実には参加者はまだまだ一部の人たちに限られている。

 一方、日本各地に存在する旅先での水上観光船は、気軽に非日常を楽しむことができ、多くの人々に親しまれている。近年はインバウンドの拡大で、水上観光船に外国人観光客が楽しそうに乗船する姿もしばしば目にするようになった。

 旅行新聞新社は今年初めて、旅のプロである旅行会社に優れた「水上観光船」を選んでもらう第1回「プロが選ぶ水上観光船30選」を発表する。10月に全国の旅行会社から投票を受け付けており、12月11日に本紙ホームページで発表する。

 来年1月23日には、東京・新宿の京王プラザホテルで第43回「プロが選ぶ日本のホテル・旅館100選」などとともに、表彰式を開催する。国土交通省と観光庁も後援している。今後、注目度がますます高まることを期待している。本紙も観光業界の専門紙として、全国の水上観光船を盛り上げていきたいと思う。

(編集長・増田 剛)

若狭路に春を告げる 「お水送り」3月2日実施 福井県小浜市

2017年12月1日(金) 配信

御香水を奈良へ送る

 福井県嶺南、古代から塩や海産物を京へ届け、都の食文化を支えた「御食国(みけつくに)」として知られる小浜市で毎年3月2日、若狭路に春を告げる神事「お水送り」が行われる。

 全国的に有名な奈良・東大寺二月堂で毎年3月12日に実施される「お水取り」は、実はこの「お水送り」で若狭「鵜の瀬」から流された御香水が、二月堂「若狭井」まで届き、それをくみ上げる神事のこと。

 お水送りは752年、若狭の「遠敷(おにゅう)明神」が、東大寺の大仏開眼供養に先立つ“行”に遅れたお詫びに、本尊に供える「閼伽水(あかすい)」を若狭から送ったのが始まりと伝わる。

 見どころは、夕刻から同市の神宮寺で行われる「達陀(だったん)の行」。赤装束の僧が、長さ7㍍にもなる巨大たいまつを振り回しながら回廊を練り歩き、魔を祓う様は圧巻。

 その後、境内に設けられた大護摩壇の火をたいまつに移し、それを担いだ僧たちの行列が、約2キロ上流の鵜の瀬まで御香水を運び上げる。僧に続いて一般参加者約1500人もたいまつを手に行列に続き、鵜の瀬まで幻想的な光の道を創りだす。

 行列が鵜の瀬に着くと大護摩が焚かれるなか、住職が送水文を読み上げ、御香水を遠敷川に注ぎ込む一番の見どころ「送水神事」が行われる。この御香水が10日後に奈良へと流れ着き、東大寺の「お水取り」でくみ上げられることになる。

【楽天ライフルステイ・太田宗克社長に聞く】「特定のプレーヤー、排除しない」

2017年12月1日(金) 配信

太田 宗克 氏
楽天トラベル執行役員国際事業部長、楽天逸行(北京)信息科技董事長兼総経理などを歴任。17年より現職。

 6月の設立後、海外の民泊プラットフォーマー(仲介業者)との提携を積極的に進めてきた楽天LIFULL STAY(楽天ライフルステイ)。社長の太田宗克氏は、楽天トラベルの黎明期にも携わったオンライン旅行業界の先駆者。「徐々に段階を踏みながら、楽天トラベルと同様に規模を拡大していきたい」と力を込め、民泊業界の健全化にも意欲を示した。

【謝 谷楓】

 ――住宅宿泊事業法(民泊法)の施行(2018年6月15日)に合わせて、自社仲介サイト「VACATION STAY(仮、以下略)」を立ち上げる予定です。まずは、物件の募集開始時期について教えてください。

 物件募集は18年3月中旬、事業者の申請・登録開始日に合わせて行う予定です。我われは、行政の動きに準拠するカタチで活動をしています。同じ理由で、「VACATION STAY」のサービス開始も民泊法の施行日に合わせているのです。

 ――楽天グループとして、民泊業界で果たすべき役割について。

 民泊法の施行を皮切りに、健全なビジネスモデルの確立を果たしたいという思いがあります。

 ホテル・旅館業界関係者と意見を交わすなかで、問題は違法民泊にあるという印象を持っています。全否定ではなく、一部で蔓延する違法な取り組みを改善してほしい、そうすれば協働も実現可能だという立場の方が多数を占めていると理解しています。

 ホテル・旅館が望む、あるべき民泊市場をつくることが、我われの役目です。プラットフォーマー(仲介業者)各社が、民泊法を蔑ろにしない環境を率先して整備していきたいと考えています。民泊法の施行に合わせてサービスを開始するなど、行政の動きに沿って事業を展開する理由もここにあります。

 法施行後、違法民泊を行うホスト(宿泊事業者)に対し、「仲介業者」各社がどう対応するのかに、強い関心を抱いています。問題が起きればその都度、建設的な話し合いを続ける必要があります。

 ――ホテル・旅館業界のなかには、ホームシェアリング(民泊)と既存旅館業、しっかりと顧客の棲み分けをしてほしいという声もありますが。

 我われの使命は、旅行や宿泊の需要底上げです。民泊業界を牽引することで、旅行や宿泊需要を一層喚起できると考えています。例えば、民泊を利用して宿泊している人が、近くのホテル・旅館へ入浴や食事をしに行ったりすれば、両者間のコラボレーションも生まれ、双方の需要底上げができると思います。

 既存の市場でシェア争いをすることが、目的ではないのです。ホテル・旅館はもちろん、物件の「管理業者」など、特定のプレーヤーを排除する考えもありません。

 ――10月、鯖江市(福井県)との連携を発表しました。古民家の再生など、空き家対策の一環として「仲介業者」との連携に期待する地域が増えてきました。今後は宿泊以外でも、誘客に結びつくアイデアが求められるのではないでしょうか。

 誘客増は、地域全体で取り組まなくてはならない課題です。地域の自然そのものをコンテンツとして考えることが効果的です。

 来訪者が増加傾向にある東南アジアや台湾、香港と違い、日本には四季があり気候の変化が顕著です。グランピングなど、移り変わる自然模様を楽しめるコンテンツが興味を引きつけます。アジア圏からの来訪者数はインバウンド全体の約8割を占めるため、このビジネス機会を逃す手はありません。

 コンテナハウスやトレーラーハウスといった施設は比較的安価で、設備投資の負担も軽く済みます。古民家などの民泊物件と併用してもらうよう工夫を施すことも可能です。コテージなどの宿泊施設は、災害時にも役立ちます。

 観光資源が乏しいと悲観する地方行政関係者はぜひ、地域の自然そのものに着目してほしいと思います。

 ――「仲介業者」楽天LIFULL STAYの強みについて。

 「宿泊事業者」がワンストップで、事業を営める状況を整えています。販売面から清掃といった管理業務、家具の販売・レンタルまで、民泊物件の運営をトータルでサポートします。仲介サイトのみの利用も受け付けています。

 国内客とインバウンド、双方の取り込みを支援する用意があります。国内では、9千万人を超える楽天会員(ID数、17年9月)をターゲットにすることができます。

 ホームアウェイ(米国)や途家(トゥージア、中国)、アジアヨー(台湾)ら、各国・地域で高い知名度を誇る「仲介業者」との提携にも注力してきました。「VACATION STAY」に物件を登録すれば、インバウンドにもリーチする仕組みが完成しています。

 ――手数料などについて。

 「宿泊事業者」からは、3%の仲介手数料を募ります。「VACATION STAY」では別途、ユーザーからももらい受けます。

 提携先の「仲介業者」ごとに、手数料の募り方が異なるため、「宿泊事業者」が望む収入を得られよう、価格面の調整も行います。安心して物件を掲載できる体制づくりに励んでいます。

 物件の代行運用手数料については、物件の広さや、登録種類(マンスリー賃貸や簡易宿泊所など)によって異なります。上限は25%となります。詳細は今後、アナウンスする予定です。

 ――不動産会社を対象とした、法人営業に力を入れている印象を受けますが。

 6月の設立以降、取り組みを説明するセミナーを開いてきました。法人が個人の参加者を若干上回っています。ピンポイントでの営業活動が難しい個人「宿泊事業者」については法の施行以降、楽天会員の基盤を活用するなど、取り込みを加速していきます。

 なお、都心部では宿泊提供日数が180日に制限されているため、マンスリー賃貸や簡易宿泊所と併用した運営が活発になると予測しています。マンスリー賃貸の残室を、民泊物件として販売できるシステムも構築中です。エリアや登録種類など、各物件に適した対応を目指します。

 ――ありがとうございました。

【特集 No.479】ヘルスツーリズムの実践 住民と来訪者、双方に寄与

2017年12月1日(金) 配信

 PR動画の作成や、SNS(交流サイト)の利用、斬新なキャッチコピーなど、誘客に対する期待は、派手やかさとなって表れることが多い。今回、「健康づくり」をテーマに、誘客だけでなく地域住民の生活力アップにも貢献する民間活力開発機構(みんかつ)の取り組みに着目した。現在日本の高齢化率は27%。超高齢社会を生きるなか、「健康づくり」は医療や介護費負担減に貢献でき、高齢者層の旅行需要を取り込む可能性も有する。地域住民と来訪者、双方に寄与する着実な活動に注目したい。
【謝 谷楓】

観光資源を健康づくりに生かす

 健康寿命の伸長に地域の健康・観光資源を活用する、分野を横断した複合型の取り組みに注目が集まっている。医療費適正化や介護費負担軽減、歳入減など、超高齢社会が抱える課題解決の糸口となり得るからだ。

 厚生労働省の調べによると、2016年の日本人の平均寿命は男性が80・98歳、女性は87・14歳。いずれも過去最高を更新し、11年前(05年)と比べ1・62―2・42歳伸びている。一方、三大死因とされ、生活習慣病とも呼ばれるがんと心臓病、脳卒中、いずれかで亡くなる確率の減少は鈍い。05年と比べて5―7ポイントの減少に留まっているのが現状だ。とくに、がんについては性別にかかわらず、減少値は1ポイントに満たない。

 政府を中心に、健康寿命を伸ばす取り組みが続けられ、生活習慣病予防を中心とした「21世紀における国民健康づくり運動(健康日本21)」は13年から第2期目が始まった。スマート・ライフ・プロジェクトなど、地方行政と事業者の連携による各種イベントも盛んだ。経済産業省が中心となって進める「次世代ヘルスケア産業協議会」では、各省庁の守備範囲を超えた健康アクションプランが提唱され、地域の観光資源を健康づくりに生かす旅行商品造りの検討が進む。

健康志向と交流人口2つの課題を解決

 民間活力開発機構(みんかつ、里敏行理事長)は、1989年の設立以来、交流人口増加につながる健康づくり運動を、現場レベルで牽引してきた。

 昨今、地方行政は医療・介護費の負担増と、働き手不足による歳入減に頭を悩まされてきた。2つの課題はともに少子高齢に起因するものだが、地方行政の性質上、異なる部署が個別に対応策を練る必要があった。

 同機構の主力事業「健康づくり大学」は、温泉と食事、環境(自然)、スポーツ4つの角度から、地域内外に働きかけることで、課題をまとめて解決する。地域住民に対し、誘客に結びつく要素だった温泉・食事・環境(自然)が持つストレス軽減やリフレッシュ効果を強調。ウォーキングなどのスポーツと掛け合わせることで、健康に対する地域住民の関心を高めるイベントを実施してきた。08年に湖北町(滋賀県)で行った「健康づくり大学」では、ウォーキングとともに、専門家が地元産野菜を使った健康食の調理法をレクチャー。観光資源の再発見を促しつつ、健康に興味関心を抱かせる工夫を施した。

 健康志向の観光客を取り込む活動も行う。15年には、三条市(新潟県)で日帰り温泉施設を利用して「健康づくり大学」を開講。市民向けプログラムだったが、ヒメサユリ祭をはじめとするイベントと連動し首都圏での情報発信を実現した。交流人口と消費額増加に貢献している。

 同機構は、地域の医療機関との連携も重視。健康相談を行うなど、ターゲットである高齢者の意識改革も狙う。「健康づくり大学」はこれまで、20を超える自治体で実施されている。

上天草市と提携、取り組みをバックアップ

 同機構は17年4月から上天草市健康福祉部と提携。同部が中心となって進める「複合型スポーツ&ヘルスツーリズム事業」に参画した。ここでも、地域住民の健康促進と交流人口増、2つの課題に取り組む。

 3年計画で進む同事業。初年度の今年は事業推進委員会を立ち上げ、関連部署や事業者の関係構築をはかってきた。11月、市の商工観光課らによるガストロノミーウォーキングイベント(特別協力=ONSEN・ガストロノミーツーリズム推進機構)に、健康福祉部が健康関連のテントブースを設け、部署の枠にとらわれない活動が始まっている。

 住民の健康意識向上を促すため、指標となる健康度数値も作成する。事業の浸透と恒久化を目指すのが狙いだ。上天草総合病院と協力し、人間ドックプログラムを通じた観光客の誘致にも励む。

 市の健康福祉部は、地域の食材を使った健康メニュー開発や、特定健康診査受診率の向上プランを作成している最中。来年2月開催のトレッキングフェスティバルでは、温泉・食事・環境(自然)・スポーツの各視点に基づく取り組み(健康づくり大学の開講)とともに、アンケート調査も実施。初年度プログラムの成果を測定し、取り組みをバックアップする。

 観光庁の調べによれば、16年の「立寄温泉・温泉施設・エステ」の延べ利用者数は、約4400万人。14年以降3年連続で増加しており、温泉に対する関心は低くない。「健康づくり大学」の主なターゲットである高齢者(60―80代以上)の延べ旅行者数と宿泊数(観光・レクリエーション目的)はともに、14年以降3年連続の増加で需要も高い。上天草市での成果を、全国の各地域で役立てる日は近い。

※詳細は本紙1694号または12月7日以降日経テレコン21でお読みいただけます。

【名古屋・金沢】日本酒×地域づくりセミナー開催

2017年11月30日(木) 配信

日本酒イメージ

自治体、観光団体、酒蔵の方を対象にした「酒文化を通じた魅力ある観光地域づくりセミナー」が12月に名古屋と金沢で開かれる。現在、参加者を募集している。

 国土交通省中部運輸局観光部、北陸信越運輸局観光部などが主催する。海外からのインバウンドを推進する「昇龍道プロジェクト」に取り組むなか、豊かな自然がもたらす良質な水と米を原料として酒づくりを行う酒蔵が数多く点在することを踏まえ、「銘酒」をテーマにした広域観光の提案にも力を入れている。

 セミナーは観光地域づくりや滞在コンテンツづくりの契機となることを目的に、昇龍道大使として活躍している平出淑恵さんや、日本酒を通じたさまざまな取り組みをしている人たちが登壇。参加者から寄せられた地域独自の酒文化情報も、後日Webサイトで情報発信するという。

セミナー概要

タイトル:酒文化を通じた魅力ある観光地域づくりセミナー

名古屋会場:日時 2017年12月14日(木) 午後2:00~同4:00

 会場 ウインクあいち(産業労働センター) 1103号室(愛知県名古屋市中村区名駅4丁目4-38)JR名古屋駅桜通口から徒歩5分

 申込締切 12月11日(月)※定員になり次第、締切

金沢会場:日時 2017年12月20日(水) 午後2:00~同4:00

 場所 金沢勤労者プラザ 101研修室(石川県金沢市北安江3-2-20)JR金沢駅西口から徒歩10分

 申込締切 12月15日(金)※定員になり次第、締切

申し込み

カーネルコンセプト TEL:052-459-0883 FAX052-459-0884

          Mail:shoryudo☆kernel.co.jp(☆を@に替えて送信)

          から参加申込書を入手し、メールまたはFAXで申し込む。