〈観光最前線〉霜月祭に行ってきた

2018年12月31日(月) 配信

霜月祭のようす

 南信州の遠山郷に伝わる霜月祭に行ってきた。以前から気になっていた祭りで今回ようやく取材が実現した。

 国重要無形文化財に指定されている遠山の霜月祭は、上村・南信濃の各神社で奉納される湯立神楽の古い形態を今も伝承している。

 スタジオジブリの映画「千と千尋の神隠し」のモチーフにもなった神々が湯治に訪れるというアイデアは、この霜月祭がモデルだといわれ、宮崎駿監督はテレビでこの祭りの存在を知り、強い影響を受けたのだという。

 社殿の中央に設えた釜の上には神座が飾られ、湯を煮えたぎらせて神々に捧げる。祭りの最大の見せ場では天狗などの面が登場、煮えたぎる釜の湯を素手で湯切りし、禊ぎの湯をふりかける。1年の邪悪を払い、新たな魂で新年を迎えるのだ。

【古沢 克昌】

「味のある街」「抹茶と和菓子セット」――安房あづち茶屋(千葉県館山市)

2018年12月30日(日)配信 

抹茶と和菓子セット550円(税込)▽千葉県館山市大神宮589番地 安房神社内▽電話:080(9550)0311。

千葉県館山市の安房神社は安房国一之宮であり、平安時代の「延喜式」に記載されている式内社、旧官幣大社でもある格式高い神社だ。

 日本の産業の総祖神として崇敬されており、ものつくり、企業隆昌、事業繁栄、商売繁盛、技術向上、学業向上などにご利益があるという。また相殿神として祭られている忌部五部神は、それぞれ美術、紡績業、建設業などの神だ。さまざまな神の祭られているこの神社は、パワースポットとしても近年注目されている。

 本殿は1881(明治14)年築、建築様式は伊勢神宮などと同じ神明造で檜皮葺き。境内には池もあって広々としており、訪れるたびに清々しい気分になる。桜の名所としても有名だ。春には鳥居から続く広い参道の両脇に続く桜並木や、池の周りの桜が見事に咲き誇るようすを見に多くの人が訪れる。

 この境内の一画にあるのが、2013年に開店した安房あづち茶屋だ。建物はまだ新しく、木を基調とした明るい店内には、年配の方から若者まで入りやすい雰囲気がある。店の前には緋毛氈の敷かれたベンチがあり、シーズンには桜を眺めながらいただける。

 「抹茶と和菓子セット」は、和菓子が春には菜の花やこいのぼり、秋には紅葉などと変わり、季節を感じられると人気だ。ほかに、1日10個限定の自家製プリンも手作りの温かみが感じられると評判が高い。甘酒、抹茶ぜんざいなどもある。お腹の空いた人にはおにぎりセットもあり、これは地元の米を使用している。

 店は宮司の夫人を中心に運営されており、いつ訪れても温かく落ち着いた接客で迎えてくれる。参拝の後に少し休もうとして入ってきた人が、これほど質の高いメニューに出会い、温かくもてなされれば、帰りには深い満足を覚えるだろう。

 営業日は金、土、日曜と祝日の月曜。限られた日数でも、ずっとここにあってほしいと切に願う。あわせて神社の隣にある「館山野鳥の森」で自然に触れ、展望台からの眺めを楽しむのもおすすめだ。

(トラベルキャスター)

 

コラムニスト紹介

トラベルキャスター 津田令子氏

社団法人日本観光協会旅番組室長を経てフリーの旅行ジャーナリストに。全国約3000カ所を旅する経験から、旅の楽しさを伝えるトラベルキャスターとしてテレビ・ラジオなどに出演する。観光大使や市町村などのアドバイザー、カルチャースクールの講師も務める。NPO法人ふるさとオンリーワンのまち理事長。著書多数。

 

仏像の顔をAI分析 学生が研究成果発表(奈良大学)

2018年12月29日(土) 配信

仏像の顔を読み取る実演を行う学生たち

 人間の感情測定に用いられるAI(人工知能)テクノロジーで、仏像の顔を読み取るとどうなるか―。奈良大学の学生グループによるプロジェクト「Buddience~仏像の顔貌を科学する~」の発表会が12月4日、大阪市内で開かれた。

 プロジェクトは、米マイクロソフト社が開発した感情測定テクノロジー「エモーションAPI」を使い、興福寺(奈良市)の国宝「阿修羅像」など、216体の仏像の顔の画像データを測定。「怒り・軽蔑・嫌悪感・恐怖・喜び・中立・悲しみ・驚き」の8つの指標を数値化した。

 その結果、阿修羅像は「中立」の数値が低く、人間の表情により近いことが判明。さらに正面より横から見たほうが「悲しみ」や「喜び」の数値が高くなることが示された。調査した学生は「人間の表情に近く、慈愛に満ちた顔が、多くの人々を魅了する要因ではないか」と分析する。

 一方で、102体の仏像が測定不能となったが、これは画像が不鮮明であったり、色彩が落ちて面貌が損なわれていたことなどが原因とみられる。また、同一の仏像でも、撮影角度や照明の違いによって数値が変化することも確認された。

興福寺の阿修羅像は横から見た方が喜びや悲しみの数値が高い©飛鳥園

 プロジェクトを指導した同大文学部文化財学科の関根俊一教授は「すべての仏像を同条件で撮影しないと比較できないため、必ずしも説得力のあるものにはならないが、美術史研究に一石を投じる技術」と評価。参加した学生も「これまで感覚で捉えていたものが数値化できた意義は大きい」と感想を述べた。

 今後について、関根教授は「さらに精度が高まれば、仏像が造られた時代によって、数値に特定の傾向が表れるのかといったことも明らかにできる可能性はある。一般的には、魅力的な写真を撮る際に応用していけるのでは」と期待を寄せた。

 同大では、同プロジェクトの研究成果をまとめた特設ウェブページを公開。サイト内では、自分の顔を数値化し、どの仏像とマッチするかを診断する「仏顔診断」を楽しむこともできる。

「街のデッサン(213)」世界で最も美しい小さな正教会 オフリド湖の湖岸での聖なる体験

2018年12月28日(金) 配信

世界で最も美しい聖ヨハネ・カネオ教会

 一晩の夢をベッドに残して、ホテルの湖畔に広がっている前庭を降りていくと、9月にしては肌に冷たく風が感じられる。糸杉の樹々の間を抜けると、湖面が開けた。

 透き通った絹の襞のような波が湖岸に寄せてきて、そこに突き出るような小さな桟橋を洗っている。今、ヨーロッパの有閑階級で話題になっているというオフリド湖。桟橋の先端に出ると、360度の景観が展開し、話題となる価値を知ることができた。

 バルカン半島の多くの海岸線に面する村々や、近接した島々は目ざといリゾート開発業者らに買い占められ、プロテニスのジョコヴィッチが結婚式を挙げたというモンテネグロのブドヴァにあるステファン島などはシンガポールのアマングループに村の家々毎買収されて、それらの住宅をつないだホテルになっているという。島のコミュニティ全体をホテルとリゾート施設にしてしまったという構想力をどう評価するのか、難しいところではあるが荒業には違いない。

 それらに比べれば、マケドニアとアルバニアに面して面積348平方㍍の内陸のオフリド湖は、まだ荒業氏の手中には嵌っていないのかもしれない。すなわち今の段階で、湖畔に別荘を持つという選択はセンスの良い評価といえるのであろう。
 以前から噂を聞いていた教会が、オフリド旧市街につながる岬の先に存在しているという案内はこのツアーの目玉の一つであったが、宿泊するホテルの桟橋から出発する船で湖面から観光できるという手配になっていて、私の参加理由の鍵だった。

 迎えに来た数十人乗りの遊覧船は、桟橋を離れるとすぐにマケドニアの民謡だという歌を流し始めた。物悲しい女性の唄う歌は、冷たい風とバルカン半島の国々の苦難の歴史を語っているという歌詞とが奇妙に混ざり合って、船に揺れる私たち旅行者の旅情をも揺するように迫ってくる。

 20分ほど乗っていると、岬の先の丘陵に向けて幾つかの教会建築が壇状に見えてきた。その湖面の一番近くに建っているのが聖ヨハネ・カネオ教会である。建物は13世紀に建立されたとされ、マケドニアの正教会様式とビザンチン様式が混交されたラテン十字の平面と美しいドームによって構成されている。

 船を降りて徒歩で教会に向かうと、その日は聖ヨハネの丁度生誕祭で司祭が聖水を集った信者に振りかけていたが、その聖水は私の心にも届いて、世界で最も美しき教会を、洗われた心を見開いて眺めていたものだ。

コラムニスト紹介

望月 照彦 氏

エッセイスト 望月 照彦 氏

若き時代、童話創作とコピーライターで糊口を凌ぎ、ベンチャー企業を複数起業した。その数奇な経験を評価され、先達・中村秀一郎先生に多摩大学教授に推薦される。現在、鎌倉極楽寺に、人類の未来を俯瞰する『構想博物館』を創設し運営する。人間と社会を見据える旅を重ね『旅と構想』など複数著す。

年末年始の営業日のご案内

2018年12月27日(木) 配信

拝啓 師走の候、貴社益々のご盛栄のこととお喜び申し上げます。

本年は格別のご愛顧を賜り厚く御礼申し上げます。

早速ではございますが、2018年12月28日から2019年1月6日までお休みとさせていただきます。よろしくご了承のほどをお願い致します。

お問い合わせ購読のお申込みにつきましては、1月7日以降順次対応させていただきます。

本年中のご愛顧に心より御礼申し上げますとともに、来年も変わらぬお引立てのほど、宜しくお願い申し上げます。

敬具

 

平成30年12月27日

株式会社 旅行新聞新社

代表取締役 石井 貞徳

史上初の3千万人超え 訪日5年で3倍 存在感高まる 観光庁

2018年12月27日(木) 配信 

訪日外国人旅行者数の推移

観光庁は12月19日(水)に会見を開き、訪日外国人旅行者数が18日、史上初の3千万人を超えたと発表した。2013年に初めて1千万人を突破してから5年で3倍に増えた。19年にラグビーワールドカップ、20年には東京五輪と大型イベンントが続く。さらに19年度からは出国税の税収が満年度化する。大きな盛り上がりをみせる観光産業。来年からより存在感が高まりそうだ。【平綿 裕一】

 18年前半は2ケタ増が続き好調だったが、7月以降は自然災害の影響で伸びは鈍かった。9月には約5年8カ月ぶりに伸び率が減少に転じた。観光需要の回復に向けては、官民を挙げたキャンペーンなどの対策を打ち、外国人旅行者の呼び戻しに注力してきた。

 観光庁の田端浩長官は同日の会見で「さまざまな取り組みにより着実に需要は回復している。その結果3千万人を突破した。ただあくまで通過点にすぎない。引き続き20年の4千万人の目標達成に向け取り組んでいく」と述べた。

 目標達成に向け19年は、デジタルプロモーションとスマートフォンを最大限活用した旅行環境整備を進めていく。「どんどんやらなければ諸外国に遅れを取る」(田端長官)と危機感をあらわにした。

 コト消費にも本腰を入れる。楽しめる観光素材として、ナイトタイムエコノミーなどの活性化をはかる。地方部における満足度向上のため、文化財や国立公園の多言語解説も充実させていく。

 このほか、地方部での滞在日数を増加させるため、古民家活用による高付加価値な宿泊施設を作り上げていく。さらに旅館の生産性を向上し、「稼ぐ旅館」の創出にも注力していく考えだ。

 一方、日本人出国者数も堅調な推移をみせている。日本政府観光局(JNTO)によると、18年1―11月累計で前年同期比5・5%増の1732万4700人だった。「年末年始の予約状況は好調だと聞いている。今年は前年を上回り1800万人を超え、さらに1900万人に迫っていくだろう」(田端長官)と期待を示した。

 アウトバウンドが伸びている要因は、中国・韓国などとの外交関係や、国内経済、為替が安定していたことを挙げた。ツリーリズムEXPO2018の出展者や来場者が過去最高だったことを振り返り、「いい後押しになっている」と語った。20年の2千万人の目標へ引き続き動きを強めていく。

 国内旅行に関しては、自然災害により落ち込んだものの「ふっこう割」などの対策で客は戻ってきたとする。田端長官は「やはり国内旅行の環境が整うことで雰囲気が良くなる。諸外国のインバウンドの呼び込みにつながる」と横ばい傾向が続く国内旅行の振興にも力を入れていく考えだ。

 他方、空販売問題についても言及があった。同庁は中国最大手OTA(オンライン旅行会社)Ctripグループのシートリップジャパンに、すでに立入検査をしている。空販売や、予約と同時に高額な料金を取消不可として支払わせたなどの問題行為に対する報道を受けてのこと。

 田端長官は「当該OTAを呼び、説明を求めた。旅行者の気持ちを、ないがしろにするようなビジネスモデルは信頼も支持もされない。再発防止策を要求し、厳しく指導している」と語気を強めた。

JR九州・吉都線がキットカットとコラボ ラッピング列車運行

2018年12月26日(水) 配信

「だるま」や「招き猫」をデザインした

JR九州・吉都線の「きっと」という呼び方が縁となり、「キットカット」を販売するネスレ日本とのコラボレーションが実現した。沿線の高校生がデザインを考案したラッピング列車が来年3月末日まで運行している。

吉都線ラッピング列車

運行日(予定):
 現在運行中-2019年3月末にかけて。
 ラッピング列車は、吉都線以外に肥薩線、日豊本線でも運行する。

デザインのコンセプト:
 キットカットの商標ロゴである「キット、願いかなう。」や、「吉」という文字が入っている吉都線、さらに沿線には霧島六社権現の東霧島神社(都城市)など縁起のよい資源が多いことから、「乗ると願いが叶う列車」というコンセプトで、小林高校美術部がデザインした。だるまや招き猫、梅の花、霧島山が描かれている。

記念企画:
 JR吉都線利用促進協議会(都城市、小林市、高原町、えびの市、鹿児島県湧水町の5市町から構成)で、下の記念企画を行う。

乗ると願いがかなうつり革

1)ラッピング列車の内装装飾
 「乗ると願いがかなうつり革」の設置と、外装のデザインに合わせたシールにて装飾を行う。
2)オリジナル包装のキットカットのプレゼント
 運行期間中、都城駅、小林駅、高原駅、吉松駅にて、吉都線の切符を購入した人に、吉都線オリジナル包装したキットカットを先着6千人にプレゼント。
3)絵馬企画
 「乗ると願いがかなう列車」というコンセプトから、各駅に絵馬の掲出台(上記の4駅+えびの飯野駅の計5駅)を設置し、願い事を絵馬に書いてもらう。絵馬は東霧島神社に奉納する。
4)スタンプラリー企画
 運行期間中、絵馬の掲出台にスタンプを設置。5駅中3駅のスタンプを集めるとネスレ商品(キットカット日本発売45周年記念アソートやネスカフェゴールドブレンドバリスタなど)や地元沿線市町の特産品セットが合計80人に当たるスタンプラリーを開催する。

吉都線

 鹿児島県の吉松駅から宮崎県の都城駅まで61・6㌔を結ぶ、JR九州の鉄道路線。肥薩線と日豊本線に接続している。沿線にはトンネルが1つもなく、田園地帯や霧島山の眺望など、車窓からの景色が楽しめる。途中の「えびの駅」は、昔ながらの趣をとどめた築100年を超える木造駅舎で、国の有形文化財にも登録されている。

LCC2社が年末年始の予約状況を発表

2018年12月26日(水) 配信

両社とも、国内線の予約数が大幅に伸びた

LCC(格安航空会社)のピーチ・アビエーションとジェットスター・ジャパンはこのほど、年末年始(2018年12月28日(金)~19年1月6日(火))の予約状況を発表した。国内線上りのピークは、ピーチが12月29日(土)、ジェットスターが1月6日(日)。下りは、ピーチが12月28日(金)、ジェットスターは、1月1日(火)となった。両社とも、国内線の予約数が大幅に伸びた。

ピーチ・アビエーション

■国内線

提供座席数:12万7800席(前年同期比14・0%増)

予約数:9万8375人(同14・0%増)

予約率:77・0%

ピーク

上り:18年12月29日(土)―81・8%

下り:18年12月28日(金)―82・2%

方面別では、北海道と九州方面が好調

■国際線

提供座席数:7万4160席(同6・0%増)

予約数:6万5528人(同9・0%増)

予約率:88・4%

ピーク

上り:18年12月29日(土)・19年1月5日(土)―91・3%

下り:18年12月30日(日)―96・0%

方面別では、台湾、上海方面を中心に全体的に好調に推移した

ジェットスター・ジャパン

■国内線(全21路線)

提供座席数:20万8440席(同22・2%増)

予約座席数:14万3280人(同19・7%増)

予約率:68・7%

ピーク

上り:19年1月6日(日)―84・0% 

下り:19年1月1日(火) – 75・1%

■国際線(全9路線)

提供座席数:2万3580席(同5・8%減)

予約座席数:2万28人(同3・0%減)

予約率:84・9%

ピーク

日本発:18年12月28日(金) – 91・9%

日本着:18年12月28日(金)・19年1月2日(水) – 88・4%

年明けうどんを食べて、太く長く幸せに生きる1年に 香川県、東京でPR

2018年12月26日(水) 配信

年明けうどん(イメージ)

香川県は1月4日(金)から、愛媛県と共同で設置するアンテナショップ「香川・愛媛せとうち旬彩館」で年明けうどんのPRイベントを行う。

 年明けうどんとは、白いうどんに赤いトッピングを加え、年の初め(1月1~15日)に食べることで、その年の幸せを願うもの。2008年に、県内のうどん団体などが年越しそばからつながるものとして提唱した。旬彩館2階レストラン「かおりひめ」では、紅いあん餅が入った「さぬきの年明けうどん」を提供。 また来店者へのプレゼントを配布するほか、1 階特産品ショップでも半生麺の「年明けうどん」 製品を販売している。

 県関係者は「年明けうどんを食べて、太く長く幸せに生きる1年に。ぜひ、おめでたい香川の食文化を味わってください」とPRする。

 また「かおりひめ」では、正月に欠かせない香川県のご当地雑煮と郷土料理「押し抜き寿司」も味わえる。香川の雑煮は、甘い白味噌の汁に、あんこ入りの丸餅と紅白を意味する人参と大根が入っている。1階特産品ショップでは、冷凍のあん餅と白味噌を販売しているので、自宅でも香川の味を楽しむことができる。

あん餅の入った香川の雑煮(イメージ)

キャンペーン概要

期間:2019年1月4日(金)~1月15日(火)

価格:「さぬきの年明けうどん(紅いあん餅入り)」税込 750 円

   「香川の雑煮」税込880円

うどん川柳ステッカー

プレゼント:

1・期間中、「かおりひめ」で食事をした人、各日先着60人に「年明けうどん」製品(乾麺・2人前・スープ付)をプレゼント

2・期間中、かおりひめで「さぬきの年明けうどん(紅いあん餅入り・税込750円)」を注文した人先着200人に「うどん川柳ステッカー1枚」(デザインは選べない)をプレゼント

観光庁、19年度予算に2・4倍の666億円 出国税歳入は500億円

2018年12月26日(水) 配信 

総計は711億600万円に

 

政府は2018年12月21日(金)に2019年度予算案を閣議決定した。観光庁関係予算は、復興枠を除き前年度から2・42倍の665億9600万円となった。プロモーションを強め、入国から観光地まで快適な移動を提供し、旅先での体験をより楽しめるようにしていく。19年度は来年1月7日から始まる国際観光旅客税(出国税)の税収が満年度化し、関係予算の約7割を超える485億円を計上した。東北の復興枠は同1%減の45億1千万円で、総計は同2・21倍の711億600万円となった。

 出国税は観光庁に一括計上したあと、関係省庁に移し換えて執行する。19年度の執行官庁分は計251億5千万円となり、出入国環境や国立公園を整えるほか、文化財活用などを進めていく。

 関係予算の柱は3つ。「受入環境整備」に278億6500万円、「情報発信と観光産業の基幹産業化」に148億7600万円、「体験滞在の満足度向上」に224億4100万円を充てる。2020年東京五輪を目前に、とくに外国人旅行者への対応事業が目立った。

 なお、19年度の定員要求では、外国人旅行者の受入促進のための体制整備を行う「国際観光部」と同部長を創設する。あわせてMICE・IR担当の参事官も創設する。

受入環境整備

 「受入環境整備」では、さまざまな段階でストレスなく旅を満喫できるよう取り組みを強める。「円滑な出入国の環境整備」に70億6300万円(執行官庁:法務省、出国税充当事業)、「円滑な通関等の環境整備」に30億1100万円(財務省、出国税)を充てる。空港・港湾周りだけでなく、2次交通の整備にも力を入れる。

 出入国環境では、これまで日本人だけだった顔認証ゲートを外国人旅行者の出国手続きにも活用する。通関環境は空港や港湾における税関検査に最先端技術を導入する。空港では電子申告ゲートの整備を進め、事前にアプリで申告すれば、検査なしで自動化ゲートを通れるようにする。港湾では、ボディススキャナなどを取り入れ、現行の検査による長蛇の列の解消をはかる。

 「FAST TRAVELの推進」には35億円(出国税)を充当する。チェックインから手荷物預入、保安検査場、搭乗まで自動化・顔認証化を進める。最終的にはパスポートやチケットを一度かざせば、そのあとは顔認証で通過できるようにしていく。

 「公共交通利用の革新等」には55億円(出国税)をつけた。外国人来訪者がとくに多い観光地までの、公共交通利用環境を刷新する。ニーズが高い「多言語対応」「無料Wi-Fi」「トイレ洋式化」「キャッシュレス決済対応」の4つをセットで支援(補助率2分の1)する。路線や事業者の事情を踏まえ、「非常時のスマートフォン等の充電環境の確保」「手ぶら観光」などの追加支援も行っていく。

 「『まちあるき』の満足度向上」に30億5千万円(出国税)を充てる。外国人旅行者がとくに多い観光地で「駅から観光スポットまでを面的・空間的に外国人旅行者への対応を強める」(同庁)という。

 具体的にはデジタルサイネージ整備や、ICT活用した多言語観光案内標識の一体的な整備、古民家などの歴史的資源を活用した観光まちづくりなどを集中的に支援する。事業区分で異なるが最大10分の8を補助する。

 一方、「公共交通利用の革新等」と「『まちあるき』の満足度向上」の対象地域は観光庁が指定する。地域要件は外国人旅行者数がとくに多く、またはその見込みがある観光地とする。海外の口コミサイトや人気ガイドブックでの掲載状況なども判断材料とする。

 さらに「外国人旅行者の評価がすでに高い観光地」「重要な文化財や国立公園が所在する地域」「国際的なイベント・会議の開催等により、外国人旅行者の来訪が多く見込まれる観光地」を含むものとする。

「情報発信と観光産業の基幹産業化」

 「情報発信と観光産業の基幹産業化」は148億7600万円を計上した。日本政府観光局(JNTO)のプロモーションや、観光産業の生産性向上、住宅宿泊事業(民泊)の普及などを実行する。

 「ICTの活用等による先進的な訪日プロモーションの実施」で51億4900万円(出国税)を充当し、デジタルマーケティングを強化する。JNTOデータベースにビッグデータを蓄積してプロモーションの見直しや改善をはかる。

 ポスト東京五輪も見据える。「戦略的な訪日プロモーションの実施」には90億4900万円を充て、国別戦略徹底のほか、既存重点20市場以外でJNTOの現地事務所の設置準備を進める。市場調査や先行したプロモーションなども行う。

 検討しているのは、ドバイやサウジアラビア、メキシコ、ブラジルなど、中東・中南米の「訪日インバウンドの成長が見込まれる市場」とした。訪日者数や経済成長率などを分析し、対象市場を詰めていく。将来的には重点市場へ組み込む可能性もあるという。

 基幹産業化については「観光産業の生産性向上推進事業」で99億円を投入する。生産性向上につながる取り組みの調査事業を行い、業界全体の底上げを目指す。人材不足に対しては1億6200万円を充てる。改正入管法施行により外国人労働者の拡大が見込まれるため、受入環境整備に向けHPなどのプラットフォームづくりを進める。 

 このほか、「健全な民泊サービスの普及」に1億9300万円を充当し、違法物件の排除を促進する。違法性が疑われる物件を抽出・一覧化して地方自治体などが確認できるようにする。「違法物件の特定ができ、しっかりと指導改善につながるシステムをつくる」(同庁)。現状、物件の住所などが掲載されていないため、物件の特定が困難といった状況を打破していく。

「体験滞在の満足度向上」

 「体験滞在の満足度向上」には224億4100万円を計上する。地域資源や観光資源を整えて、体験はもちろん滞在中の満足度を上げていく。

 「インフラを始めとした地域資源を活用したコンテンツの造成等」に13億円(出国税)を充当する。例えば巨大地下神殿と称される埼玉県の首都圏外郭放水路などを、これまで観光資源として注目されていなかったインフラを磨き上げる。とくに外国人旅行者向けのツアー造成を推進していく。

 「最先端観光コンテンツインキュベーター事業」も13億円(出国税)を充てる。AR(拡張現実)やVR(仮想現実)を活用するなど、新たな観光コンテンツ、潜在的なコンテンツを開拓し育て上げる。 

 「DMO事業」に関しては、世界水準のDMO形成事業促進など、22億9600万円(出国税)を充当する。投資戦略やビジネスモデルを確立するための外部専門人材の登用に、1500万円を上限に補助などを行っていく。

 執行官庁で最も多い移し換えとなる100億円を充てて、「文化資源を活用したインバウンドのための環境整備」(文化庁、出国税)を進める。文化財の保護の観点ではなく、観光利用を念頭に観光コンテンツ化していく。新たな付加価値として、姫路城での千姫の生活体験など、文化財における“生きた歴史体験プログラム”を整えていく。

 「国立公園のインバウンドに向けた環境整備」には50億8千万円(環境省、出国税)を投入する。現在全国にある34の国立公園で、廃屋撤去や街並みの改善などをはかり、滞在環境の上質化をはかる。ナイトツアーを含む外国人旅行者向け野生動物ツアーも造成する。JNTOグローバルサイトには、国立公園のモデルルートや体験アクティビティを掲載し、予約までできるよう一元化する。

 なお、皇室秘蔵の美術品を収蔵する三の丸尚蔵館の整備に15億円(宮内庁、出国税)を計上した。これを合わせて出国税の歳入総額は500億円とするが、15億円は宮廷費として例外的に扱う。25年に整備が完了するまで、毎年度経費を計上する見通し。