【ナビタイムジャパン・藤澤氏に聞く】レンタカー利用の実態調査、外客向けマーケティングを支援

2017年12月14日(木) 配信

藤澤 政志 氏
ナビタイムジャパンインバウンド事業部長。2016年から、日本政府観光局(JNTO)インバウンド戦略部調査コンサルティンググループ調査役兼、グローバルマーケティング部デジタルマーケティング室調査役を務める。

 自治体と手を携え、地域の観光振興に力を入れるナビタイムジャパン。今回、インバウンド事業部の藤澤政志部長を訪ねた。

 レンタカーを利用した2次交通の発達が、訪日外国人旅行者数増加や地方の観光振興に結びつくと考えてきた藤澤氏。7月に配信を開始したスマートフォン端末用アプリ「Drive Hokkaido!」を中心に、「北海道ドライブ観光促進社会実験」での取り組みについて話を聞いた。

 収集した利用者の動態データは今後、各観光施設に提供する予定で、地域のマーケティング力アップも狙う。10月には、訪日外国人向けの高速道路の乗り放題パスが発売され、レンタカーに着目した取り組みは、さらに弾みがつきそうだ。【謝 谷楓】

 北海道観光の課題に向き合う

 ユーザーの移動補助と、移動経路・立ち寄りスポットのデータ分析を目的としたアプリ「Drive Hokkaido!」。国土交通省北海道開発局(和泉晶裕局長)が行う「北海道ドライブ観光促進社会実験」の一環として7月から配信をスタートした。アプリは、カーナビゲーションを使ったレンタカー移動を手助けするほか、旅道中のオススメスポットや、施設の特典(クーポン)情報も掲載する。

 北海道は、有名観光地に旅行者が偏在する課題を抱えている。道経済部観光局がまとめた「北海道観光の現況2016」でも指摘されており、道内さまざまな地域への誘客を実現するアイデアが求められてきた。

 移動と観光資源の周知をサポート

ピンク色部分がPANORAMIC DRIVING ROUTE。ルートを参考にして、未知の観光スポットにも興味を持ってほしいという。(クリックで拡大)

 アプリを立ち上げると北海道を13エリアに区分した「エリアセレクト」画面が表示される。目的地の位置するエリアを選択すれば、オススメのルートが、マップコードと共に表示される。

 「北海道を訪れる観光客は、予め目的地を定めている方がほとんど。必要な情報は目的地とその近辺になるため、エリアを選択してもらい、カーナビゲーションシステムにマップコードを入力して、まずは目的地に向かう使い方を想定した」と語る。

 全部で43のオススメルートは「PANORAMIC DRIVING ROUTE」と名付け、道中立ち寄れる観光スポットや施設も画面をスクロールするだけでチェックできるようにした。ドライブ中、興味を誘うスポットを探せるようにすることで、あまりポピュラーでない観光資源の周知も実現した。

 藤澤氏は、「北海道は広く、レンタカーで移動するのが一般的。これまでは、札幌や富良野といった有名観光地の間にある施設は見過ごされがちだった」と語ったうえで、「どの道路を走るかを提案することが、地域へと旅行者を誘うためには必要となる」と強調。アプリは、カーナビゲーションを補助しつつ、さまざまな地域へのアクセスを提案する仕様で、課題に応えるものとなっている。

 データ分析で、施策立案に寄与

事業コンセプトについて語る藤澤氏。

 7月のアプリ配信から約4カ月。現在、移動経路・立ち寄りスポットのデータ分析を実施している最中。来年3月を目処に、詳細な分析結果を発表する予定だ。

 データの収集と分析を通じ分かったことは多い。11月30日までのアプリ利用者数(日本語を除く)は3634人で、アンケート調査を通じ国・地域別の利用者数も把握した。トップは香港の583人。シンガポールと台湾、マレーシア、タイ、韓国、オーストラリアが続き、アジアからの来訪者の多さが目立つ結果となった。【表1参照】

 「リピーター数の多さも、アンケート調査を通じ明らかになりました。北海道を訪れたことのある外国人は37%で、5回以上のリピーターは10%に上ります。観光スポットランキングでも、訪道回数3回目や20回目以上のインバウンドでは『道の駅』など、初回訪問時には見られないワード(場所)がランクインしているのが際立ちます」と指摘する。

 「訪問回数にかかわらず人気なのが『大雪山層雲峡・黒岳ロープウェイ』。北海道の自然を満喫しようとするなら、やはり一番はロープウェイと考える観光客が多いことを示しています」と続ける。実験で得たデータは今後、誘客促進につながる道しるべ(掲示物や標識)の設置を行う際の拠り所として役立つ。

 特典(クーポン)の検索ランキングなど、収集データは各施設にも提供されることとなっており、地域事業者のマーケティング力アップにも寄与すると予想される。

 アプリの利用時間調査からは、主な観光時間帯が午前10時と午後2時であることを知ることができた。「注目すべきは、午前1―6時の深夜から早朝に掛けて検索するユーザーが存在する点です。半年の間、定期的に北海道を訪れドライブしましたが、朝食を摂れる施設が少ないことを実感しました。分析結果を発表する際には、朝食の提供を促す施策も提案できるかもしれません」。

表1:実施しているデータ分析の一部。来年3月を目処に、詳細な分析結果を発表する予定だ

 レンタカー会社と協力し、地域への誘客実現

 同実験に携わる以前から、観光資源の発掘や、訪日外国人旅行者の地方誘致に尽力してきた同社。レンタカーを通じた移動の重要性に気づくと同時に、「バスだけだとどうしても限界がある。外国人旅行者にはぜひともレンタカーを使って、地域を巡ってほしいという思いがあった」という。

表2:同実験に参画する各施設で活用されているポップアップ。
表3:アプリクーポンの掲示のお願いや、施設内でのWi―Fiの有無を、指差すだけで確認できる。アプリと連動した取り組みだ。

 地域の主要エリアから離れた場所にも、魅力的な観光資源は存在する。さらなる消費額増加につながるリピーターを取り込むためにも、レンタカーを利用しての移動は必要不可欠との見解に辿り着いた。

 「レンタカー利用者の増加を実現するためには、ユーザーの要望にいかに応えるかが課題としてあった。同実験で獲得したデータは、レンタカー会社との連携につながるもの。レンタカー会社には、サービス提供時のツールとしてアプリをユーザーに勧めてほしい」と力を込める藤澤氏。

 今後は、検索システムやアプリを通じ、レンタカー会社をサポートすることで、ナビゲーション事業者としての存在感を高める構えだ。

 なお、データ分析を可能としたアプリは、地域に合わせてカスタマイズすることができ、応用が利く。同社にとって、今回の取り組みによる収穫は大きい。

歌舞伎町で、「リアル脱出ゲーム」を楽しもう!

2017年12月19日(火) グランドオープン

会見には、(左から)安藤なつさん(メイプル超合金)と、カズレーザーさん(メイプル超合金)、加藤代表、倉見尚也イープラス社長、近石愛作Cygames管理本部長、岩崎正幸ニッポン放送社長、くまッキー(東京ミステリーサーカス団長)が登壇した

東京・歌舞伎町に、「東京ミステリーサーカス」がグランドオープンすることとなった。リアル脱出ゲームを展開するSCRAP(加藤隆生代表)を中心に、新しいエンターテインメント空間を目指す。一過性のイベントではなく、常時リアル脱出ゲームを楽しめる施設となっている。英語対応にも力を入れるという。

 12月14日(木)には、現地で記者会見が行なわれた。「見たり読んだりするだけでなく、物語を何度も体験できる場所をつくりたかった」と強調する加藤代表。「選ばれた少数ではなく、皆に開かれた空間」づくりを通じ、ユーザーの日常を豊かにしていきたいと意気込む。

施設について紹介する加藤代表

 同社は10年間、リアル脱出ゲームのコンテンツ開発に従事。百貨店や、JR山手線の車両内など、場所を問わないユニークな企画で、多くのファンを魅了してきた。リアル脱出ゲームを軸に、マンガやアニメ作品とのコラボも多い。本紙としては、老舗旅館を舞台にしたリアル脱出ゲームの誕生が待ち遠しい。

 新たに誕生する「東京ミステリーサーカス」では、歌舞伎町全体を舞台にしたゲームを用意。リアル捜査ゲーム「歌舞伎町探偵セブン」では、実際に自分の足で情報収集に出向かなくてはならない。ユーザーは、歌舞伎町のバーやキャバクラ、住宅などを巡り謎解きを行う。

 会見には、お笑い芸人コンビ「メイプル超合金」も登壇。加藤代表とともに、施設の魅力をPRした。

長野県観光情報特集サイト「アラウンド長野」がリニューアル

2017年12月14日(木) 配信 

おすすめの温泉地からインスタ映えスポットまで長野県の旅の楽しみ方を提案

国内の着地型旅行商品を企画・実施する観光販売システムズはこのほど、「日本版DMO」に登録された(一社)長野県観光機構と共同運営する長野県のツアー予約サイト「VISIT長野県」内の観光情報特集ページを、2018年の誘客に向けてリニューアルオープンした。

 長野県内の観光情報を動画を活用して紹介!

 特集ページのタイトルは「AROUND NAGANO(アラウンド長野)」。長野県観光機構の会員が実施する現地ツアーを掲載したパンフレットと連動し、2017年3月に公開した。各ツアーの販促ツールとしてのみならず、自然豊かで歴史・文化など多彩な観光資源がある長野県内をぐるっと周遊してほしいとの願いを込めて、県内全域のおすすめ観光スポットの情報や楽しみ方の提案を掲載している。

 今回のリニューアルでは、記事と連動し、旅の魅力を伝える30秒動画(30secondstrip)をトップページに公開。9つのテーマに合わせて、長野県内在住のライターによる27の記事を掲載した(12月13日現在)。今後も季節のおすすめスポット情報、フォトジェニックな撮影スポットなど、観光客目線での情報が発信される予定だ。

 サイトの特徴

動画を活用した魅力あふれるトップページ
 長野県内で撮影した30秒動画(30 seconds trip)と連携し、旅へのモチベーションを高める。

テーマ別に探しやすい記事
 掲載している記事は、一覧ページだけでなく「自然、絶景、体験、花、食、ワイン・日本酒、祭り・イベント、歴史、温泉」という9つのテーマから検索ができる。また、マップから探すこともでき、具体的に行きたい場所がある方にも便利。

9つのテーマから検索できる

記事と関連するツアーのオンライン予約・カード決済が可能

 単なる観光情報サイトに留まらず、記事と関連するツアーや、周辺観光地のツアーも掲載。サイト内にて予約・カード決算ができるので、ユーザーの素早いアクションにつながる。

ワンストップでオンライン予約・カード決済が可能

【アラウンド長野】

旅の魅力を伝える30秒動画(30 seconds trip

 30 seconds trip(30 セカンド トリップ)は、日本国内の人気の旅行・観光スポットの魅力を30秒の旅動画で紹介しているフィールドデザイン(長野県長野市)が運営するサイト。コンセプトは「いますぐ出かけよう 30秒の旅へ」。オーソドックスな観光地紹介ではなく、その場所を旅した気分を味わってもらうため、モデルの表情や体験風景などを含めたストーリーが好評。

30 seconds trip「いますぐ出かけよう 30秒の旅へ。」

【30 seconds trip】

サイト運営主体

(一社)長野県観光機構 

観光販売システムズ 

動画提供会社

フィールドデザイン 

 

静岡市、世界に輝くアイテムを一堂にPR

2017年12月14日(木) 配信

静岡市が世界に誇る魅力あふれるアイテムを熱くPR

世界に輝くまちに。静岡県静岡市は12月13日(水)、東京都内で観光プレゼンテーションを実施。市が世界に誇るさまざまな魅力を一堂に披露した。

 「食」と「歴史」、「産業」の3つに分けて行われた今回のプレゼンテーション。「食」では静岡市の代表的な味覚「桜えび」を紹介。生で食べられる秘訣となる衛生管理の内容をPRした。「歴史」からは、市の郷土の偉人徳川家康を選出。居城駿府城発掘調査のようすを報告した。「産業」分野では、静岡の名前を冠したウイスキーづくりなどを紹介。会場ではアジア最大規模の「大道芸ワールドカップ」の紹介に関連し、大道芸も披露された。

11月の4日間、市内のいたるところで大道芸が楽しめる

江戸城よりも大きい? 駿府城天守台発掘調査

発掘体験には多くの参加者が集まった

 駿府城では現在16年からの4年計画で、天守台発掘調査が進められている。ここまでの調査で高さ5・6㍍、南北約68㍍の石垣が出土。江戸城よりも大きな城であったことが確認されている。市ではこの発掘調査を「見える化」し常時公開しているほか、観光客向けの体験発掘を実施。「発掘情報館きゃっしる」を発掘現場内に設け、出土した品を展示。21年には歴史文化施設を新たにオープンさせ、徳川氏や今川氏など氏ゆかりの人物を中心とした郷土史の発信に注力する。

目指すは静岡の原料でつくるウイスキー

ウイスキーを通じて「静岡」を世界に

 16年9月、日本に8年ぶりの新規国産ウイスキー蒸留所「ガイアフロー静岡蒸溜所」が誕生した。1樽ごとにオーナーとなる制度で、小さい樽でも30万円する価格にも関わらず、16年販売分は即日完売。海外からの注目も高い。中村大航社長は現在、麦や水、酵母などウイスキーの原料すべてを静岡産のものでそろえられるよう、準備を進めている。またウイスキーづくりを観光誘客や移住促進にも活用。蒸留所は18年春ごろに一般公開を開始する予定で、発酵樽を見ながら、ウイスキーの試飲が楽しめる。

天然温泉施設「竜泉寺の湯 湘南茅ヶ崎店」 12月下旬にリニューアルオープン

2017年12月14日(木) 配信 

外観イメージ

湘南地区最大級の天然温泉施設「竜泉寺の湯 湘南茅ヶ崎店」が、2010年の開業以来初となる大規模改装を実施し、17年12月下旬にリニューアルオープンする。

 湘南茅ヶ崎店は、「湘南」を意識した“南国リゾート バリ風”の内装に仕上げ、より快適で上質な「くつろぎ温活空間」へと生まれ変わる。湘南地区初となる「美泡の壺湯」をはじめ、既存サウナも一新。オートロウリュウサウナや女性に喜ばれるハーブの香るソフトサウナを新設したほか、人気のアロマ岩盤浴「Lagoo ラグー」ではまるで自宅のリビングいるかのようにリラックスできる休憩スペースを設け、身体と心の疲れを癒してくれる。

4Fフロントイメージ

 また、新しくオープンする湯上りキッチン「なみまくら」では、お年寄りの方にも喜ばれるように全席テーブル席に統一。ほかにも、ボディーケア・タイ古式・アカスリ・個室エステルームなどリラクゼーションもさらに充実する。

「5Fアロマ岩盤浴エリアイメージ

新たな設備が登場

「美泡の壺」

座り炭酸泉

 広い高濃度炭酸泉の隣に座って入れる「座り炭酸泉」を用意。背もたれと仕切りがついた炭酸泉はプライベート感たっぷり。

黄土オートロウリュウサウナ

 黄土タイルを貼りめぐらせた男性サウナには、「オートロウリュウサウナ」が新設。毎時定時に開始されるロウリュウは、熱せられた石に水が自動で落ちて高温の蒸気が室内に充満し、瞬間的に発汗を促しサウナの醍醐味を楽しめる。ロウリュウと遠赤外線のダブル効果で発汗作用を促し、体内の老廃物を除去してくれる。

黄土ハーブが香るマイルドサウナ

 女性サウナには、加湿でより発汗を促す「マイルドサウナ」を新設。加湿プラス芳香のハーブサウナがリラクゼーション効果をより高めてくれる。熱いサウナの苦手な方にもおすすめ。

美泡の壺

 湘南地区初の美泡の壺は、信楽焼きの陶板から湧き出す無数の気泡が身体にまとわりつき、肌に心地よい刺激を与えてくれる。湯がとてもまろやかで、泡から発生するマイナスイオンが森林浴と同じ癒し効果を楽しませてくれる。

リニューアルした設備について

アロマ岩盤浴「Lagoo ラグー」

富士山の見える露天風呂

 美泡の壺を新設した自慢の露天風呂は、「富士見の岩湯」をはじめ、バリエーション豊かな5つのお風呂があり、日中はゆったりと富士山を眺めながら、夜は落ち着きのある間接照明でしっとりとした時間をお過ごしください。

アロマ岩盤浴エリア「Lagoo ラグー」

 ブラックゲルマニウムや赤・白岩塩など6部屋のバリエーション豊かな茅ヶ崎地区最大級のアロマ岩盤浴がある「Lagoo ラグー」では、居心地のよい空間で多様な過ごし方を楽しめるエリアが新設される。専用のモニターで好きなTVを楽しめるリクライニングベット、雑誌や漫画が4千冊以上読み放題できるスペースには、ビーズのソファブランド「ヨギボー」を導入し包み込まれるような独特な座り心地の中で読書が楽しめる。落ち着く畳スペースなどもあり。

ドリンクコーナー「潤美茶房」

 身体に優しいフレッシュジュースやスムージー、 パフェ、ソフトクリームなど、入浴後や岩盤浴で疲れた身体を癒してくれる。

湯上りキッチン「なみまくら」

 モダンなデザインに生まれ変わったレストランは、食材にこだわった健康的な料理や料理長自慢のオリジナルメニューを数多く用意している。

竜泉寺の湯 歴史

 竜泉寺の湯は、1989年に日本で初めて「スーパー銭湯」と名付けた温浴施設を愛知県名古屋市守山区竜泉寺に開業し、スーパー銭湯のビジネスモデルの原型となった。人工炭酸泉が人の健康に大きく貢献すると考え、2000年に日本で初めて直営温浴施設6店舗に炭酸泉を導入、のちの炭酸ブーム火付け役ともいわれている。

店舗概要

店舗名:竜泉寺の湯 湘南茅ヶ崎店

所在地:神奈川県茅ヶ崎市中島1339-1

アクセス:新湘南バイパス茅ヶ崎西ICすぐ

営業時間:午前5:00~午前2:00

茅ヶ崎の日帰り天然温泉 竜泉寺の湯 湘南茅ヶ崎店 リニューアル工事と休館のお知らせ
http://ryusenjinoyu.com/chigasaki/renewal/
茅ヶ崎の日帰り天然温泉「竜泉寺の湯 湘南茅ヶ崎店」は、2017年10月2日(月)〜12月下旬まで、リニューアル工事のため休館となります。

トリップアド、外国人に人気の日本のホテルと旅館2017を発表

2017年12月14日(木) 配信 

京町家 楽遊 堀川五条

トリップアドバイザーはこのほど、「外国人に人気の日本のホテルと旅館2017」を発表した。旅館の「京町家 楽遊 堀川五条」が初登場で1位を獲得。ホテルは、昨年の5位から順位を上げて「ザ・リッツ・カールトン京都」が1位となった。

 初登場で旅館部門1位を獲得した京都の「京町家 楽遊 堀川五条」。京町屋の意匠に精通した建築家の内田康博氏が、“京町屋を新築して旅館にする”をコンセプトに一から設計した新築の京町屋旅館だ。

 16年6月にオープンしたばかりだが、すでに口コミで高い評価を得ている。温泉はないが、旅館の向かいに“五香湯”という銭湯があり、無料券を提供している。朝食に1947年創業の“まるき製パン所”のパンが供されるのも人気の1つ。ロビーではコーヒーや茶が飲め、パソコンも用意してある。

 旅館は20施設のうち7施設が初ランクインした。「京町家 楽遊 堀川五条」のほかに新しく登場したのは、「四万温泉 柏屋旅館」、「嵐山 辨慶」、「べにや無何有」、「霧の郷たかはら」、「湖南荘」、「渋温泉 古久屋」。

ザ・リッツ・カールトン大阪

 ホテル部門で初の1位を獲得したのは、「ザ・リッツ・カールトン京都」。祇園や河原町、先斗町などの繁華街に近く観光にも便利。鴨川のほとり、東山三十六峰を一望できる立地だ。

 ロビーに町屋建築特有の明るさと暗さのコントラストを取り入れた。ホテル内の随所に“源氏物語”をコンセプトとしたアートワークを施すなど、ラグジュアリーな空間の中に京都の伝統・文化をちりばめた。

 上位にランクインしたホテルの顔ぶれは昨年と大きく変わることはなく、今年も引き続き洗練されたサービスや眺望の良さ、設備の素晴らしさなどがポイントとなって評価された。

 今年初登場したホテルは、「ザ・リッツ・カールトン大阪」、「アンワインド ホテル&バー」、「ザ・プリンスギャラリー 東京紀尾井町」、「ザ ブリッジホテル 心斎橋」の4軒。今年2月に札幌に新にオープンした「アンワインド ホテル&バー」は、ロッジ滞在の魅力をホテルのスペックとサービスで提供するコンセプトのユニークなホテル。

外国人に人気の日本の旅館2017 トップ20(カッコ内は前年順位)

  1位 [初] 京町家 楽遊 堀川五条(京都府京都市)

  2位      陽気館(静岡県伊東市)

  3位 (1) 料理旅館 白梅(京都府京都市)

  4位 [初] 四万温泉 柏屋旅館(群馬県中之条町)

  5位 (3) 旅館 澤の屋(東京都台東区)

  6位 [初] 嵐山 辨慶(京都府京都市)

  7位 (12) 日の出屋(静岡県伊東市)

  8位 (15) 塵表閣 本店(長野県山ノ内町)

  9位 (13) お宿 山久(岐阜県高山市)

  10位 (17) 一茶のこみち 美湯の宿(長野県山ノ内町)

  11位 [初] べにや無何有(石川県加賀市)

  12位 (6) 旅館 藤乙(長野県南木曽町)

  13位      下呂温泉 冨岳(岐阜県下呂市)

  14位      湯田中温泉 清風荘(長野県山ノ内町)

  15位 (10) 旅館 山城屋(大分県由布市)

  16位 [初] 霧の郷たかはら(和歌山県田辺市)

  17位 [初] 湖南荘(山梨県富士河口湖町)

  18位 (7) 寿美吉旅館(岐阜県高山市)

  19位      元奈古(京都府京都市)

  20位 [初] 渋温泉 古久屋(長野県山ノ内町)

外国人に人気の日本のホテル2017 トップ20(カッコ内は前年順位)           

  1位 (5) ザ・リッツ・カールトン京都(京都府京都市)

  2位 (9) パレスホテル東京(東京都千代田区)

  3位 (1) コンラッド東京(東京都港区)

  4位 (3) パークハイアット 東京(東京都新宿区)

  5位 (7) ホテル ムメ(京都府京都市)

  6位 (6) 大阪マリオット都ホテル(大阪府大阪市)

  7位 (8) シャングリラ ホテル 東京(東京都千代田区)

  8位 (4) マンダリン オリエンタル 東京(東京都中央区)

  9位 (2) インターコンチネンタルホテル大阪(大阪府大阪市)

  10位 (11) アンダーズ東京(東京都港区)

  11位 (16) グランド ハイアット 東京(東京都港区)

  12位 [初] ザ・リッツ・カールトン大阪(大阪府大阪市)

  13位 (12) 東京ステーションホテル(東京都千代田区)

  14位 (15) 帝国ホテル東京(東京都千代田区)

  15位 [初] アンワインド ホテル&バー(北海道札幌市)

  16位 [初] ザ・プリンスギャラリー 東京紀尾井町(東京都千代田区)

  17位 (10) ザ・リッツ・カールトン東京(東京都港区)

  18位 (13) ザ・ペニンシュラ東京(東京都千代田区)

  19位 (14) セント レジス ホテル 大阪(大阪府大阪市)

  20位 [初] ザ ブリッジホテル 心斎橋(大阪府大阪市)

※評価方法…2016年10月から2017年9月の1年間に、日本のホテル・旅館に投稿された外国語の口コミ評価(5段階)の平均、口コミの投稿数などをもとに独自のアルゴリズムで集計したもの

旅館Top 20位のランキングは下記のURLからも閲覧可能

ホテルTop 20位のランキングは下記のURLからも閲覧可能

【handy japan・勝瀬博則社長インタビュー】無料無制限のスマホ 5カ月足らずで16万室契約

2017年12月14日(木) 配信

勝瀬 博則 氏
handy Japan 代表取締役社長 、ミシシッピ州立大学MBA
1992年から米国大手事業会社にて通信、サーチエンジン、ヘルスケア事業を手掛け、2015年世界最大のOTA, Booking.comの日本統括マネジャーに就任。現在は現職のほか、神奈川県観光政策統括アドバイザー、パソナ地方創生特命アドバイザー、フォートレスキャピタルマネジメント顧問などを兼任している。

 客室備え付きの無料スマートフォン「handy」が人気を集めている。2017年7月1日にサービスを開始。5カ月もたたず16万室(11月24日現在)以上と契約し、1日に約1千室のペースで増えている。全国のホテル総客室数の約18%のシェアを占め、東京都では約60%のホテルへ導入されていくことになる。今後は旅ナカのメディアとしての事業にも乗り出す。今回、handy japanの勝瀬博則社長にサービスや展望を聞いた。

【平綿 裕一】

無料無制限のスマホ「handy(ハンディ)」

 ハンディは無料無制限で国内外の通話やインターネット接続などが可能。観光情報の発信もでき、地図アプリは内蔵され目的地への誘導が可能だ。31カ国語に対応し、通常のスマホと同様の機能を備え、SNS(交流サイト)などの各種アプリのダウンロードも自由。

 施設のWebサイトはもちろん、口コミサイトにも連携し、利用者は外出時に持ち出せる。ワンタッチでコンシェルジュに連絡でき、外出先でアクシデントがあっても、素早く対応できる。

 11月までに日本で16万室以上に導入され、1日当たり約1千室のペースで増えている。厚生労働省の調査によると16年のホテル総客室数は約87万室で、全国で約18・4%のシェアとなる。サービス開始から5カ月足らずで、驚異的な伸びを示している。

東京都では約60%が導入へ

収益体系は2本柱にプラス1

 ハンディの収益の柱は2本ある。1つは、ホテルの室内に置くレンタル収入(月々980円から)。もう1つはハンディ内の広告収入となる。18年以降は2つに加え、ハンディを通してチケットなどを購入する際に、手数料徴収を始める予定。すでに海外拠点では導入済みで、日本での導入を急いでいる。

 勝瀬社長は「広告や手数料収入、情報発信ができることだけが特徴ではない。ハンディの操作情報などを集め、精密な顧客ニーズを“見える化”できる」と話す。

 施設はこれに対応し、相性のいい館内案内やプロモーションの露出度合いを上げるなど、データに則った戦略が打てる。効果測定をしっかりと行うことで、地域の観光を強化する一助になる。

「スタートアップという言葉は適切ではない」

 サービス開始は17年7月1日だが、「中堅クラスの実力を持ってスタートした」(勝瀬社長)と振り返る。

 日本参入時にシャープとの業務提携で約30億円の出資を得た。ハンディ自体の技術を持つTinkLabという会社は、オペレーション開始から4年以上が経過し、鴻海(ホンハイ)から130億円の出資を受けている。人材は提携先のシャープに加え、外資系OTAや、大手旅行会社などからも集めている。

 勝瀬社長の言う「スタートアップという言葉は適切でない」とは、これらの理由に基づいた自信のあらわれ。技術、資本、人材が潤沢にある。だからこそ市場に認められ、全国で導入が進んでいる。

RevPARが3・4%上昇

 導入して実際に利益が上がるのか――。

 すでにコーネル大学のホスピタリティマネジメント学部との共同研究を行っている。ハンディ導入後、3カ月以内にRevPAR(販売可能な客室1部屋当たりの収益)が約3・41%上昇し、1泊当たり5・1㌦(約570円)ほど上がったとの結果が報告されている。

 一方、ハンディ上で、客に直接プロモーションできる“プッシュメッセージ”という機能でも効果が出ている。喫食率が約2割と、スパの売上が約3割上がるといったデータもある。 

“旅ナカメディア”としての位置づけ

 11月に萩本良秀氏(じゃらんnet、@ぴあの元編集長)を編集顧問に迎えた。

 なぜか。「ある意味で旅行雑誌としての機能を追加し、情報端末の機能を拡充させる」(勝瀬社長)。ハンディ内のコンテンツを読み物として紹介。旅行者が初めて行く場所でも、安心して回れるよう地域情報を提供していく。

 とくに主導権を握りたいのは“旅ナカ”。ミレニアル世代が旅行のトレンドを作る現在、スマホの普及で客の行動パターンが変化し、旅マエから旅ナカに移行している。

 ハンディはデジタルメディアの機能を持つ。購入意欲がある客に、見逃すかもしれない情報をリアルタイムに訴求できるうえ、その場所まで誘導できる。

 「観光資源や旅行商品の売り手・作り手側の想いなども、旅ナカで旅行者に発信できる。面白いコンテンツを提供することで、地域の周遊観光の促進や、消費単価のアップにもつながる」。

読者規模という観点からも強みがある。

 観光庁のデータによれば、16年の日本全体の平均宿泊数は約1・3泊。つまり、1つの導入施設では1カ月に、約23人がハンディ内の旅情報を閲覧できる状況にある。

 23人掛ける16万室で1カ月約370万人、年間で4千万人以上の読者を得る機会がある計算だ。旅行でホテル旅館に宿泊し、その客へ直接訴求できる、ターゲティングメディアとしての潜在能力は大きい。

地方部に多い旅館には代理店制度で

 勝瀬社長は「旅館マーケットは非常に重要」と語る。旅館は地方部に多いが、地方部への営業は会社として体力がいる。

 ハンディは代理店制度を活用して、この課題を克服。全国に230人を超える営業を持つJTB商事などに、宿泊施設へ提案、契約の取り次ぎを委託した。これまでホテルが中心だったが、今後は全国約69万室を持つ旅館にも展開を進めていく。

 旅館側もメリットがある。ハンディはモバイル回線で客室や内線電話が可能。ハンディの画面を客室テレビに映すことができるミラーリング機能の拡充も検討している。旅行者はネット動画や自館のPR動画など、データ容量を気にせず大きなテレビで観られる。

 つまりハンディ1台でPBXやVODの代替が利く。さらに来年以降はルームキー機能の搭載や、ハンディによるチェックイン・アウトの自動化も視野に入れている。人件費削減や、生産性向上にも寄与していく方向だ。

「コネクティビティ」

 「我われが非常に重要視している言葉は『コネクティビィティ(つながること)』」。

 日本にいても、海外の家族や友達らとつながることができ、連絡が取れないといった“心配のない”社会を目指す。ハンディを社会のインフラへ進化させていく。つながることに心配ない世の中であれば、旅がより楽しくなる。

 新たな通信サービスとしての期待は大きい。日本政府観光局(JNTO)が提供を始めた観光情報アプリの、プロモーション連携で参画している。政府が掲げる目標達成に向け、「観光立国の下支えをしていきたい」と勝瀬社長は力を込める。

【中華民国旅館商業同業組合全国連合会・徐 銀樹名誉理事長に聞く】魅力満載の台湾へようこそ

2017年12月14日(木) 配信

徐銀樹氏(右)と石井本紙社長(東京国際飯店で)

 本紙の石井貞徳社長は12月3日、台湾・台北を訪れ、中華民国旅館商業同業組合全国連合会の徐銀樹(じょ・ぎんじゅ)名誉理事長に、日本と台湾の観光をテーマに話を聞いた。会場は、徐氏が経営する東京国際飯店。徐氏が語った内容は次の通り。

 台湾と日本は地理的にも、歴史的にもつながりが深く、最も友好的な関係にあります。一度訪れると、また訪れたくなる国であると信じています。近年、台湾と日本の間で観光業はますます盛んになり、両国の観光業にとって最も良好な関係でありますが、数字を見ると、両国の差が歴然としています。

 2016年に日本を訪れた台湾人は400万人を超えました。一方、台湾を訪れた日本人は200万人弱で2倍以上の差があります。台湾人の日本への出国者数は全出国者数の約30%を占め、総人口のうち5・5人に1人が日本を訪問したことになります。

 日本人の台湾への出国者数は全出国者に占める割合は約11%。日本の総人口で見ると、66人に1人が台湾を訪れたにすぎません。また、今年1―10月までの訪日台湾人はすでに約390万人に達し、前年を上回る勢いです。一方の訪台日本人は約150万人と、今年の両国間の観光者数の差は16年をさらに上回るものと推測されます。

 日本政府は「観光立国」に向けて、20年までに訪日外客数を4千万人にする目標を掲げています。国レベルで観光客誘致を奨励し、この動きに応えて多くの都道府県や市町村が、地元の観光地のPR活動のために台湾を訪れていることと大きく関係しています。日本の真摯で積極的な取り組みは、台湾の政府や関係者も多いに見習うべきだと思います。

 台湾人は人にやさしく、人情味に溢れ、日本人にも負けないくらいの「おもてなし」の精神で日本からのお客様を迎えています。食べ物が美味しく、グルメの国としても有名で、魅力満載の国です。言葉が分からなくても看板などの漢字を見ればおおよその意味が分かりますし、歴史的な背景や日本への親近感から、台湾には日本語が分かる人が多く、買い物や観光でも不自由が少ない。観光バスやガイド、説明書など至る所に日本語の記載があります。

 Wi―Fiの普及率も高く、観光情報の収集が簡単に行えますし、各地に旅行サービスセンターがあります。治安が良く、物価も日本と比べ安く、衛生や医療面でもハイレベルであることも台湾の魅力の一つです。日本の皆様のお越しを心からお待ちしています。

■プロフィール
徐 銀樹氏
 1981―88年まで日本に留学し、亜細亜大学、日本大学大学院を卒業。東日本大震災直後から、福島をはじめ東北地方の復興支援に赴いた親日家。

 

第43回 プロが選ぶ日本のホテル・旅館100選発表

2017年12月14日(木) 配信

加賀屋1位に返り咲く

 旅行新聞新社が主催する第43回「プロが選ぶ日本のホテル・旅館100選」、第38回「プロが選ぶ観光・食事、土産物施設100選」、第27回「プロが選ぶ優良観光バス30選」、第1回「プロが選ぶ水上観光船30選」と選考審査委員特別賞「日本の小宿」10施設が決定した。「プロが選ぶ日本のホテル・旅館100選」は、加賀屋(石川県・和倉温泉)が1位に返り咲いた。また今回新設した「プロが選ぶ水上観光船30選」の1位は、最上峡芭蕉ライン観光(山形県・戸沢村)となった。各賞入選施設を2、3面に掲載。表彰式と祝賀パーティーは、来年1月23日、東京・新宿の京王プラザホテルで開かれる。

 「プロが選ぶ日本のホテル・旅館100選」は全国の旅行会社(本社主要部門、営業本部、支店、営業所を含む)1万6623カ所に投票用紙(専用ハガキ)を配布。10月1―31日までの投票期間中に「もてなし」「料理」「施設」「企画」の各部門で優れていると思われる旅館・ホテル、さらに観光・食事施設、土産物施設、観光バス会社、水上観光船を推薦してもらった。

 11月16日には後援団体の全国旅行業協会(ANTA)や日本旅行業協会(JATA)、旅行雑誌編集者らで構成される選考審査委員会を東京都港区の浜松町東京會舘で開催。総合100選と25室以下の小規模な宿を対象とした選考審査委員特別賞「日本の小宿」10施設を決定した。今年度から旅行ペンクラブの松田十泊氏が選考審査委員に新たに加わった。

水上観光船30選新設、芭蕉ライン観光1位に

 今回新たに、湾内や湖上河川などで運航される遊覧船や舟下りなどの推薦を募り表彰する「プロが選ぶ水上観光船30選」を新設した。

 推薦の対象は、日本各地の海上(湖、沼、河川を含む)で船舶を使い、定期航路で不特定の人を運送する事業者。フェリーは対象とするが、チャーターが主のクルーズ船は除いた。

 近年、新造されるフェリーでは、上質な旅を望む利用者の声に応えるため船室のバリエーションが増えている。一方、各地で運航される遊覧船は、四季に合わせた演出、屋形船では人気のエンターテインメントなど、多彩な工夫が見られる。

 湖上遊覧の「白鳥船」と大型「フェリー」とが観光船として1つのランキングに並ぶという、かつてない試みのなか、栄えある第1回の頂点には「最上峡芭蕉ライン観光」(山形県・戸沢村)が選ばれた。…

※詳細は本紙1695号または12月20日以降日経テレコン21でお読みいただけます。

2017年の観光業界を振り返って 旅行者に安心感を与える信頼が大事に

2017年12月14日(木) 配信

2017年もあとわずか

 あまり意識しないうちに、カレンダーは最後の1枚となった。12月に入り、年末が近づくと毎年、1年を振り返るイベントなども増えてくる。今年の10大ニュースなども、さまざまなメディアで紹介される時節だ。そうするとフィナーレに向けて師走の歩みも加速していくが、残り少ない当年を「今年はどんな年だったのだろう」と思い返したくなってくるのも人情である。本紙も今年の最終号となる今号(12月11・21日付)の 6―7面で、「見出しで振り返る2017年の観光業界」を掲載している。

 2017年の観光業界も色々なことが起こった。

 なかでも強く印象に残っているのが、格安海外旅行ツアーを販売する「てるみくらぶ」の航空券の発券を巡るトラブルだ。消費者への被害総額が100億円規模にも及び、旅行会社に対する信頼が著しく損なわれた。

 本紙でもこの件を追い続け、9月21日号では、「観光庁は来年4月から、第1種旅行会社を対象に、国による強制加入の保証制度である弁済業務保証金の引き上げを行う。合わせて民間の任意の保証制度であるボンド保証制度への加入も促進していく」と報じている。大きな事故やトラブルが発生すると、再発防止へ制度を強めていく流れになるのが常だ。

 昨今、世界中でテロが頻発するなど、旅行者にとっても危険な状況になっている。海外旅行をする際には、安全性がこれまで以上に重要になっている。私自身も海外に行くときは、最も信頼できる旅行会社を選ぶようにしている。個人で航空会社や宿泊施設を予約することが簡単になり、旅行会社の存在意義を薄く感じる人もいるかもしれない。しかし、これからの時代、旅行会社を通したツアーを選ぶ「安心感」を求める人は増えてくるはずだ。旅のプロである旅行会社は、危険なエリアや注意すべき点を教えてくれ、何かトラブルに巻き込まれたときには対応してくれる。このサポート力こそが安心して旅行ができる心強いパートナーとして、旅行会社の信頼感を高める。

 宿泊もそうだ。今年、旅館軒数がついに4万軒を割ってしまった。住宅宿泊事業法の施行によって民泊を含め、選択肢が飛躍的に広がっていく。18年は旅館にとってさらに厳しい環境になるかもしれない。多種多様な新規参入者も現れるだろう。

 旅館は、さまざまな難しい基準をクリアしていることによる、安全性の高さがある。さらに長い年月営業してきた信頼も大きい。これらは、旅行者に大きな安心感を与える。

 最後に本紙に関しても触れておこう。10月にホームページを一新した。紙面では難しかったスピーディーな情報発信にも迅速に対応できるようになった。毎日10本程度の最新ニュースを発信している。Webでの発信強化によって、これまで旅行新聞を目にする機会が少なかった新たな層にも記事を読んでもらう機会が増えた。これは記者にとってもうれしいことである。

 旬刊旅行新聞は業界専門紙として業界向けのコアなニュースを提供しつつ、旅行好きな一般の方々にも楽しんでもらえる有益な情報をどんどん発信していきたいと思っている。また、観光業界で素晴らしい取り組みをしている企業や宿、人物などを広く知ってもらえるような橋渡し役になれたらいいなと考えている。

(編集長・増田 剛)